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「男三人麻帆良ライフ 第十九話(GS+ネギま!)」

宮本 (2007-03-09 22:11)
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             『男三人麻帆良ライフ 第十九話』


「ここや」

小太郎に案内された横島は小太郎の視線の先のマンホールをどかした。

「・・・なあ、動けるようにしてくれんか?」

「まだ本当にここにあいつらがいるかわからんからなー」

「嘘はつかん!負けたのに嘘をつくなんて男らしくない真似俺がするか!!」

まだ『縛』の文珠の効果が残っている小太郎が文句を言う。

「ふっ、俺ならばするな!命が助かるならうんこだって食べる」

「兄ちゃんあんだけ強いのに・・・」

自分を圧倒した男がなんて男らしくないのだ・・・と少し情けなく思う小太郎。
横島はマンホールを退けてできた穴に縄で縛った小太郎をゆっくりとおろし、自分も降りた。
そして小太郎に言われる通りに不自然な岩をどかした。
するとそこには石になったピートと雪之丞、そしてそれを発見されないように小太郎がはった少々つくりの荒い結界。

「かなり強力な石化の術やで。ほんまに兄ちゃん解呪できるんか?」

「ああ。俺に不可能はないからな!!」

そう言って横島は石になっている二人に片手ずつ押し当てた。
両手の中に握られているのは文珠が二つずつ。『解』『呪』と文字が浮かんだそれは、横島の手の中で輝き、石だった二人は元に戻る。

「す、すげえ・・・」

強力な石化を何の呪文も唱えず解呪した横島の能力に小太郎は驚く。
しかしその直後、さらに驚いた。

「ちょえい!!」

「痛え!!何しやがる横島!」

横島の右手に出た霊波刀が雪之丞の頭を引っ叩いた。
どうやらみねうちらしいが痛いものは痛い・・・。

「てめえらがあっさりやられるからわいがせんでもいいシリアスシーンを!!文珠も大量に使っちまうし。エヴァちゃんの別荘でストックしとかなかったらえらい事になってるぞ?
おかげで女の子に手を上げちまうし!この無念さが分かるか?優しく頼りがいのあるお兄さんで通そうとおもっとったのに!!」

「知るか!!」

「大体なんやあの強いガキは!あんなのと戦うのは本来なら戦闘民族のおまえの役割やろ!?」

「誰が戦闘民族だ!!仕方がねえだろ?まさか魔法使ってくるなんて思わなかったんだからよ!殴り合いなら勝ってたんだ!!」

ぎゃーぎゃーと言い争う雪之丞と横島。
躊躇なく負け惜しみを言っている雪之丞を見て小太郎が冷や汗を流しているともう一人の人物から声をかけられた。

「ありがとう小太郎君。君が横島さんに僕らの事を教えてくれたんだね?」

「・・・ああ。横島の兄ちゃんに負けたら教えるって言ったら呆気なく負けてもうてな」

「へえ。どうだった?横島さんは強かったかい?」

「ああ、雪之丞の兄ちゃんにも負けないくらいな。・・・今の状態見てたら信じられんけど」

視線の先ではようやく口喧嘩が収まったらしい二人がいる。
どうやら雪之丞が敗北したらしい。
石にされて、文珠を二つ使っての解呪をしてもらった手前文句を言い続ける事はできなかったようだ。

「ちくしょう・・・。次は負けねえ。おい、横島。こいつ自由にしてやってくれ」

「ん?おうわかった」

横島がそう言って指を鳴らすと小太郎の戒めが解かれる。

「放っておいてもそろそろ解けてたと思うけどな。っていうかこいつ捕まってから暴れなかったから長く効果が持ったんだ」

「当たり前や。正々堂々やって負けたんやから従うわい」

「ふん、ガキのくせにいっちょまえに男だな小太郎」

「・・・雪之丞の兄ちゃんに言われるとなんでか嬉しいわ」

雪之丞と小太郎はニッと笑いあう。
それを見て横島は少し引いた。

「・・・なんだあいつら」

「あの二人、どう見ても同系統ですからね・・・。通じ合うものがあるんでしょう。
それより横島さん。これからどうします?」

「うーん、そうやな〜」

考え込む横島。そこに声がかけられた。

「雪之丞の兄ちゃんとザビエルも助かったし俺はもう行くで」

「どうするんだ?おまえの仕事まだ終わってねえだろ?」

なんならここでつぶしておくとばかりに拳を鳴らす雪之丞。
それに小太郎は自分も身構える事で答えた。

「・・・やるならやるで。仕事は途中や。それに初めて俺と同年代でまともに戦える奴を見つけたんや。さっきは変な戦いになってしまったけど今度はちゃんとやって絶対決着つけたる。
雪之丞の兄ちゃんのとこに横島の兄ちゃんを連れて来たのは約束したからや。仕事を請けた以上、やられてもけじめはつけるわい」

にらみ合う二人。
だがどちらも攻撃を仕掛ける事はなく、雪之丞が構えを解いた。

「行けよ。それがおまえのけじめだってんなら仕方がねえ。それになんだかんだ言っても俺達はお前のおかげであいつらに見つからずに済んだんだ」

「・・・兄ちゃんに勝つまで、死んでもらったら困るからな」

「へっ、上等だ小太郎。今の仕事中に会ったら容赦しねえぜ」

「容赦するようならこっちがぶん殴ったるわい!」

二人は再び笑いあった。

「なんやあの男臭いの。漫画間違えとらんか?ほら、もっとどろどろしとったやろ?
脱税したり、除霊料金吹っかけたり、労働基準法無視したり、なんかあったら金でもみ消したり・・・」

「どろどろしてたのは横島さんのところだけですよ」

ピートはじと目で横島を見る。
そう、彼のいた場所はどろどろしていないはずだ。
貧乏で食べるものがなくてぶっ倒れたとしても!アシュタロスを倒しに向かう時どさくさに紛れてミサイルをがめていたとしても!!

