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「.hack//intervention 第31話(.hackシリーズ+オリジナル)」

ジョヌ夫 (2007-03-11 00:04)
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それぞれの経緯を経て、物語の登場人物達は『Δ隠されし 禁断の 聖域』から目的の地へと導かれる。
その地『逆城都市』は上から下へ塔が聳え立ち、それらを繋げる通路が迷路のように入り組んでいるという奇妙なダンジョン。
普段は地下へ行くほど最深部に近づくが、ここは下から上へ昇ることでアイテム神像のある部屋に近づくことになる。

BTとクリムは司達より一足先に到着し、既に中層部にまで至っている。
それを追いかける楚良は敢えて2人を放置、彼等の後に目的地に辿り着けばいいと考えていた。
所詮この先にあるのは“key of the twilight”ではなくその道標程度、ということを知っていたから。

また楚良は別にここで辿り着けなくてもいいとさえ考えていた。
彼が目にしたいのはあくまで伝説のアイテムであり、無駄に力を入れる必要などない。

この地に来たのは寧ろもう1つの目的の為。


「司くんも来たみたいだし、そ〜ろそ〜ろく〜るっかな〜ッ!」


BT達の後をつけながら、下層部に到着したばかりの司達を見つけほくそ笑む。
楚良が望んでいるのは、この地に現れるらしいもう一組の方と司達の邂逅。
両者がどのような形で接し、何を話しどう行動するのか。

それを様々な形で想像しているうちにハッと大事なことに気づく。


「僕ちん……連絡し忘れてなぁい?」


そう、知らせるべき自分が興奮するあまり彼等に伝えるのを忘れていたのだ。

彼等は基本的に外との繋がりが極端に細い。
その件に関しては本人から聞いており、自分以外は彼等が捜していたヘルバのみ。
直接それを教えて貰ったわけではないが、その言葉の端々からほぼ確実と踏んでいた。

だからこそ自分が伝えそびれたのは不味い。
彼等が情報を手に入れる手段は自分かヘルバしかなく、その容貌から自身で外を出歩くわけにはいかない。
つまり彼等がここに来る条件はヘルバからそれを聞き出していることだけ。


「まっじぃってッ! 俺何やっ…………おんやぁ?」


予定外のことに慌てながらもどこか遊び心の感じられる楚良の反応。
その途中、視界のかなり端に突然現れた小さな2つの影が現れたのだ。

かなり上層部の空中に現れたその影達が誰のものであるか。
それにすぐ気づいた楚良は内心でホッと一息つきながら、その顔には隠し切れていないニヤケが出ていた。
図らずも自分の危惧していたことが解決していたのだから、それも当然というものか。

遠くにある小さな影達はおそらくBT達より先に目的地に着くであろう。
地道に上っていくのと空中をそのまま直進するのでは速さに明らかな差が出る筈だから。


結果的に自分の予定通りになったことに一安心しつつ、楚良はこっそり司より先に彼等と出会うBT達の追尾を続けるのだった。


……………………

………………

…………


一方、出遅れて到着した司、ミミル、それにベアは仕様に無いこのエリアに奇妙な違和感を覚え始めていた。


「ここはやな予感に溢れてる……悪意に満ちているような……」


司は一歩ずつ地を踏みしめながら、己を取り巻くような震えを必死に抑える。

彼は現在ログアウトが出来ず、痛みや匂いを感じるようにもなっている。
言わば自分の体がそのままPCと同化したようなもの。
その分周りの空気を敏感に感じてしまい、このエリアを渦巻く途方も無い悪意に恐怖しているわけだ。

だが無論彼が足を止めることは無い。
“key of the twilight”を求めるのは、それを使えば未だ目覚めぬ白い少女を起こす為だから。

明確に説明できるような理由があるわけではない。
ただ何故か司は白い少女に早く目覚めて欲しいと日々強く願うようになっている。
まるで彼女が目覚めることで自分の何かに決着がつけられそうな、そんな錯覚を覚えているのもあるが。


