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▽レス始

「.hack//intervention 第3話(.hackシリーズ+オリジナル)」

ジョヌ夫 (2007-02-08 07:03/2007-02-08 18:02)
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放浪AIシェリルが俺のパートナー(?)になってから1ヶ月程。

ようやく『The World』が世界中に発表された。
外部の情報無しにそれが分かった理由は、その日を切欠に至る場所で他のPC達に出会うようになったから。

その日から俺は毎日のように“エリア行商人”として仕事に東奔西走することに。
また、それだけではなく約束した通りシェリルと冒険したり、色々教えたりもしている。


片や現実世界では、そろそろ大学のテスト期間で大忙し。

片や『The World』ではシェリルとの付き合いや仕事で大忙し。


夢から現実に戻った時に身体的な疲れが出ないのがせめてもの救いだった。


.hack//intervention 『第3話 誇大広告なんて大嫌い』


それから更に2ヶ月程。

俺は相変わらずエリア行商人を続けていたんだが……


「クククククッ! 初心者ちゃんはおとなしく狩られてりゃいいんだよ……」

「そーそー。だいじょ〜ぶ、お嬢ちゃん達は可愛いから一瞬で終わらせてやるってッ!」

「ちょ、ちょっと何なのよ、アンタ達ッ!!」

「……い、いや……」


えっと、とりあえず現在の状況を説明しよう。

今居るのは、とあるダンジョンの中。

俺はいつも通りシェリルと一緒に行商人の仕事をしようと歩き回っていた。
まあシェリルは歩くというより俺の周りで浮かんでるんだけど、どうでもいいことだよな?

すると『不良に絡まれたか弱き女性達ver.The World』な展開が繰り広げられていたのだ。
どうやらまたPK(プレイヤーキラー)、つまりPCがPCを殺そうとする場面に出くわしてしまったらしい。


…………そう、また。


この『The World』が始まってからわずか2ヶ月。
それにも関わらずPKは増える一方らしく、こういう出会いの機会も結構増え続けている。
全く、本当に困ったもんだ。


(ま、同時にチャンスでもあるんだけどね〜)


PKから守ってあげる代わりに情報を提供してもらう。
この場合はこっちのアイテムもあげる必要もないし、俺に感謝して俺やシェリルの秘密は絶対に守ってくれるから一石二鳥。
相手の心を利用していると蔑まれそうだが、実際その通りなんだから別に構いはしない。取引なんだから。

更に、既に今のレベルは32。この時期では上級のレベルだし、そもそも体力は無限だから絶対死なない。
そして俺のバグPCには最近新たに気づいた他との特異点もあるからほとんどの場合余裕で対応できる。

他のPC達と話しているうちに知ったことなんだが、俺以外のPCには相手の体力が見えないとのこと。
つまり相手は幾ら斬られても死なない俺のことを高レベルと勘違いしてくれるし、逆に俺は相手の具体的な数値が分かるから対応もしやすい。

これもまた一石二鳥なり。


…………っと悪い、そろそろPKが動き出すから残りの説明は後で。


「はいはいはぁ〜い、そこのお2人さん?」


俺は、殺伐とした雰囲気をぶち壊すように軽い口調で一団に話しかける。

んで、


「ああッ!? 今取り込み中なんだから失せろボケッ!」


俺の声に苛立ったPK達がこっちを振り返るのもいつも通り。勿論、無視。
何つーか攻撃したきゃ勝手にしてって感じ?


「いやいや、アンタ等みたいな量産型雑魚には興味ないの。
 それよりそこのお嬢さん達、何やらお困りのようだけど取引しない?」


いきなりの状況変化についていけてないのか被害者、いやお客様となる女性PC達は唖然とした表情でこっちを見つめている。
……どうしてゲームの中の癖にそんな表情が出来るのかは俺も知らない。知る必要も無い。

それはともかく、あんまり時間かけたくないからさっさと用件だけ伝えちゃうとしよう。


「君達はそこのPK共に襲われて大ピンチ、このままではセーブしたところまで戻ってしまう。
 そこで俺が助けてあげるかわりに、こっちのお願いも聞いて貰おうってわけ。別に難しいことじゃないから安心して」

「あの……」

「ん? 何?」


意外にも襲われていた時に気丈に振舞っていた小柄の少女剣士ではなく、震えていた女性呪紋使いの方が話しかけてきた。

何気に挙手までするという細かい芸まで披露しているのもなかなか。
…………どうやってるのかマジで気になるが気にしちゃいけない。仕様だ、仕様。


「もしかして、お願いってBBSの情報とか……ですか?」

「別にBBSと決まってるわけじゃないけど、もう知られてるんだ? 
 いやはや、こんなに早く有名になるなんて……」


まさかわずか2ヶ月で、俺のことを知っているPCが出てくるとは思わなかったな。
これからは少し自粛した方がいいかもしれない。あまり早い段階で有名になりすぎると動きづらくなる。


でもそこまで分かってくれてるんだったら話は早い。


「私がこのゲームを始めて1週間になるんですけど、始めた頃からずっと結構BBSで話題になっています……」

「へぇ〜、どんな話題?」


(“初心者に優しい行商人”とか“弱きを助け強きを挫く行商人”とかだったりしてな〜)


何せ今までやってきたことは、一切の違法無しでの行為。
PKだって倒すどころか攻撃だって碌にしたことがない。大抵の場合、無限の体力のおかげでレベルを勘違いしてくれるから。
ちょっと脅せば皆すぐに逃げてくれる。

よって今のところは俺自身やシェリルの存在以外にルール違反はしていない。
それだって俺は完全にフードで顔を隠しているし、シェリルは俺以外の前ではほとんど背中に隠れているから大丈夫な筈。


だから結構呑気に構えていたんだが……


「えっと確か……通称“偏欲の咎狩人(へんよくのとがりびと)”。
 名前・レベル・クラスその他全てのデータを誰も知らずルートタウンで見かけた者は1人も居ない。
 常に黒いローブで身を隠し、傍には必ず謎の黒い幽霊少女が浮かんでいる。
 主に初級〜中級のエリアに出没、出会った初心者PCに高レベルなアイテムをあげる割にトレード条件はBBSの書き込みなどの誰でも分かる情報がほとんど。
 そして…………同時に初心者を狙うPKを30以上殺し続けているPKK(プレイヤーキラーキラー)でもあるって……」

「あ、それならアタシも見たことあるッ! 最近BBSでかなり話題になってるっけ?」


……………………はいぃ〜ッ!? それ、誰のことよ?

いや途中までは分かる。というかほぼ正確な情報だろう……すんげームカつく通称以外は。
大体さ“偏欲”ってどゆこと? 付けた奴誰よ?  

でもって、PKKとは何じゃらほい。
俺、自慢じゃないけどまだ1人のPCにも傷はつけてないですよ?
どうしていつの間にか犯罪者チックになってるんだよ。


というかそれ以前に、秘密を守って貰う為のトレードが全く意味を成していない。約束が違うじゃんッ!


ふとさっきまでいた筈のPK達の方を見たら…………既に誰も居なかった。
もしかすると噂にビビッて逃げたしたのかもしれない。が、もはやどうでもいい。


「……あ〜その情報、いつ頃からBBSに載ってた?」

「あ、ちょっと待ってください…………今から2日前ですね」

「……んじゃ、それからどれくらい書き込まれてる?」

「アタシも見てみよっと…………うっわ、こりゃすごい。
 目撃情報が山程、やられたPKとかも馬鹿みたいに自分で書き込みしてるし……」


誰がやってもないことを目撃したっちゅーねん。もうわけ分からん。


(こりゃ本格的にあそこに篭った方がいいかもしれないな……)


あそこ、とはバグPCである俺やシェリルがシステム管理者から逃げる為の避難所。
そこはシステム管理者もそう簡単には見つけられない場所だろうから、隠れるには最適なのだ。
尤も、同時に情報も手に入らなくなってしまうんだが。


よし決定、しばらくは極力表に出ないようにしよう。

今までのことで『The World』と現実世界は全く同じ時の流れ方をしているらしいから、大体の時期は既に分かるようになっている。
それがハッキリと分かったのは『The World』正式稼動日の2007年12月24日。
その日が俺のいる現実世界と全く同じ日だったことが判明したのが、そう結論づけることになった一番の要因だ。

これからはアイテムの整理やらシェリルと戯れることが主な仕事になるだろう。

と言うわけで、


「中々いい情報ありがとな。それじゃ「あ、あのッ!」……名前とかなら教えないよ?」

「いえ、違うんです。その……」


さっさと移動しようと思ったのに。

あんまりここに居るとさっきのPK共が余計な助っ人を呼び出しかねない。
具体的には『fragment』からの古株である“碧衣の騎士団”や、最近出来たらしい“紅衣の騎士団”。

現時点では、特に後者に要注意だ。
前者は主にシステム管理者側の人間で形成されたバグ処理部隊だが、まだ俺のPCに関してはバレていない筈。多分。
だが後者は、主にPCの不正を取り締まる民間部隊。PKKの噂が耳に入れば自ずと動き出す可能性が高い。

