インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「幻想砕きの剣 13-8(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2007-03-07 18:31)
BACK< >NEXT

 ユカが物凄い陵辱を受けた感じで眠っている頃。
 天幕の中から、モゾモゾ這い出してくる人影が一人。
 割と長身、ナイスなボディで緑色の髪…カエデである。
 カエデは大きく伸びをすると、誰から習ったのかラヂオ体操を始めた。

 早寝早起きにはとても縁が無さそうに見える彼女だが、実を言うと救世主クラスでは一番寝覚めがいい。
 元々の世界では日の出と共に目を覚まし、日の入りと共に眠るという、アンタ本当に忍者かと問い詰めたくなるような生活を送っていた。
 まぁ、いくら忍者と言えども、日常生活まで昼夜逆転しているのではないのだろう。

 体操を一通り終えた彼女は、隣の天幕に目をやった。


「…いくら師匠でも、そろそろエロい事は終わったでござるかな?
 一応仕掛けた幻影石は回収しておくべきでござるか…」


 ちゃんと作動していれば、ユカの初体験シーンが記録されている筈。
 あのウブなユカがどんな初体験を迎えたのか、非常に興味がある。
 記録をユカ本人に見せたら、非常に喜ばれるだろう。
 誰がどう喜ぶのかは、この際明記しないが。
 …ウブがどうとか、そんな次元ですらない初体験が展開されていたとは、思いもしないカエデだった。


「しかしまぁ、それは置いておいて…。
 未亜殿と、ユカ殿のクローンは何処へ…?」


 昨晩はミュリエルに後頭部をド突かれて気絶し、そのまま睡眠。
 その時には、まだユカ2は眠ったままだった。
 多分、カエデ達が眠っている間に起き出して何処かに行ったのだろう。
 いかに気絶していたとは言え、近くでモゾモゾ動かれて気付けなかったのは、カエデにとっては少々屈辱だ。
 未亜が居ないという事は、彼女はユカ2の動きに気付いたという事だろう。
 その辺が特にプライドを刺激する。

 特に騒ぎになっている気配はしないから、ユカ2が暴れだしたとか、そういう事はないだろう。
 何の気なしに周囲を見回す。


「…おろろ?
 未亜殿…に、クローン殿?」


 天幕から少し離れた所で、寝袋に入って寝息を立てている未亜と、東を向いて『I am a King of the World!』な格好をしているユカ2が目に入った。
 こりゃ一体どういう状況かと首を傾げながら、気配を殺してこっそり近づく。
 察するに、目を覚ましたユカ2が眠っている未亜を連れ出したか、ユカ2が目を覚まして動いているのに気付いた未亜が監視していたのだろう。
 …後者にしては、何で未亜が寝袋で眠っているのか解らない。
 前者にしては、未亜を連れ出す理由が解らない。

 とにもかくにも、未亜をユカ2から離そうと、忍び足で接近する。
 ユカ2はピクリとも動かない。
 ひょっとして気付いていて放置されているのかと思うが、接近続行。

 2メートルまで接近した時、カエデの聴覚がある音を拾った。


「…まさか…」


「…すぴー……すぴー……すぴー…」


 半眼になって、ユカ2の前に回る。
 鼻提灯が膨れていた。
 無言でそれを眺めるカエデ。
 こんな見事な鼻提灯を膨らまされたら、破裂させてみたくなるのが人情ってものである。


「く…し、しかしヘタにつついて刺激するのは良くない気がするでござる…」


 とりあえず、ユカ2が敵か味方かリタイアかも解っていないのだ。
 経緯はともかく、未亜がこうして暢気に寝ている事から、敵ではないっぽいかなー、とは思うのだが。


「……でも、てい!」


 衝動に負けて鼻提灯を破裂させるカエデだった。
 念の為に書いておくが、近くに転がっていた木の枝を使いました。


「…ふにゃ?」


「お、起きたでござるな?
 やるか?
 やるでござるか!?」


 寝ぼけ眼のユカ2と、初っ端から喧嘩腰のカエデ。
 ユカ2はカエデを見ると…。


「ぐぅ…」


「…また寝たでござる…」


 立ったまま眠ってしまった。
 キングオブザワールドの格好のままで。

 何なんだコイツは、とカエデは頭を抱え、なかった。


「…このマイペースさは、味方の証でござるな!」

 それが根拠か。
 独特の理論で、カエデは勝手に納得してしまったようだ。
 “破滅”の将だって、結構マイペースだと思うのだが。


 それはともかく、カエデは相変わらず眠りこけている未亜を揺する。
 彼女なら何か知っているかもしれない。


「未亜殿、未亜殿、起きるでござる。
 もう朝日は昇っているでござるよ」


「Zzz…Zzz…Zzz」


「ベタな寝息でござるなぁ…」

「ZzzzzZZZzzzzzZZzzzzzzzzZZZZZZ

「…だからって、何も寝息のリズムを変えんでも…」


 カエデの世界にはアルファベットの寝息なんて無かった筈だが…それでも『ベタ』を理解するとは…。

 ちょっとばかり激しく揺すってみるカエデだが、未亜の眠りは相当深いらしく、全然起きない。
 むしろ寒さを感じたのか、蓑虫よろしく寝袋に潜り込んでしまった。


「…もう最終兵器使うでござるかな…」


 早いなオイ!?
 ブチブチ言いながら、カエデは未亜を何処からともなく取り出したロープで縛り付ける。
 寝袋の上から縛っているが、捕縛の術は割と得意だ。
 カエデは故郷の里では、人を殺せない(愉快な)ミソッカス扱いされていたが、腕が悪い訳ではない。
 むしろ殺さない術にかけては、里でも上位に入る腕前だった。
 そんなカエデだから、寝袋の上からでも未亜を動けないように縛るなんて朝飯前だ。
 …それが通じるかどうかは別として。

 念の為に猿轡もして、騒げないようにする。
 そしてお約束の一言。


「未亜殿〜、師匠とユカ殿の濡れ場を記録した幻影石がここにあるでござるよ〜」


「どこどこどこどこ!?」


 …やっぱりと言うか予想通りと言うか、一瞬の内に縄抜けして猿轡まで噛み千切り、某了承よりも早く未亜は完全覚醒してしまった。
 未亜の性癖云々の為ではない。
 同じ事を言われたら、たぶん殆どの人が目を覚ます。


「ねぇカエデさん何処!?」

「あ、後で取りに行くでござるから、騒がないでほしいでござる!
 それよりも、彼女は…」

「へ?」


 カエデの襟首を掴んでガックンガックン揺さぶっていた未亜は、カエデの指差す先を見る。
 キング以下略なユカ2。
 さしもの未亜も、何をしているのかと首を捻る。

 しかし、昨晩の会話を一から思い出すと何となく理解できた。


「…あ、そっか。
 風を感じてるんだ」

「風?」

「うん。
 あと、ソーラーエネルギーを取り込んでるんじゃないかな」

「そりゃまた、エコロジストでござるな」


 そういう問題か。
 それはともかく。


「ところで、未亜殿は何故このような所で眠っていたのでござる?」


「ん…まぁ、この子のお付き合い、かな。
 大丈夫だよ。
 一応敵じゃないから」


「…そうでござるか?
 いかに北の方がそう言っても…事実敵だったでござるし…」


 未亜にそう言われても、流石に信用できない。
 疑われている未亜も、さしたる確信があって言っているのではない。
 大丈夫だと思っているのも、単に昨晩の会話から受けた印象でしかない。
 無論、その印象が間違っている事も充分在りえる。


「いきなり暴れだすような事は無いから、安心していいよ…。
 もし何かあるようなら、その時は…」

「…未亜殿が手を下す、と?」

「一応身元引受人ですから」

「何時の間に!?」


 むしろ身元引受人はユカでは?
 …でもそれだとビジュアル的にややこしいしな…。


「はーいはいはい、起きて起きて。
 何時までも寝てるんじゃないの。
 おねーさんに会いに行こうよ」


 未亜はユカ2を揺さぶり起こそうとしている。
 カエデは万が一の事を考え、ユカ2に対して警戒しておく事に決めた。


「それはそれとして未亜殿、今日はあのデカブツに対して突撃する日でござるな。
 月からのお客様で動けない、なんて事はないでござるか?」


「私は平気。
 まぁ、月のモノも軽い方だし、この前終わったしね。
 …終わったって言っても、更年期じゃないからね」


「…ボケを取られたでござる」


 未亜にガクガク揺らされるユカ2だが、相変わらず眠っている。
 つくづく寝起きの悪い娘だ。


「どうするでござる?
 力尽くで起こすでござるか?」


「…カエデさん、何かいい案持ってる?」


「……木の葉体術秘伝、千年殺しとか」


「それはダメ」


 やってもユカ2なら怒らない気はするが。
 むしろ「ん…今、何かした?」くらいは言う気がする。


「…ま、いいか。
 この際だし、寝ているこの子引き摺ってユカさんの所に行こう。
 まだ目を覚ましてるって知らない筈だし、とにかく教えてあげようよ」


「しかし、情事がまだ続いていたらどうするでござる?
 もう日が昇る刻とは言え…師匠でござるよ?
 そもそも、恐らく情事の後始末も…あ」


「それもあったか…」


 改めて考えると頭痛がする。
 大河の事だ、相当激しかっただろう。
 初体験なんだから少しは配慮したと思いたいが、今一信じられないのが大河クォリティー。
 少なくとも、ユカの内部にたっぷり射精したのは間違いない。

