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▽レス始

「Fate/黒き刃を従えし者21(Fate+オリ)」

在処 (2007-02-26 00:32)
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「衛宮君ちょっといい?」
「ん、何だ遠坂?」

道場から解散になった後、私はリンに連れられて士郎とセイバーの所へいく。
因みに桜は宛がわれた部屋に戻り、虎さんは自分も泊まると言って自宅へ着替えなどを取りに戻った。
まぁ、すぐ帰ってくるだろう。

「明日の事よ」
「明日?」
「えぇ、私は学校へ行くけど、貴方は休みなさい」
「そうですね。熱が下がったといえど楽観は出来ない。
 できるだけ安静にすべきでしょう」
「む……それはいいが……
 一々いいに来るほどの事じゃないよな?
 何企んでるんだ遠坂?」

お。
士郎もリンの性格が判り始めたらしい。

「む、何よ企んでるって……」
「いや、ただそれだけ言うなら道場でも明日の朝でもできるだろ?
 桜や藤ねえ避けたってことは何か聖杯戦争つながりの事で話があるんじゃないか?」
「……驚いた。意外と鋭い」
「あのね、アーチャー?
 貴女最近歯に衣着せない言い方になって来てるわよ?」
「……そう?」
「そうよ。大方衛宮くんにでも影響されたんでしょうけど」

リンがにっこりと士郎を睨む。
衛宮くん、辺りに怒りの度合いが伺えたり?

「ちょっと待て、冤罪だろ。
 それにマスターとサーヴァントが似るってんなら歯に衣着せないのは遠坂……
 な、訳ないな。
 むしろ遠坂は廻り回って一周するくらい回りくどい言い方だ」
「そういう所が歯に衣着せないって言ってんのよ!」
「凛、落ち着いてください。
 シロウも凛を挑発しないで、是では話が進みません!」
「……それもそうね。
 まぁ、いいわ。
 追求は追々するとして、今は本題と行きましょう」

リンは息を整えて気を取り直す。

「んで、本題って何だ?」
「明日休んでる間、アーチャーに魔術見てもらいなさい。
 で、私の護衛にセイバーをかして欲しいの」
「なっ!?」

リンが切り出した本題に、セイバーが驚く。
その姿勢からは反対の意図が読み取れる。

「まて、セイバー。
 で、何でそうなるのか聞いてもいいか?」
「本当は私も休みたいけど、そうなると桜も残るでしょ?
 そうなったら当然魔術の鍛錬なんて出来ないし、かといって今のままというのも不安がある。
 そこで私は桜を連れて学校へ行く。
 そこまではいい?」
「あぁ」
「はい」

そう。
魔術師で無い桜の前で魔術の鍛錬なんて出来はしない。
しかし士郎が休むとなれば、看病を理由に桜も休むだろう。
そこでリンの出番。
士郎の看病を私達に任せ、桜を学校へ連れ出してもらう。

「本来なら私がアーチャーと組むべきだという事は判ってるわ。
 でも、セイバー魔術を教えられるの?」
「……いいえ。不可能ですね」
「そうでしょ。
 でも今の士郎には師匠が必要なの。
 魔術に関しての知識はないも同然らしいからね。
 だからアーチャーが残ってセイバーにきてもらう。
 おーけー?」

まぁ、つまりはそういう事。
純粋な剣士であるセイバーは魔術を教える事ができない。
まぁ、時代が時代だから多少の知識はあるだろうけども。
風王結界に関しては別問題。
アレはある意味魔術刻印みたいな物だから。

「お、おーけー。
 判った。そういう理由なら仕方ない」
「……そうですね。
 本来なら四六時中士郎と一緒に居たいのですが、アーチャーが居るのなら安全でしょう」

その説明に士郎とセイバーも納得したらしい。

「……士郎」
「ん?」
「……今日は、魔術使っちゃ駄目だから」
「あぁ、判ってる」

最後にそれだけ念を押して、私達は部屋に戻る。
さて、士郎がどの程度の魔術師なのか。
どの程度まで育てられるか。
ちょっとわくわくする。
私達がそれぞれ別の部屋に入ったため、戻ってきた虎さんの『皆一緒の部屋で寝よう』計画は潰れた。
と、言うか。
あまりに五月蝿いからリンが最低出力最大速度のガンドで沈めたというべきか……
……まともな扱いうけてないね、虎さん。


Fate/黒き刃を従えし者


「行ってらっしゃい」
「……行ってらっしゃい」
「じゃあ、待った後でな」

私達は玄関先でリン達を見送る。
そしてリン達が見えなくなった所で今度は。

「では、私も行ってきます」
「……うん。気をつけて」
「藤ねえと桜と遠坂の事頼む、セイバー」
「はい。では」

セイバーの身体が風王結界に包まれて掻き消える。
其処には居るものの、視覚聴覚から完全に切り離された。
感じ取る事は出来ないものの、恐らくセイバーも行ったのだろう。
残る理由がないから。
そして私達もここに居る理由は無い。

「……じゃあ、行こう」
「あぁ、頼むな」
「……うん」

私達は士郎の工房たる土蔵へと向かう。
取り敢えずは士郎の現段階での力を測る事だろう。

「……じゃあ、取り敢えず何が出来る?」
「えっと、今出来る魔術は解析と強化だけだな」
「……そう」

なら、昨日見たアレが士郎の実力か。
さて如何する?

