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▽レス始

「.hack//Dawn 第14話(.hackシリーズ+オリジナル)」

白亜 (2007-02-26 12:04)
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 reverse/昴

 私は逃げていた。 現実から目を背け、事実から逃れようとしていた。

 でももう逃げないと誓った。 だから仮想の姿から、現実へと戻った。 自分が傷つく為に。

 そして、真実と向き合って、本当の【私】を見つけてから、会いたいと願う人がいた。

 だから私は再び戻ってきた。

 このザ・ワールドへ。

 そして、私は彼女と出会い、再び【世界】を巡る戦いに巻きかまれる事になっていく。

 reverseout


 .hack//Dawn 第14話 神女女魔・異端紅衣


「久しぶりだな昴」

「ええ、サイリスも元気そうですね」

「忙しいだけだ」

 俺は苦笑しながら答えた。

 トライエッジ探索をここ2週間程、続けていたら、本当に久しぶりに昴から連絡が来た。

 内容は会えないか、という簡単な内容だったが、俺としてはかなり嬉しい連絡だった。

 アルビレオと共にあの聖堂でトライエッジと戦ってから、昴とは連絡が途切れていたからだ。

 俺は現実のほうで大学受験が迫っていたから、ザ・ワールドには繋ぎにくかったし、昴も繋がってなかったし。

 まぁ、俺が大学受験してる頃に、SIGNが行われてたみたいなんだけど。

 そんな訳で現在、Θサーバーのルートタウンの一角で昴と合流していた。

「それで今更だけど体は大丈夫なんだよな」

「はい。 あの後、少し体が重かったぐらいです」

「なら、いいけど……」

 トライエッジの攻撃を受けた部分が、現実の体にもダメージを与えていた。 それはアルビレオやほくとも同じだった為、一番ダメージを受けていた筈の昴の容態が気になったが、まぁ、大丈夫なのだろう。

 それにしても、SIGNはちゃんと終わったのだろうか? まぁ、事情を知らん俺が、聞く訳にもいくまい。

「それより今日はどうしたんだ?」

「いえ、ただサイリスに会いたかっただけですから」

「……」

 なんとも激しく微妙な気分になる返答をくれる。

 いや、嬉しいのだが、なんというかねぇー。

「なぁ、昴。 【ミミル】って知ってるか?」

「えっ、ミミルですか?」

「ああ。 ミミルの奴にこの間会ったんだけど、開口一番に『昴の事を手篭めにした訳?』って言われたんだけど」

「ええっ!?」

 ってなんでそんなに慌ててるんですか昴さん?

 モニター越しでも昴のリアルの人が慌ててるのがよく分かる。 つーか、なんでそんなに慌てるんだ?

「そ、それよりサイリス。 【カール】という人物を知っていますか?」

「話逸らしたな……。 ってカール? 昴知ってるのか?」

 なんとも昴から意外な名前が出てきた。

 アルフから相談を受けていたPCの名前。 俺がサポートしてやった奴。 現在、一人で放浪中。

 なんで昴の口からカールの名前が?

「実は3日程前に会ってきました」

 なんですと!? 昴とカールが会った? 一体何故? と言うか接点あったのかこの二人!?

 俺が混乱していると、昴が説明してくれた。

 曰く、昴が気になったスレッドを見つけて、そのスレッドの主に連絡を取ったら、その相手がカールだったらしい。

 俺の事は、カールと話している時に、偶々話題になって情報を交換したらしい。 まぁ、昴もカールも俺がサポートしたんだよな。

「ふーん。 最近、カールのやつは、一人で考え事があったみたいだからな。 元気だったか」

「ええ。 ただ考え事あるみらいですから」

 一体、どんなスレッドを立てたんだカール。

BBSは量が多いから、検索かけないと、特定の人物のスレッドを発見するのは難しいからな。 カールがスレッド立てたなんて知らんかった。

「それで、リアルのほうでのゴタゴタは片付いたのか?」

「ええ。 大丈夫です」

「そっか」

 理由は詳しくは知らない。 だけど昴はリアルのほうでやらなければならない事があった筈だ。 多分。

 まぁ、この様子だと本当に大丈夫みたいだけどな。

「紅衣の騎士団を解散させたって聞いて、結構心配してたんだぜ」

「すいません。 騎士団は色々あって……」

 俺の記憶――殆ど大筋ぐらいしか覚えてない――だと、司を巡る事件の中で何か問題があって解散させたんだよな。

 何が問題だったのかさっぱり知らないけどさ。 ……俺の記憶のなさに軽く絶望した。

「俺に謝る事じゃないって。 昴にだって事情があったんだろ。 ならさ、騎士団に所属してた訳じゃない俺がとやかく言う事じゃないさ」

 正直な話、紅衣の騎士団の連中からはあんまりいい目で見られてなかったしな。

 特に昴に話しかけようとすると、とんでもない重圧が……。 あっ、ちょっと目から汗が……。

「サイリス、どうかしたんですか?」

「いや、なんでもない」

 ちょっと動きが止まった俺を心配してくれたのだろう。 うむ、いい娘だな本当に。


 ■□■□■


 reverse/カール

「カール!」

「アルフ……?」

 あたしが、ザ・ワールドにログインすると、いきなり目の前に見覚えがあるPC、というかアルフがいた。

 最近、あの聖堂で会った、楚良とザ・ワールドで一緒にいる事が多かったから、他のみんなとは殆ど連絡を取ってない状態だった。 少し前からだけど。

 だけど、ここ数日ぐらい前から楚良の行方が分からなくなっていた。 だから、スレッドにソラやあの少女の事を感じさせる事を書いた。 まぁ、あんまり返事は期待してなかったけど。

