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▽レス始

「Go together 第七話(GS+ネギま!)」

らっかー (2007-02-07 23:33/2007-02-07 23:38)
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「弟子ね〜」
「フン、貴様達の体たらくを見ていると、安心してナギ探しを任せられん」
「ん? じゃあ解呪はいいのか?」

勝ったのだから解呪すると思ったが、任せようという事は解かないということだ。

「ナギとの約束もあるし、坊やがこれから使い物になるかしだいだな。
坊やは一年はここにいる。私はナギを15年待った。1年待てない事はないさ」

15年前を懐かしむようにエヴァンジェリンは微笑む。解呪はどうやら保留する気らしい。
横島もそれに合わせるとしても、一年で文珠10個制御できるようになるとは思っていないので構わない。

「あっあの、父さんの手がかりは…」

よほど気になっていたのだろうネギが話に割って入ってくる。

「ん? ああ、京都だな」
「京都ですか?」
「そうだ。そこに奴が一時期住んでいた家があるはずだ。そこに何か手がかりがあるかも知れん」
「京都? 丁度いいじゃない。来週の修学旅行、京都よ。うちのクラス」

明日菜の言葉に、ネギがパアアっと顔を明るくしている。

「修学旅行が京都だと…。本当か茶々丸!」
「はい。今回3-Aの修学旅行は京都・奈良です」
「ん? どうしたエヴァンジェリン?」

なにかに気付いたようにエヴァンジェリンが愕然としている。

「横島っ!! やっぱり呪い解け! 今すぐ解け、京都だっ!! そうだ、京都に行こう、の京都だぞ!!」
「ちょ、まっ、放せエヴァンジェリンなんなんだ。どうした?」

横島が突然捕まれ揺さぶられる。

「金閣寺、清水寺、東寺〜っ! 私が行かんでどうする!!」
「いやっ、どうするってっ、おいっ、ネギのっ、親父のっ、約束っ、いいのかぁっ?」

非常にしゃべりにくい。魔力が封じられているはずだが凄い力だ。

「あれって、どうしたの?」
「マスターは日本文化がお好きなのです」

突然の騒ぎの訳を知っていそうな茶々丸に聞くと、そんな答えが返ってきた。
ひょっとするとナギより好きなのかもしれない…


『Go together 第七話』


エヴァンジェリンを何とか鎮めると(いっそ水の方に沈めようかな、ともちょっと思った)、細かい事は明日の放課後にエヴァンジェリンのログハウスで決めるから来い、と横島とネギが言われた。

まあどうみたってこの場でのんきに話し続けるのは難しい。なんせ明日菜は朝バイトがあるし茶々丸も確実にメンテナンスが必要な状態。
ネギも疲労困憊だし横島も濡れ鼠で着替えたい、寮の刹那にも決着を伝えなければいけない。


翌日

「で、なんでこいつまでいるんだ」
「ひどっ、私だって関係者じゃないエヴァちゃん」

一日経っただけで、やたら砕けた呼び方になっている。対決したばかりにの口調ではない。

「エ、エヴァちゃんだと?」
「きーたわよ〜。あんた、ネギのお父さんのこと好きだったんだってね〜。可愛い所あるじゃん♪」

明日菜のその言葉でエヴァンジェリンの視線が、ギンと男二人の方に向く。
その事を知るといえばこいつらだ。

いかにエヴァンジェリンといえどもそういった事でからかわれれば反撃しにくい。しかし原因くらいはぶん殴りたい。

横島は慌てて目を逸らし、数歩下がってネギの後ろから彼を指差す。巻き込まれるのを避けるためだ。

「また貴様かっ!!」
「えっ〜!?」

いまだ状況を理解しきっていないネギに、エヴァンジェリンが突っかかっていく。
どっちも外見はただの子供なのでじゃれているようにしか見えないが。

「ああしていると、あの二人が昨日死闘を演じていたなんて信じられませんね」
「はは、でもそれはこっちもだろ」
「それもそうですね。でもネギのなんでも話しちゃう所は治さないと。下手したらあっという間にオコジョですよ」
「…なんでそんな変な罰なんだろな、ここ」
「…さあ?」


