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▽レス始

「幻想砕きの剣 13-4(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2007-02-07 22:28)
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 セルが居る馬車の中には、三人の重症人が横たわっている。
 まずユカ、ユカ2、そして大河。
 一見すると、ユカ2が最も軽症なのだが…実を言うと、逆に最も危険な状態だった。
 魂が足りず、徐々に消滅を始めているのだから。


「…それで、私にこの子を助けろ、と?」


「はい。
 ルビナスもこっち方面は疎いようですし、何か手はありませんか?」


「…まぁ、無い事もないけどね。
 とにかく、ベリオはユカを完全に治療しておいて。
 マスターの方は、私とリコでどうにかするから」


 未亜達は、眠る大河の顔を覗きこんでは何か話しかけている。
 大河が危険な状態にあるという事を、認識しづらいのだろう。
 セルを庇って出来た傷は、殆ど回復魔法で治療されている。
 トレイターも何時の間にか消えているし、呼吸も穏やかだ。


(…それでも心配って事か…。
 それとも俺の影が薄いだけなのか?)


 馬車の隅っこで、邪魔にならないように三角座りで待機するセルは、ちょっと悲しい気持ちになった。
 その反面、いつ気付かれて怒涛の質問攻めとかを受けるか、ハラハラしている。
 もし大河の負傷の原因がセルにあると知れたら、それはもう死ぬより辛い一時が襲ってくるだろう。
 命があっても、アルディアを助け出すだけの力が残るかどうか。
 否、きっと残るのは抜け殻だけだ。

 しかし、いくらなんでもこの馬車は狭すぎる。
 最初はベリオとブラパピ、ユカ、ユカ2だけだったのが、イムニティが戻ってきて大河が横たわり(セルは顔を合わせるのが気まずくて、躊躇っている間に置いていかれた)、ブラパピが消え、無事退却してきた未亜・リリィ・カエデが乱入し(ユカ2を見て混乱し、未亜は『こっちならSが発動できそう』と言って張り倒された)、更に暫くするとミュリエルもやって来た。
 ミュリエルはセルを一瞥したが、どうやら彼女はセルが“破滅”に付いた事も、魔物に連れて行かれて死んだと思われている事も知らないようだ。
 まぁ、いくら大河達と親しいと言えど、セルは学園では一生徒にすぎないのだし、耳に入ってもあまり記憶に残らないのも当然と言えば当然だ。

 そんな訳で、セルは放置されているのである。
 俺このままでいいのかなぁ、とぼんやり考える。
 気まずい云々以前に、事実上見張りなんか付いてないのと同じなのだが。

 そんなセルを、馬車の外から突き入れられた手がポンポンと叩く。
 振り返ったセルの目に、非常に個性的な手…というか前足が写った。


(汁婆?
 ……まぁ、逃げる訳にもいかんしな…)


 背後の救世主クラスに気付かれないように、コッソリ馬車を出る。
 何だか未亜達が深刻な騒ぎ方をしているような気がするが…。


「よっ…と。
 …よ、よぉ汁婆」


『フン、生きてたようで何よりだ
 話は聞いた
 お咎めは俺の役割じゃない
 アレをどうにかするまで、腹いせの蹴りは我慢してやる』


「…助かる」


 気まずい思いをするセルだが、汁婆は興味なしと言わんばかりの態度である。
 実際、汁婆にしてみれば、セルのように“破滅”に付く人間も珍しいとは思わないのかもしれない。
 いかに人間に近い理性を持つとは言え、汁婆は基本的に獣だ。
 自分が生き残る為、あるいは家族を護る為なら、社会から離反するくらい何とも思わない。
 それと同じで、セルがアルディアを護る為に寝返った事も、ある意味では普通の行為としか思っていないのだろう。


「…色々言われると思ってたんだが…放置されたままってのも、悲しいな…」


『諦めろ
 お前は元々そういうキャラだ』


 何か酷い事言われてる、と思うと共に、ああ人類軍だなぁ、と妙な感慨を抱いてしまった事はヒミツである。


「ところで、ルビナスさんとかナナシちゃんは?
 大河が倒れてるとなれば、真っ先に飛んできそうなものだろ」


『ああ、今捕らえた“破滅”の将と何やら話しこんでいる
 確か…ロベリア、とか言ったか』


「ロ!?
 そ、そりゃ“破滅”の軍の副幹じゃないか!?
 どうやって捕まえたんだ!」


『ナナシが巨大化して、延々と説教をした挙句に捕まえたんだ』


「…は?」


『まぁ、些細な事だ
 一応言っておくが、ロベリア何某に会いに行くのは許可出来んぞ
 非公式とは言え、お前は捕虜という扱いだからな』


「あ、あぁ…あんまり会いたい相手でもないしな…」


 “破滅”の軍でロベリアを見かける時は、『ああこの人中間管理職なんだなぁ』と一発で解るくらいに、いつもいつも苛付いていたものだ。
 彼女はアルディアの事もあまり好きではなかったらしく、極力顔を合わせないようにしていたようだ。
 セルも同じ扱いで、ヘタに突付くと何をされるか解らない。
 彼女がやたら嫌っていたルビナスにとッ掴まって不機嫌絶頂だろうし、そもそも『助けろ』などと無理難題を出された日には…。


「…何とかロベリアさんを人類軍に取り込んでほしいもんだな」


『そうだな
 お前がそう思う理由は、多分に利己的な物のようだが』


 その一時間後、ルビナスとナナシが馬車に襲来した。
 ロベリアは封印をかけて、体も魂も動けなくしたらしい。
 体は鎖でがんじ絡めにした挙句よく解らないが時間の流れをどうこうして、魂の方はかつてイムニティを封じたのと同じ方法で閉じ込めた。
 流石にルビナス一人の力では無理なので、エルダーアークに手伝ってもらってチョチョイのチョイと。
 …ただし、閉じ込めたのは『ポン太』とネームが付いているライオンっぽい縫い包み。
 ロベリアにしてみれば、悪夢のような状況である。
 ぬいぐるみの外見がやたらデフォルメされた情けないものだと言う事を差し引いても、マトモに動けないのだ。
 だって縫い包みには、骨もなければ関節も無い。
 どういう理屈か、神経も無いのに体は動くのだが…二本足で立とうとしたら、足が自重に負けてクネクネ曲がってしまうのである。
 あまつさえ。


『ちょ、ちょ、ちょっとルビナス、体戻せ!
 頼むから戻してくれ、5分だけでいいから!!
 さっきから、いやそのちょっとお花摘み……』


「大丈夫よ、体の方は鎖に施した術式で、時間を止めてるよーなモンだから。
 鎖を解くまで、お漏らしとかはしないわよ」


『そりゃつまり、鎖が解けるまで尿意に悶えろって事だろーが!
 鬼かお前、それでも聖女気取りのルビナスか!?』


「私は聖女なんか気取った覚えないわよー。
 ま、頑張ってロベリアもソッチ系に目覚めてね?」


『何に目覚めさせる気だテメェーーー!!!』


「うっさいわねぇ…尿道弄ってイタズラしちゃおうかしら…」


 何て事があったのである。
 おかげでロベリアは、脱出の策とか考える余裕もなく、縫い包みボディで股間の辺りを抑えてブルブルしているのであった。
 合掌。
 つーか、普通に拷問だろうこれは。

 ちなみにナナシはと言うと、「お人形からタマシイを取り出す方法が解らないですの!」と堂々と胸を張って答え、ロベリアの望みを見事粉砕してしまった。
 更に続けて、「頑張れば尿道とか無いお人形さんボディでも、ちゃんとおしっこ出来るですの!頑張るですの!」なんてトドメまで刺していたそうな。
 今もロベリアは、しーしーを我慢して人形ボディで謎な踊りを続けているそーな。


「ダーリン、起きないですの?」


「起きない。
 あまつさえ、お兄ちゃんの手をベリオさんのおっぱいに触らせても反応しなかった。
 物凄く洒落にならないよ」


「そ、それは大変ですの!?」


 いつもの大河なら、眠ったままでも揉んで絞って潜り込んで乳首を探り当てるくらいする。
 そして夢の中でもポヨンポヨンな遊びをしている。
 それが、今回に限って全く反応無し。


「トレイターが折れたって?
 リコちゃん、そんな事有り得るの?」


「…理屈の上では、有り得ます。
 いかに召還器と言えど、結局は物質ですから…。
 ただ、物質化しているから折れるのであって、呼び出してない時のように物質としての属性を無くしてしまえば、放って置いてもさっさと修復される筈。
 爆弾に変化させた時がいい例でしょう、爆発しても即座に元に戻ります。
 トレイターは何時の間にか消えていたそうですが…。
 とにかくご主人様の回復が先です」


「もう峠は越したと聞いたでござるが?」


「越した事は越した…のですが…」


 リコは困惑した瞳を、イムニティと見合わせる。
 イムニティは視線を受け、自分の内側に意識を滑らせた。


「…やっぱりそうよ。
 マスターの波動が、随分変わっている」


「? どういう事?」


「マスターなら解るでしょうが、私とマスターとの間には、力の繋がりがあります。
 感じられますか?」


 未亜は頷いた。
 今まで何度も赤の力を使っているし、リコとのラインは意識しなくてもはっきりと感じられる。

 イムニティが説明を引き継いだ。


「その繋がりから流れ込むマスターの力の質が、劇的に変化しているのよ。
 さっきからヘンだと思ってたんだけど…。
 今までのマスターの力が…そうね、蒼だとしたら…今は…」

