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▽レス始

「GSきす 〜第四章〜(きゃんでぃそふと+GS)」

キャンディ (2007-01-25 22:18/2007-01-25 22:21)
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「OK〜」
「え?」


 商談を持ちかけ、アッサリと了承するエリカに、令子は拍子抜けした顔になる。


「エ、エリー、いいの? そんな大金・・・」


 思わず良美が尋ねる。
 令子の言った金額はハッキリ言って法外も法外。
 億の単位にまで及んでいた。
 令子自身、高校生であるエリカが、この金額を聞けば驚くかと思ったが、逆に彼女は二つ返事で了承してしまった。


「パパに頼めば、ソレぐらいのお金出してくれるわ。事情が事情だし・・・けど」


 そこでエリカは穏やかな笑顔から一変し、冷たい、正に氷のような瞳で令子を見つめる。


「一つだけ条件があるわ」
「条件?」
「美神さん・・・だっけ? 貴女の・・・・・・・・・貴女の乳揉ませて」


 竜宮にいる人間がエリカを除いて引っ繰り返った。
 そりゃまぁ流石にいきなり『乳揉ませて』なんて言ったらそうなるだろう。


「ひ、姫・・・こんな時にまで」


 刀を支えにして起き上がりつつ乙女が叱咤するが、エリカは前髪をいじりながら優雅に返した。


「だって、そんな大きい胸見たら、揉むか舐め回すかのどっちかしかないじゃない?」


 物腰は優雅だが、言ってる事はオヤジだった。


「もし揉ましてくれたらパパに今の金額にもう少し上乗せして頼んであげるけど・・・どうする?」
「・・・・・・・・ちょっと、あっちの部屋行きましょ」
「OK」


 顔を赤くし、令子はエリカと共に隣の部屋に移動する。


「ここにフカヒレがいなくて良かったな、おい」
「ここに横島さんがいなくて良かったです・・・」


 カニとおキヌが、同時に同じ心境を漏らす。
 確かに此処に2人がいれば、禁断の花園というか、まぁそんな展開が繰り広げられている所に飛び込まない筈が無い。
 やがて何故かゲンナリした令子と、手をワキワキさせてご満悦なエリカが出てきた。


「う〜ん、役得役得♪」
「み、美神さん・・・」
「いい、おキヌちゃん。この事は絶対に横島クンに言っちゃ駄目よ」
「は、はい・・・」


 胸を押さえながら令子に迫られ、おキヌは首を縦に振った。
 その時、勢い良く竜宮の扉が開かれ、フカヒレが入って来た。


「あん? どした、フカヒレ? ひでー顔が前より醜くなってんぞ」


 何故か傷だらけの彼に対し、カニがキッツイ事を述べるが、フカヒレは血相を変えて叫んだ。


「お、お姉さん、大変ッス! 烏賊島の方で・・・」
「?」


GSきす 〜第四章〜


「テメー、デミアン・・・何で生きてやがる?」


 横島は目の前に立つ魔族、デミアンを睨みながら問う。
 デミアンはかつて、令子と横島によって倒された魔族の殺し屋である。
 見た目は10歳ぐらいの少年だが、冷酷非情でヒステリックな魔族である。


「何で生きている・・・か。最も愚かな質問だな」
「何?」
「私は此処に存在している。それだけだ」
「訳分かんないこと言ってんじゃねーぞ! 再生怪人ってのはお約束通り!」


 横島は掌に再び珠を出す。
 それには『滅』という文字が刻まれていた。
 人間で恐らく横島のみが使えるであろう能力『文珠』。
 霊力を凝縮した珠に、ある一定のキーワードを念じる事で、その効果を発揮するレア中のレアな能力。
 総合的なGSの能力で横島は、平均よりずっと下だが、文珠の使い道によっては、人間に倒す事は不可能な上級魔族や神族を倒す事も出来る。
 デミアンもかつては、その文珠により、不覚を取ってやられた。
 横島は『滅』の文珠でデミアンを倒そうと叩きつけようとする。


「ふん」


 しかし、デミアンは不敵な笑みを浮かべ、腕を振り上げると横島の腕を弾き、文珠をその手から離した。


「でべっ!」


 そして強烈な肘打ちを叩き込み、彼を吹き飛ばした。


「貴様と一対一で戦えば負ける事は無い」


 文珠は確かに脅威であるが、横島の格闘技術は素人に毛が生えた程度。
 スピードなどデミアンからすれば容易に見切れる。


「て、てんめぇ〜」
「さて・・・と。貴様に復讐するのも面白いのだが、ボスから受けた命令が最優先なのでな。この場は生かしておいてやる」


 横島には興味ない様子でデミアンは、素奈緒を抱えているレオの方へと振り向く。
 しかし、横島は『ボス』という単語に強く反応した。


「ボス・・・おい、お前。またどっかの魔族に雇われて・・・」
「貴様に知る権利は無い・・・おい、人間」


 レオはデミアンに睨みつけられ、ビクッと彼を見上げた。


「此処で女を見なかったか? サングラスをかけた・・・下らない事をほざく女だ」
「え? あ・・・」


 そこでレオは先程、此処で海を見ていたサングラスの女性を思い出す。
 そして、ついチラリと森の方を見た。
 それだけでデミアンには充分だった。
 彼は笑みを浮かべ、森に向かって歩き出そうとする。
 その時、後方から水の跳ねる音がした。


