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▽レス始

「男三人麻帆良ライフ 第九話(GS+ネギま!)」

宮本 (2007-02-08 21:59)
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「ハハハハ!!そーか!奴が生きているか。ハ!殺しても死なんよーな奴だとは思っていたが、ハハハそーかあのバカ!フフハハ!!まあまだ生きてると決まった訳じゃないがな。」

嬉しそうに笑いながら道を歩くエヴァンジェリン。
茶々丸、明日菜、ネギ、カモと昨夜のメンバーの大半が昨夜闘った事など嘘だったかのように一緒に歩いている。

「で、でも手がかりはこの杖の他には何一つ無いんですけどね・・・。」

「――― 京都だな。京都に行ってみるがいい。どこかに奴が一時期住んでいた家があるはずだ。奴の死が嘘だというのならそこに何か手がかりがあるかも知れん。」

「きょ、京都!?あの有名な。ええーと日本のどの辺でしたっけ・・・。困ったな、休みも旅費もないし。」

「ちょーどよかったじゃんネギ。」

手がかりとなりそうな情報を与えられて慌て出すネギ。
だが明日菜はちょーどいいと笑い、茶々丸に「ねえ?」と問いかけた。

「え?」

首を傾げるネギ。
そのネギの腕にかみついて情報料代わりに血を吸ってやろうとして・・・そのままポカンと口を開けた。

「・・・何やってるんだあいつらは。」

呆れたように言うエヴァンジェリンの視線を全員がたどった。


           『男三人麻帆良ライフ 第九話』


「だから、昨日のあんなのは反則だろ!!」

「いや、反則だなんていうけど君の戦い方が悪かったんじゃないかと思うよ?横島さんの意外性はいつもの事だろ?」

雪之丞とピートは缶コーヒー片手にベンチに座っていた。

「それでもだ!『仮契約』?魔力を霊力に上乗せって・・・。しかもその魔力はエヴァンジェリンのもんだろ?反則だ。」

「・・・雪之丞。君、男らしくないよ。負けは負けとしっかり認める男だと思っていたのに。」

ピートの冷たい一言に雪之丞はカランッとコーヒーの缶を落とした。
すでに中身の無い缶はコロコロと転がっていく・・・。
どうでもいいが缶コーヒーのボ○。雪之丞は大好きだ。

「お、俺が・・・男らしくない?」

「ああ。見損なったよ。雪之丞。そんなに悔しいのなら修行して次は横島さんに勝てばいいじゃないか!」

ピートは近くでナンパにいそしむ横島をビシイッ!!と指差した。

「おじょうさーん、僕と一緒に昼食でも!」

などと叫んで女性達に逃げられるというライフワークを繰り返す横島。それがライバルとはなんとも情けないのだが雪之丞は感じ入ったようにグッと拳を握り締めた。

「その通りだぜピート。見ていろ横島!!次は、次は俺が必ず勝つ!!」

「へ?あ、うわっ!!」

突然呼びかけられた横島はナンパ中だったナイスバディのねーちゃんから目を離し、雪之丞の方を見た。
だがこれは失敗。
足元に転がってきたのは先ほど雪之丞が落としたコーヒーの缶。それを横島は踏んでしまい、転ぶ。
転んでしまった横島の顔の先にはナンパ中だったナイスバディのねーちゃん、正確にはそのねーちゃんのナイスな胸・・・。

「はふう、極楽や〜〜〜。」

いわゆるパフパフ。
誰もが意図しないのに行われたそれは横島を極楽へ導き・・・

「きゃー!!!!」

次に報復を受けた。

「ひでぶっ!?」

吹っ飛び、地面に頭から突っ込む横島。彼には呆れた様子の雪之丞が近づいていき、ピートは予期せぬ精神的ダメージを受けた女性をフォローしようと近づいていく。

「あの、大丈夫ですか?すみません僕の友人が・・・。彼もわざとではないようですし許していただけませんか?」

「え、あ・・・はい。」

すみませんと頭を下げるピートの整った顔立ちに女性は頬を染める。

「えっと、ところであなたのお名前は・・・」

「僕ですか?僕は・・・」

「ちょ〜〜〜っと待てやゴラァ!!!!」

女性の質問に答えようとしたピートに横島が叫ぶ。

「てめえ涼しい顔して漁夫の利か?
おねーさん!騙されちゃいけませんよ!!この男はそこのつり目と、10歳の男の子供とで三角関係を築いているんです。鬼畜です、ショタコンです、二刀流です!!」

「ち、違う!それは誤解だって!!」

「あん?『ひどいじゃないか雪之丞。もう少ししたら結婚するっていったじゃないか!』だったか?あの子供やその生徒達の前で叫んだらしいじゃないか。」

「う!!」

ピートは再び誤解だと叫ぼうとするが雪之丞が弓と結婚するつもりだということは秘密だと思い出し、うつむいた。

「そ、それは・・・言えないです。」

「ストーップ!!」

「ぐは!?」

顔を伏せ、つぶやくピートに雪之丞が飛び蹴りを喰らわせる。

「頬を染めるな頬を!!そんなんだから誤解されるんだ!!」

「で、でも僕は雪之丞のためを思って!!」

「あ〜、あのねーちゃんがいなくなってる!!貴様ら〜!!」

突っ込む雪之丞、反論するピート、そして憤る横島。

「・・・おいおまえら、なにやってるんだ?」

そんな三人にひどく呆れたような声がかけられた。

「あれ?エヴァちゃんと茶々丸ちゃんじゃないか。それにネギにカモ・・・それにアーティファクト、チョンギリマルを持つちょん切ろうとした中学生!!」

「神楽坂明日菜です!!」

昨夜の騒ぎに関わったもの達が現れたので横島はピートへの追及を諦め、そして少し腰を引いて警戒する。

「それで、おまえら警備員のくせになんで逆に捕まりそうな騒ぎを起こしているんだ?」

「ん?ピートと雪之丞が俺のライフワークを邪魔しやがったからな。ちょっと制裁を。」

「・・・馬鹿馬鹿しい。」

横島なりの理由をエヴァンジェリンは切って捨てる。

そして雪之丞はネギの側に行っていた。
昨夜負けたのは横島が『仮契約』というのを行っていたから。
ならば少ししゃくだが自分も仮契約をやってみたらどうだろう?さいわいこの坊主も魔法使い・・・。

「なあ坊主。」

「あ、はい!何ですか雪之丞さん。昨日は置いていってすみませんでした。」

「ああ、それはもういい。あの・・・そのだな、俺に・・『仮契約』っての、やってくれねえか?」

やはりドーピングのようなイメージのある仮契約を自分から言い出すのには抵抗があるのか、雪之丞はネギの肩に手を回してそっぽを向きながら言う。

「え、ええ!?ゆ、雪之丞さんと仮契約?」

それを聞いてネギはうつむいた。
雪之丞の強さは見て知っている。ただ純粋に強くなるという事への貪欲さを持ち、その肉体を鍛えている男。山で見た鍛え上げられた肉体は素晴らしかった。
先生とはいってもネギはまだ子供。だが子供だからこそ雪之丞のような強い男には憧れる。
そんな雪之丞が自分に仮契約をしてくれないか?と言ってきた。ネギとしてはかなり嬉しい。
だが仮契約はキスをしないといけなくて・・・。

ネギはうつむいたままほんのりと頬を赤く染めた。

「な、なぜ?なぜあんなものが見えるの!?」

ネギの横にいたため雪之丞の言葉が聞こえた明日菜は自分の中で『仮契約=キス』という方程式が成り立ち、思わず引いた。
見てみると雪之丞は照れくさそうにそっぽをむいてネギの肩に手を回し、ネギはうつむいて頬を染めている。
明日菜には二人の背後にバラの花が咲くのが見えた気がして思わずぶんぶんと頭を振った。

「兄貴!よかったじゃねーか!!あれだけの体術の使い手が仮契約してくれれば百人力だぜ!
雪之丞の兄さん、魔法陣の方は俺っちに任せて兄貴にブチューーーーッとやっちゃってくだせえ!!」