「今は?」

「…流れ込む力の半分が蒼のまま、残り半分が……なんと言うか、虹を万華鏡に閉じ込めたような感じ?
 把握しようと思ったら眩暈が起きそうだわ」


 実際頭痛でも感じているのか、額を抑えるイムニティ。
 それを聞いて、またリコは訝しむ。
 本来、魂の波動が変わるなど、そうそう有り得る事では無いのだ。
 しかしイムニティの話だと、大河の魂の波動の半分が常に変化し続けている、と言う事になる。
 そんな風に魂のカタチがゴチャゴチャ変わり続けては、生物としての形をとどめる事が出来まい。


「大河君も心配ですが…こちらの二人を治療する方法はあるのですか?」


「ああ、そちらは大丈夫です。
 そちらの…ユカさんのクローンは、少なくとも明朝までは生きています。
 それまでに手を打てばいいのですから…。
 それより、ユカさん本人の傷は塞がりましたか?
 彼女の魂や生命力を削り取って、それをクローンの方に渡します。
 ちょっとした傷でも、文字通り命取りになりかねないので、徹底して治しておいてください。
 それも、外部から力を分け与える方法で。
 本人の生命力を使って、無理に治癒させたりしないように」


「…解りました。
 外部の傷は全て塞ぎましたが、念の為に内臓も検査しておきます」


「ベリオ、私も手を貸すわ」


 ベリオとリリィの二人がかりで、ユカとユカ2の体を検査する。
 二人とも意識が無いので、何と言うか睡眠薬で眠らせて体を弄っているように見えなくも無い。
 未亜が参加したそうにしていたが、全員無視。


「…で、大河君の魂がおかしい、と?」


「ええ。
 マスターとセルビウムを連れ帰ろうとした時には、魂は…既に欠けた状態だったけど、こんな事にはなってなかった。
 となると…原因はやっぱりアレか…?」


 居空間を通って帰る際に、トレイターと大河に青い光が纏わりついていたのを思い出す。
 邪神ジャククト。
 大河の友人らしい。
 彼が欠けた魂を治療したのだろうか?
 いや、確かに欠けた部分は補われているが、それは本来あるべき姿ではない。
 どういうトリックを使ったのか、大河の魂と、何が何だか理解不能な魂が融合している。
 例えて言うなら、大河の左腕が無くなって、そこからキマイラ上半身が生えているようなものだろうか。
 加えてキマイラの頭は様々な動物に変化し続ける。
 しかも、継ぎ目に不自然な点は一切無い。


「う…」

『『『!!!』』』

 大河が呻き声を上げる。
 視線が一気に集中した。
 しかし、大河は期待されたように目を覚ましはしなかった。
 残念そうな溜息が広がる。
 大河は微妙に苦しそうに身を捩り。


「や…やめろショッカァ……ぶっとばすそぅ…」


「………どんな夢見てんのかしら」


 丁度横にはルビナスが。
 無言で何やら医療器具を取り出したルビナスを、未亜が強引に押さえ付けた。


「それで、治せるのでござるか?
 ………ん?」


 ふと動きを止めるカエデ。
 イムニティの言葉を、一から見直す。


「…あの、イムニティ殿?
 先程、セルビウムを連れ帰ろうとした時に…と言ったでござるよな?」


「ええ、言ったわよ。
 何であんな所に居たのかはともかくとして、マスターがアイツを庇ってたみたいだから。
 って、そう言えば居ないわね」


「彼なら、先程汁婆に連れて行かれたようですが?
 …イムニティ、大河君の魂が砕けていた理由は見当が付きます。
 多分「セル殿生きてたでござるか!?」…なんですかいきなり」


 硬直の後、思わず叫ぶカエデ。
 実はゾンビじゃないか、とか、いやいやクローンでは、とか色々と意見が飛び交っているが、取りあえずセルが生きていた事は素直に嬉しい。
 が、言っては何だが大事の前の小事である。
 今は大河とユカの事で頭が一杯だ。

 騒ぎが一段落した頃を見計らい、ミュリエルは口を開いた。


「セルビウム君の事はともかくとして。
 恐らく、大河君の魂が砕けたのは、トレイターが折れた事が原因でしょう」

「トレイターが?」

「ええ。
 皆覚えているかしら?
 大河君は、トレイターを根源から力を汲み上げる媒介として使っているのではなく、トレイターに魂を同期させる事で力を得ていた事を」


 言われて思い出す。
 そう言えば、王宮でそんな事を言っていたような気がする。
 しかし。


「…私、そんなの知らないわよ」


「そう言えば、イムニティはあの場には居ませんでしたね。
 それはともかく、魂の同期…と彼は表現していましたが、実際はトレイターにある魂と、大河君本人の魂を融合させる事に近いと思われます。
 つまり、同期している間、トレイターは文字通り大河君の一部なのでしょう」


 ポン、と手と手を打ち合わせるルビナス。
 どうやら理解できたらしい。


「つまり、同期している最中にトレイター…自分の魂の一部がヘシ折られて、トレイターが折れた分だけ魂が持って行かれたって事ね!
 …と言う事は、単純に考えて…魂の欠けた分を補うのは…元々ダーリンの一部であり、手元にあったトレイター。
 でも、それなら魂の波動が変わるなんて事は無い筈…」


 首を捻るルビナス。
 単純化してみれば、以下のようになる。
 元々の大河の魂の量を10としたなら、トレイターの魂は5、そして同期連携を使った場合は15(出力とは別問題)。
 そしてトレイターを砕かれ、持って行かれた大河本人の魂の量は3、トレイターの中にある魂お3。
 単純に計算して、魂の残量は7と2。
 誰がやったのかはルビナスには解らないが、大河の欠けた魂を補おうと、誰かがトレイターを大河に吸収させた。
 が、それでも魂の合計量は9。
 足りない残りの1は、放って置けば魂が徐々に修復され、元通り魂の量は10になる…筈。
 なのに、残りの1に何が何だか解らない魂が入れ込まれている。
 これは…?
 なお、この数値はあくまで仮のものである。


 考え込んでいるルビナスを他所に、大河の顔を覗きこんでいたナナシと未亜。
 瞼がピクン、と動いた。


「! お兄ちゃん、起きてる!?
 意識ある!?」

「ダーリンしっかりするですの!
 もうナナシはゾンビじゃないから、一緒にお墓に入るより一緒に生きてる方が嬉しいですのよ!」

「あっ、こら騒がしくするんじゃない!」


 一気に大河に注目が集まる。
 ベリオとリリィはユカ達の検査をしているが、完全に注意が大河に向いている。
 …リリィの指先が、ちょっと危険な所に突き込まれそうなのは…暫く放置してみるか。
 ユカが喘ぎ声とか上げたら、それで大河が完全復活するかもしれないし。
 …S未亜も復活しそうだが。


「つ…ぁ、いてて…な、何とか…無事か…」


 焦点が定まらない瞳を開けて、状況を把握しようとする大河。
 自分を覗き込んでいる女性達の顔を、一人一人把握する。


「…わり、心配かけた」


 力の無い謝罪に対する返答は、行動で示された。
 未亜とナナシを筆頭に、一斉に抱きついてくる。


「…お、重…」


 流石に人数が多すぎる。
 抱きついてないのは、ベリオ・リリィ・ユカ×2だけだ。


「…ま、何とか目を覚ましたし…取りあえずは安心ね」


「そうね…。
 魂の事は後々診断するとして、今度の問題はこっちか…」


 ルビナスとイムニティが、ユカ達に目を移す。
 大河は抱きついている女性陣を宥めていたが、ユカ達に目を向けて愕然とした。


「ユ、ユカが分裂!?

 ウェイトレスで双子プレイとは、これはもう俺には特効薬というか万能薬ですよ!?」

「師匠ぉ〜、拙者達では不満でござるか〜?」


 …取りあえず、ほぼ完全に復活したようだ。
 怒っているような嘆いているようなカエデが、不満を露にしつつ大河の首をキュッと絞めているが、まぁいいだろう。
 ちなみに大河の言葉が切欠になって、未亜の萌え魂が激しく燃焼しかけたのだが、まぁそれもパス。


「…で、実際の所、どっちが俺達が知ってるユカ?
 そしてもう一方は何方様?」


「そー言えば、詳しい事情を聞いていませんでした」


 改めて眠るWユカを眺める。
 …二人揃って、イイ体をしている。
 同じ双子でも、リコイムとはえらい違いだ。


「…すみませんご主人様、ちょっと出かけてきます」


「私も行って来るわ。
 5分もせずに戻るから」


「え? 二人とも、何処に行くですの?」


 ナナシの問いかけが終わる前に、二人は共同作業で作り出した逆召還用の穴から消えていた。
 何事だ、と問うのはナナシ以外には居らず。
 ミュリエルが神妙な顔で、世の中には知る必要の無い事があると……え?
 なんか騒がし…あれウソ、もう来た!?
 いやちょっと勘亜qwせdrftgyふじこlp;@


「ただいま、ちょっと正義の行いをしてきたわ」


「ええ、セクハラナレーターを潰してきました」


 いい塩梅に血痕とか付いてるんだが、何も言わない。
 黙って二人にタオルを差し出すリリィ。
 血の跡を拭って、本題に戻る。


「えーと、ユカと一緒に行動してたのはベリオだよな?
 何があったんだ?」


「それが…」


 ベリオ自身、全てを把握しているのではないが、戦場で突然ユカ2が現れた所から語り始める。
 独特のペースと言い回しで、何が本当で何がウソなのか今一理解できなかったが、彼女がクローンである事、そしてユカの出生の秘密は本当だろう。


「クローン…か。
 総じて短命なんだが…もう20年近く生きてるとは…」


「相当無茶な延命手段を使ったのね…。
 まぁ、その辺について哀れみとか感じるかはともかくとして。
 彼女…元々謝華グループに居て、それで今は“破滅”に居るのよね?
 と言う事は、前に言ってた謝華グループのクローン培養施設、“破滅”に奪われてるって事?」


