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「男三人麻帆良ライフ 第十一話(GS+ネギま!)」

宮本 (2007-02-14 09:48)
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日本の古都、京都・奈良への修学旅行、そして自分の父が住んでいた家を探すのを楽しみにしていたネギは朝早くに目覚め、集合時間より早く集合場所である大宮駅へとたどり着いた。

溢れんばかりの興奮を胸に、ネギは大宮駅の一角にたどり着いてよく見知った人々に挨拶をする。

「おはようございま・・・・・す?」

だが誰もネギには気づかない。
いつもならば登校中のネギをかなり遠くから見かけるだけで大きな声で元気に挨拶をしてくるのにも関わらず・・・だ。
しかし、ネギも挨拶が途中から尻すぼみになり、胸にあった興奮はしぼみ不安と困惑が沸いてくる。

「この!この!!おまえという奴は何度言えば分かるのだ。楽しみにしていた修学旅行にスタート前からけちをつけるんじゃない!!」

「や、やめ!エヴァちゃん、ほらみんな変な目で見てる!!」

「前からおまえは変な目で見られていたわ!!え〜い、修学旅行に貴様が必要でなかったら簀巻きにして学園に残しておくところだ!」

ネギは普段から騒がしいクラスの少女達が冷や汗を流して黙っているのを見て己も冷や汗を流した。

駅の一角にどくどく流れている血。
ぐちゃぐちゃと音を立てつつも文句を言っている物体。
そしてその物体へトランクを振り下ろす少女、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。

ネギはとりあえずその様子に慌てて『119番!?いや110番!?』などと騒いでいる教師達、新田先生、しずな先生、瀬流彦先生の下へ近づいていった。


         『男三人麻帆良ライフ 第十一話』


「それでは京都行きの3A、3D、3H、3J、3Sの皆さん、各クラスの班ごとに点呼をとってからホームに向かいましょう。」

「では1班から6班までの班長さんお願いしまーす。」

しずなの指示が終わり、ネギは声を上げる。
右手には縄が握られており、3−Aの生徒達はその縄の先をチラチラと見ている。
ヒソヒソと友人とあれはなにか声をかわすもの、また変なのが・・・と頭を抱えるもの、ネギ君の新しいペット?などとおかしな事を言い出すもの。
そしてその縄の先にいるものを知っている者達はこめかみを押さえていた。

「・・・こちらの方はこの修学旅行中僕の補佐をして下さる横島忠夫さんです。」

「んん、んんんーーー!!」

エヴァンジェリンの要請で瀬流彦も協力し、縄でぐるぐる巻きにされて口にガムテープを張られた横島は縛られている縄の端を子供先生に持たれるというみっともない姿を生徒達にさらしていた。

生徒達が新幹線に乗り込み始めたのをみるとネギは横島の口に張られたガムテープをはぎとった。

「ぷはっ、ネギ!この縄を解いてくれ!!」

「・・・なんで縛られるような事をしたんですか?」

「だってしずな先生むちゃくちゃええ女なんや!男として声をかけんのは失礼に当たるだろ!?」

「そ、それだけ?さすがのエヴァンジェリンさんもそれだけじゃ怒らない気が・・・。」

ネギは横島の説明に首をかしげた。

「うむ、修学旅行なんかどうでもいいから僕とどこかへ行きませんか?と先生をお誘いしただけだ。」

「・・・そりゃ怒りますよ。学園長から聞きましたけど横島さんの術でなんとか一時的にエヴァンジェリンさんの呪いが軽減されて修学旅行に来れているんでしょ?
学園長からもエヴァンジェリンさんが修学旅行を楽しみにしているし色々問題になるといけないから彼女は巻き込むなって言われてますし。」

ネギは15年ぶりに修学旅行期間中だけとはいえ学園都市から出られたのに、その修学旅行をどうでもいいなどと呪い軽減を行った術者が言ったらそれは怒るだろうと考えてため息をついた。

だが実はそれだけではない。
横島は呪い軽減のために何日も別荘でエヴァンジェリンと茶々丸と一緒だったため、何日か年上のナイスバディーな美人のねーちゃんを見ていなかった。
そしてしずなを見つけた横島は『美女や!やはり幼女とは色気が違う!!』などと叫んだのだ。その事と、せっかくの修学旅行にスタートからけちをつけられた事でエヴァンジェリンは横島に攻撃を加えたのだ。


なんとか呪いの解呪をと考えた横島とエヴァンジェリンだが予想以上に呪いは強力で、呪いのシステムが分からないのでどうイメージすればいいかもわからず、解呪不可能ではないかと思わせるようなものだった。
そこで発想の転換、契約の隙間をすり抜けようとしたのだ。
学園長室で学園長に儀式魔法陣を展開してもらい、そこで『修』『学』『状』『態』の文珠を使い契約の精霊を騙した。
専用の儀式魔法を使う事でイメージの難しさの問題をクリアしたのだ。
学園都市外では周囲にクラスメート達が多くいる状態でなければ継続が難しいので修学旅行期間が終わったら不可能。まさに修学旅行にいくために考えられた技である。
そしてエヴァンジェリンが魔力を多量に使用すると文珠の効果が薄れて呪いが復活してしまうであろうことも分かっているので修学旅行期間中は行動が制限される。
近右衛門はエヴァンジェリンの魔力使用制限という自分達にとっては都合がいい制限がついたので完全にOKをだした。

「それにしてもあれだな〜。おまえの親父さんって本当にすげーんだな。あれだけ頑張ったのに呪いが強力で強力でさ。
京都にはその親父さんの住んでたとこがあるんだって?なんか手がかり、見つかるといいな。」

