インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「.hack//Dawn 第16話(.hackシリーズ+オリジナル)」

白亜 (2007-03-03 23:40)
BACK< >NEXT

 reverse/カール

 目の前で友達が砕け散った。

 何故、どうして? 目の前で起こった事を完全に理解出来ない。

 だけど、それは現実。 それは事実。 だから苦しい。 だから辛い。

「アルフ……アルフ!!」

 目の前が真っ赤に染まる。 自分の中に怒りが浸透していく。

 あれを倒さなければならない。 ソラを飲み込み、アルフも奪った存在を。

「スケエェェェェイス!!」

 カールは重斧を構え、己の感情に任せるまま、スケィスに突撃した。

 reverseout


 .hack//Dawn 第16話 突激度再・私殺強者


「くそっ! カールの奴!」

「そんな事を言っても始まりません! 急いで探しましょう!」

 カールが転送された後、俺達も後を追ってやってきたのだが、周りにカールの姿はない。

 くそっ! 何処に言ったんだ。 もしスケィスと出会ったら、今度こそどうなるか分からんぞ。

 俺はアイテム欄から再び快速のタリスマンを取り出して、即座に使用。 移動速度を上昇させる。

「まったく何処にいるんだ」

「ダンジョンじゃないですか? アルフさんがダンジョンに行っていたとしたら」

「だな」

 すぐさま、昴と一緒に妖精のオカリナを使って、周りの状況を確認。 ダンジョンの場所も特定出来た。

「くそっ! 手遅れだったか!?」

 ダンジョンに近づけば近づく程、爆音のようなものが響いてくる。

 明らかに戦闘状態に入っている事に他ならない。 もちろん通常のモンスターとの戦闘とも考えられる。

 しかし、今の状況から考えて、楽観的になるのは明らかに危険だ。 スケィスとの戦闘状態になってると考えたほうがいいだろう。

「いた!」

 やはりと言うべきか、カールが再びスケィスと相対している。 前回と違う点は、子アウラがいない事と、カールが明確な意思でスケィスを攻撃している事だろう。

 だが、無謀だ。 スケィスを倒す事は俺達には出来ない。 アルビレオの攻撃なら何か可能性があるかもしれないが、本当に倒せるか不明だし。

「昴! カールを掻っ攫って逃げるぞ!」

「無理な場合は!?」

「アルビレオが来るまで保たせるしかないだろ!」

 アルビレオの正体不明の槍ならば、スケィスにダメージを与える事が出来た。

 つまり、俺達がスケィスをどうにかするには、アルビレオに来てもらうしかない。

「くそっ!」

 でもそれは無茶な話だ。 スケィスの攻撃はこちらのHPを容赦なく削る。

 しかし、こちらの攻撃はまったくもって通用しないのだ。 更に言えば、データドレインなんぞ食らったら一撃で終わりなのだ。

「カールさん!」

「えっ、昴にサイリス!?」

「無茶苦茶だから逃げるぞ!」

「でも! こいつはアルフを!」

「っ!?」

 カールの言葉にはっとする。 周りを見れば、二人の幽霊が存在しているのだ。 だが、その幽霊の中にアルフはいない。

 気を失っているのか、うつ伏せになっているが、二人は双剣士と剣士。 アルフは呪紋使いだ。 アルフではない。

 それはつまり、スケィスにデータドレインを受けたからに他ならない。

「だけど、俺達じゃあいつは倒せない! 今は逃げるしかない!」

「だけど……!」

「カールさん……!

 俺と昴の声を聞いても、カールの目には怒りが宿っている。 そこまでアルフを失った事に対して怒りを感じているのだろう。

 だが、どうにもならない事はあるのだ。 事情を知っている俺だからこそわかる事なんだけど……。

 とにかく逃げるしかない。 俺達までデータドレインを受ける訳にはいかない。

 だけど、

「スケィスが!」

 さすがに時間が経ちすぎた。 少しの間、動きが止まっていたスケィスが再び動き出したのだ。

 その手には先程、アルフを食らったと思われる十字架も握られている。

「くそっ!」

 俺としては逃げたい。 というか戦略的に見て、撤退推奨なのだが、カールが動きそうにない。

 昴もそれを分かってしまったのか、戦闘態勢に移っている。

 俺はため息を吐きながら、【大剣・ヴァジュラ】を構える。 仕方がない、スケィスも逃がしてくれるとは思えないし、戦うか。

 ……アルビレオ。 頼むから早く来てくれ。


 ■□■□■


 reverse/アルビレオ

「メール?」

 俺がそれに気がついたのはサイリス達と別れてから40分ぐらい経ってからだ。

 あの後、ログアウトした俺は、すぐにあの場所の事を調べ始めた。

 データ容量の急激な増加は多分だが、あの【スケィス】に原因があるのに間違いあるまい。 いや、それしか原因が思い当たらない。

 だが、それはいいとして幾つか気になる事がある。

「サイリスは奴の存在を知っていた?」

 何故か、サイリスは【スケィス】の事を詳しく知っていたような気がした。 いや、知っている筈である。 でなければ、あのような指示を出す事なぞ不可能だ。

 問い詰めなければならない、という気持ちもあるが、俺の心にもう一つの思いがあった。

 サイリスは黄昏の碑文について何か知っている可能性があるという事だ。

 それに対しては興味が尽きない。 それは昔から俺は黄昏の碑文に興味を持っているからだ。

 もし、話せる機会があるなら、心行くまで黄昏の碑文について語り合いたいものだ。

「それどころじゃないな」

 回想終了。

 外からでは、あまりデータ容量の増加については分からなかった。 柴山達に引き続き調査を頼んだが、原因が分かるかは不明だ。

「サイリスから?」

 メールの宛て名主を見ると、そこには先程分かれた人物からであった。

 何かあったのだろうか? 俺は開いて、文面を見て、少しの間唖然として、すぐに俺は再びザ・ワールドに行く事にした。

 ――スケィスのいる場所に再び仲間が行った。

 簡単に説明すれば、そんな内容だ。

 一言で言えば、無謀の一言だ。 スケィスはこちらの攻撃を受け付けない。 いや、確かに攻撃を受けてはくれるが、HPが絶対に0になる事はない。

 俺の槍――【ミスティルテイン】ならば、ある程度ダメージを与えられるが、HPを0にする事は出来ない。

 だが、現在一番有効的な攻撃である事に違いない。

 だからこそ友人を心配したサイリスが俺の所にメールを送ってきたのだろう。

 正直、【アルビレオ】で一般プレイヤーに関わるのはかなり拙い。 ……が、

「非常事態だ」

 この一言で、そんな規定内容を一蹴した。

 サイリスも昴、そしてほくとは【アルビレオ】の仲間と言っていい程関与してしまったのだ。 今更見捨てる訳にはいかない。

 それにザ・ワールドの謎に関与している人物でもあるのだから。

「急ぐぞ」

 俺はそれだけ呟くと、すぐにザ・ワールドにログインした。

 reverseout


 ■□■□■


「くそっ!!」

 俺は現在逃走していた。

 スケィスとの戦闘はやはり無謀の一言だった。 こちらの攻撃はダメージになる事はない。

 多分だけど、プロテクトブレイクをやれるぐらいのダメージを与えた気はするが、その先が出来ない俺達はやはり無謀だった。

 大量の回復アイテムを使っての消耗戦。 だけど、それは無駄の一言ですまされてしまう。

 結局の所、どれだけ頑張ろうが、俺達にあいつを倒す手段は存在しないのだから。

「はぁ!」

 逃走していた足を止め、追ってきているスケィスに再び斬りかかる。 だが、それもあっさりと十字架で受け止められてしまう。

 だが、ダメージを与える事が目的ではない俺は、すぐさま逃走を再開する。

 その直後に、俺が先程居た場所に十字架から放たれる衝撃波が通っていく。

 危なかった。 もう回復アイテムの残りは少ない。 一撃のダメージが俺を死を招くには十分だった。

「昴とカールは無事だよな……」

 長時間の戦闘のせいか、HPがレッドゾーンになった昴とカールは意識を失っていた。

 最初に戦闘を開始した場所で倒れているだろう。 だが、それは致命的な行動に他ならない。

 動きが取れないPCなぞ、スケィスのデータドレインの餌食になるだけなのだから。

 その為に、俺が必死に逃走してるのだけどね。

 俺が気を抜いた瞬間、一瞬で目の前に移動するスケィス。 俺が驚くと同時に十字架による斬撃が襲い掛かる。

「がっ!?」

 なんとか防御したが、衝撃を殺しきれず後方に吹っ飛ばされる。

 どうにか着地は成功したが、それは決定的な隙を生み出してしまった。

「しま――!?」

 諸に再び放たれた十字架の攻撃を受けてしまう。 まさに直撃だ。

 俺の体は先程とは比べ物にならないぐらい後方に吹き飛ばされる。

 限界だ。 既に【俺】も【サイリス】も体力が残っていない。 これだけ絶望的な戦いを保たせたのだから賞賛の言葉が欲しいぐらいだ。

「くそ……」

 意識が朦朧としている。 本来、ゲームならこのような事は起きる事はないのだが、スケィスやトライエッジとの戦いはそうもいかないらしい。

 リアルの俺自身にもダメージが来ている。 もう戦闘続行は不可能だ……。

 もう意識が保たない……。 これで俺もスケィスのデータドレインを食らう可能性が高い。

 だけど、俺が意識を閉じる寸前に、地中から何か出現するようなものを見て、完全に目の前が真っ暗になった。


 ■□■□■


 reverse

 それが現れたのは突然の事であった。

 スケィスがPCを遅い、データドレインしていたのは、あの重槍使いから受けたダメージの修復の為であった。

 その為、適当な場所でPCを一体ドレインしたのだが、その後に自分が抹殺しなければいけない対象を守っていたPCが現れた。

 渡り舟とばかりに、攻撃を開始。 その後に増援が2つ現れた後も攻撃を続行。 なんとか一番しぶとかったPCも倒す事に成功した。

 その倒した獲物をドレインしようとした瞬間、突如地中から知覚外のPCが現れる。

 上半身裸であり、体中が継ぎ接ぎで出来たPC。 明らかに普通のPCではない。 だが、スケィスがその事を知る筈もない。

 明らかに地中から現れたPCは今倒したばかりの獲物を庇いながら、自分に敵意を向けている。 ならば倒す。 それだけの事である。

 再び十字架による攻撃を繰り出そうとした瞬間、黒い線が走る。 気がつけば、目の前のPCがその手に持つ剣を一閃させていたのだ。

 無情にも切り裂かれるスケィスの腕。 本来なら断たれる事がない腕が切り裂かれていたのだ。

 その事によりスケィスの思考に乱れが出る。 慌てて断たれていない腕で十字架を握り、危険な存在であるPCを攻撃するが、それは無駄な行為でしかなかった。

 どれだけ十字架を振り回そうが、ことごとく継ぎ接ぎだらけの裸男は全ての攻撃を弾いて行く。

 それは明らかにスケィスの力を上回っていた。 そして通常攻撃では傷がつかないスケィスを傷つけていく。

 そこでやっとスケィスは気がついた。 先程までは自分が【捕食者】であった。 だが、今は違う。 目の前の裸男に【狩られる】哀れな羊だと言う事に。

 だから逃げた。 迷わず逃げた。 勝てなければ逃げるしかないのだから――。


 ■□■□■


『……ふぅん。 戦うばかりの存在だと思ってたけど、中々知性は残ってるじゃない』

 スケィスが逃げ去った後、その場に残された継ぎ接ぎの裸男と倒れ伏す白い重剣士だけが残された。

 だが、裸男は倒れている重剣士に目もくれない。 そもそも裸男にそのような知性はないのだから。

『サイリスを殺すのは私の役目。 誰にだってその役目を譲る気はない』

 その声の主は倒れているサイリスを見て、声を紡ぐ。

『オーヴァンの言葉じゃないけど……。 強くなりなさいサイリス……』


 ―――私に殺されるぐらいね―――


 reverseout


続・あとがきっぽいもの
主人公負ける。 裸男降臨。 いや、今回ってこれだけ?


レス返しだと思う

・遊恵さん
初の意識不明者はSIGNの楚良です。 アルフは二番目ですよ。
ZEROは完結してないけど面白いので、余裕があれば見てやってください。

・alfredさん
昴とかぶってた事に気がついたのは言われてからなので、このままで行きます(ぉぃ
ZEROは1しか出てないので、殆どオリ展開でした。

・SSさん
カールきゅんの性格が完全に違うので実際原作ではどんな行動に出るかさっぱり分かりません。 でもツンデレなカールきゅんならこんな行動ぐらいとってくれると信じてる!
Dawnを面白いと言ってくれるなら何よりです。 まぁ、この先、どうなるかは分かりませんが。
柴山は……まだ内緒で。

・ジョヌ夫さん
アルフが散るのは世界の真理です(嘘
アルビレオは当然ですけど、疑念で一杯。 主人公の事をいいか悪いかは別で、色々疑問に思ってます。 まぁ、その辺はそのうちやるんで。
他シリーズのキャラを色々と味方につけてますけど、それに反比例して敵も増えていく。 悲しいけどこれが現実なのね。
もうDawnは色々と好き勝手やってます。 この先の展開は作者にも分からない!
お互い頑張りましょう。

・レリスさん
アルフの事はやっぱりバレバレ。 まぁ、分かるよねぇ(苦笑
カールはこれから色々頑張ってもらう予定です……多分。
今は味方フライング組みは出てきません。 その代わり、色んなシリーズから出張してくる味方がいますけど。
これからも頑張るのでまた見てやってください。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

e[NECir Yahoo yV LINEf[^[z500~`I
z[y[W NWbgJ[h COiq@COsI COze