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▽レス始

「Tales of the Negima! 第十節(TOA+魔法先生ネギま!)」

ローレ雷 (2007-02-25 17:17/2007-02-25 23:20)
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「ネギ君、大丈夫ですか?」

 奈良の班別自由行動にて、思わずのどかに告白されてしまったネギは、ホテルのロビーで呆然とソファに座っていた。
 イオンが手を振ってみるが反応はない。

「駄目だぜ、兄さん。ネギの兄貴、完璧に放心状態だ」

 ネギの隣で同じように主を見上げているカモがイオンに手を振りながら言った。

「やはり告白されたのはキツかったですね〜」
「「「「「告白!!!!!?」」」」
「え?」

 告白、という単語に反応した3−Aの面々がイオンに群がって来た。

「イオンさん、どういうコトですの!? こ、こここ告白って、まさかネギ先生が!?」
「え、え〜っと……」
「うわ〜! 誰々!? ネギ君、誰に告白されたの!?」
「あ!? い、いえ、あの……」

 物凄い勢いで迫られてネギは正気に戻り、口篭ってしまう。

「僕これからしずな先生との打ち合わせがあるので、これで!」

 堪らず、その場から逃げ出してしまうネギ。あやか達は追いかけるが、逃げ足の速いネギを見失ってしまう。
 しかし、そんな事で諦めるほど、あやかのネギへの愛及び、3−Aの面子の騒動好きは潔くない。そんな彼女らは、3−Aの情報屋に頼ることにした。


「なぬっ!? 教師と教え子が淫行疑惑!?」

 3−A出席番号3番、朝倉 和美。報道部に所属し、まほら新聞記者である彼女は常にデジカメを携帯し、日々、クラス及び学園内の情報を収集している。
 そんな彼女に、あやか達は依頼した……かなり誇張して。

「んー、そりゃ大スクープだね。ま、事実ならだけど……。
 学園報道部突撃班にして3−A公式カメラマンの朝倉和美にお任せあれ! スクープあらば即参上!」

 愛用のデジカメを持ってニッと笑う朝倉。

「そのアナタを見込んで一つ調査をお願いしたのですわ」
「OKOK、で、ホシは誰よ? 新田? 瀬流彦?」
「それがですね……」

 あやかは事の次第を朝倉に説明する。

「フンフン、なるほど。今日の班行動の奈良公園で……。
 えーと、つまりネギ先生が誰かに告白されたと……っつか、それ全然淫行じゃないっつの!!」

 もっと社会的に大問題になるような展開を期待していた朝倉だったが、ついノリツッコミをしてしまう。だが、あやかは至極真面目に返した。

「な、何をおっしゃいますか! 十分許されざる行為ですわ! 
 とにかくネギ先生に誰が何をしたのか調査して欲しいのですわ!」

 あやかにつられて裕奈やまき絵なども騒ぐ。朝倉は乗り気にならないが、仕方なく依頼を受けた。
 そして、告白と聞いてクラス内でネギに好意を持ってそうな人物で、尚且つ告白するぐらい好きな人といえば一人しか思い当たらないので、その人物の部屋に行く。

「おーい入るよー、本屋いるー?」
「ハイ、何ですか朝倉さん?」

 開きっ放しのドアをノックして中に入ると、のどかが一人でマンゴーミルクなるジュースを飲んでいた。

「お、丁度一人か♪
 アンタ、ネギ先生と寝たって本当?」
「ブー!」

 ダイレクトに、とんでもない質問をかます朝倉に、のどかはマンゴーミルクを噴き出した。

「な、なななななっ、そ、そんなことしてないですーーー!」
「ナハハハ、冗談だよ冗談、今日告ったんだってな。
 でどうだったん?」
「え、どどどーと言われましても……私は自分の気持ちを伝えたかっただけですので……だからお返事は最初からいらないとゆーかー…」