「はい!!」

ネギは元気よく返事をしてそろそろ新幹線に乗り込まねばと歩き出す。

「あ、縄は解いてくれないんだ・・・。」

寂しそうにつぶやく横島だが渋々歩いてネギについていく。

3−Aの1斑の生徒の興味深げな視線にさらされ、そして2班の生徒のところで見知った人物を見つけた。

「ハカセ!!」

「横島さん、エヴァンジェリンさんに聞きましたよ。横島さんの尽力で茶々丸の修学旅行参加が可能になったとか?素晴らしいです。この修学旅行は必ずや我々の研究を大きく進めてくれるはずです!」

「そうっすねハカセ!京都での出会いと旅情によって手に入るものは大きいっすよね!!期待してますよ!!」

葉加瀬聡美と熱く語る横島を見て知り合いだったのか?とネギは驚く。
そしてその横島を興味深げに見ている少女がいた。

「・・・あなたが横島殿でござるか?噂は聞いているでござるよ。」

「へ?おお、なんて素敵なちち!じゃなかったお嬢さん!!・・・いや、でもまだまだ中学生中学生。落ち着かねばならん。俺はロリコンやない、俺はロリコンやない・・・。」

ぶつぶつと呪文をつぶやいて真名の時のように衝動に身を任せないようにする。

「ところでお嬢さん噂とはなんでせうか?」

少女、長瀬楓の細い視線から感じるものには少し覚えがあり、横島はちょっと引き気味になる。

「伊達雪之丞殿に言われたでござる。横島殿は強い。横島殿なら楽しい戦いをしてくれると。」

楓の目がすっと少し開かれ、興味深げに横島を見た。

「あ〜の〜野郎!!何を吹き込みやがった。俺は平和主義者だから戦いたくなんかないわい!」

さあネギ行くぞ、と促して簀巻き状態の横島は歩いていく。
背後から聞こえる「あの人は強いアルか!?」「強いらしいでござるよ。ぜひとも一度手合わせを・・・」という言葉は聞かなかった事にする。

3−Aの3班の生徒は五人中三人が横島のストライクゾーンにはいるという豊作ぶりだったためかなり驚いたが、この旅行にはしずな先生がいるのだから中学生に手を出すような真似はしない。
横島はそれでも数年後に向けてストライクゾーン内の少女達をチェックし、4班の辺りへ行く。

「やあ。本当にきたみたいだね。・・・来た早々騒がしかったけど。」

「よう、真名ちゃんか。まあ仕事だから来るさ。それにこのクラスが騒がしいのはいつもだってネギに聞いているぞ。」

「何かあったら呼ぶといい。」

報酬は高いけどね・・・と龍宮真名は言ってにっと笑う。

「サンキュー。しかしもっと報酬が高い女を俺は知っているぜ。」

横島も負けずににやりと笑った。己の師匠で上司な女性ほど報酬が高い女は知らない。
まき絵に誘われているネギをひがみつつ横島はネギを待たず先に進む。

「・・・ネギに聞いてたけど、本当にきたんですね。」

「おう、明日菜ちゃん。来たぞ。よろしくな。」

「ええ。なるべく騒ぎを起こさないようによろしく。」

明日菜は警戒しつつ言った。

「あの時のわら人形の人やろ?ネギ君と明日菜の友達の。ウチは近衛木乃香や。よろしゅう。・・・ってどないしたん?」

「う〜む、似とらん。いや、あの変形頭蓋骨タコ仙人の学園長の血を引いてこんなかわいい子が生まれるとはと生命の神秘に感動してさ。」

「かわいいなんていややわ〜。」

木乃香は照れ隠しにか横島をどんっと押す。
縄に縛られている横島は当然よろけ、ふらふらと動いてから倒れかけた。だが細い腕で支えられる。

「へぐっ・・・って、刹那ちゃんか。サンキュー、助かったよ。この縄、新幹線が出発するまで解いてくれないんって言うんだぜ。ひでえだろ?」

「え、ええ。そうですね。」

横島の言葉に刹那は冷や汗を流してうなずく。

「自業自得だろうが馬鹿者。」

「・・・エヴァちゃん。幼女がこんな熟練の縛りテクニックを覚えちゃいけねーな。いけねーよ。」

「だから幼女と言うなと言っているだろうが!
まあいい。横島、私と茶々丸は今回は大人しく観光をするつもりだ。貴様がいるんだ、厄介な事が起きても何とかなるだろう。」

「う〜ん、買いかぶられても困るんだが・・・。」

「ジジイが昨日言っていたのだが。」

横島がもぞもぞ動くのを気にせずエヴァンジェリンはすっと刹那に視線をやる。

「現在京都に行っている者から反対派の中の一部に妙な動きがあるらしいという噂があると連絡が送られてきたようだ。・・・せいぜい、気をつけろ。」

横島は雪之丞とピートからの情報か?と首をかしげ、刹那は目を細めてエヴァンジェリンに軽く頭を下げた。


ネギは椅子に座り、ふうっと息を吐いた。
生徒達に挨拶を終えたがやはり生徒達は元気で、騒がしい。
ふと隣の席を見て横島が携帯電話を片手に難しい顔をしているのに気づく。

「どうしたんですか?横島さん。」

「ああ、ちょっと気になってな。ピート達からの連絡で、なんか関西魔術協会全体としては特に動きがないっていうからさ。」

「え?いい事じゃないんですか?」

「う〜ん、ピートの話じゃこういう時にそうなのは逆におかしいらしいんだ。
関西呪術協会の中でこの修学旅行の直前にもっと賛否の議論があってもいいはずなんだけどそれがないって事は、うまくまとめて反対派を押さえ込んだか・・・反対派がなにかたくらんでわざと静かにしているかだそうだ。」

前者である事を祈るが後者の可能性の方が高いらしい。あ〜いやだいやだとつぶやきながら横島は言う。

「な、何かってなんですか?」

「さあな。それがわかりゃ苦労しねえよ。でもピートの情報だからな、あてにはなるぜ。」

「ピートさんの情報だからっていうのはどういう事ですか?」

「ああ、ピートはオカル・・・う〜ん、なんて言えばいいかな。政治経済の色々な悪いことを調べるための勉強をしていたんだよ。
本人は付け焼刃だって言ってたけどな。あいつ頭いいから先生役だった奴もびっくりしてたぜ。」

