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「月の剣と太陽の杖 第3話 前編(サモンナイト2+WA2)」

燕 (2007-02-19 12:25)
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あたしは何も知らなかった。

……知らずに、出会ってしまった。

出会ってしまったことが罪なのか。

知らなかったことが罪なのか。

それとも、ここに居ること自体が罪なのか。

 

今は、まだ、それすらも――――あたしは知らない。

 

 

 
月の剣と太陽の杖

第3話 聖女  〜Brazing Night〜 前編

 


<蒼の派閥本部・(元)自室>

「で、結局ここに戻ってくることになるわけね……」

二日連続で出て行ったはずの部屋に泊まるってのは……なんだかなー。

「仕方ないだろう。宿代だって馬鹿にならないんだ、節約するにこしたことはないんだからな。とはいえ……さすがにそろそろ文句の一つも出てきたか」

ダダダダダダッ バタンッ!

「お前たち! 何をモタモタしておるのだッ!?」

勢いよく扉を開けて現れたのはフリップだった。

相変わらずうるさいなぁ。

っていうか、ネス耳良すぎ。足音が聞こえる前に気付くなんてさすがでびるいやー。

「黙っておれば、いつまでもブラブラしおって。派閥の任務を何だと思っている!?」

「お言葉ですが。我々はけして無為に過ごしていたわけではありません。野盗退治に関する顛末は、昨晩きちんと報告したはずです」

「それはお前たちが独断でとった行動だ。任務が滞る理由にはならん! そもそも冒険者などという犯罪者まがいと手を組むとは何事だ? 私――いや、派閥の体面というものを考えろ!!」

「体面――世間ニ対スル体裁。……体裁――ヽ哀ラ見タトキノ様子▲▲覦貭螢侶繊形式B梢優ラ見ラレタトキノ格好。……コノ場合ハH屮妊好?」

レオルドの言葉にその場にいたフリップを除く全員の視線が一箇所に集まる。

「……フリップ様、その頭に乗せておられる糸の塊はなんですか?」

「糸の塊だと……? はッ!!」

慌てた様子で頭――ううん、ずれてるものを押さえるフリップ。

その下からはすっかり寂しくなった地肌が少し覗いていた。

「と、とにかく! 早く出立するのだ、いいなッ!」

「ワタシハナニカマチガッタコトヲイイマシタカ?」

言い捨てて足早に去っていくフリップの姿を見送りながら、まだ状況のわかっていないレオルドにあたしたちは、

「「「「グッジョブ!!」」」」

「? ……ぐっじょぶ?」

親指を立てるあたしたちからワンテンポ遅れて、ハサハが小首を傾げながら見よう見真似で親指を立てていた。

 

 

 
<繁華街・青い小鳥亭>

「かーっ、しかしまあどこにでもいるんだな、その手の陰険野郎は」

「ほんと! なんか胸がムカムカしてきちゃうわ」

昨日のお礼ってことで一緒に食事をしていたフォルテたちにさっきの話をしたら、思った以上に反応があって驚いた。

いや、驚き半分、申し訳なさ半分ってところかな。

「ごめんなさい……。せっかく食事おごってもらったのに、こんな話しちゃって」

「ああ、気にすんなってそんなことぐらいで気を悪くしたりしねーよ」

にっ。と笑みを浮かべるフォルテ。

「それにこいつの神経の太さは筋金入りだ。消化が悪くなるなんて心配はご無用さ」

「なぁんですってぇ!?」

おぷすッ! と、ケイナの拳を喰らってフォルテが妙な声を出して突っ伏す。

「あはははッ」

この二人はもうずっとこんな関係なんだろうなー。

「つつ……。ところでお前さんたちこれからどうするつもりだ?」

「ファナンから街道沿いに旅する予定です」

「でも、正直いってこれといったアテはないんだけどね」

ネスたちが言う横であたしはハサハの顔についたケチャップを拭ってあげる。

にこ。と嬉しそうに笑うハサハ。

やっぱり可愛いな〜〜〜〜。

「ふーん。……なあ、もしよかったらその前にオレたちの用事に付き合ってくれないか?」

「用事、ですか?」

「おいおい、物騒な話しようってんじゃないんだ。そう怖い顔すんなよ。……レルムの村って知ってるか? ここから北に行ったところにある小さな村なんだが」

「いえ、聞いたことないですけど……」

「ほら、フォルテ。あの話はやっぱりデタラメだったのよ?」

「んなことないって! ちゃんと信用できるネタなんだし……」

「そのレルムって村に何かあるのかい?」

「ああ、そこになケガでも病気でも奇跡で治しちまう『聖女』がいるらしいんだ」

ああ、ほらまたこぼして……。

「……ちょっと失礼」

慌てなくていいからゆっくり噛まなくちゃダメだよ?

