(さてと、確か再不斬の最初の行動は確か・・・)
原作の内容を思い出しながらサスケは、右太腿のホルスターから『劫火』を抜くと倒れるように後ろに体重を移動させつつ、そのまま自分の背後――自分とタズナの間の空間に向けてそれを振るった。
ガギィン!
刃と刃が激突する鈍い金属音。
――――サスケの記憶通り、再不斬はいつの間にかそこに移動していた。原作と違う点があるとしたら、微かに驚いた表情で馬鹿でかい刀―首切り包丁―でサスケの無造作な攻撃を受け止めていた点か。
そこにカカシが受け止めたその隙を見逃さず、一瞬で間合いを詰めて再不斬の胸にクナイを突き立てる。躊躇いの無い必殺の一撃にナルト達が目を見開く。
が、次の瞬間もう1人の再不斬がカカシの背後に音も無く現れて、首切り包丁を振るおうと構える。
カカシが仕留めた方の再不斬が、水と化して消える。
一閃。
カカシの体は真っ二つになり―――――そして、それも水と化した。
「なっ、水分身だと!?この霧の中でコピーしたってのか!?」
「動くな・・・終わりだ。」
気がついた時には再不斬の首元にクナイが突きつけられていた。突きつけているのは・・・・カカシ。いつの間にやら彼も水分身と入れ替わってたらしい。
傍目から見れば既に勝敗の決まった状況。だが再不斬の顔にはさっきよりも大きな動揺が現れてはいたが、なぜか浮かんでいるのは不敵な笑み。
「ふん、さっきの霧の時に水分身をコピーして本体は霧隠れに紛れて俺の動きを伺ってたって寸法か?だがな・・・・・」
「俺もそう甘くはねえんだよ。」
その声は、カカシの『目の前にいる』再不斬からではなく――――いつの間にか、カカシの『背後に居た』再不斬が発したものだった。
同時に、カカシがクナイを突きつけていた再不斬がまた水と化す。そっちも水分身だったらしい。
「そのまま返すぜ、『終わり』だ!」
カカシの背後にいた本体が横一閃させようと構えて振りぬき、ギリギリのタイミングでしゃがんだカカシの頭上を通り過ぎていく。
反撃に出ようとしゃがんだ姿勢のまま動こうとするカカシ。だがそれよりも速く、振りぬいた勢いのままの遠心力と体重を乗せた再不斬の後ろ回し蹴りがカカシの腹部に直撃し、吹っ飛んでったカカシは池へと落ちた。
「「(カカシ)先生!」」
ナルトとサクラの叫びを余所に再不斬は追撃を食らわせようと突っ込みかけた・・・が、足元にばら撒いてあったまきびしに気づくと、つまらなそうに鼻で笑ってから瞬身の術で消える。
その間にカカシは水面まで浮上していたが。
「!?この水、えらく重たい!」
「ふん、バカが!水牢の術!」
「しまっ・・・!!」
再不斬の言葉と共にカカシは水の球体――水牢の術によって閉じ込められた。カカシ本人は水の中に逃げ込んだつもりだったが、どうやら相手の思う壺だったようだ。身動きできない。
「はまったな・・・脱出不可能の特別牢獄だ!さて、お前に動かれたら厄介だからな、先にあいつらを始末するか・・・・・水分身の術!」
ナルト達の前に水分身が現れる。
担当上忍は身動きできず、残ったのは3人の下忍と依頼人。相手は凶悪な抜け忍。
正直な所かなり絶望的な状況なのだが――――1人だけ、慌てもせずにただ再不斬を見ている人間が居た。
彼・・・・・うちはサスケの顔に浮かんでいるのは、恐怖でもなく、焦りでもなく――――――
(さーて、そろそろ俺らの出番だな)
再不斬が本当の忍者彼是・・・なんて一席打った後、水分身の方が印を組んで、姿が溶けるように消えていく。
そしていきなり、ナルトが突然出てきた足に蹴られてふっ飛んでった。うわ、結構痛そうだな。そして現れた水分身が、外れたナルトの額当てを踏みつける。