「そう…考えるのが妥当でござるな」


 チラリとミュリエルに目をやる。
 暫し考え、ミュリエルは頷いた。
 謝華グループを排除するには、充分な材料だ。
 ユカ2本人の証言の他、“破滅”が謝華グループ関連の施設を使用していると証明できれば、『謝華グループは“破滅”に加担した』と濡れ衣(でもない?)を着せる事だって出来る。

 が、今重要なのはそれではない。


「その子が死に掛けてるのは、あの閃光によるモノじゃないな。
 本人が言ってるように、純粋に魂の問題だろ。
 食らって解ったけど、あの聖銃は未完成品か失敗作、或いは出来の悪いレプリカの類だ。
 似たような機能はあるけど、アレそのものには魂をどうこうするような力は無いよ」


「…? 大河…アンタ、あの閃光が何なのか知ってるの?」


「その話は、将軍達と一緒にする。
 とにかく今はユカ二人の方だ。
 イムニティ、リコ、どうにか出来るんだな?」


「ええ。
 取りあえず、ユカを起こしましょ」


 さっきから静かだと思ったら、いつの間にやらユカは眠っていた。
 激戦の疲れが出たのだろうか。
 揺すってもユカは反応を示さない。


「んー、誰かザメハとか使えない?」


「今時ザメハかよ…。
 まぁ、簡易的なヤツなら使えるだろ。
 お約束のアレで」


「…ああ、アレね」


 意図を察して、未亜は大河に場所を譲る。
 そして、ユカの耳元に口を近づけて。


「はむっ」

「うひゃああぁぁぁ!!!??」

 耳たぶをパクっと唇で咥えやがった。
 奇声を上げて飛び起きるユカ。


「うわ、そう来るか…」


「耳元で『襲うぞ〜』とか言うのかと思ったわ」


「いや、それじゃ寝たフリして襲ってもらおうとか考えるのでは?」


「美味しゅうございました」


 顔を真っ赤にしているユカに、好き勝手に追撃するミュリエル達。
 起き抜けで状況が把握出来て無いらしいユカを、リリィが宥める。
 ちなみに、ユカにセクハラした大河を羨ましそうに見ていた人物が居るが…まぁ、言うまでも無いだろう。

 混乱していたユカだが、まだ手を握ったままだったユカ2に気が付くや否や、即座にベリオに掴みかかった。


「ベリオさん! 様態は!?
 助かるの!?」


「ちょ、ちょっと落着いてください!
 助かりますけど、それは私がやるんじゃなくてリコとイムニティがやるんです!」


 グルリ、と鬼気迫る目で二人のロリッ子を見据える。
 肉食恐竜に睨みつけられているような錯覚を覚えて、リコとイムは慌てて後退する。


「ま、まーまー落着きなさいって。
 心配しなくても、少なくとも命は助かるから。
 体の傷はベリオが治したし」


「体の寿命に関しては、まだ猶予があるから、その間にルビナスにどうにかしてもらいましょう。
 だからそのやたら強い握力で私達の肩をミシミシ圧迫させるのは止めてください」


「あ、ご、ゴメン…」


 慌てて手を離すユカ。
 それでも鼻息荒くしているが、ナナシとミュリエルが何とか宥める。


「して、如何なる手段を用いるのでござるか?
 何やら魂をユカ殿から分け与える、と言っていたでござるが」


「ボクが?
 どうすればいいの?」


 何でもします、と言わんばかりのユカを、ルビナスが手を突き出して制した。
 言っても言わなくても関係ないとは思うが、言っておかなければならない事がある。
 尻込みするような事はないだろうが、心構えを作っておくに越した事は無い。


「気軽に言ってるけど、ユカ。
 魂を分けるって事は、そんなに簡単な事じゃないのよ」


「どんなに難しくても、あの子を助けられるならボクはやる!」

「難しいとか、技術的な問題じゃないのよ。
 まず初めに言っておくけど、魂を分け与える事事態は、それほど難しくは無いの。
 本来なら質の調整とかが必要なんだけど、ここは多分大丈夫。
 十数年の時間で全くの別人になっているとは言え、根が同じモノから産まれたんだからね」


「え? でも、確かあの子、自分用に調整された生命力じゃないと拒絶反応が出るって…」


「魂と生命力は別物よ。
 そもそも、魂を調整するような技術、私達みたいな錬金術師でもまず無理なんだから…。
 リコもイムニティも出来るけど、結構な代償を払う事になるのよね?」


 精霊コンビは黙って頷いた。
 彼女達は書の精霊で、その特権として自分のページ…力を代償にして、奇跡を起こす事が出来る。
 その奇跡は、やろうと思えば魔力や物理の法則を根本から無視できるのだ。
 例えば眼前に居るモンスターを、次の瞬間には綺麗サッパリ消失させる、なんて事も。
 しかし、そのようなやり方では、代償となる力が大きくなりすぎる。
 だから隕石を降らせたり魔力を纏って体当たりしたり、そういう手段で間接的に望みを叶える。


「とにかく、ユカの魂を切り取って、あの子の中に移し変える。
 これがイムニティとリコの役割よ。
 ただし!」


「た、ただし?」


「ユカ、貴女は多分しばらく戦えなくなるわ。
 この子が自分の存在を保つのに必要なだけの魂を削れば、その分ユカが受ける負担も大きくなる。
 再起不能とは言わないけれど、当分マトモに動けなくなる。
 まぁ、それは時間が解決してくれるからいいとして…。

 一番厄介な問題はこっちよ。
 魂を砕かれたり削られたりってのはね、ヘタな拷問よりもずっっっっっっっっっっっっっっっと苦しいのよ!」


「苦しい…って言われても…。
 それは、ボクが我慢すればいいだけの事じゃないの?」


「そうでござる。
 痛みはそれに勝る気迫で押さえ込めばいい、と某十字傷も言ったでござるよ?」


「我慢できるような代物だったらいいんだけどね。
 魂ってのは、ホイホイ千切ってくっつけられるような代物じゃないのよ。
 それを突貫工事でやろうってんだから…。
 ほら、すぐソコに経験者が居るでしょ?
 ちょっと語ってもらいましょう」


 ルビナスが指差したのは、さっきからユカ2を観察していた大河である。
 3サイズを目算していたが、ルビナスから指名を受けたのに気付いて顔を上げる。


「え? 何?
 魂を砕かれた感触?
 そりゃ……」


 言葉を濁す。
 正直、あまり詳しい事は覚えて無いし、思い出せないし、思い出そうとすると893未亜に睨みつけられたかのようにイヤな汗が…。
 記憶があるのは、セルを庇って閃光に向けて同期全開で斬りつけた辺りまで。
 吹き飛ばされそうな圧倒的な圧力を、全身全霊で押さえ込み。
 体に違和感を感じて。
 それでも必死で力を振り絞って…気が付けば、地面に転がっていた。
 人差し指を立て、フラフラと彷徨わせながら表現を探した。

 だが、覚えてない事を言葉で表すなんぞ、出来る筈も無い。


「…その瞬間の事、あんまり覚えてないんだが…。
 トレイターが砕ける直前辺りだろうな、なんちゅうか、体…心?
 とにかく全身に、なんか…違和感が走ったんだよ」


「どんな?」


「むぅ…どんな、と言われても…。
 経験した事のない感覚で…。
 存在しない筈の体…例えば三つ目の腕とか足とか、体の外にある脳や心臓に、いきなり異様な衝撃が走ったような…。
 数値化するなら…。
 S未亜が白化して、散々禁欲した後に物凄く嬲り甲斐のある獲物を目の前に突き出され、さぁお楽しみと舌なめずりしたら横から掻っ攫われた挙句、その主犯だと濡れ衣を着せられた時に感じる、生命の危機・恐怖・狂気を全部乗算…いや、むしろ累乗したような感じ。

 いや、あくまで俺の主観だけど」


 ユカは想像してみようとした。
 よく解らない。

 救世主クラスは想像しようとしなかった。
 未亜本人以外、見事に凍り付いている。

 ミュリエルは懸命にも、途中から耳を塞いでいたが間に合わず凍っていた。


「…怖い…のは解るんだけど、ボクよく解らない」


「私も…。
 でも、もしそんな事されたら、私きっと八つ当たりで世界を滅ぼす


「ああ、やるだろうよお前なら」


 凍りついたままの救世主クラスとミュリエルを放置して、話を続ける。
 きっと再起動した時には、恐怖だけ残してどんな会話が為されたか、綺麗サッパリ忘れているだろう。


「今思えば、アレは魂にヒビが入った感覚だったんだろうな…。
 正直、あれはトラウマ物だ。
 多分、無理に思い出そうとすれば俺は狂乱するだろう。
 ヒビが入っただけでアレだ。
 文字通り切り取るなんて事になったら…」


 さしものユカも、ゴクリと息を呑む。
 我慢するとか、そういう次元の問題ではないようだ。
 最悪ショック死、或いは廃人か。
 …それでも。

 ユカはまだ凍っているリコとイムニティを、胸倉を掴んで正気に戻す。
 そして、有りっ丈の思いを込めて決意を告げる。


「ボクの苦痛なんかどうだっていい!
 お願いだから、ボクの妹を助けて!」


 それこそ魂の底から搾り出したような言葉に、イムニティとリコは圧倒される。
 妹、と言い切った時、意識が無い筈のユカ2の表情が少し嬉しそうだったのは、気のせいだろうか。

