「そろそろいいかね?」遥か高みから見下ろし、声をかけるダロス。
それは同時に互いの実力差でもある。
「ああ、もういいよ」ゆっくりとダロスに向かって手を伸ばす。
「最後のパ−ティ−の、始まりだ」
パキィン甲高く指を鳴らすナゾナゾ博士。
ズドォン!
すると、唐突にダロスの右頬が爆発を起こす。
「な?」自分の理解を超えた事態に混乱するダロス。
「まだまだ!」パキッ パキィン ピシッ次々とナゾナゾ博士が指を鳴らす度に
ズガッ!「ぐおっ」
ドカン!「かはぁ」
ズドム!「あぐぅ」
ダロスの右脇が、左向こう脛が、右耳が爆発を起こす。
「よしっいい感じだ!」
(?)そう爆発自体はさほど大きくはない(現在のサイズに比べて)というのに、恵の目にはダロスが
爆発のたびに酷くうろたえ、爆発以上に弱っていくように感じていた。
「こ・・・これは一体・・・」
「フッ、驚いておるようだな。実はワシは魔術師なのだ」「何ィ?」
「残念ながら魔法使いにまではなれなんだが、稀代の魔法使い、封印指定を下された『ミス・ブル−』
アレをこちらの世界に誘った彼女の最初の師匠。それがワシなのさ」
「何だとぉ!それは本当か!」
「ウ・ソ」 「 ! 」
「今だ!」パチン!
博士が一際大きく指を鳴らすと、かなりふらついていたダロスの足元が
大きく爆発する。
ズドム!
「ぐああああああああ!?」
これにより決定的にバランスを崩したダロスはちょっとした岩の崖下に倒れこむ。
「そこっ!」「パキッ」
ズドドドドドドドン!
崖の中ごろが大爆発を起こし、崩れ始める −−−−ダロスの上に
「何だああああ!?」
やがて崖の崩壊は収まり、後にはやや小さ目の岩の小山が出来ていた。
「ねぇ」
「何かね?」
「あの爆発何よ?アンタが仕掛けてたんでしょ。でもアイツが現れるの予測してたワケじゃないでしょ。
アイツが爆発したのも変だし」
「本来はブラゴ君を攻撃する為しかけた罠なのだよ。
ここでブラゴ君とシェリ−嬢と決着を付ける・と清麿君に聞いたのでな、昨日のうちにちっと準備を。
ヤツ自身には戦闘中、ウマゴン君やウォンレイ君達に戦いながら仕掛けてもらった」
「あんな沢山の爆弾、どっから仕入れたのよ」
「傭兵組織に勤めてる知り合いが横流ししてくれた。
なんでも組織のトップ −テリ・・テル・・テレなんとかとかいう女性の大佐だそうだ−
が部下の軍曹と今度結婚するとかで浮かれまくってそのあたりの監査がユルくなってるらしい」
「・・・・・・・・アンタね・・・」
「ワシは、ガッシュ君を魔界の王にするためには手段を選ばん」キツい眼差しで、はっきり言い切るナゾナゾ博士。
「ブラゴ君も悪王というのになりはしないだろう。だが彼はあくまで『高みから慈悲深く見下す』タイプだ。
力の無い者、弱い者の苦しみや悲しみを理解できるタイプではない。
故に彼をキッドの住む魔界の王にはしてやらん。絶対に」
「さて、これで倒れてくれれば楽なのだが、そう容易く挫けてくれるキミではあるまい。
いつまでもお寝んねしてないでさっさと出てきてくれたまえ」
その言葉とともに、小山のてっぺんから姿を現すダロス。
巨大化呪文は効力が切れたようだ。
「いやいやまったく・・・面白いよ今回のしょく・・・もといゲ−ムは。
色々と楽しいアクシデントに出会える。
さて・・・ナゾナゾ博士といったか?そこの人間よ。
少し気を入れて戦わせてもらおう」
続きます