横島はオカルトGメンの事を言う事はできないんだと気づき、なんとか伝えようと努力する。

「師匠、ピートの兄さんはそのたくらみの内容については推測していないんですかい?」

「おお、カモいたのか!」

「ひでえ!俺っちはいつも兄貴と一緒にいますぜ!!」

「まあまあ、落ち着けカモ。
反対派の動きがない、それで何かたくらんでいるんだったらおそらく動くのは個人単位で数人。しかもそれぞれが上からの命令だからなんて曖昧な理由じゃなくて自分の理由を持って動いている。
反対派の上の方の連中はそいつらが動く事は都合がいいと思っていて支援をしている。失敗したらトカゲの尻尾きりだな。」

人差し指を立てて言う横島はさらに続ける。

「それでそのたくらみだが・・・。」

「「たくらみだが?」」

「わからんらしい。」

ネギとカモはお手上げポーズをされ、こける。

「し、師匠〜。」

「横島さん〜。」

「分からんもんはしょうがないだろう?選択肢が多すぎるんだ。たとえばネギ、おまえに失敗させる事。」

「ぼ、僕に?」

「ああ。関東魔法協会からの親書を持ってきた魔法使いが関西で一般人に魔法がばれる。どうだ?大変そうだろ?」

関東魔法協会と関西呪術協会の仲が悪くなるだろ?おまえは一発でおこじょだけどなと言って横島は笑い、一方のネギは青くなった。

「まあそういう事もあるから慎重に動かないとなって事だ。しかし・・・。」

「「しかし?」」

「俺が受け売りとはいえこのようなまともな事を言わんといかんとは、世も末だな。」

そう言って拳を握り締めた横島にカモとネギは再びこける。
そんな二人を気にせず横島は車内販売の女性を発見し、立ち上がった。

「おねーさん!僕欲しいものがあるんですが!!」

「はい、なんですやろか?」

「あなたの・・・心です。」

「お客様、すみません仕事中ですので・・・。」

どうやら横島の台詞は某怪盗を追っているとっつぁんがカリオ○トロの城で発した言葉ほどいい感じな効果は与えなかったようで女性はさっさと別の車両へ向かう。
横島は諦める様子はなくその後を追っていった。
温かい?会話をかわしながら別の車両へ去って行く二人をネギとカモは見送る。

その数分後車両に蛙が大量発生し、生徒達の悲鳴がひびいた。


「どうだい、ヒーロー。異常は?」

『特にねえな。』

電話先から相方のぶっきらぼうな返答がかえってくる。
ザビエル・ピエトロ。いや、ピートはキョロキョロと辺りを見回す。
周囲の人々は神父服を着て口元にマスクをつけ、頭に皿を載せたピートと目が合いそうになるとすっと目をそらした。

『おい、ザビエル。あいつらは地主神社と音羽の滝にいくらしい。位置的にまず地主神社だろ。俺は一行を追い抜いて音羽の滝に行く。』

「了解、ヒーロー。」

ピートはそう言って携帯電話を閉じる。

「彼らに近づいてくる怪しい者はいない。と、いう事は妨害をするなら先回りして何かするはず・・・。」

そうつぶやいて電話で横島に聞いたちんけな妨害工作を思い出し苦笑する。
新幹線の中で生徒達の飲み物やお菓子が蛙に変わったらしい。
向こうから積極的に生徒達を巻き込んだら結局損をするのは向こうだ。だがその生徒を巻き込むような事をしている。

「・・・様子見か?こっち、というより西洋魔術師の出方を見る。見た目子供のネギ君がどんな対応をとるかで向こうも攻め方を決める。」

こっちが対応しにくいやり方をしないで欲しいとピートはため息をついた。

「向こうが警戒して手を出してこないように、ネギ君が個人で罠を何とかできたように見せる方がいいかな?」

すっと木陰に隠れるとピートは一枚の符を取り出す。
こちらに来て入手した『認識阻害の符』。そこにいても一般人にはこちらに注意をはらわれないという符だ。
派手に動かなければこれを使っていれば大丈夫とピートは符を発動させて木の幹にそって空を飛ぶ。
そして高い木の上から地上を見下ろした。

「・・・あそこ。」

ネギ達が来るであろう地主神社を見回していたがその一ヶ所に目を留める。
たいした範囲ではないが、そこを避けるように人々が通っていく。

「エビル・アイ!」

ピートの目に魔力が集まり、光った。
霊力や魔力の揺らぎを見る目。簡単な術程度なら見破れる。
だが、ピートはぽかんとした。

「なんだろうあれは?猿?」

だとしたらもしかして新種?と驚く。
人々が避けるように通ってる場所を見るとそこにはデフォルメされたような可愛らしい子猿が数匹いる。
しかしすぐに普通の猿ではないと分かった。
なにやら背負っていた札を地面に張り、猿達の姿は消えたのだ。普通では見えないが今のピートには分かる。猿に行き渡っていた力を使ってそこにできたのは落とし穴。

「・・・落とし穴?生徒達を巻き込むような事だからいたずら程度の範囲でってことかな?」

それなら相手が警戒して手を出さないようにした方がいいね。とつぶやいてピートは携帯電話を手にした。

「もしもしネギ君。地主神社の二つの石の中央に落とし穴がある。おそらく妨害だ。ネギ君が見抜いて何とかした方がいい。落とし穴を見抜いて対処したらしっかりと周囲を睨むように確認してくれ。誰もいなそうな方向もね。いいかい?」