「司の言う通り、ここはどこか不味い気がするな」

「アタシも何て言うか……どこか肌寒い」


ベアやミミルは司程ではないが、この地の異常性を理解していた。

彼等がどれだけこの世界に傾倒しようと『The World』は所詮ゲームの1つに過ぎない。
なのに下から上へと上がっていく中で“もし下に落ちたら……”と考えてしまうほどに現実感がある。
司のように肌で感じるわけではないものの、胸のざわめきは抑えられない状態なのだ。

しかし彼等も司と同様にその歩を中断するつもりはない。
ベアはかつて話題になった伝説のアイテムの正体を知り、司との関連性を掴む為に。
ミミルは司だけでなくヘレシィ達とも繋がりがありそうな“key of the twilight”が自分を取り巻く全ての事象の根底であると信じて。

地形の悪さと雰囲気の奇妙さに辟易しながらも着実に進んでいく。


「……………………あ」


そんな時、ミミル達の後ろについていた司の足が間の抜けたような声と共に止まる。
もしかして疲れてしまったんだろうかと思ったミミルとベアは、振り返って安否を気遣おうとした。

しかしそこに居たのはへこたれる司ではなく、どこか戸惑いながら慌てて辺りを見回す彼の姿。


「どうした司? ……体に異常でもあったのか?」

「あ、いや、違うんだ。違うんだけど……何かが無くなったような」

「無くなった? 要領が掴めないわねぇ……」

「さっきまで感じてた悪意が一気に薄れていったんだよ。
 よくわかんないけど、頂上に行くなら今のうちかもしれない」


司の感じたそれはある意味正しかった。

彼の言う“悪意”とは己の操るように動かない者達への神の怒り。
即ち『The World』の神たるモルガナ・モード・ゴンの悪意である。
このエリアは他と比べて世界の核心に近い為、彼女の感情がより如実に現れており、それを司は感じていたのだ。

そして彼がその感情を感じなくなったということは――――


「とにかく早く先に進もう。
 おそらくBTも別ルートで向かっている筈だ。
 もしこの先のあるのが本当に“key of the twilight”だったとすれば……」

「一番乗りした奴が勝利ってことでしょッ!
 司、アンタ疲れとか感じちゃうらしいけど大丈夫?」

「大丈夫、僕も手に入れたいから……」


彼等は未だ気づいていない。

一心に向かうその先で何が、否、誰が待ち受けているのか。

そこで何を見、何を聞き、何を知ることになるのか。


――――そして同じ場所を目指すもう1つの組のことも。


.hack//intervention 『第31話 けじめ』


俺とシェリルはヘルバに直接『逆城都市』へと転送して貰った。
ちなみにシェリルの格好は前回とは違っていつもの放浪AI状態に戻っている。
これは勿論、司達に会う際にあの格好では不味いという俺の指示によるものだ。

転移された先が空中なのには驚いたが、流石にもう浮くことには慣れてきているので大丈夫。
基本的には降りようとしない限り落ちることはないらしいからな。
まあそれでも下を見れば底が見えない程の深い空間が広がっていて正直怖いことには変わり無いけど。


「んじゃさっさと親父さんに会いに行くとしますかッ!」

「トモアキ、あそこ……」


意気込む俺に問いかけるシェリルの声と指差す方向へ意識を向けるとそこには、


「あれってクリムと……確かBTだったっけ。
 今居る地点は丁度ゴールまで半分ってとこか?
 つーことはだ、早くしないと色々面倒なことになっちまいそうだな」


“紅い稲妻”ことクリムとそれに同行する緑の服を着た呪紋使いの姿があった。
既存の物語通りであればここら辺で楚良が乱入してきて彼等の足止めをする筈だ。
それでも結局クリムがその場に留まり、BTが先に行くことになるから大して時間稼ぎにはならないけど。

とにかく俺が会いたいのはハロルドとついでに司達。
BTには何の用もない為、先に行って俺達の用事を済ませて一旦その場を離脱。
その後BTがこのエリアを去り、司達がハロルドのいる部屋に到着したのを確認してから合流する。
それからは司には聞くべきことを聞き、ミミルやベアには告げるべきことを告げるという心算だ。

