インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「雪の後2(まぶらほ+ホーリーランド)」

平成ウルトラマン隊員軍団(仮) (2007-02-05 05:37/2007-02-19 22:25)
BACK< >NEXT

とりあえず第一話位は書いとく事にします。
「あれだけでは馴染まない」仰るとおりですんで。


==================================

起床……既に一時間目半ば。
どうせ遅刻なのでのんびり寮を出て行く。

登校……保健室の前でクラスメートの仲丸に出くわす。
覗きの片棒を担がされそうになる、というかスケープゴートにされかけるも、同じくクラスメートである松田さんがその前に乱入し、事なきを得る。


「何が『事なきを得る』だ式森!!
松田の奴が壊した校舎、俺が直したんだぞ!!
くっそ貴重な使用回数を……」
「……人の思考を読むなよ。」

和樹が登校までの事をつらつらと考えていると、その思考を見透かした仲丸から抗議された。

「んな下らん事に魔法使えるか。思いっきり顔に書いてあったぞ。」
「そう?」
「ったく、お前と松田さえ来なければ、あの風椿玖里子の弱みを握って」
「無理だったと思うよ。」

和樹のツッコミに周囲にいた他のクラスメート達も頷く。

「き、貴様等……」
「それより俺はあっちが良いかな、一年の神城凜。」

別の男子生徒、浮氣は外に目を向けて言う。
彼の視線の先には巫女服のような服を来て刀を手にした少女がいた。

「……僕には関係ないけどね。
こないだ魔法使っちゃって、更に回数減らしちゃったし。」

和樹の何気ない一言に一同、ギョッとする。

「何? お前魔法使ったのか!!」

凄い剣幕で和樹に掴みかかる仲丸。

「う、うん。だから今日の回数診断は受けるよ。
ちゃんと把握してなきゃ、チリになっちゃいそうだし。」

と、和樹が応えた瞬間、仲丸を含めた数人のクラスメート達がガッツポーズをとり、それ以外のクラスメート達がガックリと肩を落とす。

「よっし式森が魔法を使った!
賭けに勝ったぞ!! おら、お前ら俺等の配当金よこせよ。」
「いや、まだ式森は生きてる!
今年中に奴がチリになるのに賭けた俺等はどうなる!
まだ賭けは続行中だ!!」
「……み、みんな、何、人の命で賭けしてんのさ?」

自分のクラスメートの大半はこういう連中である事を一応知っていたはずだが、やはりあきれ果ててしまう和樹であった。

2−B。エリート校で知られる葵学園の最大の汚点。
最悪の問題児の巣窟だが、ここに問題児が終結しているから、他のクラスにはそういうのが少ないとも言える。


放課後、和樹は保険教諭の紅尉に呼び出され、保健室にいた。
紅尉は正直あまり関わりたくない類の男ではあったが、無碍にすると後が怖い。

目の前には眼鏡をかけた優男風の男がいた。
見た目どおりの歳ではない、と評判の紅尉だ。

「なんですか、先生?」
「式森君、君はこの間魔法を使ったそうだね。
確かに魔力診断でも残り回数が6回に減っていたしね。
……この間の大雪は君の仕業だね?」
「な、なんでそう思うんですか?」

和樹は僅かに動揺する。
伊沢から「あの雪を降らせた事を知られるな」と忠告されている身だ。
せっかくハメて薬物中毒にしたカモを和樹に台無しにされたヤクザや麻薬密売組織が、和樹の命を狙っていてもおかしくない。
少ない回数がカモフラージュになると聞かされるまで、生きた心地がしなかった忠告である。

「そうおびえなくても大丈夫だよ。
少なくとも私は君を麻薬取引をしているような連中に引き渡すつもりは無い。」
「そ、そうですか?」
「それにしてもなんであんな雪を降らせたんだい?」
「……友達のとても大切な場所がトゥルーっていう薬に汚されたんです。
そいつの彼女の友達は、薬物中毒になって施設に送られました。
トゥルーを売っていた人達は皆でなんとかしたんですけど、それで薬物中毒にされた人達が元に戻るわけじゃなくて……」
「それで君は薬物中毒を治す効果を持った雪を降らせた、と。」
「……はい。」

話が終わった後、紅尉はなにやら考え事をするようなしぐさを見せる。

「たしかに君のした事でたくさんの人達が救われた。
彼等は君に感謝してもし足りないだろう。
……だが、君は自分の回数を考えて自重する事を憶えた方がいい。
君の回数では数年に一度のペースで使っていても、寿命が尽きる前に死んでしまうからね。」
「伊沢さんや土屋さんにもそう言われました。」
「伊沢……『路上のカリスマ』伊沢マサキか。
会った事がある。中々の好青年だったよ。
ああいう友人は大切にした方がいい。」
「はい。」

