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「男三人麻帆良ライフ 第八話(GS+ネギま!)」

宮本 (2007-02-06 19:01)
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『―――こちらは放送部です・・・これより学園内は停電となります。学園生徒のみなさんは極力外出を控えるようにしてくださ・・・』

学園内に響き渡る放送がザザッという音ととも途切れる。
時計の短針が次長針が将兇鮖悗靴導惘爐療典い消えた・・・。

「う〜ん、真っ暗な寮ってなかなか怖いねーカモ君。」

「むむむ・・・。」

「どうかした?カモ君。」

「兄貴!!何か異様な魔力を感じねーか!?停電になった瞬間現れやがった!!」

「えっ・・・なにか魔物でも来たの?」

「わからねえけどかなりの大物だ。まさかエヴァンジェリンの奴じゃ・・・。」

「ええ!?でも授業に来てたじゃないか。彼女はもう更生して・・・」

「だから兄貴は甘いんだってそんな簡単にやつが諦めるはずないだろ!」

カモの尻尾がビイインと立ち、ネギとともに言い合っている。
ネギは自分達の進行方向に見知った少女を発見した。
それは自分のクラスの生徒、佐々木まき絵。
まき絵はエヴァンジェリンが戦いを申し込む。10分後に大浴場まで来いと言うとリボンを使い、人間離れした動きで去って行った。

「人間技じゃねえ。半吸血鬼化してやがるぜあの姉ちゃん。」

「そ、そんな・・・あの時僕がまき絵さんを診た時は魔力の残り香だけでどこにも異常は・・・。」

「やつの魔力が封じられてるってのが逆に仇になったんだよ。潜伏していて兄貴にも気付けなかったんだ。
どーやったかはわからねえけどとにかくこの停電でエヴァンジェリンの魔力が復活したんだぜ。マズイぜ兄貴!!」

カモの言葉にネギはぐっと拳を握り締め、あごに手を当てて考えると携帯電話を取り出した。


           『男三人麻帆良ライフ 第八話』


「・・・遅い!」

幻術で大人の姿になっているエヴァンジェリンは大浴場の中にある屋根の上に座っていた。
周りには僕となっているクラスメート四人と従者である茶々丸にメイド服着せて侍らせている。
だがその待つ体勢にはいってからもう5分も経っている。
ネギに伝えたはずの10分後という時間からもう3分だ。時間を守れん男などクズだ!などと文句を言う。

「もしや・・・逃げたか?」

つぶやいたエヴァンジェリン。
だが、その心配は杞憂だった事に気付く。

「坊やか・・・。10歳にして覗きの真似事とは感心せんな。」

「な、なんで・・・。」

後ろの方、窓があるあたりの位置に気配を感じ、エヴァンジェリンは振り向く。
そして正面からぶつかるのが馬鹿な事だとわかるくらいの分別はついたかと思い、苦笑した。

「その程度でばれないと思ったか?覗きとは極めればかなり高等な気配遮断術になるらしいぞ。」

実際にライフワークであった覗きを芸術の域まで昇華させたバカをエヴァンジェリンは知っている。
だがそんなエヴァンジェリンを警戒しつつ窓から降りてきたネギは湯船の淵に立った。

「そういえばパートナーはどうした?一人で来るとは見上げた勇気だな。」

「・・・エヴァンジェリンさん、夢で見た幻術ですか。準備不足なので父さんのようににんにくとネギは用意できませんでしたが、でも負けません!!」

ネギの言葉で夢を見られた事を思い出したエヴァンジェリンは一瞬頬を引きつらせるが、ネギがやられたくないであろう事を思いつき、ニヤリと笑い指を鳴らす。

「・・・行け。」

エヴァンジェリンの命令に応じて四人の少女、大河内アキラ、佐々木まき絵、和泉亜子、明石裕奈が湯船に入りお湯をかきわけてネギの方へやって来た。

「ひ、ひきょーですよクラスメートを操るなんて!!」

「卑怯?言っただろう?私は悪い魔法使いだって。」

ククッと笑うエヴァンジェリン。
だがすぐにおかしいと気付く。
言葉の割にはネギがそこまで焦っている様子がないのだ。もしや・・・と思うがもう遅い。

ネギはだぼだぼのローブから手を出すと、いつのまにか、おそらく最初から持っていたであろう小瓶と試験管を投げた。
この瞬間、しもべがネギの近くに集まるのを待っていたのだろう。