今まで計画が成功した覚えがほとんど無い以上、ここいらで流れを変えたい。

そんな気持ちもあって、今回の俺はより慎重に事を進めたいと思っている。


「よし、アイツ等に見つかる前に一気に向かおうッ!」

「あ、トモアキ〜ッ! 待ってよ〜ッ!」


俺は急く心のままにシェリルを放ったまま、地面と垂直に進んでいった。


……………………

………………

…………


吹きすさぶ風を突き抜けて塔の中に入り、通路を駆けていく。
いや別に足を地につけて走ってるわけじゃなくて、比喩的な言い回しなんだけどな。
実際には浮遊したままフワフワ進んでいるわけだし。

速さ的には走るのとそんなに違いは無いものの、何だか楽している気分。
この力はシェリルのおかげらしいが、何故かどうやって可能にしたのかは教えてくれなかった。
“な、なんとなくやってみたら出来ちゃったのッ!”とか妙に怪しい反応をしていたけど、敢えて気にしないことにしている。
どうせ専門的な内容を教えられても分かる筈も無いからな。

そういえば記憶があやふやだけどあの攻略本に載ってた三爪痕もこんな感じで浮いてたよなぁ、とか関係ないことを考えながら進んでいく。
理由は単純、さっきからずっとモンスターも出ずに同じような通路がただひたすら続いていて見飽きたから。
シェリルと会話してもいいのかもしれないが、そこまでの余裕は無い。


しばらくすると円形に窪んだ床を中心として三方に分かれた連絡口が見え始める。

俺の記憶が正しければ、ここは物語にも出てきた分かれ道であり、司の導きでミミル達は正解の道を選んだような。
どうやって司が分かったのかは覚えていない。というかそこまで詳しく頭に叩き込めてる筈がないだろ。

三つのどれかが正解、もし外れれば遠回りになるのは確実だ。


「う〜ん……どれだったっけ「こっち……」シェリル、分かるのか?」

「何となくだけど多分こっちで合ってる」


適当に勘で決めようかと思った矢先のシェリルの発言。
一瞬どうすべきか迷ったが、結局俺はその言葉のままに従って進むことにした。

彼女の言葉通り根拠自体は俺と大差ないが、その信頼性には大きな違いがある。
外からの異邦人である俺とこの世界で生まれ過ごしている彼女。
更に彼女においてはハロルドとの密接な関係があるのだから尚更だ。

残りの2つの入り口の先はどうなっているのか、ちょっと気にはなったが今はそれどころじゃない。
早くしないとBTが追いついてしまうからな。多分今頃は楚良がどうにかしてくれてる筈だけど。

……でもなぁ〜んかアイツは色々と信用なら無いんだよなぁ。


「余計なことしなきゃいいんだが……」

「トモアキ? どしたの?」

「……んにゃ、シェリルは気にせんでいい」


彼女に楚良の愚痴を言ってもしょうがないし。
どうせ今更心配しようがしまいが、後戻りなんて出来そうに無い。

これからの展開に一抹の不安を感じつつも先を急ぐことにする。


それから程なくして俺達は今までにない巨大な扉の前まで辿り着いた。
基本的にアイテム神像部屋の扉は他と比べて大きいのは知っていたが、ここのはその中でも特別だ。
多分これで地面に足をつけていたら扉の頂点は見えないだろう。

この先に世界の創造主、そしてシェリルの父親がいるんだよな……。


「……シェリル、覚悟はいいか?」

「覚悟? …………何で?」

「ははは、そうですか……」


どうやら緊張しているのは俺だけで、彼女にとってはそんなに大層なイベントではないらしい。
というか俺が思うに彼女は余程のことが無い限りビビッたりしないんじゃないか? 

シェリルって肝っ玉が座ってそうだし。


「それじゃあ……行くぞッ!」


俺は自分の言いたいことを心の中で確認した後、勢い良く扉を押し開いた。


光が漏れ、視界がその光で満たされる。
眩しさに一瞬目を細めた俺が次に目にしたのは、

このエリアと同じく上下が逆さまになっており、天井が真っ白な部屋。
そこは余計なものが一切なく、あるのは部屋同様逆さに浮いている椅子と、それに座る1人の男のみ。

虚弱な体質を連想させる痩せこけた体と妙に老け込んでいるように感じられる顔つき。
うたた寝するかの如く静かに椅子に座る白髪のソイツが誰なのか、最早語る必要もないだろう。


