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「雪の後(まぶらほ+ホーリーランド)」

平成ウルトラマン隊員軍団(仮) (2007-02-04 12:54/2007-02-04 14:48)
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※トゥルー編終了後、登場人物たちが何気ない日常に戻れたものと仮定しています。
よって、今後のホーリーランドの展開と矛盾する箇所が大量発生する可能性けっこう大きいです。

※ホーリーランドはトゥルー編後、まぶらほは本編開始前を想定してます。
大体こんな感じ。
昨年四月=ホーリーランド開始 四月=トゥルー編 六月=まぶらほ開始として五月頃。


不良少年達が闊歩する夜の街並み。
ほんの数日前まで脱法ドラッグの脅威に晒されていたとは信じられないほど、そこにはいつもの日常が戻っていた。

その街の路地裏で、不良たちから一目置かれるカリスマ的存在である二人の少年が脱法ドラッグ事件の最後の出来事について話していた。

「なあ、聞いたか伊沢。
あの後式森の奴が降らせた雪の成分、ヤク中治す霊薬だったらしいぜ?」
「ああ、聞いてる。
なんで8回の奴が葵学園なんてとこに通ってんのか納得できたぜ。
冬でもないのに天候操作魔法で雪、しかも関東平野全域に積もるほど降らせる時点で碌でもねぇっつーのにな。」

この世界には存在する魔法が存在するが厳しい使用回数制限がある。
その回数を使い切ると人間はチリになって消滅してしまうのだ。
魔法は非常に有用である為、この回数制限によって社会的地位が決まる事も多い。

通常、この回数は数十回程度であり、ここで話している伊沢、土屋の二人も三桁の大台には乗らない。

一方、魔法を使う事が前提の魔術師養成学校である葵学園の生徒達は、少なくて数千、多ければ十万以上の回数を誇る。
そこに何故か使用回数8回で所属する式森和樹は異質な存在だ。
が、確かにこれほど強大な魔法を行使できるのであれば、葵学園に籍を置くのも納得できる話である。

「……だが心配だな。
ヤク捌いてたのは奴等だけじゃねえ、ヤクザだってそうだ。
それを式森の奴が関東にいるヤク中を残らず治しちまったから、かなりの損害が出てんのは間違いねぇ。
奴等が雪を降らせたのが誰なのか突き止めたら、式森の奴どうしようもねえぞ。」
「いや、それに関してはひとまず安心していい。
あんな大魔法を一桁の奴が使ったなんて信じる奴ぁいないだろうし、ヤクザってのは良くも悪くも大人だ。
アイツを消した所で、治っちまったヤク中が元に戻るわけでもねぇのは分かってる。
当ての無い真相究明に走るより、カモをハメ直しに行った方がいい、って大概の奴が考えるさ。
それにあの魔力が攻撃魔法になって自分達に突っ込んでくる可能性だって考えてるだろう。
だから、ヤクザの方は放置で大丈夫だ。ただ、」
「ただ、なんだ?」

言葉を切った伊沢は、腕を組みなおして続けた。

「式森自身の方さ。
一回魔法を使っちまったら、後一回だけ後一回だけ、そう言いながら魔法を頻繁に使うようになってチリになる。
回数少ない奴がチリになるのは大抵このパターンさ。
アイツの性分からしてこれが一番怖ぇ。」
「あいつあれで神代みたいに突っ走る所があるからな。
テメェで弱ぇって事を自覚してるから、それが歯止めになっちゃいるが……確かにな。」


そんな二人の会話に名前が出た、神代ユウと式森和樹の二人は……街から少し離れた神社の境内にいた。
そこには彼等二人だけではない。ユウ、和樹共通の友人である金田シンイチ、和樹のクラスメイトである杜崎沙弓の姿もあった。

「あの、和樹君? 僕、女の子は殴れないんだけど。」

気弱そうにオロオロしながら和樹に話しかけるユウ。
相手が美しい少女であるせいか、普段気弱な時よりも更に弱気に見える。

一見して頼りなさそうだが、その実壮絶な戦闘力と才能に恵まれた強力なストリートファイターである。
だが、その彼の本質を見抜いていない少女の方も、困惑気味に和樹に訊ねる。

「式森君。本当に彼、サンドバッグにしていいの?」
「え? うん。
こいつこれでむっちゃくちゃ強いんだけどさ、防御が弱いんだよ。
防御は相手がいる状態で反復練習しないと身に付かないらしいからさ、その相手を杜崎さんにしてもらおうと思って。」

和樹は沙弓にそういうと、今度はユウに向き直る。

「神代、そういうわけだから無理に殴りに行かなくってもいいよ。
それに痛い思いをさせたくないから殴れないんでしょ?
杜崎さんは防御魔法を使って車に轢かれても全然平気な状態になれるから、使えないお前の攻撃が何発当たったって大丈夫。
遠慮なく行っちゃっていいよ。」

使えない、とは魔法を使えないという事を指す。
有体に言えば和樹や一般人のような、魔法行使が死に直結しかねない回数の人間の事である。
ユウの回数も百には及ばないので、彼も「使えない」という事になる。


