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「.hack//Dawn 第11話(.hackシリーズ+オリジナル)」

白亜 (2007-02-14 12:03/2007-02-16 11:58)
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 reverse/アルビレオ

「司か……」

 アルビレオは数日前から噂になっているモンスター使いと呼ばれる呪文使いの事を考える。

 ザ・ワールドにモンスター使いと呼ばれるジョブは存在しない。 明らかなバグかチートだ。

 そして司自身にも問題があった。 異常な程にログインし続けているのだ。

 だから会わなければならない。 一体どうしてこのような事が出来るのかを。

 だから知らなければならない。 一体何が隠されているのかと言う事を。

「……リコリス……君は……」

 リコリスは行方不明だ。

 あの日、サイリスとほくとが会ったあの日から彼女の行方は分からない。

 サイリスのホームに匿われていた筈の彼岸花の少女は何処に行ってしまったのだろうか?


 .hack//Dawn 第11話 槍光殺神・各々想考


「神槍ヴォータンが……」

 呆気なかった。 神より託された槍は、神に反逆して見事に砕かれたのだ。

 鉄アレイ。 司が操るモンスターを削除しようとした途端、槍は砕かれた。

「ぐうっ!?」

 鉄アレイの触手が、槍を失ったアルビレオに容赦なく襲い掛かる。

 なんとか、地面に激突する前に体勢を立て直したが、攻撃手段は既に存在しない。

 そのまま、地面に倒れ伏すアルビレオだが、鉄アレイのモンスターは追撃してこないようだ。

 主である司を攻撃しなければ、傷つける事はないと言う事なのであろうか。

 気がつけば、司も猫PCも鉄アレイのモンスターも既にそこにはいなかった。

「俺は……」

 倒れたまま月夜の空を見上げる。 槍が砕かれた今、自分が何をすればいいか分からなくなっていた。

 いや、分からなくなり始めたのはリコリスと出会ってからだろう。

 CC社の人間としてはバグたる存在を削除しなければならない。 だが、ザ・ワールドの一人の住人として彼女を削除する事を拒んでいた。

 だからか。 先日の会議で放浪AIを削除しなくていいような命令を部下に出した。 単なるエゴ。 リコリスを消させない為のエゴなのだ。

「……どうすればいい」

 切り札たる神の槍はない。 当然なのだろう。 神から授かった槍を、神に向けたのだから。

 だが、何かをやろうと言う気持ちが思い浮かばない。 ただ呆然と、怠慢と、月夜を見上げるだけ。

「……ショートメール?」

 突然、届いたメールに驚くアルビレオ。 一体誰だろうと開けて見る。

 そこには、自分が消したくないと願う少女の名前が刻まれていた。


 ■□■□■


「ここか……」

 アルビレオは先程とは違うエリアにやってきていた。

 リコリスと思わしき人物から送られたメールに書かれていたエリア。


 【Δ 隠されし 反逆の 運命】


 そこにやってきたのは良かったが、周りには誰かが待っているような様子はない。

 妖精のオーブを使って、周り一帯を調査。 隈なく探し回ったが、誰もいない。

 ならば、

「……やはりダンジョンか」

 とりあえずダンジョンの最下層に行ってみる事にする。 そこに誰もいなければ、どうにもならないし。

 砕かれた神槍ヴォータンの代わりの槍を装備して、モンスターを一掃しながら、下へ下へと進んでいくアルビレオ。

 だが、何もない。 何かが変わる訳でもない。 誰かがいる様子もない。

 最下層までやってきたが、やはり誰かがいる様子はない。

 アイテム神像までやってきた。 しかし宝箱があるだけだ。