「ち・ゃ・ん・と・は・な・し・を・き・か・な・い・かッ!!」

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり……

「あだっ! あだだだだだだだっ!! ちょ、ネスっ! 地味にイタイッ!! イタイってばさッ!! え、ちょ、ま」


<ぴんぽんぱんぽーん>

「えー、現在見るに耐えない光景が繰り広げられているトカ。真に申し訳アリマセンがしばらくお待ちください。……そうッ! お詫びに我輩が一肌脱ぎま」

<ぴんぽんぱんぽーん>

『只今、おかしな電波が混線いたしました。重ねてお詫び申し上げます』

と、書かれたフリップを持ったハサハがぺこりと頭をさげる。

「続きをどうぞ、なの」

<ぴんぽんぱんぽーん>


「癒しの聖女?」

あたしはそう、まだ痛むこめかみをさすりながら尋ねた。

「ああ、何でもどんなケガや病気でも治しちまうって噂なんだが……聞いたことないか?」

「まあ、話程度なら。しかし、あくまでもそれは噂でしょう? 召喚術や、あるいはストラを用いているというならわかりますが……」

「……ねえねえマグナ。ストラってなんだっけ?」

こっそりとネスに気付かれないように尋ねる。

知らないことがバレたら今度は何をされることやら……

「えーと、確か格闘技なんかの達人が使う気とかいうエネルギーのことじゃなかったかな? 身体能力の強化とか、傷を癒すのにも使えるって聞いたことがあるけど」

へえ〜。それは便利かも。

とと、今はそっちは関係なかったっけ。

「それで、そのレルムの村だっけ? 聖女がケガとか治せるのはわかったけど、誰かケガか病気なの? 見たところ二人とも元気そうに見えるけど?」

あたしの言葉に二人はちょっと気まずそうな顔をした。

あ、あはは……。ひょっとして聞いちゃいけないことだったかな?

「こらトリス、失礼だろう? 済みません、言い難いことなら結構ですから」

「いや、いいんだ。詳しいことも話さずに手伝ってくれってのは虫が良すぎるからな」

さっきの顔が嘘のようにフォルテは笑った。

「まあ、なんだ。ケガや病気とはちと違うんだが……こいつはな、なんでか過去の記憶を失くしちまってんだよ。山の中で倒れているのをオレが助けたんだがな。自分の名がケイナってこと以外は思い出せないんだとさ」

「え……?」

「やあねぇ、そんな深刻な顔をしないでよ。普通に生活する分には困ってないし、ね?」

顔に出ていたのか、ケイナがそう苦笑して言う。

「つまり、貴方たちは『聖女』の奇跡の力で彼女の記憶を取り戻そうと?」

「ま、そーゆーこった。昨日の野盗退治で治療に必要なだけの寄付金も稼げたしな」

「あたしは別に記憶が無くても気にしないんだけど……」

「何言ってんだよ。もしかしたら、お前の帰りを待ってるヤツがいるかもしれねぇんだぞ? それに、自分の帰る場所くらい知っといた方がいい」

「フォルテ……」

少し感動したようにケイナの瞳が潤む。

へえ、意外とちゃんと考えてるんだ。

……でも、その考えもアシュレーの問いで全て吹き飛んだ。

「そのココロは?」

「記憶が戻りゃも少しお淑やかになるかなーってな」

前言撤回。

そして、あたしたちはこれから巻き起こるであろう惨劇から逃れるために少し離れたテーブルに避難した。

「「あっはっはっはっ…………はッ!?」」

どごめぎぐしゃ。   ……どさっ。


ああ、ケイナの背中に『滅』の文字が見えた気がする……


「まあ、なんだ。召喚師なら奇跡が本物かどうか見分けられるだろ? 同行してもらえれば、助かるんだが……どうだ?」

あれだけボコボコにされながらすぐに復活するフォルテ。

すごい回復力ね……。はっ! もしかしていつも殴られてるから耐性がっ!?

「もちろん無理に、とは言わないわ。こっちの勝手な都合でお願いしてるわけだし……」

「気にしないで、あたしたちにできることならいくらでも協力するし……それに、あたしも奇跡ってのがどんなものなのか見てみたいし。構わないよね、ネス?」

「まあ、よかろう。噂の真否を確かめることは派閥としても有益なことだしな」

「マグナは?」

「いいんじゃないかな? 元々、俺たちの方は目的地があるわけでもないし、急ぐ旅ってわけじゃないんだからさ」

「よーし! そうと決まればオレたちは今から旅の仲間だ。かたっ苦しい敬語とかはやめにしようや」

あたしたちが頷くと、フォルテは嬉しそうに笑った。

「そうですね……じゃなくて、そうね」

「ふふふ。変に意識しなくてもごく自然な話し方でいいんだからね」

「では、しばらくしてからまたここで合流しましょう」

「んじゃ、後でな!」

こうしてあたしたちは新たな旅の準備をするために街へと散らばっていった。


<導きの庭園>

とはいえ、旅の準備とは言っても何を用意すればいいのやら(汗)

どうしよっかなーと街をぶらぶらと歩いていると、導きの庭園のベンチに一人腰掛けて物憂げにため息をついているケイナを見つけた。

「どうしたの? ため息なんてついちゃって」

「ああ、トリス……。うん、ちょっとね……」

またため息。

何か悩みがあるんだろうけど……

「うーん、あたしでよければ話くらい聞くけど?」

「……そうね、ちょっと聞いてもらおうかしら」

少し考えるとケイナは頷いてくれた。

そしてぽつりぽつりと話し始める。

「あのね、記憶が戻ったらどうなるのか心配になっちゃって……。ほら、過去に何をしてきたのかわからないでしょ? ひょっとしたらとんでもない悪人だったのかもしれないし、あるいは何かとても嫌なことがあったのかもしれない。……だとすると、記憶が戻らないのは思い出したくないからじゃないのかなって。だから、もしかしたら思い出さない方が幸せなんじゃないかって……。そう考え始めたら、ね」

