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▽レス始

「Fate/黒き刃を従えし者25(Fate+オリ)」

在処 (2007-03-02 23:56/2007-03-03 00:28)
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士郎の修行が一段落して暫く。

「あれは殺る気だったわ。
 確実に殺る気だった。
 わたし判るもん。
 てっぽう知ってるもん。
 あれは殺る気。
 ぜぇ〜〜ったい殺る気。
 うぅ……隙を見せたらバターにされるぅ……」

士郎がダウンした後セイバーの相手をしてた大河(虎と呼ぶなといわれた)はなにやらトラウマが出来たらしい。
……まぁ、仕方ないか。
セイバーの実力知ってるのに挑みかかった大河が悪い。

「士郎、命惜しかったら夜這いとか禁止禁止!
 セイバーちゃんとかアーチャーちゃん襲っちゃったら地獄開幕。
 死して屍拾う者なしなんだからね!?」
「……私も?」
「アーチャーちゃんも歩く危険物じゃないのよぉ!」

まぁ、否定はしないけどね。
私もサーヴァントなんだから危険である事に変わりはないし。

「まぁまぁ、落ち着いてください藤村先生。
 ほら、もうそろそろいい時間ですし、ご飯にしましょうか」
「やったー!
 ごっはんごっはん。
 ちょうど運動した所で御腹へってたのよぉ〜〜」
「そうですね。
 私も少々空腹を感じていますから、夕食にしましょう」

桜が夕食にしようと切り出すと、すぐさま猛獣二人が食いついた。
……まぁ、良いんだけどね。
セイバー、大河。
起き上がれない士郎を置いていくのはどうかと思うよ?

「士郎何やってるのよ?
 早く来ないと置いてくわよ?」

そういいながらももう既に道場から出ているリン。
……まぁ、リンだし。

「あの……先輩、大丈夫ですか?」
「……大丈夫?」
「あ、あぁ……あいつ等、後で覚えてろよ……」

ごめん、多分無駄。
……とは余りにも哀れでいえなかった。


Fate/黒き刃を従えし者


夕食後、皆が皆、それぞれの部屋に戻った後、私達四人は桜と大河の目を逃れリンの部屋に集まる。
今日一日の別行動。
マスターとサーヴァントは念話で話が出来るのだから、大した事はなかったのだろう。
事実、今日一日リンからもセイバーからも何の連絡も無かったのだから。
……そう思っていた。

「じゃあ、今日の互いの状況の確認をするわね?」
「……うん。こっちは士郎の魔術の鍛錬に始終した」
「あぁ。アーチャーのお陰で結構ましになったと思うぞ?
 武器から引き出した記憶で剣の方もまともに振れるようになったし」
「武器の記憶?
 シロウの剣術はその武器から引き出したものだというのですか?」

士郎の失言に早速セイバーが食いつく。
……自爆癖でもあるんだろうか?
士郎の失態は日に日に大きくなって行くような気がする。

「……そう。詳しい原理を教えてもいいけど、それは投影の基礎から話す事になるけど、聞く?」
「興味は在るけど、その前に聞いとくわ。
 どの位かかるのよ?」
「……二日くらい?」
「却下よ。
 私達のほうからも連絡有るから、それはまたにして」
「……判った」
「なるほど……シロウの剣術、戦を知らず育ったにしては洗練されていると思いましたがそういう事ですか。
 それにしても余程その剣の持ち主の技はシロウとの相性が良かったのでしょうね」

確かに。
普通は引き出せたとしても本人が覚えるまでは剣に使われるような感じになるし。
そうでなくても記憶を引き出していない状態でまで使えるというのは異常だろう。
それは引き出した情報が余程持ち主に適合したかあるいは、その情報を扱えるだけの技術、体力を既に得ているかのどちらか。
……この点に関しては後者である筈が無い。
士郎の身体はあくまでも一般人のそれだ。
……なんか道場で起き上がれないほど叩きのめされていたにも拘らずもう元気な辺り、ギャグキャラの素養があるかも。
……って、ちょっと待った。
士郎、さっき私の『是、射殺す百頭』からも平気で復活してなかった?
……第一段階のとは言え、そう簡単に復活されると英霊としてのプライドが……

