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「Tales of the Negima! 第一節(TOA+魔法先生ネギま!)」

ローレ雷 (2007-02-01 21:57)
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「ココが麻帆良学園か……」

 黒い長袖のシャツの上に赤い半袖のシャツを着て、ジーンズ、サングラス、そして両手に黒の革手袋とラフな格好のシンクは、電車を降りて世界有数の学園都市の前に立つ。
 ポケットから一枚の写真を取り出して見ると、それには幼いネギと一緒に白いオコジョが写っていた。それがカモ。
 シンクは、そのカモを捕らえるという名目でネギの様子を見て来るようネカネに頼まれた。

 本人からすれば面倒くさいことこの上ないが、スプリングフィールド姉弟には借りがある。貸しを作るのは大好きだが、借りを作ってしまうのは大嫌いなので、こうしてやって来た。

「さて……と。どうやって探すかな」

 この広大な学園都市でオコジョ一匹探すなどハッキリ言って無理だ。
 シンクは聞き込みで探すしかないと判断し、サングラスを外して適当に誰かに話しかける。

「確か中等部だったっけ……ねぇ」
「はい?」

 振り返ったのは長い黒髪の少女だった。

「麻帆良学園の中等部にネギって子供の教師いない?」
「あ、ネギ君の知り合いなん〜?」
「知ってるの?」
「知ってますよ〜。ウチらの担任や」
「え……?」
「君、ネギ君の知り合い?」
「…………まぁ、そんな所。悪いけど、ネギの所まで連れてってくれる?」
「う〜ん……女子中エリアは基本的に男子禁制なんやけど……まあネギ君の知り合いやったらエエかな」

 そう言って少女は付いて来るよう促す。
 シンクも少女に付いて歩いて行った。

「あ、せや君、名前なんて言うん? ウチは近衛 木乃香言うねん」
「…………シンク・ダアト」

 元いた世界ではシンクに苗字など無い。
 しかし、この世界では苗字がないと不便なので、彼が住んでいたダアトという街の名前を付けた。

「シンク君。ネギ君とどんな関係なん?」
「………………ネギからは『お兄ちゃん』って呼ばれてたよ」

 決して兄弟みたいな関係やネギの兄貴分とは答えないシンクだった。


「あ! このか〜!」

 麻帆良学園女子中等部のエリアに着き、校舎に向かう途中で、3人組の女子が声をかけてきた。
 長いウェーブのかかった髪の少女、黒い短髪の少女、髪を団子にして小さな三つあみを2つ作っている少女だった。

「ダレダレ、その人〜?」
「ネギ君の知り合いのシンク君や」
「ネギ君の?」
「ネギ君のお兄さん代わりやって」

 それを聞いて驚く3人。

「ネギ君のお兄さんにしては目つき悪いね」
「(余計なお世話だよ)」
「紹介すんな、ウチのクラスメイトの……」
「柿崎 美砂で〜す」
「釘宮 円よ」
「アタシ、椎名 桜子! よろしくね〜!」
「「「3人合わせて、まほらチアリーディングで〜す!」」」

 ドコからか応援用のポンポンを取り出して自己紹介する3人。

「ねぇねぇシンク君。シンク君は何しに来たの?」
「野暮用……後、ネギがちゃんと教師してるのかって、アイツの姉に頼まれて見に来てやった」
「イギリスから? わざわざ?」
「…………ああ」
「「「やっさしぃ〜!!!」」」
「(何……このテンション?)」

 余りにハイテンションな3人組に引き気味のシンク。

「ほな、行こか〜」

 木乃香はシンクの手を引いてネギの所へと案内する。
 2人を見送り、柿崎達はキャイキャイと騒ぎ出す。

「ねぇねぇシンク君のこと皆にも伝えようよ!」
「うんうん! いいんちょなんか絶対に大騒ぎになるよ」

 ネギを溺愛している彼女達のクラスの委員長こと雪広 あやかだったら、『是非、結婚を前提としたお付き合いを!』などとシンクに向かって頼み込みにいきそうだ。
 3人は和気藹々と携帯を取り出し、あちこちに連絡して行った。


