倒れ伏す四人にゆっくりと近づく。
「魔界の住人なら等しく我が子も同じ。またその友なればわが友。
あまり傷付けたくはないのだ」
その右手が鈍く光る。だがそこに「『サイス』!」
右手に集めた魔力が弾ける。もうもうと煙が上がり、右手の肘から先がまるで存在しないかのように、見えない。
「ティオ君・・・といったね。正直君の力では私を倒す事はおろか私の攻撃を最後まで受けきる事すら無理なのだよ。
はっきり言って」
やたら綺麗な右手で煙を払い、眼前に現れた二人の少女に無情な事実を語るダロス。
「うるっさいわね!ンなこたぁどうでもいいのよ。とにかくガッシュはこのあたしが傷付けさせない!」
「清麿君はあたしが守る!」
「ならば 『ビライ』」ふたたび右手を光らせるが「『サイス』」ふたたび魔力光が弾け散る。
「あたしのサイスは威力は低いけど発動も弾速−っていっていいのかしら?−もかなり速いわ。
ちょっと大き目の威力のある術なら発動する前にツブせるわよ」
実際作者は「友情のタッグバトル」において何度もバオウをサイスに潰され、使う際には必ずジケルドで足止めするようにしている。
「そして発動の早い、弱い術はマ・セシルドやギガ・ラ・セウシルで防ぐという訳か」
「みんな清麿が考えてくれた作戦よ」
「ならば」なんの前フリもなく、軽く右腕を振ると地面に小さな裂け目が出来。その裂け目がティオ達目掛けてやってくる。
「衝撃波?」「ティオ、右へ!」咄嗟に左右に散る恵とティオの中間の地面を衝撃波は切り裂く。
「我が体の魔力を、ただ少々勢いつけて放っただけだ。術でもなければ技でもない。
そんな攻撃を君達は防げるかね?」
ピクピクと痙攣する後方の清麿。ガッシュと黒本コンビはピクリとも動かない。
「ボクがやるぞぉ」正面に現れた小さな影。その名をキャンチョメという。
「変化を得意とする魔物、だったね。君は確か」額に指を当てて、なにやら苦悩するかのごときダロス。
「君の能力はかく乱か、さもなくばハッタリだ。
居るのを気付かれない様忍び寄って奇襲を掛けるならともかく正面から名乗りをあげてはどうにもならないと思うぞ」
「うるさぁい!ボクは強いんだぞう。お前が知らないだけだ(ティオ、今のうちにガッシュを)」
やれやれってなカンジで肩を竦める。
「では見せてみたまえ、君の強さとやらを」
「よおおおおおおおぉぉをおおぉし、スゴいぞ、強いんだぞ、見て驚くなぁ 『ディカポルク』」ほぼ半泣きだ。
「ふむ、それは確か巨大な幻を見せる術だったな。ではこんなのはどうかね?『ディカディロス』」
5,6M程のキャンチョメの二倍近くになるダロス。
「おっといかん、少々大き過ぎたか」ほぼ同じサイズに調整する。
「これの体はいわば魔力で作り上げた着ぐるみだよ。だからこうして」
近くの岩を掴みとり、握り潰す「半ば実体化している。君のハッタリとは訳が違うんだ」
「そそそそそれならなぁ」もう泣きそうっつ−か大泣きのキャンチョメ。
「これでも食らえぇ、キャンチョメアッパ−!」
繰り出される、速さも鋭さも感じられないアッパ−というもおこがましい、ただ上向きに振り回される右手を見つめるダロス。
(いいか、キャンチョメ)キャンチョメの脳裏に清麿の声が聞こえる。
(お前の変化の力ははっきり言って知られてる相手には通じないだろう。)
(騙せる、騙しやすいのはお前の力を知らない相手だ。だがしかし)
防ぐ気も、かわす必要も感じない。
スカったら下にいる本体に軽く電撃でも放って終わりにしズゴメ
顎を突き上げる、強烈な衝撃に混乱するダロス。
な・・・何事だ?
後に倒れる屈辱はかろうじて堪える。
「君のその術はただの幻影のはずだ!」
「キャンチョメドラゴンフィッシュパ−ンチ」どうやら日本の漫画を彼は愛読しているようだ。
上から振り下ろされるパンチにを反射的に防ぐが、その攻撃は幻のごとくすり抜ける。
「続いてキャンチョメガゼルパ−ンチ」
腹を強烈に突き上げる一撃!
「こ・・・・これは一体・・・・」
(一番騙し易いのは、お前の能力を知り尽くしてると思い込んでいる相手だ)
続く
すみません。色々考えたのですがこの「キャンチョメ大活躍」は以前のと同じです。
トリックも前のままです。
知ってる方はご容赦下さい。
一応考えて、作品の所々を多少変えてはいるのですが変えようが無くて。