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「妖使い!?横島の生活! 第十一話〜ちょっと休憩、海辺の子猫〜(GS+おまもりひまり)」

ハルにゃん (2007-02-08 14:33)
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あの除霊実習から数日がすぎた。
その間に横島は緋鞠にかせられた素振り5000回をヘトヘトになりながらもなんとかこなし、日に日に難しくなっていく除霊実習をもこなしてきた。(と言ってもまだまだ基礎訓練なのだが)
そして今日も今日とて学校が終わると直行で美神除霊事務所へと向かっていく。

「おはよーございますー……」

「おはよ…うわっ!」

「ど、どうしたんですか横島さん?今にも死にそうな顔してますよ?学校が大変だったんですか?」

「いやぁ、今日の授業は霊力開放の練習だったんスけど……」

霊力開放の練習とは六道学園霊能科の一年生の基礎、バスケットボールで言えばドリブルだ。
瞑想して霊力をチャクラ、すなわち霊力中枢を通して全身に廻す。
言うのは簡単だがそうそうできるものではない。特に横島のように自分の霊力自体を認識する事すらわからないドシロウトにとっては。
だがそんな事でここまで疲れきっている訳でもない。
ではなぜか?答えは簡単。六道学園から事務所までランニングという名の全力疾走をしてきたからだ。

「ひぃ、ひぃ、緋鞠がこれも修行のうち。とか言いやがって……」

「食う事は才能、走る事は全ての基本であろう?」

どこのスポコンだ……。
とまぁそういう訳で横島は死にそうになっているのだ。

「うわぁ…あっ、私お茶入れてきますね?」

「あ、おキヌちゃん、私コーヒーね」

「は〜い」

そう言っておキヌちゃんは台所へ向かっていく。
幽霊なので走れないおキヌちゃんには全力疾走の辛さはもう忘れてしまったが横島の顔を見れば相当のものだとわかる。
というか死人であるはずのおキヌちゃんの方がよほど生き生きしている……
横島はおキヌちゃんが持ってきてくれた麦茶を飲んで少しは落ち着いた。

「それで霊力開放の方は少しはできるようになったの?」

「う〜む、さっぱりじゃな」

そう言って緋鞠はズズーっとお茶を飲む。
緋鞠の言う通り横島の霊力の開放は全然上手くいかない。
集中しろ集中しろと口をすっぱくして言っているのだが横島はあっちにフラフラこっちにフラフラで全然集中できていないのだ。

「しゃーないやんか!あっちもこっちもブルマー姿のじょしこーせーがわんさか!!見るなっちゅーのが無理な話しじゃい!」

横島くん逆ギレだ。

「こ…こいつは」

「ぶるまぁ?」

「あちこち見ずに私だけを見ておればよかろう!?」

緋鞠の集中しろにはそういう意味も含まれていたらしい。
まぁその辺の話しは学校編でやるとして。
今日からは事前に比較的大きな仕事があると伝えられている。

「それで今日の仕事はなんなんですか?」

「今日からプールに出る幽霊の退治よ」


人工の波に、人工の砂浜、ナイター設備完備の世界最大級レジャープール。今日の除霊現場だ。
この仕事は幽霊が現れるまで忍耐強く待つ必要があるので横島は学校へ除霊作業と言って休みを貰っている。
六道学園霊能科の生徒はGSの仕事ならば公休扱いになるのだ。
そして幽霊が現れるまで各自、自由行動になり、二日がすぎた。

『ヘイ!彼女達、ボクらと一緒に上腕二等筋を鍛えないか〜い』

「「………」」

さっきから美神と緋鞠はナンパされっぱなしだ。
美神は切れ込みの激しいワンピース。(作者は女性の水着に詳しくないので原作そのまんまだと思っていただければ良いだろう)
そして緋鞠は布地が極端に少ないビキニ、ローライズだ。納まりきらない豊満なバストが実に悩ましい。
そんな美女、美少女が揃って歩いていればパワーは2倍どころか2乗以上むしろ異常、ナンパ責めは当然と言えよう。
しかし二人とも並み居る男達に全く関心を持たずに通り過ぎていく。

「まったく、今時マッチョは流行らないわよ」

「不自然にテカテカで気持ち悪いのじゃ…」

どうやらお二人は男の肉に興味はないらしい。

「さて、若殿はどうしておるかのう?」

プールに来て横島がする事など一つしかない。
泳ぐ?修行?もちろん違う。

「やはッ!ボクは横島忠夫、キミ、髪が綺麗だって言われない!?良かったら一緒に夕日の見えるコテージで二人のこれからについて話し合わないかい!?」

『ぷっ、やだぁ〜』

『うっさい、どっか行け』

『三万出すなら付き合ったげる。え、ない?出直してきな』

………お気の毒すぎてかける言葉が見つからない。

「ま、また失敗…くそぉ!俺の何があかんのや!!」

わざとらしい日焼けととってつけたような筋肉…知り合って茶ァしばいてすっかりお友達…女は女で軽いったらない!そんなに筋肉が良いんか!?

「うがぁ!!!」

「きゃあ!だ、大丈夫ですか?横島さん…」

「お、おキヌちゃん?」

あまりにも痛々しいので寄ってきてくれたようだ。

「合計40人にフられたくらいでそんなに気を落とさないでください」

がーーん!

「よ、よんじうにん……おキヌちゃん数えてたの…?」

おキヌちゃんは慰めているつもりでも自分のモテないっぷりを再認識させられ、横島はますますヘコむ。まったくここでなぜおキヌちゃんが数えていたのか?とかの疑問を持てば新しいドラマが生まれていたかもしれないものを……。

「お〜い、そこの貧弱な坊や!」

「誰が貧弱な坊ややねん!!」

「今日も幽霊出そうにないから私先にホテルに戻ってるわね」

叫ぶ横島をさらりと無視してナンパ野郎追い払うのに疲れちゃったと言って美神は一足先に戻っていった。
あとは遊ぶなり休むなり好きにしろという事だろう。

「若殿、私はあのソーセージを食べたいのじゃ」

どうやら休むという選択肢は消えたようだ。

「そうだな、小腹も空いたし食いに行くか。おキヌちゃんはどうする?」

「あっ、私は美神さんについてます」

そう言っておキヌちゃんは美神を追い掛けて行く。それを見送ると、とりあえず横島と緋鞠は適当なフランクフルトの屋台へと向かっていった。

『へい、お待ち!焼きたてだから気をつけて食いねぇ!』

鉢巻きを巻いてやたら日焼けした坊主頭の屋台のおやじにフランクフルトを2本頼み、しばらくすると注文したものが出てくる。キラリと光る白い歯が眩しいぜ。

「ほいよ、ケチャップとマスタード付けて食うと美味いぞ、そのままでもいけるけどな」

「うむ、かたじけない」

そう言って緋鞠は受け取ったフランクフルトにケチャップとマスタードをたっぷりと塗り込むと、おもむろにかじりついた……

「に゛ャ!!」

と思ったら口に入れた瞬間に奇妙な奇声を上げる。
どうやら熱かったようだ。隠していたしっぽの毛が針金のように逆立っている。ネコはやっぱり猫舌らしい。

「あ〜あ、屋台のおっちゃんが熱いから気をつけろって言ってただろ?冷めるまで待てよ」

「わ、わかっておる、今のはちょっと油断しただけじゃ!ふぅふぅすればこれくらい大丈夫じゃ!」

しかし焼きたてのフランクフルトは思ったよりも冷めづらく、口を付けてはビクッとして慌てて放すという行為を繰り返す。

「はふはふ、あつ!はふ…にゃッ!」

(ぷっ、くくく。ホントこいつ見てると飽きねぇな〜なんかフランクフルトにキスしてるみたいでほほえまし…?…つかこれエロくね?)
そう思い、改めてフランクフルトに悪戦苦闘している緋鞠を観察してみる。

ふぅふぅ、かぷ。

「みゃ!こ、これはなかなかしぶとい!」

(しぶといの!?)

「うぅ、せめてケチャップの味だけでも…」

ふぅふぅ、ぺろぺろ、ぺろぺろ。

(ああッ!そんな舐め上げるように!?)

「うむ、フランクフルトの肉汁がケチャップにマッチしておる、実に美味じゃ」

(肉汁がッ!?)

「むっ、そろそろかのう?」

(うぉぉぉ!俺のフランクフルトもそろそろ……)

がぶッ!

「痛て!!!」

「な、なんじゃ!?」

緋鞠が調度良く冷めてきたフランクフルトに噛り付くとそれまで何やら前かがみになって悶えていた横島が跳ね起きる、どういう訳か青ざめている。大方、噛み付かれた想像でもしてしまったのだろう。なにを?とは聞かない方が良いに違いない。

「あ、あははははは!よし、緋鞠次は何食いたい?奢っちゃうぜ!!?」

「……?じゃ、じゃあ次はあの”ちょこばなな”とやらを」

「また棒状のもんかよ!!!」

まぁ、”あいすきゃんでぃー”じゃないだけマシだと思ってくれ……。
そのあとも砂浜で緋鞠がお城…というか要塞を作ったり、横島がフジツボを非常食としてお持ち帰りしようとして止められたりするほほえましいやり取りをしているうちに依頼の幽霊が出ないまま二日目の夕暮れ時が来てしまった。
昼間はあれだけ賑わっていた海辺にも今は帰り支度をする人達ばかりで静かなものだ。
横島達もじゅうぶん遊んだのでそろそろホテルへ帰ろうとする。

「今日も幽霊出なかったなぁ」

「何事も根気よく待つ事が大事じゃ。焦るでない若殿」

「ん〜まぁ俺は除霊なんかするよりこのままお前と遊んでたいけどな」

「そ、そうか?私などと遊んでも楽しくなかろう…ってそれでは修行にならぬではないか!」

「わ、わかってるよ。でもお前と遊ぶの楽しかったぞ?いろんな意味で……」

緋鞠としてはいろんな意味での部分を詳しく問い質したいところではあるが、なんだか嬉しい事も言ってくれたので不問に付す。
そんな事を話しながら歩いていると前から若い男女が歩いてきた。
背は小さいが出るところは出ているツインテールでやたら目つきの悪い女の方が、なんだか優柔不断そうというかヘタレそうというか、とにかくこれといって特徴のない男の腕に引っ付いているところを見るとカップルだろう。

『さっきのちっちゃい娘凄かったな〜?罰ゲームかなにかかな?』

『かき氷16杯も食べるなんて人間技じゃないわさ』

楽しそうに話しながら通り過ぎていく。

「けっ!バカップルが、腕なんか組みやがって親の顔が見てみたいぜ」

元々カップル嫌いな横島は昼間のナンパ40連敗のせいもあり、いつも以上に毒づく。それでも相手に聞こえない程度の声で言うのだから器用というか小心者というか……だって女の方怒られると…いや怒らせなくても怖そうだし……。
その姿を見た緋鞠はさっきのバカップルよろしく横島の腕に抱き着く。

「うぉ!なんだ緋鞠?」

「これなら文句はありまい?こんなに見目好い女子(おなご)が傍におるのじゃ。これからは無駄な”なんぱ”などせずに私を見ておれば良い」

「無駄とか言うなッ!!!」

怒って拗ねて泣きかける横島だがその表情はむしろ嬉しそうに緩んでいる。
そうだな。緋鞠だけを見ているのも悪くないかもしれないな。

そう思った舌の根も渇かぬうちにホテルに戻った時、美神の湯上がりバスローブ姿を目撃して我を忘れたりするのだがそれはまた別のお話だ。

今日は一歩前進した。それで良いのじゃ。


とぅーびーこんてぃにゅー


あとがき
こんにちわハルにゃんです。
さて今回から3回くらいお仕事編が続きます、なにぶん2月は忙しいのでそんなに頻繁には更新できないと思うのですが暖か〜く見守ってくださると嬉しいです。
ではレス返しです。

○February様
レスありがとうございます。
<霊波砲の連続撃ちは蒼○様と言うよりベジータ
おおう!確かに!しかも技の効果的には回転○舞というより九頭○閃ですからね……。
最後に誤字報告ありがとうございます、修正しておきました。

○山の影様
レスありがとうございます。
確かに横島情けないですね〜そろそろ鬼斬り役の片鱗を見せたいところなのですが弓さん相手にはどう考えても発現しないだろうと思い次に持越しです。
清水久の方は原作通りにはいきません、GS事務所にカチ込みかけるなんて自殺行為ですからww
これは作者の腕の見せどころですね(がんばります(汗)

レス返し終了です。

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