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▽レス始

「.hack//intervention 第21話(.hackシリーズ+オリジナル)」

ジョヌ夫 (2007-03-01 00:08)
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“黒い幽霊少女”ことシェリルは頭を悩ませていた。

様々なジャンクデータがあちらこちらで浮遊している空間、通称“ゴミ箱”。
半壊状態のヘレシィの左足や左腕、そして隙間を埋める為の歯車は全てここで見つけることが出来た。

彼女にとってここは言わばもう1つのホームなのだ。


「はぁ……」


彼女が悩むことになった切欠は、『フィアナの末裔』と交戦した際に生じた異変。

シェリルは残りのパーツである右腕と胸部を捜し求め、各地を彷徨っていた。
他の部分は“ゴミ箱”で対処できても、その部分だけは結局見つからなかったから。
元々ジャンクと呼ばれるガラクタしかない空間で、まともな部品を見つけられたこと自体が珍しい。

最初はフィールドやダンジョンに数多く存在する他PCの部品を使おうと思った。
元々ヘレシィのPCが人型なのだから十分に分かる話であり、当然であるとも言える。
しかし、とある理由からそれを断念せざるを得なくなる。

そしてモンスター狩りを始めることになった。
ヘレシィの左腕に“わざと”ウィルスバグを侵食させ、更に“力”を加えた。
抜け殻となっているPCに潜んでいた“意思無き魂”ことウィルスバグを操ることで、相手の動きに自動反応出来るようにもした。

来る日も来る日も様々なエリアを飛び交い、部品を探し続けてきた。
偶に邪魔するPCがいたが、それらは全て排除してきた…………今までは。


「何で……」


『フィアナの末裔』と称される高レベルプレイヤーの2人。
彼等は確かに技術もレベルも半端じゃないものだったが、如何せんヘレシィそのものが異端だった。
ウィルスバグによる無限の体力、シェリルが操ることによる空中浮遊、そして何より一撃必殺の大剣。
そのおかげで『フィアナの末裔』の片割れの隙をついて彼の目先まで大剣を迫らせることに成功したのだ。

だがそこで異変が起こった。

指示も出していないのに突然動きを止めるヘレシィ。
更にあろうことか、一瞬ではあるが“トモアキ”がこちらの世界に呼び戻されてしまう。
修復が終わっていないヘレシィの体の中に、だ。

別段そのこと自体はそんなに不思議じゃない。
何せ“トモアキ”とウィルスバグの関係こそが呼び戻す鍵であり、PCの修復はあくまでそのプロセスに過ぎないのだから。
所詮PCはウィルスバグを成長させる為の器でしかない。

彼女が頭を悩ませているのはウィルスバグの異様に早い成長速度。
そのせいで中途半端に“トモアキ”を呼び寄せてしまった。
よって一刻も早くPCの欠けた部分を補い、問題の処理を行う必要がある。


しかし問題はそれだけに留まらなかった。


「何でいるのよ、コイツ……」

「ノンノン、そういう言い方いっくな〜いッ!」


いつも通りモンスター狩りを終えて“ゴミ箱”に戻ろうとした瞬間、ヘレシィの足を掴んできた男。
そのまま転移してきて、今は目の前で自分やヘレシィを興味深そうに眺めている。


シェリルはかつてのヘレシィの如く、予定外のことに頭を悩ませていた。


.hack//intervention 『第21話 迫り来るその日』


《side シェリル》


あたしにとって今まで出会ってきた奴等はトモアキ以外敵ばっかりだった。

あたしを消そうとする奴等とか。
トモアキに帰ってきて貰うのを邪魔する奴等とか。
後の連中は目を向けることもしなかったから、ほとんど覚えてない。

ただ生きたいと思ったりトモアキを呼び戻そうとしたりすることが、そんなに悪いことなのかな?
昔トモアキは“世の中自分の思った通りに上手くいくことなんて碌に無い”って愚痴を零してた気もするけど。
自分のやりたいようにやることが良い事なのかそうでないのか、は結局よくわかんないまま。

……まあいいや。
誰に何と言われてもやると決めたことは絶対にやるつもりだし。

そんなことより、


「たんらりらりら〜ん」


さっきから飛び回ってる変な奴をどうにかしないと。

最初はいつも通りあたしの邪魔をする奴等の1人かと思った。
でも何かこのエリアが珍しいらしくて、碌に人の話を聞かないままピョンピョン飛び回ってるだけ。

……こういうのって“ウザい”とか言うんだっけ?