「ア、アスナ〜!」
「ん? このか?」

 ネギを探している途中、シンクと木乃香はツインテールを鈴で止めているオッドアイの少女、神楽坂 明日菜に出会った。
 明日菜は木乃香とは親友同士であり、またネギが受け持っているクラスで一日目で彼が魔法使いであるという事を知った生徒でもある。

「ネギ君知らん?」
「ネギ? ネギだったら寮に帰るの見たけど……誰、その人?」
「ネギ君のお兄さんのシンク君や」
「え!?」
「代わりだよ。実の兄弟じゃない」
「あ、そうなんだ……」

 明日菜はジロジロとシンクを見ると、不意に木乃香に言った。

「ねぇ、このか。アタシもネギ探してるんだけど、シンク君……だっけ? アタシが案内しようか?」
「え? アスナもネギ君に用事あるん?」
「まぁね」
「ほな、アスナに任すわ〜。ほなな、シンク君〜」

 木乃香は手を振ってそこから去って行った。

「ねぇ」
「ん?」
「ネギのお兄さん代わりってことは……アンタも魔法使い?」
「! ……アンタ、魔法使いのこと知ってるの?」

 ネカネから聞いた話では、基本的に魔法の事は一般人には秘密だと言っていた。しかし、目の前の少女は魔法の事を知っている。
 考えられる可能性は2つ。
 明日菜自身が魔法使いである。若しくは、ネギが彼女に魔法使いだとバレたである。

「あはは。まぁ少しだけ……最初は疑ったけど」

 彼女の反応で後者だと理解したシンク。ネギが旅立ってまだ2ヶ月しか経っていないのに、早くも正体がバレているという事態に、何をしているのかと思う。

「そ……それより、こんな動物知らない?」

 ふとシンクが一枚の写真を出した。
 それはネカネから預かって来た幼いネギとオコジョ妖精のカモが写っているものだ。
 明日菜はソレを見て「あ……」と表情を変えた。

「コレって、あのオコジョ?」
「知ってるの?」
「え、ええ。昨日、来てネギと一緒にいるけど……」
「ちょっと、このオコジョ探してるんだ。早いとこネギの所に連れてって」
「あ、うん……」

 何だかネギの兄代わりにしては、目つきが悪く口調も悪いシンクに、明日菜は戸惑いを隠せなかった。
 ネギがいると思われる場所へ向かう途中、シンクから初めて話題を振った。

「ネギは……元気なの?」
「え? あ、え〜っと、その……実は余り元気じゃないかも」
「何かあったの?」
「実は……」

 明日菜はここ数日、というかつい、2日前の事を話した。
 ネギのクラスの生徒、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが実は吸血鬼で、ネギが襲われたという話だった。
 ココ最近、学園の桜通りでは吸血鬼に襲われるという事件があり、ネギの生徒にも被害が出た。そしてネギが調査に乗り出した所、彼女が自分の正体を明かした。
 何でも呪いがかけられているらしく、解呪にはネギの血が必要らしい。
 更にもう一人、ネギの生徒である絡繰 茶々丸がエヴァンジェリンのパートナーらしい。
 パートナーのいないネギには、逆立ちしても勝てない相手だった。

「で、昨日、そのオコジョが来て、パートナーにウチのクラスの本屋ちゃん……じゃなくて、宮崎っていう子を指名したんだけど……まぁ確かに本屋ちゃんには思い当たる節があるんだけど……」
「ふ〜ん……吸血鬼ね」
「ねぇ、シンク君って強い?」
「何でそんなこと聞くの?」
「いや……強かったらネギを助けてくれないかな〜って」
「ネギがココに来たのは修行。僕が助けたら意味ないよ」
「……………厳しいわね」

 しかし正論なので言い返せない明日菜だった。


 部活に顔を出そうと鼻唄を歌いながら図書館へと向かう木乃香。

「このか……」
「あ……どないしたん? 部活あるんとちゃうの?」

 ふと彼女に声をかける少女がいた。
 桃色の長い髪と赤い瞳を持ち、彼女と同じ制服を着ている。
 そして何故か、その腕にはお世辞にも可愛いとは言えない不気味な人形を抱いている。