ピートはそう言って携帯電話をしまう。
わいわいと騒がしい声が聞こえてきて下を見るとネギ達のクラスが近づいてくるのを見つけた。

そこでピートの携帯電話が鳴る。液晶にでている名前はダテ・ザ・ヒーロー。

「もしもし・・・。」

『よう、ピート!変な奴を見つけたぜ。ちょっと追いかける!!』

「あ、ちょっと待て!!・・・って、切れたか」

音羽の滝の方も自分が見に行かなければならないのか?それに今は仮の名で呼ぶんじゃないのか?とため息をつき、ピートは木陰に隠れながら地上に降りた。


「いい所だねえカモ君。」

「うん、さすがは京都だな。」

ネギとカモは立ち止まり、木漏れ日を浴びながら京都を満喫していた。

「木で造った建物ってのがスゴくいいって言うか・・・。」

「だが兄貴、警戒を怠るんじゃねーぞ。ここはもう奴らの本拠地だからな。刹那って奴がスパイかもって件もあるしな。」

「う〜ん証拠もないのに疑っちゃダメだよカモ君。もう少し様子をみよう。」

新幹線の中での事を思い出して注意するカモにネギは言う。

生徒達の食べ物や飲み物が蛙になるという騒動が起きたが、横島がなぜかおそろしい手際のよさで蛙を捕らえていった。
生徒達が驚いてその手際のよさを褒めると本人は『慣れているからな!』と言った。どうやら幼い頃から悪戯のために蛙を捕まえるのは慣れているらしい。
そしてその騒ぎに乗じて何か起こるのでは?と親書を取り出したネギはその親書を式神と思われるツバメに奪われてしまう。
追いかけて行ったネギとカモは親書を拾った刹那に出会い、親書を手渡されたがその際に刹那は意味深な台詞を言った『気をつけた方がいいですね先生。特に・・・向こうに着いてからはね。』と。
その言葉と地面に落ちていた鳥の紙型からカモは桜咲刹那は西のスパイじゃないかと言い始めたのだ。

「まあピートさんや雪之丞さんも京都にいるし、横島さんもついているから少し安心だけど・・・。」

「・・・師匠はほんとに大丈夫なのか兄貴。」

一人と一匹の視線の先には生徒に囲まれている横島。

「へ〜、そんなので声が変わるんだ〜。」

「おう、なぜかは知らないけどな!この技もあってカラオケ忠ちゃんの異名を俺は手に入れたわけさ!」

ごきごきと自分の喉をいじりながら本人曰く『七色の声』を出して様々な歌のさびの部分を軽く歌う横島。
カラオケが大好きな椎名桜子が興味深げに尋ね、コーラス部所属の柿崎美砂もふんふんとうなずきながら聞いている。

「横島さ〜んさっきの手品もう一度〜。」

「見たいです〜。」

後ろをちょこまかと着いて来ていた鳴滝姉妹が横島に芸をねだる。

「ごめんな、風香ちゃん史伽ちゃん。一度やった手品は何度も続けて見せるものじゃないんだ。代わりに・・・ぐえっ!な、なんだこれは!?」

「うわっ!何!?横島さんが壁にぶつかった!?」

「あわわわ、でもお姉ちゃん、ここには何もないです〜。」

突然横島が壁にぶち当たったように空中に張り付き、ぺたぺたと何もない場所を壁を探るように触る。
それに風香と史伽が驚き、慌てる。
だが横島は何か思いついたように手を打った。

「くそ〜、じゃあ地下を通るしかないか。」

「「「「「おおおおお〜〜〜」」」」」

すっすっすと何もない場所を階段を下りていくように動く横島。階段が無い事など見れば分かるがそのあまりの自然さにみんな驚く。

パントマイム。横島忠夫がナンパのために身につけた108つの芸の一つだ。

「あ〜、行き止まりか。戻らないと。」

壁を確かめるように行き止まりと設定した場所に手をやったあと、ひょこひょこと後ろ向きに階段を上りだす横島。生徒達はもはや声も出ない。

「くっ・・・。やはり上から行くしかないか。とう!!」

そして横島は人間離れした跳躍力で跳んだ。
これで見えない壁を飛び越えて終わりか?と思ったギャラリーは次の瞬間息を呑んだ。

「ぬあ!?」

「「「「「え〜〜〜!!」」」」」

空中で何かにぶつかったようになり、跳ね返ってくる横島。
軽く霊波を噴射してその効果を出したのだが一見して分かるものではない。

べチャッと横島は跳躍を開始した地点にうつぶせに落ちた。

「史伽〜やっぱりここには壁があったんだよ〜。」

「オカルトです!ホラーです〜!!」

慌てる鳴滝姉妹、目を丸くするギャラリー達をよそに横島はむくっと立ち上がって決めポーズ。そしてゆっくりとダンディー(本人主観)に頭を下げた。

「「「「「「「「「「おおおおおおおおおお〜〜〜〜!!!!」」」」」」」」」」

生徒達以外の観光客からも拍手と歓声が送られる。
横島はいちいち周囲に頭を下げた。

「うひゃ〜、すごいね〜。面白いし芸が多いし歌うまいし・・・。横島さんモテるでしょ〜?」

「・・・いや、それが全然で。」

ナンパをしてくるようなチャラい男は嫌いな釘宮円だが横島はしずな先生やバスガイドさんをナンパしてはいたがチャラくないし、気取ったところもなく面白いので好感を持ち、笑って聞いてみる。
すると横島はずーんと影を背負い地面に膝をついた。
そのあまりの暗さに生徒達は少し引く。

