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!警告!壊れキャラ有り
注意

「運命に導かれし者達 第八章(GS+Fate)」

さくら (2007-02-26 23:18)
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脅威が去り、全員がホッと一息着く。セイバーとアーチャーは怪我があるものの死ぬほどまでではないが立っているのがやっとだろう。
一方、士郎や凛や横島は怪我はしていないが横島は霊力をかなり消費しており疲労が見える。

「大丈夫か、セイバー?」

「え、ええ。貴方のおかげでなんとか……」

バーサーカーの攻撃を受けぶっ飛ばされ、全身に傷があり剣を杖代わりにしている。

「やっぱ怪我がひどいな」

文珠は残り二個。横島は迷う事無く【治】と込めセイバーに投げる。やはり完璧に治ったわけじゃないようで、傷は塞がっているもののよくて八割の回復だろう。その様子を霊視してわかった横島は舌打ちをする。

「(さっきもだったけど俺たちと違って完全には治らないな)これで怪我は大丈夫だろ?」

「はい。……やはりタダオ、この力をなんなのか教えてもらえないでしょうか?」

「んー……(どうすっかなあー。別に教えても……いやしかし…ああ上目遣いで見ないでくれー!!)」

わざとなのか、それとも素でやってるかわからないがセイバーの上目遣いはかなり効くらしい。凛が「ああ、お持ち帰りしたい…!!」など言っておりアーチャーは「凛……」と呟き涙を流している。その涙は共感なのか、それとも呆れからくる涙なのか、それはアーチャーのみが知る。

「だめ…なのですか?」

わざとやってるんじゃないのか疑いたくなる程可愛らしく振る舞う。セイバーは騎士であるはずなのだがその仕草はどこからくるのだろう。もはや横島は限界に近い。

「―――!!わかった!!家に戻ったら教えるからその目はやめてくれー!!理性がっ!理性がっ!」

「忠夫……」

わかる、わかるぞっ!!と涙を流し力強く頷く士郎。

「ねえ、衛宮くんの家に戻る前に提案があるんだけど……」

いつのまにか元に戻っていた凛は真面目な顔で話し掛ける。

「提案ってなんだよ遠坂」

士郎も真面目な顔で尋ねる。………あっちで電柱に頭を打ち続ける横島とそれを止めようとしているセイバーがいるが気にしてはいかない。アーチャーもセイバー達の方をみて「ふん、煩悩に溺れて溺死しろ」などと言い放っている。

「ええ。同盟を組まない?衛宮くん」

「同盟?それって遠坂と戦わなくていいんだよな」

「そうよ。―――でも勘違いしないで。同盟と言ってもバーサーカーを倒すまでよ」

「なんでさ?どうせなら終わるまで組んでてもいいだろ」

士郎は不思議そうに尋ねる。そのことは凛もかなり悩んだのだ。士郎とセイバーだけなら勝てるがサーヴァントとある程度戦える上にあの不思議な術を使う横島がいるのだから悩みに悩みぬいた結果がこれである。凛は同盟中に対策を考えるつもりでいた。

「あのねえ、今は戦争中ってのを忘れないでよね」

はあ、とため息をし肩を竦める。

「やっぱ遠坂っていいやつなんだな。なんだかんだいって警告もしてくれるし。俺、お前みたいなヤツ好きだ」

「なっ……」

士郎は真顔でとんでもない事を抜かす。凛の顔が紅潮している。
ちなみにセイバー達は少し離れたところで輪を作りひそひそ話している。

「(タダオ、シロウはもしかして……)」

「(くそぅ!!桜ちゃんや藤村さんだけでなく凛ちゃんもかっ!!)」

横島は血涙をながしながら本気で悔しがる。そして怒りの矛先はなぜかアーチャーに変わった。

「(……なぜ私を睨む)」

殺気のこもった目で睨み付けながら取り出したのはわら人形と杭とトンカチ。それらを持ちわら人形を電柱に当てながら杭を刺しトンカチで力一杯

「ちくしょうっ!!何だかとってもちくしょうーっ!!」

 叩きつけた。

「ぐわっ!!くっ苦しい!!」

胸を押さえながら急に苦しみだすアーチャー。サーヴァントを苦しめるほどの呪いとはどのくらい強力なのか。
と言うより、なぜ依り代なしに呪いを掛けることができるのかが最大の謎である。

「ち、ちょっと!いきなりどうしたのアーチャー!?」

「い、いや急に胸が……ぐわあぁぁ!!」

「ちくしょうーっ!!」

勢いは止まる事無く、むしろ増す勢いだ。

「て、アンタが原因かいっ!!」

凛の幻の左ストレートは横島を数メートルぶっ飛ばした。

「へぶっ!!」

「まったく……!なにサーヴァントが消滅するような呪いをかけてんのよっ!!」

「仕方なかったんやーっ!!モテる美形は全人類の男の敵なんやーっ!!」

そう言われればと凛も考える。確かにアーチャーは格好いい部類に入るだろう。まあ、それだけで呪いを掛けられるアーチャーもたまったものじゃないが。

「ま、いいわ。こんなの心の贅肉だし。それより横島くんに聞きたいことあるのよ」

「聞きたいこと?」

「ええ。あの力がなんなのかね」

「……わかった。とりあえず家に戻ってからでいいだろ?」

「そうね、そこでゆっくり話しましょ」

その言葉を合図に全員が帰路に着いた。―――悶え苦しんでいたアーチャーを置いて。


「―――――と言うわけで協力して欲しいんだけどいい?」

妙神山な着いた美神達はすぐに小竜姫達に会い事情を説明した。

「なるほど……話はわかりました。今はヒャクメは天界に帰ってるので時間は掛かりますがすぐに調査の手配をします」

「助かるわ。ありがとうね小竜姫」

「いえいえ、礼には及びません。しかし、横島さんもトラブルに好かれやすい体質ですね」

小竜姫の言葉に確かにと頷く。人外に好かれやすい上にトラブル体質とはツいてないヤツである。

「ヨコシマは大丈夫なんでちゅか?」

不安になった顔でパピリオは尋ねる。

「さあ、ね。ま、一つだけ言えるとすれば、そう簡単にくたばるヤツじゃないってことくらいかしら」

心配には変わりないが死んでるとは微塵にも思ってはいない。

「そうでちゅね……」

不安は拭いきれないみたいで俯く。

「ところで、横島さんってどのくらい強くなったんです?」

おキヌは話題を変えるべく修業について尋ねた。

「あら、修業の成果見なかったんですか?」

「その成果を確かめるための仕事の時に消えっちゃったのよ」

「その点なら心配いりません。横島さんはかなり強くなりましたよ。そうですね……戦闘なら人間で横島さんに勝てるのはいないですね。もちろん雪之丞さんよりパワーやスピードは劣りますが戦ったら勝つのは横島さんです」

そのことを聞き美神達は驚愕した。雪之丞は間違いなくGSの中で前衛としたらトップクラスの実力だ。いくら文珠があるとはいえ簡単に勝てる相手ではないことには違いない。

「そんなに……ですか」

「ええ、妙神山の修業は伊達じゃありませんよ」

横島の修業の成果に驚きつつも僅かな希望が見えはじめたことにより美神達の顔には笑みがあった。


「じゃ、説明してもらうわよ」

茶の間に全員が座る。アーチャーだけはすでにボロボロなため霊体化しているのだが……。目の前には士郎が準備した日本茶が置かれている。

「んじゃまあコイツを見てくれ」

横島は机のうえに文珠を置いた。

「これビー玉か?」

「いや、文珠っていってな。霊力を凝縮して、キーワードで一定の特性を持たせて解凍させる技だ」

士郎の問いに苦笑しつつも説明を続ける。

「実際にはどういうふうに使うの?」

「そうだなあ……さっきも見せたけど【治】といれて怪我を治したり、【護】といれて結界を張ったりできる」

「なにそれ……何でも有りじゃない」

凛は混乱していた。自分の感情がコントロールできてない。怒りや嫉妬など様々な感情が入り交じる。

「そんなことが……」

セイバーは素直に感嘆していた。士郎も声には出してないが同じ感想を抱いている。

「ほかにも使う個数を増やして幅を広げたりもできるんだ。個数によるけど時間移動をすることも可能だし」

もう言葉にならない。なんてデタラメ。なんて反則。魔術師が何十年、何百年と掛けて到達をめざす「 」に簡単にこの男は足をかけている。

「なによそれ……反則もいいとこじゃない」

もはや怒り心頭している凛は殺気立っている。

「続けていいかな?後は一個なら誰でも使えるっていう利点がある」

 凛の殺気に怯えながらも続ける。冷や汗がだらだらと流れており精神的には結構きつそうである。

「「!!」」

その言葉に食い付いたのは士郎と凛。士郎は羨ましいと思い、凛は欲しいと思っている。

「もちろん欠点もあってな。使い捨てだし並列使用できるのは俺だけだし、誰でも使えるって言っても本来の力の八割しか引き出せないからな」

その言葉にがっくりとうなだれる凛。あわよくば何個かごうだ……もらい研究したいと思っていた。

「ではタダオはあと何個もっているのです?」

次に尋ねたのはセイバーだ。それほどの能力なら数には限りがあると考えたからだ。

「ああ、今はこの一個しかねえよ」

「一個って……かなり貴重なんじゃないのか!?」

「ん、確か時価数十億はくだらないって老師が言ってたっけ?」

あまりの価値に誰もが目を白黒させている。さすがの凛も目が金には変わってない。

「まあ実際そんなに価値があるなんて実感わかねえよな」

「なに言ってんの!!それくらいついてもおかしくない力じゃないの!!」

凛の言葉に横島以外が頷く。セイバーはそんな価値が有るものを自分の為に二個も使ってもらい軽く放心している。

「そないに怒鳴らんでも……明日になったら四個作れるから大丈夫だって」

「作れるってこれ横島くんが作ってるわけ?」

半信半疑と言ったところだろう。完全には信じてない。

「本当だって。明日見せてやるよ」

「ふーん。なら楽しみにしとくわね」

綺麗な笑みだが寒気がなぜか生じる。まさにあかいあくまに相応しい笑みであった。

「……なあ忠夫。俺に霊能力教えてくれないか?」

何かを決心した顔をしている。士郎は横島の力を羨ましいと思った。そして考えた。あの力が使えれば戦える。自分も力になれる、と。だからこそ思った。今日ほど自分の未熟感を恨まなかった日はないと。

「無理だな」

「なんでだ?」

「士郎には霊力を使える才能がない。もちろんこれは凛ちゃんにも言える」

断定と言うわけじゃないがすでに魔術師という別の道を進んでいるから扱える可能性は極めて低い。使う力が別物でそのプロセスもまったく違うのだから仕方がないだろう。

「そんなことやってみなくちゃ分からないだろっ!!」

あきらめきれないのか叫ぶ。顔は真剣なまま変わっていない。

「……なら今、アーチャーの姿見えるか?」

無論見えるはずがない。士郎はもちろんのこと凛もそうだ。

「見えねえだろ?霊能力が使う以前に幽霊が見えるか気配が分かるかがあるんだ。まあ一概にそう言うわけじゃないんだがあきらめろ」

士郎は悔しそうに俯く。理想と現実は違う。

「シロウ、そう落ち込まないでください。霊能力は無理でも魔術があるではないですか。人生は長いのですから焦る必要はない。ゆっくりと理想を目指せばいいのです」

セイバーは士郎を諭しながら思う。まるで、かつての自分に向けて言っているようだと。

「そうよ。せっかく同盟組んだんだから衛宮くんも役立ってもらわなきゃ。……そうね、衛宮くんがいいなら私が魔術を教えてあげるわ」

「!!いいのか遠坂?」

「同盟組んでもらった等価よ。魔術の基本は等価交換だから」

俯いていた士郎の顔が明るくなる。

「ま、話がまとまったところで今日はもう寝るか。凛ちゃん達はどうする?」

「泊まらせてもらうわ。お世話になるわよ」

聖杯戦争の一日目はこうして過ぎていった。夜空には月が浮かび月明かりが冬木を照らしていた。

運命(Fate)に導かれ一夜が過ぎる。

あとがき
横島ってこんなキャラだったっけ?どうもさくらです。いつも読んでいただきありがとうございます。レスは励みになりますよ。
さて、今回はレス返しじゃなく霊力と魔力について少し書きます。
まず十二の試練は無効化したのではなくサーヴァントには霊力が弱点なだけで効果は働きます。
最後に皆様に感謝を

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