小太郎はじゃあなと言うと去って行った。

「いいのかい?雪之丞」

「しゃあねえだろ。何だかんだ言ってあいつには世話になったし。それよりこれからどうするんだ?」

「それだけどね、横島さんと雪之丞は関西呪術協会の本山に行って不測の事態に備えてくれ。関西呪術協会にいれば大丈夫だと思うけど今夜か、明日にはホテルに戻らないといけないだろ?」

「二人は・・・って、ピートはどうするんだ?」

「僕はちょっと気になる事があるからもう一度あのアジトを調べるよ。今回はやばそうだったら欲を出さずすぐ逃げるさ。
霧になっていない部分は石になるけど霧になっていたら霧化は解けてダメージを受けるけど石にはならないって分かったしね」

ピートが大丈夫だというなら大丈夫だろうと横島は一つ文珠を渡して「無理するなよ」と言った。

「じゃあその関西呪術協会ってとこに行くか」

「おう。俺はエヴァちゃんも向こうにいるらしいから召喚してもらえばいいけど雪之丞はどうするんだ?」

横島に言われ、雪之丞は考え込むと横島のマントを無言で指差した。

「アホか!男を運ぶなんていやだ!!」

「しゃあねえだろ俺だけ飛べねえんだから!!」

「まあまあ二人とも落ち着いて。横島さん抱えるのが嫌ならロープで吊り下げればいいじゃないですか」

なだめられて仕方がないとロープを雪之丞に巻き始める横島だが、いい事を思いついたとばかりに手を打った。

「そうだ!おまえ向こうに着いたらネギと仮契約しろ!そしたらおまえも召喚してもらえるぞ」

「ば、馬鹿いえ。なんで俺がネギとキスしなきゃなんねーんだ!!」

文句を言う雪之丞。
だが彼は知らない。自分の式神が3−Aの生徒に見られる中ネギと熱いキッスをかわしたことを・・・。

「ほら、二人とももういいだろう?早く向こうに行って体を休めておかないといざという時に満足に動けないよ」

なんとか早く行かせようとするピート。
だが彼も知らない。自分の式神が3−Aの生徒に見られる中ネギと熱いキッスをかわしたことを・・・。

本当に知らないという事は幸せな事である。


シネマ村での襲撃から逃れた刹那達はとりあえずネギ達と合流した。
だが、朝倉和美、綾瀬夕映、早乙女ハルナの三人に関西呪術協会へ向かう千本鳥居の場所でつかまってしまっていた。

「す、すみません・・・」

文句を言う明日菜に刹那はひどく落ち込んだ様子で謝る。
明日菜はどうしたのかと心配になるが刹那は答えない。

「ふん。いつもいつもふざけていて怒る事のないような男に引っ叩かれたのがよほどこたえたようでな」

エヴァンジェリンは刹那の様子をそう評した。

「え?それって横島さんのこと!?女の子に手を上げるなんて!!」

「神楽坂さん。私が悪いんです・・・」

元気なく刹那が言うのを聞くと明日菜はどう言っていいか分からず戸惑う。

「気にするな。あいつの事だ。今頃あいつも後悔しているだろう。さあ、それよりやつらが行ってしまうぞ」

「あー!ちょっとみんなー。そこは敵の本拠地なのよ!?」

「何が出てくるか・・・」

ハルナと夕映、のどかに木乃香まで関西呪術協会の入り口へと走っていく。
明日菜とネギが慌てて注意するが、次の瞬間目が点になった。

「「「「「「「「「「お帰りなさいませ木乃香お嬢様―ッ」」」」」」」」」

巫女服を着た女性達が皆を出迎えた。

「さ、桜咲さんこれって・・・」

「えーとつまりその、ここは関西呪術協会の総本山であると同時に木乃香お嬢様のご実家でもあるのです」

刹那に説明されて驚くネギと明日菜。
実家ではあるが、関西呪術協会の総本山であるここに木乃香を近づけると敵がさらに強行にでてくるのではないか?と思っていたらしいが木乃香の力が発現し、敵がシネマ村であそこまで大きく出てきたならば最早迷う必要などないと木乃香をここに連れてくる事にしたらしい。

巫女服を着た女性たちに促されて広い部屋へ通された一行は部屋の中央に座る。

「まもなく長がいらっしゃいます。お待ち下さい」

「あっ、はいどうも・・・」

女性に言われ、ネギは頭を下げる。
そして話をしていると部屋の前にある階段を一人の男性が降りてきた。

「お待たせしました。ようこそ明日菜君、木乃香のクラスメイトの皆さん。そして担任のネギ先生」

多少顔色の悪いやせた男は優しげに笑う。

「お父様久しぶりやー」

「はははこれこれ木乃香」

西の長、近衛詠春は抱きついてきた木乃香を抱きとめて笑う。

詠春を顔色が悪い、こんな屋敷に住んでいるわりには普通っぽいなどと皆が評するなか、明日菜の台詞は違った。

「渋くてステキかも・・・」

明日菜の趣味に皆が驚愕する。
だがとりあえずそれを置いておいてネギは役目を果たす事にした。

「あ、あの長さんこれを・・・。東の長、麻帆良学園学園長近衛近右衛門から西の長への親書です。お受け取り下さい」

「確かに承りましたネギ君。大変だったようですね」

「い、いえ・・・」

詠春は親書を開けて軽く目を通す。

「いいでしょう。東の長の意を汲み私達も東西の仲違いの解消に尽力するとお伝え下さい。任務ご苦労!!ネギ・スプリングフィールド君!!」

「は、はい!」

詠春に言われ、大変だった任務を無事終了できた事に喜ぶネギ。
そんなネギに生徒達が駆け寄る。

「今から山を降りると日が暮れてしまいます。君達は今日は泊まって行くといいでしょう。歓迎の宴をご用意いたしますよ」

「あっ、でも僕たち修学旅行中だから帰らないと・・・」

「それは大丈夫です。私が身代わりをたてておきましょう」

不安がるネギに詠春は答えた。
だがそれを聞いて明日菜が余計に不安になる。

「・・・身代わりって、男同士でキスし始めたりしませんよね?」

「は?」

「い、いえなんでもありません!!」

何を言っているんだ?というような眼差しを受けた明日菜は慌てて両手を振ってごまかした。
詠春はとりあえず明日菜の言った事は気にしない事にしたらしくもう一人の少女に微笑む。