和樹にとって、伊沢は本当に頼もしい存在である。
夜の街で何かあったら、とりあえず伊沢を頼れば何とかなる。
本人が聞けば買いかぶりと笑いそうだが、和樹を含めてかなりの数の少年達がそういう認識を持っている。

「ところで、話は変わるんだが。」
「何ですか?」
「これは君の将来に関わる話だ。
……君が誰かを頼れば、その誰かも巻き込まれるほど大きな話でもある。」

伊沢の話で一旦和やかになった紅尉の目が真剣さを取り戻す。
ただならぬ雰囲気を感じて、和樹も背筋を伸ばし直して向き直った。

「実は先日、うちの学園のサーバーから生徒のデータが抜き出されてしまってね、それが売りに出された。
幸い海外にまで流れる前に食い止められたんだが、国内の所謂名家という連中にはほとんど行き渡っている状態だ。」
「それがどうしたんです?
確かに大事かもしれませんけど、落ちこぼれの僕には関係ない話じゃないですか。
他のウチのクラスの連中なら、性格はあれだけど能力は優秀だから目をつけられそうですけど。」

和樹は自分の能力の低さから、そうタカをくくる。
名家がどうこう、と言う話と自分がなんらかの関係があるとは思えないのだ。

「それが関係あるんだ。
君のご先祖様には、高名な魔術師が冗談みたいに沢山いるんだよ。
彼等の才能が君の遺伝子に集約されていて、君の子どもは桁外れの魔術師になる可能性が高い。
……と、多くの人間が判断するだろうね。私の考えは多少違うが。」
「ちょっ、どうしてそんな話になるんですか?
僕は回数8回で何のとりえも無い落ちこぼれですよ?
頭も悪いし、喧嘩だってそこらの女の子より全然弱い僕に限って、そんな事あるはず無いじゃないですか!」
「次代に強い魔術師を残したい名家には、そんな事は関係ない。」
「そんな……」

遺伝子。子供ですらないのか。
和樹は、名家というものが突然恐ろしくなった。
そして何故か、ユウの事が脳裏に浮かんだ。

「それに私の考えは多少違うといったはずだ。
私の見立てでは、ご先祖様の才能は君の時点で開花している。
ただし、あまりに膨大な力に器の方が耐え切れず、回数が極端に少なくなってしまっているんだ。」
「えっ?」
「まさかその辺の魔術師にあの雪のような離れ業ができるだなんて、君だって考えてないだろう?
ただの雪ならば真夏にすら降らせかねない君の力は、およそ人間の魔力ではありえないほど強大な物だ。」
「それで、遺伝子の力が僕の時点で開花してるとどうなるんですか?」
「……式森家は多くの強力な魔術師を先祖に持つ反面、極めて平凡な家系だ。
先祖の事を考えれば、いっそ異質なほどにね。
その『平凡』の遺伝子が子供の代に発現する可能性が高い。
つまり、どんなに優秀な母親からも回数数十回の平凡な子供が生まれる、という事だ。」
「そん……な……」

だとするならば。
名家からは全力で逃げ切らなければならない。
たとえその為に命を落とす結果になっても、だ。
名家に生まれた平凡な子供。彼、もしくは彼女が味わう辛酸がどれほどの物か、和樹には想像も付かないのだから。

「私も極力協力する。
だが、相手の力が非常に強大な事は憶えておいた方が良い。
……彼等を友人と思うのであれば、伊沢マサキや『不良狩り』を頼らないですませる事だ。」

不良狩りとはユウの二つ名である。
ユウの頼りなさげな風貌がカツアゲをしようとする不良を呼び寄せ、彼はその度に不良達を撃退していた。
それに様々な尾ひれがつき、またユウ自身も恐ろしく強くなり、今では不良少年達の畏怖と尊敬の対象となっている。

しかしユウや伊沢は個人の戦闘力こそ凄まじいが、それで名家を相手取る訳にはいかないだろう。
伊沢のカリスマとて路上限定である。

「……はい。」
「寮の方には私から連絡する。
今日の所は真夜中になるまで待ち伏せされている可能性の高い寮には寄り付かない方が賢明だ。」
「分かりました。」

そういうと、和樹は制服のまま街へと繰り出していった。


「和樹さん、遅いです。」
「はぁ〜い、ってアレ?」
「貴様が私の良人か? っていないだと?」

==================================

第一話終わりませんでした。もちっと続きます。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze