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▽レス始

「Fate/黒き刃を従えし者8(Fate+オリ)」

在処 (2007-02-12 01:05)
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「凄いな……なんかこの教会から言い知れない威圧感を感じる」

聖杯戦争の監督者がいるという教会を見ての士郎の一言。
うん。
それには全面的に同意したい。
更に言うなら、直感が思いっ切り警鐘を鳴らし続けてる。
この場所は私に取って鬼門である、と。

「―――シロウ、私はここに残ります」

そんな中、セイバーは教会へ入ることを拒んだ。
真意が何処に在るかは判らないけど、彼女も何か異様な物を感じているのかも知れない。

「え? 何だってそんな――――ここまで来たら一緒に来たらいいじゃないか」
「私はシロウを守るために一緒に来たのです。別に教会に用があるわけじゃありません。
 私はここで待つことにします」
「そう……判ったわ。
 アーチャーもここで待っててくれる?」
「――え?」

私としては、こんな場所にリン達だけでなんて行かせたくない。
でも……

「あいつに無闇に情報渡したくないのよ。
 それが例え、姿だけでもね」
「……判った」

リン自身が警戒するならば、その意図を尊重しようと思う。
……勿論、何かあれば駆けつけるつもりではあるけど。

「じゃあ、行きましょうか。衛宮君」
「わかった。それじゃあ行ってくる」
「気をつけてください」
「……気をつけて」

私とセイバーに見送られて、二人は教会へと姿を消す。
……不安。
大丈夫だとは思うけど………

「……本当に……気をつけて」

二人が姿を消すと、夜の静寂が私達を包み込む。
心配している為か、それ以外に何か考えてるのかセイバーは声を出さない。
私も、教会の雰囲気と、脳裏に浮かんできた妙な似非神父と、その神父に対する嫌悪感で何か話す気になれない。
……いや、勿論二人のことだって心配なんだけど。
そんな時。

「アーチャー……貴女は……いえ」
「……セイバー?」
「何でも在りません。忘れてください」

唐突に話しかけ、そしてまた黙った。
今度こそ、二人が戻ってくるまで静寂が続く……
……
――――――訳もなかった。

「よう」
「…………ランサー!?」

予想外の人物が、私達の前に現れたから。


Fate/黒き刃を従える者


私達の前にランサーが姿を現した途端、セイバーは武装をして剣を構える。
……が。

「おいおい、一寸待て!
 別に今回は戦いに来たわけじゃねぇよ」
「ふざけるな!
 私達サーヴァント同士がであって、戦い以外に何をすると言うのだ!?」

セイバーは憤るけど、ランサーが槍も出さずに人を食った顔で笑っているためか、まだ仕掛けては居ない。
それも時間の問題だと思うけど。
……しかし。

「おいおい……騎士ってのは丸腰の相手に剣を突きつけるような礼儀知らずなのか?」
「……くっ!」
「……安心しろ。
 本当に戦う気はねぇよ。
 今回は、な」
「その言を信じられると思うか!?」
「いいや」

ランサーは何処か苦笑するような笑みを浮かべ。

「思わねぇな」

セイバーの言葉を否定した。
即座にセイバーは殺気を濃厚なものへ変える。
すわ斬りかからんとセイバーが体を前に傾け……そして。

「思わねぇからゲッシュを立てよう。
 我がクー・フーリンの真名に誓い、今日この場にて戦闘はしない。
 これで如何だ?」
「なっ―――正気か貴様は!?」
「だからさっきから戦うきはねぇって言ってんだろが。
 それに―――」

ランサーは今だ構えを解かないセイバーから視線を外し……
私を見てなんだかよく判らない表情をした。

「―――今回用があるのはあっちの嬢ちゃんの方だしな」
「……私?」

そう言うと、セイバーを警戒もせず、その間合いを通り……
そこに至ってセイバーは「仕方が無いですね……」と言わんばかりに溜息をついて構えを解いた。
直ぐにランサーは私の前まで来る。
……距離にして、3mくらいは離れているが。

「……何?」
「いや……アーチャーなんだってな?」
「……そう」
「何かセイバーの嬢ちゃんとそっくりなのは何でだ?」
「……言うと思う?」

ランサーは、私のクラスと、私自身が抱えてる疑問の一つを突き。
それは如何でも良いとばかりに首を振る。
いや、実際如何でも良いと思ってるんだろう。
つまり、これは本題ではない。

「いんや。思わねぇし、正直それほど興味もねぇ」
「……だろうね」
「ただ気になる事があっただけでな。
 学校とやらで戦った時の事だ」
「…………」

本題に入ったみたいなので私は黙って続きを促す。

「あん時嬢ちゃんは自分の武器を出さなかった。
 ……一応聞いとくが、嬢ちゃんの武器は剣だな?」

……正直。
それは実は私にも判らないのだけど。
ランサーにそんな事言う訳にも行かないし……
……それに、鞘が宝具になっているのだから当然剣もあるだろう。

「……えぇ」
「だろうな。
 アレだけの剣技持っててそうでない筈がねぇ。
 だとすると……嬢ちゃん、あんた剣を出す事ができねぇな?」

まぁ、それも推測されてて当然か。
ランサーと戦った時、そしてセイバーと戦った時もランサーは見ていたのだから。

「……そうよ」
「やっぱりか」

ランサーは何かに納得言ったと言う感じで、頷いた。

「つまり嬢ちゃんは本来は剣を担うものだが、クラスがセイバーにならなかったから宝具が出せねぇって事か」
「………………」

なるほど。
そういう考え方もできるのか。
まさか記憶喪失で宝具が思い出せないだなんて、ランサーには考えもしない事だろうから。

「……それなら、如何するの?」
「何、気になったから確めに来ただけさ。
 にしても不思議だな。
 何で嬢ちゃんがセイバーじゃなかったんだか。
 いや、そっちの嬢ちゃんがセイバーなのに不満が有る訳じゃないけどな。
 召喚されたのはアーチャーの嬢ちゃんの方が先だろ?
 其れなのになんでセイバーのクラスが割り振られなかったんだろうな?」