「『眠りの霧!!』」

「くっ!散れ!!」

魔法薬を媒介とした魔法。同時にその成果を確認することなくネギは杖に乗る。

「ちいっ!やってくれる!!茶々丸!!」

一瞬で眠らされたしもべ達。
いらつきと、歓喜を感じながらエヴァンジェリンは始動キーを唱え始めた。

「うわあ!?」

茶々丸のパンチをかわし、逃げるネギを見てエヴァンジェリンはニイッと笑った。

「喰らえっ。『魔法の射手連弾・氷の17矢!!』」

誘導式の氷の矢がネギに向かう。
一瞬早くネギは窓を破り外に出て行った。
氷の矢もその後を追って出て行き、振り返ったネギに迎撃される。

「ほう、魔法銃とは珍しいな。」

「全弾撃破確認―― ネギ先生は骨董魔法具のコレクターだそうです。」

「さっきの『魔法の霧』を使うタイミングといい、少しは考えてきたようだな。さあ、どうする坊や・・・。」

エヴァンジェリンは楽しげに笑った。

「マスター、残り時間にご注意を。停電復旧まであと75分34秒です。」

「わかってる、もう少し遊んでから決着をつけてやろう。」

茶々丸の言葉に蝙蝠で出来たマントを羽ばたかせるエヴァンジェリン。
彼女はもう少し遊ぶべくネギを追った・・・。


まき絵がエヴァンジェリンに操られ、自分のところへメッセージを伝えに来たという事はまき絵がこちらに攻撃してくる可能性が高いという事。
冷静にカモと話したネギは最初からまき絵を無力化するような魔法薬を用意しておく事にした。
まき絵以外に三人も操られていたのは予想外だが、なんとか落ち着いてタイミングをはかり一気に無力化する事に成功。これはラッキーだった。
四人が同時に近くに来て、こちらに襲い掛かってくるまでに間ができた。これはエヴァンジェリンが完全に遊んでいたからだろう。
ここまではなんとか予定通り・・・。

だがしかし・・・

「『氷爆!!』」

「あうっ!!」

強い!!ネギは畏怖と恐怖を抱き、白い吐息を吐く。
直撃はさけたものの襲ってきた凍気は肌の表面と髪の毛を凍らせ、爆風はネギを吹き飛ばす。

(凄い・・・。この人は、本当に凄い魔法使いなんだ。)

埋める事の出来ない時間の差。
生きてそれに取り組んできた時間に蓄積された魔法の経験、戦闘の経験。
エヴァンジェリンとの間に感じる全てがネギに勝てないという現実を突きつける。
だが、まだ終わったわけじゃない。

再び唱えられる始動キーを背中で聞きながらネギは橋に向かって落下するように降りていく。

「『こおる大地!!』」

「うわあああああ!!」

地面から突き出した鋭い氷の柱がネギを襲う。
障壁を展開したためダメージは少ないがそれでもネギは吹き飛び、橋の上を転がった。
だがネギの眼は死んでいない。

「ふ、なるほどな。この橋は学園都市の端だ。私は呪いによって外に出られん。ピンチになれば学園外に逃げればいい・・・か。・・・意外にせこい作戦じゃないか。え?先生。」

橋に降り立ったエヴァンジェリンはこれで終わりかと少し残念に思いつつも嘲る。
そしてネギを睨みつけた。
ナギ・スプリングフィールド。サウザンドマスターが使っていた杖は橋の上に落ちておりネギはそれを拾うためにか、痛みをこらえるようにして立ち上がろうとしている。

ふんっ、と鼻で笑ってエヴァンジェリンは杖を拾おうと数歩進み・・・己の失敗を悟った。

足元に光る魔方陣、そこから伸びる光の触手・・・。

「捕縛結界!?」

光の触手に体を絡め取られたエヴァンジェリンは目を見開いた。
もともとつくっておいたであろう捕縛結界。
それより敵を前にして大胆にも杖をその捕縛結界にかけるためのおとりにした事に感心する。

「もう動けませんよエヴァンジェリンさんこれで僕の勝ちです!さあ、大人しく観念して悪い事ももうやめてくださいね!」

「やるなあぼうや。感心したよ。」

素直にエヴァンジェリンはネギに賛辞を送る。それは心からの言葉だがこんなもので終わっては面白くない。

「茶々丸。」

「はいマスター。結界解除プログラム始動。すみませんネギ先生・・・。」

茶々丸の耳の部分のアンテナが形を変え、チュイイイインと音を発する。

「15年の苦渋をなめた私がこの類の罠になんの対処もしていなかったと思うか?」

エヴァンジェリンの言葉の途中にも光の触手にはひびが入っていき・・・

「この通りだ。」

澄んだ音を立てて砕け散り、二人を結界から解放する。

「え、そんな・・・嘘!?」

慌て、戸惑うネギ。
エヴァンジェリンは科学の力らしいと解説しようとするがその言葉が茶々丸にさえぎられた。

「魔力波の接近を感知!!マスター、離脱します!!」

茶々丸は主を抱えて大きく後ろに跳ぶ。
先ほどまで自分達がいた付近に数発のエネルギー球がぶつかった。

「狙撃!?」

エヴァンジェリンが驚いたように叫ぶ。

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル・・・・」

聞こえてきたのはネギの声と始動キー。
自分達からネギから距離をとった、そしてネギも同時に距離を取っていたらしく距離が離れている。

「茶々丸!!」

エヴァンジェリンが名を呼ぶと茶々丸はネギとの距離を詰めるべく走っていく。
直後、自分の背後で聞こえる足音。エヴァンジェリンはぎょっとしてそちらを向いた。
視界に入ってきたのは神楽坂明日菜・・・。
ネギが心配でやってきたのかと思ったが彼女はなぜかハリセンを取り出した。