はぁ。とまたため息を吐くケイナ。

うーん、これは結構、根が深いかも。

どう言うべきかあたしが少し迷っていると、

「しってるよ」

意外な言葉がこれまた意外なところから飛び出した。

「え……?」

「おねぇちゃんはね、ハサハとおんなじ……。シルターンから来たんだよ?」

「ハサハ、それ本当なの!?」

こくんと頷くハサハ。

「ほら……似てるよね、着物?」

「確かに作りとかは似てるけど……」

「シルターン……どうしたのかしら、なんだかその言葉すごく気になるわ」

これはひょっとしたら当たってるのかな?

うーん、だとしても……

「心配しなくてもいいよ。記憶が戻ったって別に今までとなんにも変わらないって」

「そうかしら……」

「少なくともさ、フォルテはきっと気にしないと思うけど」

自分で言っててなんだけど、凄い勢いで笑い飛ばしてるフォルテの姿が目に浮かぶんだよねー。……もしかしていつもの態度ってワザと? あはは、まさかね。

「な……ッ!」

「あ、もちろんあたしもね」

だから大丈夫だよ。って笑いかけてあげる。

「……そうよね。なんだか話をしたらちょっとだけ楽になっちゃった。ありがとうトリス、ハサハ」

そう言うケイナの顔にはやっと穏やかな笑みが浮かんでいた。

これで、悩み過ぎなくなるといいんだけど。

あ、そうだ。

「ね、ケイナ。心配事が軽くなったところで買い物に行かない? ほら、あたしたちちゃんとした旅って始めてだからイマイチ何を準備したらいいのか良くわからないのよね。それに、ネスとかと一緒じゃ行きにくいお店とかもあるし……ね?」

あたしの台詞にケイナは少し驚いたような顔をしたものの、すぐににっこりと笑って頷く。

「ふふ、そうね。それじゃあ一緒に行きましょうか。ありがとう、トリス」

「いえいえどういたしまして♪ それじゃ、まずどこから行こっか?」

善は急げと、座りっぱなしだったケイナの手を引いてあたしは歩き出す。後ろから「そんなに引っ張らないでよ〜」とかいう声が聞こえたけど気にしない気にしない♪


<ハルシェ湖畔>

王都ゼラムに隣接するこの湖は海とも繋がっており、貿易の中継点として利用されている。その為、行き来する船で常に込み合っていて人の姿が途切れることはない。

つまり、秘密の話をするには最も適さない場所であるといえる。

そんな場所にアシュレーとフォルテはいた。

……かなり珍しい取り合わせではあるが、さっきの掛け合いもあるし、意外とこの二人は気が合うのかもしれない。

「で、話ってのは何だい? わざわざオレに話すってことはトリスたちにはあまり聞かれたくないってことなんだろ?」

「まあね。ちょっと聞きたいことがあってさ」

「聞きたいこと? なんだぁ? もしかして綺麗なおねぇちゃんのいる店に案内してくれとかか? おいおい、こんな真っ昼間から好きだねぇお前さんも」

「ははは、そういうのじゃないよ」

茶化すフォルテの言葉を軽く流すアシュレー。だが、その眼差しは真剣な物だった。

それを見ると、フォルテも軽く居住まいを正す。

「……どうやら軽く流せる話じゃないみたいだな?」

「ああ……。もしかしたらフォルテなら知ってるんじゃないかと思ってさ」

「まあ、これでもいろんなトコを旅して来たからな。教えられることなら教えてやるよ」

……重ねて言うが、秘密の話というものは他人に聞かれないようにするものである。

それ故に、普通ならば人気の無い場所――路地裏などで行われるが、逆に言えば、どれだけ人がいようとも会話を聞かれなければ関係ないのだ。むしろ、人気の無いところでこれ見よがしに会話をしていれば、人に見つかったときに余計な興味を引くことになるだろう。ならば、人が忙しく動き回っていて他人に注意を払いにくい場所の方がこういった会話をしやすい。……もちろん、周りがうるさいといったデメリットもあるが。

「なるほどな……」

話を聞き終えたフォルテはそう呟いた。

「それで、何か知らないかな?」

「そうだな。一つ、心当たりがあるっちゃああるが……」

フォルテにしては珍しく口ごもる。

「トリスたちに任せておいた方がいいんじゃないのか? 召喚術に関しちゃあいつらの方が詳しいぜ?」

「確かにその通りなんだけどね。でも、向こうに頼りっぱなしってのもちょっとさ」

「まあ、組織に借りを作っちまうと後々面倒だからなぁ」

思い当たる節でもあるのか、うんざりとした顔をするフォルテ。

それを見てアシュレーは少し笑みを浮かべると、一転して真面目な顔になり、

「それで、聞かせてくれないか? 世界を渡る方法ってヤツを」

「まあ、落ち着きな。オレが知っているのは世界を渡る方法じゃなくて、お前さんを元の世界に送れるかもしれない奴の話さ」

やんわりとアシュレーの言葉を訂正する。

そして、

「『エルゴの王』って知ってるかい?」

フォルテはそう口を開いた。


<繁華街・青い小鳥亭前>

一通り準備を終えて待ち合わせ場所に戻ると、フォルテたちはすでに来ていた。

「よぉ、どうだ。支度は済んだか?」

「ええ、こっちはもう大丈夫」

「んじゃ、全員揃ったみたいだし出発するか!」

その一言を合図にあたしたちは歩き出す。

レルムの村かぁ……どんなとこなんだろ?