「・・・エヴァンジェリン、あなたもゆっくりして行って下さい。久しぶりに学園都市から出たのでしょう?」

「まあな。厄介な呪いを残してくれているせいで不便なもんだ。ああ、ぼーや。詠春とは昔なじみだ」

不思議そうな顔をするネギにエヴァンジェリンは教えてやる。

「でもお義父さんから聞きましたよ。呪いが解ける目処がたったみたいじゃないですか」

「ああ。だが呪いを解けそうなやつが馬鹿で馬鹿で・・・。おかげで退屈はせずにすんでいるのが唯一得した事かな?」

強力な魔力を使ってメチャクチャにかけられた呪いを解ける力を持った者が現れた事を聞いていた詠春が言うとエヴァンジェリンが楽しげに笑って答える。
そして遠くから聞こえてくる声に気づき、エヴァンジェリンのこめかみが引くついた。

「うおおおおお!巫女さん、巫女さんやー!!聞いたとおり巫女さんだらけやー!!!」

「お、落ち着け横島!ああ、でも・・・でも!ママに似ている!!」

聞き覚えがある能天気な声が二種類。
時折女性の声も聞こえてくる。
聞き覚えのある声はこの部屋へ近づいてきて、そしてドアが開いた。

「ぬお!?ここにも巫女さんがいっぱい!!パラダイスか?
学園長のジジイがいっとった通りや。ここに住んでる西の長とかいう奴はよっぽどスケベに違いない!これは西の長を成敗して巫女さん達を助けねば!!」

スケベ扱いされた西の長の顔に冷や汗が流れる。

「黙らんかこの阿呆が!!」

エヴァンジェリンの飛び蹴りが興奮気味の横島の頭部を捕らえた。

「痛っ!何するんだエヴァちゃん。今日は色々あって疲れたから煩悩を溜めているだけなのに・・・。ほれ、巫女さんパワーで文珠が一つ増えた」

「貴様の煩悩が溜まりきるわけがなかろう。少し落ち着け。雪之丞も一緒になって騒いでどうする。こいつを止めるのがおまえとピートの仕事だろうが」

「んな仕事引き受けた覚えはねえ!それになんでてめえがこんなとこにいるんだよ」

「あ〜、どこかの馬鹿二人と連絡取れなくなってしまって行方不明だというからな〜。私がわざわざ行動をともにしてやったというわけだ。全く世話の焼ける」

「ぐっ・・・」

「そうそう雪之丞、石になった気持ちはどうだった?」

「ぬぐぐぐ・・・離せ、離せ横島!!このクソ幼女、ぶん殴ってやる!!」

散々挑発されて真っ赤になる雪之丞を横島が押さえつけた。

「落ち着け雪之丞。おまえが悪い。捕まるようなへまをしたのはおまえだ!
おかげで俺は似合わないシリアスをしたうえに強い奴とも戦わんといけんかった・・・ってだんだん腹立ってきたぞ!!」

密着状態から雪之丞を殴る横島。

「な、なにしやがるてめえ!」

「ふん。バトルに負けたバトルジャンキーなどに巫女さんと戯れる資格はないわ!!」

ぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる横島と雪之丞。

「・・・お父様、ここってなんでこんなに巫女さんばっかりなんかな〜」

「い、いや木乃香これは伝統で!決して私にこのような趣味があるわけでは・・・」

喧騒をよそに心温まる親子の会話が行われていた。


騒がしい一室。
料理もたくさん出され、酒まで振舞われている宴会で刹那は浮かない顔をしていた。
考える事が多すぎる。
木乃香の事、横島の事、そしてエヴァンジェリンに言われた事・・・。
自分の行動は軽率だったのだろうか?
それは本気で怒るところなど想像もつかないような横島を怒らせるほど・・・。

「刹那君」

「こ、これは長。私のようなものにお声を・・・」

考え事の途中に詠春に声をかけられ、慌てて片膝をついて頭を下げる刹那。

「はは・・・。そうかしこまらないで下さい。
・・・この二年間木乃香の護衛をありがとうございます。私の個人的な頼みに応えよく頑張ってくれましたね」

「ハッ・・いえ、お嬢様の護衛は元より私の望みなれば・・・もったいないお言葉です。しかしもうしわけありません。私は結局今日お嬢様に・・・」

「話は聞きました。木乃香が力を使ったそうですね」

「はい、重症のはずの私の傷を完全に治癒するほどのお力です」

「・・・それで刹那君が大事に至らなかったのならむしろ幸いでした。
木乃香の力の発現のきっかけは君とのパクティオーかな?ネギ君」

「おそらくは・・・」

詠春がネギの方を見て言うと刹那が答えた。
ネギは自分のせいで木乃香に隠されていた魔法の事が隠せなくなったのか?と慌てる。
パクティオーのための魔法陣を書いたカモはこそこそと逃げ出そうとしている。

「ははは、いいのですよネギ君。
木乃香には普通の女の子として生活してもらいたいと思い秘密にしてきましたが・・・いずれにせよこうなる日は来たのかもしれません。
刹那君、君の口からそれとなく木乃香に伝えてあげてもらえますか?」

少し寂しげに言う詠春にネギと刹那は少し戸惑った。

「さて、・・・横島君と伊達君ですね?」

詠春はよほど腹が減っているのか競うようにむしゃむしゃとごちそうを腹に収めている横島と雪之丞に声をかけた。

「ふぁい、ふぉふぇふぁふぉふぉふぃふぁふぁふぁふぉふぇふ(はい、おれがよこしまただおです)」

食べながら返事をする横島。
詠春が冷や汗を流したのを見てごくんと食べ物を飲み込んだ。

「横島っす」

「ああ。食事を気に入ってもらえたようでよかったよ。君達にもお世話になったようだね。本当にありがとう」

「いや〜、ネギ達が頑張ったからっすよ」

「そういえばもう一人ピート君という子がいると聞いたのだが」

「あいつなら気になる事があるって今ちょっと調査中だぜ。なんか見つけれたら連絡してくると思うが・・・。
あ、そうそう。とりあえず反対派が送った手紙っての預かってる。敵のアジトに調査に行った時にピートが見つけたんだ。あんたが喜ぶだろうって言ってたぜ」

そう言って雪之丞は数枚の封筒を詠春に渡した。
詠春はそれに軽く目を通して表情を険しくする。そして改めて頭を下げた。

「・・・素晴らしい成果だよ。ありがとう」

この手紙が動かぬ証拠になるかはわからない。知らぬ存ぜぬで通されるかもしれない。
だが相手の動きを封じる事にはなるし大きく権力を削る事ができる。
これだけ一般人に魔法がばれかねない行動をとった連中と連絡を取っていたのだ。手紙の主はただではすまない。