そんな当人達以外にとって下らない騒動もおわり、

「こっちだ」
「地下室か?」
「うわ〜! 人形だらけね」

エヴァンジェリンに案内され地下室の奥へと導かれるとそこにミニチュアの入ったフラスコが設置されている。
フラスコのエヴァンジェリンズリゾートの文字の下に、闇の福音だの不死の魔法使いだのと手書きで書かれていたが礼儀正しく見なかった事にした。
まあ自分の持ち物に名前を書くのはこの位の子供ならいいことだと思おう。実年齢はこの際無視して。

「何これ?」「あっ、おい待て!!」

明日菜がミニチュアに近より、その姿が掻き消える。

「「明日菜ちゃんっ(さん)!!」」
「ったく、心配ない。そのミニチュアの中に入っただけだ。どうやらこれはちゃんと効くようだな」
「ちゃんと効く?」「ああ、それについても話す」

そう言ってミニチュアの前に連れて行かれ、3人の姿もその場から消えた。


「これは…、おっ明日菜ちゃん」

突然風景が変わり視界が開ける。青空の下、広い海と塔が見える。
足場の端で明日菜が下を四つんばいで見下ろしているのを見つける。ついでに淡いピンクも見える。

「あっ、横島先生。こ、こ、これ…」
「私の造った別荘だ。神楽坂明日菜」
「なるほど、前に魔鈴さんのケーキで似たような事あったな」
「…お前の知り合いはなにをやっとるんだ」

横島はかつてのクリスマスを思い出すが、エヴァンジェリンはハイレベルな術をなにに使っているのかと顔をしかめる。

「ここなら私は封印結界の影響を受けず魔力をふるえる。お前らを鍛えるにはうってつけだ」
「げ、それはまた気合の入ってる事で…」
「は、はい。頑張ります!」

横島の嫌そうな返事とネギの緊張した返事が聞こえる。ネギはこの状況を受け入れたようだ。父の手がかりも聞いたし前向きになっている。

横島忠夫、一応自分を鍛えるようにはなっても(色々方向に問題あるが…)やっぱり妙に気合の入ったトレーニングは駄目だったりする。
まあちょくちょくバトルマニアに付き合わされそうになったり、大怪獣そのものな猿の相手をさせられれば無理も無い。


塔の中に入ると茶々丸が先に来ていたらしく、お茶と茶菓子を用意して出迎えてくれる。
部屋は洋風だが緑茶と和菓子だ。そういえばログハウスにも和室があった。日本文化好きと言っていたが、かなりはまっているらしい。

「ようこそ。ネギ先生、横島先生、神楽坂さん」
「こいつらは弟子と招いてもいないやつだ。そんな大層な扱いせんでいいぞ。茶々丸」
「おいおい、一応担任でもあるんだぜ」
「ふん、こっちじゃ関係ない」

茶々丸が全員分のお茶を配り終えた所で話が始まる。

「まず聞くが、横島お前何者だ?」
「へ?」
「高い戦闘能力に、気を高度に使用した術、偏った知識、媒体なしの瞬間移動。最初は東洋系かとも思ったが、それにしても不自然だ」

瞬間移動については文珠を使っていたのだが、出現だけを見れば媒体なしにも見える。

エヴァンジェリンは考える。横島の術はかなり特殊な部類だ。そう簡単には教えないだろう。どう引き出すか。

「あれ? 言ってなかったけ? 俺違う世界から来たの」
「たしか私といた時は話してませんよ。吸血鬼だの呪いだのの事ばかりでしたから」
「僕の時も言ってないです」
「…」

即答が来た…

「ふざけんなーーっ!!、大体なんだ違う世界ってのは、確かにそう言う国もあるが、だからといって不自然だと言っとんのだ!!」
「あっ魔法使いの国じゃなくて、本当に全く別の世界らしいですよエヴァンジェリンさん」
「なおふざけるなっ!! そんなとこからポコポコこられるか!!」

どうやら誤魔化していると思われたらしい。違う世界を異界にある魔法使いの国と思われたっぽい。

「落ち着け、一応本当だ。事故で来ちまったんで流石にポコポコとは行かん。つ〜か年単位でしばらく帰るの無理だし」

目標文珠10個の同時制御、はっきり言って数年は硬いだろう。

「ほっ本当です。突然現れたのを僕とタカミチが見つけたんです」

正確にはその瞬間ではないし、その後の検証でそう判断したのだが今はこう言ってくれるほうがありがたい。

「タカミチがか? ならば一応信じよう」

ネギだけなら兎も角タカミチが知っているなら信頼度は上がるし、それで副担任をやっているなら学園長も知っているだろう。

「確かに、魔法なんてのがあった時点で気軽に信じちゃってたけど普通じゃないわね」

明日菜がいまさら気が付いたようだ。それまで魔法を知らなかった明日菜にすれば変わらなかったのだろう。
エヴァンジェリンもずずーっとお茶をすすって気を静めている。なにかそこらの日本人よりよっぽど日本人らしい。

