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▽レス始

「妖使い!?横島の生活! 第七話〜子供泣かせて悲劇の子猫〜(元ネタ GS+おまもりひまり)」

ハルにゃん (2007-01-27 09:54)
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横島達の自己紹介が終わり、
あてがわれた席に着くと担任の如月 冴先生が明日からの予定を話してくれた。
席は緋鞠と隣同士だ、おそらくほとんど素人の横島を気遣っての担任の配慮だろう。
霊能科といってもやはり数学や英語といった普通の授業もあるようで安心する。
しかし除霊実習なるものがあるのはさすが霊能科といえよう。
横島にはそんなものできる気が全くしないがいまさら逃げる訳にはいかない。きっとなんとかなるだろう、緋鞠もいるし。

「という訳で明日は普通授業が中心になる、除霊実習は来週からだ。
他の先生方に失礼のないように行動しろ。以上」

抑揚のない口調でそう言うと如月は教室を出る。
すると緋鞠の回りに男子が群がってきた。

「野井原さん!一緒に帰りませんか!?途中で喫茶店にでも…!」

「てめ、抜け駆けすんな!野井原さん、俺が家まで送りますよ!!」

「すまぬ、私と若殿はこれから仕事があるのでな、これで失礼する」

席を立った緋鞠はやたら黒目の多い、まるで少女漫画のいじめっ子のような美少女にモーションをかけている横島の元へと向かっていった。

「そんな事言わないで一杯だけ!一杯だけお茶していきましょーよ!!」

「いい加減、お放しなさい!!しつこいですわ!」

「何をしておる若殿、早く行かぬとまた所長殿に叱られてしまうぞ」

「うげっ、そうだった!
それじゃ弓さん!俺ら仕事あるんで明日必ずお茶しましょうね!」

「結構ですっ!」

そう言って横島達は教室を出ていく。
残された弓はというと、なんなんですのあいつは!?と、取り巻きの少女に八つ当たりしていた。気の毒な取り巻きさんだ…。

横島達が校舎を出ると見覚えのあるスポーツカーが一台校門の前に止まっていた。
運転席を除いてみるとやっぱり見覚えのある人が座っていた。
サングラスをして髪型が微妙に違うが間違いなく美神だろう。
横におキヌちゃんが浮かんでいる事から見ても間違いない。

「あれ?美神さん、こんなとこで何やってるんスか?」

「バカっ、声がでかいわよ!
あんまり遅いから迎えに来たに決まってるでしょ、
私はここではヒーローなんだからバレる訳にはいかないのよ!
それより今何時だと思ってんの!」

それならもう少し変装のしようがあると思うが美神自身はこれで上手く隠せているつもりなので黙っておこう……

「いーからとにかく乗んなさい!」

「へ〜い」

横島と緋鞠が車に乗り込むと車は急発進した。
やはり美神のバレバレだったのか周りの生徒、主に女子達がキャーキャー言っている。

「おぉ!女子達が俺に手を振ってくれている!!気分は4様!?」

「危ない発言をするんじゃない!」

「若殿は幸せじゃな〜違う意味でじゃが…」

「アハハハ……」

おキヌちゃんの渇いた笑い声が物悲しい。

「それよりなんでこんなに遅れたの?入学式ならとっくに終わってる時間でしょ?」

「実はじゃな、かくかくしかじかという訳だったのじゃ」

美神に問われた緋鞠は簡単に式神騒動の事を話した。
あの式神騒動は処理しそこねた式神ケント紙が周りの霊力を吸ってしまったため暴走したという事になっている。
もちろん真実は違うのだが教師達がそうだと言ってしまえば疑う生徒はあまりいないだろう。

「ふ〜ん、やっぱりねまんまとおばさまにハメられちゃった訳か」

緋鞠の話しを聞いた美神の第一声がこれである。
美神には話しを聞いてすぐに理解できた。いや、正確には横島達と面接をした時にはだいたい予想はすいていたのだ。
冥奈は横島と緋鞠を六道家に取り込もうとしているのだろう。
そのためにわざわざ共学化して横島を六道学園に入学させ、霊能科に入れるために式神を暴走させたのだ。
共学化はただ単に偶然だったのだが美神の推理は概ね間違ってはいない。
だがそんな事とは露知らず、名門校に入れてラッキー俺って実は天才やったんやな!?なんて思っていた横島は事情を聞くとげんなりしてしまった。
緋鞠はといえばもっと頭を働かせるべきじゃった……と後悔している。
だいたいそこまでわかっていたなら事前に忠告してくれても良さそうなものではないか?