「礼なら俺にじゃなくピートの奴に言ってくれ。俺は戦う事が専門だからな。裏を考えて、あんたらのためにもなるように動いたのはピートだ。今もそれで動いているはずだ」

「まあピートは頭いいからなー」

「ふふっ、君達はいいチームなんだね。お義父さんが言っていた通りだよ」

ここにいない友人を心底信用している様子の雪之丞と横島を見て詠春は頬を緩めた。


「ふぃ〜っ。今日は色々あって汗かいたからサッパリする〜」

「ふふ。疲れもしっかり洗い流して下さい」

「まあ色々あったというのは同感だな。面倒な事が多かった」

明日菜と刹那、そしてエヴァンジェリンは屋敷の広い風呂に入っていた。
大きく伸びをする明日菜に刹那が苦笑し、エヴァンジェリンはようやく一息ついたとばかりにため息をつく。

「あれ・・・?木乃香のお父さんが関西呪術協会の長って事は・・えーとつまり木乃香は?」

「ああ、高い潜在能力を持った魔法使いという事だ。個人の魔力容量は限られている。ぼーやも木乃香もそれが生まれつき大きいのさ」

明日菜の疑問にエヴァンジェリンが答える。

「あ、それより聞いたわよ。シネマ村で木乃香の事身を挺して守ったんだってね。
なんか刹那さんってお姫様を守る騎士って感じだよねー。ただのボディーガードってゆー関係じゃないってゆーか」

「なっ、そそそ、そんな関係じゃありませんよ!」

慌てた刹那は逆に明日菜を追求する事にした。

「そーゆー神楽坂さんはどうなんですか?神楽坂さんがネギ先生にあんなに一生懸命協力するのはちょっとおかしいです!」

「な、ななな、何の話してんのよ!」

追求する刹那と反論する明日菜・・・。
それをエヴァンジェリンは呆れたように見ている。

「いーかげんにしろ。風呂くらいゆっくり入れ」

「む、そーゆうエヴァちゃんこそネギのお父さんの事好きだったんじゃないの?最近では横島さんと怪しいし・・・」

「は?わ、わわ・・私か!?そりゃナギは・・・それに横島は出来の悪い弟というか!!
ほら!出来の悪い子供ほど可愛いというかそんな感じで・・・って、何でこんな事言わないかんのだ!!
神楽坂明日菜!貴様こそあのぼーやと・・・なあ?
年下のガキ・・・。ふん、おまえもあの雪広あやかと同じショタコンという事なのだろう!?」

冷めた目でこっちを見ているエヴァンジェリンを明日菜がからかってみると返ってきたのは真っ赤な顔での意外なほど焦ったような反応。
しかし逆に切り返され、ショタコンとまで言われて正気を失った明日菜はエヴァンジェリンと無様な舌戦にもつれこんだ。

「横島さん・・・ですか」

刹那は横島に頬を叩かれた事を思い出して頬を抑えるとほうっとため息をついた。
それを見て明日菜はハッとする。
明日菜は一昨日の夜横島と刹那が抱き合っていたところを見ていたのだから・・・。

「そ、その・・・元気出して桜咲さん!横島さんにもなにか理由があったのよ」

「・・・神楽坂さん」

「私の事は明日菜でいいわ。言いにくいでしょ?私の名字」

「あ・・そうですね。じゃあ私も刹那で・・・」

「・・・何を照れているんだおまえらは」

照れたように会話する明日菜と刹那にエヴァンジェリンは再び呆れたような声を出した。

「しっかし疲れたよなー」

「おう、俺はずっと石だったせいか体が痛いぜ」

その時、風呂の脱衣所から男二人の声が聞こえて来た。
声の主は横島と雪之丞。
明日菜達三人は慌てて岩の陰に身を隠す。

「あ〜、いい湯やな〜」

「そーだなー」

かけ湯をして風呂につかる男二人。
そして雪之丞が口を開く。

「そういやどうした?宴会の時とか刹那って嬢ちゃんと目を合わせなかったじゃねえか。目が合いそうになったら顔をそらしてたし。
向こうは気にしてたみたいだぞ。もしかして、どさくさに紛れて襲ったのか?」

自分の名が出たために刹那は耳を傾ける。

「違うわい!・・・話しただろ?シネマ村でさ、躊躇なく刹那ちゃんが木乃香ちゃんの盾になったんだ。その時思い出したんだよ」

「・・・ルシオラか?」

「ああ。東京タワーで、俺はあいつの盾になって死んじまうほどの大怪我をした。
実は世界とルシオラ、どっちを取るかの選択をした時よりよっぽどあの時の事の方が後悔は大きいんだ。
ルシオラは俺を助けるために、俺のために一人で戦いに行った。
俺はルシオラを死なせたくなくて、あいつを守りたくてあの一撃の前に飛び出した。
でもどっちも間違いだったんだよ。
ルシオラが俺をもっと理解していたら一人で戦いに行っても俺が後を追うって分かったはずだ。
俺がルシオラをもっと理解していたら俺がルシオラを助けて死にそうになったらルシオラが自分の命を賭けてでも俺を助けようとするって分かったはずだ。
まあお互い考える時間なんかなかったけどな。すれ違い・・・ってやつだよなあ」

「横島・・・」

横島の告白を聞き、刹那はハッとする。シネマ村でなぜ横島が怒ったのか気づいたのだ。
過去の自分に重ね合わせ、もしかしたら取り返しのつかない事態に陥ったかも知れないと怒ったのだろう。

「エヴァちゃん、あの話って・・・」

「・・・事実だ」

隠れていたため重要らしい話を聞いてしまい、気まずそうな明日菜にエヴァンジェリンは簡潔に答えた。
そんな三人を置いて横島と雪之丞の会話は続く。

「それで刹那ちゃんを思わず叩いちゃったんだ。あの時の俺とちょっとダブってさ。
く〜、将来有望な美少女を叩くなんてなんて事を・・・」

「能天気なてめえが思わずそうしちまうくらい怒っちまったんだろ?悪いと思ってるなら謝りゃいい」

「・・・そうだな」

「しかし吹っ切ったって言ってもおまえの中じゃまだルシオラはでけえんだな」

「ああ。ほんといい女だったからな〜。
死なずにすむならうんこ食べてもいいっていうくらいの俺が命賭けられるんだぜ?」

横島の言葉と、何かを思い出すような穏やかな微笑み。隠れている刹那は胸が痛むのを感じた。
先程自分の事を将来有望な美少女と言われた時ドキッとしたが、今はチクチクと胸の奥が痛い・・・。

