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▽レス始

「Fate/黒き刃を従えし者27(Fate+オリ)」

在処 (2007-03-05 00:09/2007-05-07 00:41)
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「畜生!
 誰だ、せっかく準備した結界を潰してくれやがったのは!?」
「……鮮血神殿は破壊されていません。
 蓄えられた魔力は吹き飛ばされたようですが」
「同じだ!
 また一から集めなきゃいけないじゃないか!」
「…………」

……なんで来るかな?
こんな手の込んだ事しなければよかった……
まぁ、待ち惚けになるのも嫌だけどさ。

「……慎二」
「……やっぱりライダーのマスター?」
「あぁ」

小さく、ライダーとそのマスターに気付かれないように言葉を交わす。
どうやら、あのワカメが間桐慎二。
桜の兄みたいだ。

『アーチャー、先に出るわ。
 合図を送ったらそっちも出てきて』
『……判った』
「……士郎、リンが合図を送るまで待機」
「判った」

私と士郎は草叢に身を潜めたまま、リンとライダーのマスターのやり取りを見守る。
まぁ、口でリンに勝てるような人、滅多にいないと思うけど。


Fate/黒き刃を従えし者


「あら間桐君、こんな所に何の用かしら?」
「なっ!
 と、遠坂、何でここに!?」
「貴方と同じだと思うわ。
 あれをやったの貴方?」

白々しくもリンはセイバーを従えそんな問いを口にする。
まぁ、その意図がわからないでもない。
もっとも、それでも悪質、といわざるを得ないけど。
……やっぱり赤いあくまだ。

「そ、そんな訳がないだろう?
 何で僕がそんなことしなくちゃいけないんだ?」
「あら、そうなの?
 私はてっきりあの結界を如何にかしようと思った貴方が結界を吹き飛ばす為にやったと思ったんだけど、違うのね?」
「ま、まて。まった。
 そう、そうさ。
 これで僕があの結界を張ったわけじゃないって判ってくれただろ?」
「そうね。
 そうじゃなかったらここになんていないわよね?」
「あ、あぁ。
 そうだろう?
 あれを破壊する為以外にここに来るなんて、自分が結界張ったと言ってるような物さ」
「えぇ……そうね。
 それじゃ、あれはライダーの宝具なんだ」
「あぁそうさ。
 ……
 …………
 って、違うっ!?
 何でそうなる!?」
「……いま自分で言ったじゃない。
 あれを爆破したのは私……といえば判ってもらえるかしら?」
「っ!?
 だ、だましたのか!?」

……こんな手に引っかかる方が悪い。
って言うか、なにのこのこ出てきてるんだか?

「ぼ、僕じゃない!
 そうだ、衛宮さ。
 衛宮が君と同盟組むなんてだまして裏でこそこそやってるんだ。
 君だって判ってるんだろ?
 だからここに一人出来たんだ」
「ふぅん。
 それは考えた事も無かったわ。
 なるほど、衛宮君が一人でこそこそやってる、ねぇ」
「そ、そうだ。
 だからそんな奴切って、僕と手を組めよ。
 あんな奴よりよっぽど役に立つ」
『ねぇ、出てきていいわよ』

リンからの念話が私に届く。
本当、赤いあくまだねリン。
でも、そういうところ結構好きだよ。

「ねぇ、後ろ向いてみて」
「は? 後ろに一体何が……っ!?
 え、衛宮!?」
「よう、色々言いたい放題言ってくれたみたいだな」
「な、何で!?」
「同盟組んでるって、聞いてなかったか?」
「まぁ、今朝の時点では人目があったから見逃してあげたけど、今見逃す必要はないわよね?」

私たちが立っているのは間桐慎二をはさんだ両端。
校舎はリン達が押さえ、校門は私達が押さえている。
逃げ場は無い。
逃がす気もまた、無い。

「ひ、ひっ!?」
「シンジ……くっ!
 二人掛りとは……騎士の誇りとやらは如何したのです?」
「……外道にかける情けは無い」
「アーチャーの言うとおりですね。
 ライダー、貴様はここで消えるがいい」

私とセイバーが武装する。
セイバーが両手で風王結界を構え、私がセルスクラーフェを鞘から引き抜く。
ライダーの頬に冷や汗が光る。
前門の虎、後門の狼。
いや、校舎のライオン、校門の……なんだろう?
まぁ、いいや。

「……絶体絶命、といった所でしょうか?」
「なにのんきに言ってるんだよ!
 くそっ!
 何手なんか組んでるんだ、卑怯だぞ!」
「貴方に卑怯者呼ばわりされたくないわね」
「慎二、とっとと結界を解除しろ。
 そうすれば命まではとらない」
「くそくそくそっ!!
 どいつもこいつも僕のこと見下しやがって!
 ライダーこんな奴等やっちゃえよ!」

状況把握が出来ていないのか、慎二はそんな無謀な事を己がサーヴァントに命ずる。
無理だろう。
あのサーヴァントがどういう能力を持っているかは知らないけど、私とセイバーを相手に勝てるとは思えない。
……少なくとも能力は、私一人でも勝てる程度の力しかない。