「ま、まあ横島さんだったら彼氏にしたらすごい面白くていいと思うよ。元気出して。」

「そうか〜?美砂ちゃん達ならあと一、二年したら大歓迎だぜ!」

「残念。私はもう彼氏がいるんで他の子をどうぞ〜。このクラス可愛い子多いから仲良くしといたら一、二年後は豊作よ。」

がばっと復活して笑う横島。あくまで冗談として受け取った柿崎美砂は悪戯っぽく笑った。

「こんな面白い人が麻帆良の警備員にいたんだ〜。麻帆良戻ったらカラオケ行こうね〜。」

「おう、美少女からの誘いは大歓迎だぜ!」

ワイワイと騒ぐ横島と生徒達。
新幹線内で手際よく蛙を捕まえた横島は注目を浴び、質問攻めを受けた。
『なぜ修学旅行に?』、『エヴァちゃんとの関係は?』、『ネギ君との関係は?』などなどだ。
その後新幹線内で生徒達とカードゲームをして意外な才能を見せたり、トランプを使った手品を見せたりして一躍興味の対象となった。
そしてその人気を不動の物としたのが清水寺へ向かうバスの中だ。
バスガイドをナンパして振られ、それを生徒達に笑われた横島はカラオケセットを発見。
カラオケ忠ちゃんの異名に恥じない素晴らしい歌声で愛の歌をバスガイドにプレゼントしたのだ。・・・結局振られたが。
しかしその歌のうまさに驚いた生徒達に他の曲をリクエストされたり、一緒にデュエットしたりと楽しいひと時を過ごした。

横島としては裸を見たりしたならば理性がまずいかもしれないが、しずな先生やバスガイドさんもいる事だし中学生だと分かっている相手に積極的にナンパをしようとも思わない。
だが中学生とはいえ美少女達に興味を持たれたり歓声を上げられたりするのは気分がいい。
調子に乗ってリクエストに答え、108つの芸のいくつかを披露しているうちにすっかりクラスに馴染んでいた。

麻帆良での横島の奇行を知っている数人は様々な反応を見せていたがまあ横島も生徒達も楽しそうだしいいだろうと気にしない事にしたようだ。

「・・・ふん、調子に乗りおって。」

「エヴァちゃんお兄さん取られて寂しそうやな〜。」

「な!誰が!?」

横島の方を見て、ぷいっとそっぽを向くエヴァンジェリンは木乃香に言われて声を上げる。
エヴァちゃんとの関係は?というところで上司と部下というわけにもいかず横島は『兄妹みたいなもんかな?』と言ってエヴァンジェリンの頭をなでたのだ。
『え〜い、なでるな!』とか『エヴァちゃんは反抗期だからな〜』などといった二人の微笑ましいやり取りがあり、クラスメートの中では二人の関係は血のつながらない兄妹?という事で落ち着いたのだ。

「横島さんすっかり馴染んでるね。」

「そうだな。あれが人心把握術ってやつか。さすが師匠だぜ。」

ネギの感心したような言葉にカモが返す。その時ネギの携帯電話が鳴り、慌ててネギは電話に出た。

「もしもし、ピートさん。」

『もしもしネギ君。地主神社の二つの石の中央に落とし穴がある。おそらく妨害だ。ネギ君が見抜いて何とかした方がいい。落とし穴を見抜いて対処したらしっかりと周囲を睨むように確認してくれ。誰もいなそうな方向もね。いいかい?』

素早く伝えるとピートは電話を切った。
ネギは表情を引き締める。そして生徒達の声が聞こえてきた。

「ネギく〜ん、こっちこっち〜。」

「これが恋占いの石だってさー。」

石?と考えたネギはピートからの電話を思い出す。

「あ、はーい。すぐ行きますから待っていてくださ〜い。」

ネギが慌てて生徒達を追い抜くようにして石段を登るとそこには二つの石があった。

こんなところに罠を仕掛けるかな〜と思いつつもネギはその石のおまじないを実行しようとする生徒達を制して二つの石の間、中央の辺りを杖でやみくもに叩く。
するとピートの忠告通り落とし穴がその口を開けた。
穴は浅く、底に蛙がいる。ただの嫌がらせのようなものであるが見逃すわけにはいかない。

ネギはピートの指示通り辺りをキョロキョロと鋭く見据えた。
どこにもおかしい人間、怪しいものなどないが一通り辺りを警戒してから生徒達の方を向き直る。

「誰かのいたずらですかね?気を取り直して音羽の滝に行きましょう。」

落ち着いて、笑顔を見せて言うネギを明日菜が訝しげに見た。


「ちい!見つけたものの・・・なんかの術か?顔が確認できなかったぞ。」

雪之丞が音羽の滝で見つけたのは何やら滝の上に細工をしている女らしき人影。
それを追いかけたのだが、ちらりと見た顔は靄がかかったようになって見えなかった。

「それに、こいつらが!うっとうしい!!」

赤い全身タイツに新しいプロテクター、そして額にはクワガタ虫を連想させるおニューの角。
雪之丞。いや、ダテ・ザ・ヒーロー・セカンドはまとわりつく猿を振り払おうとする。
猿は拳を食らうと紙に戻るが攻撃を逃れた者は雪之丞にまとわりついたままだ。

「ちっくしょう!こういう奴らは横島やピートの方が得意だってのに・・・。」

霊波砲を放ったりすれば一発なのだが目立つわけにもいかない。
だがそれは向こうも同じなのだろう。大技を使ったりせず子猿の式神でこちらが追いかけるのを邪魔するだけだ。

「・・・ちい!」

もともと熱くなりやすい雪之丞はまとわりつく小猿がうっとおしくなり、足を止めて小猿たちをまとわり着かせる。
そして・・・

「うおおおおおお!!」

体から大したパワーではないが霊波を放出し、小猿を吹き飛ばす。

「待てやこの性悪女!!ぜってえ捕まえてやる!!」

そして叫び、さらに追撃しようとする。
だが女は雪之丞よりもしたたかだった。

「きゃあああああ!変質者や〜。誰か〜!!」

女は叫び、ダッシュで逃げていった。

「あ、待てコラ!!・・・ってうわ!?何しやがる。」

雪之丞はサラリーマンらしき男がしてきたタックルをかわし、新たな妨害者か?と身構える。
だがそのサラリーマンだけでなく周囲の人々の数人がじりじりとこちらとの距離を詰め始めた。
何かの術で操ったのか?と首を傾げる雪之丞に周囲の男達が声をかけた。