明日菜の肩に乗っているカモは前足を振り回して雪之丞に言った。

「・・・は?」

雪之丞は青くなった。
そしてネギを見て、己の勘違いと失敗を悟る。

キス?キスをしないといけないのか?顔を赤くしているネギはキスを連想したのだろう。
そのネギが顔を上げる。
ほんのり頬を染め、上目遣いにこちらを見るネギ・・・。

「・・・雪之丞、ネギとキス?あれはやはり勘違いじゃなかったのか。」

「ネギ君、雪之丞。・・・いや、神はそれでも祝福してくれるはず。僕も受け入れなければ。」

「いや!私には、私にはバラの花なんて見えない!!」

横島がドン引きし、ピートはむりやり理解しようとし、明日菜は壊れたように頭を振る。

「ち、違う!知らなかった!!キスが必要だなんて知らなかったんだ〜〜〜!!!!」

誤解を解こうと叫ぶ雪之丞。すでにネギの肩から手はどけられている。
そして、違うんだよ〜〜〜!!っと叫びながら雪之丞は走り去った。またもやトラウマ(勘九郎との戦いの記憶)を刺激されたらしい。

その後姿を生暖かい目で見送る一同。
そしてバラの幻覚から逃れた明日菜がふと気付いたようにある人物を見た。

「そう言えば横島さんも仮契約しているんですよね。エヴァちゃんとキス・・・したんですか?ほら、昨日の夜も傷つけるわけにはいかないって・・・。」

明日菜が興味深々でたずねるとピシリと空気が凍る。
昨夜横島が言った台詞を思い出しカッと顔を赤くするエヴァンジェリン、なぜかがくりとひざまずく横島。

「あ、あわわわわわ・・・。横島さんが、エヴァンジェリンさんで、キスが・・・」

「師匠、なんてえ守備範囲。やはり『エリア51』!!」

「よ、横島さん・・・。」

うろたえるネギ、叫ぶカモ、昨夜の雪之丞と同じ反応をするピート。

「ち、違うんや〜!!大人のエヴァちゃんには確かに欲情した!だけど大人じゃないエヴァちゃんは・・・。でも、でも舌まで入ってきて!ちょっと気持ちよくって!!どちくしょ〜〜〜!!!!」

俺はロリコンじゃないんだよー!!と叫びながら雪之丞と同じように走っていく横島。

一同は雪之丞の時と同じく生暖かい目で見送り、続いてエヴァンジェリンに注目する。

「な、なんだ貴様ら?」

ぎろりと睨み、追求されないように威嚇するエヴァンジェリン。

「・・・マスター。脈拍、心拍数に異常があります。大丈夫ですか?」

だが、己の従者は空気を読めなかった。

「大丈夫だ!!ほらおまえら、昼休みが終わるぞ。早く学校に戻らないと!!」

エヴァンジェリンは率先して嫌になるほど通いなれたはずの学校へ早足で向かっていく。

「あ、待って下さいよ〜。じゃあピートさん失礼します。また今度!」

「お仕事頑張って下さい。」

ネギと明日菜はピートに挨拶をして、茶々丸は会釈をしてエヴァンジェリンの後を追っていく。

「また今度・・・か。まあまたすぐに会うんだろうけどね。」

それを見送ったピートはぽりぽりと頭をかいた。


「昨夜の戦闘記録は見せてもらったぞい。やはり雪之丞君も横島君もなかなか素晴らしい実力じゃ。
性格等には問題ありじゃがの。ナルシストにアナコンダ・・・。」

「ふん、世辞はいいぜ。横島はあの嬢ちゃんの別荘でボコボコにされているらしいからな。俺らがこの世界で突出して強いなんて思っちゃいねえよ。まあ簡単に負ける気もねえけど。」