 顔を真っ赤にして告白できただけで満足そうなのどかに朝倉は突っ込んだ質問をする。

「へー、でネギ先生の気持ちは気にならないの?」
「いえ、もう満足……とゆーか、聞くのが怖いので……」

 告白したからには当然、相手の気持ちは気になるのが当然である。が、目の前の少女は、告白できたことに満足し、ネギが誰が好きであろうと構わない、とは言わないが、自分がネギを好きなことが重要なようだ。
 また、ネギの気持ちを知るのが怖い。ハッキリ言って言い逃げなのだが、そんな、のどかが可愛くなって、朝倉は笑って彼女の頭を撫でた。

「あっはっはっは! 可愛いなー宮崎はー。駄目だよー、小学生じゃないんだし、そんなんじゃ。いや、ま、いーかー」
「あーうー」

 それだけやって部屋を出る際、のどかから皆に秘密にするよう頼まれ、朝倉も快く了承した。

「ほい、取材終了っと」

 ポケットに入れていたテープレコーダーを停めて巻き戻し、先程の録音しておいた会話を消去する。

「やれやれ、こんなんじゃ記事にもなんないよ。ま、皆が知ったら騒ぐだろうし、この件は秘密にしといてやるか。ゆっくり進む恋もあるさね」

 しかし、本当のスクープなど滅多に無いと思いつつ歩いていると、ふと足取りのおぼつかないネギと、それを宥めているイオンを見つける。
 これが、彼女にとって人生の転機になるであろう大スクープとの出会いになるのだった。


「はぁ〜あ」
「ネギ君、元気出してください」

 ネギはイオンと一緒にお風呂に入っていた。やはりネギには元気が無い。

「っつ〜か、こんなゆっくりしてると、また女生徒が入ってくるぜ?」
「大丈夫〜。今は先生タイムだから。
 はぁ〜……でも僕、色々あり過ぎて……」
「けど、それでも車に轢かれそうな猫を助けた辺り、立派だと思いますよ」

 イオンにヨシヨシ、と頭を撫でられてネギは少しだけ表情を綻ばせた。つい先程、ネギは散歩して落ち着かせようと外に出たところで、猫が道路を歩いていて、そこへ車が走っているのに気付き、魔法で猫を助けた。
 たとえ、頭の中は一杯一杯でも、そうやって小さな命を救ったコトは立派だとイオンに誉められるのは、嬉しかった。

「えへへ」
「それにアレですよ。『一つ年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ』と言うじゃないですか」

 異世界、しかもこの世界での殆どをイギリスで暮らして、シンクの中にいた彼が何でそんな言葉を知っているのか不明だが、ネギはソレを聞いて更に落ち込んだ。

「あの……やっぱり紳士として告白されたからには責任を取らなくちゃいけないのでしょうか?」
「いえ……何も、そこまで思いつめなくても……」

 子供なのに責任取るとか取らないとか考えているネギに苦笑するイオン。その時、ガラッと扉の開く音がして誰かが入って来た。

「あら、ネギ先生にイオン君」

「し、しずな先生ーーー!?」

 入って来たのはしずなで体にタオルを巻いていたが、ネギは慌てて顔まで湯に浸かる。イオンもいきなりのコトにビックリし、唖然となっている。

「今日もお疲れ様。お背中流しましょうか?」
「い、いえ、その結構ですので……」
「うふふふ……実はね、ネギ先生。私、アナタの秘密を知ってしまったの」

 しずなは笑うと、湯に浸かるとネギの両肩に手を置いて言った。それに驚愕するネギと、眉を顰めるイオン。

「ネギ先生……アナタ、魔法使いでしょう?」
「えう!? な、何でそれを!?」
「ネギ君!」

 しずなの言葉に思わずそう返してしまうネギ。イオンが叫び、ネギはハッとなって口を押さえるが、遅かった。

「が、学園長から聞いたんですか……!? って、でも……」
「? ま、何が何だか分かんないけど、お願いがあるのよ。私、ネギ君の魔法が見たいな〜」

 可愛らしく指を口許に当てて言うと、ネギは「え〜!?」と大声を上げた。

「だ、駄目ですよ、そんなコト……ムゴ!」
「ねぇ〜ん、おねが〜い」

 だが、しずなはネギを思いっ切り抱きしめ、胸に顔を埋めた。ネギは苦しそうにジタバタするが、何か違和感を感じた。

「ん? あれ?」
「どうしたの、ネギ君? する気になった?」
「何か。しずな先生、胸すごく小さくありませんか?」

 学園赴任時、しずなの胸に挟まれた事のあるネギは、彼女の胸が若干小さくなっているの気づいた。その指摘に、しずなはショックを受けたのか、叫ぶように言った。

「な、何ィ!? し、失礼ね! これでもクラス癸瓦茵」

 その発言にネギは思わず彼女から離れ、イオンも警戒した。

「クラス癸粥? だ、誰ですかアナタは!?」
「くっ、しまった」

 彼女は思わず叫んで舌打ちすると、自分の顔を掴んだ。

「バレたんなら仕方がない! ある時は巨乳教師! またある時は突撃リポーター! その正体は……」

 するとしずなの顔の下から別の顔が現れる。それはネギの生徒である朝倉だった。

「3−A 3番! 朝倉 和美よ!!」
「ああー! 朝倉さん!?」
「マズいバレてるぜ! 記憶を消しちまえ!!」

 カモもお構いなしに喋り、ネギは予備の杖を取り出して、記憶を消そうとするが朝倉は携帯を取り出して、手を広げて制した。

「お〜っと待った〜! この携帯が見えないの!? 下手な動きはしないで! この送信ボタンをポチッと押せば、その瞬間、ネギ君の秘密が私のホームページから全世界に流れる事になってるのよ。気を付けてね」
「え、ええー!?」
「ネギ君、注意してください。下手したら世界規模でヤバいコトになります」

 朝倉の携帯を見て、イオンがネギに釘を刺す。

「うう、ど、どうしてこんな事を?」
「ふふ、スクープよ。全ては大スクープのため。
 悪いけどネギ先生、イオン君。私の世界的な野望のために協力して貰うよ」
「や、野望ですか?」

 明らかに何かを企んで瞳を輝かせている朝倉に、イオンも嫌な予感がした。

「その通り! 魔法使いが実在すると知ったら世間は大注目! 私の独占インタビュー記事で新聞、雑誌で引っ張りダコに!
 更に人気の出たネギ先生とイオン君、更にシンク君の美少年魔法使いトリオは私のプロデュースでTVドラマ化&ノベライズ化! 更にはハリウッドで映画化して世界に進出よ〜!」

 余りにも突飛過ぎるというか、過激な朝倉の野望に、ネギは涙を浮かべて反対した。

「そ、そんなのイヤですー! 世界とか興味ないですー!」
「大丈夫! ギャランディーはネギ君と私とイオン君とシンク君で山分けよ!」

 そう言うと朝倉はガシッとネギの両肩を掴んで来た。

「どう!? ズバーンと魔法使う気になった!?」
「あうぇ……!? へうっ!」
「大体、こんな所で先生やってんのも大変でしょ? バーンと使って楽になりなよ!」
「へぐっ! 僕……あう! それに……バレ……て……」

 関西呪術協会の問題、大使としての使命感、生徒からの告白に加えて、朝倉に魔法がバレてしまったコトでネギの中で張り詰めていたものが切れてしまった。

「う、うわあああああああああん!!!!! 駄目ですぅ〜! 僕、僕、先生やりたいのに〜!」

 突然、大声で泣き出すと凄まじい衝撃波が発生し、風呂が大きく揺れた。

「びええええ!!!!!」
「なな……こ、この声は!?」
「や、やべぇ! 問題山積みで流石の兄貴もパンクしたか!?」
「流石にマズいですね……ネギ君、すいません」

 イオンはポウッと指先を光らせると、ネギの額に当てた。すると、ビクンとネギの身体が震え、いきなり倒れた。

「イ、イオンの兄さん、何を?」

 恐る恐るカモが尋ねると、イオンは笑顔で答える。

「ダアト式譜術の一つです。ネギ君のフォンスロットを刺激して眠って貰いました」
「ダアトシキフジュツ? フォンスロット?」
「僕やシンクしか使えない魔法みたいなものです。フォンスロットは。まぁツボですね」
「撮ったぁ!!」

