「『ゾニス』」繰り出される巨大サイズの突風を慌ててかわすウマゴン。
「なかなかすばしっこいな。いやいや悪くない。
敏捷性は全てに通じる、戦いにおける最重要項目だからね」と両手の握り拳に光を溜めて
「『ビラグ・ラオス』」手を開くと、両手十本の指からビ−ムが降り注ぐ。
飛びのくウマゴンとウォンレイ。
「『コポルク』だ−、逃げるぞキャンチョメ」「うわ−んフォルゴレ−」
キャンチョメは小さくなってその攻撃から必死で逃げる。
「『ガンシャス・ネシルガ』」地面に拳を叩き付けるダロス。すると地面を突き破って
普通サイズの、無数の拳が一行を襲う。
しかし一行はすぐさまウマゴンに飛び乗り、『ゴウ・シュドルク』形態のウマゴンは拳全てをかろうじてかわし、これを好機と目前に迫る。
「食らえ!『ガンズ・バウレン』!」強烈な一撃がダロスの顔を直撃する。
「無防備な状況であの一撃を受けたんだ。無事なハズが「無事なハズがない、かな?」
驚愕する一同を、平気な顔で見下ろしている。さしたるダメ−ジも受けていないように見える。
「そ・・・・そんな・・・」
「ひょっとして、まさかとは思うが『術は効かないが直接攻撃なら効く』とでも思っていたかね?
ならば君たちはその認識を改めるべきだ」
「あああああ・・・」「メ・・・メルメル・・・」「くそ・・・」
「やれやれ、考えて戦うという事ができるのはあの赤い本の使い手だけなのかね?
だとすればもう君達に用も興味も失せた。魔界へ帰りたまえ『ベギルバオ』」
巨大ダロスの全身から放たれる衝撃波は、本の使い手も含めた一同を吹き飛ばし彼らの本も瞬時に焼け落ちる。
「別れを言う刻も与えてあげられなかったが・・・しかたないな。
君達にもまた、栄誉を与えよう。赤本と黒本の使い手ほどではないがこの先君らの人生に幸いを。
そして彼らを慈しみ、信頼し、心を寄せてくれたことに感謝させて欲しい」
気を失い、倒れ臥したサンビ−ム達の体がわずかに光る。
「中々に良い心がげだねぇ」
「人間よ、それは当然だ。以前も言ったと思うが、私は魔界の王。
魔界の住人は全て等しく我が子も同じなのだ。まして子を生めぬ今の体では
彼らを愛しく思うのは当たり前だ」
そんなダロスに相対したのはナゾナゾ博士と呼ばれる一人の老人。
「正直君には感謝しているんだよ。君のおかげで私はキッドに出会えたのだから」
「それはそうと・・・人間よ。私と戦うつもりかね?
あまりにも危険だ。もしかして報酬が欲しいのか?
いくらなんでも君にまで幸運を与えるわけにはいかんのだが」
「あの子に出会えた。それ以上の幸運などありえんしわたしには不要だよ。
そして・・・勝てはしないだろうがわたしは君を痛めつけようと思う。
あの子の住む地に、やさしい王様をもたらす為!」
その隣に現れた影は・・・
「ティオ君、恵君! 清麿君達の方はいいのかね?」
「正直あまりよくはないけど、『心の力』は七割方使っちゃったしね」
「後は『月の石』にまかせようと思います」握り拳大の『月の石』を懐にしまいながら答える恵。
「勝てると・・・思う?」「無理よね」「無理じゃな」
ティオの質問に即答する恵とナゾナゾ博士。
「じゃが我々は負けるわけにはいかんのだ。ガッシュ君と清麿君に希望を託すために」
「ウマゴン達の頑張りを無駄にしないためにもね。
そういえばナゾナゾ博士、アンタあいつの不死身の謎解けたのかしら?」
「いや、わしでは見抜けん。残念だがな」
「後ろで、動けないけど清麿君が見守ってるわ。
ウォンレイ君たちの攻撃が通用しないのも気づいてたようだし、ヒントは掴んでるみたい」
「ならば・・・」
「やられても・・・」
「清麿とガッシュなら必ずアイツに勝てる!それはあたし達の勝ちでもあるのよ」
「そろそろいいかね?」遥か高みから見下ろし、声をかけるダロス。
それは同時に互いの実力差でもある。
「ああ、もういいよ」ゆっくりとダロスに向かって手を伸ばす。
「最後のパ−ティ−の、始まりだ」
パキィン甲高く指を鳴らすナゾナゾ博士。
続きます
やっぱ短いかなぁ・・・・
しかし「無料体験コ−ナ−」から来ているのであまり時間かけられないんです。
ウマゴン達の出番と別れのシ−ンにもっと手間かけてあげたかった・・・
前回も同じ悔いを残して、ほんのちみっとだけ増やしたのですが。
せめて・・・いやもはや何も言うまい。