「は?」

戸惑いつつ、結界を展開するエヴァンジェリン。

「作戦・・・どーり!!」

叫びとともに振り切られた明日菜のハリセンは、エヴァンジェリンの強固な結界を打ち砕き彼女を吹き飛ばした。

「くっ、私の魔法障壁が!貴様いったい!!」

自分の障壁がハリセンごときに粉砕されることなどありえない。エヴァンジェリンは明日菜を睨むが、その耳にネギの声が届き慌てて高速で呪文の詠唱を開始しながら空に逃げた。

「『魔法の射手連弾・光の29矢!!』」

「くう!!」

飛んできた光の矢。
追尾してくるそれを呪文を唱えながら回避しようとするが光の矢は速く、近くまでせまられた。
ダメージを覚悟し、全力で結界を展開しようとしたエヴァンジェリン。だが、矢が届くより早く彼女の首もとが光り、着弾する矢を押し返した。

「・・・くそっ、一つ借りができてしまったな。」

首もとにネックレスのようにしておいたのは横島にもらった文珠。
それに『護』の文字が浮かび上がり、エヴァンジェリンを文字通り護っていた。
苦々しげな顔をし、橋を見るとネギと神楽坂明日菜、そしてそこに駆け寄るおこじょの姿があった。


「兄貴!魔法銃の弾が切れちまった!!それにあの茶々丸って奴、魔法銃使っても足止め程度にしかならなかったぜ。」

ネギと明日菜に駆け寄ったカモは叫んだ。

「うん、十分だったよカモ君。成功したと思ったんだけど・・・。」

「は、反則じゃないあそこまでうまくいって結局当たってないなんて!!」

作戦はこうだった。
まき絵がメッセージを届け、帰って行った後ネギは明日菜に電話し、準備をして昨夜用意しておいた荷物を持っておいてくれるよう頼む。
そして荷物を持った明日菜を召喚。これからどうするかを伝え、いくつかのマジックアイテムを渡してネギはエヴァンジェリンのもとへと行った。
明日菜とカモは決戦場にする予定の橋で待ち構える。
カモは牽制用の魔法銃を持って、明日菜は姿を隠せる魔法陣の中でじっとしていた。
そして飛んでくるネギ達。
捕縛結界で捕らえる事ができればOK、捕らえる事ができなければ隙をついてカモが発砲(しょせんおこじょなので全く照準があわないが牽制にはなる)して牽制、茶々丸がエヴァンジェリンから離れたら明日菜が飛び出して攻撃をするという寸法だ。

実際は捕縛結界で捕らえる事には成功したものの脱出された。
だがその時できた隙にカモが発砲して、茶々丸が離れたところで明日菜がエヴァンジェリンに攻撃。
ネギの方に走っていた茶々丸がエヴァンジェリンが攻撃されたのに気を取られたときにカモがひたすら銃撃、茶々丸に攻撃をされずに呪文を唱えきったネギがエヴァンジェリンに魔法の矢を放ったのだ。

明日菜とカモがいたために立てることのできた作戦・・・。
しかしそれも耐えしのがれた。

「どうする兄貴!!」

「どうするって、もう準備は・・・」

「ちょ、ちょっと・・・めちゃくちゃこっち睨んでるわよ。」

うろたえる三人。明日菜の言うとおりエヴァンジェリンは自らの眼下、すなわちこちらの方を睨んできている。
そしてエヴァンジェリンは茶々丸をともない橋に降りてきて怒鳴った。

「・・・なぜ貴様がここにいる!!」

「なぜ?この辺の警備をジジイに頼まれてたんだ。放っておこうと思ったんだが、ワクワクしてきてな。坊主、手を貸すぜ。嬢ちゃんちょっと代わってくれないか?」

伊達雪之丞はネギ達に話しかけながらも彼特有の好戦的な笑みを浮かべてエヴァンジェリンと茶々丸の方を見た。


雪之丞は初めて見るタイプの戦いに眼を見張っていた。

「これが魔法使い同士の戦いか・・・。」

破壊力のあるしかも誘導タイプの矢を数十発同時に放ち、何もない場所から氷をだして爆散させる。それを杖に乗ったネギは魔法銃で迎撃したりしつつこちらへ逃げてきた。
その後罠にはめ、捕らえたと思ったが破壊されてしまう。
だがその後おそらくネギが仕掛けていたであろう狙撃と少女の攻撃の二段構えの待ち伏せがあった。
さすがにこれはくらうだろうと思った魔法の矢はエヴァンジェリンをとらえることなく防がれた。