「違うのか……っ!?」

 宝箱を開けて、部屋から出ようとした時に、この辺り一面が光に包まれる。 自分の目で見る事が出来ないぐらい強力なものだ。

「くっ……なんだ!?」

 アルビレオの視界が白い光に包まれているが、次第に光が収まっていく。

 だが、そこは見慣れたダンジョンではなかった。

 白い背景のスクリーンに映像が塗り込められている。 ムービーのようだが、明らかに画質が悪く、本来のクオリティの品質ではない。

 それは過去の記憶だった。

 一人の男と、一人の少女の対話。 それが今、アルビレオの目に流れ込んでくる映像だ。

 少女の名前はリコリス。 それと対話するのは【聖堂の亡霊】と呼ばれた男だ。

 男がリコリスに対して失敗作と言う。 夢産みの失敗作。 アウラのプロトタイプ。

 突然に、映像が途切れる。 ここまでなのだろう。

「誰がこれを……!?」

 誰がこんな映像を見せたのか?

 それを問おうとした時、アルビレオはもとのダンジョンに戻っていた。

 そして、何時の間にか目の前にはリコリスの姿があった。 だが、どうもリコリスの様子が可笑しい。 体が透けていて、幽霊のような状態だ。

『アルビレオ……』

「リコリス、さっきのあれは……?」

『貴方が、この声を聞いていると言う事は、私はもう削除されてしまったと言う事』

「何!? どういう事だ!」

『これは私が、ただ世界に残した残滓に過ぎない』

 アルビレオの問いを無視して、リコリスは一人淡々と喋っていく。

 つまり目の前にいるリコリスは、本体ではない。 録音された情報にすぎないのだ。

『さっき見せたのは、私の過去。 この世界に生まれた貴方達が言う放浪AIの意味』

「……アウラのプロトタイプ……まさかハロルド・ヒューイックは……!?」

 かつてハロルド・ヒューイックはAIの研究をしていたと聞く。

 もし、それが本当ならばリコリス達放浪AI、そしてモルガナとは……。

『モルガナはこの世界の神。 だけど、彼女はその娘たる私達を、そしてアウラを消そうとする』

「……」

『禍々しき波が訪れる。 だから貴方にこれを託します』

「禍々しき波? まさか【黄昏の碑文】の……これは!?」

 アルビレオの手には予備の槍ではない、違う槍が握られていた。

 白銀に彩られた槍。 銘は……神を貫く為の槍。 かつて光の神を殺した伝承を持つ剣の名を受け継ぐ槍。

 【ミスティルテイン】

 それが今、リコリスからアルビレオに託された。

『その力をどう使うかは貴方しだい。 古き神、新しき神。 どちらも貫ける可能性を持った槍』

「リコリス」

『最後に……貴方達に会えて嬉しかった』

「リコリス!!」

 アルビレオが声を上げた時には、既にリコリスの姿はなかった。

 もとより彼女は消滅していたのだろう。 ただアルビレオにこの槍を託す為に。

「もし、この世界に黄昏が訪れるようとするなら、俺は……」

 新たな槍。 彼女に託された神を貫く槍。

 それを掲げて、アルビレオは一つの決意をする。

 reverseout


 ■□■□■


 reverse/カール

 ただ空を見上げる。 空中都市フォート・アウフの一画で一人の女性PCが空を見上げていた。

 名はカール。 長身に銀色の長髪、そして群青色のドレスに身を包み、巨大な斧を装備したPCだ。

 かろやかなパステル系や、鮮やかな原色を選ぶ事が多いザ・ワールドの中で、このような色合いをしたPCは目立つ。

 だが、カールと呼ばれる彼女は何の反応も示す事はなく。 ただ空を見上げるだけである。

 考える事は一つ。 彼等――ザ・ワールドのプレイヤーは何を求めて、この世界にやってきているのだろうか?

 彼女は自分以外の存在が、気に入らなかった。 何故、笑っていられるのだろうか? こんな偽者の世界で?