「貴様、女性を追いかけることは何事や!」

「そうやこの変質者が!!」

「な、なにい!?」

雪之丞はショックを受けて後ずさる。
思ってみれば赤い全身タイツに新しいプロテクター、そして額にはクワガタ虫を連想させる角・・・。確かに変質者だ。

「お、俺は・・・熱血闘士、ダテ・ザ・ヒーロー・セカンドッ!!決して変質者などではない!!」

叫んだ雪之丞は人々の目が変わったのに気づいた。
ああ、この人かわいそうな人なんだ・・・と。
場が静寂につつまれ、ふいに「おまわりさ〜ん、変質者はこっちです〜」という声が聞こえてくる。

雪之丞は背筋にぶわっと冷や汗が流れるのを感じ、サラリーマン達に背を向けて逃げ出した。

「ちくしょー、ちくしょー!俺ってこんな役どころだったか?こういうのって横島の仕事じゃねえのか!?」

走りながら叫び、そして気づいた。

「・・・そうか、あいつはいつもこんな事を。」

これは精神的にくるものがある・・・と雪之丞はある事に気づいた。
これだけ精神的にダメージを受けることをいつもいつもやっているなら奴が精神的に強くなり、あの美神令子との仕事で平気なのも納得がいく。

「さすが俺のライバルだぜ。」

つぶやいた雪之丞はならば俺も負けるわけにはいかないとニヒルに笑い、逃げ切るべく加速した・・・。


『その変質者は熱血闘士、ダテ・ザ・ヒーロー・セカンドと名乗り逃走しました。
京都府警では、この変質者がセカンドと名乗ったという事はファーストやサードさらにはその先ががいるのではないかと警戒を強め、第二、第三の変質者の存在を見越して対策を・・・・・』

テレビのニュースを見てネギとカモは冷や汗を流す。
その隣で横島は重々しく口を開いた。

「・・・連絡では間違いなく雪之丞だそうだ。我が友ながら恐ろしい男だぜ。」

「な、何が恐ろしいんですか?」

「雪之丞からの電話でな。やけに清々しく『俺も逃げ切ったぜ!!』と言ってやがった。すげえ嬉しそうだったぞ。変質者として追われたのがそんなに嬉しかったのかと思ってな。恐ろしい奴だ。」

ぶるっと横島は震える。自分もよく追われた事はあるが決して嬉しいとは思わない。
ここは嵐山のホテル。横島とネギ、カモは現在の状態を確認するためにロビーにある休憩スペースにいた。

「今日あった妨害は新幹線内の蛙、地主神社での落とし穴、そして音羽の滝の酒樽・・・。
蛙は見抜けなかったけど落とし穴は見抜いて酒樽は雪之丞が持ち場を離れた後ピートが見つけてこっちに報告。生徒が飲む前にネギが撤去。
こうしてみるとまあまあ順調だな。」

「はい。でも向こうが何を考えているのか分からないですね・・・。本当にいたずら程度で。」

「だからピートの兄さんが考えた策があるんだろ兄貴!おびき寄せるってのはいい考えだと思うぜ。」

考え込むネギの肩でカモが言う。

「・・・う〜ん分からん!もっとわかりやすくやってくれればいいのに!!」

横島がガシガシと頭をかく。もともと考えるのは美神で自分はそんなに考えなくてもよかったのだ。

「それにちょっと忙しいですしね。」

「そうやな〜。あれが女子中学生パワーか。めちゃくちゃ元気なクラスだな。」

「くっくっく、でも師匠なかなか仲良くなっていた様子。どうっすか?どの子か気に入った子は・・・」

邪笑を浮かべるカモを横島は無言で捕まえ、捻り上げた。

「確かにスタイルではすでに俺のストライクゾーンをきっちり打ち抜いている子もいたがな〜、それでも最初から中学生と分かっていれば耐えるわい!!
バスガイドさんもしずな先生も美人やったしな。あの二人をナンパできる限り、俺は青い果実には手を伸ばさん!!」

「あ、ギブギブ・・・。師匠、俺っちもさすがに中身が・・・」

「カ、カモく〜ん!!」

ぶんぶんと尻尾を振り、もだえるカモの姿にさすがにやばいか?とネギは横島を止めようとする。
そこに声がかかった。

「ちょっとネギ、横島さん。」

「あ、明日菜さん。」

「お〜明日菜ちゃん。生徒達は部屋で大人しくしておいてくれないと。」

取り締まっちゃうぜ!と笑う横島。

「一体何があったの?新幹線での蛙にその後も落とし穴とか、酒樽があったりとかさ・・・。」

魔法を知っている明日菜はおかしいと思ってたずねに来たのだ。

「じ、実はその〜。」

「言っちまえよ兄貴!・・・きゅっ!?」

説明しようとするネギを煽るカモ。
だが突然妙な声を上げて黙った。
ネギが見ると再び横島がカモをつかんでいた。

「はい、そこまで。明日菜ちゃん、確かに厄介な事があるけど生徒達に大きな被害はない・・・と思う。生徒達にはせいぜいいたずら程度だ。
だから明日菜ちゃんは気にせず、友達と修学旅行を楽しんだ方がいいぞ。」

「で、でも師匠・・・。」

「カモ。巻き込まないでいいなら別に無理に巻き込まなくてもいいんだよ。明日菜ちゃんもネギが心配なのは分かるけど今回はエヴァちゃんの時とは違うんだ。」

「へ?エヴァンジェリンさんの時とはって?」

横島の言葉にネギがたずねる。

「ああ、エヴァちゃんは最初はともかく途中からはネギを試すっていう事を狙いにしてたからな。茶々丸ちゃんは優しいから明日菜ちゃんやネギを傷つけようとはしないし。
それを知ってたから俺も雪之丞もピートも手を出そうとはしなかったんだ。」