 正直な話、人類軍としてはユカ2を助ける必要は無い。
 どちらかと言うと、ユカが戦線離脱してしまう分、損害が大きいくらいだ。

 でも、そんな事を一々気にする人間が、ここに…居る事は居るが、全員凍りついているし。
 ユカの懇願通り、戦力低下を承知でユカ2を助けるか?
 上手く助かり、仮にユカも無事で済んだとしても、ユカ2の憎悪が消える訳ではない。
 再び“破滅”軍に戻り、ユカを付け狙う可能性もある。
 それでも助けるか?
 視線で大河に問いかける精霊二人。
 …まぁ、返答は想像できるのだが。


「…ある王様曰く…『美人の女の子は見捨てない。俺の信念だ』。
 男なら賛同すべきだろう?」


「…信念が通っているには、いるけどやっかいな信念だこと…本当に…」

「私達、女なんですが…」


 女の子とは言わない。
 なぜならもうオトナだから…ロリだけど。


「で、二人とも協力してくれるんだね?」

「はい。
 ご主人様がそう望むのなら、私達はそれに沿って行動するだけです。
 …ご主人様のみならず、私のマスターも望んでいるようですし」

「…赤の主が何を望んでいるか、手に取るように解るわね…」


 ジト目を向けると、未亜はアハハーと笑って誤魔化す。
 ユカ2は手を出したくても何故か出せなかったユカにソックリだし、どうやらこっちにはSモードが発動できるっぽい。
 助かった方が幸せなのか、助からない方が幸せなのか…前者が確実に幸せではあるのだろうが、同時にとてつもなく後悔する事になりそうだ。


「ま、話を聞いた限りじゃ、酷い人生を送ってきたんでしょ?
 このまま死んじゃうなんて、絶対ダメだよ。
 もっと沢山楽しい事経験してから、ね」


「一応確認しておくが、その楽しいはこの子にとって楽しいであって、お前の楽しみと違うだろな」


「むぅ…本人了承済みで楽しめたらいいなぁ」


 臆面もなく言ってのける。
 ユカは未亜とユカ2の間に入り、彼女を庇っていた。


「ボ、ボボ、ボクの妹に手を出したら、ただじゃ済まないからね!?」


「いや何もしないって。
 さっきも言ったけど、酷い人生だった分、これから楽しんでもらわないと。
 追い討ちをかけるようなマネはしないよ。
 ちゃんと立ち治ってからね」


「だからそれをするなと言うのに…」


 半分諦めたように呟くイムニティだった。
 遅ればせながら、何故未亜がこんなに恐れられているのか、ちょっとだけ理解したユカだった。


「さて、それじゃもう少し休んだら治療を始めようかしら。
 ユカ、貴女ももう暫くジッとしてなさい。
 回復魔法で傷は治ったとは言え、体力までは戻ってないでしょう?」


「…まだ6割から7割。
 暫く眠って瞑想すれば、ほぼ全快できるよ。
 ベリオさんの回復魔法って凄いね」


「なら、20分後に治療を始めましょう。
 ご主人様、マスター、他の人達を連れて外に出ていてください」


「え、何で?」


 首を傾げる未亜。
 何か不都合でもあるのだろうか?
 手術するから外に出ていろ、と言いたいのだろうか。
 例えば、何と言うかこう、全身に手術補助用の刺青とかを書き込んで、裸になって魔方陣の上に寝転がれとか、或いは房中術を実践するから見ないように、とか?


「…お兄ちゃん、激しく見たいね」

「うむ。
 今後の参考にな」


 重々しく頷く大河達に、二人の精霊は顔を見合わせて溜息を吐いた。
 お互い困ったマスターを選んだものだ。


「…そういうんじゃないわよ。
 体験したマスターなら解ると思うけど、極力痛みを感じさせないようにとは言え、魂を削り取るのよ?
 その時の衝撃と苦痛と来たら、それこそ喉が裂けるまで泣き叫んでもまだ足りないくらいじゃないの」


「幾らユカさんが覚悟の上と言ったとしても、それを堪えられるかは別問題です。
 あまりの苦痛に表情は歪み、体が勝手に暴れ周り、失禁・嘔吐・吐血・鼻汁、その他諸々女性として見られたくない一面を思いっきり曝け出してしまうでしょう。
 さっさと気絶してくれれば返って楽なんですが、あまりの苦痛に意識がスパークしても気絶だけは出来ないという、実にイヤな状態になる訳です。
 そんな所を見たいですか?」


 言われて思い当たり、納得する大河。
 別段そういう一面を見たからと言って醜いと思う訳ではないが、大河よりもユカの方が見られたくないだろう。
 見届けると言ったとしても、ありがた迷惑と言うものだ。


「わかった。
 それじゃ、みんなを持っていくから…。
 あれ、まだ固まってる」


「よっぽど怖かったんだな…。
 ところで、二人とも。
 さっきの発言で、ユカが微妙に尻込みしてるみたいだが?」


 大河が指差す先には、ちょっとだけ及び腰になっているユカ。
 流石にああまで言われれば、怯みもするだろう。
 それでも止める、とは言い出さないのは彼女の性格からか。

 イムニティとリコは失言だったと口を噤み、顔を見合わせた。
 …そっちには構わず、未亜は凍ったままの救世主クラス+αを馬車から運び出していた。
 どうでもいいが、硬直した彼女達を担ぎ上げて持っていく様は、何となく誘拐の現行犯に見える。
 やはり普段の行いからか。

 暫く黙っていた精霊二人は、改めてユカに向きなおって口を開いた。


「「お花摘みは済ませたか?
  カミサマにお祈りは?
  苦痛にジタバタのたうち回って狂乱する心の準備はOK?」」

「もっと怖がらせてどーすんだバカモノッ!」

すぱんすぱぁん!

「「ッ!?」」


 大河がどっからともなく取り出したハリセンで、思いっきり頭を張り飛ばした。
 無言で頭を抑えて蹲る。
 適当にハリセンを放り出した大河は、ユカに向き直った。


「で、それでもやるんだよな?」


「と、当然だよ…。
 でも、ボクが苦しんでる所…出来れば見ないでね?
 あと、毒薬とかハサミとか、目に見える範疇から遠ざけておいてくれると助かる。
 幾らなんでも、白髪化するような苦しみじゃない…と思いたいし」


「むぅ…死兆星とか見てないよな?」


「ボク、真空波とかで人間切り刻むような真似は……で、出来なくもないかな…技術的には」


 ユカは北斗の拳を読破しているよーだ。
 きっと何時か、無想転生も会得してくれるだろう。

 二人で冗談を言って気を紛らわせていると、リコが涙目になりながら立ち上がった。


「ま、マスター…今のハリセンはなんですか?
 鉄パイプで殴られたみたいに痛いんですけど」


「鉄パイプって…お前、アレただのハリセンだろ。
 ATK+1000とか攻撃回数3回とか付けてるんじゃあるまいし、そんなに効く訳がないだろ。
 まぁ、世の中には鉄パイプ持ってラスボスに殴りかかるツワモノ…やったヤツ結構沢山居ると思うが…も居るが」

「ああ、鉄パイプはいいよね。
 何か黒いと言うか、剣じゃない分物凄くリアリティーが…。
 まぁ、アヴァターじゃ鉄パイプより剣がリアルだけど」


 余計な突っ込みを入れて、未亜がナナシを持って外に出た。
 これで全員運び出した事になる。


「お兄ちゃん、皆どうする?」


「もうちょっと放っておいて、意識が戻らなかったら抱えて将軍達の所に行こう。
 聖銃に関する話もせにゃならんし…。

 ほら、リコもイムニティも、いつまでも涙目になってるんじゃない!」


 尚もブツブツ文句を言う精霊二人も、気を取り直して治療の準備に入る。
 頭を摩りながら、リコは少し考える。
 先程も言った通り、ユカが痛みのあまり暴れだす可能性は高い。
 ここで治療を開始するのはよくないだろう、何せ馬車の中だ。
 ユカが狂乱した日には、馬車の一つや二つ軽く破壊できる。
 何処かの天幕の中で、防音結界を張り、更に暴れるユカを拘束する為の結界も準備しなければなるまい。


「イタタ…何処か空いている天幕はありませんか?
 出来ればそこそこスペースが空いているといいんですが」


「ああ、それならちょっと探せばその辺にあるだろ。
 慌しく撤退したからな、指揮系統も多少は混乱してるし、作ったはいいが何故か誰も入ってない天幕って結構あるんだよ。
 文句を付けられたら、救世主クラスがドム将軍に許可を取って使ってる、って言えばいいから」


「いいのかなぁ…」


 ユカは首を傾げているが、規律なんぞより彼女の妹を優先するのは誰の目にも明らかだ。
 こういう時にこそ、救世主クラスの特権は使うべきである。


「さて、それじゃ俺達はドム将軍達に会ってくる。
 三人とも、上手くやってくれよ」


 無言のサムズアップを返答に貰い、大河は馬車の外に出て行った。
 さっきまで倒れていたのに、元気な男である。


「さて…それじゃ、ユカはちょっとここで待ってなさい。
 さっきも言ったように、もう一眠りしててもいいわよ」

「あんなに脅かされたら、神経が高ぶって眠れないよ…」


 などと言いつつも、ユカは横になって目を閉じた。
 それだけでも大分違う。


「それでは、私達は空いている天幕を探しに行ってきます。
 言うまでも無い事ですが、別行動ですよイムニティ」


「アンタと同行したら、効率が極端に落ちるから当然よね」


 それは足を引っ張ると暗に言っているのか、単にいがみ合いながら探すからか。
 何れにせよ、別々の場所を探した方が効率がいい。

 丁度いい天幕を発見したら呼ぶ、と言い残して、二人は出て行った。
 残されたユカは、未だに眠り続けるユカ2を見て、絶対に助ける、と決意を新たにした。


「…キミの名前…教えてもらわないとね」


 イムニティと分かれたリコは、フラフラ歩きながら天幕を見て回っていた。
 戦場を幼女が歩き回っているのだから、奇異な眼差しを向けられたが…皆それぞれ忙しいらしく、怪訝に思っても声をかける者は居ない。


(イムニティは、姿を消しているんでしょうね…。
 救世主クラスの一人にソックリな人間が居たら、それこそ偽物だと騒がれかねませんし…)


 ユカ2という例もあるし、クローン扱いされるかもしれない。
 そして、クローン生成技術を持っているのは、現在の所“破滅”と、或いは謝華グループのみ。
 どちらも敵と言っていい。

 歩き回っていると、大分修復された列車が目に飛び込んできた。
 魔力を使わない機械の事は専門外だが、この程度の構造ならまだ把握できる。
 今のアヴァターにとっては最先端技術の結晶だろうが、かつてアヴァターで栄えた文明に比べれば、児戯に等しい。
 魔導兵器等に比べれば、それこそ豆電球の構造と大差ない。


(魔導兵器、ですか…。
 あの閃光も一種の魔導兵器なのでしょうか?
 しかし、アレは明らかに異質な…そう、異質な文明によって作られたモノ。
 アヴァター産なら必ず付着する、独特の匂いや気配が無い…。
 ご主人様は、アレの事を知っている…?
 つまり、ご主人様やマスターが居た世界で作られたのでしょうか?)