「のどか……知らない?」
「のどか? 知らんで。探してるん?」
「…………様子……おかしかったから」
「あぁ〜……そういえば何や『寮の裏』やら『パートナー』やら……」
「寮の……裏……」

 少女は無言で寮へ向かって走り出した。


「宮崎さん……!」

 ネギは杖に跨って飛翔していた。
 その表情は妙に焦っている。

 エヴァンジェリンの事について悩んでいたネギだったが、カモが尋常じゃない様子で、生徒である宮崎 のどかが寮の裏手で不良からカラアゲ……ではなく、カツアゲされてると聞いて急ぎ、現場へ向かっていた。

 真祖の吸血鬼にして歴戦最強の魔法使いであるエヴァンジェリンも重要だが、生徒の危機は見逃せなかった。

「いた!」

 そしてネギは寮の裏でのどかの姿を確認すると、気づかれないよう着陸し、彼女の所へと駆ける。

「宮崎さん、大丈夫ですか!?」
「あ……先生」

 いつもは前髪で表情を隠しているのどかだったが、何故か今日はピンで髪を留め、服もお洒落している。そして、何故かその頬は赤く、ドコか期待に満ちた瞳をしていた。

「あ、あの不良のカラアゲはドコです!?」
「カラアゲ―――定食ですか?」
「あ、あれ? 襲われてたんじゃ……」
「はあ……?」
「あれ? おかしいな?」
「あ、あの、それでネギ先生……わ、私なんかが、パ、パートナーでいいんでしょうか?」
「へ?」

 余りに唐突な台詞と展開にネギは目を点にする。しかし、彼は即座に状況を理解した。
 昨日、カモがパートナーにするなら是非、のどかがイイと推薦していた。つまり、この状況はカモの作り出した展開なのだと。

「カ、カモ君!?」
「すまねぇ、兄貴。手っ取り早くパートナーの契約を結んで貰うための一芝居打たせて貰いましたぜ」

 小声でカモを非難するも、カモは悪いと思っていながらも反省する気無しだった。
 ちなみにカモの使った手は、彼女の下駄箱に『放課後、寮の裏で待っていてください。僕のパートナーになってください』という手紙を入れると言う稚拙な手段だったりする。

 カモは相手も乗り気な様子なので、後一押しだとネギに圧力をかける。

「あの……一昨日の吸血鬼騒ぎの時には、また助けて頂いたそうで……」
「え?」
「何だか私、先生に迷惑かけてばかりですいません」

 のどかは一昨日、桜通りでエヴァンジェリンに襲われたのだが、咄嗟にネギが助けに入った。彼女は気絶していたので、ネギやエヴァンジェリンの正体を知らずに済んだのである。

「い、いえ、そんなこと無いですよ」
「だから……お返しにネギ先生のお役に立てる事なら何でも……が、頑張りますから何でも言ってくださいね」
「み、宮崎さん……」

 ネギに微笑を向けて茹蛸みたいに顔を真っ赤にしながらも言うのどか。その健気な姿勢に、ネギもドキッとなる。

「フフ、俺の読みは間違ってなかったな」

 その横でカモがほくそえみ、ネギが小声で質問した。

「ど、どういうコト!? カモ君」
「一口にパートナー言ってもただ隣にいりゃいいって訳じゃないんだよ!」

 カモはネギの肩から下りて説明する。

「互いに信じ合い、いたわり合える関係であることが重要! その点、この娘はネギの兄貴を好きである事では、ズバリ現時点クラス癸院」
「え、ええっ!? み、宮崎さんが僕のこと、すす好きっ……!? そ、そんな僕困るよ〜!」

 教師と生徒という間柄で、そのような事はスキャンダルもいい所だ。慌てふためくネギだったが、カモは目を光らせると高らかに叫んだ。

「契約【パクティオー】!!」
「わっ!」
「キャ……」

 突如、ネギとのどかの足元に魔法陣が浮かび上がった。

「な、何コレ!?」
「ん……せ、先生、コレは……? この光……何だかドキドキしますー……」

 トロン、とした表情になるのどかに、ネギも同じようにドキドキと気持ちが昂ぶるのを感じた。

「これがパートナーと『仮契約』を結ぶための魔法陣ッス」
「仮契約!?」
「そう!」

 契約して“魔法使いの従者【ミニステル・マギ】”になった者は魔法使いを守り、助けることになる。
 その代わりに従者は魔法使いから魔力を貰い、血行促進精力倍増。お肌もツルツル、肉体的にも精神的にも大幅UPでいい事ずくめである。

 しかし、ネギのような子供はまだ本契約が出来なし、“魔法使いの従者【ミニステル・マギ】”を選ぶ事も大変である。
 そこで出てくるのが仮契約である。
 これは、活動時間などの制限があるが、何人にも契約できると言うお試し期間である。

「な、なるほど〜」
「分かったッスか? じゃあ早速仮契約を! 兄貴!! 仮契約なら何人とでも結べるし、ホラ、軽い気持ちでこうブチューっと」
「う、うん。ブチューッと……って、ええっ!? ブチューって……キス!?」
「一番簡単な契約方法さ」

 驚くネギに、しれっと返すカモ。他にも契約方法はあるが、面倒だそうだ。

「ダ、ダメだよ! それに宮崎さんだって、こんな騙したみたいな格好で……」
「キ、キスですかー? わ、私も初めてですけど……ネギ先生がそう言うなら……」
「え゛」

 状況は理解していないが『キス』という単語に強く反応するのどか。

「それに、私も何だか胸がドキドキしてー……」

 のどかは意を決したように、目を閉じ唇をネギに向けた。

「えっ……ええ〜!?」

 余りにも予想外過ぎる展開に驚くネギ。

「そ、そんな……僕、心の準備が……」
「ココまで来て何迷ってるんだよ! パートナー欲しいんだろ。男ならホラ! ブチューッて……」

 ネギにキスをするよう急かすカモ。しかし、ネギもキスが初めてなので、頭の中が混乱してしまう。

「(はうう……)」

 混乱するネギを見て、のどかは膝を折って彼と目線を合わせる。より、顔が接近し、ボッと沸騰してしまうネギ。
 2人の足元ではカモが旗を振って応援している。
 のどかはネギの顔に両手を添え、自分の方へと引き寄せる。

「あ……」

 近づいていく2人の唇。

「よっしゃー! 行け〜兄貴!! ホラ、ぶちゅ〜! これで俺っちも晴れて無罪放免……」
「何やってんの?」
「へ? ぶお!」

 正にネギとのどかの唇がくっ付こうとした瞬間、カモは何者かに蹴り上げられ、宙高く飛ぶ。
 それと同時にネギとのどかを包んでいた光が、パァンと音を立てて弾けた。
 鼻血を噴き出しながら落下して来るカモの尻尾を掴んでキャッチする人物を見てネギは驚愕した。

「お、お兄ちゃん!? に、ア、アスナさん!? あ、あのこれは……!」

 なぜかこの場にいるシンクに驚きながらもネギが弁明しようとするが、ショックで倒れそうになるのどかを慌てて支える。

「アンタね〜……子供たぶらかして何しようとしてたのよ? シンク君から全部聞いたわよ」
「へ?」
「お姉さんに頼まれて来たなんて嘘じゃない! ホントは悪いことして逃げて来たんでしょ、アンター!!」
「ひ、ひーっ!」

 驚愕するカモに、シンクがネギに説明する。

「ネカネから頼まれてね……このオコジョを捕まえに来た」
「お、お兄ちゃん……」
「下着を2千枚も盗んだ泥棒をね」
「ど、どういう事なの、カモ君!?」
「あ、兄貴! これには訳が! 俺っちには無実の罪で……」
「無実の罪?」

 眉を寄せるシンクと明日菜。
 カモは淡々と語り出した。

 何でもカモには病弱な妹がいるそうで、貧乏な彼らは寒いウェールズの冬を越せる家も無かった。カモは、せめて妹だけでも温かい寝床をあげたかった。
 そこでカモが目をつけたのは保湿効果に優れた、人間の女性の下着だった。それを拝借していると、なぜか罪に問われてしまった。
 ムショ暮らしでは妹に仕送りも出来ず、覚悟を決めて脱走し、貨物船に乗って唯一人間で頼れるネギを追って、日本に来たのだと説明した。

