ダロスの注意をキャンチョメが引いているうちに、とナゾナゾ博士はブラゴを肩に、
シェリ−を脇に抱えてえいほえいほと逃げていく。 たったったった
恵は清麿を背負ってよいしょよいしょと距離をとる。 とっとっとっと
ティオはガッシュの足を掴んでヅリヅリヅリと後ろに下がる とてとて ごつっ とたとた がすっ
とりあえず岩陰に隠れた一行。
「急いで、恵」「ええ、わかってるわ。『サイフォジオ』」
サイフォジオの輝きが四人の傷を癒していく。
「す・・・すまない恵さん、ティオ」
「清麿、気が付いたの?」「ああ。しかし・・・アイツは強い」
「同感だな。どうすればヤツに攻撃できるのか、まったく予想がつかん」
「大丈夫・・・とはいえないけどアイツの不死身の理由が判ったような気がする」
「何?」「えっ」「ホントなの、清麿?」
「ああ。だが推測だしなによりこの傷じゃあ・・・」
「まかせて、コレも一緒に使っちゃいましょ」
懐からビンを取り出す恵。中身を清麿達の上にぶちまける。
「これは・・・『月の石』?」
「ええ。きっと役に立つと思ってデモルトとの戦いの後光が残ってるのを集めておいたの」
「へえ、しっかりしてるなぁ恵さん。きっといいお嫁さんになるよ」「やだ、清麿くんってば」
「はいはい、いちゃつくのはその辺にしといて」
「うむ、清麿君もプロポ−ズは戦いが終わった後にしてくれんかね」
「「な、なななな何を」]シュボンと音を立てて真っ赤になる清麿と恵。
「とととととりあえず今は急いで傷を治すことだよなっ」
「ままままままったくね。急いで治すわ」
などとラヴコメしてる一方で・・・
「キャンチョメパ−ンチ」「くうっ」すかっ
「そんでもって、キャンチョメ真空飛び膝蹴りだあ!」めご
ダロスの厚い胸板に強烈な一撃が突き刺さる。
「ば・・・馬鹿な・・・」
あの魔物の能力は変身とハッタリに過ぎない。
一体何が起こり、なぜ魔界の王たるこの私があんなのに圧倒される?
中国拳法で言う鶴翼の構えを取り「マグルガ!」
強烈なVの字ビ−ムを放つがあっさりキャンチョメの胸板を突き抜け・・・何のダメ−ジも与えられない。
「へっへ−ん、『防御は幻、そして攻撃は実体』さっ」
再びアッパ−気味のパンチがダロスの顎をかちあげる。
あんな・・・あんなチンケな魔物一人に・・・一人?
そうか・・・そういう事か。
「そりゃぁ、もういっぱ−つ!キャンチョメス−パ−アッパ−」ガシッ
しかしその一撃はスカって、巨大ダロスの掌に捕まっているのは・・・
「ふん、たしか・・・ウマゴンだったな。なるほどあのハッタリ魔物が作った幻影に隠れて攻撃していたのか。
もう一体の・・・ウォンレイといったか?あの者も一緒にやっていたのだろう。
フン!」
そのまま地面に叩き付けられるウマゴン。
「ウマゴンしっかりするんだ」
「メ・・・メメメメ、メルメルメル(ボクの名前は・・・シュナイダ−・・・)」
駆け寄るサンビ−ムに、しっかり(通じない)自己主張をするウマゴン。
「ううううう、煩いやい!キャンチョメス−パ−スペシャルDXHGEXパ−ンチ!」
再び繰り出されるアッパ−気味のパンチを受け止めようと手を出すダロス。
「馬鹿者め」これを防いだら攻撃してきたウォンレイとやらをやはり地面へたたき付け、そして
スカっ「ほへ?」
ズメゴ「あぐぅ?」
受け止めるはずのパンチ(に隠れた攻撃)はすり抜け、何事かと思った瞬間一撃を腹部に食らう。
くの字に体を曲げ、そのまま動きが止まるダロス。
「馬鹿はそっちさ。タネがばれたってのに同じ攻撃するわけないじゃないか。
要するに攻撃の瞬間がボクの幻に隠れてお前に見えなければ言いだけの話さっ」
しばらくうつむいた状態のダロス。
「確かに」
「確かに私は君らを侮っていた。油断といってもいい。まさに油断禁物という言葉を久しぶりに思い出したよ」
ゆっくりと起き上がったダロスの目には、控えめに言ってかなり剣呑な輝きが宿っていた。
「さて、あまりに些少で心苦しくはあるが、私からのささやかな礼を受け取ってくれないかね」
続きます。ところで、実はここまででダロスの能力の秘密(のヒント)をバラしてしまってるシ−ンがあります。
どこかわかりますか?