 正直言って、あの閃光が降り注ぐのを見て肝を冷やした。
 かつて魔導兵器が使用されたのを見た事があるが、あの時でさえこれ程の危機感は覚えなかった。
 一体あれは何なのか…。


 そこまで考えて、リコは足を止めていた自分に気付き、また歩き出した。
 大河は空いている天幕は意外と多い、と言っていたが、そうとばかりは言えないようだ。
 確かに過剰なくらいに人が密集している天幕もあるが、誰も居ない天幕は中々無い。
 あっても中には武器防具が満載されていて、とてもではないが治療に使える場所ではない。

 イムニティがもういい所を見つけていたら癪だな、と思いつつ、リコはまた天幕を覗き込む。


「! こ、これは!」


 宝の山が其処にあった。
 宝と言っても、貴金属の類ではない。
 ぶっちゃけ兵糧である。
 決して上等ではない食べ物ではあるが、よくよく考えてみれば、リコは今日一日満足に食事を取ってない。
 それこそ天の恵み、文字通りお宝に見えてもおかしくないだろう。

 フローリア学園のハラペコ幼女のサガが騒ぎ出す。


「く…お、落着きなさいリコ・リス…。
 これは私の為のご飯ではありません、兵の皆さんの為の兵糧です。
 ここで私が食い散らかした日には、唯でさえ敗走で士気がガタ落ちしている皆さんが暴徒と化してもおかしくありません。
 それに摘み食いはまだ許容範囲ですが、盗み食いはダメです、プライドが許しません。
 せめて奪い取って食べなければ…あ、コレいい匂い…って、そうじゃないでしょう!」


 ダメだダメだと言い聞かせつつも、リコの体は勝手に食料を物色しようとしてしまう。
 これではいかんと方向転換しようとするが、180度回転して出口に向かう…と思ったら、もう180度回転して結局兵糧庫の中に向かってしまう。
 リンゴに伸びる右手を左手で抑えようとするが、左手は抑えるどころか同じように大根に伸びる始末。
 さすが赤の精霊、理性よりも感情や情動が優先されるらしい。


「だ、ダメです、ダメですってば!
 ご主人様に怒られます!
 と言うか、ちょっと摘み食いしただけで私が満足する筈が無いでしょう!
 すぐに歯止めを失って、某ピンクの悪魔よろしく食いまくるに決まっています!
 あ、自分で言ってて情けなくなってきました…なんて言ってるウチにもリンゴがもう手の平にぃぃ!?」


「……何やってるの、リコさん…」


 誰も居ない兵糧庫の中、一人で謎の踊りを踊っている(ように見える)リコに、背後から声がかけられた。
 振り返れば、呆れた顔のツキナが立っている。


「も、申し訳ないですが…私を此処から連れ出していただけませんか…?
 多分、体が抵抗すると思うのですが…」


「? はぁ、まぁいいけど」


  …結果、リコは本当に謝りながらも抵抗し、エサ…と言うか囮としてリンゴを一個与えて、食べている間に連れ出したそうな。


「で、どうしたの?」


「はぁ、かくかくしかじかで、何処か空いている天幕を探しているのですが…」


「ああ、それなら機構兵団の天幕がもうすぐ空くよ。
 使う?」


「いいのですか?
 確か、皆さん二日酔いでノックアウトしていたと思いますが」


「全員って訳でも無いし、お酒は大体抜けたから大丈夫。
 明日に備えて、色々準備しないといけないから…。
 外に出て、シュミクラムの動作の調整とかするの。
 だから天幕も空く訳よ」


「明日の準備…。
 例の巨大無限召還陣の破壊…いえ、無力化ですか」


 本来なら今日の午前中辺りに実行される筈だった、無限召還陣破壊作戦。
 二日酔いで一日延期とは情け無いというか言語道断だが、結果的にはこれでよかったのかもしれない。
 あんな閃光が乱れ飛んでいては、憐は無限召還陣を無力化するような事は出来まい。
 無限召還陣の爆発が観測できないと言う事は、あの閃光が直撃するような事は無かったのだろうが…。


「それじゃ、私はもう行くね。
 多分明日は、戦闘系では一世一代の見せ場になるだろうし…。
 やれる事はやっておきたいの」


「リヴァイアサンとの戦いでは、ツキナさんは全然動きが無かったですからね」


「それは私の責任じゃないけど。
 天幕はあと10分もすれば空くから。
 出来るだけ壊さないでね?」


「善処します」


 ユカをどれだけ効率的に抑え込めるかが、最大の要点である。
 機構兵団が帰って来たら、天幕内部が滅茶苦茶に荒らされていた…なんて事が無いようにしなければ。


 ともあれ、とにかく場所は確保できた。
 早い所戻って、ユカ2の治療を始めよう。


 天幕に戻ってきたリコを出迎えたのは、優越感に満ちた笑みを浮かべるイムニティだった。


「フン!」

「へぶっ!?」

 取りあえず鉄拳。
 出会い頭の一発に、反応する間もなく眉間にストレートを貰うイムニティ。


「な、何故…?」


 あまりにも直球と言うか原始的なリコの行動に、反撃も忘れるイムニティだった。

 気を取り直して、リコはユカを見る。
 熟睡中だ。
 言った通り、体力の回復に努めているらしい。
 なら、態々起こす必要も無い。


「…で、何処かにいい天幕はあったの?」


「機構兵団が貸してくれる、との事です。
 …しかし、機構兵団の天幕と言う事は、やはりシュミクラムに関する専用の機材や、何よりルビナス特製の弾丸とかが格納されているでしょう。
 正直、ユカさんを治療するには向いてないと思われます」

「…ハッ」

「フン!」

「あきょっ!?」

 鼻で笑ったイムニティの眉間に、もう一発ストレートが叩き込まれた。
 しかも、今度は中指の第二間接を尖らせている。
 良い子も悪い子も普通の子も、あとオトナも真似しないように。
 ヘタすると死ぬからね。
 眉間に入らなくても、目玉に当たったら失明くらいするからね。

 額を抑えて転がり悶えるイムニティを傲然と見下ろして、リコは報告を促す。
 涙目のイムニティは、『コイツ本当に性格変わって…』と、自分の事を棚に上げて嘆いていた。


「イタタ…。
 き、救世主クラスに、専用の天幕が宛がわれたのよ。
 人数が人数だから、中ぐらいのが3つ。
 一つを私達で使って、残り二つに皆を押し込めれば大丈夫でしょう」


「…そういう事は早く言いなさい。
 それでは、早い所二人を逆召還で運んでしまいましょう。
 位置の誘導は任せます」


「はいはい、何でアンタが仕切ってるのよ…ああいやいや、文句は無いから拳を解いてちょーだい」


 今度はフリッカージャブの練習までし始めたリコを見て、何だか自分がリコより下に位置づけされている気がしてきたイムニティだった。


 一方、こちらは大河達と将軍達。
 凍った救世主クラスを何とか解凍して、さてこれから事態の把握に移ろう、という状態である。


「さて…。
 まず、それぞれの戦果を報告してくれ。
 何か変わった事は…あの閃光以外には無かったか?」


 戦果と言っても、普通の魔物達はその中に数えない。
 一々数えていたらキリが無いからだ。


「拙者達の所は、特に目立った敵は居なかったでござるな」

「そうよね」

「右に同じく」


 これはカエデ、リリィ、未亜。
 まぁ、そういう事もあるだろう。
 戦線を圧されない為に方々へ戦力を散らしているので、強敵が来ない事も充分考えられる。


 次の報告は、ルビナス・ナナシ・ミュリエルだ。


「私達は“破滅”の将の一人と交戦し、これを無力化する事に成功しました。
 ロベリア・リード…空に写った四人の内の女性幹部です」


「“破滅”の将を?
 それで、どうなった?」


「トドメを刺す暇も無く、例の閃光が降り注ぎ、生死までは確認できていません。
 ですが、あの閃光が彼女の間近に着弾していたので、まず生きてはいないかと…」


 シレッとした顔でウソを吐くルビナス。
 その後ろでは、ミュリエルがナナシに余計な口出しをさせないように抑えている。

 如何に元救世主候補で、ルビナス達の戦友と言えど、今のロベリアは“破滅”の軍の副幹だ。
 殺せば“破滅”軍には相当な痛手となるだろう。
 ならばそれを実行するのが軍であり、ロベリアを殺したくない、と言うのはナナシ達の我侭に過ぎない。
 それを貫き通す為にウソを吐くのは、明らかに軍規違反、ある意味では利敵行為である。
 露見したら、救世主クラスと言えど相応の罰…ヘタをすると極刑を食らう。

 報告を聞いたドムは、何かが引っ掛かったのか、ルビナスを直視する。
 視線を受けたルビナスは、ドムの視線を真っ向から受け止めた。
 威厳に圧されているのでもない、本当に自然体の目。
 『ロベリアは死んだ』と、自分に暗示でもかけたのだろうか?