 …実際は、そんな生易しいモノではない。
 熱い夜、という言葉があるが…アレを熱で表すならば、熱いを通り越して灼熱だろう。
 ユカの全身が焼け爛れ、灰も残らず燃え尽きてしまっていてもおかしくない。
 実際、もうユカは爛れた関係から抜け出せそうにない。


「…避妊、してあるっけ?」


「…一応学園長が、『大河君にはこれくらいの備えは必要です』と言って何やら術をかけていたようでござるが…」


 ちなみに救世主クラス内での乱交時は、ベリオかリリィかリコが術を使っていた。
 ちなみに、リリィが大河ハーレム入りした後、図書館でコソコソと避妊の魔法が書かれている魔道書を借りた姿が目撃されている。


「…ま、まぁ、やっちゃったものは仕方ないでござるな。
 とにかくユカ殿と師匠の着替え、あと風呂…はちょっと手が掛かるから濡れタオルでも持っていくでござるよ」


「うん…この子を連れて行く前に、一応確認しておいた方がいいよね。
 初めてのマトモな顔合わせが、顔に白いの付けたままってのは問題あるからね」


「別にボクはいい」


「「んにゃっ!?」」


 驚くカエデと未亜。
 振り返れば、何時の間にやら目を開けているユカ2。
 大欠伸して、ユカ達の居る天幕に目を向けた。


「…もうエロは終わってるっぽい」

「な、なんで解るでござるか?」

「…クローンの勘?」

「…それって、アレ?
 双子間でのテレパシーみたいなものかな?」

「どっちかと言うと、アイコンタクト」

「目を合わせてないでござる」

「愛コンタクト」

「誰との愛?」

「哀戦士ガンダム」

「何をいきなり」


 実はまだ寝ていて、これは寝言なのではないだろーか?
 そんな疑いを抱きつつも、急速に警戒心が萎えていくカエデだった。


「…お邪魔しま〜す…」

「まだ続いてたら、本当にお邪魔虫」

「もう終わってるって言ったのはお主でござろう…」


 とにもかくにも状況を把握せねば話にならない。
 多少ビクビクしつつも、3人…ユカ2だけは平然としていたが…は天幕の中を覗く。
 いきなり入り口から入る度胸は無いので、その辺の裾の下から顔を突っ込む程度だ。

 こっそり裾を捲り、ぴょこぴょこぴょこと団子3兄弟よろしく顔を突っ込む。


「うぷっ!?」

「ななななんでござるこの臭い!?」

「ラブ臭とエロ臭…」


 そして鼻先に特濃蜜柑汁を吹きかけられたネコのように飛びのいた。
 ユカ2も、心なしかイヤそうな顔をしている。
 天幕の裾から首を引き抜き、暫し意味も無く駆け巡る。


「水! 水っ!」

「な、何か口直しならぬ鼻直しを!」

「…クセになる臭い…もう一回チャレンジ」

「やめなさいって!」

「あうっ」


 本当に首を突っ込もうとするユカ2を、未亜がドロップキックで迎撃した。


 暫し間。


 …散々駆け回って、ようやく一息ついた未亜達。
 エロ事に慣れている彼女達をここまで慌てさせるとは、恐ろしい臭いである。


「恐らく…昨晩から師匠とユカ殿の行為の臭いが、全て篭ったまま熟成されたのでござるな…」

「一晩熟成した程度であの臭い?
 ユカさん相手にどんな事やったのよ、お兄ちゃん…」


 これは想像以上に危険と言うか鬼畜悲惨な初体験になっているかもしれない。
 ならば…。


「一刻も早く幻影石を回収して、上映会を開くべきねッ!」

「無論、師匠はふん縛ってユカ殿も捕獲して、そして一通り堪能してから改めて判決でござるな!」

「…今後の参考に」


 怒っているのか楽しみにしているのか。
 流石に不特定多数を相手に上映するような真似はしないが(やろうとしたらユカが手を付けられなくなる)、再びあの天幕に挑戦する勇気が出てきたらしい。
 しかし真っ向から行っては分が悪い。
 ここは一つ、何か対策を…。


「やはり風邪を引いて、鼻を詰まらせるのが一番いいでござるよ」

「いや素直に鼻栓しようよ」

「…むしろガスマスク…」


 妥当な所では鼻栓なのだろうが…一同、自分の鼻にティッシュまたはコルク栓を嵌めた自分を想像。
 ………。
 ぶっとい鼻毛?


「却下でござるな」

「ガスマスクにしようか」

「あるの?」

「あるでござるよ」

「なんで?」

「アナタもすぐに解ると思うけど、ルビナスさんの近くで暮らすなら必須アイテムだよ」


 …一人一個ずつ持っているらしい。
 いそいそと自分達の天幕に戻り、何やら荷物を物色。
 暫くごそごそやっていると、本当にガスマスクが出てきやがった。

 ユカ2のは無いから、大きさが近いリリィのガスマスクを勝手に拝借して手渡す。


「はい、これ」

「ありがと…む」


 変わった形のガスマスクだが、特に疑問も無く装着する。
 妙に手馴れているが、何故だろう?
 実験室で閉じ込められている間に慣れたのだろうか?

 しゅこー、しゅこーと妙な音が響く。


「それじゃ、全員準備はいい?
 行くよー」

「応!」

「…む」


 再びいそいそと出て行く未亜達。
 天幕の外に出る前に周囲を警戒。
 こんなマスクして歩き回っているのが見られたら、それが奇行を繰り返す救世主クラスといえども流石に騒ぎになるだろう。

 ササササ、とカエデは本職のスキルを活用して隠密行動。
 見様見真似で未亜とユカ2も続いた。


「それでは、行くでござるよ…というか、彼女を入れてもいいのでござるか?
 白濁塗れで顔合わせはヤバイって言ったの、未亜殿では?」


「あー、まぁそうだけどさ…もういいじゃん。
 ガスマスク渡しちゃったし、本人行く気満々だし」


「む」


 未亜とカエデの視線を受けて、ユカ2は暢気に首を傾げる。
 …引き下がる気は無さそうだ。
 どうやらユカの目覚めは、色々凄い状況を自分の妹(ユカ談)に見られる事から始まりそうだ。


「…まぁ、それも一種の羞恥プレイでござるかな」

「それじゃ行きますか」

「むむむ」


 心なしかワクワクしているユカ2だった。


 シュコー、シュコーと呼吸音を響かせながら天幕に突入した3人。
 結論から言うと、予想以上だった。


「こ、これはまた…ガスマスク越しでも臭いとか感じるね…物理的な衝撃を伴う臭いを」


「目に染みる…」


「どうでもいいでござるが、どうして未亜殿のガスマスクは某暗黒卿のマスクなのでござるか?」


「それを言ったら、カエデさんのマスクは某錬金戦団の一員のマスクじゃない。
 それ、使える?
 この臭いどうにかしてほしいんだけど」


「あいあい、了解でござる。
 この臭いを変換して、別の臭いにするでござる。
 ここは一つ、シュールストレミングの臭いを」


「それなら今の臭いの方がマシだって!」


 漫才やってる二人を放置して、ユカ2はてくてく歩いて敷かれている布団に向かう。
 言うまでもなく、その布団の中では大河とユカが抱き合って眠っている。
 上から覗き込むと、何だか満足しまくっている表情の大河が見えた。
 大河に目が惹きつけられているのを自覚しながら、今度は横に回ってユカの表情を見る。
 …えらく複雑な表情だ。
 疲れきっていて、満たされていて、微妙に悲しそうで、どことなくエロい…のは、ユカの体にこびり付いたままの白濁のせいだろうか。


「………」


 ユカ2は暫し考える。
 カエデと未亜は、まだ漫才をやっているようだ。
 何か核金が発動したとか何とか言っているようだが。
 ユカ2には注意を払っていないようだ。
 もし彼女が刺客であれば、この瞬間に二人をサクっと殺せるだろう。


「…む」


 何を考えたのか、ユカ2は被っていたガスマスクを外す。
 ちなみにガスMASKと言っても、某映画の緑色の仮面っぽいヤツである。
 流石に形を模しただけなのか、ユカ2の体が愉快な事になったりはしてないよーだ。

 で、外した瞬間ふらぁ〜〜と斜めになる。
 やはり篭りに篭った臭いは強烈だったらしい。
 カエデのマスクのおかげで何やら臭いは薄れつつあるのだが、焼け石に水。

 頭を振って平衡感覚を取り戻し、ユカ2は大河とユカを見る。
 まだ臭いのおかげでフラフラが続いているのだが、それはどうでもいい。
 ユカ2はゆっくり身を屈めてユカの頬に顔を近づけ、


「あむ」

 ぺろり

「………ん………


 ユカに付着している白濁を少し舐め取った。
 口をモゴモゴ。


「む…ヘンな味」


 それはそうでしょうとも。
 暫し黙考。


「…マズイ…もう一杯」


「青汁と違うよッ!」

「おう」


 ゴス、とユカ2の頭蓋骨に鉄拳がめり込んだ。
 かなり痛そうな音がしたが、特に苦痛を感じた様子は無い。
 ぽりぽり頭を掻きながら、不思議そうに未亜を見上げるユカ2。
 何故ド突かれたのか、本気で理解してないようだ。


「何をやってるの何を!
 さっさとガスマスクを被る!」


「…?」


「首を傾げない!
 大体何を考えて、乾いた精液なん……か…」


 ふと思い至り、言葉が止まる。
 ユカ2はユカから…つまり欠け落ちた大河の一部から作られた存在らしい。
 要するに、大河の欠片のそのまた欠片。
 大河の欠片であったユカ本人は、魂の衝動で大河を求めていたらしい。
 …と言う事は、ユカの欠片でもあるユカ2も、本能で大河を求めていても不思議は無い。
 しかも…。