う〜〜〜〜っ! 楽しみッ!!


……そんな風にわくわくしていたけれど、数時間も歩くと浮かれた気分もどこかに飛んでいた。

「なんか、ずいぶんと頼りない道よねぇ。坂とかもやたら多いし」

なんでこんなに歩き難いかな〜〜〜。

「レルムの村は林業や狩猟で生計を立てている小さな村だからな。荒れていて当然だ」

「村に続く道はどこでも似たようなものよ。利用するのは村の人だけ、街の人が村に出かける必要なんてないしね」

「そうなの?」

「ま、誰だってわざわざ野盗や化け物に襲われたくはないからな。こうした山奥の道はそういう連中が隠れるのにうってつけだし」

「へッ!?」

フォルテの言葉にあたしは周りをキョロキョロと見回した。

うぅ、なんか茂みとかからいきなり飛び出してきそう……

「……おねぇちゃん」

ぎゅっ。と服の裾を握り締めて不安そうな顔をするハサハ。

ダメダメ。しっかりしなくちゃ。

「そんなに強く握らなくても大丈夫よ」

まだ少し怖いけれど、ハサハを安心させるために笑いかける。

「心配ないなーい! こうして大勢で歩いていりゃ大丈夫さ。自分より数の多い相手にケンカを売るほど連中はバカじゃ……」

がさがさがさっ!!

「……!」

「ま、まさか……化け物ッ!?」

突然の物音に驚いて身構えるあたしとハサハ。

だけど、

「大丈夫。落ち着いてよく見てごらん」

「へっ?」

「人をいきなり化け物呼ばわりとは失礼な……」

茂みから現れたのは筋骨隆々としたおじいさんだった。

うわ、おっきい。フォルテより大きいんじゃない?

「ごめんなさい。つい、びっくりして」

「ふん、まあいいわい。その腰の物で斬りつけなかっただけマシじゃ」

「なあ、爺さん。アンタひょっとしてレルムの村の人かい?」

「ああ、そうじゃ。わしはレルムの村の樵じゃが……。そういうあんたらは何者じゃ? 見たところ行商人とは思えんが」

「私たち、レルムの村にいる聖女の噂を聞いて来たんですけど」

「なんだ……あんたらも、他の連中と同じ目的か」

呆れた……というかくたびれたような口調。

「村まではまだ遠いのかい?」

「村は、この坂を越えた向こうにあるわい。それじゃあな」

今のおじいさん、なんか、うんざりした顔してたけど……気のせいかなぁ?


<レルム村>

おじいさんと別れて少し歩くと、言っていたとおりに村に辿り着いた。

今いる所がちょうど高台になっているみたいで、村の様子が一望できる……んだけど、

「ひゅー……」

あまりの人の多さにとっさに言葉がでなかった。

見渡す限りの人、人、人。

「ひょっとしてここにいる人たちって、み〜〜〜〜〜〜んな、聖女の奇跡目当ての人?」

「うーん、これじゃ日が暮れたって私たちに順番は回ってきそうにないわね……」

あはは……。さっきのおじいさんがうんざりしてたのも分かるかも……

「いや、それ以前にどこが列の最後部かもわからないぞ」

「なーに、そんなもの適当に列ん中に混じっちまえば……」

「ちょっとフォルテ!? それはさすがにまずいってば」

慌ててケイナが止めようとするけど、それよりも早く大声が響いた。

「そこの野郎ッ! なに勝手に列に割りこんでやがるんだッ!!」

「きゃっ!?」

人の波を割いて現れたのはあたしと同い年くらいの赤い髪の少年だった。

「なんのためにわざわざ列を作って並んでると思ってんだよ……」

「あー、わりぃわりぃ。どこが列の最後尾だかわかんなくてさぁ」

「はっ、どうだか……。最初っからドサクサで列に入りこむつもりだったんだろうが? テメエらみたいな連中がいやがるから俺たちの苦労が絶えねえんだッ!」

苛立った口調と、敵意を隠そうともしない視線で少年はあたしたちを睨みつける。

「さあ、とっととこの村から出てきやがれ!!」

……ぷち。

あははー。そこまで言う?

「ちょっと待てよ。そりゃ、順番を乱した俺たちも悪いけど、出て行けってのはあんまりじゃないか?」

「そうよ! だいたい何の権利があって貴方にそんな命令ができるわけ!?」

「権利だァ? はッ、権利ならあるさ。俺はこの村の自警団員なんだからな」

「ほう? それにしてはずいぶん礼儀がなっていないようだがな」

ふふふ。今回は止めないわ。思いっきり言い負かしちゃえ、ネス!!