簡単にやられはしないだろうが、奴等と事を構えると目立ち過ぎてしまう羽目になる。
下手をするとこのPCのバグに気づかれて、碧衣までもが動き出すかもしれないのだから。


「……悪いけどもう行く「ありがとうございましたッ!」へ?」

「確かに貴方のやってることは不正行為なのかもしれませんが、それでも私達を助けてくれたことには変わりません。
 だからきちんとお礼を言っておきたくて……」

「その件に関してはアタシも感謝してる。
 何かアンタ、胡散臭い感じはするけど悪い奴には見えない……こともないしね」


ゲートを開こうとしたところで、2人がいきなりそんなことを言い出したから不覚にもちょっと留まってしまった。
やっぱり所詮ゲームの世界とはいえ、女の子達にちやほやされるのは悪い気がしないからな。

ちみっこい少女剣士の方は微妙だけど、まあPCが可愛らしいから許す。


「別に気にしなくていいよ…………俺には俺の目的があるだけだから。
 それじゃ、今度はPKに狙われてもいいように気をつけてパーティー構成しな」


そうして会話に区切りをつけた俺は、他のPCとは違うゲートを開き、


「アデューッ!」


周囲に溶け込むようにして目的地、即ち避難所へと向かった。


(それにしても……あの少女剣士、どっかで見たことがあるような気がするんだけど、気のせいだよな?)


避難所、ここは俺にとって『The World』の中で一番安心できる場所。
その正体は…………ハッキングでもしない限り入ることの出来ないイリーガルな場所。

俺がここを見つけたのはつい最近のこと。
以前まで使っていた旧避難所がバージョンアップのせいで入れなくなってしまったので新しく見つけた所なのだ。

前身の『fragment』では今のシステム、所謂“スリーワードシステム”とは違うものが採用されていた。
簡単に説明すると、アルファベットの羅列であれば何でも良かった。

その後『The World』のバージョンアップの過程でスリーワードシステムが導入される。
そこから更に、改良が加えられる中で消えていった日本語のワードが存在するのだ。ちなみにここへの道はそれを使ったもの。

普通なら俺もその改良時点で入れなくなってしまうのだが、何故か俺のメニューに表示されるワードにはその単語が含まれている。
新システムの導入と同時にアルファベットは消えたのに、バージョンアップ後のワードは減ることがなかったのだ。
そのくせ、新しい機能やらはきちんと使えるようになるからますます不思議。


そういった理由で、ここは俺とシェリルだけのホームみたいな場所と言える。
どうしてかは分からないが、このフィールドは敵も出てこない。
けどまあ、そもそも存在していること自体がありがたいのであんまり気にしないことにする。

不遇な俺に対する神様のささやかなお恵みってことで。

では、ほとぼりが冷めるまではここからあまり外に出ないようにしよう。


この通称ホームにいるようになってから3日。
シェリルの言葉の勉強という名目でゴロゴロしながらお喋りしてるんだけど……


「それにしてもシェリルってさ〜」

「ん〜?」

「意外というかやっぱりというか……お前、頭すげーいいよな〜」

「えへへへへ〜」


コイツと出会ってからまだ3ヶ月しか経ってないのに、もう言葉を普通に話してる。
最初の1週間は結構説明するのに時間が掛かったものの、それからは自然な会話をしているだけでシェリルはどんどん知識を吸収していく。

流石に究極AIとして創られてきたのは伊達じゃない。


この避難所は草原のフィールドなので、結構頻繁にゴロゴロしてる。
別に眠くなるわけじゃないけど、単に暇だからやってるだけ。そしてそれを真似して俺の横をシェリルも転がり回ってる。

何とも和やかな時間が流れていく。これも一種の『The World』の楽しみ方だ。


「ところで……シェリルって今の精神年齢いくつなんだろ?」

「ん〜? 生まれてからは9ヶ月くらいだよ〜?」

「違う違う、それは肉体(?)年齢。俺が言ってるのは精神的、つまりどれくらい大人になったかってこと」

「……あたしもう大人だもんッ!」


(“もんッ!”なんて言う大人がどこにいるかっての……)


膨れっ面でそんなことを言われても説得力まるで無し。

確かに見た目は最初と変わらず10歳前後だが、中身は大きく変化しただろう。
だが、それはあくまで知識を手に入れているだけで心はまだまだ碌に成長していない子供と言える。
ほとんどの場合、後先考えずに感情で行動しているのも子供たる1つの要因だ。