 イオンがカモに砕けた説明をしていると、いきなり朝倉が叫んだ。

「イオン君、とうとう魔法を使ったね! 今のバッチリ撮らして……」
「携帯壊れてますよ」
「え? あぁーーー!?」

 指摘されて朝倉は携帯を見ると、先程の衝撃波で見事で、小石でも当たったのかカメラのレンズ部分やディスプレイなどが見事に壊れていた。

「今の時代、口だけ言っても信じて貰えませんよ」

 イオンは苦笑し、ネギを背負って風呂から出ようとしたが、泣き声を聞きつけて入って来たあやか達と出くわしてしまい、またまた一騒動起こってしまった。


「ええーーっ!? ま、魔法がバレたーー!? しかも、あああの朝倉にーー!?」
「はい」

 ロビーにて、イオンは自分とネギが魔法使いであることが朝倉にバレてしまったコトを明日菜と刹那に話した。ちなみにアリエッタは、木乃香を守るため、彼女と一緒に部屋に居る。
 イオンは、ずっと隣で愚図っているネギの頭を撫でて苦笑する。 

「何で!? どーしてよりによって、あのパパラッチ娘に!?」
「あぅーー……」
「仕方ないんです。ネギ君も咄嗟に猫を助けるためでしたから……」
「うーん、朝倉にバレるってことは世界にバレるってことだよー」
「まったく……」

 イオンは何とかフォローするが、明日菜や刹那には呆れられてしまう。

「もーダメだ。アンタ達、世界中に正体バレてオコジョにされて強制送還だわ」
「オコジョ……ですか」
「そんなーっ、一緒に弁護してくださいよアスナさん、刹那さんーーっ」

 余りにも無常な明日菜の言葉にイオンは笑顔を引き攣らせ、ネギは泣きながら叫ぶ。

「おーーい、ネギ先生ーー」
「ここにいたか兄貴ー」
「うわっ、あ、朝倉さん!?」

 と、そこへ噂の朝倉がカモを肩に乗せてやって来た。彼女に怯えるネギを見かね、明日菜が注意する。

「ちょっと、朝倉。あんまり子供イジメんじゃないわよー」
「イジメ? 何言ってんのよ。てゆーか、アンタの方がガキ嫌いじゃなかったっけ?」
「そうそう、このブンヤの姉さんは俺らの味方なんだぜ」
「え……? 味方?」

 いきなりカモが味方、だと言うのでネギとイオンは呆気に取られた。

「報道部突撃班・朝倉和美。カモっちの熱意にほだされて、ネギ先生の秘密を守るエージェントとして協力していくことにしたよ。よろしくね」
「え、えーーー!? 本当ですか!?」