雪之丞は最後に乱入したけどなと言って笑う横島。

「じゃ、じゃあ・・・。」

「勘違いするなよネギ。あの時ピートが言った通り、エヴァちゃんはエヴァちゃんの思った闘い方で同種の呪文の撃ち合いを選んでそれでその撃ち合いにネギは勝った。
真祖の吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルにな。自信持っていいぜネギ。おまえはすげえよ。」

別荘でエヴァンジェリンの実力をよく知っている横島は自分が使えない『魔法』という土俵で、まだ幼いのにその同種の呪文でエヴァンジェリンに撃ち勝ったネギを本当に凄いと思っている。

だから横島は褒めるようにクシャクシャッとネギの頭をなでた。
ネギもその横島の思いが伝わったのか嬉しげな顔をする。

「まあ今回は雪之丞やピートが京都で動いているし大丈夫さ。」

「・・・自分がついているとは言わないんですね。」

「そこはほれ!一番信用できんのは自分自身というかさ!!」

じと目の明日菜に横島は胸を張った。

明日菜は横島と言う男が余計に分からなくなった。
ネギやカモは凄い人間だと言ってきたし、実際この男はいい事も結構言っている。エヴァンジェリンとの戦いのときは雪之丞と凄まじい戦いを繰り広げ、今はネギを励まし、まるでお兄さんのようだとも思った。
だが女性をナンパし、ネギがモテるからとわら人形を打ち出すような奇行を行い、昼は楽しげにその芸の数々を披露して生徒達と仲良くなっていて・・・。

「・・・やめよう。考えすぎると疲れるし。」

明日菜はため息をついて顔を上げ、横島を見ようとした。

「ネギ先生、教員は早めにお風呂済ませて下さいな。」

だがその時、彼女のよく知る女性の声が聞こえ、その場にいるはずの横島の姿が掻き消えた。

「明日菜さん!上です!!」

「な!?」

ネギの声に上を向き、明日菜が見たのはいつの間に移動したのか宙を舞う横島。
彼が重力に引かれて放物線状に向かう先には声の主、目を見開いて驚きをあらわにしている風呂上りらしい浴衣姿の源しずな・・・。
思わず明日菜は横島の片足をつかんだ。もう片足はネギがつかんでいる。チラッと横を見るとネギと目が合った。
うなずき合う二人・・・そして

「へぶしっ!?」

横島は顔から地面に落下した。ピクピクとやば気な動きを見せる横島。だがその程度でこの男が沈まないのは分かっている。
ネギに呪いをかけた時といい、今朝といいバスの中でのバスガイドへの態度といい、この男の女性に対する態度は理解しがたいものがあると二人は知っているのだ。

「しずな先生!ここは私達に任せて下さい!!」

「そうです!僕らが抑えている間に早く!!」

明日菜とネギの言葉にしずなは首をかしげながらも「お風呂済ませてくださいね〜」と言いながら去って行った。

「・・・おい、二人とも。」

「「ひい!?」」

地獄の底から響いてくるような声に思わず二人は声を上げた。

「湯上りや!湯上りのしずな先生や!!それに飛びつかずして誰に飛びつく!?」

叫びだした横島。二人はその迫力に後ずさる。
しかしその直後、横島の迫力が霧散した。

「・・・溢れんばかりのこの煩悩を、俺はどうすればいい?」

その寂しげな声、悲しげな瞳、そして迷子になった子供のようなオーラを出す横島。
それにネギは思わず声をかける。

「よ、横島さん元気出して下さい・・・。」

「ストーップ!!なんか、なんか間違ってるわ。励ましちゃダメ!!それに煩悩って!」

落ち込んでいる人を慰める。とてもいい事だ。
だが今回のは間違ってるとばかりに明日菜はネギを止めた。

「そうだ横島さんお風呂入りましょうお風呂!お風呂で温まったら元気でますよ。それにあんな事してたらカモ君と雪之丞さんの次は横島さんがお尋ね者に・・・。」

「そうそう、ピートの兄さんが言ってた策をやるには風呂入る時ってのは丁度いいんじゃねえか兄貴?」

「そうだね。じゃあ明日菜さん、また。」

「じゃあな明日菜ちゃん。せっかくの修学旅行なんだから楽しめよ〜。」

手を振って横島、ネギ、カモはスタスタと去って行く。
なぜかネギ達が遠くにいるように感じてしまうのがひどく気になり、明日菜は彼らの背中を見て頬を膨らませた。


あとがき
感想が多かったので狂喜乱舞した宮本です。
結局こんな感じでエヴァは行く事になりました。真祖パワーは使えません。
そして3−A生徒達よりしずな先生にターゲットロックオンした横島は受け入れられております。・・・修学旅行後へのフラグです(笑

次回は・・・荒れます!!


感想ありがとうございます。
レス返しです。

>遊鬼さん
横島のアドバイス、もちろんフラグですw
フラグを立てても別に使わなくてもいいんでとりあえず立てといて(マテ
のりのりのザビエル様は出番のアップを狙っておられます(笑

>twilightさん
多少書き溜めているがゆえの更新スピードで、ストックがつきたらと思うと恐ろしくて・・・(汗
今回刹那の出番が少なかったのが自分的に心残りです。しかし彼女はこれから出番がどんどん増えていくのではないかと!!
『課外授業』は・・・なんかデンジャーですね。響きがなんとなく(笑

>冬8さん
惜しい・・・。今回は7番目ですねw 感想ありがとうございます。
ピートの皿は電波の受信から・・・(笑
薔薇園の刺客の彼には実は重要な役目が!!お楽しみに。
アナコンダはヨコシマンにならなくても大暴れしてくれるでしょう。完全自律型式神アナコンダの作成ができないかとなやんでいます・・・。