「まぁ、それはいいわ。
 こっちからも重要な話があるのよ。
 って言うか、主にこの件に関して如何するか、というのを話し合いたいのだけど」
「凛、それは協議する必要などない。
 敵のサーヴァントがいる場所がわかったのなら、やるべき事は一つでしょう」
「……待って。如何いう事?」
「あぁ、いきなりそんな事言われても状況がわからないな」

敵サーヴァント、と言ったか?
それは敵に会った、あるいは敵の情報を掴んだ、という事だろうけど。
情報を掴んだ、ならいい。
ここに来て話し合いすればいい話だから。
でも、まさかとは思うけど、会ったんじゃないだろうね?

「取り敢えず学校の結界に関する事だけど、二人可能性が出てきたわ」
「……二人?」
「えぇ。一人はライダー。
 もう一人は柳洞寺に神殿を構えているって言うキャスターね」
「ライダーとキャスターか。
 で、何でその二人が怪しいんだ?」
「……二人とも学校関係者がマスターだからよ」

なるほどね。
確かに学校関係者がマスターなら学校に結界を張った張本人って考えもわかる。
……ただね。

「……情報の出所は?」

これが問題。
どうやってリンは敵のサーヴァントとマスターを知ったのか。
確かリンは学校関係者にマスターになる魔術師はいないと言っていた筈なのに。

「……ライダーのマスターからよ」
「…………」
「ちょっと待った!
 何でライダーのマスターと遠坂が話をしてるんだ?」
「ライダーのマスター……慎二だったのよ」
「…………なんでさ?」

随分長い沈黙の後、士郎の呟きが漏れる。
今日一日で何回聞いただろう?
この言葉は士郎の口癖みたい。
……なんでさ。
正直、私としては慎二って言う人が誰なのか判らないけど。

「ちょっと待て、って事は何か?
 慎二が魔術師って事は、桜も魔術師なのか!?」
「シロウ、少し落ち着いてください」
「あ、すまん」
「……ちょっと勘違いしてるみたいだから言うけど、慎二は魔術師じゃないわ。
 魔術師の家系の生まれでは在るけど、慎二には魔術回路が無い。
 更に言うと、魔術師の家系は基本的に一子相伝で、慎二が魔術の事を知っていた時点で桜も魔術師じゃないわね」
「そ、そうか。
 良かった」
「それに、桜が魔術師だったらこんなふうに避けてないわよ」
「それもそうだな。
 こんな夜中にこそこそ集まってるのは桜と藤ねぇを巻き込まない為だもんな」

その会話の中で疑問氷解。
慎二って言うのは桜の兄妹らしい。
兄なのか弟なのかわからないけど、普通に考えれば兄だろう。
……男系で姉は継承権が無いとか言わない限りは。
話が進まないから道を戻そう。

「……それで?」
「え? あぁ、それで同盟持ちかけられたんだけど……断ったわ」
「なんでさ?」
「なんでって、もう士郎と組んでるじゃない?
 それにアイツ、信用できないのよね」
「は、ん〜……」
「まぁ、それはそれとして、そのまま学校で戦うわけにも行かないでしょ?
 だからそのときは見逃したんだけど。
 その時慎二が言ってたのよ。
 『学校に結界をかけたのは柳洞寺にいる魔女だ』ってね」
「えぇ。ですからその魔女……恐らくキャスターのサーヴァントでしょうが。
 倒しに行きましょうといっているのです」

少し苛々した感じのセイバーが言葉を挟む。
……それより気になる事が何点か。

「……その前に」
「アーチャー?」
「……リン、まさかと思うけど、断る時に士郎の事を理由にしてないよね?」
「え、士郎と同盟組んでるって言ったけど、何か問題ある?」
「……つまり、ライダーのマスターに士郎がマスターである事を教えたんだ?」
「はぁ、なんでそうなる……ってそうか!
 士郎がマスターだって事知ってるのは私とイリヤとランサーのマスターだけ。
 まずった。慎二に余計な事教えちゃった」
「……なるほど。あの時のライダーのマスターの反応はそう言う意味ですか」
「なるほどね。士郎が魔術師だったって事知ったら落ちた魔術師でしかないアイツが嫉妬してもおかしくないか。
 二重の意味でまずったわね」