「・・・ありゃ文珠の結界だな。」

エヴァンジェリンは間違いなく追い詰められた。
喰らっていたとしても死なないだろうし、大したダメージじゃなかっただろう。しかし意図したかどうかはともかくここにいない人物の能力である文珠を使った。
エヴァンジェリンも苦々しい顔をしているところをみると不本意なのだろう。

「行くか・・・。」

橋ではネギと明日菜、カモが焦っているのがまるわかりだ。
予想以上の攻撃を受けたエヴァンジェリンが怒りのままにやり過ぎて明日菜が怪我したりするのはまずいだろう。
とりあえずエヴァンジェリンが落ち着くように話を持って行った方がいい。

・・・だがここまでは建前。
一番いいのは自分が明日菜と交代して戦闘に混ざる事。
これだけの祭り、自分が参加できればどれほど楽しいだろうか?

雪之丞は根っからの戦闘大好き人間だった。

「・・・なぜ貴様がここにいる!!」

騒ぎの中心に向かった雪之丞にかけられたエヴァンジェリンの怒鳴り声。

「なぜ?この辺の警備をジジイに頼まれてたんだ。放っておこうと思ったんだが、ワクワクしてきてな。坊主、手を貸すぜ。嬢ちゃんちょっと代わってくれないか?」

雪之丞はネギ達に話しかけながら好戦的な笑みを浮かべてエヴァンジェリンと茶々丸の方を見た。


エヴァンジェリンに浮かぶのは驚きと困惑。そして・・・

「ちっ、戦闘狂か・・・。茶々丸、奴の相手はできるか?」

「以前は五分程度でしたが、むこうも全力を出しては・・・!?伊達雪之丞より魔力を感知!!」

前回戦った時の事を分析する茶々丸は、雪之丞から魔力を感知して叫んだ。
その雪之丞は驚くネギ達の前で気合のこもった声をあげ、鎧のようなものに身をつつんだ。顔には黒いマスクのようなものがついている。
変身ヒーローのようなその姿にネギは格好いい!!と歓声をあげ、カモは喜び、明日菜は少し引き気味だ。

「あの鎧、霊力と魔力の混合物質で構成されているようです。」

「ちい!厄介な。」

雪之丞の大幅なパワーアップにエヴァンジェリンは舌打ちした。
茶々丸でも足止めが精一杯ではないのか?

「雪之丞さん凄く格好いいです!」

「ん?そうか?美しいか?」

キラキラと眼を輝かせて言うネギに煽てられ、調子に乗る雪之丞。

「はい!美しいです!!」

「ふはははは!!当然だ!俺は美しく、そして逞しい!!見ているかい?ママ〜〜〜!!」

空に向かい、雄たけびをあげる雪之丞。明日菜はすでにドン引きだ。

「・・・できれば戦いたくない相手です。」

「おまえもそう思うか?同感だ。」

心なしか嫌そうに言う茶々丸にエヴァンジェリンは同調する。

「マスター、時間の方が・・・。」

「ぬ?くそっ、あの馬鹿のせいで遊びの時間が減ったではないか。」

エヴァンジェリンからはさっき攻撃を喰らいかけた苛立ちや怒りが消えており、雪之丞は当初の建前上の目的は果たしたと言える。
・・・意識しているわけではないので褒めるべきかどうか微妙なところだが。

「ん?馬鹿?」

エヴァンジェリンは自分で言った馬鹿という言葉に何か思いついたようで笑いだした。

「ふははははは!!」

「な、なにがおかしいんですか!?」

ちょっと性格に不安を感じてしまったものの、雪之丞という援軍を得て百人力のネギはエヴァンジェリンに叫ぶ。

「ふん、そこの馬鹿が戦いに参加するというのなら最強馬鹿決定戦でもやってもらおうと思ってな!!こい!『召喚!エヴァンジェリンの従者、横島忠夫!!』」

「「「「なに!?」」」」

カードを取り出し、呪文を叫んだエヴァンジェリン。側の地面に光が溢れる。

ネギは困惑する。横島忠夫?雪之丞とピートの戦友、ネギも多少憧れているあの横島忠夫なのか?
カモは驚く。ネギに漢の道を指し示し、自分が尊敬する師匠であるあの横島忠夫なのか?
明日菜は不安になる。ネギが言うにはかなりの強さらしく、自分が会った時はなにやら意味深な事を言っていて感心させられたあの横島忠夫なのか?
そして雪之丞はため息をつく。あんな幼女の従者?もしや横島は守備範囲をあそこまで広げたのか?