「こっちも聞きたいんだが、さっき明日菜ちゃんがここに入った時ちゃんと効くとか言ってたよな? あれ何の事だ?」
「そのままだ、効かない可能性があった。こいつの能力はマジックキャンセル、つまり魔法を無力化する。思い当たる所はないか?」
「あっ、そういえば明日菜さんが乗ると杖の調子が悪くなってました」
「えっ、じゃあ私って魔法効かないの?」
「何でもかんでも無効化するわけじゃあない。現にこの魔法の別荘にはいれただろ。なんだったら危なくないので試してみろ」
「なるほどなあのアーティファクトも似たような感じのだったしな」

そんな事を話していると、

「風花 武装解除!!」

早速試そうとしたのかネギが呪文を唱え、明日菜の制服が吹き飛ぶ。

「って、ネギ、 …よりもっ!!」

明日菜は素早く身を翻し、

「明ずっごはっ!!」

飛びかかろうとしていた横島に一撃を入れた。

「次の質問だが横島…、お前ロリコンだったのか?」

とっても冷たい目線が降ってくる。

「……」

明日菜がネギを折檻する横で、横島に問うエヴァンジェリン。それに答える声は無かった。後に横島は生えてなかったと語った。
そして武装解除、横島にとって別の意味で危険な魔法である。


「おれはロリコンじゃないんだ」

どこか遠い海の向こうを見ながら、彼はつぶやいていた。鼻にはティッシュが詰まっている。
明日菜は茶々丸の用意してくれた服に着替えている。

「流石に中学校教師にあれはどうかと思うが」
「一応学校にいる時は自制術とか言うのを使ってるらしいから心配ないわ。あとまきちゃんレベルは範囲外だとか…」

その話を聞いたエヴァンジェリンの脳裏に、横島の持っていた写真が思い浮かぶ。
あの時は生徒の名前を覚える為と言っていたのを信じたが、大体見当がついた。あれが範囲内なのだろう。

「なるほど、確かに学校にいる時と性格に差が見られるな。しかしロリコンだったとは」
「ちゃうわー!! とっさの勢いだったんじゃ〜!! 男のサガ! 俺の好みはもっとこ〜、ムチムチボイーンとしたのじゃーっ!」
「それ、どういう意味ですか。横島さ〜ん」

明日菜の顔が何でか影に隠れ、目だけが怪しく光っている。ロリコンを否定したくても言葉を選ぶのは忘れてはいけない。
一応言っておくと、明日菜は中学生としてはかなりいいプロポーションだ。3-Aにいると自信をなくすが…。

「と、とにかく俺はロリコンじゃない。思い出せエヴァンジェリン! 俺は今のお前には飛びかかっとらんが、あのナイスボディーなお前には飛び掛っている」
「大声で言う事でもないがな」
「本当だ、ナンパだってちゃんと美人のねーちゃんにやっとる」
「休日に大学部で40人以上にナンパしていたというデータもあります」
「おおっ、その通りだ。絡繰は信じてくれるよな、なっ」

茶々丸からの普通言われたら困るデータに飛びついて主張する。
限りなくどうしようも無い事を大声でわめかれて、エヴァンジェリンも頭が痛そうだ。なんでこんな話になっているのだろう。

「話を戻すと、この別荘や今のように本人に直接で無ければ作用する場合もある。他にも当人の意思や攻撃の意思も絡んだりな。流石に何でもかんでもとは行かん。
それに対し本人に直接作用するような、予想だが私に掛かっているような呪いにかかることはまず無いだろう。
気を用いた術にも作用するはずだから横島の技にさわって試してみるといい。アーティファクトを使えば昨日のような事も出来る」

もう無理やり話しを戻す事にしたらしい。

「なら試すのは出来るだけ先にアーティファクトでやってから、にした方が無難だな」
「そうよ。二度と今みたいなまねすんじゃないわよネギ!」
「はっ、はい!!」

横島にしろ明日菜にしろ今見たいなのは二度のごめんだ。視線もきつい。

「次に横島、お前の解呪術について説明しろ」
「ん? すぐには解かないんじゃないのか?」
「すぐに解かんと言っても後学の為に術式は知りたい。私のような存在にとっては今後の備えだな。それに上手く改良できれば解かずに京都にいけるかも知れん」

