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▽レス始

「Fate/黒き刃を従えし者7(Fate+オリ)」

在処 (2007-02-11 01:32)
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くぅ〜〜〜〜…………

真剣な話をする為にあがり込んだエミヤ邸でいざ話を始めようとしたらこれだった。
鳴り響いたのは腹の虫。
鳴り響かせたのは約2名。
戦闘やら治療やら死に掛けてたやらで夕食を取れなかった人物。
つまりエミヤなんとかとリン。

「……あー。夕飯食べてなかったし、もうこんな時間だから腹減っただろ?
 何か作るから一寸待っててくれ」
「あーはははは……御呼ばれするわ」
「……ありがとう、セイバーのマスター」
「あー……出切ればその呼び方やめてくれ」

……じゃあ、エミヤ?
そう呼ぶのは何か違和感があるな……
それ以前に、私この人の名前知らない。

「……名前聞いてない」
「そういえば、私もまだ聞いていませんね」
「そう言やそうだな。
 俺は士郎。衛宮士郎だ」
「……判った、士郎」
「ではシロウと。えぇ、この響きは貴方に相応しいと思う」
「じ、じゃあ、とっとと作ってくる」


Fate/黒き刃を従えし者


それから暫くして、四人分の食事が食卓に並んだ。
……因みに私は手を出してない。
流石にあって間もない他人の家の台所に立ち入るような恥知らずじゃないから。

「……? 私の分も作ったのですか?
 私たちサーヴァントは本来霊体ですので食事は必要としないのですが?」
「…………あ!
 そういやそうじゃない!
 アーチャーがいつも普通に食べてるから気づかなかったわ……」
「……駄目なの?」

確かに食べなくてもいいのかもしれない。
御腹が空いたような感じはしないし、食べなくても体力が落ちる事もないから。
でもなんだろう?
無性に食べたい。
そんな欲求が心の奥から沸いて来るんだ。

「うっ!? いや、駄目じゃないわよ?」
「……ありがとう、リン」
「セイバーも、せっかく作ったんだしさ、一寸でもいいから食べてみてくれ」
「……そうですね、折角ですのでいただきます」

四人で食卓を囲む。
不思議だ。
さっきまで互いに殺す気で立ち合っていたのに何故和やかな雰囲気で食卓を囲んでるんだろう?
まぁ、こちらから壊す事でもないので黙っている。

「……?」
「……セイバー、お箸の持ち方はこう。
 それから……これが主食。
 ……これをメインにおかずを食べるの」
「判りました」

お箸を握って如何すればいいのか見回してるセイバーに助言する。
本来敵である筈なんだけど、何も食事中にいがみ合う事もない。
それはセイバーも同じらしく、一瞬顔を険しくしたけど、直ぐに思い直したみたいだった。

「……こうしてると姉妹みたいね」
「世話焼きの姉と真面目な妹か?」
「えぇ……よし!」
「ん? 如何した遠坂?
 ガッツポーズなんか作って?」

何かリンと士郎が言ってるけど聞こえない。
耳から入ってきた雑音は思考のゴミ箱へぽいだ。

「……こ、これは―――!!」

セイバーがまず、ご飯を一口。
その一瞬後に表れた感情は驚愕。

「これは……喩えようの無い深い味わい!
 ふっくらとした食感に暖かい甘さを内包するまさに白い宝玉!
 これが故郷の乾パンに該当する料理だと言うのか……!?」

セイバーは、何か物凄く感動しているみたいだった。

「……これは如何?」
「ふむ、見た感じ細かく砕いた肉を練り上げ焼いた物でしょうか?
 ……いただきます」

面白いので、メインのハンバーグを勧めてみる。
箸で小さく切って一口。

「なんと!
 肉料理でありながら硬くなく、表面はかりっと焼きあがっていながら中はふっくら。
 噛む度に肉の旨みが染み出て口の中で踊り、上に乗せられた白い物はソースを良く含み
 何かの葉は口の中で何ともいえぬ香りを醸し出す。
 これが……これが肉料理だというのか!!」
「……こっちは?
 ミソというのを味のベースにして作ったスープ」
「何と言う……何という深く複雑な味わい!
 塩辛いながらも出汁がきいていてそれが具にしっかりと味を染み込ませている。
 こんな素晴らしい物は……故郷には無かった……」

因みにハンバーグの上の物は大根おろし。
ソースは和風だれ。
味噌汁の具はわかめと玉葱だ。

「……なんでアーチャーあんなに詳しいんだ?
 セイバーと同じところの出身だと思ったんだけど違うのか?」
「判らないわ。えぇ、本当に謎よ」

セイバーの食は更に進む。

「……これは水切りした豆腐に片栗粉を塗して揚げ、くずあんをかけた物」
「素朴な味わいの中に確かな風味のある深い味!
 熱い衣と冷たい豆腐の温度差がまたたまらない逸品!」
「……浅漬け」
「ただ野菜をスープで漬け込んだだけの料理が何故こんなに美味しいのか!?
 シロウの料理は……何故こんなにも故郷の料理と違っているんだろう?」