学園長室。そこに三人は来ていた。
雪之丞は昨夜の戦闘の映像を近右衛門が見ていたのを知ったからか不機嫌そうに言う。

「ふぉっふぉっふぉ、魔法使いじゃなく、就任したてで外部に情報が漏れていないのにそれだけの実力を持っているのが重要なんじゃよ。」

「それが今度の特別な依頼というのにつながるわけですね?」

「そうじゃ。君達の能力と戦闘を見せてもらってその配置を決定したのじゃよ。そこで・・・」

その時、学園長室の扉がノックされた。

「おお、来たようじゃな。入りなさい。」

「はい、失礼します・・・って、あれ?」

「いらっしゃい、ネギ君。ここにいる三人とは全員しっかりと面識があるようじゃのう?」

「はい。」

学園長室に入ってきたネギはキョロキョロと室内にいる顔見知りの三人を見る。
雪之丞は昼の事を思い出し、うう・・・とつぶやいて二、三歩さがった。

「ああネギ君、今回呼んだ理由じゃがな。今回の京都への修学旅行がちょっと無理そうになっての。」

「え・・・。し、修学旅行の京都行きは中止〜〜〜!?」

「うむ、京都がダメだった場合はハワイに・・・。」

「ハワイ!ハワイっすか!?」

近右衛門の手を横島が握り締めた。
ネギはショックを受けてフラフラと壁に寄りかかる。

「く〜、ブルジョワ!ブルジョワやな〜。ハワイには水着を着た美人のねーちゃんがいっぱい・・・。
学園長、俺も警備の必要あると思うんっすよ!!ほれ、ビーチには危険な罠がいっぱいっていうやないですか!!」

「お、おぬしの方がビーチの罠より危険じゃと思うのじゃが・・・。」

目を血走らせる横島。
近右衛門はショックを受けているネギの早とちりを訂正するどころではない。
すでにネギは壁に寄りかかるというショック初期状態から学園長室の床にのの字を書く段階に入っている。

「水着、ねーちゃん、ポロリあり、ビーチの出会い・・・。」

「落ち着け!落ち着け横島君!君にも今回修学旅行に同行してもらおうと思っているから!!」

「マ、マジで!?こういう時は置いてけぼりがお約束やったのに!っしゃー!俺の時代が来た〜!!」

近右衛門から離れてガッツポーズをする横島。

「・・・まだ中止とは決まっとらん。」

「んだとこらジジイ!!」

ほっとした近右衛門はネギに説明するべく京都行きが基本である事を告げようとするが喜んでいた横島によって再び話の腰を折られる。

「・・・京都には着物を着た和風の奥ゆかしい美人がたくさんじゃぞ。」

しかしぽつりとつぶやいて横島の追撃をかわす。
「水着・・・いや、着物も・・・。」などと水着と着物の間で苦悩し始めた横島を放っておいて近右衛門はネギに向き直った。

「そう、まだ中止は決まっていないのじゃ。ただ先方がかなり嫌がっておってのう。」

「先方?京都の市役所とかですか?」

「いや、うーむ何と説明してよいやら・・・。関西呪術協会。それが先方の名じゃ。」

「か、関西呪術協会・・・!?」

ネギは目を見開いた。

実は近右衛門は関東魔法協会の理事もやっていて、その関東魔法協会が関西呪術協会と仲が悪いらしい。
今年修学旅行をする一団の中に魔法先生がいるという事を伝えると修学旅行での京都入りに難色をしめしたそうだ。

「え・・・じゃあ僕のせいですか!?」

「まあ聞きなさい。」

「わしとしてはもーケンカはやめて西と仲良くしたいんじゃ。そのために特使として西へ行ってもらいたい。」

そう言って近右衛門は机から封筒を取り出す。

「この親書を向こうの長に渡してくれるだけでいい。ただ道中向こうからの妨害があるやもしれん。
彼らも魔法使いである以上生徒達や一般人に迷惑が及ぶような事はせんじゃろうが・・・。
ネギ君にはなかなか大変な仕事になるじゃろ・・・。どうじゃな?」