 だからこそ素直にメールでの返事ではあったが、驚いた。 そしてアウラの事を、昴というプレイヤーに色々と話を聞いたのだけど……。

 分かる筈がない。 アウラを守ってくれと言われたが、いまのあたしにそれだけやれる意思があるのか分からないのだ。

 だけど、昴がサイリスの知り合いだって事のほうが驚いた。 さすがサイリスの人脈、なのかもしれない。

「カール、どうしたの最近」

「……ん、色々考え事」

「うーん、本当に大丈夫?」

 アルフが本当に心の底から心配してくれるのは分かるし、その気持ちは嬉しい。

 だけど、これは本当にあたし問題なのだ。 自分で解決しなければ、先に進めない問題。 だからアルフの気持ちは嬉しいのだけど、受け取る事は出来ない。

「うん。 心配してくれてありがと。 アルフの力が必要になったら呼ぶから、今は大丈夫だよ」

「そっか。 なら、なんかあったら呼んでね」

「ええ」

 あたしがそう答えると、アルフは他のPCのもとに小走りで向かっていった。 冒険にでも行くのだろう。

「あっ、今日私は【Δ 砕け散る 碧眼の 平野】にいるから!」

 アルフがそれをあたしにだけ届くように告げて、知り合いらしいPCと一緒にゲートから転送されていった。

 さすが、アルフ。 元気一杯だね。

「……聖堂かな……」

 ソラを探す。 はっきり言えば、あてはない。 ソラが好きなエリアもここ数日かけて探し回ったけど、発見する事は出来なかったから。

 だからもう一度、あの場所に行ってみよう。 最初に出会った【隠されし 禁断の 聖域】へ。

 そして、あたしはそこで【死の恐怖】と相対する事になる。


 ■□■□■


「ソラ!」

 聖堂に彼――ソラは居た。

 でもそれはソラじゃなかった。 ソラだけどソラじゃない。 まるで壊れた操り人形のように。

 そしてソラの姿が変わっていく。 その目に写るのは無。 何もない。

 だから助けたい。 そんなソラを助けてあげたい。

「アウラ……?」

 ソラの攻撃で床に叩きつけられたあたしのように、アウラも床でうずくまっていた。

 あの子はソラを助けたい。 ソラはアウラを殺したい。 お互いが矛盾した感情を持っている。

 だけど、ソラはあの子を殺したくない。

 なら、あたしが助ける。 助けてみせる。

「……!」

 地に伏していた体を無理矢理起こして、倒れているアウラに向かって走る。

 小さい気配。 本当なら凄い力を持っている筈なのに、あたしを悲しませたくない気持ちだけで、こんなにもボロボロになっている。

『彼女――アウラを守ってあげてください』

 うん。 守ってみせる。 そしてソラも助けてみせる。

 それが今のあたし――【カール】のやるべき事だ。

 倒れているアウラを抱きしめる。 小さい体。 その体で頑張っていたのだろう。

 次に頑張るのはあたしだ!

「ソラ! 追いかけてきて!」

 ソラを助ける為に、アウラを助ける為に。 あたしが【カール】でいる為に。

 あたしはアウラと共に、聖堂から跳躍した。

 reverseout


 ■□■□■


『さぁ、サイリス。 悲劇の物語を始めましょう』


続・あとがきっぽいもの
今回はぐだぐだ。 次回からマシにしたい。
つーか、これ誰よ? やさぐれてない上にツンデレでもないカール誰よ?
そして、次回、やっとDDの犠牲者登場。 楚良じゃないですよ。


レス返しだと思う

・趙孤某さん
榊は逆行組み。 三蒼騎士は……まだ分かりませんよ(苦笑
まぁ、榊がなにやらかすかはまだ内緒で。 その内、暴走する予定。

後、偽バルムンクと偽オルカはそんなに公に動いてないので、目撃者がいないのでBBSに乗る事はありません。

・ジョヌ夫さん
カールが既に偽者。 やさぐれてないからチートもPKもしてないカール。 誰だお前?
一応、Vol.1まではカールの性格が偽者以外は原作通り。 次回から完全にオリジナルの予定です。
榊と偽三蒼騎士については色々内緒。 後々に明かされていく予定です。
まだ先ですが、その内やります。 三蒼騎士と偽三蒼騎士の対面をw。
お互い頑張りましょう!

・namelessさん
感想ありがとうございます。 ヘタレ作者も.hackシリーズのSSが増えて嬉しいしだいであります。

榊の行動は色々と内緒です。 一応放浪AIに分類されるけど、どうなんだろ? あんまり同属意識はないかと。 榊だし

・風来坊さん
G.U.の榊のリアルは小学生。 ゲームのニュースで色々分かるかと。
まぁ、家の榊は色々やらかしてくれる予定。
これからも頑張りたいと思うのでまた見てやってください!

・レリスさん
うん。 すばるんヒロインは決定。
カオスなんですよ、奥さん。 味方のフライング組みは……出るけどまだ内緒で。 でも出るとしても腕伝編かね?

三蒼騎士(真)と三蒼騎士(偽)のご対面はいろんな意味で凄いけど、まだまだ先です。

これからも頑張りたいと思います!

・SSさん
期待に答えられるように頑張りたいです!

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