「…ねぇ、ユカの事好き?」

「…?」

「……もっとダイレクトに聞くけど、ユカが欲しい?」

「欲しい」

「じゃお兄ちゃんは?」

「もっと欲しい」


 ユカの欠片でもある以上、やっぱりユカも求めている。
 しかも、ユカ2は世間一般の常識とかが欠けているようだし、ユカよりも欲求に素直なのだろう。
 レズなのだろうか、これは。
 いや、大河もだからバイか?
 しかし…。


「中々イイ構図ね…」


 と真顔で呟く両刀娘。
 それはともかく、いいからマスクを付けろと催促する未亜。
 不満そうだったが、ユカ2は渋々マスクを付けた。


「はいはい、未亜殿、漫才と世間知らずの世話はその辺にしておいて、そろそろ始末の準備にかかるでござるよ。
 ここの空気は拙者がこのマスクでどうにかしておくでござるから、昨晩風呂に使ったドラム缶と水、タオルと着替えを持ってきて欲しいでござる」


「あ、うん、そうだったね。
 もうそろそろ皆起きてくる時間だろうし、早い所片付けちゃおう」


「ボクも手伝う」


「うん、じゃドラム缶と水持ってくるから手伝って」


 ユカ2を連れて行ったら、また漫才になりそうだが…。
 とにかく今はスピード優先だ。
 早い所後始末をしないと、色々面倒な事になる。


「さて、師匠を起こすべきでござろうか…。
 これだけの事をやったのだから、少々手荒に扱っても問題ないでござるが。
 目が覚めた時隣に居なかったら、ユカ殿ちょっと複雑かもしれんでござるなぁ…」


 とにもかくにも、この性臭を消す為にガスマスクをフル稼働させるカエデだった。


 暫くして、未亜とユカ2が戻ってきた。
 未亜は細々としたタオル等を、ユカ2はお湯の入ったドラム缶を苦も無く持ってきている。
 流石にユカのクローンという訳か、全くフラつかない。
 これ程のドラム缶一杯に水が入っていれば、カエデでも運ぶのは難しいと言うのに。


「ただいまー…あ、臭いが消えてる」

「うん…でも、微妙」

「仕方ないでござろう。
 流石に全ては消せぬでござる」


 天幕の中の臭いは、大分薄くなっていた。
 しかし、仄かに栗の花のよーな臭いが漂っている。
 まぁ、これくらいなら慣れている未亜達だが。

 ユカ2がドスンとドラム缶を地面に置いた。


「…で、どうする?」

「どうする…って、そりゃユカさんとお兄ちゃんを洗わないと」

「……考えてみると、完全に気を失った他者の後始末をするのは初めてでござるな?」


 言われてみれば、と未亜は考え込む。
 情事の最中、膣内に出された精液を吸い取るとか掻き出すいうのはやったが、それは後始末ではない。
 いくら多人数プレイに抵抗が無いとは言え、終わった後にまじまじとお楽しみ後の姿を見られるのは多少抵抗がある。
 だから大抵、多少しんどくでも自分で朝風呂に入り、そうでなくともタオルとかで体を拭く。
 そもそも、誰かが気絶するほど激しい行為だと、とばっちりで体力を削られ、自分の世話で手一杯になる事が多い。
 例外はダリアくらいか。
 自分の世話は慣れていても、他人の…しかも意識が無い人の後始末のノウハウが解らない。
 いや、やるべき事は解るのだ。
 ただ…。


「…ユカ殿を風呂に放り込むとして…見えちゃうでござるな、全身が」

「そうだね。
 どれくらいナニやったのか、予測できちゃうね」

「…それが何か問題でも?」


 ボソリと呟くユカ2に、ちょっとだけカエデの顔が引き攣る。
 問題ないと言えば問題ないのかもしれないが、どうにも彼女は情緒とか一般的な羞恥心とか、そういうのが欠けている気がしてならない。
 しかも、明らかに意図的な欠け方で。


「…別に問題ないなら、さっさとやる」


 戸惑っている二人を尻目に、ユカ2はユカをひょいと持ち上げた。
 持ち上げられたユカは、相当疲れきっているらしく、全く起きる様子が無い。


「いやまぁ待て待て待て待て」


「そうでござる、せめて師匠に後始末させるでござるよ」


 それはそれで救いが無い気がするな。
 不思議そうにしているユカ2だが、首を傾げながらもユカを布団の上に下ろした。
 …何の液体の後か、湿った音がした。


「ほらお兄ちゃん起きる起きる起きる」


「ししょー、起きるでござるー。
 木の葉体術秘伝の千年殺しを突っ込むでござるよー」


「……ん…?」


 千年殺しの一言が聞いたのか、大河は意外とあっさり目を覚ます。
 目をパチパチさせて、裸のままの体を起こした。


「…未亜? カエデ?」


「他の誰に見えるでござる」


「…麻穂良の「それはもう既出」…そうだった。
 ユカは?」


「ん。
 まだ寝てる」


「いやお前がユカだ…あれ?」


 相変わらず今一無表情なユカ2と、まだ色々凄い状態で眠っているユカを見比べる大河。
 起きたばかりの為か、まだ頭が回ってないらしい。


「…カエデ、分身の術とか教えたのか?」


「教えればユカ殿は体得できるでござろうな。
 そうではなく、例のクローン殿でござる。
 昨晩目を覚まし、何やら未亜殿と仲良くなっていたでござる」


「ん、なかよし」


 ぽふっと軽い音を立てて未亜に抱きつくユカ2。
 未亜も悪い気はしてないようだ。


「はぁん…で、どうして揃ってこんな所に?」

「浮気の制裁…と言いたい所だけど、相手がユカさんじゃねぇ…」

「まぁ、今回は仕方ないと言えば仕方ないでござるし」


 本心を言えばそれで済ませたくはないのだが、今更どうこう言ってもそれこそ仕方ないし、ユカが衝動に負けて壊れてしまっては申し訳ない所では済まない。
 今更だから、と何も言わない彼女達だった。


「それにしても、ユカ殿相手にナニをやったでござるか。
 ユカ殿は自分では動けない状態の上、完全に初心者でござろう。
 幾らなんでも、これはひどいでござるよ…」


 カエデに言われて、相変わらず爆睡中のユカを見る。
 うわぁ、と自分でも唸ってしまった。
 そりゃーもう白濁塗れで、塗れてない場所を探す方が難しい。
 はっちゃけまくった記憶はあるが、冷静になってみると…。


「…ユカさん、落ち着いたら恥ずかしさのあまり発狂するんじゃないの…?」


「大丈夫、ボクが止める」


 任せろとばかりのユカ2。
 多少不安だ。

 それはともかく、大河はユカを眺めていて違和感を感じた。
 確かに自分は、ユカとの情事に興奮しまくって、いつも以上に張り切っていた。
 しかし…。


「…よっと…」


 大河は立ち上がって、ユカに近づく。
 暫しジロジロ見分。
 未亜とカエデの冷たい視線が飛んできた。
 眠っている女性のナニを見ているのか。

 冷たい視線を感じつつも、大河は最も重要な場所に視線を向ける。

 どろどろ。


「…我ながら何発注ぎ込んだんだ…」

「ケダモノ…」

「鬼畜…」

「サル」


 それぞれ端的な罵り言葉をくれた。
 反論できないだけにちょっとヘコみそうになるが、大河はこの違和感の原因を確信した。


「…なぁ、ちょっと変だぞ我ながら」


「何でござるか?
 師匠がはぢめての人を相手にしても全く手加減しないのは、不思議ではないでござるよ」


「いやお前ら相手の時は手加減くらいしたけど…」


「あれで!?」

 思わず叫ぶカエデ。
 彼女の初体験は、未亜に解されて大河にアナルを奪われ、その後風呂に入ってからやっぱり大河と未亜に前を奪われた。
 しかも、一回では満足せずに、背中に浮かんだ文字…カエデの体に隠されていた里の秘術…が完全に浮き上がるまで何度も何度も。
 あれで手加減されていたとは…いや、その後の性体験を鑑みると、明らかに手加減されているのだが…何か納得がいかない。


「そうじゃなくて、この精の量だって。
 いくら俺でも、ここまで多くは無いぞ」

「…言われてみると…」

「そうなのか?」


 指摘され、未亜も疑問を持った
 経験のないユカ2には解らないようだが、この量は異常だ。
 ユカの体に付着している精をパッと見ただけでも、一人が放出したとは思えない程の量だ。
 大河が絶倫と言えども、限度というものがある。
 そもそも、精液とはぶっちゃけ金玉の中に製造した分を格納しておいて、それを放出する。
 個人差はあるが平均3日程度で満タンになり、要するにその程度の量しか人体は精液を保持できない。
 が、こりゃ一体どういう事か?
 どう見てもリットル単位の量がユカの体に吹きかけられている。
 鬼畜がどうのというレベルではない。
 はっきり言って異常だ。


「でも、全部師匠が放出したんでござるよな?」


「ああ。
 当たり前だが俺以外には男は居なかったし、ユカからちんこが生えてきたのでもない。
 …俺のちんこがドリル状になったがな」


「…ナニソレ」


「いや、昨日俺の指先をドリル状にして見せただろ?
 それと同じ要領で、でっかくなったちんこの先っぽを螺旋状に…。
 中で回転させたら、3秒くらいで射精しちまうくらい気持ちよかった。
 ユカなんかあっちの世界が見えてたっぽいし」