セイバーがぴくっと反応する。
……何か知ってるのだろう。
でも其れをここで言う気は無いみたいだ。

「……ま、そんな事如何だって言いか。
 結果的に無駄足にならなかったんだから」
「…………?」

ランサーが何かよく判らない事をつぶやく。
無駄足って……?
今の会話は彼にとっては確認のようなものだろう。
ならば其れを聞きにここに来たとは思えない。
……ましてや、戦闘になりかねないと言う危険を考えれば尚のこと。

――――刹那、ランサーの手には一振りの剣が握られていた。

セイバーが再び構える……が。

「ほれ」
「…………え?」

ランサーは鞘に入れられたままの其れを私に向けて投げてよこした。
反射的に受け取る。

「くれてやるよ。
 宝具って呼ばれるほどでもねぇし、特殊な力も持ってない。
 しかし耐久度と実用性だけは折り紙つきだ。
 なんせ生前俺が使ってた剣だからな」

ランサー……クー・フーリンはその怪力ゆえ、大抵の武器を使いつぶしてしまったと言う。
その彼が生前愛用したと言うのなら、少なくとも私の力に負けて壊れるという事は無いはずだ。
でも、それを私に渡す理由が思い浮かばない。

「……なんで?」
「もったいないだろ」
「……え?」
「あんだけの剣技持ってんのに、それを使えないなんて勿体無さすぎる。
 いつかもう一度戦う時は、今度こそ本気で遣り合いてぇからな。
 俺はその為にこの祭りに参加してんだから」

……なるほど。
彼らしい理由だ。
彼は人好きのする笑みで、豪快に笑う。
そう。
なら。

「……なら、次は本気で倒す」
「おう、望むところだぜ」

その好意には答えなければならないだろう。
彼はゲッシュでこの場では戦わないと言ったのだから、今すぐと言うわけには行かないけど。
いつか戦う時が来れば、私の持てる技術の全てを使って彼を倒そう。

「じゃあな。
 ……っと。
 最後に一つ忠告だ」
「……何?」

彼は踵を返し、私達に背を向ける。
そしてそのまま顔だけをこちらに向け。
――――その顔は物凄く真剣であった。

「―――ここの神父だけは絶対に信用するな」

それだけ言って掻き消えた。

「……何だったのでしょうか?」
「……親切心だと思っておく。
 彼らしい理由だし」
「そうですね……戦力の強化が図れるのは此方としても在り難いですし」

ランサーの本心は判らないけど。
さっきの事は彼の本心なんじゃないかと思う。
結局彼は、死に場所を求めているのだろう。
数々の制約をその身に刻み、それを使い嵌められ死んだ彼は……
恐らく戦士として戦い、その末の死を求めている。
ならば。
私はそれに答えなくてはならない。
何故ならば――

「……ランサー、再戦を楽しみにしている」

―――それだけが彼に報いる唯一つの手段なのだから。

「…………」
「……何?」
「いえ――ただ貴女から、そのような好戦的な言葉が出るとは思わなかったので」

ふむ。
セイバーは私をどんな風に見ていたのだろう?
私だってサーヴァントなのだから、戦いを禁忌するつもりは無い。
それに、これは恩返しでもあるわけだし。
その事を追求しようとして、止めた。
あったばかりの人に、自分の印象など聞いても仕方ない。
そういう物は時間をかけて相手を知らないと判らない物なのだから。
そして……今度こそ静けさが戻ってきた。


後書き
実はもう一つ、教会への移動中バーサーカーに襲われると言う案もあったんですが。
武器の調達がこれを逃すと凛の家に在るかもしれない現代の魔剣なんて物になりかねないので泣く泣く切りました。
セイバーの魔力放出の説明見るとどうも……それじゃ耐えれないようなきがしたので。
……もう一つ士郎にとっとと投影魔術を覚えさせると言う案もあったんですが……
いきなり強い士郎なんて士郎じゃないし。
と、言う訳でこういう形になりました。

設定
クー・フーリンの剣
影の国で修行を終えた後ゲイボルクなどと一緒に貰った物。
ただし、ランサーは槍を主に使ったため滅多に使われることは無かった。
よって伝承にもその名を残す事も無く、それゆえ宝具として祭り上げられる事もなかった。
持ち主がクー・フーリンだという事で超一流の概念武装ではあるし、彼の力に耐えられるように作られているので武器としても優秀。
だが特に何か能力が付加されている訳ではなく、勿論真名の開放による発動も無い。
よってこれは唯の優れた武器と言う価値しかない。
……因みに銘はセルスクラーフェ。
名前は思いつきで付けました。
なので由来なんかは在りません。


レス返し
<<renさん
修理しようとしたら機械が完全に爆発、消滅してしまいました。
よってもう二度と使い物になりません(笑

……あー。
どっち狙いと言うか。
どっちも狙い?

今回もバーサーカーでなかった……orz

<<巨大なヒトさん
はじめましてー

ランクが付けがたいからExtra、つまり『範囲外』な訳です。
それにしても伝染性うっかり……言いえて妙ですね。
確かに感染してってます。
……アーチャーは抗体でも持ってるのかもしれない。
何せ暫く浴びてたし(何?

アーチャーがほんわか不思議ちゃん……
……初めはこうなる筈じゃなかった……とか言ってみる。
まぁ、気に入ってるから良いんです。


次はまた戦闘だ。
……一寸苦手意識が芽生えてきてる今日この頃。

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