「分かりました!任せて下さい学園長!!」

ネギは元気に声を上げた。

「ほ・・・。いい顔をするようになったの。新学期に入って何かあったかの?」

「え?い、いいえ別に何もありませんよ!」

「そうかの。そうそう京都といえば孫の木乃香の生家があるんじゃが・・・。木乃香に魔法の事はバレとらんじゃろうな?」

「え・・・たぶん。」

「わしはいいんじゃがあれの親の方針でな。魔法の事はなるべくバレないように頼む。」

「は、はい。わかりました。」

「それで横島も一緒に修学旅行に行くって訳か?」

なかなか自分達に関係のある話題にならないので雪之丞がたずねる。
ピートはなにやらいぶかしげに近右衛門を見ており、横島は京都では絶対祇園に行こうと心に決めていた。

「おお、そうじゃそうじゃ。魔法先生を何人も送るわけにはいかん。じゃが、魔法使いじゃなければ・・・いいと思わんか?」

「・・・屁理屈だな。」

雪之丞はじろりと近右衛門を睨む。

「まあそう言わんでくれ。横島君には修学旅行中、ネギ君の補佐という形で警戒してもらう。」

「え!?し、修学旅行のコースに祇園は?芸者遊びは!?」

「・・・あるわけなかろう。それはどこの大人達の修学旅行じゃ?」

ガーンとショックを受けて崩れ落ちる横島。
さらば男の修学旅行・・・とつぶやいているところから大人達の修学旅行ではなく男の修学旅行なのだろう。

「それで、僕と雪之丞はどうするんですか?まさか麻帆良でお留守番・・・という事はないでしょう?もしかして保険ですか?」

「ふむ、ピート君は察しがよくて助かるのう。君と雪之丞君には先行して京都に行っていてもらう。現地をあらかじめ下見して修学旅行組が来るのを待っていて欲しい。」

「じゃあ俺がその先行組に!!」

「能力を考慮すると帯同するのは横島君が一番向いているんじゃよ。」

そういわれては横島はぐうの音も出ない。
文珠を使える横島は確かに最も霊能力の使用の幅が広く、雪之丞は普通に戦闘するのに特化しているしピートは普通の戦闘と神への祈りでの浄化や広域攻撃などが主だ。

「まあいいじゃないですか。横島さんはネギ君のクラスメートをナンパしたんですし。あの子と親密になれるかもしれませんよ。」

「いやあああ!!止めてくれピート!確かにええ身体しとったけどあの子はやっぱり中学生なんや!!」

「よ、横島おまえ・・・。」

「横島さん!僕のクラスの生徒達に手を出したらダメですよ!!」

ピートが横島が龍宮真名に飛び掛った時の事を暴露し、横島は気の迷いだったのだと転げまわる。

「と、とにかくそう言うことじゃ。修学旅行では頼むぞネギ君。」

「はい!」

話は終わったとばかりに言う近右衛門に返事をし、ネギは学園長室を出て行った。

「・・・さて、ピート君と雪之丞君に下見と遠くからの支援以外にもう一つ頼みがあるのじゃが。」

「なんです?」

ピートがたずねると近右衛門はすっと封筒を取り出した。

「これを、関西呪術協会に届けて欲しい。」

「保険ですか。」

「そうじゃ。あれはネギ君が届けてこそ意味がある。サウザンドマスターの息子、そしてこの学校で先生をやっているネギ君だからこそ・・・。
じゃがわしも失敗した時の事を考えておかなければならない立場にある。そこでこれじゃ。ネギ君が届けるほど効果はないがわしの使者が西の長に届ければそれでいい保険。
じゃから雪之丞君は表に出たとしてもピート君は妨害してくる者と接触するのはなるべく控えて欲しい。
それでもしネギ君が失敗したらこの封筒を長に渡してくれ。」

「わかりました。」

「俺はその妨害者と接触してもいいんだな?」

「うむ。雪之丞君が派手に動けばそれだけピート君には目がいかなくなるじゃろう。」

やる気満々、妨害者来てくれといったふうに雪之丞は言い、笑う。

「あ〜あ・・・。やる気失せたな〜。」

真面目に話していた近右衛門、ピート、雪之丞の耳に聞き捨てならない言葉が聞こえた。
言葉の主は本当にやる気なさそうで、ぐったりとしている。

「横島さん、仕事なんですから・・・。」

「そうだぜ。まあ妨害者とかは俺が蹴散らしてやるから気楽にやりゃいいさ。」

ピートと雪之丞が言うが横島はまだぐったりしている。

「・・・関西呪術協会は誰の趣味か知らんがたくさんの女性が巫女服姿で働いておるんじゃ。しかもみな美人ぞろい。
混浴の風呂もあると聞いたの〜。」

「っしゃあ!まっていろ関西呪術協会!!そしてまだ見ぬねーちゃん達!!」

復活。
それはあまりにも単純な復活だ。
さすがに残りの三人は顔を見合わせた。

「じゃ、じゃあ僕と雪之丞は早速準備をして今日中に向こうに発ちます。」

「おお、頼んだぞい。金の方は通帳に振り込んでおくからの。」

三人はやる気満々になった横島を先頭に学園長室を出て行った。
何か忘れているような気がして近右衛門は首をひねる。

「おおそうじゃ。木乃香の護衛をしているあの子の事を言っておらんのじゃ。・・・まあ、いいか。あった事はあるはずじゃし仲良くやるじゃろ。」

近右衛門は思い出した事に満足して茶をすすった。


修学旅行セールを行っている多くの店。
旅行を待ちわびている学生が準備のために訪れ、ワイワイと騒いでいる。
その店内に彼は、横島忠夫はいた。
しかし彼が見ているのは服などではない。