「なにィ……?」

「喧嘩腰で物を言われずとも、物の道理ぐらい理解できるさ。むしろ君の高圧的な態度は、かえって事態を悪化させているとしか思えないな。それに、一つ付け加えさせてもらえば、自警団員だからといって人に命令しても構わないと考えている時点で自警団員失格だ。いや、そもそも本当に君は自警団員なのか? それを証明できる物は持っているか? 持っているならすまないが見せてくれ。こうも人が多いと勘違いした馬鹿者が出ないとも限らないからな」

「……テメエッ!!」

……なーんだ。これくらいでもう声荒げちゃうんだ。

まだまだ序の口なんだけどねぇ。

「そこまでだ!! リューグ!」

「ちッ……」

苦々しげに舌打ちをする赤い髪の少年。

何よ。もうちょっと弄ってあげようと思ってたの……に?

「えっ、ええっ!? おっ、同じ顔が二人?」

「ほー、双子とは珍しいなあ」

始めて見た……。

ほんとにそっくりなんだ。でも、目つきとかが違うからかな? かなり印象が違うわね。

はっきり違うところっていえば髪の色が青ってとこくらい。

「どんなことがあってもお客様に暴力を振るうなと、あれほど言い聞かせただろう?」

「口で言ってもわからん奴らには、この方が早えんだよッ!」

「リューグ!」

「はッ、やめたやめた! テメエの説教なんてまっぴらだッ! そうやって、一人で偽善者ぶってろ……バカ兄貴がッ!!」

肩を怒らせて紅い髪の少年は歩き去っていった。

残される形になったあたしたちがその背中を見送っていると、

「どうもすいません。弟のリューグが、失礼なことをしてしまって……」

「いえ、こちらこそ言葉が過ぎました。ですから気にしないでください」

あ、一応口が悪いってことは認めてるんだ。

「そう言って貰えると助かります。僕はこのレルムの村の自警団長をさせてもらっているロッカです」

「これはご丁寧に、僕は――」

と、お決まりの自己紹介を簡単に済ませる。

改めてリューグ――さっきの紅い髪の子のことを話すロッカは何だか疲れてるように見えた。

……マグナ、何でロッカの肩を掴んで頷いてるかな。

「大変だよな……ッ!! 本当に大変なんだ……ッ!! わかるッ! わかるよその気持ちはッ!!」

「も、もしかしてあなたもご兄妹に、その、大変な目に?」

「ああッ!! いつもいつもこっちの苦労はお構いなし。兄貴は何考えてるのかわかんない仏頂面がデフォだし、妹は行き当たりばったりの向こう見ずでお転婆と言うにも程がある。その上、兄貴は最近やたらとテンションがおかしいし、本当なら止めるはずの立場なのに自分から暴走してるとしか思えないんだ。妹は全然止めようとはしないから、必然的に俺が止めなくちゃいけなくなるんだ。もう勘弁してくれ!!」(一息)