 彼女の考えの変わりように、ネギは純粋に喜んだ。イオンもホッと安堵の息をつく。
 朝倉は、その証拠として集めた写真などを返してあげた。

「わ、わぁーい、やったーーっ! ありがとうございます朝倉さん!
 よ、良かった、問題が一つ減ったですー!」
「よしよし、ネギ。よかったね」

 はしゃぐネギの頭を明日菜が撫でる。

「どうしたんですの、ネギ先生?」

 と、そこへ風呂上りのあやか達がやって来た。

「あ、皆さんお疲れ様です。いや〜、実は朝倉さんと仲良くなって……ね、お兄ちゃん?」
「ハイ。大変、嬉しいです」
「そーそー♪」

 本当に嬉しそうな2人に朝倉はグイッと二人の肩に手を回した。それを見て、あやかとまき絵が過敏に反応した。

「ちょ、ネギ先生、それは……」
「こら、お前達。もうすぐ就寝時間だぞ。自分の班部屋に戻りなさい!」

 問い詰めようとするあやかだったが、新田がやって来て注意してきたので素直に部屋に戻った。

「あ、新田先生、見回りでしたら僕も……」
「いやいや。イオン君も初日から奈良で3−Aの班を見てきて大変でしょう? 今日はゆっくり休みたまえ」

 一応警備員なので一緒に見回りに行こうとしたイオンだったが、生徒とは違い、新田はやんわりと断った。


 生活指導員の新田の言葉だが、素直に聞くような人間はいない。3−Aの面々は、定番の枕投げから怪談話、ワイ談など騒ぎまくった。
 当然、新田は怒った。

「こらぁ3−A! いーかげんにしなさい!!」

 騒いでた連中全員を正座させ、説教を始める。

「全くお前らは、昨日は珍しく静かだと思ってれば……」

 昨日は全員、酒飲んでダウンしてたから当然である。

「いくら担任のネギ先生が優しいからと言って、学園広域指導員のワシがいる限り、好き勝手はささんぞ!
 これより朝まで自分の班部屋からの退出禁止! 見つけたらロビーで正座だ、分かったな!」

 横暴というか当然の処罰というか、それには多数の非難が上がるが、新田は無視して去って行った。
 すると、裕奈、美砂、まき絵から不満声が上がった。

「ぶ〜。つまんな〜い。枕投げしたかったのに〜、ネギ君と」
「ネギ君とワイ談したかったんだけど……」
「ネギ君と一緒の布団で寝たかったのに〜……」
「い〜から、あなた方は早く部屋にお戻りなさい!!」

 あやかが表情を引き攣らせながら怒鳴ると、朝倉が廊下の壁に背を預け、腕を組んで笑っていた。

「くっくっく、怒られてやんの」
「あ、朝倉さん〜! 今まで何処に行ってたんですの〜!? 卑怯者〜!」
「まぁまぁ。私から皆に提案があるのよ」

 怒るあやかを宥め、朝倉は何かを企んでる笑みを浮かべて皆に言った。

「このまま夜が終わるなんて勿体無いじゃない。一丁、3−Aで派手にゲームをして遊ばない」
「何を言ってるんですか! 委員長として許しませんよ! そんなこと」

 朝倉の意見に対し、あやかが真っ向から反対する。が、風香は賛成し、史伽は正座が嫌なので反対する。

「ゲームって何〜?」

 が、肝心のゲームとはどんなものなのか桜子が尋ねる。

「名付けて『くちびる争奪! 修学旅行でネギ先生とラブラブキッス大作戦!』」

 ぺロッと舌を出して言う朝倉に皆が驚く。その中で、アリエッタが一瞬だけ眉を吊り上がらせた。

「え〜!?」
「ネギ君とキス〜!?」
「こらこら! 大声出すなって!」

 朝倉は皆を宥め、ルールを説明する。
 ルールは各班二人ずつ選手を選び、新田の目を掻い潜ってネギの唇をGETするものだ。妨害可能で、武器は枕だけ。
 上位入賞者には豪華商品プレゼントというものだが、新田に見つかれば朝まで正座という罰が待っている。
 そう説明すると大半の人が乗ってきて、朝倉はニヤッと笑う。

「朝倉さん……」

 が、あやかが幽霊みたいに、フラッと声をかけてきた。

「ん? やっぱ駄目か、いいんちょ」
「やりましょう。クラス委員長として公認します」
「そら、ども……」

 かなり荒い息遣いでヤバいあやかに、朝倉も引き気味に礼を言う。

「よ〜し! 各班十時半までに私に選手二名を報告! 十一時からゲーム開始だ!」
「「「「「「「「お〜!」」」」」」」

 と、皆が乗り気で部屋に戻って行くと、朝倉は狙い通りに作戦が上手くいったので笑った。

「ふふ、どう? 上手くいったでしょ」
「流石姉さん。作戦通りだぜ」

 するとカモがニョキッと朝倉の胸元から顔を出した。

「フフフ、ラブラブキッス大作戦とは仮の姿……その実体は―――」

 そう言うとカモは三枚のカードを取り出した。

「仮契約カード大量GET大作戦さ!!」

 そのカードは明日菜の仮契約カードと、失敗した明日菜と木乃香のカードである。

「ほほ〜。これが豪華商品のカードか。これを沢山集めれば良いんだね」
「おうよ。オリジナルはネギの兄貴が持ってるけどな。こいつは俺の力で作ったパートナー用のコピーさ。
 既にこの旅館の四方には魔法陣が引いてあるべ。これで旅館内でネギの兄貴とチューしたら即バクティオー成立!!
 カード一枚につき五万オコジョ$儲かるから……あわわ! 俺ら百万長者だぜ姉さん!」
「ヒュ〜ヒュ〜!!」