「ほう、あの子も将来有望そうな・・・。なに!?あのねーちゃん90あるぞ?クーッ!いいもの持ってやがる!!」

一瞬でまず胸に視線をロックオン、そしてその後総合力をはかる。
横島のスカウターならば朝飯前だ。
そんな彼の肩が叩かれた。

「ん?戦闘力83、これまた将来性が素晴らしい・・・って明日菜ちゃんか?」

「横島さん。こんなところで何を?怪しすぎですよ。」

「ああ、ピートと雪之丞が向こうで買い物してんだ。俺は特に急ぎで欲しいものはないからちょっとチェックをな。」

横島は振り返り、こちらをじと目で見ている明日菜に答える。

「へ〜。なんかさっき戦闘力って言ったけど通りかかる人の強さとかが分かるものなんですか?」

「う〜む、分かるといったら分かるな。俺のスカウターは並じゃないぜ!」

にやりと笑う横島。
ふ〜んと納得する明日菜。スカウターで読み取っている戦闘力の意味がバストサイズだと知ったらどのような反応をするのか興味深い。

「明日菜ちゃんは修学旅行の準備か?一人?」

「いいえ。ネギとそれから友達と一緒です。」

答えてから明日菜はそういえば自分はこの男の事を何も知らないと思い当たる。
ネギとカモから凄い人物だと聞いた事、そして茶々丸を襲撃した時に実際に見て感心するような事を言って去って行った事。
だが、昨夜エヴァンジェリンと戦った時に素っ裸で現れて妙な事を言っていたのでそれまでのプラス印象が一気に減った。

「・・・横島さんって強いんですよね?」

「・・・さあ?」

聞いた言葉に帰ってきたのは間の抜けた返答。

「え、だって雪之丞さんに昨日勝ったみたいだし。」

「まあな。う〜ん、強いか・・・。難しいな。ガチンコで格闘戦やったら雪之丞に勝てるわけねえし。そもそも俺より強い人なんていっぱいいるからな〜。」

横島は元の世界で戦った事のある多くの敵たちを思い出した。・・・多くは人間ではない。

「俺の師匠の教えだが基本的に戦いってのは勝てばいいんだ。だから昨日もどれだけ雪之丞の攻撃に耐えて隙をつけるかってのが俺のコンセプトだったし・・・。」

「え〜。それってちょっと卑怯じゃないですか?」

「う〜ん、それでも俺の仕事ってのは勝たないといけない仕事だからいい戦いでしたじゃダメなんだ。負けたら終わりなものもあったし・・・。」

明日菜は納得したような納得いかないような表情をする。

彼女が思い浮かべる戦いはあくまで試合の延長のようなものなのだ。
だが横島が思い浮かべる戦いは目的達成のための手段で目的が達成できるのなら戦わなくていい。むしろ戦いたくなどない。

「それで、エヴァちゃんとの関係は?」

強さについての質問の答えはどうも理解し切れなかったので今度はもう一つの気になった事を聞く。

「エヴァちゃんとの関係?・・・なんだろ?仮契約はしたっていうかさせられたけど別に従者ってわけじゃないし。言ってみたら上司と部下かなあ。一応俺エヴァちゃんの部下の警備員らしいから。」

「ぶ、部下?へえ・・・。あ、そういえばネギと木乃香は?」

見た目幼女なエヴァンジェリンの部下というのもまた変だ。
昨夜素っ裸で現れて妙な事を言っていたのとあわせて明日菜は横島を変な人として認識した。
そして一緒に来ている二人がどこにいるのかと探し出す。