 と、一昔前までの自分ならそう言っていただろう。 今は、完全ではないが、そうではないのだと理解出来る。

 何故かと聞かれれば、唯一、この世界で信用している二人の存在だろう。

 呪紋使いのアルフ。 そして重剣士のサイリス。

 この二人のおかげだと思う。

「サイリスならなんて答えるかしら?」

 この世界に訪れる理由。

 聞いた事はない。 だけど、ザ・ワールドについて教えてくれた事が会ったのも事実。

『この世界は、もう一つの世界さ。 【サイリス】や【カール】達が生きているもう一つの現実なんだよ』

 もう一つの現実。

 彼はそう言った。 この世界にも楽しい事、辛い事、悲しい事が沢山あるのだと言ってくれた。

 まだ彼女にはすべてを理解する事は出来ない。 だけどなんとなくこの世界は嫌いじゃないのだと、分かる。

 先日、PKに襲われた。 彼等はこの世界に何を求めているのだろうか? ただ殺す為? ただ人を殺す為にこの世界にいるのだろうか?

 父の作ったゲーム。 だけど父は既にこの世界から去っていた。 だけどまだ【カール】はここにいる。

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 ■□■□■


 reverse/昴

「ふぅ……」

 何がどう違えてしまったのだろうか?

 正体不明のモンスターを操る呪紋使いに、紅衣の騎士団のPCがPKされた。

 それにあわせて、このザ・ワールドで不可解な事が起こり始めている事を昴は感じ取っていた。

 トライエッジにPKされかけてから、リアルの自分――御園真理子は2,3日、意識が朦朧していた。

 まさかゲームの中でPKされて、リアルの自分がこんな状態になるとは思っていなかった。

 だから不可解なのだ。 仕様にないモンスター使い。 本来存在する筈がない武器を持ち、正体不明のスキルを使うトライエッジ。

 全てがありえない存在であり、しかし存在する。 だから分からない。

 自分は紅衣の騎士団の長として、行動しなければならない。 だが、不安だ。

 先日のトライエッジのような敵が現れるのではないかと、心が訴えている。

 ならばどうするべきか?

「サイリスなら……」

 彼は同じものを見た仲間。 そして自分の支えとなってくれている人の一人だ。

 彼に協力を頼めば、きっと彼は協力してくれるだろう。

 だけど、無理だ。 彼は現実での私生活が忙しい。 受験だと聞いた。

 ならば、今、ザ・ワールドに関わっている暇はそうそうないのだろう。

 だから頼めない。 彼ならきっとどんなに忙しくても、自分の時間を削って協力してくれるに違いない。 それぐらい優しいのだ、彼は。

 だからだ。 まだ自分は何もやっていないのに、彼を頼りにする事は許されない。

「サイリス。 大丈夫です。 私は負けません」

 マク・アヌの空を見上げながら、昴は決意の言葉を口にした。

 reverseout


続・あとがきっぽいもの
SIGN編終了。 ってええ!? これだけ!?とか言わないで。
SIGNにサイリスを投入しても駄目だと判断して、SIGNは微妙に細部は違うけど原作通りに進んだと思ってください(苦笑)


レス返しだと思う

・SSさん
昴とサイリス関連はまだ先かと。
トライエッジは強かった。 Vol.3だと羽と裸が普通に復活してくるし。
裸男の登場はもうちょい先。 まぁ、その内出てきます。
とりあえず今回でリコリス関連は終了。 槍と華は残せたかね?
次回も頑張りますので、また見てやってください。

・趙孤某さん
アルビレオに槍を残せました。 まぁ、これしかアルビレオの参戦フラグが立てないのね。
どう頑張ってもリコリス生存フラグは無理だった。
ZERO編は原作が完結してないから、オリ展開満載です。

・ジョヌ夫さん
始めましてジョヌ夫さん。
家の主人公はこんな感じです。 まぁ、他の作品の主人公と比べると、危機感が少ないのが原因ですが(苦笑)
三蒼騎士はもうフライングしまくりでの登場ですが、ラスボスの出番はまだまだ先です。
お互い、頑張っていきましょう。

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