「へっ、そのいい女に惚れられて、その女のためにあんな化けもん倒しちまえるんだからな。おまえも十分いい男なんだよ。さすが俺のライバルだぜ!」

おどけたように言う横島に雪之丞は笑顔で答えた。

あれだけの事があって、それでも出会えてよかったと言って引きずることなく前に進む横島の強さ。
それを雪之丞は心底認めているのだ。

そんな二人に脱衣所から二人の男の声が聞こえて来た。
西の長、近衛詠春とネギだ。

「木乃香をよろしくお願いしますよネギ先生」

「はい、分かりました。・・・って、あれ?雪之丞さんに横島さん」

「よう、先に入ってるぜ」

「いやー、いい風呂っすねえ。これで巫女さんが一緒に入ってくれればいう事なしっすよ」

「・・・おお、ご立派なものをお持ちですね横島君」

「・・・僕の友達のおこじょ妖精のカモ君はアナコンダって言っていましたよ。僕も大きい漢にならないといけないそうです」

「ふっ、明日菜ちゃんにちょん切られかけて、刹那ちゃんに握りつぶされかけたが俺の相棒はその程度で縮こまるようなやわな奴じゃねーのさ。
ネギ、男は大きくなくちゃ彼女と海に行った時に他の男と比べられて白い目で見られるぞ〜?」

「俺の事か!?俺の事を言っているのか!!」

驚愕に目を見開いた詠春、カモになにを吹き込まれたのか手を合わせてアナコンダ様に向けて一礼したネギの二人も湯につかる。
横島が誇らしげに胸を張り、何かトラウマがあるらしい雪之丞が『ちくしょう!男は大きさじゃねえんだかおり!!』と叫んでいる。

「二人増えたー!!って、まだ根にもってるの!?あのときの事・・・」

「お、落ち着いて下さい明日菜さん。っていうか握りつぶすって・・・そんな事を長に言わなくても・・・」

「貴様、アレを握りつぶそうとしたのか!?なんて奴だ・・・。よく握れたなあんなもん」

「そ、それは仕事モードに入っていたから!!」

「仕事なら握るのね?ちょっとひどい気が・・・」

「仕事だからって積極的に握りつぶしにいこうなんて思いません!それに明日菜さんだってちょん切ろうとしたってどういう事ですか!?」

「いや、それは私のハリセンがなぜかチョンギリマルにパワーアップして・・・」

岩の陰では三人が焦っていた。・・・少しずつ話はそれていったが。

それに気づくことのない男四人は話を続ける。
明日の昼には各地から腕利きの部下が戻るので天ヶ崎千草達を捕らえられるだろうということ、木乃香には凄まじい魔力を操る力が眠っているという事・・・。

「ですから木乃香を守るために安全な麻帆良学園に住まわせ木乃香自身にもそれを秘密にしてきたのですが・・・」

「自分の力の使い道を決めるのは自分だぜ。それに、分かっている事ならどっちにしろその潜在能力ってのも狙われるもんだろ」

「はは、雪之丞君の言う通りだよ」

「あ、あれ?ところでサウザンドマスターのことをご存知なんですか?」

ネギは先程の会話の中にサウザンドマスターの事が出てきたのでたずねる。
その返答は予想以上のものだった。

「君のお父さんの事ですか?フフ、よく存じてますよ。なにしろ私はあのバカ・・・ナギ・スプリングフィールドとは腐れ縁の友人でしたからね」

「え・・・」

思いもよらぬ詠春の言葉にネギは呆然とする。
だがその時は長く続かなかった。

「ですからあのシネマ村の一件はどう見ても不可思議なのです!」

「だからもー、CGだってばCG」

「私を木乃香さんと一緒にしないで下さい」

脱衣所から聞こえてくる声。
男達は慌てだす。

「おやおやご婦人方が・・これはいけませんね!緊急事態です。裏口から脱出しますよ」

「え・・あっ、長さん!?」

「やばいぞ!さすがに裸を見たら相棒も反応してしまう!!とびかかったらどうするんや。わいはまだロリコンにはなりたくない!!」

「・・・反応はするんだな?っていうかとびかからない自信もないのかよ」

四人が焦って走る。
その四人が向かっている方向にいる三人も焦っていた。

「ど、どーするのよ!」

「そ、それは身を隠して・・・」

「どこにだ馬鹿!!」

そうこうしているうちに男四人のうちのネギが足を滑らせて女三人がいる場所に突っ込んでしまった。
そして横島達が見たのは桃源郷。
絡み合う全裸の明日菜、刹那、エヴァンジェリンの三人・・・。
その横に転がっているネギの姿は横島の都合のいい視神経はとらえていないが他の三人のあられもない姿はしっかりととらえている。

横島は鼻、目、耳からぶしーっと血を噴出した。

「「「「「キャー!(うわー!!)」」」」」

顔面から大量出血をした横島の壮絶な死に様に皆が叫ぶ。

「明日菜ちゃんを交えてさん○ーとは・・・」

力なくつぶやきばしゃりと湯船に倒れる横島。
その後風呂に入ってきた木乃香達の叫び声が風呂に響いた。


「うう・・・百合・・よくない。不毛や・・・っていうか実は明日菜ちゃんは不毛やった・・・。って、あれ?」

「・・・どんな寝言ですか」

布団に寝かされていた横島は苦しげに唸ると目を開いた。
広い和室、自分にかけられている布団。
そして布団の脇に座って呆れた顔をしている刹那・・・。

「お、おお。刹那ちゃん。・・・百合はよくないぜ」

「だから百合じゃありません!・・・全く」

上体を起こした横島に顔を赤くして突っ込む。
話したい事があるので雪之丞たちに席をはずしてもらったのにこのままでは話も出来ないと刹那は息を整え、まずは一言言うべく口を開く。

「すみませんでした」「ごめん!」

座ったまま深く頭を下げる刹那。
だが同時に横島も頭を下げていた。

「あ、あの・・・なんで横島さんが謝るんですか?」

「あ〜、シネマ村の時の事だ。あの時ちょっと昔の事思い出して気が立っちゃってさ。女の子叩くなんてどうかしてた。ごめんな」

再び横島は頭を下げる。
刹那は昔の事と聞き、横島が前に言っていた事と先程の風呂での会話を思い出す。

「ルシオラさん、ですか?あ、すみません。さっきお風呂で雪之丞さんと話している事を聞いて・・・」

「謝らなくていいぞ。自分の中じゃ吹っ切ったつもりだし」

「あの、一昨日に前の彼女は人間じゃなかったって言ってましたけど」

「ああ。ルシオラは魔族だった。しかも最初は敵だったんだけど・・・お互い好きになったわけだ。それであいつは敵を裏切って俺達の味方になった。
風呂で聞いていたんなら知ってると思うけど、あいつ俺を助けようとして俺を置いてメチャクチャ強い奴に向かって行ったんだ。
それで俺も放っておけないし助けに行って、ほんとにやばい状態だったから相手の必殺の一撃の前に飛び出した。
なんとかその隙に敵を倒せたみたいだけど俺はその攻撃で死にかけて、あいつは俺を助けるために自分を構成している力を俺に注ぎ込んで俺の魂の崩壊を食い止めたんだ」

横島の告白を聞いて刹那は心配そうな顔で横島を見た。
そんな刹那に気づき横島は苦笑した。

「そんな顔するなって。あいつは今でも俺と一緒にいる。『アデアット』」

唱えるとプロテクターとマント、そして白いバイザーを横島は着用した。

「ほら、俺のアーティファクト。名前は『トモニアルカノジョ』。反則的だぜ。あいつの力が宿ってるんだ。
空も飛べるし、あいつの力のおかげかアーティファクト自体が魔力を帯びているんで防御力も攻撃力も上がる。それにこのカード」

横島は刹那に仮契約カードを見せる。
そこには現在の格好をしている横島、そしてその横島に後ろから抱きつくようにして笑顔を浮かべている女性がいた。
白いバイザーをつけた黒髪の優しげな、儚げな笑顔の女性。

「この人が・・・」

「ああ、ルシオラだ。アーティファクト出すと仮契約カードに出てくるんだ。死んじまってもまだ俺を守ってくれてるんだぜ。俺には勿体無いくらいいい女だよ」

そう言った横島は嬉しげで、誇らしげだ。
その様子を見て刹那は人ではないのにこれほどまでに愛されている女性をうらやましく思った。
自分のこれからの人生で、これだけ誰かに愛される事があるだろうか・・・?
考えて刹那は横島をジッと見る。すると横島はゆっくりと口を開いた。

「俺さあ、あいつと会えてよかったと思ってる。楽しかった時間もあったし、一緒に街を歩いた事もあった。あいつの大好きな夕焼けも一緒に見た・・・。あいつがいなくなって、その思い出がなかったら絶対にもっと後悔していたよ。
刹那ちゃんはどうだ?一歩踏み込んでみろよ。木乃香ちゃんは大丈夫。あの子は人間の刹那ちゃんが好きなんじゃなくって全部ひっくるめて桜咲刹那って女の子が大好きなんだと思うぞ」

刹那は膝の上でギュッと拳を握った。

「・・・お嬢様に、話してみます。私もお嬢様とたくさん思い出・・・作りたいですから」

「おう、それがいいぞ」

笑顔で言う刹那に横島も笑顔を返した。
そして横島がピクリと身を震わせ、険しい顔になる。

「ど、どうしたんですか?」

「いや・・・何か霊感に・・・」

何か引っかかるものを感じ、横島は立ち上がる。そして部屋のふすまが開かれた。

「横島!いるか!!」

「横島さん、緊急事態です」

部屋に入って来たのはエヴァンジェリンと茶々丸。
その様子に横島と刹那はただ事ではないと悟る。

「どうした!?」

「感じただろう?大きな魔力だ。3−Aの連中は石化されていたぞ。くっ、総本山に襲撃してくるとはな・・・。詠春もなめられたものだ。
それともここまでの事をしてそれでも気にならないほどの何かがあるのか?」

「親書はすでに長に渡っています!狙われるのはお嬢様・・・」

刹那は走り出し、その後を横島とエヴァンジェリン、茶々丸も追いかけた。


着物を着た明日菜と木乃香は浴場に来ていた。
廊下で見た石化した巫女達、先程ネギからの連絡で聞いた敵が来ているという言葉。
それがいやでも明日菜と木乃香に緊張を強いる。

その明日菜達の背後でお湯から湧き出て来る少年がいた。
少年はゆっくりと明日菜達に手をかけようとして、明日菜のハリセンによる鋭い一撃をくらう。

気配を読み、瞬時に反転。そしてハリセンを振りぬく。
その明日菜の一連の動きに少年は対応しきれず顔面をたたかれた。

「すごい、訓練された戦士のような反応だ。
でもお姫様を守るには役者不足かな?君も眠ってもらうよ」

少年はつぶやくとなんらかの呪文を唱える。
そして煙が明日菜を覆い、明日菜がだんだん石になる・・・だが、石になったのは着物だけ。
石になった着物が砕け、裸になった明日菜は羞恥から体を隠してしゃがみ込んだ。

「やあん。何よこれー!!」

それを見て驚く少年。その少年の指示を受けていた鬼の式神が木乃香を捕らえようと木乃香の背後に降り立つ。
そして木乃香を抱きかかえた。

「じゃあお姫様はもらっていくね」

「ま、待ちなさい!!木乃香は渡さないわよ!!」

明日菜が叫ぶが少年は鬼の式神に命じて木乃香を連れて行かせる。

「邪魔されないように動けなくさせてもらうよ」

少年は再び何事か唱え始め、パチンッと指を鳴らした。
少年の背後の湯が腕の形をして盛り上がり、何本もの腕が出来る・・・。
その様子に明日菜はハリセンを身構えた。

「嬢ちゃん、敵が呪文唱えるのを黙って見ていたらいけねーぜ」

お湯の腕が動く前に聞こえて来た声。
そして同時に少年と、お湯で出来た腕に向けて何発もの光の弾が打ち込まれた。
少年はその場から飛びのき、お湯で出来た腕は光の弾をくらって破壊される。