……またか。
そのうっかりどうにかならないの?
まぁ、いっても無駄のような気はするけど。

「……その二。
 何でその時念話で私か士郎に連絡くれなかったの?」
「「……あ」」
「…………あ」

あ……って。
しかも士郎まで今気付いたの?
もう、いい。
本題行こう。

「……いい。本題」
「そ、そうね。過ぎた事を悔やんでも仕方ないわ」
「そうですね。凛の言うとおりだ」
「それで、柳洞寺に攻め込む事だけど……私は反対よ」
「何故っ!?
 敵の居場所がわかっているというのに手を出さないというのか!?」

その切り替えの速さは流石だね。
……誤魔化してると取れない事も無いけど。
まぁ、好意的に受け止めておこう。

「それよ。何で柳洞寺なんかに居を構えてるのかしら?
 あんな所に神殿作ったって魔力の無駄じゃない。
 街中から魔力集めるにしたってマイナスにしかならない」
「は? 何故です、あの地は落ちた霊脈だ。
 キャスターであるならその程度の事容易に行えるはずですが?」
「は? 落ちて霊脈ってうちの事よ?」
「え? いえ、あの地も立派に霊脈として機能してるはずですが?」
「……なんでセイバーがそんな事知ってる訳?」
「何故も何も、私は以前、この地に召喚された事がありますから」
「なっ!? それってどんな確立よ」

……まぁ、話がそれるのも早いわけだけど。
それはそうと、士郎が放心してるよ?
急な展開に追いついていけてないみたいだけど、いいの?

「……話、ずれてる」
「っと、ごめんなさい」
「すみません」
「……それで」
「えっと、柳洞寺に攻めこむかどうかって事だよな?」
「……うん」

話がずれにずれてたから自信ないかもしれないけど、あってるよ。

「なら、俺はまだ手を出すべきじゃないと思う。
 相手の正体がわからない内は様子を見るべきだ」
「えぇ、そうね」
「待て。士郎もリンも戦いを放棄する気ですか?
 サーヴァントの情報が入ったというのにそれに手を出さないとは……」
「だからってどんな罠が仕掛けられているかも判らないのに手を出すのは愚の骨頂よ?」
「相手はキャスターだといった。
 ならば強力な対魔力を持つ私やアーチャーの敵ではない。
 今夜にでも打って出るべきです」

……それはどうだろう?
キャスターのサーヴァントの該当条件は結構あいまいだ。
魔力がA以上であることと魔術のスキルを持つ事。
この二つだけ。
簡単に言うと、私ですらキャスターになりえるのだから。

「だからって無傷で勝てるって決まったわけじゃないだろ」
「シロウ、貴方は聖杯を放棄する気ですか?
 これは戦争なのだから多少の危険など当たり前でしょう!」
「だからってかからなくてもいい罠に自分からかかりに行くのもばかばかしいわよ?」
「むむむ……」

お、どうやら状況はリンと士郎が優勢みたい。
まぁ、二対一だしね。

「アーチャー、貴方はどう考えているのですか!?」

あ、こっちに飛び火した。
まぁ、こうなるだろうとは思ってたけど。

「そうね。アーチャー、貴方がどう考えてるか聞きたいわ」
「……決まった事には従うけど?」
「私は貴方の意見が欲しいのよ」

……ふむ。
それなら皆が目を向けていない問題点からつつこうか。

「……取り敢えず、学校の結界はキャスターの仕業じゃないね」
「は? 何故ここでそれが関係してくるのです?」
「ちょっと待って、セイバー。
 アーチャー、何故そういえるの?」
「……安全な神殿で、街中から幾らでも魔力を集められるのに、わざわざ危険を冒す必要、ないでしょ?」
「あ、確かにそうだな。
 アイツは厄介な事に神殿の中で待ってるだけで力を蓄えられるのか……」
「……そうね。
 確かにリスクに対するリターンが少なすぎる」
「……で、それが今の状況と何かかかわりが?」