そして光の場所に皆の予想通り、よく知っている人物が現れた。
黒髪、額に巻いたバンダナ・・・左手にはトランクス。


彼は、全裸だった・・・。

「な、なんで全裸!?」

ネギの中の憧れの横島がぐらついた。

「アナコンダー!!ま、益荒男・・・。まさに漢の中の漢!」

カモの中の尊敬の気持ちが別のベクトルに変化した。

「・・・どう突っ込めって言うんだよ。美神の旦那もいねえのに。最強馬鹿決定戦?そんなの勝てるわけねーじゃねーか。」

雪之丞は頭を抑えてうめいた。

雄三人組がそれぞれのリアクションを取る中、当然だが明日菜のリアクションは違っていた。
今までにない神速の踏み込み、そして視認不可能なほどのバックスイング・・・

「きゃああああああああ!!へんた〜〜〜い〜〜〜〜〜!!!!」

「のわあああああああ!!!!」

明日菜の感情の高ぶりとともに振り切られたのは、彼女の感情に呼応するかのように大刀に変化していた得物。
そして大刀は横島が差し出した棒状の物を消し去った。


横島はそろそろ寝ようかと思い、停電中なので体だけ洗って風呂を出た。
そして体を拭き、まずトランクスをはこうと手に取ったところで体を光がつつむ。
やばい!待ってくれ!!と思うも願いは届かず、横島は召喚されてしまった。

「な、なんで全裸!?」

ネギの驚いたような声が聞こえてくる。

「アナコンダー!!ま、益荒男・・・。まさに漢の中の漢!」

カモの尊敬の念が込められた声が聞こえてくる。

「・・・どう突っ込めって言うんだよ。美神の旦那もいねえのに。最強馬鹿決定戦?そんなの勝てるわけねーじゃねーか。」

雪之丞の諦めの声が聞こえてくる。

だが横島はそれどころではない。
近くであわあわと真っ赤になってうろたえているエヴァンジェリンとその横でフリーズしたようになっている茶々丸を気にする余裕もない。

視界に映るのは神速の踏み込み、そして視認不可能なほどのバックスイング・・・

「きゃああああああああ!!へんた〜〜〜い〜〜〜〜〜!!!!」

「のわあああああああ!!!!」

横島は叫びながら後ろにとびのいた。

「あ、危ねえ。ちょん切られるところだった・・・。」

冷や汗を流す横島。
大刀の軌跡からいって下手をしたら己のジュニアとお別れになるところだった。

そこで彼は違和感に気付く。

「・・・霊波刀が。」

人狼族に伝わる刀、八房でも切れなかった横島の霊波刀。
銃弾すら弾いた横島の霊波刀。
メドーサの槍でも、小竜姫の神剣でも、猿神の如意棒でも吹き飛ばされはしても破壊はされなかった霊波刀が・・・

「消えた?」

大刀が当たったところから先がなくなっていた。
大刀をふるった少女をみると真っ赤な顔をして肩で息をしている。
そしていつの間にか大刀はハリセンになっていた。あの少女はネギのパートナー。と、するとあの大刀、ハリセンはアーティファクト?

