「いやいやまったく・・・面白いよ今回のしょく・・・もといゲ−ムは。
色々と楽しいアクシデントに出会える。
さて・・・ナゾナゾ博士といったか?そこの人間よ。
少し気を入れて戦わせてもらおう」
「それはこちらのセリフだよ」
言うや否やナゾナゾ博士は抜く手も見せず、懐よりデザ−トイ−グルを二挺引き抜き連射する。
デザ−トイ−グルとは、ようするにオ−トマチックマグナム銃と思って欲しい。
命中率や扱い安さはかなり悪いが、威力に限定すれば現時点で地上最強のハンドガンといっていいだろう。
どこで練習したのか、相当な腕前を発揮した博士の銃弾は全てダロスに命中するが、あいにくカケラもダメ−ジを与えた様子はない。
「『サイス』」迫り来る真空波を素手で叩き落とす。
と、眼前に見慣れぬ物体が・・・カッ!!
強烈な閃光がダロスの視界を奪う。
「聞こえんだろうが教えてあげよう。それは閃光手榴弾(スタングレネ−ド、あるいはフラッシュグレネ−ド)といってね、
猛烈な閃光と爆音で近くの者の目と耳を数秒間マヒさせるのさ」
「そして、その隙を見逃すあたしじゃないのよ!」
ダロスの眼前に迫るティオ。
「恵に鍛えてもらったし、色んな格闘の本読んで勉強したんだからね!
くらえ!『ザンギュラのス−パ−ラリアッ上』!」ズコッ
「まだまだ!『ケンの大ピンチ』!」ゲシッ
「次いくわよ!『大パチン』!」メゴッ
「そしてとどめの『インド人を右へ』!」ガッコン
「あとおまけの『子孫滅殺蹴』!」コキ−ン
どうやら無効化できなかったらしいダロスは、汗と涙とその他諸々を溢れさせながらゆっくりと崩れ落ちていく。
何かをやり遂げた笑顔で額の汗を拭うティオ。
「テ・・・ティオ・・・ちょっとはしたないんじゃないかなぁ・・・」恐る恐る声をかける恵。
「それは格闘というより格闘ゲ−ムだ・・・しかも誤植だし・・・」心なし内股なナゾナゾ博士。
「そうなんだ。でもこれくらいやらなきゃコイツにダメ−ジ与えられないでしょ」
もう一発とばかりに蹴りを入れようとしたティオの足が掴まれる。
ゆっくりと、そしてゆぅらりと立ち上がるダロス。ちなみにティオに右足は掴んだままであり半ば逆さ釣り状態のティオは
「何すんのよ、離しなさいよこのスケベ」とかいいながら必死でスカ−トの裾を抑えている。
「離せって言って「判った」ひやああああああああ!」
ティオを掴んだまま頭上で右手を二、三度振り回すダロス。
そのまま彼女を恵の腹部へ投げ付ける。
「きやああああああああ」「ティオ、あぶなズンぐほぉ!」
相棒のフライング頭突きを食らい、胃液を吐きながら倒れる恵。
「ティオ君、恵君」「他人を気遣う余裕があるのか?」
耳元に突然聞こえた声に驚いて振り向くと、そこにはダロスの顔があった。
「実は私の趣味のひとつが人間界のサブカルチャア鑑賞でね。
そこで習い覚えた技、味わってくれたまえ。
『緑色巨人的斧爆弾』!」
Lの字に曲げられた肘が、ナゾナゾ博士の顔面にメリ込む。「があ!」
「まだだよ」
博士の頭を脇に抱えるようにして数歩走り「『西部牛焼印押し』」
そのまま倒れこむ。意識が飛びかけている博士を無理やり立たせると
「次はこれだ。『花王石鹸的後頭部回し蹴り』」
二メ−トルちかく跳ね飛び、博士のうなじの部分に回し蹴りを打ち込む。
声も無く倒れる博士を尻目に、人差し指だけを伸ばした右手で天を突き「1,2,3、ダァ−」
叫ぶダロス。その耳に「恵、めぐみ、しっかりして恵!」相棒を気遣う少女の声が。
そちらへゆっくりと振り向く。そして「『キロロ・アムベギル』」
その手が伸び、少女の頭を後ろから鷲掴みにして手元に引き寄せる。
「ああああああ」苦痛の声を漏らすティオ。
「さて、君はここまで勝ち抜いたとはいえ少々礼儀というものを覚えるべきだろう。
仮にも王に対する礼儀作法というものをね。そしてそれを欠いた場合、それなりの罰を受けねばならんという事を!
『東洋大巨人的椰子の実砕き』!」
左膝を地面に付くと少女の顔面を自分の右膝に叩き付ける。「ああうっ!」
額が切れ、血が舞う。
「まだだ!『東洋大巨人的手刀打ち』!」いわゆる「逆水平チョップ」が彼女の喉を打つ。
「『黒呪術士的手刀突き』!」
次は手刀でティオの喉を突く。二度三度、五度六度と。血を吐くティオ。
「ティ・・・・ティオ・・・」
必死に、相棒に向かって手を伸ばす少女。しかしその手は決して届きはしない。しかし
『ザケル』!飛来した電撃を、判っていたかのように掌で受け止めるダロス。
「フン ようやくお目覚めか」軽くティオを地面へ放り出す。
「もはや、いくら謝ってもおヌシは絶対許さん」
「色々テメェに言いたいこたぁあるが・・・とりあえずブッ飛ばす!」
「二人とも、ごめん後お願い」地面を這い、相棒を抱きしめた恵はそのまま這いずるようにダロスから離れる。
「これを。恵さんの鞄にあったヤツだ。勝手に中見てゴメン」
『月の石』の入ったビンを恵に放る清麿。
「こんな馬鹿げた戦いを起こしておいて、女の子をあんな目に合わせやがって・・・」
「君に・・・貴様に何が判るというのだ?貴様が何を知っているというのだ?
あの時・・・私達が・・・魔界の全てがどれほど苦しみ傷ついたか・・・
貴様に判るか!」
続きます
しかし、大体予定通りの展開になっていってます。
もうすぐ「前回」に追いつきますね。
頑張るッス。
「前回」雰囲気壊すとかもうシリアスに戻れないとかかなりの顰蹙を買った
今回のティオとダロスの技ですが・・・やはり出さずにはいられなかったんス。