「ドム君」


「む…」


 タイラーに窘められて、納得行かないながらも矛を収める。
 実際の所、ドムもタイラーもルビナスにそれなり以上の信頼を置いている。
 そのルビナスがこう言うのだから、それは真実か、或いは言わなくてもこちらの害にはならないと言う事だろう。
 軍としては見過ごせないが…。


「…まぁ、いいじゃないか。
 それじゃ、次の報告聞かせて」


「はい…私の所は、えぇと、何と言えばいいのでしょうか…」


 ベリオはどう説明したらいいのか、言葉を捜して口篭った。
 単純に言えば、“破滅”軍に付いたユカのクローンとユカが戦って、決着が付く寸前に閃光が降り注いで勝負無し。
 そしてユカはクローンを助けるため、現在治療の準備中。
 ただそれだけなのだが、背景も含めると酷く話がややこしくなってくる。
 そもそも、何処まで将軍達は把握しているのだろうか?
 この二人はアザリンやクレアに全幅の信頼を置かれているようだし、かなり突っ込んだ所まで聞いていてもおかしくないが…。


「…言いにくい事でもあるのか?」


「いえ、少々事情がややこしくなっていて…」


「ああ、それなら戦場で何が起きたか、箇条書きにしてくれるだけでもいいよ。
 今必要なのは、戦況を把握する事だから」


「そうですか…。
 それでは…最初は普通の魔物しか相手にしていませんでした。
 ですが、途中でユカ・タケウチのクローンが現れ、彼女に戦いを挑んだのです」


「「クローン?」」


「何でも、ずっと謝華グループか何処かの施設でモルモット扱いされていて、施設が“破滅”に奪われた際に、『ユカを殺す事を条件に外に出してやる』と持ちかけられたようです。
 本体…というのもおかしいですが、ユカさん本人に強い憎悪を抱いていたらしく、やる気満々……いや、何を考えてるのかサッパリ理解できない態度でしたが、そのままユカさんと交戦。
 この辺りは、兵の皆様も拝見している筈です。
 私はその間に、“破滅”軍の暗殺者らしき敵達を掃討していました」


「暗殺者…強かったか?」


「? いえ、確かに奇襲は少々厄介でしたが、それ程では…」


「そうか…ヤツは出てきてないのか…」


「? そしてとうとう決着、と思われた瞬間、例の閃光が飛来し、ユカさんとクローンを襲います。
 私はその瞬間を見ていませんでしたが、あわや直撃すると思った瞬間、クローンがユカさんを思い切り殴り飛ばして、その射線から強引に外しました。
 クローン自身も直撃は免れたらしく、倒れていました」


「…まだ生きてる?」


「ユカさんが、『ボクを助けてくれたんだから、きっとこの娘は敵じゃない』とか主張して、ここまで連れて帰ってしまいました。
 なお、今はクローンは昏睡状態…放って置けば確実に死に、現状では例え意識があっても動く事すら出来ません。
 今、リコとイムニティが治療に当たっています。
 何も殺す必要は無いし、何より殺したりせずに色々と情報を聞き出すのが上策かと」


 事実ではあるが、上策かどうかは別問題だ。
 ユカ2の戦闘力は、ユカ本人を超えてこそいないが、充分に桁外れである。
 一対一の接近戦でこそ遅れをとっても、仮に一対多数の乱戦なら、確実にユカ2に分がある。
 あの大砲のような気砲を乱発するのは、ユカにも真似できない。
 もしこの陣地の中で狙いも付けずに乱射しようものなら、それだけで大打撃を受ける事になる。


「…解った。
 でも、一応拘束はしておいてね?」


「はい、後で結界を張っておきます」


 ベリオは、ユカ2を助ける為にユカが行動不能になる可能性を告げなかった。
 流石に反対されるだろうから、余計な事は言わないに限る。
 ベリオとしても、ユカ2がこのまま死んでいくなど願い下げだ。


「では、最後に大河。
 お前が“破滅”の将と交戦し、その後あの閃光の発射元へ向かったのは解っている。
 持ち場を離れた事は後々追求するとして、何があったのか報告せよ」


「…はい……少々長くなりますが、あの閃光の事とかについても話しますか?」


「うん、何か知っているならお願い」


 頷かれて、大河は暫く考える。
 取りあえず、無道と交戦した所から話す事にした。


「戦闘開始した後、予定通り誘導された八逆無道と遭遇し、交戦。
 先に言われていた、妙な光沢を放つ肌ですが、同調したトレイターを使えば問答無用で跡形も無く消し飛ばせました。
 暫く観察していましたが、そこから再生する様子は見られません」


「……師匠…」


 カエデは少し複雑な気分である。
 一度は殺した父母の仇を、師たる大河が斬り捨てた。
 最初に無道を殺した時、カエデの中で何かが終わった。
 それは復讐から解き放たれた証だったのかもしれない。
 しかし、再び無道が目の前に現れると、終わった筈の何かが小さく疼いた。
 それを沈める為にも、もう一度自らの手で屠ってやろうと思っていたのだが…。

 大河は手を伸ばして、カエデの頭を撫でてやる。


「…大河、確かにそれは死んでいたのだな?」


「? はい。
 少なくとも、俺の攻撃で吹き飛ばされながら、ヤツが挽肉みたいになるのを確認しました。
 もう跡形も発見できませんでしたし。
 正直言って思い出したくありませんが…。
 何か?」


「いや、後にしよう。
 報告を続けてくれ」


「は。
 無道を殲滅した後、今度は何やら…えーと、ナルシストなんだかよく解らない仮面の男と交戦。
 これは…倒せると踏んだ瞬間、突如例の閃光が襲来し、取り逃がしました。
 あの閃光を止めねばどうにも出来ないと判断し、シェザルの相手は一旦切り上げて、閃光の発射元に向かいます。
 その時、何故かシェザルも閃光の発射元へ向かっていました」


 その後は、もう知っての通り。
 セルに道を阻まれ、戦う羽目になった。
 大河はセルが“破滅”に付いた理由も説明する。


「アルディアさんが、“破滅”の軍…!?」

「ああ、何で彼女が“破滅”に付いたのかは、セルから聞き出すしかないだろうな」


 救世主クラスにはショックが少々大きかったようだ。
 ミュリエルも頭を抑えている。
 ただ一人の少女を護る為とは言え、寝返りは寝返りだ。
 “破滅”を憎むミュリエルとしても、フローリア学園長としても、正直ショックを隠せない。

 だが、一番ショックが大きいのは彼女だろうか。


「エレカが…クローン…。
 そしてもう死んでる、ですって…!?」


 アルディアのクローン達の事を聞かされたリリィである。
 少なくとも、エレカはリリィを騙してはいなかったのだろう。
 植えつけられた記憶の中で、家族が魔物に人質にされているのは事実だったのだ。
 その後、彼女は刷り込まれた命令に従って、救世主クラスから逃げ出した。
 そしてある程度離れた場所で、自分の時間を死ぬまで過ごしたのだろう。
 その過ごした時間が、本人にとって楽しいものであったのか、或いは自分の存在意義すら見失った空虚なものであったのかは、もう誰にも解るまい。


 大河はタイラーに催促され、話を続けた。
 セルを庇って、トレイターが折れるシーンまでを説明する。


「…と言う訳で、何とか聖銃の砲撃を耐え切った訳です」


「…聖銃…それがアレの名前か」


 自然と大河に注目が集まる。
 あの閃光が何なのか、気にならない訳がない。

 大河は暫し迷う。
 説明するのはこの際吝かではないが、彼の銃はアヴァターとは全く違う世界観に基づいて作成され、稼動している。
 大河も聖銃については殆ど理解していないし、それ以前に7つの世界云々まで話すべきか?
 ここアヴァターが根の世界である事までは、将軍達も知っている。
 しかしその外にも世界がある、などと言って信じられるか?


(…いや、そこはこの際大して重要な所じゃないから、脇に退けておくだろ。
 今必要なのは、聖銃に関する情報だけなんだからな)


「説明する前に、セルを呼んでください。
 多分、ああなったアルディアさんを止められる可能性が最も高いのは、アイツです」


「ヤマモト君、悪いけど一っ走りしてきてくれるかな?」


「了解しました。
 放送をかけて来ます」


 数分後、迷子のアナウンスが響き渡ったそうな。
 なお、セルの本名を出すとフローリア学園の生徒を中心として混乱が起きそうなため、セミビーム・ボルトなる偽名を使った挙句、来ないと大河がアルディアさんにある事無い事バラす、と脅し付きだったそうな。


 再び場面は移って、ユカ2の治療現場。
 救世主クラスに割り当てられた天幕は、割と広い。
 それだけ優遇されていると言う事ではあるのだが…狭い所に押し込めると洒落にならない騒ぎを起こすから、という意図を読み取ってしまうのは邪推だろうか?