それからもセイバーは食べ続け、そしてとうとう最後の一口を口にした。

「……美味しかった? 足りないなら、私の分も食べる?」
「遠慮しなくていいぞセイバー。
 足りなかったら御代わり作ってくるからな」
「――あぁ……そうだったのか」
「え? うわっ!? もしかして口に合わなかったか!?」

唐突に、セイバーがぼろぼろと涙をこぼし始めた。
それはまるで、懺悔する罪人のようにも見えた。
……セイバーが己が想いを紡ぎだす。

「……私は……食事を愛していなかった。
 食事こそが生に満足を得る欲求の一つだったと言うのに!
 私は自分の国の料理を荒廃させたっ!
 その私に……このような素晴らしい料理を食す権利は無い……」
「何でさ?
 間違えたならこれから改めればいいだろ?」
「そうよ。
 人は過ちを乗り越えて進化するんだから。
 それを言ったら私なんてうっかりで何回失敗した事か……」

セイバーが発露した本音に、士郎が、リンがフォローするように諭す。
……後リン、うっかりは何とかしようとは思わないの?
――――ごめん、如何しようも無いからうっかりなのか。

「……セイバー。
 悔いる事は何時でもできる。
 だから、間違えたと思ったなら、それを正す為に如何するべきか考えるといい。
 何時までも後悔してても、何も変わらない。
 過ちを犯す前に戻るなんて事誰にもできないし、過ちを正せるのは自分だけなんだから」

セイバーが驚いたように顔を上げる。
その緑の瞳からは今尚涙があふれ続けている。
私は、正面からそれに向き合い。
彼女を腕に抱きしめた。

「……だから、元気出して?」
「――――っ!
 ありがとう、シロウ。
 ありがとう、リン。
 ありがとう……アーチャー」

私の胸の中でセイバーが咽び泣く。
私はただ、彼女が泣き止むまで私とそっくりな容姿をした少女を抱きしめる。

「……本当に姉妹にしか見えないんだけど?」
「……奇遇ね。私もそう思っていた所よ」

私と彼女の関係とか。
何故殆ど同じ姿をしてるのかとか。
彼女に聞いてみたいことは色々あるけど。
とりあえず今は、如何でも良い事であるように思えた。


「すっかり冷めちゃったな。
 温めてくるから一寸待ってろ」
「は、はい。お願いします」
「アーチャーも食べてくれよ。
 セイバーの分は他の作ってくるからさ」
「……ん、判った」

人前で泣いてしまったのが恥ずかしかったのか、セイバーは恐縮したように小さくなってる。
リンはそれを見てニヤニヤ笑ってるし。
苛めてあげるなよリン……

「……ん。美味しい」
「はい、シロウの料理はとても美味しい」
「そっか。そりゃ良かった」

温まってきた料理を一口。
うん。確かに美味しい。
でも……リンは何か気に入らなかったみたい。

「むー……じゃあ、お昼は私が作るわ。
 覚悟しなさい士郎!」
「覚悟ってなんだっ!?
 ……って言うか呼び捨て!?」
「いいじゃない別に。
 よし、張り切って作るわよ!」

……なんか勝手な事言ってる。
って言うか、リンは明日――もう既に今日か――も居座る気なんだろうか?

「……なら夕食は私」
「おっけ」
「って、アーチャーも作れるのか!?」

何か士郎が驚いてたけど。
そういう事になったのなら手は抜けない。
……セイバーの目が輝いてるし。
それはそれとして。

「……リン」
「何?」

昼食の献立を考えてるんだろう。
返事はしても私に顔も向けない。
……まぁ、いいんだけど。
重要な事なのでこのまま話す。

「……聖杯戦争の説明、いいの?」
「………………あ゛!」

驚いたように振り返り、そのまま10秒きっかり硬直した後、そう声をあげた。
……やっぱり忘れてたんだ。
恐るべしリンのうっかり。
きっと固有スキルうっかりEX。
効果は肝心な時に大切な事から忘れていく。
EXだと肝心な時には必ず失敗するって所だろうか?
……セイバーと士郎も似たような顔してる辺り、リンだけのうっかりとは言えない気もするけど。

「そうよ、いっけない……これじゃ何しに来たか判ら無いじゃない!」
「そ、そうですねメイガス。迅速にシロウに説明願います」

……なんか慌てふためいてる二人が可愛く見えた。
出切ればセイバーと戦いたくないと。
在り得ない、在り得てはならない考えが頭をよぎった。


後書き
……教会は?
…………陳腐は?
………………ロリと巨人は?
何でほのぼの食卓についてるんでしょうこの人たち?
……まぁ、いいか。

レス返し

<<山の影さん
ごめんなさい、その話は全然知りません。

<<renさん
フィフティフィフティを行います。
コンピューターが答えを二つに絞ります。
……コンピューターが破損しました。
フィフティフィフティを行えません。

と、言う訳で使用不可です。
オーディエンスなら幾らでもどうぞ?
答えが合ってるとは限りませんが。

バーサーカーはまだ先でした。
次は……会う辺りまでは行くかも知れません。

<<ハンプトンさん
……展開ばればれですか。
えぇ、気づきますよ。
……アーチャーが。
リンはうっかり聞き流してます。

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