「ねぇ……」

「んなぁ〜にぃ〜」

「……何で付いて来たのってさっきから「ばみょんッ!」……」


あたしの言葉に聞いているのかいないのか微妙な反応しか返さない。
でも今ようやく目の前に止まってくれたから、話が出来るようになった……と思う。

これ以上まともな対応してくれないなら無理矢理にでも追い出そう。

そう決めた丁度その時になって、何とか会話らしい言葉を返してきた。


「付いて来た理由は興味があったから」

「興味?」

「そ、司きゅんの方は紅衣の騎士団が五月蝿いから後回し。
 先に幽霊ちゃんと色々お話をしておきたくなったってわけ」


“幽霊ちゃん”ってあたしのこと?

確かに今まで出会った誰かが“黒い幽霊少女”とか言ってた気もするけど。
ちゃん付けされるなんて、ちょっと妙な感じ。でも意外と嫌な感じがしない。
もしかしたら他の人と違って悪意とか恐怖とかの感情が感じられないからかも。

……って何考えてるんだろ。


「……とにかくあたしと話をしたいの?」

「ん〜というか、まずは君の名前とメンバーアドレス頂戴ッ!」

「名前はシェリルだけど……メンバーアドレスって何?」


変な奴は驚いてるみたいだけど、あたしの持ってる知識って結構少ないんだよね。

だって自分とトモアキ、後は母さんや自分に似た存在についてくらいしか興味なかったし。
他のPCの事は勿論、トモアキが前に言っていた外の世界なんてものはどうでも良かったから。
……寧ろ外の世界なんて無くなっちゃえばいいと思ったくらい。

とりあえず言語機能を使って調べてみよ。


(メンバーアドレス、メンバーアド……あった)


ALTIMITがどうとか他にも色々書いてあるけど、要はPC同士が連絡しあったりするのに使われるものらしい。
仲間として行動したり、ショートメールを送ったりするのが主な使われ方。

どっちにしても持ってないあたしには関係ないや。

驚きから“ふ〜ん”ってな感じの表情に変わった変な奴。
その変化が少しだけ気になったけど、とにかく伝えるべきことを伝えることにした。


「あたし、それ持ってない」

「へぇ……じゃあ幽霊ちゃんってホントに幽霊?」

「言ってる意味がわかんない」

「君っていつ頃からログインし続けてる?」

「……………………」


何かもう……一々答えるのが面倒くさくなってきちゃった。

大体何で態々この変な奴の言ってることに答えてるんだろ。
そんな暇があったら、一刻も早くトモアキ呼び寄せる準備をしたい。

うん、そうしよう。
あたしの邪魔になるか、そうでないか……それさえ分かればいいんだ。
邪魔するならいつも通り消せばいいだけだし、ね。

もう変な奴の質問には答えない。


「そんじゃ「アンタはあたしの邪魔するの?」ほぇ?」

「邪魔するの? しないの? さっさと答えて」

「う〜ん……どっちにし・よ・う・か・なぁ〜」


あっちの質問を無視したってのに相変わらず無反応というか何というか。
変な奴は首を傾げながら、またそこら辺を飛び回ってる。

もう怒るより先に呆れちゃって力が出ない。
何だか消す気力すら無くなってきた感じ。

いっそのこと、ここに放ったままモンスター狩りを再開しようかな?

あたしがそう結論付けた時に、変な奴から意外な言葉が返ってきた。


「じゃ〜あ、協力するって選択肢もあり?」

「…………え?」


まさか自分に味方するなんて選択肢があったなんて思わなかった。

今まで会った奴等は皆敵か、そうでないかでしか考えてなかったから。
トモアキは大事だけど、他はどうでもいいって思ってたから。

何だろう……よく分かんないけど暖かい。
トモアキ以外に存在しなかった自分の世界が少しだけ広がったような。
最初にトモアキと共に歩むことを決めた時に似てる感じ。


だから特に意図することなくお願いの言葉を紡いでいた。


「……協力、してくれる?」

「んじゃ俺達、お友達だね?」


心底楽しそうに的外れな返事を返す変な奴の声が、ちょっと嬉しかった。


「ふぅ〜ん、幽霊ちゃんは“放浪AI”とかいう人間みたいなNPCなわけ?」

「うん、トモアキは“この世界の住人”って言ってた。
 ……あと、あたしは“幽霊ちゃん”じゃなくて“シェリル”って名前があるんだけど」

「ここ以外にも似たようなエリアある?」

「…………はぁ」


あたしは楚良(さっき教えて貰った)の質問攻めにあってる。
協力するには情報が不可欠とか言ってたけど、流石にもうヘトヘト。
こっちの話は碌に聞こうともしないし。

とっくの昔にあたしがやってることについては説明した。
トモアキを呼び戻す為の“器”の修復に必要な部分を探し回ってることとか。
“器”の中にはウィルスバグっていう“意思無き魂”が入ってることとか。

どうしてか、楚良は詳しく聞こうとしない。
ていうか楚良の質問にあたしが答えて、またすぐ他の質問……って流れの繰り返し。
まるで気になる度に碌に考えもせずに質問してるみたい。

協力してくれるって言われた時はほんのちょっぴり嬉しかったけど撤回。
これなら1人でやってた方が気楽だし効率が良い。


まあ…………こうして話すの嫌いじゃないけど、ね。


「楚良、貴方何が出来るの?」

「色々出来るよん」

「色々って……それじゃここで使えそうな部品が無いか探しててよ。
 あたしも全部確かめたわけじゃないし」


何せここにあるジャンクパーツは、大小合わせたら数えきれないくらいある。
ちなみにあたしが外のエリアで探すことにした理由は、ほとんど中途半端で使えそうにないものばかりだから。
元々このエリアってオブジェクトやモンスターの部品が多かったし。

あたしはそう考えてたんだけど、楚良ってやっぱり変。


「要は足りない部分を補えればいいんだしょ?」

「その為に動いているってさっきから言ってるじゃん。
 ……それに何その語尾」

「ふぅん…………んじゃさぁ」


またピョンピョン飛び回ってる。落ち着き無さすぎ。
絶対コイツ、あたしより子供だ。

何か色んな意味でトモアキと正反対な奴。
トモアキはあたしの話をきちんと聞いてくれてたし。
楚良みたいな子供っぽさもあったけど、それ以上に落ち着いてたし。

こういうのが“個性”って言うんだっけ?
でも良いことなのか悪いことなのか、かなり微妙な言葉だよね。


まあいいや、せっかくまともに話してくれてるんだから聞いとかなきゃ。


「別に腕とか胸とかにこだわる必要ないじゃん」

「…………へ?」

「だぁかぁらぁ、他にも付けられそうなパーツっていっぱいあるじゃん?
 角、尻尾、その他諸々で欠けたデータを埋めればいいだけじゃん?
 どうせ“器”なんだし、俺が興味あるのは“トモアキ”っていう中身の方だし?」

「…………あ」


やれやれって顔しながら肩を竦ませる楚良の言葉は、あたしに少なくない衝撃を与えていた。

だって言われてみればその通りだったから。
よく考えたら手だろうが足だろうが結局はデータの塊。
“器”に必要なのは個別のデータじゃなくて、ウィルスバグの苗床として十分な容量なんだった。

……あたしって何て馬鹿なんだろう。
そんなの、ここのオブジェクトとかで十分対応出来るのに。
態々外まで出かけて、無駄に時間かけて、急いでたつもりが逆に遠回りになってたんだ。


トモアキと一緒にいられる時間だってもう残り少ないかもしれないのに……。


「……楚良、予定変更する」

「ほぇ?」


そうと決まれば話は早い。
もう外でモンスター狩りをしたり、余計な奴等に邪魔される心配もない。

舞台はこのエリア、唯一ヶ所のみ。


「一緒に“器”につけられそうな部品探して。
 それぞれの部品がボロボロでもいい。部品同士で繋げられそうなら。
 ……手伝ってくれる?」

「手伝えば幽霊ちゃんの言う“トモアキ”ってのに会える?」

「……絶対に呼び戻してみせる」

「なら面白そうだし僕ちんもさんせ〜ッ!」


その日からあたしと楚良の騒がしくもちょっぴり楽しい時間が始まった。


《side BT》


私は今、適当なダンジョンにてある男と待ち合わせをしている。

ソイツの名は楚良。
一応私と組んでいることになっている奴だ。

はっきり言って人間的には最悪な奴ではあるが、情報を得る手段としては中々使える相手。
奴の行動パターンは読めないものの、今のところあれの言っていた情報に嘘は無かった。
これからも取引相手として付き合っていくことになるのだろう。

…………会う度にうんざりさせられてもいるが。


現在、私はベア、ミミルと共に主な行動を取っている。
彼等が捜し求めているのは“偏欲の咎狩人”という過去様々な憶測を生んだらしい人物。
今でもアンチPKの黒闇の守護者がそれらしい人物をトップの座に置いたままではあるが、最早誰も気にしていない。
アカウント停止に追い込まれた過去の人間より、現在の事実上トップである焔の活躍の方が重要だから。
実際、あの男の組織運営能力や人心掌握術はゲームらしからぬ空恐ろしさを感じさせる程だ。
カリスマだけで成り立っている紅衣の騎士長とは比べ物にならない。

その頃はまだ『The World』をしていなかったから、詳しいことはよく知らない。
私自身、最初は過去の人物を態々探そうとするベア達の協力なぞするつもりはまるで無かった。
だが彼等の言う“偏欲の咎狩人”と最近話題になっている“黒い幽霊少女と吸魂鬼”。
この両者が同一人物である可能性が出てきたとなると、彼等だけでなく私にも関わる問題となる。

今最も関心を寄せている伝説のアイテム“key of the twilight”。
システムを超越しているという意味で共通点のある“司”という呪文使いや“黒い幽霊少女と吸魂鬼”。
私は彼等が“key of the twilight”を手に入れたのでは、と推測している。

だがまだ確証を持つべきではない。
“伝説”と言われる程の代物が複数あるとは考えにくいからだ。
その為に司と幽霊少女らの関係を調べる必要がある。


「ばみょんッ!」


そんなことを考えていた私の目の前に、例の五月蝿い双剣士が現れた。
何か楽しいことでもあったのか、小躍りでもしそうな落ち着きのなさが感じられる。

……気になるな。


「楚良、良い情報でも手に入れたのか?」

「ひ・み・つッ!」

「……まあいい。さっさと本題に入るぞ」


コイツがまともな返事を返さないことくらい百も承知だ。

今回私が楚良と待ち合わせとしていたのは、簡単な連絡事項の交換のみ。
現段階で取引材料に欠ける私がコイツから先程得たらしい情報を聞き出すのは不可能。
まして無償で渡してくれる程良い奴ではないし、もしされたとしても信じるつもりは毛頭無い。

だから余計な話は無用、用件だけ済ませて退散するべき。


「私の方は既にミミルを介して、司をあのエリアへ導くよう指示した。
 ミミルから聞いた話だが、どういうわけか司自身が例の2人組を探しているらしい。
 それを餌にしたから、ほぼ確実に司は現れるだろう……紅衣の方は?」

「あんなのチョロイチョロイッ!
“誇り高き”騎士様に、名誉になるって提案するだけで終了。
 もう半分くらい騎士長様々から離れ始めて暴走し出してるからねん」


……騎士団もそう長くはない、か。

中々使い勝手だけは良さそうな集団だったのだが、所詮その程度の存在。
私にとっては“駒”以上でも以下でもないから、正直どうでもいい。

それより重要なのは今回の作戦だ。

作戦の内容を一言で言えば『司捕獲作戦』。
私が面識のあるミミルを使って司をあるエリアへ誘い込む。
一方で楚良が紅衣の中でも特に司に恨みを持つ分団長の銀漢に接触し、そのことを伝える。
そうすれば銀漢が勝手に待ち伏せをしてくれ、数に任せた戦法でも使って捕獲してくれるだろう。
私や楚良はその様子を遠くから傍観するだけでいい。

作戦が成功すれば、私や楚良は銀漢にでも言って司と対面することが可能になる。
どうせ渋ってくるだろうが、“礼節”に付け込んでしまえばNOとは言えまい。
あとは司に直接“key of the twilight”を所持しているか、何故例の2人組を探していたのかを聞き出せば先は見えてくる。

万が一に失敗しそうになっても、遠くから呪紋を放って虚を突けばいいだけ。


「この調子なら作戦はほぼ確実に成功しそうだな」

「さぁ〜て、それはどうかにゃんッ!」

「…………何?」


私の確定的な発言に対してそれを否定する楚良。
だがその姿は作戦が上手くいかないかもしれないことを寧ろ楽しみにしている感じ。
元々コイツが建てた作戦にも関わらず、だ。

今まで奴は作戦に何の異論も呈していなかった。
当然だろう、自分で提案したことなのだから。

それを奴自身が否定するような発言をしたということは……。


「お前、何を企んでいる?」

「ひ・み・つッ!」

「あの作戦が上手くいかない可能性があるとしたら、
 司が予想以上の力を手にしているか、若しくは予期しない司に与する大戦力の介入くらいだろう?
 そして現在までの経緯からして司にそれ程の力があるとは到底思えない。
 だとすれば…………黒闇を利用するつもりかッ!?」


自分で言っているうちに私の胸を不安がよぎる。

黒闇の守護者が介入、しかも司に与すると事はかなり厄介になる。
あの組織は紅衣と違って使命感は少なくとも、焔に対する信頼は厚い。
別に崇拝しているわけではないものの、あの男が指示すれば紅衣と一戦交える可能性すら出てくる。