あるんだよ、セイバー。
要するに、後顧の憂いをたつのが先っていう事。

「……キャスターは放って置く事はできない。
 でも、学校の結界も放っては置けない。
 ……それがリンが攻め込むのを嫌がる理由じゃない?」
「えぇ。そうよ」
「あ……」

セイバーが今気付いたかのように悔しげに俯く。

「そうだな。
 セイバーやアーチャーがキャスターと戦って怪我でもしたらそっちが後手に回る。
 聞いた話だとかなり厄介な結界なんだろ?
 発動すれば死人が出るとか」
「えぇ。アーチャーの見立てだと始源魔術の一つだとか。
 単純な魔術じゃなくて、宝具の域の魔術よ」
「えぇ。ですからあれは解除できない。
 張った本人を除いてはキャスターでさえ無理でしょう」
「……うん。だから、それを如何にかするのが先だと思うの」

あの結界は厄介だ。
けど、どうしようもないというほどでもない。
何より、発動する範囲が決められているのと、発動に時間がかかるのが致命的。
なぜなら、やろうと思えば発動を止めなくとも打てる手はあるのだから。

「でも如何するのよ?
 あれの発動を遅らせる事はできてもそれを解除する事はできない。
 そういったのはアーチャーよ?」
「……うん。
 でも、別に解除する必要なんかない」
「なんでさ?
 あれが発動すると学校中の人が溶かされるんだろ?
 そんなの放っておいていい筈がない」
「……うん。
 でもね、あれは動かせないから」
「……まった。
 まさかとは思うけど……」

どうやらリンは抜け穴に気付いたらしい。
そう。
範囲が決まってるならその中に人が入り込まないようにすればいい。

「……うん。
 学校を休みにしてしまえばいい」
「……」
「……」
「……参った。
 貴女、見かけによらず派手好きよね」
「……そう?
 他にいい手もないと思うけど?」
「そうね。
 どっちにしろ今日は柳洞寺には攻め込めないわね。
 その代わりにセイバーとアーチャーには学校に行って、適当に壊してきてもらうわ」
「……士郎?」
「いや、参った。
 確かにそうだ。
 どうかと思う案ではあるけど、それ以上に安全な策も無い。
 セイバー、アーチャー、頼んだ」
「判りました」
「……うん」

さて、マスターの許可も出た事だし。
一暴れしようかな。


後書き
参った。
書いてる間に寝ちゃった……
でも何とか日刊ペース死守。

レス返し。
<<遊恵さん
アーチャーの願い通りに……いくと思います?
……行けばいいなぁ

<<九頭竜さん
英霊エミヤならそう言うでしょうね。
ウチのアーチャーは身内が傷つくのは嫌いなんですよ。
だから士郎が戦おうとしても全力で否定するんです。

<<manaさん
剣属性のみかんとか?
自分で書いといてなんですけど、剣属性のみかんってどんなのだ?
投げると爆発して刃になってる果肉が飛び散る、とか?
……なんだろう、意外と強そう。

<<最上さん
萌えを抱いて溺死するんですか……
溺死する前にアーチャーに物理的に消されそうですが?
『是、射殺す百頭』の第二段階で空間ごとスパッと。

まぁ、士郎が後方支援だけに専念するなんて天地がひっくり返ってもあり得ないですが。
アーチャーの説得で何とか違う道を見つけてくれれば良いんですけどね。
苦労が全てアーチャーに流れていってる気もしますが。

あー。
ぎるっち、確かにはまり役。

<<スケベビッチ・オンナスキーさん
はじめまして。
多分私ならどうしようもなくておろおろします。
あー……ネタには突っ込まないのが吉かと。
……まぁ、士郎ならある程度の時代劇の知識はあるかな?
士郎は今回も自爆してます。
そのうち固有結界の事もうっかりしゃべるんじゃなかろうな?
うっかりは凛だけでじゅうぶんだよ?
その分が全てアーチャーにしわ寄せ行くんだから。

あと、誤字の指摘ありがとうございます。

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