 ハッキリ言って普通に下着ドロなので、シンクと明日菜は同情などしなかった。

「だからって何でこんな事したのよ?」
「そ、それは手柄を立てれば兄貴に使い魔として雇って貰えると思って……」

 マギステル・マギの候補生の使い魔なら追っ手も手出し出来ない事を知っての計画だったようだ。
 呆れ果てるシンクと明日菜。カモは帽子を深く被り、3人に謝った。

「いや、すまねぇ……姐さん、旦那、ネギの兄貴。尊敬するネギの兄貴を騙して利用するなんざ俺も地に落ちたもんだ。笑ってやってくれ……大人しく捕まることにするよ」

 急に潔くなって帰ろうとするカモ。

「じゃ、あばよ」
「ま、待ってカモ君!」

 しかし、突然、ネギがカモを引きとめた。

「し、知らなかったよ……カモ君がそんな苦労を……」
「な……?」

 最初の病弱な妹云々で、すっかりカモに同情してしまったネギは両目に大量の涙を溢れさせていた。

「あ、兄貴……」
「分かったよ、カモ君! 君をペットとして雇うよ!」
「あ、兄貴ー! いいんですかい!? こんなスネに傷持った俺っちなんかとでー!」
「うん! 月給は5千円でどう!?」
「十分でさぁ、兄貴ー!」

 涙して抱き締め合うネギとカモ。
 明日菜は額に指を当てて隣のシンクに尋ねる。

「いいの、これで?」
「………………ネギ」
「あ、お、お兄ちゃん……何?」

 シンクがネギを呼ぶと、彼はビクッと身を竦ませて顔を向ける。

「この女から聞いたけど……お前、初日から魔法使いってバレて、その上、生徒に負かされたそうだな?」
「はぅ! うぅ……」
「…………まぁお前の修行がどうなろうが知ったこっちゃないけどね」
「ううぅ……」

 背を向けて手をヒラヒラと振るシンク。明日菜は、余りに酷いシンクの態度に文句を言おうとした。

「ちょ、ちょっと……!」
「のどか!」

 その時、角の所で怒声がした。3人と1匹は、声のした方を向く。
 そしてシンクは驚愕した。
 そこには、桃色の髪の少女が息を切らせて立っていた。

「ア、アリちゃん?」
「アリエッタさん?」
「…………バカな」

 その少女をシンクは見間違える筈が無い。
 かつて元いた世界で同じ六神将の一人として数えられ、最後の最後までシンクのオリジナルとなった人物を思っていた少女だった。

「アリエッタ……」

 それは間違いなく、『妖獣のアリエッタ』だった。

 アリエッタは気絶しているのどかと、唖然となっているネギ、明日菜、そしてシンクを見て、シンクを睨みつけた。

「のどか……アリエッタの親友……許さない」
「は?」
「許さないんだから!」

 アリエッタは激昂すると、懐からカードの束を取り出し、一番上のカードを捲った。そのカードには獣の絵が描かれている。

「召喚【エウオケム・テー】!! ライガ!」

 するとカードが強く光り出し、白煙が巻き起こった。
 白煙の中から黄色い虎のような体毛に赤い触角を持った四本足の獣が出て来た。

「なぁ!?」
「ア、アリちゃんも魔法使い!?」
「行け!」

 シンクを指差して命令を下すアリエッタ。すると獣はまっすぐシンクを目指して突っ込んで来た。

「ちょっと待て、アリエッタ! 僕だ! シンクだ!」

 が、シンクが珍しく声を荒げて叫ぶとアリエッタは目を見開き「待って!」と獣に命令した。

「…………シンク?」
「ああ、そうだよ」
「…………何でココに?」
「その台詞、そっくりそのまま返してやるよ」

 どうやら知り合いらしい2人のやり取りにネギ、明日菜、カモは揃って首を傾げた。


 後書き
 アリエッタ登場です。彼女はネギの生徒で、アリエッタ・フェレスという名前で学校に通っています。その経緯は次回、明らかになります。彼女の魔法は、『妖獣』の二つ名らしく、カードから魔物を召喚します。遊○王です。

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