黒闇の連中のほとんどが、元々システム管理者や紅衣に否定的。
そこを焔が上手く利用すれば、簡単に連中は従うだろう。あの男にはそれだけの資質がある。
いや資質だけじゃない。あの男の実績を見れば、誰もがそれに従いたくなるというものだ。

そう考える一方で、焔が司を捕えようとする紅衣の邪魔をするかどうかはかなり疑問だ。

現在、黒闇が追っているらしい人物は“黒い幽霊少女と吸魂鬼”の方。
しかも紅衣と違って躍起になっているわけではなく、片手間程度にしか動いていない。
“2人組を上手く組織に誘えれば戦力になる”などと本人は言っているらしいが、ハッキリ言ってまるで当てにならない。
が、理由はともかく奴等が司を追っていないことは明白なのだ。

しかしそこで楚良という人間が割り込んでくると話はややこしくなってくる。
コイツが持っている情報次第では、あの焔ですら動かせるかもしれないのだから。
特に例の2人組に関するものであれば尚更だ。


考えれば考える程に悪い方向へと向かってしまう私の思考は、楚良の予想外な言葉で止められることになった。


「ぶ〜ッ! はっずれ〜ッ!」

「ハズレ? ではどういう魂胆なのだッ!?
 作戦のお膳立てをした者としては見過ごせん話だぞッ!
 お前自身が立てた計画を、自分でぶち壊しにするつもりかッ!?」

「だ・か・ら、俺にも分かんないって言ってるじゃん」

「言って無いだろうがッ!!」

「似たようなもんだろ。あんま怒ると皺増えるよ?」


余計なお世話だッ!!

危うくそう口に出しそうになったところでギリギリそれを抑えこむ。
これ以上言葉を返していては、おちょくろうとする楚良の思い通りになってしまうところだった。

不安要素は残るものの、今は楚良の作戦に乗るしかない。
念の為に黒闇の動向や例の2人組の情報も気にかけておくべきだな。


「もういい、私は落ちる」


これ以上の言葉は無用と言わんばかりに、即座にゲートアウトを選択する私。

そしてワープエフェクトが発動、今まさにPCが転移されようとした瞬間に、


「おんもしろいことになるよ〜んッ!」


そんな陽気な声が聞こえた気がした。


それから後、私の思惑とは裏腹に約1週間後、予定通り作戦が発動することになる。

だが私は知らなかった。いや、楚良以外の誰が想像できただろうか?


その場に“黒い幽霊少女と吸魂鬼”が現れるなんて。


あとがき

シェリル、楚良と出会う&下準備終了の巻。
少しだけ主人公降臨の秘密が出てますが、詳しくは彼が帰ってきてからになります。
まあそれでも全てが明かされるわけではなく、せいぜい半分程度でしょうが。

つーか主人公が10話以上出てないってどゆこと? とか自分に突っ込みたくなる。
そして宣言通りなら残り9話でSIGN編が終わる予定なんだけど……ほぼ確実に無理。
少なくともプラス5話は決定しちゃってる気が。

次回の視点は……まだ検討中です。
意味も無く“榊サイコーッ!”とか叫びつつ、今日はこの辺で。


レス返しです。


>TAMAさん

アルビレオは地味だけど何気に凄いです。某模木さん並。
彼は第二の主人公ですから、物語の最後まで関わってきますので見守ってやって下さい。

ハセヲ情報、有難うございます。
う〜ん、G.U.編も書いてみたいなぁ……いつか。
一応このSSは60話完結予定なんだろうけど増えそう……というか確実に増える。
出来ればそれまで見守ってくれると幸いです。

主人公復活まで後1話ッ! 
これからもよろしくお願いします。


>支離流さん

前回のは復活“もどき”でした。
でも安心して下さい、次回は……。
これからも頑張るんで、よろしくお願いします。


>Quesさん

足については別に伏線とかなかったり。
シェリルが単に偶々“ゴミ箱”で見つけたのが、あれだっただけです。
前回の主人公の復活は“もどき”でしたが、次回こそは……。
これからもよろしくお願いします。


>マジィさん

PCの以上ですか……ご、ご愁傷様です。
吸魂鬼こと主人公の登場はあくまで一瞬、本番はこれからです。
主人公復帰に伴うシェリルの反応は……ジョヌ夫が暴走しないかが心配だったり。
兎にも角にも、これからもよろしくお願いします。


>ころさん

主人公復活はすぐ目の前です。
というかいい加減出てきて貰わないと、ジョヌ夫が色々困ります。
ハセヲに関してはもうじき発売のファンブックに期待することにします。
情報有難うございました&これからもよろしくお願いします。

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