ともあれ、互いに煮え切らない感情が残ったものの、ユウと沙弓は構えを取って対峙した。


そして数分後。

「お前、防御の練習するのが目的なのに、杜崎さんやっつけてどうすんのさ?」
「……へ?」

ユウは攻撃が効かない筈の沙弓を打ち倒してしまっていた。

沙弓が魔法を使えない一般人とユウを侮ったのが全ての始まりである。
舐められた事を悟ったユウは、その態度に不快感を感じて戦闘モードにシフト。
また、防御魔法でアゴさえ守り切れればユウなどただのサンドバッグだ、と防御を過信しすぎた事による沙弓側の隙も大きかった。

何発被弾しようと突っかかっていったユウは、ついに沙弓の突きを僅かに身体をひねってかわしつつ、彼女の懐に飛び込むと同時に至近距離からの肘で彼女のアゴを掠めたのだ。
これにより脳を揺らされた沙弓は脳震盪を起こし、足にキてしゃがみこんでしまい、勝負はユウの勝利に終わった。

「にしてもすげーなお前。まったく攻撃が効かない筈の相手をブッ倒しちまうなんてよ。
最後の肘なんて、ありゃ攻防一体のお手本みてーじゃねえか。」

と、シンはユウを労う。

「でもこれ以上は無理そうじゃない?
神代の奴随分ボロボロだし、これ以上はやれないよ。」
「だな。」

和樹の言う通り、ユウが勝ったとはいえダメージは彼の方が深刻である。
何しろ相手の沙弓は防御魔法を使っていたのだ。
脳震盪以外のダメージをうかがう事はできない。

だが、それで終わりにしようとする外野とは逆に、とうの本人達は

「神代君、だったかしら。あたし一応回復魔法もできるけど、治して続ける?」
「じゃ、じゃあもう一度お願いします!」

と続ける気満々であった。

その後はほぼ沙弓側のワンサイドゲームで打ち合いが続き、深夜に差し掛かった頃に解散する事となった。

ユウとシン、和樹と沙弓で学校が違うので、神社を出てすぐに二組に分かれて帰宅する運びとなった。


帰り道、沙弓はユウ達と別れてすぐ和樹に切り出した。

「とんでもないわね。
打ち合いしながら強くなっていくのが実感できる相手って、どんな化け物よ。」
「あいつその辺凄いからねぇ。」

沙弓にとってはユウは信じがたいほどの化け物であった。


二年間引き篭もりの暇に任せてボクシングのシャドウをひたすら続け、高校に入って引き篭もりを止めてからは多数の喧嘩自慢との実戦経験あり。
これがユウである。
ハイキックやストレートの打ち方を習った事はあるにせよ、本格的な訓練を受けた経験は無い。
彼の防御が弱いのも、この事が原因である。

対する沙弓は退魔師となるべく、妖相手の殺し合いを前提にした厳しい鍛錬を幼少の頃から続けている戦闘のエリートである。
本来ならば、ユウのような喧嘩屋に後れを取る可能性など億に一つもない。

それが絶対勝てるはずの状況下で敗北。
その後はほぼ一方的な展開でユウを押していたものの、負けた時以上にユウの凄まじさを実感し、戦慄せざるを得なかった。

通常、人間の強さは長い長い鍛錬の末に時間をかけて培われていく物である。
どんなに飲み込みのよい才能に恵まれた者でも、ほんの少し強くなる為には日単位の時間が必要なはずなのである。

打ち合っている真っ最中に相手の地力がじわりじわりと増していくのが分かる、など尋常ではない。
ユウとの打ち合いをこのまま一週間も続ければ、彼の技量は沙弓に並び、一ヶ月もすれば魔法を全開にして全身全霊をかけて立ち向かわねばならない相手となるだろう。
ユウはそう、沙弓に実感させた。

「凄いってもんじゃ無いわよ。
私が何年も何年も積み重ねてようやく今の強さだって言うのに、元引き篭もりがあんな無茶苦茶な強さだなんてありえるの?」
「それが才能って奴じゃないの?」
「……武道やってない人間は気楽で良いわね。」

葵学園では男子寮と女子寮とに分かれて生徒達が寮生活をしている。
その為、和樹と沙弓はこの会話のしばらく後に分かれ、それぞれの寮へと帰っていった。


たった一人の帰り道。
和樹は星空を見上げ、脱法ドラッグ事件の事を思い出し、ついでそのような事件があったにもかかわらずみなが日常に帰ってこれた事を思い、この平和に満足していた。

彼は知らない。
ドラッグの脅威を一掃するために、事件直後に自分が降らせた雪が原因で、伊沢や土屋が危惧していたのとは別の脅威が迫っている事を……


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いかにも続きそうな感じですが短編です。(別の脅威とは、まぶらほ開始の事。)
単にまぶらほVSホーリーランドがやりたかっただけですんで。
今回はユウVS沙弓で沙弓の方が強かったですけど、伊沢が相手だとほぼ互角か伊沢の方が強いくらいに考えてます。
暴走ユウは……あんな生態兵器、か弱い女の子にぶつけるわけには行きません。

話は変わりますが。
放置中のSSを多数抱えてる身ですが、多分更新させられません。
X運命というSSに出くわし、格の違いというものをマザマザと見せ付けられた物で。
放置してるSSはX運命読んだ後には……恥ずかしくて穴があったら入りたい出来w
元々続けるのは無理そうだなとは思ってたんですが、なけなしの気力もうせましたよ……洒落になりません、アレのクオリティは。

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