 百万長者という大変魅力的な言葉に、朝倉のテンションも上がった。

「更に今回は班&個人の連勝複式トトカルチョも実施するよ〜!」
「も〜、おいしくて笑いが止まんねーって!!」

 2人は狸の皮算用で妄想を膨らませ、廊下にまで届く笑い声を上げ続けた。


 そしてゲームスタートの十一時前になり、各班代表が枕を両手にスタンバイした。

<修学旅行特別企画!! 『くちびる争奪!! 修学旅行でネギ先生とラブラブキッス大作戦』!!>
「キャー。始まったー」
「なかなか本格的じゃん」

 各部屋に設置されたモニターから朝倉の実況が中継される。お祭り好きなチアリーディング3人組は今回は賭ける側だった。
 モニターには『6組』のペアが映っている。

<では選手の紹介に入りましょう。まずは1班から!>


 3班代表、あやか&千雨

「うぐぐ……なんで私がこんなことを………」
「つべこべ言わず援護してくださいな ネギ先生の唇は私が死守します」


 2班代表、古菲&楓

「一位になってしまったらどーしよアルかねー!? ネギ坊主とは言えワタシ初キスアルよ〜〜」
「んー」


<やる気ゼロの千雨選手に対してネギ先生への偏愛と執着が衆知のいいんちょ人気癸韻任后!
 一方 バカレンジャーから参戦の菲選手と楓選手も体力的には侮れない相手だーー!>


 4班代表、祐奈&まき絵

「よーし 絶対勝つよぉーっ」
「エヘへ〜、ネギ君とキスか〜、んふふ」


 1班代表、風香&史伽

「あぶぶぶ お姉ちゃ〜〜〜ん 正座いやです〜」
「大丈夫だって僕らはかえで姉から教わってる秘密の術があるだろ」
「そのかえで姉と当たったらどうするんですかーーー」


 5班代表、夕映&のどか

「ゆ、ゆ、ゆえ〜〜〜」
「全くウチのクラスはアホばかりなんですから……折角のどかが告白した時にこんなアホなイベントを……」
「ゆえゆえイイよー。これはゲームなんだし……」
「いええ ダメです………ネギ先生は、私の知る中でも最もマトモな部類に入る男性です。のどか、アナタの選択は間違ってないと断言しますよ」
「ゆ、ゆえ………」
「絶対勝ってのどかにキスさせてあげます。行くですよ」
「う、うん……」


<以下、安定感ある運動部二人、未知数の鳴滝姉妹、大穴の図書館組、そしてそして! 柿崎&早乙女の推薦! ダークホースの特別ペアも忘れちゃいけません!!>


 特別ペア――――

「朝倉の考えぐらいお見通し……です。カモも一枚噛んでるに決まってるです」
「あの……何でこんなコトを?」
「クラスの皆、巻き込みたくないです。だから、ネギ先生と仮契約してもイイの、アリエッタ達だけです。協力してください……イオン様」
「僕、警備員なんですけど……新田先生に怒られちゃいます」
「アリエッタには関係ないです」
「……………」

 アリエッタ&イオン


<さぁ まだトトカルチョ参加間にあうよーーー! 詳細は私まで!! では、ゲーム開始ーーー!!>


 朝倉とカモの悪巧みの中、11人の女子+男1人によるネギの唇争奪戦が今、火蓋を切って落とされた。


 後書き
 アビス発売時、イオンを女だと思ったのは私だけじゃないでしょう。なので、次回はイオンも参加の唇争奪戦です。
 このままアリエッタも仮契約させられたら……良く考えたら、イオンとアリエッタの間でも仮契約アリなんですよね。

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