今のところはそれで問題ない。
彼女自身の性格なのか興味のあること以外は比較的どうでもいいらしく、基本的に俺以外に対して話しかけたりすることはまずない。
勿論、それは他人との一期一会的な俺の行動パターンにもよるのだろうが。


だがシェリルはまだ、碧衣の騎士団や紅衣の騎士団から逃げる術を知らない。ここへ来れるのも俺について来たからこそなのだ。
だから今のところはここ以外に安全な場所はないし、ここもいつかはバレるだろうから新しい居場所も見つける必要がある。
とは言っても、一応その当ての目星は既についているから大丈夫だろうけど。

凄腕のハッカーにして“闇の女王”の名を持つヘルバ。
彼女に会うことさえ出来れば、彼女の所有するネットスラムで他の放浪AIと安全に暮らせるだろう。

尤も、それはまだ先の話だ。
今の時点では彼女がゲームに参加していない可能性すらあるのだから。


「じゃあトモアキの精神年齢はいくつなの?」

「俺の? そうだな……微妙すぎてわからん。
 現実での俺は19歳だけど、精神だけがそのままこっちに移ってるみたいだからそうなると精神年齢19歳?
 現実の俺そのものの精神年齢なんて自分で分かる筈もないからな〜…………そうだ、シェリルは何歳位だと思う?」

「ん〜とね〜……………………あたしと同い年?」


いやいやいやいや、あり得ないから。
ただでさえ10歳前後の見た目より幼いシェリルと同い年だったら、俺マジでヤバイから。

これでも俺、大学生ですから。


「…………シェリル」

「ん〜? どったの〜?」


俺は立ち上がって未だにゴロゴロしているシェリルの背後に立つ。
俺のことを信頼してくれてるんだろう。全く警戒していない。


「…………そのままでいろよ?」

「りょ〜か〜いッ!」


横になってる彼女は楽しそうにこちらを見上げてくる。
何が楽しいのかはわからない。俺と一緒にいるだけで楽しいんだったら嬉しい限りだ。

でも俺はしなくてはならない。これはあくまで教育だ。


呑気に構えているシェリルの後ろに座り、彼女の頭に手をかけ……


「…………いくぞ」

「え? ……って痛い痛い痛い痛いッ!」


両拳でこめかみをはさむ、通称“グリグリ”を喰らわせてやった。


「シェリル〜あのな、言葉ってのは時に相手を傷つけてしまうんだ……」

「あぅ〜〜〜〜」

「だからな、これからは相手のことを思いやって話すように心がけなさい…………いいね?」

「そ、それってさっき言ったのが正し「いいね?」は、はぅ〜……」


違うんだよ、シェリル。

これはあくまで相手を思いやれる子になってほしい俺の愛の鞭ってやつなんだ。


…………ガキに同類扱いされたのにムカついて八つ当たりしてるんじゃないんだ。わかってくれ。


そうこうしているうちにまた1週間が過ぎた。

俺はいつも6〜8時間で『The World』から現実に帰ることになる。だからそこまで退屈はしていない。
むしろ忙しいくらいだ。大学の勉強もあるし、この世界の資料を集める時間も必要だし。
ホームでのノンビリとした日々は心を休めるのに丁度いいから、もっとゴロゴロしたいとすら思っている。

だが、シェリルは暇で暇でしょうがないらしい。
まあ俺がいない間もこの世界に居続けなけりゃならない上に、危険だからここ以外には行かないように言ってあるから当然か。
まだ律儀に俺の言うことを聞いてくれてはいるが、いつ我慢できなくなって飛び出していっても不思議じゃない。


そろそろ情報集めを兼ねて外に出るべきだな。


「よしッ! んじゃ、久しぶりに外に遊びに行くか」

「本当ッ!? ねえねえ、今度はどこへ行くの? 暑いとこ? それとも寒いとこ?」

「まあまあ、嬉しいのは分かるけど少し落ち着けよ。
 そうだな……久々の外だからシェリルが決めていいぞ」

「それじゃあね…………ぬるいとこッ!!」


よくわからんリクエストだな。


「ぬるい、ぬるいねぇ…………湿地にでも行くか」


『The World』は3つのワードを組み合わせることでエリアに行くシステム。
実は、この最初のワード次第で行く先のエリアの属性を決めることができるのだ。
その為、特定の属性のアイテムが欲しい時にはかなり便利なシステムとなっている。


「ほい、ほい、ほいっと。
 ワード入力完了、ゲート開くぞ〜」

「ほ〜いッ! えへへへへ〜」


準備完了の言葉を聞くやいなや、シェリルは俺の背中に飛びついてくる。

これはまだ上手く移動することの出来ない彼女を俺のPCでナビゲートするため。
本人はそれだけじゃなく純粋に俺とくっ付きたいのもあるようで、いつも喜んで俺に抱きついて来る。