「あそこじゃないのか?ネギの声が聞こえるぞ。」

「あ、ほんとだ。」

試着室からネギの声が聞こえてきて二人はそこに近づく。
そして明日菜はカーテンを開けた。

そこにはネギの頬にキスをしている木乃香の姿・・・。

「ちょ、ちょっとあんた達なにやって・・わ!?」

驚き、たずねる途中で目の前の二人の足元が光る。
そして宙にカードが現れた。だが・・・

「あーん、何このへちゃむくれー!!明日菜のと違うやんーっ!!」

「や、やっぱりちゃんとキスしなきゃダメなんだー。」

「え、そうなん!?」

「あ〜消えちゃった。」

「あーん。」

カードはポシュウウウと煙を上げて消えていった。それを見て木乃香は悔しがる。

「じゃネギ君もいっかいー。・・・あれ?ネギ君?」

木乃香が今度はちゃんとキスをしてまともなカードを手に入れようとするが、肝心のネギがいない。

「え?ネギ・・・って、キャー!横島さん何してるんですか!!」

木乃香の言葉にネギが消えた事に気づく明日菜だが探すべきネギより先に奇怪な行動をとる横島を発見し、悲鳴を上げた。
彼はどこから取り出したかしらないが、わら人形を持って釘を使って壁に打ち付けている。
その姿は血走った目とあいまってかなり怖い。

「子供のくせに、子供のくせに、子供のくせに〜〜〜!!!!」

「う、うぐうううう!!」

横島の足元で胸を押さえてうずくまっているネギがうめく。

「ちょ、何やってるのよー!!」

「へぶう!?」

スパーンッと明日菜のハリセンが横島の頭部を叩く。

普通に考えて人が苦しんでいるのをわら人形を打っている奴のせいだなどというのは考えにくい。
だが横島の行動、鬼気迫る表情、憎しみをこめた声がそのような常識の壁など打ち破って横島が打っているわら人形のせいでネギは苦しんでいると思わせたのだ。

そしてそれは正解だった。
ネギは苦しかったのが嘘のように地面に座ってきょとんとしている。

「何やっているんですか!!」

「子供とはいえ、キスなんぞ許されんわい!!」

「ネギ君大丈夫か〜?」

「え、ええ・・・。」

明日菜は頭を押さえる。
ますますこの男が分からない。

「・・・キスなんて誰でもやってるんじゃないですか?」

「カップルは敵や!ツラのいい男は敵なんや!!」

「子供だから大目に見れば・・・。」

「学校でのピートを知らんからそんなことが言えるんや。毎日同級生、下級生問わずピートに弁当を作ってくる、仕事仲間のエミさんには言い寄られる・・・。
見てろ明日菜ちゃん。今にネギも、同じようになるんや。女に言い寄られてもてない男を蔑むように、哀れむようにみるんや!!」

すでに学校では女に言い寄られているとは言えず明日菜は冷や汗を流す。
血の涙を流して悔しがる横島にネギは戸惑い、木乃香は器用やな〜と感心していた。

「よう、悪いな。なんかこいつがまたバカやってるみたいで。」

どうしよう、と思っていた明日菜だが知っている声を聞きホッとする。

「雪之丞さん。」

「じゃ、こいつは連れて行くから。こうなったこいつは美神の旦那にしか止められねえ。」

「はあ・・・。」

横島を引きずっていく雪之丞。なぜ自分はもてないのかと嘆く横島を少しかわいそうに思い、明日菜は慰めようと声をかけた。

「横島さんだってエヴァちゃんとキスしたんでしょ?」

だから他の人がキスをしていても別に嫉妬する事はない、というつもりで言ったのだが横島には止めになった。
『うぐっ!!』と胸を押さえ、手を虚空に伸ばす。

「わいは、わいはロリコンやない!!ドキドキなんかしなかったんだぞ〜!!」

最後の雄たけびを上げ、駆け寄ってきたピートも協力して二人がかりで抱えられて連行された。

「学園長も何考えているのかしら?同僚が警備しないといけない警備員って全然意味ないと思うけど・・・。」

明日菜は疲れたようにつぶやいた。


あとがき
作品のオリジナリティを出すのがとても難しくって足りない脳みそを稼動させている宮本です。
一応京都編スタート?です。京都編でもよろしくお願いします。


レス返しです。

>wiaさん
初めまして、感想ありがとうございます。
チョンギリマルに吹いていただきなによりです。
京都編でもチョンギリマルの活躍が・・・。現れた鬼の群れをちょん切ってちょん切って・・・。
あ、そしたらバイオレンス指定にしないとやばいですね(汗

>遊鬼さん
もっとピートを絡ませたかったんですがここではやはりちょっと・・・。
彼は三人の中で一番大人(ナルモード以外)なので学園長にお願いされました(笑
もちろんユッキーは放置プレイです。
参戦してみんなを混乱させた元凶ですしw

>スカートメックリンガー
明日菜を素っ裸で召喚は眼福ですけどかわいそうですよね〜。
あれを回避すべくネギを成長させたいです(笑
無効化能力よりもアナコンダが死に掛けた事のほうが重要だったようで・・・(汗

>ヴァイゼさん
誰かに任せると誰かに頼るは違いますからね。それを京都編で表現できればいいんですが。京都編読み返して難しいな〜と思いました。
今回の呪いでネギの横島へのイメージがちょっと崩れ、明日菜は完全に変な人と認定です。

>六彦さん
ネギにのせられてナルモードに入る雪之丞が好きです!
ネギと雪之丞の絡みは今回といいこれからといいかなり重宝します。
強い男に憧れる少年というネギにたじたじの雪之丞w

>鋼鉄の騎士さん
ネギとカモは評価上昇!カモにいたっては別のベクトルで評価が尊敬の域を超えて神の領域に・・・。
エヴァフラグは進行です。エヴァフラグはお決まりなんですが・・・エヴァンジェリン好きなんです(笑
PS・・・ゴスロリフラグ、欲しいですが書いててかなり難しかったです(涙

>angieさん
ネギまにはストレートにして恐ろしい名前がいいかと頭を捻りました。横島が明日菜をチョンギリ職人シザーウーマンと呼ぶ・・・などとシーンを考えたんですがちょっと分かりにくいかな?と。
明日菜全裸召喚はかわいそうですが横島全裸召喚はむしろ横島パワーアップするんじゃないかと思ってやっちゃいましたw
ありがとうございます。これからも頑張ります。

>twilightさん
壊れた横島の幻想はアナコンダの形ですね。明日菜はアナコンダに襲われる夢を見てうなされそう・・・(涙
お約束はやりすぎると危険ですがイメージしやすいだけに破壊力はありますよね。
京都編では今回の説明のような感じで絡んでいく・・・かもしれません!

>わらしべ長者さん
初めまして!
目撃した学園長はとりあえずスルーすることにしたようです(笑
エヴァ編では無難だったピートが京都では大活躍・・・するかもです。
タカミチはチョンギリマルにちょん切られないようにびびるかも・・・w
アナコンダはこれからも大活躍です!!

>シャーモさん
ネギが築き上げたシリアス空間に一気にヒビをいれ、そして破壊したユッキーあんど横島です。
雪之丞は京都編でもおそらく一番生き生きしています。キャラ的に(笑
ギャグ、バトル、オチと横島とは違ったネタを提供してくれる彼は出番の少なかった原作より輝いて欲しいです。
アナコンダ・・・。うらやましですよね(涙

>スケベビッチ・オンナスキーさん
誤字報告ありがとうございます。
この
>>そして大刀は横島が差し出した棒状の物を消し去った。
の部分は最初狙いに狙って、
>>そして大刀は慌てて後ろに下がる横島から伸びる棒状のナニかの根元をまるでそに何も無かったかのように通り過ぎていった。
みたいに誤解を与える表現バリバリで書いていたんですがやりすぎかな〜と思ってソフトにしました(汗

>クロクロさん
横島の戦闘は横島対雪之丞は基本こんなかんじかな〜とやりました。
京都では戦闘シーンが多いので頭が痛かったです。こんな感じかな〜?と読み直して頭を痛めました。
バイザーと黒マントはスケさんが言われているようにルシオラのバイザーとパピリオのプレゼントをイメージしました。
アーティファクトについて詳しくは話が進めば出てきます。
え〜っと、二十話くらいででます(汗

>冬さん
初めまして。感想ありがとうございます。
パワーバランスは一番難しいところですので褒めていただけると嬉しいです。京都編を終えて、バランスが崩れていないかが不安の種です(汗
今回もちらっと出ているようにユッキーとネギとピートの三角関係はまだまだ解消されていませんw
これから彼らの愛がどう進んで行くか・・・。
PS、アーティファクト・ヨコシマンは結構面白いですよね。外道焼身霊波光線が出せますし・・・。

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