「あんた達に言ってもあのおばさま相手じゃ碌な事もできずに敗北必至よ、
でもあんた達は渡さないわ!この美神令子が一度手に入れたものを安々と手放すとは思わない事ね!オーホホホホホホ!」

「なんかどっちに付いても不幸な目に合うような気がするのは気のせいか!?」

「気のせいだと思いたいが間違いないじゃろうな……」

「だ…大丈夫ですよ、美神さんはホントは優しい人ですから…」

目が泳いでいるぞおキヌちゃん……。
そうこうしているうちに美神達は今日の除霊現場に到着した、
美神達は現場で待っていた眼鏡をかけたおでこの広い依頼人のおっちゃんから詳しい話しを聞こうとする。

「きょ…共同作戦!?そんな話し聞いてないわよ!?
じゃ、私はこれで…」

ぎゅっ

「私は〜令子ちゃんと一緒にお仕事できるのを〜楽しみにしてたのよ〜〜?そんな言い方ないじゃないの〜〜〜」

嫌な予感がしたので逃げ出そうとした美神の髪の毛を引っ張り、激しく聞き覚えのあるのんびりしすぎた口調で止める女性が現れた。
その人物に美神が固まっている間に依頼人のおっちゃんが説明を続ける。
なんでも新築マンションなのに建物の相が悪かったらしく、周辺の霊が集まってきて人が住める状態ではなくなってしまったらしい。

「なにしろ千体以上も除霊する訳ですし、早急に作業を進めるためにも、お二人で協力していただきたいと思いまして。」

「それでね〜お母様が〜共同作業なら〜令子ちゃんを呼んだ方がいいって言ったの〜
私も〜令子ちゃんと一緒なら〜嬉しい〜〜」

(おばさまめっ、そうきたか!!)

「あの〜おとりこみ中ですが、そちらの可愛らしい方は美神さんのお友達で?」

硬直から復活した美神の心の声も虚しく、今まで黙っていた横島が揉み手をして、でへでへ笑いながら近づいてくる

「お友達というか…知り合いよ
…ついでに言うとあんたの学校の理事長の娘さん」

それを聞いた瞬間、横島の顔はげんなりしたものに変わる。
さっき美神から事情を聞き、式神騒動から数時間しかたっていないのにいきなりソレ関係で接触があると何か思惑があるとしか思えない。当然だろう。

「ひどお〜い。お友達じゃないの〜〜
はじめまして〜〜六道冥子ですぅ〜〜」

「今、この瞬間に愛が産まれました!僕の名前は横島忠夫!あなたのお母さんに認められている男です!」

横島はさっきのげんなりはどっかに吹っ飛び、キリリとした真顔で訳のわからない事を言い出した。

ガンっ!

「私にも我慢の限界というものがあるぞ若殿……」

安綱の鍔で横島の脳天を攻撃した緋鞠は笑顔と似て非なる表情を浮かべ、こめかみを震わせている。

「あら〜〜?あなたは〜だぁれ〜〜?」

「私は若殿の護り刀、野井原 緋鞠じゃ
女、理事長殿から何を命ぜられたかは知らぬがあまり若殿にちょっかいをかけると私も黙ってはおらぬぞ」

そう言って緋鞠は冥子に鋭い視線を向ける。
緋鞠はさっきの美神の話しを聞き、六道家を完全に敵視し始めていた。
横島本人が進んで六道と関わりたいというなら問題ないが、
本人の意思を無視して取り込もうとするなら容赦する気などない。
そして今は冥子の色香に迷わされているが、
横島が六道家に付きたいと考えていないのは明白だである。
したがって徹底抗戦あるのみ!
だが、今回は相手が悪かった……。
瞬く間に冥子の目が緩みだす。

「まずいっ!おっ、おキヌちゃん!逃げるわよ!!」

「え?なんでですか?」

顔面蒼白の美神は相変わらずポヤっとしているおキヌちゃんを引っ張って非難を開始した。

「ふぇぇ……」

「な、なんじゃ?泣いても若殿は渡さぬぞ!?」

緋鞠は泣きまねは通じぬ!とばかりに威嚇するが、これは火に油を注ぐ行為でしかない。
横島は雰囲気に飲まれ、オロオロしているのでなんの役にもたたない。
そしてついに冥子の稼が外れた。

「ふぇ〜〜〜〜〜ん!!!私はお名前聞いただけなのに〜〜〜〜〜〜!!」

「ふにゃ〜!!?」

「なんだ〜〜!!!?」

泣き出した瞬間に冥子の影から大量の何かが飛び出してきた、その数10匹。
その全てがなぜか横島をスルーして緋鞠に飛び掛かっていく。

「に゛ゃーー!やめぬか!!こ、こら!そんなところを舐めるでない、
ヒャっ…!巻き付くな締め付けるな!こら貴様!どこに入ってきておる〜〜〜!!あ…若殿た、たすけ…ヒャン!」

みるみるうちにあられもない姿になっていく緋鞠を見て鼻血を流していた横島だが呼ばれたら助けない訳にはいかない。
ホントはもーちょっと見物していたかったのだがこれ以上はこのSSに肉表記がついてしまうので泣く泣く止めに入る。
と言っても横島にはこんな猛獣を引き離す事はできないので恐る恐る近づいてきた美神と二人で冥子をなだめ始めた。
しばらくすると冥子も落ち着き、式神を制御してくれた。

「ぜぇぜぇ…た…助かった。もう少しでお嫁に行けぬようになるところじゃった……」

息も絶え絶えに起き上がった緋鞠は、化け物の涎やらコゲやらでぐちゃぐちゃに乱れた着物を正す。いったいどこまで進入されたのか作者が知りたい。

「でもなんで緋鞠だけを襲ったんだ?」

間近には緋鞠の他に横島もいたのに横島には全く被害がなかった。
美神がおキヌちゃんだけを連れて逃げ出した件についてはもう諦めているので、じと目で見るだけに留める。
本来なら緋鞠も連れていくのだろうがあの時は緋鞠まではフォローできなかったのだろう。

「昔…私の母様が同じような目にあっていたのを覚えておる……」

横島は冥子の事を知っていそうな美神に聞いたのだが返事は緋鞠からだった。
そして緋鞠は語り始める。
昔、まだ緋鞠が幼い猫であり、母に抱かれながらどこかの屋敷に行った時の事だった。
何やら緋鞠の母とその主である横島の祖父が若い、着物を着た女性と話し込んでいたが、話がまとまったのか横島の祖父が首を縦に振り、緋鞠の母が優し気な笑顔を女性に向けると女性は感極まったのかワッと泣き出してしまう。

「その瞬間じゃ!今と全く同じように私の母様にあの化け物どもが襲い掛かったのは!!」

緋鞠は拳を振り上げて力説する。

「なるほどねぇ。
その女性ってのはおばさまの事ね。
緋鞠のお母さんはよほど冥子の式神に好かれてたんでしょうね…」

可哀相に…と美神が緋鞠を見る。
今回、緋鞠だけが被害を被ったのもおそらく緋鞠の妖気が母と似ていたためだろう。

「そうか、だからお前、理事長と会った時あんなに気に入らなかったんだな」

人間でも子供の頃に目の当たりにした恐怖は大人になっても残っているものだ。
今回は緋鞠の中で尊敬している母を完膚無きまでに攻めまくった(式神達はじゃれているつもり)式神と、その術者の事を覚えていなくてもトラウマとして残っていたのだろう。
そのトラウマが無意識のうちに冥奈を敵だと判別したに違いない。

「あ〜でもそれたぶん故意じゃないわよ?」

そう言って美神は冥子の、いや六道家の特殊な精神について話してくれた。

「という訳でおばさまは嬉しくて泣いちゃっただけなのよ」

「そうよ〜?お母様は〜と〜っても優しいのよ〜〜?たまに怖いけど〜〜」

冥子のあまりフォローと言えないようなフォローを聞き、緋鞠はため息をつく。
どうやら緋鞠と横島は六道家となかなか縁が深いらしい。
だが若殿は渡さぬ、必ずや護ってみせる!妖からも、六道からも!!
一人決意を新たに気合いを入れる緋鞠とは別に、
依頼人とおキヌちゃんはのどかに緑茶を啜っていた。


とぅーびーこんてぃにゅー


あとがき
長くなりすぎましたので続きはまた次回になります。
しかし六道親子が出ると話がなかなか進んでくれません……今書いている戦闘シーンもかなり大変です。
さてさて今回の依頼は無事に終わるのでしょうか?私の中で緋鞠がどんどん誘い受けキャラになっていきます……。
これはもっと上手くなったら18禁なども書いてみたくなりますね。

ではレス返しです

○紅き眼様
レスありがとうございます。
第一話から少しは成長しましたでしょうか…?
私自身はまだまだ文章力が不足に感じます、こんな事なら国語の授業をもっとまじめに受けておくんだったと後悔気味です。
六道学園の話と美神事務所の話は事件ごとに相互にやっていくつもりですのでどちらも楽しみにしていただけると嬉しいです。

○G様
レスありがとうございます。
<12家有るからなのかはるか昔に12家であり今は横島の所だけなのか・・・
本当にG様のツッコミは的を得ていらっしゃる……
ひまり本編では市制に紛れた家もあり、いまだにやっている家もあったりだそうですがこの物語ではだいたいの家がGSとしてやっています。
今のところ横島家以外では2家考えていますので楽しみにしていただけると嬉しいです。
愛子についてはもう少し考えてから書こうと思います。それにはまず学校関係者を全員出さねばいけません……

ではレス返し終了です。

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