「……一応聞いておくけど、魔術刻印もないよね?」
「あぁ、俺は養子だから衛宮の刻印は受け継げなかった」

だろうね。
そうじゃなかったら回路にスイッチが出来ないなんて事はないはずだし。
他に聞いておくべき事は……

「……じゃあ、士郎の属性は?」
「は? 何だそれ? 火とか水とかの属性か?」

……そうか。
ここからか。

「……そう。基本的には世界を構成する一元素。
 西洋でなら地水火風空、五行なら木火土金水。
 でも中にはもっと細分化された属性を持ってる人も居る」
「ふぅん」
「……細分化された属性は汎用性が無い代わりに突出するの。
 士郎の属性が出来ればそうであるといいね」
「ん? そうなのか?
 汎用性がないって事は使いにくいって事じゃないか?」
「……ん。
 でも選択肢を多く持たされても混乱するだけでしょ。
 ……だから、早くモノにしたければ細分化された属性の方がいい」

その点で言えば、聖杯戦争という限られた時間の中で力を得たければ細分化の最下層に位置するような属性がいい。
士郎の場合、基礎から学びなおしなんだから時間がもったいないし。

「……属性はその人の性格や趣味なんかにも影響が出るらしいの。
 例えば……放火魔は火の属性とか、ガーデニングが趣味なら土や風の属性とか。
 ……落ち着いてどっしり構えてる人は土系統が多い、かな」
「なるほど……じゃあ、空気みたいにぼーっとしてるアーチャーは風か空か?」
「……言うね、士郎。
 でも、有ってる。
 私は風の元素と剣の属性を併せ持つ二重属性なの」

悔しいけど。

「遠坂は火とか空とか、偉そうなのっぽいけど……欲張りな遠坂だから全部とだったりしてな」
「……凄い」
「は?」

よく見てる。
どうやらリンの性格は見切られてるらしい。

「……リンは、五大属性」
「んなっ!? 反則だろそれ」
「……うん。でもそれだけ選択肢が増えるから、結局使わない属性もでる」
「あー……RPGとかでいろんな属性の魔法が用意されてると使わない魔法が出るようなもんか?」
「……うん。それに多くに手を伸ばせばそれだけ純度が落ちるから」

まぁ、予備知識はこの位でいいだろう。
さて問題の士郎の属性だけど。
はっきり言って調べようが……

「んー……じゃあ、俺は、昔っから武器とか見るの好きだし、鉄とか?」
「……」

ふむ。
その可能性は大いにある。
でも鉄か……いや、如何だろう?
昨日の強化で鉄の棒を強化するのに失敗していたし……

「ん? 如何した、アーチャー?」
「……鉄……じゃないかも知れないけど、いい線行ってると思う」
「そうなのか?」
「……鉄の棒を強化するのに失敗してたから……もしかしたら」

私は土蔵を出て自室へ向かう。

「って、何処行くんだ?」
「……部屋。すぐ戻る」
「あ、あぁ」

目的の物はすぐに見つかる。
魔弾製作用のナイフ。
安物もいい所だけど是も武器である事に変わりないし。
まだ魔力を通してない物も複数ある為士郎の属性を測るにはちょうどいい。
それを、使ってない分全て持って戻る。

「……ただいま」
「あぁ、何してたんだ?」
「……これ」
「ん? って、なんでさ!?」
「……属性が武器かも知れないから」
「だからってどっからこんなもんを!?」
「……私の属性、剣もあるから、魔弾に使ってる」

取り敢えず、強化を試させてみる。

「……やって」
「あぁ、同調、開始(トレース・オン)」

特に問題も無く魔力は通り、強化が成功する。
うん。
やっぱり思ったとおり士郎の属性は武器、ないし剣だろう。

「……士郎の属性、武器か剣だと思う」
「そうか。あぁ、確かにこと剣関してなら昔から関心が強かった」
「……間違いないと思う。士郎の属性は剣」

と、なれば強化はもういいか。
こと剣に関する強化なら士郎に教えることはもうないだろう。
この魔力を通されたナイフの出来を見れば一目瞭然だ。
切れ味、強度共に申し分ない。
さすがにサーヴァントに対し如何こう出来るものではないけど。
多少の牽制にはなるだろう。
なら、次の段階へ移ろうか。


後書き
さて、六日目に突入です。
が、士郎は居残り。
アーチャーも居残り。
と、言う訳でもう暫くほのぼの決定かな。
少なくとも夜までは。

レス返し。
<<Kさん
描写が足りなかったみたいです。
あの時はセイバーにこそこそ話しかけてたんです。
訂正しました。

<<ハンプトンさん
面白いといってもらえれば書いた甲斐も在るというものです。

<<とおりすがりさん
切嗣でしたね。
修正しました。

<<九頭竜さん
先の話では5日目ですね。
今回6日に入りました。
……100話か。
約3ヶ月半。
生きてられるか私!?

<<最上さん
あっはっは。
だから私の展開速度で其処まで行く訳無いですって。
まぁ、後2、3話後に出ます。

固有結界については判りませんけど、どの道継承関係はこの話では使われないので気にしないことにします。
なのでそれ関連の話題は終わりにしてください。
……ルールに引っかからないかびくびくです。

<<清和さん
固有結界はオンリーワンですからね。
どれだけ使い手が増えても封印指定かけられそうです。
魔術刻印も一子相伝……というか分けられない物なので使い手が増える訳じゃないですしね。

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