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▽レス始

「.hack//Dawn 第13話(.hackシリーズ+オリジナル)」

白亜 (2007-02-23 12:02)
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 reverse/カール

「……あんた……誰?」

 誰もいない場所。 何もイベントが存在しない場所。 モンスターが出ない場所。

 そこで、銀色の髪を持つ魔女が問う。

 視線の先には、赤い布のようなもので全身が包まれたPCがいる。

「僕の名前は……」

 だが、そこまで言って声が途切れる。 それと同時に何かが爆ぜる音と同時に、目の前が真っ白になる。

 暫くして視界が戻ると、そこには誰もいなかった。

 reverseout


 .hack//Dawn 第13話 良楚女魔・騎士暗躍


「白夜君、お疲れ様」

「お疲れ様です店長」

 俺は店長にそれだけ言うと、装備していたエプロンを外す。

 ここは、俺が大学に入ってから務めているアルバイト先だ。 因みに喫茶店。

 ここの店長とは昔からの知り合い。 そのおかげでこうしてバイトをさせてもらってるんだけどな。

 目指せ、正社員? なんか違うな。

「じゃあ、お疲れ様でした」

「ああ、また明日ね」

 クローズの看板をドアの所にかけて、俺は近くにあるマンションまで歩いて帰る事にする。

 既に空は闇色だ。 はっきり言えば、ここ2ヶ月は中々忙しい日々だ。

 大学に行って講義を受けて、バイトに行ったりして、と。 疲れるが充実した日々だ。

 しかし最近、ザ・ワールドにアクセスする時間が少なくなっている。

 まぁ、しょうがないんだけどな。 それに高校の時は半分ぐらい廃人になってたからなぁ。 今はこれぐらいがちょうどいいかもしれん。

「でも、今日はアクセスしないとな。」

 正直な話、家に帰ったら、布団に倒れ込みたいのだが、さすがにそうもいかん。

 今日、アルフから相談事を持ちかけられてるからな。 寝る訳にもいかん。

「なんだろうなぁ……」


 ■□■□■


「さて、相談場所はフィールドか」

 ザ・ワールドにアクセスして、アルフからもらったメールで場所の確認をする。

 秘密話なんかは大抵フィールドやダンジョンで行う事が多い。

 タウンだと人が多いので、邪魔される事も多いのだ。 まぁ、ぶっちゃけフィールドとダンジョンもあまり変わりないと思うけど。

 本当なら、ホームで行うのが一番いいんだけど、ホームを持ってるプレイヤーって少数しかいないからな。

 俺はすぐにΔサーバーのフィールドに転移する。 アルフはあんまりレベルが高くないしな。

 転移した先は、草原のフィールド。 フィールドレベルは1。 まぁ、相談事には十分な場所だな。

「アルフ」

「あっ、サイリス! お久々」

「ああ」

 確かに、アルフと最後に会ったのはかなり前だった気がする。

 大学受験の準備をする頃にはザ・ワールドにアクセスしてなかったし。 それにアルフはレベルが近いプレイヤーと一緒に冒険してた筈なんだけど。

 俺はレベルが高いから、よっぽどの事がない限り誘われないからな。

 そんな俺に相談とは一体なんだろうか?

「で、相談事ってなんなんだ?」

「あ、うん。 カールの事なんだけどね」

「カール?」

 カール。 アルフと同じ時期に始めたプレイヤーで、二人が初心者だった頃に俺がサポートしてやった事がある。

 そのカールがどうかしたのだろうか? そう言えば、今日はカールがいないな。 俺が呼ばれる時は大抵カールがいるんだけど。

「うーん、最近ね、連絡が取れないのよ」

「連絡が取れない? ザ・ワールドをプレイしてないだけなんじゃないのか?」

「そうじゃないのよ。 繋いでるんだけど、ショートメールを送っても反応がないのよ」

 うーむ、つまり意図的にアルフの連絡を絶っている、という事なのだろうか?

 となると、どうしたんだろうカール。 なんか問題発生って事か。

 確かカールって【.hack//ZERO】の主人公なんだよな。 内容は…………覚えてないな。 駄目じゃね俺。

「しかし、カールにも何か考えがあるんじゃないか? 例えば一人になりたい時期だとか」

「それもそうなんだけどね……」

 彼女にだって事情がある。 まぁ、心配してる事だけでもメールに書いて送ったらどうだろうか?

 俺だって一人になりたい事があるからな。

「とりあえずもう一度だけメールを送ってみたらどうだ。 今度は俺の名前もいれて」

「そうしてみるね。 カールはサイリスの事は信用してるみたいだし」

「ありがとよ」

 うん。 実際、信用してくれるのは純粋に嬉しいな。

 さて、カール。 お前はどうしたんだろうな?