 それはともかく、天幕の中心部にはユカが座っていて、その下には何やら物々しい魔方陣が描かれている。
 更に言うと、ユカの手足には罪人よろしく鎖が繋がれていた。


「…ねぇ、この鎖、本当に必要なの?」


「念のためです…と言えればいいのですが、ユカさんの身体能力を考えるとこのくらいは…。
 魂を砕かれる衝撃を甘く見ないでください。
 極端な話、生物学的に言って正気を保っていられる筈が無い、と言い切れる程なんです」


「こらリコ、いちいち脅してんじゃないわよ。
 それより、早い所防音結界張りなさい。
 私はこっちで手一杯だから」


「む…解っています」


 リコは指示されるのも不本意だと言いたげに、さっさと仕事に移る。
 イムニティは、ユカ2を中心としてやはり魔法陣を描いている。
 こちらはユカ2に魂を移植する為の魔法陣で、ユカの足元にあるのは拘束の為の魔法陣だ。


「…あのさ、ボクが本当に暴れだすんだとすれば、こんな鎖じゃ間に合わないと思うよ?
 こんな鎖くらい、軽く…とは言えないけど、やろうと思えば引き千切れるから」


「それは単なる鎖ではありません。
 千年もの間、錆びも劣化もせず、延々とイムニティを封じ続けた特別製の鎖です。
 ユカさんを拘束するため、急遽持って来ました」


「イムちゃんの…?
 あ、そうか千年前に…」


「そういう事よ。
 その頑丈さは、千年の経験を以って不本意ながら証明させていただくわ」


 あからさまに不機嫌顔になるイムニティ。
 ユカが苦笑している間に、リコの防音結界が発動した。

 もう一度魔法陣をチェックし、手順を確認する。


「魔法陣には支障なし。
 さて、手順を確認するわね。
 まずユカ、そうね…まず手に思いっきり意識を集中するの」


「意識を手に? 何で?」


「集中するのは、意識でなく気や魔力の類でも構いません。
 要は、そこに『何か』が集まればいいんです。
 ユカさんの全てをそこに凝縮させるくらいのつもりで集中すれば、その意識の変動に応じて魂もソコにある程度集結します。
 その集結した魂を、私達で切り取ってクローンさんに移植する訳です」


「…ボクの全てを、か…」


「生半可な集中じゃいけないわよ。
 血管切れるくらいは当たり前、くらいに思っておかないと。
 何かいい集中方法でもある?」


 ある事はある。
 ただ漠然と意識を集中させるより、拳を全力で握り締める方が、それよりも気を凝縮させる方が、更にそれよりも氣を注ぎ込む方が集中を増す事が出来る。
 ユカにとって最高の集中方法とは、氣をそこに無理矢理凝縮させる事だ。
 しかし…。


(…多感症、出てきちゃうな…。
 そんな事言ってる場合じゃないんだけど)


 感覚が鋭敏になるのだから、苦痛も数倍になるのだろうか?
 しかし、敏感になるのは肉体であって魂ではないし…。


「…ま、いいか。
 今はボクよりもあの子の事だもんね」


「何だか知らないけど、覚悟を決めたみたいね。
 準備はいいかしら?」


 ユカはユカ2を見やり、力強く頷いた。
 それを見て、イムニティとリコは顔を見合わせる。


「それでは、私はユカさんの拘束を担当します。
 イムニティは、魂の切り離しと移植は任せます。
 千年貴方を拘束した鎖、出来れば見たくも無いでしょう?」


「いちいちイヤな事を思い出させないで。
 …まぁいいわ。
 それじゃ、始めるわよ。
 ユカ、集中を」


「うん…」


 ユカは鎖に繋がれたまま立ち上がり、自然体となり、目を閉じる。
 その状態から、幼い頃からずっとやってきた吐納法…空手の呼吸を始める。
 腕を軽く曲げて両拳を腰の辺りまで持ち上げ、深く深く息を吐き出す。
 戦闘中なら一瞬で気を練り上げるが、今はゆっくりと、確実に、そして膨大な気を練り上げていく。
 イムニティとリコでさえ、息を呑むほどに強烈な気の奔流がユカの中を駆け巡っている。


(と、とんでもないわね…召還器も無しに。
 人間ってここまで極められるの?)


(私としても信じがたい思いですが………。
 ユカさんが特別なのでしょうか…)


 集中を乱さないように小声で会話する二人を他所に、ユカは充分な気を練り上げたと判断したのか、今度は深く腰を落としながら息を細く細く吐き、両掌を向き合わせながら胸の前に持ってきた。
 半眼で掌と掌の間を見つめ、全身に満ちたエネルギーを徐々に掌から放出していく。
 掌の中心部には、気が放出される孔がある。
 そこから放出された気は、掌の中心部でぶつかり合って、そこに留まる。
 徐々に徐々にその気は増えていき、また圧縮される。

 見ている精霊二人にしてみれば、正直言って肝が冷える思いである。
 こんな気の量、人間が扱える代物ではない。
 いつ暴発させるか、とてもとても心臓に悪い。


(…イムニティ、私は拘束の前にあの気を何とか霧散させます。
 暴れだしたユカさんに張り飛ばされないように)


(…ちゃんと仕事しなさいよね、リコ…)


 高圧縮された気は、ユカ曰くの氣に姿を変え始めた。
 一箇所に留められ、集められた氣は、従来の気よりも遥かに強い輝きを放つ。
 元気玉を連想するような輝きである。

 ユカの体は、猛烈な汗で濡れている。
 それ程に強烈な集中をし、尚且つ膨大な氣を暴走させる事無く操っているのだ。
 それだけでも瞠目に値する。
 しかし徐々に体力の限界が近付いているのだろう、体の各所が痙攣し始めている。


「…そろそろね。
 リコ、切り離すわよ。
 サポートお願い」


「準備は既に出来ています。
 魂を切り取ったら、すぐに後退するように」


 リコは、何やら逆召還の術を使おうとしている。
 どうやら、ユカの集めた氣を居空間に放り出す腹積りのようだ。
 確かに、それが一番確実な方法だろう。


「行くわよ……!」


 自らの手をアストラルサイド…精神世界へ干渉させ、ユカの氣に触れる。
 そこには意図した通り、充分な量の魂が流れ込んで来ていた。
 後はこれを切り離すだけ。
 ゆっくり切ると苦痛を長引かせるだけだ。
 ここは一気に切り裂くべき。

「ッ!」

 無言の気合一閃、イムニティの手が氣の塊をすり抜ける。
 それと同時に、リコが逆召還でユカの手の中の氣を居空間に放り出した。
 その瞬間。


ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!


 声にはならない。
 自分が叫んでいる自覚すら無かろう。
 声無き声で叫ばれた、文字通りの魂の絶叫はそれだけで精神に響く。

 体中の穴という穴を限界まで見開き、全身をこれ以上ない程緊張させて仰け反っているユカ。
 ちゃんとトイレに行っていたためか、今の所失禁とかは無い。
 しかし、そう遠くない内に漏らしてしまうと思われる。


 イムニティは手の中の魂が充分な量を持っている事を確認すると、バックステップでユカを睨みつけながら距離を取る。
 それと入れ替わりに、リコが前に出て床の足元の魔法陣を起動。
 更に同時に、ユカが凡そ人類に発音可能なのか疑問を持つくらいの悲鳴を上げながらのたうち回り始める。


「!!!!!」

「ヒッ!」


 振り回した拳が、リコの顔面に直撃コース。
 魔法陣の効果が出て、ユカの動作が少しだけ鈍った。 
 そのお陰で、何とかリコは紙一重で避ける事に成功する。
 しかし拳圧だけでも、リコは横っ面を張り飛ばされたかのような衝撃を覚えた。
 痛みのあまり体のリミッターが外れかけているのかもしれない。

 若干怯みながらも、リコはユカの手足を絡め取っている鎖に魔力を流した。
 千年もの間白の精霊を封じ込めてきた効果は伊達ではないらしく、ユカは鎖に引きずられて地に伏せる。


「!!!!!!
  !!!!!!!!!!!」

 苦痛のあまり、爪が割れるのも構わず地面を掻き毟り、悶え続けるユカ。
 何とかしてやりたいが、これでは近付く事も出来ない。
 こんな状態でも、リコの体を吹き飛ばすくらいの力はあるのだ。
 何とかして気絶させようにも、痛みが強すぎて気絶すら出来まい。
 せめて肉体の苦痛だけでも紛らわせようと、リコは麻酔効果のある魔力の針を生成し、ユカに向けて打ち込んだ。


 さて、イムニティの方は…。
 ユカの想像以上の暴れっぷりに肝を冷やし、浮かんでいた冷や汗を拭う。
 アレに一撃されていたら、ユカ2の治療どころではなかった。
 痛みに任せて体を動かすだけで、気砲の類を使わないのが唯一の救いか。


「さて、この魂をこの子に埋め込んで、私もユカの拘束に回らないと…?」


 ユカ2を見て自分がやるべき事の手順を再確認し、さて実行と思った所で、イムニティはふと動きを止めた。
 違和感…違う、既視感。


(この魂の波動は…?
 いや、でもこれは確かにユカの魂。
 なら、なんでこの魂は……?
 本当にコレ、埋め込んじゃって大丈夫なの?)


 気付いた事実に混乱し、やるべき事に疑いを持つイムニティ。
 しかし、こうしている間にも、手の中の魂は徐々に散り始めている。
 このままという訳にもいかないだろう。


(…ユカから切り取ったんだから、これは確かにユカの魂!
 ちょっとばかり疑わしくても、これは事実。
 ならこの子に埋め込む事を迷う理由は無いわ!)