「…興味あるわね…お兄ちゃん、戦争が一段落したら私も試していい?」

「拙者も…」

「…ボクはどうしようかな…」


 状況も忘れるこの連中。
 頭の中が致命的に色ボケしてきているよーだ。


「…で、ユカ殿は大丈夫なのでござるかマジで。
 ただでさえ師匠が相手の上、多感症なのでござろう?」


「誰から聞いたのかは知らんが…まぁ、大丈夫だ。
 一応な。
 …いや、実を言うと昨晩気付いた事があってな。
 こう…まぁ、ユカと繋がるだろ?
 その時に、何と言うか……ある程度ならユカの感覚が解るんだよ。
 一応元同一人物だし、多分感じとしてはルビナスとナナシのシンクロみたいな感じで。
 いや、あの二人のシンクロは感覚の共有だけど、俺のは…第3者から眺めているような感覚だ。
 だから本格的にイカレそうになったら責めを緩めたし、まぁ大丈夫…だと思う」


「…そういう事って、あるのかな?」


「さぁ…リコ殿辺りに聞かねば…」


 首を捻る。
 更に言うなら、今の大河は昨日よりも体の変形が上手く出来る。
 ユカと繋がる事で大河本人の魂も活性化したらしく、魂に接木されているトレイターに対する支配力が増しているらしい。
 …別にユカを喘がせる為にドリル変化を覚えたとか、そういう話ではない…多分。

 あれやこれやと話している内に、外がガヤガヤ騒がしくなってきた。
 眠そうにしていたユカ2が、大河の注意を引く。


「…皆起きてきた。
 早く後始末する」


「ん? あ、あぁそうだな。
 3人とも手伝ってくれ」


「…さっきまでの議論は何だったのでござろうか…」


 ブチブチ文句を言いつつも、3人はやや温くなったお湯に…って…。


「…なぁ、このお湯何度の湯を入れた?」


「……水を入れて、そのまま火とか気を使って沸騰させて持ってきた」


「こんなんに入れたら死ぬがな!?」


 …危機一髪。
 危うく初体験の次の日に、全身大火傷を負うところだったようだ。
 しかし、ユカ2は沸騰したお湯が入ったドラム缶を素手で持ってきていたが…?

 なにはともあれ、色々話込んでいる間にお湯はちょっと熱いかな、くらいの温度まで冷めているようだ。
 早朝の冷たい空気のおかげで、冷えるのが早い。
 どんだけ話し込んでたんだ?


「いよっと…」

「じ〜」

「カエデ、そっち側の腕持ってくれ」

「あいあい」

「じ〜〜」

「どうでもいいけど、何か忘れてるような…根本的に何かを…」

「じ〜〜〜」


 ユカを風呂にゆっくり入れるカエデと大河。
 そして悩む未亜。
 でもって、大河をじーっと見つめているユカ2。

 大河はユカ2の視線を感じつつも、ユカの体を洗い始めた。
 ユカの体は、相変わらずそこはかとなくエロい。


「じ〜〜〜〜〜……ぽっ」

「うーん、何が……って、さっきから何見てるの?」

「象さん。
 …さきっちょ、アナコンダ。
 今は、大槍」

「へっ?」


 未亜はユカ2の視線を辿る。
 そこにあったのは…丸出しの大河の下半身。
 しかもユカの体の柔らかさに反応したのか、大きくなっていらっしゃる。


(…ソーイエバ、フクヲキセテナカッタネー)


 エロの後には大抵裸で寝ているから、別段違和感を感じなかった。
 いや普通感じるだろ。
 …感じるだろうけど、どうも天幕の中の臭いとかユカの惨状とかに気を取られていて、すっかり忘れていたのだ…という事にしておいてください。


「お、お兄ちゃん!
 ユカさんの体は私達で洗っておくから、服を着て!」

「服?
 ぬおっ、そう言えば師匠はマッパのままでござる!」

「え、服?
 …ああ、そー言えば昨晩調子に乗りすぎて、ユカの愛液とかで色んな部分が濡れちまってな。
 テキトーにその辺に放り出したんだが。
 あと、パンツとかシャツとかどうしよう」

「昨晩はお風呂入ってからユカさんの所に来てたよね。
 だったら、まぁそのまま履いても大丈夫でしょ。
 いいから履く!着る! 飛ぶ!」

「むぅ」

「ぬぅ」


 飛んでどうする。
 大河とユカ2が何やら不満そうな表情だが、無視。
 放っておくと、大河はこの際だからと言ってスチュアート大佐ごっことか始めるかもしれない。

 少々ヨレヨレになっている服を着込むと、多少は頭もスッキリしたようだ。
 その間に未亜とカエデは超特急でユカの体を洗い、昨晩の痕跡を綺麗サッパリ消してしまった。
 …流石に膣内にある精液はそのままだが。


「さて、これからどうする?
 出陣の時間までは、まだ余裕があるが」


「ならば…彼女の名前を決めるのはどうでござろう?」


「ボク?」


 首を傾げるユカ2。
 そう言われてみると、彼女には個別名があるのだろうか?


「ねぇ、アナタの名前は?」

「…ユカ」

「…一応、それがアナタの名前なんだ…」

「研究所では、何だかよく解らない長ったらしい記号で呼ばれてた。
 なんか電話番号みたいな名前」

「それはあまりよろしくないな。
 …よし、ならばこれからはユウカと呼ぶ事に「却下」…何故?」


 あからさまに不機嫌そうな表情になり、ユカ2は大河の命名を遮った。
 安直だったからか?
 それとももっとややこしくなるからか?


「…じゃ、ミカ」

「やだ」

「漢字表記にするのはどうでござる?」

「口頭で呼ぶのが一緒じゃややこしいままでしょ」

「ユキでどうだ?」

「ヤダ」

「ぬぅ…メカ」

「機械?」

「メッカ」

「何処の聖地よ?
 …モカ」

「それはコーヒー。
 マッカ」

「魔界の通貨。
 アカとか」

「アメリカンの蔑称か?
 リカでどう?」

「それもやだ」

「…我侭でござるなぁ…」


 不機嫌そうな無表情、という器用な顔つきのままで、淡々とユカ2は却下を出し続ける。
 あからさまにふざけている名前は却下するのは当然としても、何が気に入らないのだろうか?


「なら、お前さん何かいい名前でもあるのか?
 それとも、明らかに気に入らない何かがあるとか…」


「……ユカの名前に似てる」


「ほへ?」


 目を丸くする。
 確かにユカの名前を捩った名前だったが、その何が気にくわないのだろうか?


「ボク、産まれはユカのコピーだけど、でもやっぱりボクはボク。
 似ててもユカとは全然別人だし、ユカと同類項で括られるのはあんまり気分が良くない。
 ユカの事は…好きだけど、付属物みたいな名前の付け方はイヤだ」


「…意外とマトモな事言ってるでござる…」


 しかし言われてみれば尤もな意見だ。
 元がコピーだからか、そう言った点には敏感らしい。
 こういう場合、オリジナル…と思われている方…に沿って名前を付けるのがお約束というものだが、考えて見れば失礼と言えなくもない。
 自意識過剰と言ってしまえばそれまでだが、どうしても『ついで』扱いされている気がしてしまうのだ。


「うーん…。
 じゃあ、具体的にはどんな名前がいい?」


 暫し黙考。
 出てきたのは意外と具体的な意見だった。


「カタカナで3文字くらい。
 絶叫しやすい名前。
 連呼してもヘンな単語にならない。
 ネタにしやすい名前だと嬉しい」


「…どないにしろってのよ」


 思わず呻く。
 と言うか、自分の名前をネタにする気か?

 頭を抱える未亜達。
 ふと、未亜の脳裏に昨晩のユカ2の言葉が浮かんだ。
『地面を歩いて、風を感じて、雲を追いかけて、森を掻き分けて、獣に追われて、太陽に照らされて、月の下で眠りたい』


「カザミ…とかどうかな?」

「…カザミ?」

「昨晩言ってたでしょ、風を感じたい、地面を歩きたい、雲を追いたい…とか。
 風を見るで風見、或いは身に受けるで風身。
 だからカザミ。
 ネタにするなら風見鶏。
 風を受けて気紛れに向く方向を変えて、ニワトリだから3歩歩けば都合の悪い事は何でも忘れます。
 どうかな?」

「ん…」


 カザミ、カザミと口の中で繰り返すユカ2。
 どうやらかなりお気に召したようだ。


「…ん。
 ボク、カザミ」


 満足げに頷くユカ2改めカザミ。
 ニッコリ無邪気に笑って嬉しそうだ。


「OK、じゃこれ以降はカザミって事で。
 …ちなみに苗字は?」

「そっちはタケウチ。
 ボク、ユカの妹だから」

「…聞いてたの?」

「ん、寝てたけどちょっと夢の中で聞こえた」


 …昏睡状態だったのに、不思議なヤツだ。
 カザミは首を捻る未亜達を他所に、ユカの体をタオルで拭いて、ちゃっちゃと服を着せていく。
 なお、ちゃんと新しい服を着せているので注意。


 ぐぐぅう、とお腹の鳴る音。


「…今の誰?」

「…ごめん、私…」


 顔を赤らめて手を上げる未亜。
 そう言えば、そろそろ朝食の時間だ。
 もう他の救世主クラスも起きている頃だろう。
 ユカ2ことカザミが居ないのに気付いて騒いでいるかもしれない。
 そうなったら、すぐにこの天幕に様子を見に来るだろうが…。


「取りあえず、ユカの分も取って持ってきますか。
 匂いに釣られて目を覚ますかもしれんしな」


「そうでござるな。
 他の皆も集めるでござるよ。
 カザミ殿、少々剣呑な視線を向けられるかもしれぬでござるが、我慢するでござるよ」

「ん」


 頷くカザミ。
 少々不安も感じるが、まぁ大丈夫だろう。

 さぁ朝食を取りに行こう、という段取りになったが…カザミを連れて行くのは少々危険だろうか?


「…ユカじゃないって、ばれるよなぁ…多分」

「そうだねぇ…。
 漫画やアニメじゃないんだから、髪の毛の色が違って性格もこんなに違えば、普通は気付くよね…」


 ユカは何かと注目を集める身だ。
 カザミを連れて行けば、違和感を感じる人間は少なくないだろう。
 今の段階で彼女の姿を見せると、少々厄介な事になりそうだ。


「…よし、カエデ。
 お前はユカとカザミの分も朝食を貰ってきてくれ。
 未亜は他の救世主クラスに召集を」

「あいあい」

「お兄ちゃんとカザミはどうするの?」

「カザミはお留守番。
 俺はセルの様子を見てくるわ。
 カザミ、いい子にしてるんだぞ」


 幼稚園児のようにカザミを扱う大河。
 しかしカザミは何の違和感も感じてないらしく、コクコク頷いて、ユカの隣に何故か正座して座った。
 それぞれ出て行く3人。
 カエデの警戒心は、どっかにすっ飛んでしまったようだ…今さらだが。


 暫し経過。
 カザミはずっとユカの隣で座っている。
 相変わらず眠るユカを、飽きもせずにじっと眺めていた。

 一瞬日が差し込む。
 天幕の入り口に目を向けると、見覚えのある人影が入ってきた。


「…あ、ユカと一緒に居た人」


「…元気なようですね…カザミさん」


 入ってきたのはベリオだった。
 まだ眠そうだが、カザミの姿を見た途端に眠気がすっ飛んだらしい。
 ベリオはカザミを警戒しているようだ。
 未亜から既に起きていて、もう敵ではないと言われているが…ユカとあれだけの激戦を繰り広げたカザミだ。
 その力だけでも、結構な脅威に値する。

 カザミは警戒に気付いているのか居ないのか、相変わらずボーっとしながら座っている。


「…個人的な感情で申し訳ありませんが」

「?」

「ユカさんから、離れていただけませんか?
 敵ではないと聞かされていても、眠っているユカさんを人質にとられたようで気分が悪いので」


 身勝手な言い草だと自覚しつつも、ベリオは言わずに居られない。
 …まぁ、その悪印象も、3日と経たずに消えるのだろーが。


「…個人的な事情で申し訳ありませんが」

「?」

「ユカさんから、離れられない。
 何故なら足の感覚が無いから」

「…は?」

「正座は、慣れないと3分くらいで足が痺れる」


 ちょんちょん、と自分で自分の足を突くカザミ。
 もう完全にマヒっているらしい。


「…なんでそこまでして正座してるんですか、アナタは…」

「いい子で留守番してろって言われた。
 女の子の胡坐は行儀が悪いから、悪い子がする事」

「男の子でも行儀が悪いと思いますが…」


 …警戒するのがアほらしくなったベリオだった。
 が、次の瞬間に目を剥く。
 今度はカザミがユカの眠っている布団を捲り、足を引き摺りながら潜り込んだのである。


「な、何をしてるんですか!?」

「悪い子になる。
 …ああ……ユカと大河の液でべたべたの布団…」

「ちょ、それは悪い子じゃなくて単なる変態さんですよ!?」

「羨ましい?」

「ちょっとだけ…じゃなくて!」

「…うそ。
 液でびちゃびちゃな布団はあっち」


 カザミの指差す先には、確かになんか色々濡れた後がある布団が折り畳まれている。
 …何をやっているのだろうか、彼女は。


「…結局何がしたいんですか…」

「ん〜…添い寝とキスマーク?」

「やめなさいって…」


 …本当にユカのクローンだろうか?
 確かに育った環境が違えば性格も別モノになるだろうが…どうにも確信が持てないベリオだった。


 数分後、まだ寝ぼけている人も居るが救世主クラスとミュリエルが集合していた。
 セルの様子を見て、将軍に報告に行っていた大河も既に戻っている。

 皆の視線は、カザミとユカに釘付けだ。
 …ユカの肌がツヤツヤしている所から、昨晩何があったのかもう明白である。

 それはそれとして、リコとイムニティは何やら考え込んでいる。
 ユカの昨晩の魂の状態と、現在の状態…何だか異常に回復している。
 それはそれで喜ばしい事なのだが…。
 精霊二人は、どうにも納得が行かないようだ。

 まぁ、その辺はスルーして。


「…と言う訳で、彼女の名前はカザミとなった。
 以後よろしく」

「よろしく」


 意外と礼儀正しく頭を下げるカザミ。
 色々な感情を内包した視線がカザミに集まっている。
 特に強烈なのは、ルビナスとミュリエルだ。


「…成体のクローン…は、激しく興味深いわ…」

「…カザミ、コイツに近づいちゃダメよ。
 一応良識は持ってるけど、エレクトしたら衝動的に解剖しようとするから」

「…ん。
 目が血走ってる…」


 ハァハァしているルビナスはともかくとして、ミュリエルの視線は厳しい。
 まだ信用していないというのもあるが、それ以上にカザミが人類軍に居るという事は様々な見地から見ても重要な事だ。
 セルからもそうだが、“破滅”軍の内情を知る事が出来るかもしれない。
 何より、彼女は謝華グループがクローン技術を研究し、非道な実験を行っていた事に関する有力な証拠となる。
 ここは是が非でも協力を仰ぎたい所だ。
 上手くすれば、謝華グループを…というより、未だに実権を握り色々な謀を巡らせているミランダ・謝華を更迭できる。

 ミュリエルの鋭い視線は、何処を見ているのか今一ハッキリしないカザミに受け流された。


「それでカザミさん、貴女はこれからどうするつもりですか?」

「……ユカといっしょ」

「つまり、“破滅”軍に戻るつもりは無いのですね?」

「うん」

「では、人類軍に協力しますか?」


 暫し考えるカザミ。
 そう言われると、ちょいとばかり気が引ける。
 “破滅”を放っておくと愉快な事にならないのはカザミの脳でも理解できるし、人類軍…というかユカ達には、文字通り命を分けてもらった恩もある。
 が、やはり研究室から連れ出してくれたのは“破滅”の将なのだ。
 義理立てして、命じられたユカの暗殺(なんて器用な真似が彼女に出来る筈もなく、真っ向勝負した)も失敗したし、恩を返さずに敵対するのはちょっと気分が悪い。


「…今、戦況はどうなってるの?」

「聞いているのは私です。
 それに、戦場において情報は命と言っても過言ではありません。
 それを易々と話す訳にはいきません」


 ピシャリと言い切ったミュリエル。
 鉄の女の面目躍如である。

 リリィ達は口を挟もうとしつつも、ミュリエルの威圧感に圧されて言葉を発せない。
 が。


「…ねぇキミ、戦況はどうなってるの?」

「なんだかおっきい敵さんが出てきて大わらわですの」

「ナーナーシーさーーーん!!!」

「ほえ? ほえ、ほえ!?
 ミュリエルちゃん痛いですの〜〜!」

「貴女はッ! どうしてッ! 空気を読むというスキルを身につけないのですかー!?」


 それが出来たらナナシじゃないからだ。
 ミュリエルは鉄の表情を放り捨てて、ナナシにウメボシウメボシしっぺしっぺデコピン。
 ジタバタ暴れるナナシを、がっちり抑え込んで放さない。


「まぁまぁ、よいではござらぬか、学園長。
 敵対する気は無いと言っているのでござるし」


「私が今問題にしているのは!
 情報の漏洩を防ぐ機密保持の事であって!
 聞かれたからって脊髄反射でホイホイ答えてしまうナナシさんの脳味噌がッ!」


 何かイヤな事でもあったのか、ミュリエルの攻撃はまだまだ続く。
 技北電気ショックとか言いながら、腕を雑巾絞りしている。


「…で、どうなの?
 大きな敵?」

「いやそれがな…」


 ミュリエルがイケニエをいぢめている間に、大河が手早く戦況を説明する。
 今日召還される事になっている巨大ロボとか、無限召還陣破壊作戦とかは上手く誤魔化した。
 一通り聞き終え、カザミは目を見開く。


「アルディアが?」


「あれ? カザミ、知り合いなの?」


「うん。
 “破滅”軍に居た時、一緒にお茶漬け食べてた。
 アルストロメリアも一緒に。
 ロベリアが文句を言いながらお茶碗にご飯をよそってくれた。
 あと、セルビウムがアルディアを見て顔をヤバイ感じに緩ませていた。
 さらにその影から、ジュウケイがセルビウムに向けて殺気をビンビン放ってた」


 …今更と言えば今更だが、“破滅”軍はアットホームな光景が意外と沢山見られるようだ。
 ちなみに、千年前にもロベリアはアルストロメリアの給仕役を務める事が多かったらしい。
 特にワンコ蕎麦を食べる時など、一瞬の休みもなく注ぐ→注ぐ→注ぐ→注ぐ(エンドレス)で軽く3時間ほど続いた事があった。
 結局自分は最初の一杯だけしか食べられず、途中から精神が怪しくなった挙句、本人曰く『腹八分目』まで付き合わされた。
 一人だけ満足げな顔をしているアルストロメリアに、初めて明確な殺意を覚えた瞬間だったらしい。


 それはともかく、カザミはまたしても考え込む。
 一応恩人が率いている“破滅”軍に敵対するのは、少々気が引ける。
 それと同時に、自分を助けてくれたユカ達の力になりたいとも思う。
 その二つを同時に満たすには…?


「…少なくとも今回は手伝う」


「…今回は?
 今回って何時まで?」


「アルディアを助けるまで」


 未亜の問いかけに、きっぱりと言い切るカザミ。
 そこから先はまだ考えてない、という事だろうか?


「いやにあっさりしてるでござるな?
 アルディア殿の友人だからでござるか?」


「…それもある。
 アルディアを助ければ、ボクを研究室から出してくれたお礼になる。
 セルビウムも、ユカも、大河もアルディアが助かって嬉しい。
 人類軍も、多少戦力が増えて嬉しい。
 まさに八方大華輪」


「八方丸く収まる、でしょうが。
 花火でどーすんのよ、花火で。
 あとアレは八宝だ」


「我が里に秘伝の爆薬として伝わっているでござるが?」


「あるの?」


 リリィから派生した余計な話はともかくとして、ルビナスは首を傾げた。
 カザミの言葉に、納得が行かない部分があったからだ。


「ねぇ、アルディアちゃんを助けるのがお礼になるって、どういう事?
 そもそも、アルディアちゃんって“破滅”軍においてどういう位置づけになってるのかしら?
 聞いた話じゃ、“破滅”の将の一人は彼女の執事って事らしいけど…」


 さっきからナナシを弄っていたミュリエルも動きを止める。
 そのスキにナナシはさっさと逃げ出して、大河の後ろに回りこんだ。

 視線がカザミに集中する。
 カザミはあっさり口を開いた。


「アルディア、主幹の娘」


「ああそう、主幹の…………何?」


「ダウニーの子供」


「むす…!?
 いや待て、誰の子…!?」


「だから、ダウニー・フノコの娘。
 フルネーム、アルディア・リード・フィロソフィー。
 リードは“破滅”の民の頭領格の苗字だから、迂闊に名乗っちゃダメなんだって。
 ボクを出してくれたのはダウニーとジュウケイ。
 ダウニーには直接会った事はないけど。
 二人とも、アルディアをすっごく大切にしてる。
 だから、アルディアを助ければ恩返しになる」


 沈黙。
 イヤな沈黙。
 …誰が、誰の何だって…?
 と言うか、それはナニか、このまま放っておくとセルの義父は『彼』になって…?


『『『な……』』』

『『『な………』』』
『『『な…………』』』


『『『『『なんだってぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!!!?!???』』』』』


 朝っぱらから絶叫が響き渡る。
 その声量たるや、ガラスの一枚二枚割れてもおかしくない程だ。
 実際、天幕の支柱がちょっとイヤな音を立てた。
 幸い防音結界がまだ有効だったので、外部にあまり声は漏れなかったが…近くを通った兵が突然の絶叫に驚き、寿命を1年程縮めた挙句、出所が救世主クラスだとわかるや否や早足に歩き去った。


「む、むすめ!
 むすめってアレか、女を孕ませて10ヶ月くらいしたら確立50%で産まれてくるアレか!?
 コスメの間違いじゃなくて!?」

「いえ、時々両性とか無性の人も居るし、場所とか部族によっては性別に偏りがあるから50%じゃないわよ!?」

「フノコが家庭を!
 世も末だーー!」

「いやしかしマスク・ド・クルーゼさんだって誰かと婚約したって噂があったし!
 鼻で笑ってたけど、フノコに娘がいるならあの人だって!」

「アルディアちゃんも将来髪の毛が変形するですの!?」

「ダウニー先生が“破滅”の主幹って事にも驚いたでござるが、それよりもやっぱ肉親が居たって事の方が!」

「アレと誰が結婚したのですか!?
 神よ、そんな可哀相な子羊に哀の手を!
 いよーっ、ハッ!」←合いの手

「ぶっちゃけありえなーい!」

「ミュリエル、貴女がやるにはちょっとキツイわよ」

「フンッ!」

「つか、あの人がよりにもよって主幹と来たよ!
 てっきり単なる下っ端かスパイかと!」

「まさか、その内魔物達もカツラを被って現れるのでしょうか!?」

「絶対マトモに仕事してないでしょ!」

「ロベリア!
 あんなのに任せていたら、“破滅”軍がギャグ集団になってしまったわよ!
 ああっ、何か文法がおかしい!?」

「ちゃんと子育てしてんのか!?」

「ご母堂はどうしているのでござる!?」

「いや待て娘と見せかけてまさかダウニーのクローンじゃあるまいな!?」

「アルディアちゃんは女の子です!」

「イムぱんち!」

「ロベリア! ロベリア、この話本当ですか!?」

「リコきっく!」

「ロベリアだったら、まだ股間を抑えて踊ってるわよ!」

「「デコ頭突き!」」

「身辺調査では親類は一人も…はっ!?
 まさか隠し子!?
 認知してあげなさいダウニー先生!」

「そうだそうだ、認知しろ!」

「認知! 認知!」

「ああっ、同じ男としてその言葉は妙に痛い!」

「痛い!?
 まさか大河君隠し子が!?」

「あ、それは無いです。
 お兄ちゃんの交友関係は、アヴァターに来る前からきっちり把握してましたから。
 (流石にネットワークの交友関係は知らないけど、女の匂いはしなかったし)」

「ええい、そんなこたーどうでもよか!
 セルは知ってんのかこの事!?」

「知ってる。
 何か始めて知った時、真っ白な灰になって燃え尽きて、アルディアの『遊ぼう』の一声で復活した」


 ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー。
 留まる事を知らない喧騒。
 約2名ほど錯乱した挙句殴り合って気絶したバカが居るが、誰も気付かない。

 騒音公害に発展しそうな大騒ぎに、眠っているユカの表情が不快そうに歪んだ。


「む……なんだよ…うるさいなぁ…」


 目を擦りながら上半身を起こすユカ。
 流石に眠っていられなくなったようだ。
 大欠伸しながら周囲を見回す。
 …なんか珍妙な踊りを踊っている救世主クラス。
 これは夢か、とユカが現実逃避したところで誰が責められよう。

 それはともかく、ユカはいつも通りに立ち上がろうとして、途端に驚いた。
 体に力が入らない。
 特に足腰に。


「な、なにがどうなって…?」


 四つん這いになった状態で、自分の体がどうなっているのか点検する。
 ……特におかしい所は無い。
 大怪我とかもしてないし、筋肉だって落ちてはいない。
 服も普段通りのウェイトレス服のままだ。
 この格好のまま眠っていたのは何故?


「………? …………あ…」


 自分の服を疑問に思っていると、ようやく事の次第を思い出してきた。
 自分を庇って倒れたユカ2、彼女を助ける為に自分の魂を削り苦しんだ挙句昏倒した事、そして目を覚ましてから聞かされた自分と大河の関係の真実。
 更に、昨晩の大河との情事…というか陵辱。


「はぅ……」


 腰に力が入らないのも当たり前だ。
 と言うか、我ながら何て無謀な事を。
 大河と来たら、本当に一切合財手加減してくれないし、もうイヤだと逃げようとしても、上から押さえつけられてムリヤリ…。
 外に出された精は、それはもう念入りに塗り広げられた。
 多感症+イッたばかりでメチャクチャ敏感になっていたユカには、かなりキツイ刺激だった。
 しかも、結局それらを全て受け入れてしまった。
 あまつさえ、昨晩の事を思い出したらちょっと体が疼いてしまう。
 個人的には、もう当分エッチは食傷気味な感じなのだが。

 恥ずかしさのあまり、再び布団の中に潜り込んでしまう。


(…布団が新しいのになってる…。
 体だって綺麗に洗ってあるし…。
 誰が後始末したんだろ?
 外で騒いでる人達の誰か?
 それとも大河君本人?
 …誰でも恥ずかしいぃぃぃ!!!)


 布団の中で悶えるユカを、一人だけ落ち着いているカザミがポンポン叩いて慰めていた。


 数分後。
 ようやく騒ぎが収束を始め、そしてカザミにはユカが抱きついてオイオイ泣いている。
 どうやら妹が助かった事で、感激の涙を流しているらしい。
 ユカの頭を撫でているカザミは、何となく幸せそうだ。

 狂乱しまくっていたルビナスが、ぜぃぜぃと肩で息をしながら話を纏めようとした。


「つ…つまり、ダウニー先生が“破滅”の頭領で、アルディアちゃんはその娘さん。
 何時ぞやの不気味通り越して異世界執事長さんは“破滅”の将の一人であると同時に、アルディアちゃんの世話係りで、家臣の皆さん諸共にあの屋敷で暮らしていたと…」


「さらにエレカ・セイヴンや各地で目撃されていた、彼女そっくりの工作員は全てアルディア嬢のクローン。
 その全員は、既に寿命を終えて消えている、と…」


「うん。
 ボクもそうだったけど、タマシイが無くなったりしたら、元々不安定なクローンの体は原始結合とかが解けて灰みたいになる。
 インスタント吸血鬼。
 探すだけ無駄」