「……」
「おい、やっちゃえって言ってるのが判らないのか!」
「鮮血神殿を解除します」
「ん? そんなの勝手にしろよ、もう役に立たないんだから」
「はい」

抉り取られた屋上。
その床のあった場所に深紅の魔方陣が浮き出て、消えた。
あれは魔力でつづられた魔方陣。
だから書かれていた床が消滅しようとそこに残る。

「……私の力では、あなた達には勝てません」
「おい、何言ってるんだ。
 僕はやっちゃえっていってるんだぞ!」
「……仕方が、ありませんね」

結界に蓄えていた魔力。
呪刻の分は完全に消えたはずだから、本体に残ったのか。
それを戻したのだろう。
僅かとは言え、その存在に感じる魔力が上がっている。
と。

「む?」
「……?」

ライダーは、完全にセイバーに背を向けて、私に向き直った。

「……ここは退きます、が。
 マスターの命もあります。
 一組くらいは倒させていただきましょうか」
「何言ってるんだライダー!?」
「見た所、僅かに対魔力は貴女の方が弱いようですね。
 すみませんが、消えていただきます」
「……なに?」

ライダーが、その顔を覆う眼帯を取り払う。
――――っ!
私の体に、言い知れない重圧がのしかかる。
あの瞳……あれは。

「石化の……魔眼!?」

士郎が、苦しげにうめく。
そう。
他の存在に干渉する最高位の魔眼。
なら、このライダーの真名は……

「……メドゥーサ」
「えぇ。その通りです、アーチャー」
「な……え?」

無表情で己が真名を肯定するライダー。
既に話についていけていないそのマスター。
……さて。
私に石化がかからなかったといってもこの重圧。
まともに戦えば不味いか。
それに……

「くっ!」

士郎は動けないみたいだし。
……石化しなかっただけまし、か。

「シロウッ!」
「おっと、動かないでくださいセイバー。
 貴女が私に駆け寄るより、私が向こうに駆ける方が速い」
「――――っ!」

事実だろう。
それに、士郎は石化していないんじゃなくて、させていないだけだろう。
その気になればいつでも石化させられる。
……それもセイバーに対する牽制、か。

「変な動きはしない方がいいですよ。
 あちらのマスターが石像になってもいいと言うのなら話は別ですが」
「くっ!」

やっぱりか。
神域の魔眼を、士郎の魔術耐性で防げる訳が無い。
……それでも、戦いを始めればまだ私のほうが、強い。
私は、いつライダーが襲い掛かってきてもいいように、セルスクラーフェを握り締める。

「ふふふ……身構えるのはいいですが、私がまともに戦うとでも?」
「……?」
「アーチャー、貴女は強い。
 重圧にかけられたその状態ですら私を打倒するに問題は無いはず」

……多分。
それも事実。
侮っていたか。
あの組は確かに、マスターは屑だけど。
その分ライダーがしっかりと敵の状況を分析している。
……この分だと私達がパートナーを交換している事も見切られている、か。
だからこそ、この脅しが効くと確信している。
……そして実際、セイバーは今動けない。
その彼女が、そういうからには何かそれを覆す手があるのだろう。
そしてそれは、私の知識の中には一つしか該当するものが無い。
……いや。
真名が割れている以上、彼女がそれを隠す必要すら、無い。

「その顔は思い至ったようですね。
 ……私とて、こんな目立つ所で使いたくは無かったのですが。
 えぇ。確かに私は貴女には及ばない。
 しかし……私の宝具は他のサーヴァントを凌駕する!」
「「「「な―――!」」」」
「―――っ!」

彼女が短刀を持ち上げる。
それと同時に、その場にいた全員から驚きの声が上がる。
なぜなら、彼女はソレを自らの首に押し当て。
―――ソレを一気に切り裂いたのだから。

「な―――なにを?」

マスターである慎二すら、その光景に驚きを隠せない。
私は。
その血で魔方陣が描き切られるより先に。

「ほぅ。私がなにをするのか予測しましたか。
 しかし、その程度の風如きで私の疾走を妨げる事などできない!」

全力で『風王結界』を前面に展開する。
士郎が動けない以上、避けるわけには行かない。
私が身を翻せば、その途端彼女は士郎ごと私を消し去る。
よって、つれて逃げるという選択肢もまた、無い。

「セイバー!」
「っ! 判りました!」
「もう、遅い!!」

魔方陣を展開し、完全に私だけに意識を向けている今だけが彼女を倒せるチャンスだった。
……それを逃した。
仕方が無い。
幾らセイバーといえど、ここまで非常識な宝具の展開方法があるなどとは思いもしないだろう。
私とて、彼女の真名を知らなければセイバーと同じ様に呆けていた。
魔方陣の眼が見開かれる。
―――閃光、ついで衝撃!
光の矢が私を襲う。
風王結界が悲鳴を上げる。

「―――くっ!」

破られる、同時、展開。
風王結界ではその衝撃に一秒も耐えられない。
破られる、展開、破られる。
このままでは展開が間に合わない。
展開が間に合わなければ、私も士郎も生きてはいられない。
……なら。