 自分の中の迷いを断ち切って、イムニティはユカ2の元に駆け寄った。




恋姫無双、楽しいッス!
いや楽しいと言うか…恋の長門的無表情(慣れれば意思疎通可能の意)に萌え、愛沙のヤキモチに萌え、星に笑い、翠のオロオロに萌え、華淋がツンデレとは思わなかったぁぁ!!!
いや、華淋についてはある程度予想してましたがね。
だって高飛車・金髪ツイン・Sの3拍子揃って、あの主人公ラヴな連中ばかりのゲームでの位置づけっつーたら…。
細かい点は色々ありますが、キャラがイイ感じw

個人的に久々のヒットです。
戦闘はオマケ程度と割り切れば、そこそこ笑える萌えゲームかと。
二次創作書いてみようかなぁ、と思ったのですが、ハーレムエンドの粗筋が考えている話とピッタリ一致してしまったもんで…。
やるんだったら、再構成よりも描かれてない2ヶ月間かな。
というか、実は今ちょっと書いてます…微妙に大河君が出張っていたり。
でもネットワーク関連じゃありません。
続き物になる可能性は低いですけど。
…双魔伝?
プロットが無いSSって、こんなに書きにくいんですね…。
…というか、ファンディスク出して欲しいデス。


1.パッサッジョ様
ロベリアの不幸はまだまだ続きますw
それが彼女が彼女たる所以…かな?
復活は…何時になるかな…とりあえず回復はあっさりしましたが、同期連携は無理だし…。

無道だけじゃなく、シェザルもそんな感じなんですよね。
うーむ、どうしたものか…殆ど不死身じゃん…。

ええ、ユカ2もアルディアも幸せになってもらわねば…。
しかし、アルディアの最終的な扱いがマジで難しいッス。


2.nao様
うーん、トレイターに関しては色々とややこしいですからねぇ…。
一応、大河本人の魂が一つだけ、という事になっているんですが…。
ああ、自分でもこんがらがってきました…。


3.YY44様
実際、バランスを取るのが難しいです。
強い能力を出したら、それと対応するように強い敵を出しての繰り返し…。
風呂敷が何処まで広がるやら…。

神の規模…神…かなぁ、アレは…?

そういう事はよくあります。
ありますが、私は全く気にしません!
現にFateやってないのに、あっちこっちで読んでますからねw


4.竜の抜け殻様
何せ聖銃ですからねぇ。
神との戦いは、多分かなり特殊なものになると思います。
思いっきり期待を裏切ってしまうかもしれませんが…。

ユカ2はともかく、アルディアは本気でどうしよう…。


5.ソティ=ラス様
聖銃によってトレイターが折れるのは、かなり前から考えていました。
流石にデビルガンダムは考えてませんでしたけど…。

まぁ、何だかんだ言っても、セルの扱いは甘い方ですね。
仕方ないと言えば仕方ありませんけど…。

デートイベントは、アルディア&セル編が終わった辺りに、透も含めて色々やろうと思っています。


6.悠真様
スペック聞くだけでも反則級ですからねぇ、聖銃ってのは…。
ああ、救世主の件があったっけ…忘れてた…。
まぁ、一応主本人の手でもう一方の主を殺さなければ条件を満たせない、との事でしたしね。

召還器に再生…召還器は救世主候補達の魂を元に作られているし…。
一応、魂はある程度活性化していれば自分で再生できる、という設定です。
“あの剣”はちょっと違った所で出てくる予定です。
予定なのですが……どうやって登場させよう…。

デカブツばっかり出てきてるから、“破滅”の将の影が薄いなぁw


7.竜神帝様
相手が相手ですからね、砕けても不思議は無いかと。
一応、アヴァターにはネットワークは手付かずなんですよね。
理由は色々ありますが…どれも自分でも納得できる理由じゃないんですよねぇ…。

恋姫無双、クリアしました!
イイキャラ満載でしたねw


8.イスピン様
誰でしょうね、ネットワークの会員…。

「青」の力は、この際置いておく方向に…。
最後の最後に竜を倒すのは、いつだってただの人間です。
英雄と呼ばれていても、不思議な力なんか持たないただの人間ですから。

ウチのPCも、前からDVDを読み込まない事があるんですよねぇ…。
やっぱり修理に出すべきか…。


9.蝦蟇口咬平様
無数の救世主に加え、このトレイターは合体してないですしね。

ジャククトも、色々舞台裏で動いているんです。
…まぁ、ちょっとくらい趣味や私怨に走る事もありますが。
ユカの血筋…ですか、考えてなかったなぁ…。
割と旧ホワイトカーパスの血は濃いと思うけど…それならアザリン様の方が…。

ARMSってそっちでしたか!
ついWILD ARMSの方を連想してしまいました。
うーむ、しかしそうなると、時守的には反物質を作らずにはいられないのですが…。
ルビナスが血相変えそうですw

恋姫無双で、主人公を自機として使うと、それこそパワーバランスが崩れるのでは?
いきなりいくら下地はあったとは言え、戦場に出されて戦える方がおかしいし、策謀に集中するにしても、いきなり陣形とかを理解できる筈もないし…。
時守的には妥当かな、と思ったりします。


10.ニラ様
イモムシ戦は遠いです…。
そのイモムシを…あ、ちょっと閃いた…よし、メモしとこう。

セルは責任云々以前に、かなり放置されてますw
聖銃…にいては、深く語るとそれだけで一話使えそうなので…。
この話で必要と思われる部分とかを、次の話で軽く説明しようと思います。

敵将を使用するとか、そういう本格的なのは戦国ランス辺りでやるべきなんでしょうね。
あと、紫苑も一応敵将でした。
主人公的には、これくらいの方が好感が持てますよね。
ちゃんと色々考えて行動していると言うか……まぁ、普段の言動を見るとそれも怪しいですけどw


11.シマンチュ様
いつも楽しんでいただけているようで嬉しいです。
ロベリアがどう食われるかはともかく、Wユカの双子丼は決定事項ですな。

真・トレイター…どうしようかなぁ…。
今の予定のままだと、少なくとも意表を突く自信はあるのですが。
究極の魔体?
いやぁ、燃料が無いッスよw
…でもアシュ様のことだから、後始末を忘れて何故かアヴァターに流れ込んでくる可能性も…。


12.DOM様
ダイの剣と違って鞘が無いですね。
ギガストラッシュが撃てませんw

まぁ、死なせたくないと言ってもエレカ・セイヴンなんかはもう死んでますし、殉死っぽく死ぬキャラも居る予定ですし。
生きてるなら、擬似双子丼は決定事項です!
ある意味世界意思の決定なくらいに!
それが世界の決定である!

実際、アヴァターの性に関するタブーとかどうなってるんでしょうね?
自分設定では、一応一夫多妻もOKにしてしまいましたし。

大河が渡したあの手袋は、戦場に向かう前にポスティーノに頼んで持ってきてもらった物です。
ナナシに秘密兵器として渡した、という記述もちゃんと書いてます…わかりにくい伏線だ…。

やはりラヴ臭漂う告白シーンがお望みですか…むぅ、書いてる間に暴れださなきゃいいんですが。


13.アレス=ジェイド=アンバー様
折れちゃいましたねぇ。
思えば結構前の伏線のような気がします。
大河達が王宮に行った辺りですからねぇ。

アッサリすぎる程アッサリと復活してしまいました。
まぁ、完全回復ではありませんけど。

どんな状況でもマイペース、それがユカ2クォリティー!
そして何時でも何所か不幸、それがロベリアクォリティー。
しかもロベリアさん、現在進行形で不幸ですw


14.各務様
はじめまして!
楽しんでもらっているようで何よりです。

居るんでしょうねぇ、きっと。
と言う事は、実は魔女も居るとか?
実はガルガンチュワは、元々ガーデンだったのです…なんてw

これからも頑張らせていただきます!


15.カシス・ユウ・シンクレア様
スンマセン、大河君ピンピンしてます。
きっとWユカが効いたんでしょう…。
ユカ2には是非とも生きて幸せになってほしいものです。

ロベリアさん、捕獲はしたけど厄介なのはこれからなんですよねぇ。
どうにかして懐柔なり和解なりしないと、捕まえた意味もありませんし。

バケモノがわんさか出てくるのは、こうでもしないとバランスが取れないからですよ〜。
救世主側がメチャクチャパワーアップしてますから…。


16.玖幻麒様
弓兵の武器発射後、こう呟く訳ですね。
『砕かれた幻想』、つまりS未亜の理想郷…w
砕かれなかったらエライコトになりそうです。

そうですね、この辺で魂が逆行しました。
魂の破片は、まぁ色々と…。
シンクロ率400%でもなきゃ、アレには太刀打ちできませんからねぇ…。

聖銃と神では、個人的に聖銃と答えたいデス。


17.JUDO様
いきなりワンピですかいw
イメージ的には確かにメタルクウラですね。
ただ、こっちの方がもっとゴテゴテしてますが。

ダウニーはねぇ…使い所が…。
ただ、もう何話か後に、彼に関するとんでもない事実が発覚する可能性が…。

おお、あの不気味な泡と一緒のSSですか!
あれは時守も大好きです。
最近架橋に入っているようで、目が離せません。
大河が話していたシンジ君は、介入者によってサードインパクトを色々な方面からブッ潰され(つまりギャグ調に引っ掻き回された)、本人も妙な電波を受信するようになりつつ青春を(根暗なりに)謳歌しています。
モノリスさん達?
老人ホームです。

ユカのエロシーン、書くのにすごく苦労しました。
こういう時、ある意味エロゲはあり難い…。
某3Dの抜きゲーやってみたら、妙にインスピレーションが…。
ユカ2は絶対に救われてもらいます!
…その後の事は、どーなるか予想できませんが。


18.悪い夢の夜様
むぅ、凄まじい電波ですね、相変わらず…。
映像に出来たら、絶対ヒットするのになぁ…。
誰かそういう機械を作ってくれませんかね?
こう、頭に取り付けて、想像したモノを大雑把に描き出す、とか。
ルビナスさーん、作ってくれー!

セルも結構無茶しましたからねぇ…。
ある意味、これも蝋燭が燃え尽きる前の輝き?
半分半分の家政夫……あれ?
何で右半分と左半分で喧嘩してる図が浮かぶんだ?

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