今はまだ子供だから無邪気に俺を好いてくれている。
が、いつかは成長して俺から離れていくんだろう。少し寂しい気もするけどそれでいいんだ。


子は親から巣立っていくものなんだから…………って、


「ちょっと待ていッ!!」

「ん〜? どったの、トモアキ?」

「あ、いや、何でもない……」

「あははッ! 変なの〜」

「あハははハハHAハハ……」


(今俺は何を考えたッ!? 俺はまだ19歳で成人すらしてないんだぞッ!?
これじゃまるっきり父親の心境じゃないかよッ!? その前に彼女欲しいな〜…………いやいや関係ないしッ!
不味い、不味すぎるぞッ! このままでは妙な悟りを開いちまうかもしれんッ!!)


結婚もしてないのに父性なんぞ欲しくない。

俺はこれからシェリルとの付き合い方も考えるべきか? なんて馬鹿なことを考えながら周囲に溶け込むようにして目的のエリアへ向かった。


……………………

………………

…………


で、だ。

まさかこういう展開になるとは思わなかった。


「おいおい、どうなってんだぁ? 今の移動の仕方はどう考えても普通じゃないぜ?」

「…………あちゃ〜」


半ピクニック気分で転移したエリアで出会ったのは、紅き服を身に纏う蒼髪の重槍使い。

俺の勘が正しければコイツは……


「え〜〜〜っと、もしかして…………自称“紅い稲妻”クリム?」

「ほう、よく知ってるな。
 そう、俺の名は“紅い稲妻”クリムッ! 
 今はまだ自称で構わねぇが、そのうち俺はその二つ名にふさわしい漢になってみせるッ!!」


うん、間違いない。

目の前で熱く語りながらポーズを決めてる重槍使いは確かに本物のクリムだ。


(まさかこんなに早く物語の登場人物に会うとは思いもしなかったよ)


さて、これから一体どうしたものやら……。


とりあえずはクリムが人の話をきちんと聞いてくれることを願うとしよう。


あとがき

【.hack】シリーズのクロスという形で始めたこの作品。
予定としてはAI buster、SIGN、ZERO、ゲーム、黄昏の腕輪伝説と程度の差はあれど、ほぼ全て。
大体の話の流れが出来上がったから、試しに登場人物を数えてみたら普通に20を超えてた。
このままじゃ話数も半端じゃないものになってしまいそう。……マジで大丈夫か?

SIGNを見ながらそんなことを考えてしまった愚か者の名前は、ジョヌ夫です。
まあ何だかんだ愚痴を述べつつも完結はさせる所存なので、これからもよろしくお願いします。


以下、レス返しです。


>箱庭廻さん

こちらこそよろしくお願いします。

エリア行商人として活動を始めた主人公。
彼がどのような形で物語と関わっていくのか、楽しみにしていただけたら幸いです。


>カールびんそんさん

アドバイス有難うございます。
これから執筆する上で参考にさせてもらいます。

話の始まりは自分でも王道的だと思ってたり。
ただこれからの流れは大筋は原作沿いでも、出てくる人物やら事件やらはオリジナルにしていく予定です。
出来る限りワンパターンな展開にならないように心がけるつもりです。


>ななしさん

実は今回つけられたあだ名、どっかの詩人のものじゃなかったり。
話が進むとわかるのですが、あれはそこら辺の一般人が適当につけた名前です。
詩人さんが新たにあだ名をつけるか否かは…………まあ本編で。

今回の話でハッキリした時代設定。
まあ言ってしまえば所謂パラレルワールドという奴でしょうか?
ちなみに1話でも言ってましたが主人公はG.U.全くしてません。


>直樹さん

…………えーっとその、すみませんッ!
AI busterを読み終わったのがついさっきで、その時に設定ミスに気づきました。
なので今回のは、直接のエリア名ではなく全体を通しての場所の通称としておきます。
指摘、有難うございました。

レベルや経験値に関してはゲームとは大分違う設定にしてあります。
流石にあのままじゃ皆すぐにレベル上がってしまい、力のバランスが崩れてしまうので。
それに何年もプレイし続けていたオルカがわずか2ヵ月のカイトに越されるのはちょっと可哀想すぎますしね。


>somosomoさん

バグPCの宿命は、SIGN編突入後に如実に現れてきます。
数多くの天敵との和解は一部は簡単にすみそうですが、それ以外の連中は……。

というわけで、これからもよろしくお願いします。

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