「・・・横島、考えるのは結構だがその格好でシリアスは不可能だ。その左手に持っているものでその汚いものを隠せ。」

「え?おわ!?」

エヴァンジェリンの言葉に慌ててトランクスをはく横島。

「それにしても何で全裸だったんだ?」

「ああ、風呂はいって寝ようと思っててさ。丁度風呂上りだったんだ。エヴァちゃん、
突然の呼び出しは困るぜ。」

雪之丞の質問に答え、やれやれというふうにエヴァンジェリンに言う。

「知るか!私の従者ならば私が呼ぶ時はしっかり正装で待機しているものだ!!」

うがーっと理不尽な事を叫ぶエヴァンジェリン。
さすがの彼女も自信満々に呼び出した従者がアナコンダ丸出しでは冷静にはなれないらしい。

「それにしてもあの大刀、いや今はハリセンか。あれってアーティファクト?俺の霊波刀が消えちまったぜ。」

横島はいったん霊波刀を消して、再展開する。淡いグリーンの刀身が出て、消えたのは一時的なものだと分かった。

「ああ、アーティファクトだな。ハリセンとは間抜けだが何か特殊能力がある。」

「・・・特殊能力?振った時だけ大刀になるとか?」

「私に振るわれた時はハリセンだった。」

「なら、股間を狙った時だけ大刀になってちょん切ろうとする特殊能力とかか?アーティファクトの名前はチョンギリマル!!」

なんて恐ろしい!!と叫ぶ横島は股間を押さえ、後ずさる。これで真面目に言っているのだからすごい。
だがアホな事を信じたアホもいた。

「あぶぶぶぶ・・・。」

「ま、まさか姐さんのアーティファクトがそんな凶悪なものだとは!!アーティファクトはその人の特性や潜在能力を考慮してその人に合ったものがでるというが・・・。」

「どんな潜在能力よ!!」

ちょん切られるシーンを想像したのか股間を押さえ、真っ青になるネギとずりずりと下がっていくカモに明日菜は突っ込んだ。

「・・・あいつのアホな発言にいちいち反応するな。疲れるだけだぞ。」

雪之丞が三人に忠告する。だがその腰は少し引き気味だ。彼も想像してしまったのだろう。

そんな敵方は気にせず横島はエヴァンジェリンと会話を続ける。

「で、なんで俺が呼ばれたんだ?基本的に手出し無用って言っていたのに。」

「その基本が崩れた。おまえの戦闘狂な友人が参加したいそうだ。私が本気を出せば蹴散らせるが、それは大人げない。ぼうやの力はある程度確認した。
時間が来る前に、ぼうやの子供が考えたとは思えない見事な戦術に敬意を表して望みどおり一対一の戦いをしてやろうと思ってな。」

「げっ!ていうことは俺に雪之丞と戦えっていうんか?あんな戦い大好き戦闘民族と戦いたくないわい!!」

「・・・私達も嫌だという結論がでたのだ。なあ茶々丸。」

「はい、マスター。」

素晴らしい連携をみせる主従。

「へえ、横島てめえが相手してくれるのか?そういや最近やってなかったな・・・。楽しみだぜ。今度は見た目ガキなエヴァンジェリンの従者になったのか?美神の旦那はなんていうかなあ。」

ニヤリと笑って前に進み出る雪之丞。すでになるべく手出し無用などという近右衛門からの注意は彼の頭には残ってない。
そして黙っていられない男がもう一人いた。

「よ、横島さん!横島さんは・・・前言っていた守る覚悟をしたからそこにいるんですか!?」

「は?」

横島はネギと前会話した事を思い出した。
(そういや美神さんの身体を傷物にしないために守るための覚悟って言ったな〜。)

そしてちらりとエヴァンジェリンと茶々丸を見る。
(エヴァちゃんはなんだかんだ言って封印がとけたら美女なんだよな。サービスしてくれるっていうし。大丈夫だと思うけどあの戦闘馬鹿がやり過ぎてしまったら大人バージョンの時身体に傷が・・・。)
エヴァンジェリンに騙されたままの横島。エヴァンジェリン自身封印がとけたら大人になるなどと騙した事など忘れている。
そして横島は真祖の吸血鬼の凄まじい再生能力なども知らない。

(茶々丸ちゃんには人類の夢と希望が・・・。もしあの戦闘馬鹿がやり過ぎてしまってデータがとんだら大変や。)
ハカセに聞いた茶々丸の可能性に思いをはせる横島。

最後にはなんだかんだ言っても雪之丞が相手なら手の内も知っているし、向こうもさすがに殺しには来ないだろうと考えて横島は決断した。

「・・・ああ、ネギ。この二人を傷つけるわけにはいかない。」

「「「「な!?」」」」

驚きの声を上げるネギ、カモ、明日菜、雪之丞。
ネギは己も横島と敵対する覚悟を決めるべく大きく息をはいた。
カモは横島の守備範囲の広さに驚愕し、「エリア51!?」と叫ぶ。
明日菜はまさかエヴァンジェリンと横島がそういう関係だったとは!?と頬を赤くする。
雪之丞は横島がついにそっち(ロリコン)の道を突っ走り始めたのか?やはり毎晩別荘とやらでいたぶられていたのがまずかったか?と友の変わりように若干引いた。

だが一番うろたえているのはエヴァンジェリンだ。ちなみに茶々丸はフリーズしている。

「な、うあ・・・よ、横島おまえ・・・。」

「ああ。そういうわけで雪之丞の相手は俺がするから。まあちゃちゃっと終わらしてくれよ。時間がないんだろ?」

そう言って横島はエヴァンジェリンの頭をぽんぽんとなでた。

「さて雪之丞、そういうわけでおまえの相手は俺だ。・・・手加減してくれよ。」

「・・・横島、友として貴様を修正してやるぜ!!」

雪之丞は拳を振りかぶり横島との距離を一気に詰め、横島は栄光の手を篭手状にしてそれを迎え撃った。


二つの始動キーと魔法が唱えられ頭上で魔法のぶつかり合いが起こる中、雪之丞は拳をふるい、足をふるい自分の友を追っていた。

「この!逃げんな!!」

「逃げるわアホ!!」

雪之丞の苛烈な攻撃を横島はかわし、避け、いなしながら逃げる。
この二人の戦いはいつもこうだ。
雪之丞が積極的に攻撃をして横島はそれから逃げに逃げ、そして隙を見つけて栄光の手で攻撃をし、文珠を使って戦況の打開をはかる。

「うおらああああああああ!!」

「のわあああああああああ!!」

茶々丸と明日菜が別の場所でデコピンのやりあいをしているのを見て攻撃に巻き込む事はないだろうと思った雪之丞は霊波砲を大量に横島に打ち込む。
叫びながら右手の栄光の手、左手に出したサイキックソーサーで弾く横島。
その動きは素早い。間抜けな叫び声がなかったら、トランクス一丁でなかったら少しは格好良く見えるかもしれない。

雪之丞は横島が文珠を使う暇がないようにさらに霊波砲の回転を上げる。

「ぬおおおおおおう!!死ぬ、死ぬ・・・ってあれ?」

回転が上がり、防ぐのも難しいであろう雪之丞の霊波砲。だがそれは横島の声とともに余裕を持って弾かれ始める。

「文珠か!?いやそんな暇は与えてない・・・。」

驚く雪之丞の放つ霊波砲のぺースが落ちた。そしてそれは今の横島には絶好の隙。

近づいてくる霊波砲のうち命中しそうなものを全て叩き落しその場から離脱。
そして思い出したように『アデアット!!』と唱える。雪之丞は文珠を使わせるかとばかりに多くの霊力を注いで巨大な霊波砲を放った。
その霊波砲は雪之丞の視界を覆う事になり、トランクス一丁だった横島の身体に装着されたアーマーと黒いマント、額についたバイザーに気付く事はできなかった。
横島は巨大な霊波砲をかわすべく、上空へ飛んだ。

アーティファクトのマントの力、これは空を飛ぶ事が出来る。他にも防御力が上がったりといい事ずくめであるが、エヴァンジェリンも見た事が無いものらしく他にどの様な力があるのか?ただ飛べるだけなのか?など、まだ謎な代物だ。
だが今はこれは大きなアドバンテージとなる。雪之丞は横島のアーティファクトの事、空を飛べる事を知らない。
横島は文珠を取り出して上空から一気に雪之丞に向けて降下、文珠をぶつけた。

「なに!?」

『縛』の文字がいれられた文珠が光り、雪之丞の身体が動かなくなる。

「ふう、残念だったな雪之丞。切り札の差だ。」

「・・・てめえなんだそのコスチュームは。それに途中でスピードが上がったの、ありゃなんだ?文珠を使う暇はなかったはずだぞ。」

「ふっふっふ、秘密だ!」

横島は偉そうに腰に手を当てて言うとスピードが上がった原因がいるである方を見た。
(エヴァちゃんの『契約執行』か。もう少し遅かったら危なかった。)

横島が眼をやった方向では、全裸になったエヴァンジェリンがネギと睨み合っていた。

「いけないマスター!戻って!!予定より7分27秒も停電の復旧が早い!!」

茶々丸の叫び声が響き、学園都市に光が戻っていく。

「きゃんっ!!」

小さな身体を弓なりにしてエヴァンジェリンは落下していく。

慌てて飛び出す茶々丸とネギ。
だが位置的には一番横島が近かった。

「よっ、と。ようエヴァちゃん。素っ裸にむかれたって事は撃ち負けたのか?」

「う、五月蝿い!!撃ちあいの途中に貴様への魔力供給、そしてその時にぼうやがくしゃみなんぞをするからだ。間が悪かっただけだ!!」

飛んでいる横島にお姫様抱っこされながら叫ぶエヴァンジェリン。
ネギと茶々丸はエヴァンジェリンが無事なのを見てホッとする。

「さて、まだやるのか?」

横島は橋に立つとエヴァンジェリンをおろし、自分のアーティファクトであるマントを羽織らせてから誰ともなしにたずねた。

ネギは慌てて状況を見る。
自分達はほぼ無傷だが魔力が尽きかけている自分と明日菜。雪之丞は動けない様で悔しそうにしている。
そして相手には封印が戻ったエヴァンジェリン、そして無傷な茶々丸、トランクス一丁からなにやら硬そうなプロテクターを身につけた姿になっている横島。

「うう・・・。」

雪之丞がいない分自分達が不利だと悟り、うめくネギ。
エヴァンジェリンは何も言わずネギ達を睨んでいる。
そこに、この場にいる誰のものでもない男の声が響いた。

「はい、とりあえずそこまででしょう?」

「ピ、ピートさん!」

復活した街の明かりに照らされつつ空を飛んで現れたのはピート。
・・・なぜか右手にはビデオカメラを装備。

「魔法での打ち合い。試すようにわざわざ相手の魔法に合わせたと言っても競り負けたんでしょう?十分だと思いますけど。」

ピートはエヴァンジェリンに向けて言っているらしい。
それを聞いてネギが色めき立つ。

「え?じゃあ僕の勝ち!?やったー!!これでもう悪い事をやめて授業にもしっかり出て下さいね!」

はしゃぐネギに少しむっとするエヴァンジェリンだったがピートの言っている事は事実。
しかも当初のネギを試すという目的はとりあえず達している。

「・・・わかったよ。今日はこれで終わりだ。」

「やったー!!よーし、名簿の所に『僕が勝った』と書いとこ。」

ネギはエヴァンジェリンの終戦宣言?を聞いて喜び、どこからか名簿を取り出して何か書き始めた。

「何するんだ貴様やめろ!!」

「えー、だって。」

「停電が続いていれば絶対私が勝っていたんだよ!!」

ギャーギャー騒ぎ始めるネギとエヴァンジェリン。

「えーと、仲直りってことでいいの?」

「・・・どうなんでしょうか?」

明日菜が茶々丸にたずね、茶々丸は微笑を浮かべて首を傾げた。
先ほどまで敵対していたとは思えないほどほのぼのとした空気が流れる。

「で、おまえはなんでこんなとこにいるんだ?」

「ええ、一応今回の戦闘の記録の収集とそれからまずい事が起こらないように監視を頼まれたんですよ。
・・・もっとも、雪之丞が乱入しなかったらもっとすんなり収集がついたかもしれませんけどね。」

横島の問いかけに頭が痛いと言うように額を押さえるピート。
それは横島も同感だ。雪之丞が参戦せねば自分は参加せずにすんだだろうに・・・。

「あ、そうだ。今回頼まれたことの報酬が結構なものでしたからね、横島さんが欲しがっていたDVDプレーヤー買えますよ。」

「うそ!マジ?これでエロDVDを観賞できる!!」

横島とピートの会話を聞いていないネギはまき絵たちを治しに行かなければと歩き出す。
エヴァンジェリンはそれに文句を言うために後を追った。

「・・・僕らも行きますか?もう敵対する理由もないんでしょう?」

ピートの問いに明日菜と茶々丸は顔を見合わせてうなずき、横島はやれやれやっと寝むれるとばかりにのびをした。
四人と一匹は先を進む背の低い二人組みの後を追いかけてゆっくりと歩き出した。


「・・・それで、俺は放置か?」

置き忘れられた雪之丞が橋の上でポツリとつぶやいた・・・。


あとがき
こんな感じでVSエヴァンジェリン終了です。
このネギ側雪之丞VSエヴァ側横島のために横島とネギ達の接触を控えてきた次第です。
横島への幻想が一気にぐらつく一戦。今後は横島とネギや明日菜が絡む事ができます。


レス返しです。感想ありがとうございます。

>遊鬼さん
ユッキーとピートの価値観はあんな感じかな〜と妄想です。
今回絡んできたのは雪之丞、そして強制的に横島ですw

>ヴァイゼさん
今回ほんのり茶々丸フラグ(笑
確かに横島と茶々丸のフラグ立つ作品は少ないですね。やはり原作でネギとフラグたつキャラはなかなか横島とのフラグに持っていきにくいのでは・・・。
成長して仲間の動きを含めて戦術を立てたネギ。いかがでしたでしょうか?
・・・横島はシリアスありませんでしたがw

>twilightさん
刹那の出番は増やしたいんですが・・・まあ京都に行ったらせっちゃんはレギュラーですし!
それにネギと雪之丞のフラグもたちますw
今回はクロスならではの意外な展開だったでしょうか?(汗

>鋼鉄の騎士さん
派手な戦闘は結構短く終わってしまいました(涙
横島がフラグを進行させてチョンギリマルにやられかけるの回ですw
ゴスロリ剣士のフラグですか〜。個人的にゴスロリ剣士は刹那といい感じに絡んでほし・・・(笑

>六彦さん
楓の「胸を・・・でござるか?」は少し自分でもいいネタ!!って思いました(意外と反響少ないのが残念です)(涙
ピートが目指しているものはAAAに似ていなくもないですよね。これからも使えそうな・・・。
横島、ピートはこんな感じで関与しました。
素っ裸で呼ばれる横島と近右衛門に頼まれて撮影しているピート。

>八雲さん
ちょくちょく伝説を作る横島。彼ならば麻帆良七不思議に食い込んでくれるんじゃないかと・・・。
今回の横島の奇行はある意味エヴァンジェリンのせいですw
おかげでネギ達の評価に変化が・・・。あ、カモの評価はUPです。命名「アナコンダ」(笑

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