それを呆然と見ていた明日菜の体にパサリと大きめの服の上着がかけられた。

「君は、石化したはずじゃ・・・」

光の弾をなんとか回避した少年が目を見開く。

「頭使うより体使う方が得意なんだろ?ならもっと攻めねえとな」

甲冑のようなものに身を包み、顔を黒いマスクで隠している男は悪戯っぽく明日菜に言った。

「・・・雪之丞さん」

自分のピンチに現れた男の名を明日菜は呼んだ。

「おいクソガキ。リターンマッチだ。
嬢ちゃん、見てろよ。頭使うより体使う方が得意なタイプがどうやって戦えばいいか教えてやるぜ。あのガキとの実戦でな」

そう言って雪之丞は目の前の少年をにらみつける。
言葉の軽さとは裏腹に雪之丞の目、そして構えには油断はない。
明日菜を前に身構える事のなかった少年も何かの構えを取り、雪之丞を見返す。感情の読めない表情の中にほんのわずかだが警戒の色が見えた。

そんな少年の様子を見て好戦的な笑みを浮かべた雪之丞は口を開く。

「・・・行くぜ。本気出せよ?じゃないと借りが返せねえからな!!」

叫びつつ雪之丞は少年との距離を詰めるべく地面を蹴った。


あとがき

復活した宮本です。
見てみれば楽しみにしていたSS二つの続きが投稿されていない・・・ショックです(涙

久しぶりにギャグも出せて一安心・・・ですが中途半端だししかもこれからシリアスなファイナルラウンド!?という事でまたギャグから遠ざかるのかとため息です。

アーティファクトのネタばらし(少し)
そして刹那フラグ進行+雪之丞の明日菜フラグ樹立?(笑

文珠を少し使いすぎとのご指摘がありました。
・・・その通りだと思います(汗)
修学旅行編を進めるにあたり少し使わざるを得ないシーンが多くなりすぎたのです。
初SSなので構成や設定、文章力などに至らぬところが多いと思いますのでこれからもご指摘いただけると幸いです。

次回はファイナルバトルに突入・・・の前にあの漢の見せ場、『帰ってきたダテ・ザ・ヒーロー【激闘編】』をお楽しみ下さい(笑


レス返しです!
皆さん感想ありがとうございます

>アイクさん
横島にシリアスさせると格好良くなりますよね。
色々とそうつながる部分がありますし、やはり主人公はたまには格好良く(笑
横島完全暴走はなかなかないでしょうが、そうなったら雪之丞とがち勝負ですかね。

ルシオラの事を体験した横島なら色々な事を考えただろうという妄想ですが、やはり精神的には成長すると思います。

>吹風さん
面白かったと言っていただければ幸いです。
全体的に漂っているシリアスがシリアスや戦闘シーンが苦手な自分としてはまずい!!と思っていたのです(笑
薔薇、そして百合フィーバーを早めに収めて次のまともな段階に行かせたいですw

横島は実年齢より基本的に見た目重視ですね。
修学旅行でもしずな先生やバスガイドさんがいなかったら見た目OKな中学生を狙っていたかも!!(笑

>七つ目玉さん
ダ○スベイダーのコスプレはライ○セーバーっぽくみせた霊波刀を振るわせるための前振りでした。
・・・不発だったのが残念で(涙

緊張と緩和は大事ですね。
緩めすぎで緊張感が無くても、緊張しっぱなしでもやはり飽きてしまうものですからそのへんのバランスを考えつつ書き進めて行きたいです。

>23さん
横島がいるのにシリアスなのは横島自身自覚しているのでご勘弁を・・・(汗

エヴァンジェリン編で三人組を麻帆良に定着+ネギ達と知り合わせる
             ↓
修学旅行編で3−Aクラスメイト達に認識させる+フラグ作成
             ↓
ヘルマン編、学園祭編で本格的ラブコメ要素発動!!

という長編が続くかどうか分からないのに自分的長期展望のストーリー構成を考えていたのです(笑
だから今まで薔薇、百合が多かったという(涙
これからのラブコメ要素にご期待下さい。

>九頭竜さん
スーパーモード横島!!・・・今回激しく後悔、そして雪之丞に八つ当たりです。
シリアスが多い中にももっと笑えるシーンを入れて行きたいと思います。
総本山訪問はこんな感じで、そして最終決戦突入は雪之丞のリベンジバトルをもって開始いたしました。
そろそろ修学旅行編も終了に・・・ストックが!ストックが〜(涙

>遊鬼さん
怒ってばかりだった横島君。結構怒った時は原作でも強くなってた気がします。
刹那の身を挺して守るというのに横島は怒ってしまい、そして激しく後悔しました。
今回回収された感のある刹那フラグはまだ回収されきっていません。
彼女もまだ自分の気持ちに気づいていない状態ですし大変な時なのでゆっくりと、ゆっくりと・・・です。

>銭形刑事さん
アナコンダのごとくですか?(笑
復活したユッキー、ピート。そして捕虜の小太郎はこんな感じになりました。
刹那、横島はありきたりですが風呂を利用して仲直り?です。

>HOUMEIさん
ダースベイダーのコスだと思われてたらあのアーティファクト使えますからね。
麻帆良武闘会で激しく有利です。ジェダイと認識されたら・・・うう、その後の展開が読めない(汗
麻酔は完全にルシオラとかけています。
一週間後の復帰投稿です。お納め下さいw

>藤堂尚也さん
初めまして、感想ありがとうございます。
今回のほどほどにシリアスで格好いい横島は原作とは少し違いますが、私もそんな横島が大好きです。
ありがとうございます。これからも頑張ります。

>powerLさん
横島と付き合うのはアブノーマルというのが定着してしまったらもう横島は泣くしかないですね(汗
横島の事を少し知った刹那が今までの興味、好感、尊敬という気持ちを少しパワーアップさせました。
しかしまだ自覚なしなので、今後にご期待下さい。

伊達ピー×ネギの疑惑は・・・いつかしっかりとネタに・・じゃない、いつかはらさないといけないです(汗
哀れですしね

>ヴァイゼさん
ハルナのペン速はもはや神速ですね(汗

全編シリアス横島は初なのでそう言っていただけると一安心です。

護るっていうのは悪い事じゃないですからね。ですが横島自身の経験もあり、目の前で見て我慢できなくなったという感じです。
横島の想いの一角に気づいた刹那は横島のツンデレ攻撃の毒牙に!!(マテ

>念仏さん
横島の戦闘方針はより効率的に、いかに相手の不意をついて自分のペースでといった感じだと思っています。
考えてみると横島の能力をしらない者からしてみればかなりやり辛い相手ですよね横島は。

ハルナが販売に踏み切ったらネギ、雪之丞、ピートはもはや表を歩けません(涙

文珠の件は・・・私の未熟さです。
ストーリーの構成上大量に使わざるを得ない事に。
これからもご指摘お願いします。

今回はコメディあり・・・だったんですがすぐシリアス突入。
しっかりメリハリを大事に話を進めていきたいです。

>眠生さん
感情的になった横島が説教するのはイメージじゃないですよね。
ということでエヴァ師匠にご足労いただきました。彼女なら説教もいける!!という感じです。

おお!ハイクオリティといわれたのはおそらく初めてです。ありがとうございます。
一週間経過しての再開?です。

>Nikesさん
シリアスな後半、一応横島はフェイトとの戦闘の時にマスクだけは脱ぎ捨てています。
・・・ですが下はダースベイ○ーっぽい・・・しまらないですね(汗

>meoさん
五月人形発売ですか!?・・・いや、それでも浮きまくりのような。むしろ逆に浮くような(笑

ユッキー達はいつか別の意味で石化する時が来そうで哀れです(涙

>冬8さん
横島が薔薇っていうのはイメージしづらいですよね。これも日ごろの行い・・・(笑
早く薔薇臭じゃなくラブ臭溢れる話を書きたいです。
横島のギャグの反動がまともにでたら人格変わっちゃいますね(汗
そして刹那風船少しずつ発射へ。
飛び立つ時までもう少しお待ち下さい。

>鋼鉄の騎士さん
麻酔は、蛍でした。
いつかもう少し詳しい説明もはいると思われます。
刹那には横島がいい影響を、小太郎には雪之丞が、明日菜にも雪之丞が!?って、やばい!雪之丞の重要度が上がってきています(汗

そうです!エヴァちゃんにはやはりツンが欲しいです!!

>DOMさん
普通にやれば結構強い横島。
美神さんにも勝っていますし、未来の横島はあれですからね〜。
刹那最終フラグです。・・・長かった

様々な思いを胸に、刹那は飛び立ちます!・・・いや、ほんと翼をだしてw

横島をおとしにかかるのは誰でしょうか?それは実は意外な人物なのです!!
気にする事はないのだ!と横島を誘導する悪魔が・・・(笑
続編(まだ先ですが)にご期待を。

>黒帽子さん
うう、JOJOネタで返したい・・・よし!
スタンドも月まで吹っ飛ぶ風呂場での衝撃・・・
目にした『不毛の地』を言葉ではなく心で理解できた!!
・・・明日菜が聞いていたらちょん切られそうな横島の寝言を元にしてみました。

>yujuさん
エヴァちゃんはかっこよく、可愛く、そして威厳たっぷりに書きたいです。
横島の気持ちに関してはこんな感じで。
真面目横島は復活した雪之丞を攻撃w
たまにはまあ真面目な彼でも、といった感じですが早く修学旅行編を終了させて不真面目な彼についての話を更新させたいかな?という欲求もあります。

>ジェミナスさん
前回の横島君はちょっぴりまじです。それに仲間の女の子がやられたのを見たら怒るだろうという感じで怒らせました。
横島の怒りの根っこの部分を聞いた刹那は色々思うところがあるようで・・・刹那の最終フラグ、フラグ回収までもう少しです。
エヴァちゃんフラグのシーンはもっと書きたいんですけど、エヴァちゃん中心の話がなかなか・・・(涙

>kouさん
百合と薔薇が進行中のこの世界、いずれまともなラブコメを(笑
そして本屋ちゃんのパワーでネギにもまともな恋愛を!そうしないと彼の行く末は・・・(涙

横島と刹那の件はこんな感じになりました。
初心な刹那は気づかないうちに恋に恋するお年頃・・・。
羨望というのがやはり大きいんじゃないかと。そしてそれを切っ掛けに(笑

そう、横島は身体OKなら年齢は特に気にしないはず・・・。刹那はどうなんだろ?ちょっとアウトっぽいですよね。
シロの場合は子供だった時を知っているのと、性格が・・・。でもやはりフェンリルの時のシロはど真ん中ストライクだったようですね。
エヴァちゃんもやはりアウトか・・・(涙

>MAS-NMRさん
魔力の使用はアーティファクトの影響というのがあります。
それプラスエヴァちゃんとの仮契約、そしてエヴァちゃんの別荘での修行で・・・。
現在気についてもトレーニング中です。エヴァちゃんの地獄のトレーニングで(笑

>旅芸人さん
横島にはもっといい味を出させたいです。・・・が!やはりピートの出番が少ない。
これからピートの活躍もあるので楽しみにしていて下さい。
彼の見せ場については無駄に長期的スパンで考えております(汗

ハイスピード更新だけが取り得の私が一週間更新無しでした(涙
無理しないように、ちゃんとストックをためて頑張ろうと思います。ありがとうございます!

>hiroさん
はじめまして、常々皆さんの感想を楽しみにしている宮本です(笑
感想ありがとうございます。
最終決戦は原作とは違い危機感を持っている千草達VS横島たちで盛り上げたいのですが・・・己のオリジナリティと妄想力の無さが足を引っ張りました(涙
コタの立場はこんな感じで雪之丞達から離脱です。彼の心情も今後に少し書いてある・・・気がします。

最高かどうか微妙ですが戦いの最後は盛り上げようと思っております。
hiroさんにこれからも最高のギャグをお届けしたいです(笑

>スケベビッチ・オンナスキーさん
明日菜の横島尊敬ポイントは・・・不毛の大地を見られた事を知ったら一気にダウンですw
いつも馬鹿をやっている横島がたまにやるシリアスが彼の魅力ですね。
原作でもアシュの時やおキヌちゃんの時、それに文珠GETの時とか・・・

横島は拷問しても死なないっぽいですから死んだら偽者ですね確かに(笑

アーティファクトはこれからも大活躍です。もしかしたら幻術も・・・?

ロクロ首になったスケさんが再びロクロ首になるまえに次回作を投稿したいですw

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