 リリィは無言。
 エレカに関する情報を幾らか話しただけで、口を挟もうとしない。
 既にセルから聞いている事だったが、何度聞いても後味が悪い。


「そして貴女は元々謝華グループの研究施設に閉じ込められていて、それが数年前に“破滅”に奪われ、つい最近外に連れ出された?」


「うん。
 “破滅”でも謝華グループでも、ボクの扱いはあんまり変わらなかった。
 もっぱら実験台。
 でもそうしないと、ボクは寿命が尽きてたから」


「もう大丈夫だからね!
 カザミのタマシイ、ちゃんと足りてるから、もう実験台なんかにならなくてもいいからね!」


 涙で顔をぐちゃぐちゃに濡らしながら、ユカは強くカザミを抱きしめる。
 慰めるようにカザミがユカの頭を撫でた。
 どっちが姉だかわかりゃしない。

 とはいえ、カザミは別段実験台になる事には忌避感を持っていなかった。
 確かにいい気分はしなかったが、自分でも言ったように延命手術を幾つも受けねば生きていられない体だったし、実験は大抵眠らされている間に済んでしまった。
 睡眠薬で意識を奪われる感覚は、幼い自分にとっても愉快なものではなかったが。
 そもそも幼い頃から日常的に手術や改造を受けていたので、ある程度自我が育つまではそれが当然の事だと思って疑いもしなかったのである。
 それが不当な扱いだと知ったのは、もう一人の自分…かつて本体と呼んでいた、ユカの存在を知った頃だった。
 自分と違って、手術を受けなくても死なない彼女。
 自分と違って、両親に愛されて育った彼女。
 自分と違って、狭く白く無機質な世界ではなく広い世界で生きている彼女。
 思えば、その頃からユカに対する憎悪を抱え始めたのかもしれない。


(…まぁ、それもとっくにどうでもよくなってるんだけど)


 強がりでも何でもなく、植えつけられた憎悪が綺麗サッパリ消えている。
 だからこんなにユカに申し訳無さそうにされると、自分が申し訳なくなってくるのだが。
 もう気にしてない、と伝えようと、カザミはユカを優しく撫でる。
 …もっと泣き出した。
 どうしたものだろうか。


 質問をしていたミュリエル達も、何やら考え込んでいるようだ。
 情報を纏め、カザミの処遇を含めて今後の事を考えているのだろう。

 未亜が頭を掻きながらカザミに問いかける。


「とにかく、カザミはアルディアちゃんを助けるまでは協力するって事だよね?」

「うん。
 ユカが戦えなくなったのはボクを助けたからだし、ユカの分まで戦う」

「…いい子や…」


 微妙に感涙の涙を流す未亜。
 その横では、まだイムとリコが気絶していた。


「ま、そういう訳で、カザミ殿の処遇は…」


「解っています。
 …王宮に色々と取調べしたいところですが、今はアルディア嬢の救出及び聖銃の撃破の為、尽力してもらいます」


「ん、了解」


 安請け合いだ。
 …本当に大丈夫だろうか?
 不安を感じて、ベリオに視線を送る。


「…大丈夫です。
 独特のペースはともかくとして、集団戦と遠距離戦ではユカさんを凌ぐ程の実力を持っています。
 気砲の類は、それこそレーザー砲と大差ありません」


「へぇ…」


 リリィが感心したような声を出す。
 生身で召還器持ちと張り合えるユカ。
 それと同等に近い実力を持っているというのだ。
 またバケモノが増えた、と思っても仕方なかろう。


「そーいうのも、改造の結果。
 ボクの体、大出力の気に放出とかに耐えられるように改造されてる。
 これはこれで、意外と悪くない」


 だから、そういう事を言うとユカが泣きまくるから言うなというのに。
 そのユカに視線を移して、大河は唸る。


「さて…問題はユカの方だな」

「ぐしゅっ、う、あ?
 なに、ボク?」


 涙で濡れまくった顔を大河に向ける。
 自分の何が問題だと言うのか?


「…あのな、思いっきり忘れてるみたいだが、今のユカは戦える状態じゃないんだぞ?
 昨晩でかなり回復したけど、戦闘には耐えられない。
 そのユカを、ここに置いておけると思うか?」

「あ……」


 思わず泣くのも止まり、硬直する。
 戦えないなら、戦場に居ても仕方が無い。
 万が一という事もあるし、聖銃の閃光がここまで届く可能性も無きにしも非ず。
 何よりユカは強力な戦力だ。
 無駄に戦場に置いておくよりも、安全な後方…王宮へ下げて一日も早く回復させた方がいい。


「で、でも…」

「ユカさん、気持ちは解りますが、ここは下がった方が正解です。
 月並みな言葉ですが、今は休む事こそが貴女の戦いでしょう」

「…」


 確かに月並みだが、それだけに真実。
 ここに居ても、足手纏いにしかならないのだ。
 それでも、下がれと言われて下がれるような性格をしてないユカ。
 逃げるようで気が引けるのだ。


「でも、どれくらいで回復するですの?」

「さぁ…。
 ダーリンとナニした事である程度までは回復したんでしょ?
 って事は、後方に下がらせるよりもダーリンと一緒に居させた方がいいのかも…。
 でもなぁ…ある程度までは回復したって事は、それ以上の効果は得られなかったって事で、それならもう後は自然治癒に任せるしか…」


 やはりルビナスも、後方に下がらせる事に賛成のようだ。
 口には出さないが、おおむね全員同じ意見のようだ。
 無論、それはユカの事を思っての事である。


「…カザミは…?」

「ボクはユカと一緒に居たい」


 最後とばかりに問いかけられたカザミは、全く躊躇せずに答えた。
 が、その後困ったように腕を組んで首を傾げる。


「でも、ここじゃユカはあんまり休めない。
 ユカを下がらせると、ボクはこっちでアルディアを助けないといけないから、一緒に居られない。
 どうしよう?」


 これはダメだ。
 彼女は単なる欲求を口にしたにすぎない。
 何の根拠も無い。

 このまま、ユカは後方に下げられるしかないのだろうか。


「…まぁ、下がらせるにせよ…今日はそんな余力は無いな。
 総員、アルディアちゃんと無限召還陣に力を注ぐ。
 …ユカ、今日中に心を整理しておいてくれ」


 心の中を整理しておいたとしても…戦えない事には変わりない。
 今のユカには、少々残酷な言葉だったかもしれなかった。


「…ねぇ、ボクはどれくらいで回復するの?」


「そうね…現状で日常生活程度は問題ないくらいに回復してるし…。
 まぁ、今までみたいに気を使ったりしなければ、今でも戦えない事はないわよ」


「それは…」


 つまり、若さと力にモノを言わせる戦い方ではなく、某護身完成の人みたいに相手の力を極限まで利用すればいいのだ。
 しかし、ユカの拳は基本的に剛の拳。
 細々とした小技は、あくまで補助程度でしかない。
 そもそも相手の力を利用する、というのがどうにも性に合わない。
 真っ向勝負が彼女の持ち味だ。
 それを突然変えろと言われても…。


「♪」


「ん? どうかした、カザミ?」


 思いついた、とばかりにカザミがポンと手を打った。
 リリィが問いかけると、何だか物凄く嬉しそうなカザミ。
 あ、これは何かとんでもない事を言い出すな、とリリィは直感した。
 悪気は無いのだろうが、どうにも彼女には一般常識に欠ける所がある。
 生い立ちを考えれば仕方ないのだが…。

 それはともかく、カザミはユカの両肩を掴み、真正面から向き合った。
 そして。


「ユカ!」

「え?」

「セックスしよう」

「………は?」

『『『『『………………は?』』』』』


 沈黙。
 極楽トンボの群れが舞う。

 イマナント?
 ナニヲイッテラッシャル?


「だから、せっくす」


「…待て待て待て待て待てーーーーー!!!!!」


 何やら原始的な恐怖でも覚えたのか、ユカはコンディションの悪さを感じさせない動きでカザミから距離を取った。
 そして何やら妙な構えを取りながら、カザミに向けて警戒の視線を送っている。


「い、いきなり何を言い出すのさ!?
 ボクにはソッチの趣味は無いよ!
 と言うか、大河君とようやく結ばれたっていうのに、何だって翌日からそんな百合なプレイを要求されなきゃいけないの!?」


「ユカちゃーん、救世主クラスの殆どは初っ端から複数プレイですの。
 百合要素だって、本人に素質が無くてもガンガン育まれますのよ」


「そーいう問題じゃなーい!」


 全然動揺してないナナシと、その隣で何か考え込んでいるルビナス。
 カザミの発言に、何か感じるモノでもあったのだろうか?


「…!
 そ、そうか、その手があったわ!
 カザ「「ナーーーーーイス!」」


 突然響く大河と未亜の絶叫。
 感動の涙すら流している。
 その後ろで、カザミの発言の意図を説明しようとしていたルビナスが発言を遮られて、米神をヒクつかせていた。


「姉妹で! レズって! しかも妹の方から誘いをかける!」

「純情な姉・ユカと、天然でちょっと小悪魔チックな妹・カザミ!
 これは萌える!
 萌えるぞーーーー!」


 どっかの味王様よろしく巨大なオーラを放ちつつ叫ぶ二人。
 おぅ、本当に目から怪光線を出しやがった。


「「あだだだだ!!」

 そしてまだ気絶していたリコイムに直撃。
 陸揚げされた秋刀魚のように跳ね回っている。


「ちょ、大河君!
 この際カザミの言う事はともかくとして、幾らなんでも無神経過ぎない!?
 昨日はあんなに………はぅ」


「あんなに、あんなに何でござるか!?
 ! そうだ、幻影石幻影石!
 記録をとってあるでござる!」


「幻…!?
 い、何時の間にそんなの仕掛けたの!?」


「忍びを舐めてはいかんでござるよ。
 えー、確かこの辺に…あったあった」


「よーこーせー!
 こーわーすー!」


「絶対渡さないでござる!
 未亜殿、パス!」


「ねー、せっくすー」


「ちょっと待っててカザミ、今こっちそれ所じゃないから!」


 わーわーぎゃーぎゃー。
 またしても大騒ぎに発展する。

 そんな中一人だけ冷静なミュリエルは、説明の機会を潰されて怒り心頭になりつつあるルビナスに話しかける。


「…で、結局どういうつもりなのでしょうね?」


「…カザミの中には、ユカの魂が入ってるわ。
 ダーリンとユカの魂が接触して、その結果ユカが大きく回復したならば、カザミとユカで同じ結果が出る可能性は大きい。
 しかも、分かたれて直ぐの魂だもの。
 まだイキがいい筈…。
 ダーリンとの行為以上にユカが回復する可能性もあるわ。
 セックスしようと言い出したのは、他に方法を思いつかなかったからでしょうね」


「…他に方法、ありますか?」


「出来ない事もないけどね…房中術が一番効率がいいのよ。
 うーん……となると…どうしたものかしら…。
 幾らなんでも、脱バージンの翌日にハードレズってのは厳しいだろうし…。
 でも、早い所回復してほしいのも…」


 …いずれにせよ…この大騒ぎをどうにかしないと、話は纏まりそうになかった。




えー、現在引越ししたばかりで、電話線がまだ来てません。
なのでインターネットが使えず…うぅ、不便…ネカフェから投稿しています。
来週までには使えるようになるといいなぁ…。
道に迷って、1時間ほど自転車でずっとさまよった挙句ようやくたどり着きました。
3月7日(夕)以後に付けていただいたレスは、後日レス返ししますので…。

それにしても危機一髪。
もしユカの濡れ場が後一話分遅かったら、一週間お預けになっていた可能性が…。
まー今回のエロエロが18禁なのは疑いなく、ならば以前の15禁…風呂場シーンが黄色帯だという事は理解していただいたと…思いたいなぁw

それではレス返しです!

1.パッサッジョ様
ジャスト100話については偶然、108話については半ば狙いました。
全部合わせると丁度107話だったので、別の話を投稿して調整を。

満足いただけたようで何よりです!
ちょっとやり過ぎかと思っていたので一安心です。
そうですねぇ、ユカ2改めカザミから誘いが出ましたからね。
姉妹丼は決定事項ですねw


2.浪人生s様
よくぞ精神崩壊しなかったものですw
何がヤバイって、あれだけ派手にやられて壊れなかったんだから、と未亜がもっと洒落にならないことを(汗)

まぁ、鬼畜なのは今更でしょうw


3.ルシルフル様
一気読みの猛者がまた一人…。
この長いのを、よくぞ読んでくれました…。

すでに二桁突破していますしね…確かに止まりませんね…。


4.蝦蟇口咬平様
綺麗なモノほど汚したい、ですよw
確かに、ユカの最後のご奉仕では明らかに大河の魂が嗾けてますねw
煩悩とエロスが消えた大河なんて大河じゃないですなw

いやいや、召還器の特製が凝縮されたら、それはそれで面白いかも…。

ミアシロ様…………ガタガタブルブル
むぅ…変身してフタナリ…となると、S未亜とフタナリ未亜のコンビプレイが…?
いえいえ変態じゃないですよ、ちょっとマニアなだけ…時守の同類ッスw


5&6.シマンチュ様
笑っていいものやらw
と言うか、普通に考えて処女にアレはキツイですよねぇ…。
回転で処女幕の傷を擦りまくってますから…。
ユカは…これからどうしよう(邪笑)


7.アレス=ジェイド=アンバー様
日頃の行い…というと、それは時守ですか、大河君ですか?
これからも頑張らせていただきます!

何と言うか、エロエロ度を新記録してます。
まぁ、確かに…コレに比べれば、未亜が多少無茶しても大丈夫かも…。
ユカ2改めカザミ、一応味方になります。
人類軍というより、ユカ個人の味方ですかね。
…カザミにも、ユカみたいな事をするんでしょうか?


8.23様
お久しぶりです!
まだ楽しんでいただけているようで、何よりです。

はい、性器の変形はD−17が元ネタです。
普通に生活する分には、一番羨ましい能力ですねw


9.S様
うーん、また暫く戦闘がメインになるので、エロは遠いかと…。
次にやるとしたら、ハーレムか或いは個人個人をクローズアップするかもしれません。


10.皇 翠輝様
ここまでエロが凝縮されるとは、自分でも予想外です。
煩悩が全て詰め込まれたようですw

ええ、某ヤクザ魔術師の「そんなモンに負ける訳にゃ、いかんだろうが!」並みの説得力でw
実際、もうユカは大河から離れられそうにないですねぇ…。
幸せなのか、幸せな不幸なのか…。


11.シヴァやん様
感無量ですねぇ…肩の荷が一つ下りた感じです。
あそこでカザミが乱入するのもよかったんですけどねw
その前に、救世主クラスに誰か味方を作っておきたかったんです。

無限の精力については、トレイターが確かに関係しています。
まぁ、それは後日という事で…。

むぅ、確かにマゾっ娘が増えすぎましたね…何か芸を変えねば…。


12.竜の抜け殻様
相応しい…それだけエロが演出できたという事でしょうか。
頑張った甲斐がありました。

メサイアパーティーが全員堕ちたら、後は…まぁカザミとレイミ・謝華が入るもしれない程度です。
ロッ○マンですか…あの腕の元ネタはサイコガンなのではないかと疑っているのですが。
と言うか、タイムストップとか使えたりして…。
Xだったら、ギガクラッシュで派手にぶっ飛ばしましょう!


13.nao様
人数が多ければエロいって事ではないという証明でしょうか。
えらい爆発でw

15人か…多すぎるなぁ…どんだけ広いんだ秘密の部屋w
もしやるとしたら、直接描写は無いでしょうねぇ…。
一人3KBで抑えたとしても、50KB近く…個人の描写は極端に薄くなるでしょうしね。


14.イスピン様
ええ、何かの運命だとしか思えませんね。
まぁ、この事実を発見した時は107話目だったので、一話投稿して調節したのですけど。

それにしても、ユカさん大人気…頑張れ救世主クラス、本家ヒロインの根性を見せろ!
ミュリエルはSモードの未亜に対抗できる、数少ない人材ですw

東方はゲーム画面を見たことがありますが…アレは確かにトラウマ物ですねぇ…。


15.power様
はい、これからも頑張らせていただきます!
ランスとはちょっと鬼畜の方向が違うかもしれませんけど、確かにw


16.陣様
お祝いの言葉をありがとうございます!

いやぁ、頑張ってエロを詰め込んだ甲斐がありましたw
もうこれ以上は出ないでしょうねぇ…。

人間の道を踏み外し始めた大河、行き着く先は……大人のオモチャ(生きてる)の道?
体の中をマグロが流れる…そっちの方が、よっぽど人間を止めてるようなw

うーん、確かにカザミだと在り得そうです…というか、エピローグでは本当に旅をしてるかもしれません。


17.DOM様
おおぅ、七孔噴血!?
李書文の打撃を喰らったかのようだ…。
はい、コンプリートのゴールがようやく見えてきました。
えらく長い道のりだったなぁ…。
あ、でもまだエスカが居るんだ…。

どうせだったら、ガ●ファイガーよりも、ここは敢えてマイクを出したいw
うーん、こういう時色々な世界と繋がりがあるのは便利というか何と言うか…参考資料には事欠かない状況ですから、何を真似ても違和感がありませんw


18.カシス・ユウ・シンクレア様
タイムリーなエロでしたw
今回は萌えを考えず、とにかくエロに集中しましたからね。
ユカは…まぁ、まだ染まりきってはいません。
下地はキッチリできてますがw

カザミに対して、未亜が手を出す…そしてすぐ傍では大河とユカがヤッていて…カザミとユカの感覚が同調、もっと凄いことに!とか…w


19.ソティ=ラス様
一皮剥けたキャラというのは、好感度が高くなりやすいですからね。
特にハドラーとポップ君は、勇者側・魔王軍側の成長頭ですし。
ヒムも良かったけど、何と言うか魔王軍側のアバン先生?

ここまでのエロを追求するのには骨が折れました…。
普段の2倍くらい手間隙かかってます。

おお、予想がつきましたか!
…でもネタは秘密にしといてくださいね?

ドリルはいいですねぇ…大人のオモチャにもw


20.YY44様
感無量ッス!
楽しんでいただけて、苦労が報われました!


21.悠真様
お祝いありがとうございます!
ある意味、ユカを殺す気ですねぇ…。
今までのユカは、もう死んだようなモンですし…。
子宮を怖し貫く…そこまで行くと拷問どころか処刑ですね。

しっと団にバーベキューにされるキングギ○ラ…うう、何故だろう、涙が出てきました。


22.玖幻麒様
お祝いありがとうございます!…って、悠真様達と同じ出だしですね…。
まぁ、所詮はセル君ですから、ギャグにしても違和感は無いんですがw

トレイター復活…確かに有りそうです。
と言うか、実際それも考えてます。
ただ、どうせ復活させるにしても、変形機能で遊んでからにしましょうw

うぅむ…次が4Pとなると…カザミもユカも、受けは確定ですな…。
うぬぬぬぬ…なんと背徳的かつ魅力的な…。
しかしアレな扱いをすると、各方面から苦情が…。
いやいや、それでもやっぱり…うん、合意の上という事にすれば、前回みたいに…。


23.神竜王様
色々な穴から赤い液体を出し、さらに砂糖も吐きましたか。
エロと甘さを両立できていた、ということでしょうか?
楽しんでいただけたようで幸いです。

108話目については一話入れて調節しましたが、確かに何かの運命としか思えないタイミングです。
電波か、それとも神か悪魔か…?

そうですね、ユカは薔薇色の鎖に雁字搦めにされ、人生の墓場にダイブした形ですw
うーむ、ユカ2改めカザミの反応…ユカほど顕著じゃありませんけど、似たような感情は抱いてます。

というか、実際この場面ではロベリアの使いようがありません。
だから延々と尿意に攻め立てられているのですがw

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI