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▽レス始

「.hack//Dawn 第15話(.hackシリーズ+オリジナル)」

白亜 (2007-02-27 14:38)
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 reverse/カール

「大丈夫……あたしが!」

「カール……」

 あたしはアウラを抱えて聖堂を飛び出す。 まずどうすればいい?

 ソラを助け、アウラも助ける事があたしの役目だ。 だけど、どうすればいいか、まったく検討もつかない。

 ソラに憑りついている【何か】を倒すべきなのだろうか? だけどどうやって?

「カール!」

「くっ、もう!」

 聖堂から何かが出てきた。 けどそれはソラとはまったく違う存在だった。

 黒い体。 その手には赤い十字架のようなものを持ったモンスターだ。

「あれが……ソラなの……」

「あれは【スケィス)……」

「【スケィス】?」

 アウラは名前を知っているようだけど、正直な話、それどころじゃない。

 あきらかにソラ――スケィスはあたし達を狙っている。 しかも異常な事に、スケィスのHPは……!

「バグってる!」

 試しに巻物による攻撃を仕掛けてみる。 直撃。 雷の呪紋がスケィスに直撃したが、HPバーが減る様子はない。

「―――!!」

「くうっ!」

 スケィスが赤い十字架を振り回したと思ったら、衝撃波のようなものがあたし達に襲い掛かってきた。

 避ける事は不可能。 あたしはなんとか重斧で防御したが、HPが四分の一も削り取られていく。 危なかった。 直撃したら間違いなくやばかった。

「このままじゃ勝てない……」

 正直な話、回復アイテムの残りはそれ程多くない。 高レベルな敵との回復アイテムを大量に使った削りあいは何回か経験はあるけど、肝心のアイテムがなければ、どうにもならない。

 そしてスケィスが再び、赤い十字架を振り上げた時、

「―――」

「―――」

 突然、あたしの目の前が真っ暗になった。

 reverseout


 .hack//Dawn 第15話 怖恐之死・砕散友達


 reverse/アルビレオ

「渡会さん!」

「ん、どうしたんだ柴山。 何か問題でもあったか?」

「はい。 【Δ 隠されし 禁断の 聖域】に入る事が出来ないと、通報がありました」

「何?」

 俺はオフィスに入ってきた柴山の言葉に眉を顰めた。

 フィールドに入れない、というのは基本的にない。 ごくまれに、バグの修復作業の為に、プロテクトをかける事はある。

 だけど、その通知は俺の所にもやってくるし、ザ・ワールドの公式HPでそのような文書を出す筈だ。

 その為、エリアに入れない、という通報は公式HPを見なかったプレイヤーぐらいしか来ないのだが。

「今日は特にバグの修復でエリア閉鎖は行っていない筈だな」

「ええ。 ですから、何かバグが発生したと考えられますが」

 もしかすると、転送システムにバグが発生したと考えられるが……、

「通知された場所以外の転送は可能なのか?」

「はい。 転送できないのは一箇所だけだそうです」

 つまり、何かしらの問題が【Δ 隠されし 禁断の 聖域】にあるという事か?

 俺は【トライエッジ】と呼ばれた存在や、リコリスなどの存在を頭に浮かべる。 可能性は低くない。

「分かった。 俺も【アルビレオ】として入ってみる。 お前達は外から原因を探してみてくれ」

「分かりました」

 俺は柴山にそう言うと、さっそくザ・ワールドに入ろうとする。

 が、

「ああ! すいません渡会さん、もう一つ」

「ん?」

「通知が来る前、そのエリアのデータが急激に増量したみたいなんです」

「……柴山。 今、急激にデータが増量しているエリアを至急探してくれ。 その後、そのエリアを至急閉鎖。 表にはバグの修復作業だと通知してくれ」

「分かりました!」

 もし、エリア閉鎖がそのデータ増量と何か関係があるのなら、調べて損はない筈だ。

 ……これも全て【モルガナ】と【もう一つの意思】が関係しているのだろうか?


 ■□■□■


 <LOG IN>

「ん?」

 俺が【アルビレオ】として、ザ・ワールドに降り立つと、そこに見慣れた二人組みを見つけた。

 白いコートに炎の呪紋を刻んだ重剣士と、背中に小さい羽をはやした重斧使い。

 サイリスと昴。 【トライエッジ】と戦った時に、共に戦ったで人物であり、リコリスの事を知っている数少ないプレイヤーだ。

 サイリスの事はあまり知らないが、昴はそれなりに知っていた。 プレイヤーによる自治体である紅衣の騎士団の長。

 それ故に彼女はCC社側ともそれなりに接触があった。 もちろん【アルビレオ】の事は知らないと思うが。

 そんな二人が、何か焦ったように転送装置で何処かに転送しようとしているが、一向に転送する気配がない。

 俺が首を捻ると同時に、芝山からメールが届いた。 【Δ 夢落ちる 鋼の 裏切り】でデータの増量が起こって、【Δ 隠されし 禁断の 聖域】でのデータ増量は収まったらしい。

 それを確認すると、とりあえず二人に話しかけてみる事にする。 様子が尋常じゃない感じがするし、二人なら何か知っている可能性もあったからだ。

「サイリス、昴」

「あっ、アルビレオさん」

「アルビレオ?」

 俺が声をかけると、ハッとした様子でこちらを振り向いてくる。

 一度手は休めたようだが、焦った様子は変わる事がない。

「どうかしたのか?」

「転送できないんだ」

 サイリスの簡潔な一言。 それはつまり二人は【Δ 隠されし 禁断の 聖域】にようがあるのだろうか?

 だけど昴の言葉でリアルの俺は目を丸くする。

「【Δ 夢落ちる 鋼の 裏切り】なんです」

「何?」

 先程からデータ容量が増加したエリアだ。 そのエリアにこの二人が意図的に行こうとしている。 これは偶然なのだろうか?

「何故、そのエリアに?」

「それは……」

「俺の知り合いから助けてくれ、というメールが来た。 前にリコリスからもらったメールと似た内容だ」

 昴の声を遮ってサイリスが答えてくれた内容に、俺は更に身を堅くするしかない。

 つまりこのデータ増量とエリア転送不可能の事に【もう一つの意思】もしくは【モルガナ】が関わってると言う事なのだろうか?

「つまり【トライエッジ】がそこにいるのか?」

「違う。 多分だけど、いるのは【スケィス】だ」

「【スケィス】?」

「黄昏の碑文に出てくる、禍々しき波の手先の一つ。 だと思ってくれ」

「なんだと?」

 黄昏の碑文。 俺が長年追い求めているもの。

 それがサイリスの口から出てくるとは思わなかった。

「くそっ! このままだとカールがまずい!」

「しかしプロテクトがかかっているとなると……」

「サイリス。 俺をパーティーに誘え」

「はっ?」

「早くしろ!」

「あっ、ああ!」

 サイリスからパーティーの参加要請が届くと、それにOKを押して、俺もサイリスのパーティーに加わる。

 正直な話、これはやりたくないのだが、緊急事態だ。

 転送システムのコマンドを呼び出すと、プレイヤー側ではなく管理者専用のコマンドを取り出す。

 これを使えば、プロテクトがかかっているエリアにも入る事が出来る。

「行くぞ【Δ 夢落ちる 鋼の 裏切り】だな」

「えっ?」

「アルビレオ」

「内緒にしておいてくれ。 緊急事態だからな」

 驚いた表情の昴とサイリスに対して、俺がそれだけ言うと、俺達は目的のエリアに転送された。

 reverseout


 ■□■□■


「内緒にしておいてくれ。 緊急事態だからな」

 俺は、アルビレオの行動に相当驚いていた。

 プロテクトエリアに入る方法は俺の知っている限り幾つかの方法しかない。

 一つ目は当然ながら、管理者達側の特殊なスキルか何かで入る方法。 そしてもう一つは【カイト】か【シューゴ】が持つ腕輪の力でゲートハッキングするしかない。

 なので、腕輪も持ってないし、管理者でもない俺と昴は途方にくれるしかなかった。

 そんな所に、アルビレオがやってきて、まさかプロテクトを突破してくれるとは……考えてもなかった。

「ってそんな場合じゃない!」

 なんでデバッカーであるアルビレオが協力してくれるのかはどうでもいい。 今はカールを助けなければならない。

 何故かと言うと、カール……というか匿名からメールが来たのだ。 文字化けしてたけど。

 で、どうにか解読した所、メールの内容に【カール】とか【アウラ】とか【スケィス】とか、実にとんでも単語ばかりだったのだ。

 だから、カールがピンチだと勝手に解釈。 それでカール達がいるらしいエリアにやってきたのだが……。

「くそっ、何処にいる!?」

 場所は草原、天気は晴れで夕暮れ。 だが、所々フィールドに違和感を感じる。

 それは、

「バグか……!?」

「酷い……」

 確かに美しい夕暮れを見せてくれるのだが、グラフィックの一部が剥がれており、数字や記号が浮かんでいる。 所謂バグだ。

 確か、ゲームでもスケィスやモルガナ八相達が出現するフィールドによく見られたよな。

 となればスケィスがここにいる確率が高い。

「なら、急いで探さないと……!」

 だがここに来て、ふと頭をよぎる。 今の俺達に何が出来る?

 スケィスがここに居たとしても、俺達では倒す事など出来ない。 あれを倒せるのは腕輪を持った者だけだ。

 俺が迷うが、次の瞬間に爆音のようなものが聞こえてきた。

「戦闘状態になってる!」

「行きましょうサイリス!」

「先に行くぞ!」

「迷ってる暇なんてないか!」

 昴、アルビレオに続いて俺も走り出す。

 勝つ事は不可能なのは間違いない。 だが、それだからと言って、カールを見捨てていい理由になる訳がない!

「まずは行動しなければ始まらない!」

 俺はこの間手に入れた【大剣・ヴァジュラ】を取り出す。 ドレインスキルを持った中々強力な武器だ。

 昴は【重斧・オーバーロード】を、アルビレオは……なんだありゃ?

 前に見た【神槍・ヴォータン】ではない。 白銀に彩られた武器……銘はなんだろう?

 って気にしてる場合じゃないな!

「いた、カール!」

 一つの丘を越えた先には、カールと予想通りスケィスがいた。 それにカールの腕の中に子アウラがいる。

 やらせる訳にはいかないか! もしここで子アウラに何かあれば、【黄昏の書】が【カイト】の手に渡らなくなってしまう。

 俺は【快速のタリスマン】を使用。 それにあわせて次々に強化アイテムを使用していく。

 スケィスを倒す事は不可能。 だが、完全にやれない訳ではない!

「でええいぃ!!」

「サイリス!?」

 疾走に合わせてスケィスを横一文字に切り裂く。 もちろんだが、ほとんどダメージはない。

 しかし、衝撃だけは防げないようで、スケィスの体がよろめいた。 そしてそこに昴とアルビレオの攻撃が入る!

「メライクルズ!」

「メガンローム!」

 雷撃と竜巻の呪紋攻撃がよろめいたスケィスに直撃していく。

 だが、

「くそっ! やっぱしダメージはなしか!」

「不死身なのかこいつは!」

 俺達3人は【トライエッジ】と言う謎の存在とも戦った事はある。 だが、スケィスはそれとはまるで違う存在なのだ。

「カールさん、大丈夫ですか!?」

「昴、あんたまで……」

「サイリスと一緒にいましたから」

 とりあえず動きが止まったスケィスを警戒する俺とアルビレオ。 その間にかなりダメージが入っているカールを昴が治療していく。

 だが、どうにもならないのが現状だ。 俺達一般PCのスキルではこいつをどうこう出来る力はない。

 と、なれば逃げるしか方法はないな。

「アルビレオ、ここは前回と同じ、逃げるしかない」

「だが、逃げられるのか?」

「さぁな?」

 ちらっと後ろを見ると、どうやら回復呪紋でカールは全快したらしい。

 そのカールなのだが、胸に子アウラがおびえたようにしがみついてる。 ……まるで親子だなありゃ。 髪の色も一緒の銀髪だし。

「カール、ゲートアウトは?」

「無理。 何回か試した」

「って事は……」

「あれにお帰り願うしかないな」

 もちろん倒す事は不可能だ。 アルビレオも昴もそれに気がついている筈だ。

 何せ、スケィスのHPバーに表示されている最大数字が既にバグってるし。

 はっきり言って、かなりやばい。 逃げる事は不可能、倒す事も不可能。 俺達、大ピンチだ。

「まぁ……どうにかするしかないな」

「そのようだな」

「アルビレオ。 あの十字架に気をつけろ」

「十字架?」

 俺とアルビレオの視線が、スケィスの右手に握られている十字架に行く。

 あれは非常にまずいを通りこして、スーパーとかウルトラかがつくぐらいやばい。

 あれに磔にされたら、データドレインで意識不明者にレッツゴーだ。

 だから、警告しておく。

「あれに磔されるな。 あの十字架の動きには絶えず注意するんだ」

「ああ、わかった」

 なんで俺がこんな事を知ってるのか、と問い詰めないアルビレオに感謝。 まぁ、そんな事してる場合じゃないって分かってるのだろう。

「行くぞ!」

「ああ!」

 それと同時に俺とアルビレオがスケィスに向かって突撃した。


 ■□■□■


「でああっ!」

 正直な話、俺とアルビレオがスケィスに対する相性は悪い。

 磔を食らわない為に、硬直時間が出来るスキルを使う事は出来ないので、絶えず動き回って通常攻撃を繰り返しているのだが、職業が悪かった。

 一撃に重みをおく、重剣士と重槍使いの動きはそれ程早いわけではないのだ。 その為、快速のタリスマンで動きを上げているのだが、スケィスの動きは思った以上に早い。

 俺とアルビレオの斬撃を軽々と捌いて行く。 それに合わせて、振るわれる十字架から発生する衝撃波が俺達のHPを削りとっていく。

 事前に大量の回復アイテムを渡された昴が、俺とアルビレオのHPを回復、能力上昇が切れたら、すぐに上昇させてくれるが、それでも焼け石に水な状態だ。

「くううっ!?」

「はああ!!」

 十字架の攻撃をアルビレオが槍で受け止めるが、衝撃を殺しきれず、後ろに吹っ飛んでいく。

 だが、スケィスの動きが止まる。 そうなれば、俺はすぐさま大剣で攻撃を加えていく。 もちろんHPが減る事はない。

 それにアルビレオが、すぐに切り返して、槍で攻撃を加えていくが、スケィスはそれを十字架で防いでいく。

「……ん?」

 違和感を感じた。

 アルビレオが一度後ろに下がったので、俺が続いて攻撃を加えていく。

 だが、スケィスは俺の攻撃を防ぐ事はしない。 何故なら、ダメージがはいる筈が……!

「まさか……!?」

 さっきからスケィスは俺よりアルビレオの攻撃を防いでいる。 それは何故?

 スケィスの特性なら、どんなダメージも0になる筈だ。 だから俺の攻撃を受けてもダメージは受けないし、時折カールが援護で使う呪紋を受けても平然としている。

 そんなスケィスがどうしてアルビレオの攻撃で防ごうとする?

 それはアルビレオの攻撃が脅威だから?

「試す価値はある! アルビレオ! 俺があいつの動きを止める。 その間に攻撃してくれ!」

「……分かった!」

「昴、カール!」

「分かりました!」

「任せて!」

 俺がスケィスに突撃していく。 狙いはただ一つ!

 アルビレオの攻撃を受け止めている十字架!!

「……!」

「――!!」

「ギバククルズ!」

「ギリウクルズ!」

 俺とスケィスが鍔迫り合いを開始すると、昴とカールの援護攻撃が入る。

 さすがに呪紋を食らえば、通常攻撃以上に動きが止まる!

「はあああ!」

「――――!?!?!?!?!?」

 アルビレオの槍が十字架を持っていた腕の肩に直撃すると、

「入った!」

 HPバーは減っていない。 だが、アルビレオの槍の攻撃を受けた部分が貫かれていた。

 バグの塊である今のスケィスを貫くなんて……。 一体、あの槍は?

「逃げた!?」

 予想外のダメージを受けたスケィスが逃亡していく。 もちろん追跡は不可能だし、するだけの力もない。

「……どうにかなった……奇跡みたいだ」

 俺の零した攻撃は俺達全員の心情を表しているようだった。

 とにかく生き残ったのだ、俺達は。


 ■□■□■


「じゃあ、俺はログアウトするから」

「ああ」

 奇跡的に生き残れた俺達はマク・アヌに戻ってきていた。

 もちろんカールと子アウラも一緒である。 正直な話、マク・アヌに子アウラを匿うのはちょっと危険なのだが、そうも言ってられない。

 アルビレオはきっとデバッカーとしての仕事に戻ったのだろう。 ついてすぐにログアウトした。

 大丈夫だろうか? 今日行った事は、かなり規定違反の筈だけど。

「サイリス、これからどうしましょう?」

「とりあえず俺のホームに戻ろう。 対策はそれから練ればいい」

 昴の言葉に、俺の疲れた声で返事する。 対策と言っても、カイトがいないとどうにもならんし。

 てか子アウラが、黄昏の書を持ってれば話が簡単なんだけど……無理か。

「ふぅ……」

「サイリス、昴」

「ん、どうしたカール?」

 先程まで黙っていたカールに俺と昴が反応する。

「助けてくれて……ありがとう」

 カールからの感謝の言葉。 正直、嬉しかった。

 うん。 カールは美人だし、笑ったほうが綺麗だな。 まぁ、リアルは知らんけど。

「それより、経緯ぐら話してくれるだろう?」

「ええ」

「アウラだっけ?」

 試しに、聞いておきたい事があったので、未だにカールの胸にくっついている子アウラに話しかけてみる。

 こくん、と頷いて返事してくれる子アウラ。 カール程、信用してくている訳ではないようです。

「なぁ、スケィスの居場所って分かるのか?」

 これが分かれば、色々と楽だ。 こっちに来る事が分かれば、逃げやすいし。

「……今は【Δ 砕け散る 碧眼の 平野】にいる」

「えっ!?」

 どうやら分かるらしい。 さすが未熟な女神って事か。

 というかどうしたカール? そんなに驚く事か。

「くっ! サイリス!」

「ええっ!?」

 子アウラを俺に手渡すと、カールが再びカオスゲートに向かって走り出す。

 そんなに慌ててどうした!?

「カール!」

「あそこに今、アルフがいる!」

「なっ!?」

 カールが焦る理由が分かった。 もし、スケィスとアルフ達が出会ったら……。

 自体を理解していないアルフ達がもしもスケィスと戦ったら……!

「アウラ、君はここにいろ! いいな!」

「カール、サイリス、昴……」

 アウラを地面に降ろすと、俺と昴もカールの後ろに続く。

 勝ち目のない戦いだと分かっているが、知り合いであるアルフをほっとくわけにはいかない!

「アルビレオに連絡しないと!」

 現状、スケィスに対抗できる武器を持ってるのはアルビレオだけだ。

 なので、俺はアルビレオに簡単に事情を書いたメールを送る。

 だけど、アルビレオが来てくれるかは分からない。 賭けみたいなもんだ。

「くそっ!」

 カールがカオスゲートから転送される。 どうやらプロテクトはかかってないようだ。

 パーティーをカールと組んでない為、俺と昴は残されるが、すぐに俺達二人も転送コマンドを入力。 すぐに転送された。


 ■□■□■


 reverse/カール

 あたしにとって、アルフは初めての友達だった。

 あまり学校で他者と馴染めないあたしであった。 そんなあたしを見つけて、一緒に色々と冒険してくれた。

 そんなアルフを失いたくない。 友達を失いたくない。

「アルフ!」

 快速のタリスマンを使って、フィールドを探し出す。

 すると、かなり場所は離れているが、アルフと二人のPC。 そしてスケィスを見つけた。

「駄目!」

 足を速める! あれと戦って勝てる筈がない。

 サイリスとアルビレオとかいうあたしより遥かに強いPCが戦っても倒す事は不可能だった。

 それなのに、あたしよりレベルが低いアルフ達が勝てる筈がない。

 だけど、スケィスの十字架による攻撃が、アルフ以外のPCのHPを0にしてしまう。

 もう無理だ。 逃げて!

「アルフ、逃げて!」

「カール!?」

 あたしに気がついたアルフが驚いた表情を見せるけど、そんな暇はないの!

 今すぐゲートアウトして!

 だけど、あたしの気持ちを裏切るように、いや一番最悪な事態が引き起こされていく。

 サイリスがなんども警告していた、十字架に磔られる攻撃。 まさにあたしの目の前でアルフが磔にされていく。

 これはゲームだ。 だから大丈夫。 そんな考えを持っていたあたしだが、その光景を見て、本能で悟った。

 あれを食らったらおしまいだ。

 何がおしまいなのか分からない。 だけど、本能が叫んでいる。 あれはまずい、と。

「えっ、えっ!?」

 事態を察していないアルフも、顔が青ざめたように見える。

「駄目!」

 磔にされたアルフの前にスケィスが右腕を突き出す。 すると、そこに光の輪。 いや、腕輪が現れる。

 本能が叫ぶ! 逃げろ! と。 そしてもう手遅れだと。 だけどあたしは叫ぶ! 叫ぶしかない!

「アルフ!!」

 だけど、あたしの願いは空しく――

「――!!」

 光の腕輪から放たれた光が――

「きゃああぁぁぁ!!」

 アルフの体を貫き、粉々に砕いていった――


アルフゥゥゥ!!!!!!

 reverseout


続・あとがきっぽいもの
ひゃっほーい! オリ展開になった途端、執筆速度が三倍になったぜ!
今回はぐだぐだ展開に(多分)なってない筈だ!
というわけで、アルフ散るの巻きでした。


レス返しだと思う

・SSさん
きっと予想通りだった筈。
カールは原作では悪いほうに転がってしまいました。 けど、家のカールは色々と考えていいほうに転がってます。 まぁ、変わりすぎなんすけどね。
前回はぐだぐだでしたが、今回はどうでしょうか?
どきどきびくびくしながら、感想待ってます。

・レリスさん
まぁ、こういうカールでいいなら、良かったです。 書いてる時、これだれよ!? って感じでしたけど。
フライング組みはまだまだ先ですね。 まぁ、そのうち伏線張ろうかな?
これからも頑張ります!

・ジョヌ夫さん
そんな訳で、オリジナル展開でした。 けど原作通り、アルフには散ってもらいました。 すまぬアルフよ。
今回からアルビレオが動きはじめました。 SIGN編で何やってたかはその内書きますので。
では、また次回に。

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