 ■□■□■


 reverse/カール

「……誰もいない、か」

 あたしは聖堂の中で一人。 ポツリとそれだけ呟くと、聖堂の天井を見上げた。

 誰もいない世界。 あたしのお気に入りの場所だ。

 ここなら誰にも邪魔されずに考え事が出来る。

「……あいつは……誰だったんだろう?」

 昨日、ここに来た時に居たPC。 明らかに正規のPCではなかった。

 だけど気になった。 別にあたしは不正規のPCを見たからと言って、何か言う訳ではないんだけど……。

「ソラ……って言ったたような……」

 名前を聞いた時に確かにそう聞こえたような気がした。 もちろん聞き間違いの可能性も否定できないけど。

「……ショートメール?」

 差出人はアルフだ。 あたしはその名前を見て非常に困ってしまう。

 別にアルフの事が嫌いになった訳ではない。 だが、今のあたしはザ・ワールドでの意味を失っている。

 アルフはこの【世界】で色々な人達と交流する事だったりと、ザ・ワールドでの楽しみ方を理解している。

 だけど、【あたし】にはそれがない。

 かつては今だあった事もない【父】がこのゲームを作った事を知って、ザ・ワールドを始めた。 だけどもう【父】はいない。

 【父】は既にこの【世界】から去っていた。 【父】の事を追っていた【あたし】が一度止まるには十分な理由だ。

 だから、今の【あたし】はどうするべきなのか分からないのだ。

「サイリス……?」

 ショートメールを読むと、サイリスも心配してくれている事が書かれてある。

 サイリス。 あたしが始めてザ・ワールドをプレイした時に色々とサポートしてくれたプレイヤー。

 あたしがこの【世界】で、信用している数少ない人物。

 最近は現実のほうが忙しくて、ゲームをしていなかったらしいけど。

「どうしよう……」

 さすがに無視するのもどうかと思う。

 なのであたしはショートメールで暫く一人にしていて欲しい事となどを書いて返信した。

「ばみょん!」

「きゃっ!?」

 メールを返信した瞬間に突然、目の前にPCが現れた。 あたしはさすがにびっくりして悲鳴をあげる。

「どーおしたのお? ヘンな顔ぉ」

「あんた……」

 あたしの目の前に現れたのは、この前、ここで出会ったPCだった。

 全身に赤い布を巻きつけたような姿。 明らかに正規のPCではないだろう。

 だけど、それをあたしは咎める気にはなれなかった。

「ボクちん、気に入っちゃった。 君の事」

「え……?」

 これがあたしと楚良の出会いだった。

 そしてそれが、誰かに定められた事だと今のあたしには知るよしもなかった。

 reverseout


 ■□■□■


 あの後、俺とアルフは別れた。

 相談中に送ったアルフにカールから返信が来たのだ。

 内容は、暫く一人にして欲しい事や、心配してくれてありがとう。 など。

 これを見た後、俺達はカールが自分から接触するまで待とう、と言う結論に達した。 無理に言っても無駄だろうしな。

 しかしカールってあんな性格だったっけ? もう殆ど覚えてないけど、もうちょっとやさぐれてなかったっけ?

「まぁ、考えてもしょうがないし。 俺は情報収集でもするかね」

 まだ期間はある筈だが、そろそろカイトがやってくる筈だ。

 俺は正直な話、まだ彼等に関わるかは決めていない。 関わらなくてもいい、とも思っている。

 だけど、

「トライエッジと戦った時に聞こえてきたあの声……あれは明らかに【俺】の事を知っていた」

 【トライエッジ】が【R:1】である今の世界に存在する事がない。

 そして、あの声は【俺】がこの世界の人間じゃない事を知っていた。 ならば、何者だ?

 俺の事を知り、尚且つ【トライエッジ】を仲間にするような存在。 一体……?

「くそっ! 本当に分からん!」

 もちろん分かるとは思っていないが、それでも毒づきたくなるぐらい苛立つ。

 あの存在によって、昴がPK――意識不明者になりかけた。 【R:2】の【志乃】も意識不明者になってるしな。

 そう考えると、トライエッジを無視する訳にはいかない。 それに何故、俺がこの世界に来たのか、理由も分かる筈だ。

 この【.hack】がある世界に来た俺。 こんな事を出来る奴がいるのか?