「ただの餓鬼だな・・・あんなのに鬼兄弟は負けたのか?」
「ぐっ・・・・お前らぁ!!タズナさんをつれて逃げろ!!こいつとやっても勝ち目はない!俺を水牢に閉じ込めているかぎりこいつは動けない!!水分身も本体とある程度離れれば使えないはずだ!!とにかく今は逃げろ!!」
カカシが水牢の中から叫ぶ。ナルトもサクラもタズナ、一様に同じ表情―紛れも無い恐怖を顔に貼り付けて、カカシを見ている。
そして言われたとおり3人が逃げようと一歩足を後ろに引いたのに対して、俺の反応はというと。
「なっ!?」
「サスケ!?」
「サスケ君!?」
―――――ただ1人、前に踏み出した。
「ふん・・・・その眼、テメエはうちはか?うちはイタチの手によって一族全員皆殺しにされたと聞いたぜ。」
「まあな。正確にゃ俺だけ生き残ったんだ。それを知らないって事は、あんたが持ってる情報網はろくな物じゃないみたいだが・・・・」
「抜かせガキが。その度胸は褒めてやるが、おとなしく担当上忍の命令を聞くべきだったな。」
「どうせあっさり逃がしてくれるつもりは無いんだろ?それなら水分身を倒してからの方が早い。」
「な、何言ってるのサスケ君!?こんなのと戦って勝てるわけ――――」
「何とかなるだろ。本体はともかく水分身ぐらいならな。」
水分身は影分身とかと比べるとありていに言っちまえば質が悪いらしい。原作でも何とかなってたしな。
まあ、その前にナルトに火ぃつけてやんなきゃいけないが。
「サクラ達はその人を連れて先に逃げろ。俺がここで食い止める。」
「そんなサスケ君っ!」
「なっ、サスケお前・・・・」
「忍者になった時から決めてたからな・・・・大切なものは必ず守るって。」
「―――――!」
背後で息を呑む気配がしてからふと、ナルトが俺の横に並んで戦闘体勢をとった。
その目にはさっきみたいな恐怖とは打って変わって決意に満ちた前向きな光が宿っていて、顔には―なんつーか、男らしいって表現が一番しっくり来るような―不敵な笑みを浮かべてる。
結構感化されやすいナルトの性格を利用して、ナルトの中に火をつけようとした俺の目論見はどうやら当たったらしい。
「目ェ覚めたか?」
「!!・・・・ああ。俺も忍者になった時から決めてたってばよ。必ず火影になって、里の奴ら全員に俺の事認めさせてやるって。それなのに、こんなところで怖気づいててたまるかってばよぉ!!」
「よし、それでこそ俺の知ってる『うずまきナルト』だ!それじゃあまずはあの分身をぶちのめしてお前の額当てを取り戻すぞ!」
「おおっ!!」
下忍コンビの反撃が、今始まる。
あとがき:前回の更新から少し間が空いてしまいました。
高校の卒業式も終わったので、これからペースや文章の量を少しずつ増やせれば幸いです。
>たぬきち様
ご声援ありがとうございます。自分もその辺りは気にして入るんですが・・・(汗)
>somosomo様
>ブック様
あのくだりの表現は賛否両論のある映画が元ネタです。それからそちらの言うとおり、サスケの覚える技のバリエーションは原作よりも多くするつもりです。次回から早速出てくるかと。
サスケVS白は・・・・その時のお楽しみという事で。とにかくサスサクは混ぜるつもりです。
>地獄の黙示録様
分かりましたか元ネタ(笑)分かる人がどれだけいるか微妙なネタだったんですが。
因みにワーグナーかけながらナパーム爆撃するかどうかはまだ未定です(オイ)。
今日はこれで失礼。
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