「へぇ……そういうふうに見てたんだ、『お兄ちゃん』?」

「いや、君がそう思っているとは知らなかったよ、マグナ」

がし。

両側からマグナの肩を掴むあたしとネス。

「え? あれ? ちょっと待って……」

「はっはっはっ。ここは一つ向こうで兄妹水入らずで話そうじゃないか」

「あはは。そうだね、ネス。『お兄ちゃん』もそれでいいよね? もちろん拒否権はないよ」

ず〜りず〜り。

「待って助けてそこの人ッ!!」

「あ、ちょっとトカゲっぽい」

「スミマセン……わかるからこそ、助けられないことってあるんですよ」

「まあ、話はこっちでしてるから程々にしとけよ〜」

「あはは……」

「レオルド〜。ちょぉっと、貴方のマスター借りるわね? 帰ってくるまでそこで待ってて」

「了解シマシタ」

「う、裏切り者〜〜〜〜〜ッ!!」

……

…………

……………………三十分後。

「お待たせ〜〜〜」

「おう。……って、大丈夫かマグナ?」

「ネスティエライ。トリスカワイイ」

カクカクと壊れた機械みたいな動きをしながらそう繰り返すマグナ。

目は虚ろで、うん、口元からアゴに向かって線でも引いたらロボマグナの完成ね。

「これはまたずいぶんと……」

「あはは……。ちょっとやりすぎたかな?」

「まあ、この位なら……ていッ! 右斜め45度!!」

どびし。とアシュレーのチョップが決まってマグナは崩れ落ちた。

「ふふふ。壊れた機械は叩けば直るのさ」

……まあ、あながち間違いじゃないんだけどね。

とりあえずしばらく放っておけば気がつくでしょ。

「それで、そっちはどうなの?」

「ん? ああ、まいったぜ。どうも今、村の中で列を作ってる連中以外にも順番待ちのヤツがン十人はいるらしい」

「それで、仕方ないからあたしたちも並んでくることにしたのよ」

「しかしこの人数だと今日中に順番は来そうにもないな」

やれやれ。と軽くため息をつくネス。

「ごめんなさいね? まさかこんなことになるなんて……」

「気にしないで。あたしは結構愉しんでるし、ね」

「愉しんでるのは君だけだろうがな」

「まあまあ、そう言わずに。何が起きるかわからないってのも旅の醍醐味だと思うよ?」

「ははっ。アシュレーの言うとおりさ。さてと、そんじゃちょっくら並んできますか。行くぞケイナ」

「あ、待ってよフォルテ。それじゃ皆、後でね」

走り出したフォルテをケイナが追いかけていく。

やっぱり仲いいな〜、あの二人。

「それじゃ、あたしたちはどうしよっか?」

「あの、もし宜しければさっきの騒ぎの経緯を聞かせて貰いたいんですが……」

「それなら僕が行こう」

「じゃ、あたしも……」

「君がついてくると、かえって話がややこしくなりかねん」

すぱっと断言ですか。

決め付けてくれちゃってまぁ。

「村の見学でもしてればいいだろう? ついでに宿でも探しておいてくれ。しばらくの間はここに滞在することになりそうだからな。……さて、それでは行きましょうか。詰め所はどこです?」

「こちらです。ついて来てください」

二人の姿が人混みに消える。

さて、どうしたものかしらね。

「……おねぇちゃん、どうするの?」

「うーん、まあ、適当に村の中でも歩いてみよっか。アシュレーはどうする?」

「ああ、僕はちょっとやることがあるから二人で回ってきなよ」

何をやるのか少し気になったけど、余り突っ込まずに「そっか」と流す。

「それじゃ、また後でね」

「うん、人が多いからはぐれないように気をつけて」

「…………ッ!?(ぎゅっ!!)」

「あのー、ハサハ? そんなにしがみ付かなくてもはぐれたりしないから。ほら、こうしてれば大丈夫でしょ?」

腰に張り付いたハサハをひっぺがして、改めて手を繋いであげる。

微かに聞こえた笑い声に振り返ると、アシュレーが笑うのを堪えていた。

「ちょっとアシュレー? わかっててやったでしょ?」

「気のせい、気のせい。そんなつもりないよ。まあ、なんにせよ、そうしてればはぐれたりしないから安心だよね、ハサハちゃん?」

「…………♪(こくこく)」

「もう、しょうがないなぁ……」

あたしは軽くため息をついた。

うーん、どうもアシュレーには勝てる気がしないのよね……

なんか子どもにするみたいに軽くあしらわれてる感じが……

「どうしたの、おねぇちゃん?」

「あ、何でもないよ。それじゃ行こっか、ハサハ。いじわるなこと言う人なんてほっといちゃおう」

「あはは。ごめんごめん、そう拗ねないでよ」

拗ねてませんよーだ。

…………そう考えてる時点で拗ねてるね。あたし。

「はぁ、もういいよ。とりあえずあたしたちは少し村の中歩いてくるね」

「うん、いってらっしゃい。僕はこの近くにいるだろうから、用があったら呼んでよ」

「わかったわ。それじゃあ、また後でね、アシュレー」


<レルム村:村はずれの森>

「あたたた……。まったく、酷い目にあったな」

まだ痛む後頭部をさすりながらマグナはそう呟いた。

気付いたときには皆の姿は無く、ぽつんと隣で静かに佇んでいたレオルドに話を聞いてようやく何が起きたのか理解する。

待っていたところで戻ってくるとも限らないので、村の中をぶらぶらと歩いてみようとも思ったのだが、あまりの人の多さに断念した。

……騒がしいのが傷に障ったともいうか。

そんなこんなで、静かな方へ静かな方へと行くうちにこの場所に辿りついていた。

「しっかし、ここは気持ちいいなぁ……」

ざあ。と風に揺れる木々が奏でる音がゆっくりと体に染みこんでくるような気がする。

木洩れ日がちょうどいい具合に差し込んでいて、暖かな日溜まりを作り出していた。昼寝をするにはもってこいの場所だろう。

「あふ……。そういやここんとこ慌ただしくて昼寝する暇もなかったっけ」

近くの木に背をもたれかけて座りこむと、また欠伸がでる。

日溜まりと木々が奏でる音が急速に眠気を引き起こしてくるが、マグナはそれに抗うことなくゆっくりと目を閉じた。

ざあ……

                  ざあ……

         ざあ……

「…………あわ………あわわ……」

   ざあ……

                ざあ……

「……ん? 何か言ったかレオルド?」

「イイエ。ワタシデハアリマセン」

「じゃあ気のせいかな? ふあぁ……」

そう言ってまた欠伸を一つ。

「マスター」

「……ん? なんだい?」

「頭上ニ注意シテクダサイ」

「ど、どいてくださ〜〜〜〜いッ!!」

「へ?」

唐突に上から降ってきた声の方を向く。

白。

誰がなんといおーと白。

これでもかって言うくらいに白。

木々の隙間から見える青空と、舞い散る葉の碧。それにやたらと映える白。

マグナの目に映ったのはそれだった。

だがそれが見えていたのは一瞬のことで、次の瞬間には軽い衝撃とともにマグナの視界は闇に覆われていた。

「もふぁ!? ふぁ、ふぁんふぁ!? まふぇはみふぇなひッ!? (おわっ!? な、なんだ!? 前が見えないッ!?)」

「きゃー!! う、動かないでくださいッ!!」

「ふほはなひふぇっふぇふひはらふぁらッ!!(動かないでって無理だからッ!!)」

「だ、だから動かないでくださいって―――あ///

「はんふぇふょうはほふぇはひほへふはなッ!?(何で妙な声が聞こえるかなッ!?)」

「きゃあっ!」

がばっ! と勢いよく体を起こすマグナ。そうすると何かが顔から離れていく感触と同時に視界を覆っていた闇も晴れる。

―――が、その代わりというわけではないのだろうが、何故かマグナの腕の中に同い年くらいの少女の姿があった。

訂正。腕の中ではなく、体の上である。それも人様に見られたらアレな体勢だ。……もし、少女の保護者に今の光景を見られていたらマグナの命はなかったかもしれない。具体的に言うと引退したとはいえまだまだ現役な獅子な方とかその跡継ぎとか、双子の兄は静かなる勇者ってくらいだからきっと陰険なまでに苛め抜くに違いない。まあ、そんなことはないだろーが。

「あいたたた……」

「いったい何がどうなって―――あ゛」

目の前の光景に固まるマグナ。

ぶっちゃけ、男にとっては――それも年頃の青少年ならば反応しない訳が無い光景が目の前に広がっていたのだから。

「白……」

オマケにというわけではないのだが、マグナから丸見えになってしまっているその白いものが微妙に湿っているように見えるのは気のせいではないだろう。

一体どれくらい固まっていたのか。いや、あるいはほんの一瞬のことだったのかもしれないが、ずいぶんと長い間のような気がした。……ペトラミアの邪眼でも喰らったかな?

「う、うぅん……」

もぞり。と目の前の小ぶりなお尻―――もとい、少女が身じろぎした。どうやら気がついたらしい。

「あれ……? あたし、一体……?」

「えぇと、気がついたならできれば降りて欲しいんだけど……」

「えっ? はわわわっ! ご、ごめんなさいっ!!」

慌ててマグナの上から降りる少女。その顔は恥ずかしさからか紅く染まっている。

(うわ、可愛い娘だな……って待て、ちょぉっと待て。さっき、俺の顔に押し付けられてたのって!?)

「あの……どうかしましたか?」

「えッ!? い、いいいいやナンデモナイデスヨ?」

「はあ…………」

「コホン。ところで君はどうして上から落ちてきたんだ?」

頭の中に浮かんだ物を必死で追い出して何とか平静を保ちながら尋ねる。

……もちろん、さっきの光景やら何やらは記憶の深いところ(通称・青少年のうれし恥ずかし甘酸っぱい記憶回路だトカ)でバッチリ鮮明に記録済みだが。

「あっ! そうだ猫さんは!?」

「猫?」

「はい。あの木の上に……よかったぁ、まだ大丈夫みたい」

「なるほど……つまり、あの猫を助けようとして木に登ったけど落ちちゃったってことか」

木の上を見れば、まだ子猫なのか小さな猫がみーみーと鳴いていた。

「よっし。そういうことなら任せてよ。これでも木登りは得意なんだ」

「え? そんな悪いです」

「いいからいいから。それに十分過ぎるほどいい思いさせてもらったし

「はい? 何かおっしゃいましたか?」

「い、いや、何でもないよ。……さて、と」

軽く手を叩き、マグナは木を登り始めた。

自分で得意と言うだけあってその動きは手馴れたもので、するすると子猫がいる枝まで辿り着く。

「よーしよし。いいこだから大人しくしててくれよ……」

そういいながら慎重に子猫へと近づこうとするが、その子猫はといえば、いきなり現れた人影に完全に怯えてしまい、思いっきり威嚇している。

その上……

ミシッ

「大丈夫ですかー?」

「あ、あはは……大丈夫大丈夫」

嫌な音を立てる枝の上を慎重に進むマグナ。だが、ミシミシという音は確実に大きくなっていた。

(大丈夫とは言ったものの……これはちょっとマズイッ!)

恐らくこれ以上進めば、ぼきりと枝が折れるだろう。にもかかわらず怯えた子猫は枝の先へと逃げていってしまう。

マグナは自然と荒くなりだした息を無理矢理押さえ込むと覚悟を決めた。

(こーなりゃ一気に捕まえてそのまま飛び降りるッ!!)

子猫を刺激しないよう慎重に間合いを詰め、そして――――

「よっしゃあッ! 捕まえたぁッ!!」

後は折れる前に飛び降りるだけ―――のはずだったのだが。

バキッ!!

「へ?」

不吉極まりない破砕音と共に足元から抵抗が抜け、そして感じる浮遊感。

「う、うそだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

と、子猫を抱えたままマグナは落ちていき、彼の意識もまた同じように深い闇の中へと落ちていったのだった。


この後、マグナが少女に膝枕されている状態で目覚めたり、ケガを治してもらったりとあったのだが、あんまり変化が無いので割愛する。

……決して面倒だからなどという理由ではナイデスヨ?

ちなみに、膝枕をしているときやケガを治しているとき二人の顔がやたらと紅かったと言っておこう。


なかがき

……よし、トカゲはいないな?

はい、第3話 前編 をお送りしました〜。

すんません。かなり更新が遅れました(汗)

ちょっとリアルの方が忙しかったもので……

その分、文章量はいつもの1.5倍(当社比)!

あんまし長くなりすぎちゃったから急遽前後編に分ける事にッ!!

さー、卒論もやっとこさ終わったし、書くぞーーーーーーッ!!

うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。


……コホン、失礼。

ちょっと疲れが溜まっていたみたいです。

ここんところ忙しくて疲れが取れないのですよ。

ふふふ、前もって言ってたんだから卒論前くらい休ませろてんちょー。

「あーはっはっはっ! そんなことじゃお茶の間のアイドルにゃなれないぜッ!!」

ぬう! 何奴ッ!!

「点が呼ぶ。血が呼ぶ。俺が呼ぶッ!! お前の出番だと叫んでるッ!?」

あー、ゼット(友人Z代理)か。

「お茶の……最後まで言わせろよッ!? 頼むからッ!! むしろツッコミのないボケほど寂しい物は無いとわかっているのかい明智君!!」

そー言われてもなぁ……お前、本編と関係ないし。だったらまだトカゲが来た方が話もわかるんだが。

「うわッ! いきなり直球ストレートッ!?」

そうそう、絶好の狙い球ってちがうだろ(ナゲヤリ)

「ふむ。ツッコミとみせかけておいてその実ボケだったとは……中々やるなお前ッ!!」

あー、もういい。とっととレス返しするぞ。


アッシャ様>途中マグナたちが妙な毒電波を〜
「ふっふっふっ。トカゲの力なぞ借りなくても俺はいつでも電波ユンユンッ! 俺へのツッコミはきっと俺の書いてる主人公じゃないとムリッ!!」
……おーい。呼んでるぞー。ちょおっと手ぇ貸せー。

ひゅん。ざく。ぷしゅー。

「おうちっ! べぇりぃしっと!!」(頭にやたら長い剣が刺さっている)
うむ。流石だ。
さてさて、邪魔者も静かになったことだしまともにレスをば。
視点統一はこんなふうにしてみましたがどうでしょーか?
また何かお気づきの点がありましたらよろしくお願いしますー。


YAN様>ハサハにリィンバウム語は〜
あ、しまった。むー、どうしようかな……
「俺は人間を辞め(誤字にあらず)たぞジョ(ピーーー)」(復活)
うーん、護衛獣って術者の身の回りの世話なんかもやるっていう話ですからそのためかと。……まさかトカゲのせいか? いやいや幾らなんでもそんな訳……
「ふっふっふっ、キサマ先程はよくもやってくれたなぁ。まさか自分の飼い犬(キャラクター)に手を噛まれるとは思わなかったぞ」
えー、ほぼオリ設定になっているかと思いますがそんなとこです。
「そう! 例えるなら護衛獣(サーヴァント)に裏切られた気分だ」
まあ、従者って意味じゃ同じだしなぁ。
「ふっ。この程度の簡単な説明も出来ないとはキサマの頭脳もタカが知れているなぁ?」
お、こんなところにリニアレールキャノンが。
「(ちらりとそれを見て)ふっふっふっ。すぐにそうやって暴力に訴えようとするのは人としてどうかと思ったり思わなかったりする今日この頃なのですが。って言っている傍からなんですかこのエで始まってゥで終わりそうな鎖は! とりあえずいい加減俺の方にばかり攻撃するな俺の書いた主人公Sーーーッ!!」
ないすあしすと♪ では、極細と散れ。
「Nooooooooooooooooッ!!」


蒼夜様>ドリル。それは男のロマン……
「ドーリルでるんるんくるるんるん♪」(かなり野太い声)
うお。まともに直撃させたはずなのにもう再生しやがった!
「へ〜んしんよ! 今がチャンスよ〜〜(ビキニパンツから蝶イカしたマスクを取り出す)」
……蝶野を、パピヨンを侮辱したね? ふふふ、いい度胸だ。(パチン)
「ドーリルでるんるんくるる……はっ!! ちょ、ちょっと待て。主人公だけならまだしもヒロインまで呼ぶとはどういうつもりだ? 一応そいつの攻撃力はローアイアス6枚を一撃でぶち抜くんだぞ余裕で!!」
誰が、ヒロインだけだと、言った?
出番だ、アースガルズッ!! この痴れ者をブッ飛ばせぇ!!
さらにSにIッ!! 俺が許すッ!! 一向に更新しないヤツに怒りをぶつけてやれッ!!

某弓兵の主人公Sがドリル状の矢を放ち、そのヒロインIが見当違いの方向にレールガンをぶっ放す。そして、こんなことに呼び出されたアースガルズがちょっと情けない思いを感じながら拳を振り下ろした。

「ごびぶはぁッ!!」

悪は滅びた……。だがなぜだろうこの心に感じる虚しさは……

「がふ。ふ……ふふふ、バカめ。こうしている間にも奴ら(トカゲたち)はちゃくちゃくとこの世界にやってくる準備を……」

な、なんだってーーーーぇ!!


後編に続く(かもしれない)

※上のゼットは友人Z本人が書いてます。ええ、リアルでこーゆーヤツです。現在P:友情 N:食傷 ってとこでしょーかね(笑)

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