「世界の創造主……ハロルド、か……」

「…………これが父さん?」


俺の確認する言葉に対してシェリルの方は何故か疑問系。
しかも誰かに聞くでもなく自分の中であやふやだった部分を確かめるような微妙な声色だ。
まるで彼女自身すらハロルドについて碌に知らなかったような。

気になった俺の頭に聞いてみようかという考えが一瞬浮かんだが、それも目の前の男がゆっくりと目を開き始めたことで中断されることになった。

少しずつ露になるハロルドの瞳は明らかに普通じゃなかった。
俺達へ向けられることなく視線は下のまま、それも何かを眺めているのではなくただ向けているだけ。
きっと奴の瞳には何も映っていない。

だが所詮ハロルドの意思の欠片に過ぎないと知っていた俺達は別段気にすることなく話を進めることにする。


「さ、シェリル。お前が言いたいこと、さっさと全部ぶちまけてやりな。
 ……お前の中で1つのケジメをつける為に」

「…………うん」


俺の言葉に呼応して一歩前に出るシェリル。
事前の打ち合わせで先にシェリルが、次に俺がハロルドと対面することになっていた。
異邦人の俺より実の娘であるシェリルの方が先んじるのは当然というものだろ?

そしてほんの一時の逡巡の後、噛み合う事の無い親子の会話が始まった。


「始めまして、になるのかな? 父さん」

“愛しているよ……”

「アタシの中に貴方の記憶はあったけど、実際に会うのはこれが始めて。
 貴方はアタシを覚えていないと思うけど別に気にして無い。
 父さんにとってアタシ達は所詮消耗品なんだろうから」

“私は……私は、君と私との想いを形にして残したかった。
 君が生きた証。私が君を愛した証……それを形に……”


ハロルドが口にするのはただひたすら“君”への愛の言葉。
“君”とは彼が愛した女性で、即ちエマ=ウィーラントのことを指す。

ハロルドが究極AIアウラを創るに至った直接的な原因は彼女にある。
元々彼はコンピュータ研究者としての研究過程で究極AIの開発に取り組むが失敗。
“知性”というものの根幹が何かを知ろうと人智学に興味を示すようになり、とあるセミナーで彼女と出会う。
その時、彼女の美貌と洗練された感性に強く惹かれることになる。ぶっちゃけ惚れたわけだ。

しかしすぐに彼女は交通事故で他界、ハロルドの想いは宙吊りのままになってしまう。
彼はエマへの愛を具体的な形、つまり子供として残そうと再び究極AIの開発に着手する。

結果を言ってしまえば、結局独力で完成させるには至らなかった。
だがネットゲームによるデータ収集を利用し、それを管理するシステムを以て究極AIに反映させることを思いつく。
その揺り籠『fragment』の世界観の基になったのがエマの書いた『黄昏の碑文』。


“しかし……どうやら私は過ちを犯してしまったようだ。
 そのことに気づいてすぐにメッセージを発信したんだが……間に合ったのだろうか?”

「アタシは父さんによって創られた母さんから生み出されたアウラの失敗作。
 自己保存の為にアウラを消そうとした母さんによって生み出された本来の“シェリル”の失敗作。
 アタシは父さんにも、母さんにも望まれない、捨てられた存在だった」

“……済まない、私は父親として失格だったよ”

「…………え?」


碌に噛み合っていなかった会話が突然自然な流れに変わり驚きを露にするシェリル。

しかし俺は知っていた。それが偶然の産物であり、ハロルドはシェリルのことなど見向きもしていないことを。
目の前の彼はただ同じことを口にするだけの壊れた放浪AIのような存在だから当たり前だ。

そして俺の予想通り、


“彼女は、私の……私達の希望だ”

「……そうだよね。貴方が見ているのはアウラだけ」


己の勘違いにシェリルは落胆してしまう。
もしかしたらまともに話せるかも、という願望みたいなものが彼女に芽生えてしまったのかもしれない。
彼女の言葉にはどこか哀しさが感じられた。