最初向学心を示していた顔が、途中で旅行前夜の小学生になる。なんだか京都の方がメインな気がする。ナギの約束と京都の両方とる気のようだ。

「あ〜、すまんそれ秘密」
「? 秘伝か何かか? ならばしょうがないが…。ならアーティファクトについて教えろ。それで特訓の方向性が決まる」
「悪い、それも秘密」

その言葉でエヴァンジェリンの堪忍袋がまた切れそうになるが、

「“るしおらのもんじゅ”って言ってませんでしたっけ? ビー玉みたいな…」
「あっそういえば最初呼んだときに…」

ネギがその記憶力の良さを無駄に発揮してしまった。

「ほう、聞き慣れないがなんだそれは?」

そうだった、最初にこの二人とカモは“イッショニユコウ”を見てしまっている。
今は学校で常用しているし、これから行動が重なれば隠しきるのは難しい。当分帰れない以上幾らか信用できる者が知ってくれたほうがやりやすい。
そうなるとばらせるかだが…

エヴァンジェリン、解呪の事もあるし、悪い魔法使いを自称するがプライドを持って行動するタイプ。しっかり約束すれば秘密は守るだろう。

茶々丸、エヴァンジェリンとの関係からみて彼女が言い含めてくれれば問題ないだろう。

明日菜、まっすぐな性格で約束を破るような事はしないように思える。ネギの秘密を守るのに協力している点も良い判断材料になる。
巻き込むことは危険もありえるが、ここまで巻き込んでいる時点で今更だ。むしろある程度話して協力してもらったほうがやりやすい。


で、ネギ、
頭はいいし性格も素直なのだが、聞けば魔法が一日目でばれた。エヴァンジェリンの夢の話が漏れている。それも極めてプライベートな所が。
今も秘密と言った次にの瞬間自分の秘密をばらしてくれた。人としていい奴なのには違いない、違いないのだが…

「どうした? 横島?」

頭を抱えて考え込んでいる横島に、エヴァンジェリンが聞いた瞬間。

『気・絶』

ネギがひっくり返った。

「なっ、何してんですか横島先生!!」
「心配無用。きっかり1時間で目覚める」
「アーティファクトはそれか? たしか私の夢を覗いた時のマジックアイテムだな。今のをみると眠りに関するものか? 秘密にしたがるには弱い気もするが」

おおかた理由を察しているのだろうエヴァンジェリンは明日菜と対照的に落ち着いている。この辺もこういった時、好感がもてる。

「こっから話すことは秘密にして欲しい」
「えっ? えっ?」

いきなり大真面目に雰囲気を変えた横島に明日菜が目を丸くする。

「…茶々丸、坊やを連れて下がっていろ」
「はい、マスター」

エヴァンジェリン二重丸。自分が信頼しているであろうパートナーにもちゃんとした対応をしてくれている。
知らせなくていいならそのほうがありがたい。

「あんがと、で解呪についてだが、それも転移術もアーティファクトも一緒なんだなこれが。それらは全部文珠っていうものだ」
「眠りではないのか、いやに統一性がないが? それにもんじゅ?」
「そ、コイツ」

そう言って横島が新たに取り出したのはアーティファクトと違って単色のビー球のようなものだった。


「確かにこれなら秘密にするわけだ。とんでもなさ過ぎる。だったら解呪も最初から当てはあったんだな?」

文珠の事を聞いたエヴァンジェリンがあきれた顔をする。掌に横島から借りた文珠を乗せ、色々字を書き換えている。

「ああ、でも制限も多いんだぜ」
「え、なんでもできそうですけど?」

明日菜にしてみればただえさえとんでもない魔法なんて物に、さらにとんでもないアイテムが出てきたようなものだ。

「うんにゃ、普通は一字に込められる意味じゃないといけないし、無から有は生み出せん。結局の所、力の方向性のコントロールだからな。
例えば『火』でも『炎』でも出す熱エネルギーの上限は変わらない。完全に死なれたら『蘇』らせる事もできん」
「ようはイメージに沿って最大効率の術を為すわけだな? だから不可能に近い事は出来ても、不可能な事は不可能」
「そ、だけど中途半端に便利すぎるから広められると身が危ないんだよね俺」