 モルガナではない。 確かに奴の力は【The World】内部では強力であるが、その世界にすらいなかった俺をどうこう出来る力はない。

 つまりいるのだ。 俺をこの【世界】に呼び寄せた存在が。 いや、偶発的なものかもしれないが、何かしら関わっている人がいるのは確実だ。

「……なら俺がやるべき事は……!」

 【トライエッジ】を追う。 【ハセヲ】と同じように奴を追うしかあるまい。

 あてはない。 だが、この前にミミルと一緒に行った場所に奴が残したと思われる痕跡があった。 あれを中心に探してみるか。

 なら何かないか、片っ端からダンジョンに潜ってみますかね。


 ■□■□■


 reverse

「た、たすけ――きゃあぁぁあ!?」

「……」

 薄暗いダンジョンに少女の悲鳴があがる。 それに合わせて少女が粉々に砕け散っていく。

 だが、たった今、少女を手にかけた三人の男達はそれを気にする様子はない。

 継ぎ接ぎの体。その表情はまったくの無表情。

 それは未来、【蒼炎のカイト】、【蒼天のバルムンク】、【蒼海のオルカ】と呼ばれる存在。

 それぞれが本来は存在する事がない武器を構えて、少女の命を刈り取っていた。

「ふむ。 これで21体か……。 放浪AIも増えるものだな」

 彼等三人の行動を見ていた男――榊が、疲れたように呟く。

 榊もまた本来ならいる筈のない存在である。 ここは自分がいた世界の過去。 それを聞かされた時には狂ったのかと思った。

 何故、過去に? と。 だが、今の彼はそれを気にしてはいなかった。

 何故なら、復讐が出来るからだ。 本来なら【ハセヲ】に破れ、【追跡者】達によって消滅する筈だった【榊】。 それをサルベージしてくれた主が呟いたのだ。

『ハセヲ達を殺したくない?』

 素晴らしい提案だった。 あの憎き【死の恐怖】。 それを殺す事が出来るとしれば、榊は喜ぶしかない。

 確かに過去ではあるが、己に強力な力も与えてくれた。 そしてあの【ハセヲ】を殺す。 自分をコケにしてくれた存在を。

 その為にも己を蘇させる程の力を持つ主の目的を達成させなければならない。

「放浪AI達が邪魔か……。 ふむ、我が主は何を恐れているのだ?」

 その気になれば、幾らでも成せる主が弱気になっている姿を見て、怪訝になる榊。

 だからこそ、主の為に、排除しなければならない。 主が恐れる存在を。

 reverseout


続・あとがきっぽいもの
カールきゅん、楚良と出会う。
サイリス、アルフと相談して、トライエッジを探索する。
榊と三蒼騎士と暗躍する。
の、三本をお届けしました。
次回、ヒロインに無事認定されたすばるん登場予定。


レス返しだと思う

・趙孤某さん
多分、いろんな意味で波乱万丈。 カオスっぷりな作品になると思います。
すばるんとのカップリングはみんなOKしてくれたみたいなので確定(多分)
戦力がちゃくちゃくと集まってるけど、敵側も……。

・冬8さん
榊はきっと誰も予想していなかったに違いない! 作者も予想してなかったし!
SIGNは司が暴走する可能性があったのでカット。 サイリスもちゃんと覚えてる訳じゃないし。
すばるんとのカップリングはOKのようで。
また見てやってください。

・TAUさん
榊は黒幕側だと思います(ぇ
黒幕さんの不思議パワーについては……適当に予測しちゃってください。
榊が従いはあくまで自分が上に立つ為の手段でしかないので、きっと力が手に入ったら反逆すると思うので、あんな感じに。
リアルのほうは存在してません。 さすがに無理でしょ2歳じゃ。
オリキャラとすばるんのカップリングはOKみたい。
G.U.編が用意してありますが、ゲームとはかなり違う予定。 つーか半分以上原型がないんじゃね?

・ATK51さん
黒幕が主人公と同じ世界の人間なのは確実。
人と神の戦いが、.hackのテーマなのかもしれません。
ミミルは時折登場で、ゲーム編にはあんまり関わらない予定(多分)
三蒼騎士は……暗躍中? 後、サイクスじゃなくてサイリスですorz
ZERO編はきっと殆どがオリ展開。 特に後半が。

・死音さん
素晴らしき噛ませ犬な榊。 この作品ではどうなる事やら、作者でも分かりません(ぉぃ
ハセヲは暫く出ません。 まぁ、G.U.編になれば嫌でも出てきますけど。
八咫の正体は……G.U.をプレイすれば分かります。 ってか声一緒だし。
また見てやってください。

・愚者の戯言さん
多分、ゲーム編に入ってもこれぐらいのレベルが暫く続く予定。 オルカ以上、バルムンク以下って感じのレベルなんで。
意識不明者とはちゃくちゃくと知り合ってます。 楚良は既にDD済み。 じゃないとZERO編にならんし。
また次回も見てやってください。

・ジョヌ夫さん
私も書いてる時思いました(ぇ
仲間が増えるたびに敵も増えていく。 なんだこのカオスは。
AIDA関連は後に話される予定。 まぁ、現在は感染してない……って事で。
お互い、頑張っていきましょう。

・バハさんさん(?)
この世界ではトライエッジ=偽蒼炎のカイトなんで。

・レリスさん
味方が増えるたびに敵も増える。 作者としては疲れる。 つーかなんだこのカオスはって感じ。
この先……? 私にも分かりません(ぇ
すばるんとのカップリングはOKみたいで。 このまま行きますよ!(多分)

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