だが彼女も伝えるべきことを伝えんと、気を取り直して互いに一方的な言葉のやり取りを再会する。


“彼女を……頼む。父として駄目な私がここに来てくれた者達にこの思いを託すのはムシが良すぎるとも思う。
 それは理解している……にも関わらず、最早私にはそうすることしか出来ない。
 こんな焦燥感を私は知らなかった。なんと、私の知る世界の狭隘であったことか。
 ……頼む。彼女は君と私の……私が愛した君との想いの結晶なのだから”

「でもアタシは貴方を求めない……貴方がアタシを求めなかったように。
 アタシはアウラの土台でもアウラを消す為の道具でもない。
 これからはアタシの生きたいように生きる。アタシの納得する形で生きていく。
 ……アタシを救ってくれたトモアキと一緒に」

「シェリル……」


俺は純粋に嬉しかった。彼女の言葉の一つ一つが、そこから感じられる彼女の心が。

そこに居るのは既に“失敗作”としての彼女ではなく、“シェリル”という1つの個としての彼女。
生きる意志を持ち、共に在りたいと願う相手を持ち、自らの運命の鎖を解き放った彼女。

ハロルドが願った究極AIはアウラというこの世界の神としての存在。
だけど俺は思う。シェリルこそが“個”として“人”として完全に自立したアウラとはまた違った形の究極ではないのか、と。
精神に未熟さが残り、どこまでも成長していく彼女こそが“完成形”ではないのか、と。


シェリルは目を閉じ何かに思いを馳せながら一息つく。

再び目を静かに開き優しい微笑みをハロルドに向けた彼女は、


“父性を全う出来なかった私を許してくれ……いや、私は許されなくても構わない。
 愚かだった私に許される資格は無い。が、彼女は…………彼女だけは頼む”


相変わらず自分のことを気にも留めていない父親に対して、


「生んでくれて有難う……そして…………さようなら」


万感の思いを込めて感謝と決別の言葉を告げた。


「……シェリル、そろそろ帰ろうか?」

「あれ? トモアキはいいの?」

「ああ、もうお前の親父さんに言うべきことはないよ」


未だに同じことを繰り返し喋っているハロルドを背に、俺は出口へと向かう。
シェリルの疑問は尤もだが、既に俺の中で彼に言いたいことは四散してしまっていた。

彼女の成長と想い、それがハッキリ分かっただけで十分だ。
俺のハロルドに対する個人的な感情など、それに比べれば些末なもの。


「俺達が共に生きていく、ただそれだけでも問題は山積み状態。
 でもま、それをお前やヘルバ、ついでのついでに楚良と一緒に潜り抜けていくってのも一興かもな」

「トモアキ……」

「そんじゃ行くとしますかッ!」

「…………うんッ!」


俺とシェリルは一片の思い残しをすることもなく、出口の扉を静かに閉める。

気のせいだろうか? 仰々しく響く扉の閉まる音の中に、


“健やかなれ……”


そんな男の微かな呟きが聞こえた気がした。


俺達は各々で新たな決意を固めながら外へと向かう。

とりあえずはBT達に見つかる前に離脱しなきゃなぁ、とか思い始めたんだけど……、


「お、お前はッ!」

「こいつぁ……一体……」


目の前に突然姿を現したBTとクリムを目にして、早速失敗したことに気づいた。


――――なんつーかもう、さっきまでの雰囲気台無し。


あとがき

ヘレシィ組ハロルドと邂逅の巻。
う〜ん……結局相変わらず進まないなぁ。
『逆城都市』が残り3話、アウラ覚醒までが更に後5話くらいかな?
流石にこれ以上は増えないかと。

次回はクリム&BT組との邂逅になります。
でも多分それだけ。


レス返しです。


>感想さん

シェリルは改造によってZERO編から色々活躍することになります。
彼女が誰と接し何を感じるのか、楽しみにしていただけると幸いです。
……その分主人公の出番が少なくなりそうですけど。

次回もよろしくお願いします。


>白亜さん

シェリルはPC化して外でどんどん活躍できるように。
一方の主人公は相変わらず碌に外にも出れない始末。
ようやく物語も進み始め、おそらく後10話程度でSIGN編も終了します。
楚良がデータドレインされるかは……今は秘密ということで。

これからもお互い頑張りましょう。

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