やや真剣な目で語る横島。
もし、自分に万が一の事が有ればそれはルシオラ復活の希望の芽を摘むことになる。
だからそれまでは、絶対生き残る。この色々とでたらめな男の中で珍しく確固とした根幹の一つだ。

「そうだろうな。生産量もたかが知れているなら幾つか攻略法も思いつく」
「え゛っ、私全然思いつかない」
「いや思い付かれても困るんだけど」

へんな方向にショックを受けている明日菜に苦笑する。それにしてもエヴァンジェリンはやはり流石だ。もうほぼ完全に文珠を理解している。

「で、アーティファクトがその強化版。使っても消滅はしないが使用回数にストック上限がある。やっぱり限界あるけどそいつより強力って訳だ。」
「なるほど。では横島、これで修学旅行を学校行事の一環として私が行くべきものであることを呪の精霊に『認』めさせろ」

流石と思ったのに、こっちはこっちでやっぱり京都に行きたいらしい。

「ん、できんことはないが…。でもそれだと多分時間制限つきになるぞ」
「こっちでそれようの魔方陣を用意する。組み合わせればそこそこもつだろう」
「んー、でも中途半端にやって、学園長にばれるとあんまりうれしくないんだよな」

あの学園長すっとぼけているようで責任者としてやる事はやっている。
幾らかやり込められているし、余り隙は見せたくない。

「報酬がわりに私が後ろ盾になってやる。こんな身でもそこそこ影響力はある。弟子ならその名目も立つ。
些少のことなら私を敵に回そうとはせんだろ。手を明かさんでいいようにしてやる」

それは正直ありがたい。おまけに横島はこっちでは日が浅くコネが全然無い、それを自分側に囲い込む気だ。
どうやらここまで考えた発言だったようだ。やっぱり流石。

「OKじゃあ用意できたら試すか。ぶっつけ本番もなんだしな」
「よし、商談成立だ」

「…ねえ、横島先生」
「ん?」

先ほどから文珠使い攻略法を考えていた明日菜が、なにか思いついたのか声を掛けてくる。

「…ひょっとして、まさかと思うんだけど、違うと思うんだけど」
「ん? 何?」

妙に否定を重ねている。

「『自』『制』術ってこれ?」
「そうだよ。俺普通の術って覚えるの苦手だから殆ど使えないんだよね」
「…」「…」

沈黙が流れる。

「何考えてんですかっ!! 私だってこれ凄い価値なのわかりますよっ! 常識を考えてください常識をっ!!」
「んなことにこんな貴重な物つかうな――!! つうか本当に京都行き大丈夫なんだろな!! これで駄目だったら泣くぞ!!」

横島が久方ぶりに文珠乱用を怒られている。それも中学生の女の子に。かなり情けない。
エヴァンジェリンのほうも、こんなまねされてたら不安にもなるだろう。ナギの強力な呪いが煩悩押さえるようなもので緩むのか怪しくも思う。

呪いは結果だけいうと文珠1つ当たり2日は持つ感触だったそうだ。『自』『制』で半日しか持たない横島の煩悩、恐るべきモノである。

「とにかくっ! それは止めろ。もったいなすぎる」
「いや、しかしそうすると色々と危ないのですが…」
「自力で抑える特訓やってるんですよね?」
「未完成…」

そうなると流石に生徒に手を出させるわけにも行かない。一応だが当人もやりたくは無いようだし。
しかしそのために文珠は無駄すぎる。なにかいい手はないか考えて、桜通りの件以来チェックするようになった噂の一部を思い出した。
うまくつかえば都合がいい。

「神楽坂明日菜」
「何?」
「確かお前が吸血鬼騒ぎに巻き込まれた後、こいつから護身術ならってるとかいう話があったな」
「そういえばこのかにそんな事言った気が…、それも広がってたんだ? でもそれ嘘よ、このかに飛び掛ったからとっさに…」
「構わん事実にしろ。ついでにいざという時動けるように隙があったら殴る練習している、とでも流せ」
「あ、あのそれはどういうことでせうか…?」

なんとなく分かるが聞きたくない。力技で止める気だ。ここには美神はいないと思っていたのに…。

「なに、無駄遣いを止めてやろうというんだ。ありがたく思え」
「でも私護身術の練習する時間なんてないし、何も出来ないままだと古菲あたりに気がつかれないかな」
「バカレンジャーなら平気だろうがそういう事ではない、事実にしろと言っただろう。お前もこの別荘を使え。
ここでは外の1時間が1日になる。横島から体術を習えば不自然さもなくなる。ただ使いすぎには注意しろ早く老ける。その辺を加減しながら参加しろ」
「あのそれってぼくも早く老けるんじゃないかと…」
「お前とネギのためにしばらく使ってなかった別荘を掘り出したんだ。とってもありがたく思え」

なんだか勝手に話が進んでいる。明日菜が強くなるのは魔法がらみに巻き込まれる可能性を考えれば悪くないのだが…

「じゃあ決定ですね」
「ああ決定だ。私と茶々丸も手伝ってやろう、さらにありがたく思えよ横島。なに、礼は時々文珠を使わせてくれればいいよ。神楽坂明日菜にもなにか礼をやれよ」
「あのぼくの意見は…」

無視された。文珠を教えた事をちょっぴり後悔した。


「えーと確か話をしていた途中で急に意識が遠くなった気が…」
「大丈夫、ネギ? 昨日遅かったから疲れで貧血でも起こしたのね」
「気をつけろよ。まだまだ子供なんだから無理すんなよ」
「まったく、なさけないな。それでも私の弟子か?」
「確か横島先生のアーティファクトの話でしたっけ?」
「なにいってんだ俺達が何を教わるかだろ」「そうよ、寝ぼけちゃだめよ」

文珠の話しが終わってネギが起きてきたのだが、皆とっても白々しい。3人の間ではすでにネギには徹底的に誤魔化す事が決定している。

「まあ一重に弟子といっても、二人に教えるのはそれぞれ別のものだ」
「確かに。俺こっちの魔法は完全にド素人だしな」

ネギに魔法を一から教えても意味がないし、横島の方はこっちの魔法をほとんど知らない。

「うむ、それも含めて横島、お前にはシュンタクシス・アンティケイメノインを教える」
「しゅ、しゅん何だって?」

ぐっと横島を指差す手に力を込めてエヴァンジェリンが宣言する。思い出すのはネギとの契約執行時。

「シュンタクシス・アンティケイメノインつまり気と魔力の合一、言い難ければ咸卦法で構わん。
こいつはこの間お前が梃子摺っていた気と魔力を併用する、そして二つを融合し爆発的な力を得る技だ。専門外だがやりかたを教えるくらいは出来る」

エヴァンジェリンの気合が凄いぶんだけ横島のテンションが下がっている。
小竜姫にしろ猿にしろこんな雰囲気の時は神族側のはずの妙神山が地獄になった。

「エヴァンジェリンさんっ! 僕にはなにを教えてもらえるんですか?」
「魔法に決まっているだろう。ついでに使い方もだな。全くなっちゃいない。そして、私を呼ぶ時はマスターと呼べ」
「はいっ!! マスター!!」
「よしっ! なら早速お前からだ」

さっき気絶させられたばかりだというのにネギは気合入りまくりだ。父の背中を追うためなら、の勢いでのりのりになっている。

「ネギ〜、学校でマスターはやめとけよ〜。変な目でみられるぞ〜」

物凄く気の抜ける声。こっちはさっきの自制術禁止ともあいまって、もうテンションが最低ラインだ。

「横島先生、わたしは何から始めれば?」
「ネギが教わってる間に剣の振り方から教えるから、そっからだな」

霊波刀を扱う者として小竜姫から剣術は叩き込まれている。純粋な刀とは違うが通じるものは多い。
ハリセンも一応柄をもって振り回すタイプだから応用できるだろう。

「いや、殴り方から教えてやれ。貴様のためだ」

早速教えようとした所でエヴァンジェリンからまったが掛かり、命令される。

「という事でお願いします」

それも教わっているが教えたくない。明日菜の、向日葵の花が咲いたような笑顔が般若に見えた。
横島は空を見上げた。天井だったけど、太陽がまぶしくて涙を流した。


あとがき
文珠がようやくネギま!キャラに話せました。でもネギがスルー。
エヴァンジェリン達とのとりあえずの関係はこんな風になりました。
刹那がうまく入らなくてお休みしました。