>スケベビッチ・オンナスキーさん
エヴァが即力づくでなんとかしたらまずいので京都でエヴァは封印中です。
変質者として・・・通報されました(涙
警戒をこえて通報。すでにブラックリスト入りで第二、第三の変質者のために対策が立てられていますw
エヴァちゃんと古都でデートフラグは立ちました。血のつながらない兄妹禁断の愛フラグもたちました。さあ、あとはしずな先生の誘惑を振り切ってスーパー中学生へ向かう禁断の扉を・・・(笑

>冬に咲く雪だるまさん
雪広嬢がハンカチをかんでうらやましがるのが目に浮かびます。
少年たちのあこがれ、強く、男らしい武闘派(笑
二人とも追い詰められるとおかしくなりますし、横島などといると普通と異常の境界線がだんだんおかしく・・・(涙

>yanさん
お久しぶりです。
あのコメントをいただいた時が丁度このへんの京都編を執筆していたところだったので、yanさんのコメントを見て雪之丞・ピートの使用法を決定しました。
原作の騒動がすでに半端じゃないので原作以上の騒動は難しいですが、頑張ります(笑

>鋼鉄の騎士さん
新キャラ爆誕!ですw
今回は新キャラがさらに進化を・・・!!
横島のフラグ立ては今回は広く浅く。しかしマジ横島の出現はありませんでした。
PS 雪之丞に向かう権力の犬の魔の手!負けるなダテ・ザ・ヒーロー・セカンド!!
   もちろん死ぬ間際の言葉は「いずれ第二、第三の・・・」などと(笑

>シャーモさん
世界の美少年を守るため!いいんちょはいつかあの男と敵対するときが来るでしょう。
その時こそ雪之丞の最大のピンチですなw
解呪法はこんな感じです。イメージを補強するために魔法陣使用で!

>米田さま
お世話になります。ご苦労様です。

>TXさん
小太郎とピート、雪之丞の出会い。
特に自分に近い存在で素晴らしい強さを誇る雪之丞との出会いは小太郎の意識改革などをかねて・・・。
彼の今後の登場、活躍を楽しみにしていて下さい。

横島の関西弁は普段はなくて強い口調の時やボケ、突っ込みの時とかですね(汗
使いどころが難しいです。違和感がでないように気をつけます。

>タカジさん
ザビエル、ヒーローは今回も足の引っ張り合いをw
ヒーローの尻拭いは基本的にザビエルが行うというかわいそうなことに。しかしヒーローは普通に指名手配犯に(涙
小太郎からの情報ゲットは頭のいいピート、一人での仕事が多かった雪之丞のスキルということでw
ありがとうございます!頑張ります。

>ヴァイゼさん
百合っぽい場面を目の前で結構チラつかせられて、しかもまわりに男の影が見えないということで横島は百合への疑いを払拭しきれないようで・・・。
ノリノリピートはやはり流されやすいピートらしく流されてもらいました。
真面目なので決められた設定を守ってくれましたしw
雪之丞はもう・・・後戻りできませんよね(涙
TVでダテ・ザ・ヒーロー・セカンドの活躍を知った小太郎が真似をしないことを祈りますw

>みょーさん
やはり漢はこうですよね!
全身タイツのデザインはかわらず、変わったのは角です。
そして漢雪之丞のデザインには花山薫も入っております。
もうお一方が主なのですが花山薫は大好きです。あの男っぷりがもう・・・。

>DONさん
仮面カブトから仮面クワガタにバージョンアップした雪之丞。
京都府警ではさらに警戒を強めております。みなさんの情報提供を求めているようです(笑
エヴァちゃんは横島を手のかかる弟のような感じで見ている今日この頃なのです。それに扱いに慣れなければ横島の上司はやってられませんw

>六彦さん
3−A集合時、意外にも横島は大人しかったです。
自分ではもっと暴れさせたかったのですが・・・今後のための布石をうたねばならなかったので(涙
高校生のピートは、未履修問題でザビエルを学べなかった・・・ってのはダメですか?(笑
雪之丞は普通に強いですよね。原始風水盤の時あれだけ苦労した勘九郎を瞬殺ですから・・・。

小太郎の分身は、楓のを見てからヘルマン編で分身を見せるまでは本当に数日しか間がないのでここでも使えたのではないかな?と勝手に妄想しました。

場所は京都です!
そして確かに某正当後継者の台詞を参考にしました!師匠格好いいですよね。


>九頭竜さん
横島のフラグ立ては下手すると原作との食い違いが大きくなりすぎるから難しいです。だから今回は広く浅くで・・・。
エヴァは行けました〜。
キッス大作戦についてはすでに書き終えていますが・・・(ニヤリ
見てのお楽しみという事で。皆さんのご期待にそえるものかは少し微妙ですが(汗

>黒覆面(赤)さん
ザビエル受けていただけたようで何よりです。
小太郎とネギで雪之丞を奪い合うシーンが頭に浮かんでしまった私はもうダメです(涙
エヴァはなんとか同行。
そしてハカセと横島は遭遇し、野望について語り合っておりますw

>kouさん
大学部の先生になった横島は想像しにくいものがありますね。
逃げる人は逃げるでしょうし、逃げなかった人は好感を抱く可能性が。
やはりそんな危険なことは学園長もしないでしょうw
真名ものは書いてみたいですが・・・やはり真名は原作でも謎が多いので難しいですね〜。
下手したら書き直し・・・(汗

雪之丞はあの年代の少年からしてみたら憧れの対象ですよね。強さというのにこだわりがある少年からしてみれば胸を締め付けられるようなドキドキが・・・(マテ
雪之丞を兄貴と呼んで慕う小太郎を考えるのは容易ですね。でもホモは暴走いいんちょが許しません。

祠はあれ一箇所ではなく、数箇所あって全部壊さなければいけないもので一つを破壊すると式神が現れて追いかけるという設定・・・だったんですが、結局その後の展開にこの祠の影響を与えれませんでした(涙

横島ではなく高島が言っていた心が大事と言う言葉、横島にもこだわらせました。ハードだけならなんとかなってもやはりソフトにもこだわってもらわないと早くも18禁に・・・(汗

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