「―――限定、解除(リバース)
 集まれ、大気。
 界を覆う者よ。
 その力をこの場に示せ」

風王結界に掛けられた『鍵』を取り外す。
―――ガコン
と。
錠が外れた。
風王結界と名づけられたソレは、本来の力を呼び起こす。
鞘ではなく、魔術。
否。
落ちたとは言え、ソレは魔法。
風属性魔法の真の力。

「行け『遺失魔術(ロスト・マテリアル)』
 …………『根源の風(タイプ・ウィンド)』」

―――轟っ!
ソレは世界中からかき集められた高密度の大気。
風王結界のソレとは比べ物にならない風とマナの障壁が、純白の天馬の疾走を阻む。
……しかし。
ソレも決壊は近い。
開放された『根源の風』の力を持ってしても、完全に天馬の突撃を防げてはいない。
原因は私。
『根源の風』の力は決して天馬に後れを取るものではない。
何故押されるのかといえば、私にかけられた重圧。
私の全ての能力が1ランク落ちるという事は。
即ちこの『根源の風』の力をも1ランク低下させられるという事だ。
このままでは、私も士郎も消滅は免れないだろう。
……だけど。
『根源の風』は今、天馬の突進を食い止めてはいる。
ならばやる事は一つだ。
今天馬の力が此方まで及ばないのならば。

「……士郎」
「なっ!」

私の後ろで呆けてるセイバーのマスターを。
思い切り横へ投げ飛ばした。

―――瞬間。

「アーチャー!!!」
「シロウ、アーチャー!」
「士郎、アーチャー!!?」

風の守りが食い破られ、私は天馬の直撃をその身に受ける。
元々、私の限界を超えた『根源の風』を使用した事による反動で傷ついていた身体は、その衝撃で簡単に意識を手放した。
ただ、士郎が無事に攻撃範囲から逃れたのを、その声によって判別できた。
ソレだけが、救いか。


後書き
今回の戦闘、ちょっと趣向を変えてみました。
いつもぼかすか殴りあうだけじゃあれなんで、頭脳戦の方に。
結果的にはアーチャー達の惨敗ですけど。
まぁ、これもいい経験という事で。
色々変更されたんでアーチャーのステータスその2。

クラス:アーチャー
マスター:遠坂 凛
真名:??
性別:女性
身長:154cm
体重:42kg
属性:混沌・善

筋力:A耐久:C
敏捷:B魔力:A
幸運:B宝具:−

保有スキル
直感:B:戦闘時、常に自身にとって最適な状況を感じ取る能力
千里眼:B:視力の良さ。強大な魔力による後押しにより、透視も可能
心眼(真):C:多くの経験に裏付けされた戦闘理論。騎士王の技術継承により上昇
魔力放出:A:魔力を用いたジェット噴射。騎士王の技術継承により上昇
魔術:C+:得意とする魔術のみ+補正(投影、変化、強化、解析)
是、射殺す百頭:C〜A:大英雄ヘラクレスの宝具、『射殺す百頭』の剣技のみを抜き取った技術。第一段階でランクB第二段階でAの対人宝具級のスキル。
根源の風:C+++:風の始源魔術。元風魔法。風魔法の神秘が低下し、魔術となったその瞬間の魔術。現代では再現不可能とされ、遺失魔術とも呼ばれる。

宝具
無し

と言う訳で、とうとう宝具なくなりました。
……その他が反則ですが。
根源の風が騎英の手綱に負けたのは重圧でD+++に落ちたからです。
よってアーチャーはA+(100)−D+++(80)=D(20)ランク相当のダメージを受けます。
暫く戦闘不能っぽい。
って言うか、結構設定魔な私……

レス返し
<<遊恵さん
普通なら行かないと思います。
元々監視していたのならその前に邪魔するでしょうから。
そうでなかったら普通なら罠が仕掛けられているくらい考えるでしょう。
……仕掛けてませんでしたが。

戦闘はあっさり一話で終了。
結果は見事に逃げられてますが。
しかもアーチャー負傷。

<<最上さん
アーチャーも街中うろついてるとは思わなかったようです。
流石慎二。
予想の斜め下を行ってますね。

学校にのこのこ来たライダーと対峙して。
……逃げられちゃいました。
と、言うか。
相手が目的果たしてる時点で敗北。
……如何だろう?
これは予想外じゃない?

実はアーチャーもたいして変わらなかったりする。
アーチャーの場合、自分に近しい人限定ですが。
そして大抵、考えた末どうしようもない時にのみ盾になる。

<<powerLさん
慎二ですからねぇ……
ライダーは慎二の方針に従わなければ強いという設定になりました。

士郎に関しては……無駄でしょう。
横にいてぴっぱたいてくれる人がいないと駄目です多分。
うーん……なんかセイバーも士郎の相手候補に上がり掛けてる様な?
まぁ、セイバーか凛か桜か……その辺りとくっつけば少しは落ち着く……かな?

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