感想ありがとうございます
レス返しです。

>仲神 龍人さん
刹那は出番増えるのはやはり京都編以降でしょう。
楓か真名がパートナーというのは面白そうですね。アーティファクトが両方不明なので現時点ではちょっと無理なのが残念です。
その辺は原作壊したくないのでやるとしたらそれが出てからですね。
朝倉や那波も出てないし、アーティファクト判明してる中で一番横島にとって危なそうなのはパル当たり?
>galdiaさん
誤字指摘ありがとうございます。素で間違えてました。
今回は修行開始編ですね。刹那はお休みです。でも修学旅行編はでまくりますね。
>アイクさん
認めてしまえば楽になれるけど認めたくない物なんです。
それに戦闘とか怒りとかの興奮でも固くなりやすくなりますし。
3−Aは中学3年だから真面目に付き合えば数年でロリとは言われなくなるしそれまで頑張れれば…、横島にはキツイですね。
>ヴァイゼさん
刹那の基本はやっぱり、お嬢様の為ならが好きです。
ネギは戦闘方面では原作でもとんでも速度で成長してますし、失敗直後だからちゃんと気にしてました。所によってはやっぱり10歳ですが…
エヴァンジェリンはたしかにああいった接し方になれてなさそうですよね。イマ(クウネル)やナギにおちょくられてもいましたし。
道具あるんですけど使うのは難しいです。あれは美神の道具ですから下手に使えば帰ったときどんな利息がつくやら。
>九頭竜さん
そうです普通の相手だったら屋内で空中戦なんてしませんし、横島が相手だからこそです。
ロリコン、本人は頑張って否定しようとしています。
まあ、自制で色々たまってますし、手でいじられれば反応しちゃう事もありますし…。でもやっぱりあれで反応はボーダー超えちゃいました?
>宮本さん
呪は解いちゃうとエヴァンジェリン強すぎるので引っ張りました。でも行動はこんなんです。一応学園外なら結界ないし修学旅行では強いです。
全力のエヴァンジェリンはナギを除けばまず間違いなく最強レベルですからパワーバランス難しいです。
続き…、修学旅行編が本当に進まないんです…。今度の日曜こそちゃんと書き進めたいです。
>アスナスキーさん
刹那は今回おやすみです。
戦闘シーンは最初細かく書いてたら無意味に膨らんじゃって、かなりばっさりとやりました。
大雑把過ぎると動きが伝わらないし細かいと話が流れないし難しいです。
あと明日菜が対横島に少々暴力的になっちゃうかもです。ごめんなさい。
>念仏さん
栄光の手を含め、横島の基本技ってどれもかなり使えそうで面白いです。
弱点突くのは横島&美神ならまず真っ先にやりそうなことですから当然仕掛けました。
>HAPPYEND至上主義者さん
うっかりさん、確かに…。でもネギはちょびっと真っ当な成長もしました。
戦闘、やっぱり横島が参加する以上まっすぐなだけの戦いはそうそうないでしょう。
イベント前倒しは地力アップも兼ねてます。やっぱり群集劇のメインキャストは色々成長して欲しいですから。
でも加速しすぎると後でバランス崩すんでほどほどに…。
修学旅行、あとちょっとお待ち下さい。
これからの展開がネギま!は原作途中なんで謎が多くて色々悩んでます。
>八雲さん
今回も煩悩でてましたし、ルシオラはきっと大丈夫でしょう。
これは明確なルールのない勝負でしたから反則ぽくてもネギが油断を付かれちゃいました。
刹那はかなり好きなキャラなので上手く動かしたいです。でもフラグ立つかが未定、修学旅行編が進まないんです。頑張って書きます。
>しゅり。さん
一応ネギチーム対エヴァンジェリンチームという扱いだったのでこうなりました。上手く伝わってなかったみたいで申し訳ありません。文才欲しいです。
特典というか結果的にですが横島も弟子にしたのは文珠生産量UPかねてます。横島主観だと変わりませんが、外から見れば生産速度倍化します。
設定の初期所有量から現在量数えてみたら結構底付く寸前でした。自制と計測で一気に激減してました。数量コントロールが意外と大変です。
あと基本的に賭けの勝負なので利益は勝者に、でやってます。
好きな話と言っていただけてうれしいです。これからも頑張ります。
>カクさん
一応本作の横島も設定として原作より成長させてあります。
ただ最強化はしてません。少なくとも文珠なしでエヴァンジェリン級の相手は無謀です。
パワーバランスは私の主観で行わせてもらっています。

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