「?」


 そして次の瞬間、何かが海面から飛び上がり、デミアンの頭上に飛んだ。


「な・・・!?」
「あ・・・」


 その人物を見て、デミアンは驚き、レオは思わずその名前を叫んだ。


「乙女さん!」


 どうやら海面を走って来た乙女は、デミアンの頭上に飛び上がり、地獄蝶々に手をかける。


「万物悉く切り裂け! 地獄蝶々!!」


 一閃。
 振り下ろされた地獄蝶々は、巨大な砂柱を立て、デミアンの腕を切り裂いた。


「な・・・に!?」


 切り飛ばされた自分の腕を掴み取り、デミアンは驚愕の眼差しを乙女に向ける。
 乙女は地獄蝶々を構え、レオと素奈緒を守るように立つ。


「無事か、レオ?」
「あ、う、うん・・・でも、近衛が」
「心配するな。近衛の傷は浅い・・・物の怪の類相手に良く逃げなかったな、レオ」
「あ、いや・・・」


 本当は腰が抜けてて逃げようにも逃げれなかったレオ。


「そ、それより乙女さん、どうして此処に?」
「鮫氷が、此処の沖で不思議な光を見たと言って浜辺に言ったら、お前達の姿が見えてな」
「(向こう岸から此処まで見えたの!?)」
「それで急いで駆けつけた」


 アッサリと『駆けつけた』と言いのける乙女に、レオだけではなくデミアンと横島も驚愕してしまう。


「な・・・バ、バカな! 普通の人間が海の上なんか走れるか!!」
「出来る! 右足が沈む前に左足を出せば沈まない!!」
「んなアホな・・・」
「そんなの出来るの乙女さんか館長ぐらいだよ・・・」
「これも全て気合いだ!!」


 あらゆる理不尽な事でも『気合だ』の一言で片付ける乙女。
 横島とデミアンは、その破天荒ぶりに絶句し、レオも苦笑いを浮かべるしかなかった。
 しかし、従姉ながら彼女の人間離れし過ぎている身体能力に恐怖を覚えるレオ。
 乙女は、普段の風紀違反者を見る以上に怒りのこもった瞳でデミアンを睨みつける。


「私の弟と後輩をこのような目に合わせて・・・許さんぞ、物の怪」
「生意気な人間が・・・この腕の恨み、返り討ちにしてやる」


 斬られた片腕を強く握り締め、デミアンも乙女を睨み返した。


「ひゅ〜、さっすが乙女先輩」


 その頃、烏賊島の対岸の浜辺では、竜鳴館生徒会メンバーと令子、おキヌが来ていた。
 フカヒレの報告により此処に来た途端、乙女が『レオ!!』と叫んで海の上を突っ走って行った。
 その漫画みたいな光景に、最初は皆が絶句してしまった。


「何・・・あの娘?」
「鉄 乙女先輩。竜鳴館最強の生徒よ」
「・・・・・ひょっとして、あの鉄家の人?」


 ふと令子が何やら思い当たる節がるように呟く。


「美神さん知ってるんですか?」
「まぁ・・・古来日本より『霊の六道』、『武の鉄』っていう一族があるのよ」
「六道って・・・冥子さんのお家ですよね?」
「そうよ。日本のGS界の重鎮、六道家。ソレとは別に、武術の重鎮として日本のトップに立つのが鉄家よ」


 その鉄家の人間なら、海の上を突っ走って行ったのも頷ける、と令子は語る。


「あ、あの、それよりあそこに対馬くんがいるんだったら、助けに行った方が・・・」


 この場で数少ない良心の良美が令子に意見を述べる。
 如何に乙女が武術の達人でも、悪霊相手ではひょっとしたらヤバいかもしれない。
 かと言って良美も含め、乙女が苦戦する姿など想像出来ない生徒会メンバー。


「と言っても此処からじゃ・・・」
「安心しろ!!!」
「「「「「「「「「え?」」」」」」」」


 此処からでは移動手段が泳ぐしか無いので困っていた令子だったが、突然、怒号が響いた。
 皆、声のした方を見て思わず目を点にした。
 何故かそちらには、褌一丁でクルーザーを担いでいる館長が来ていた。


「へ、へいぞー?」
「おお、きぬよ。儂も、あの光を見て何か嫌な予感がしたのでな・・・港の方から儂のクルーザーを持って来てやったぞ」
「いや、持って来たって・・・」


 普通、それは担いで持って来るものではないと令子がツッコミを入れるが、竜鳴館生徒の反応は、「さっすが館長!」、「頼りになんぜ、へいぞー!」、「相変わらず常識外れ・・・」等々とアッサリと受け入れていた。


「な、何か皆さん、こんなの当たり前のようですね・・・」
「狂ってる・・・この学園、何だか狂ってる」


 自分達も大抵、常識外の事をして来たが、クルーザーを担いで来たり、海の上を走って行ったりと、本当に此処が人間界なのか疑いたくなる令子だった。
 その間にも館長は海面にクルーザーを浮かせ、ソレに乗り込む生徒達。
 令子達も、やや納得できない部分がありながら、クルーザーに乗り込んだ。


「鉄流奥義! 乱れ乙女!」


 乙女が地獄蝶々を振るうと、真空の刃が発生し、デミアンの身体を切り刻む。


「うおぉ!?」


 ついでに彼の直線上にいた横島はいい具合に切り刻まれた。


「む、いかん。やはりこの技は制御が利かんな」
「に、人間の分際でこれ程の・・・」


 デミアンは信じられなかった。
 まさか乙女ほど魔族である自分を此処まで追い詰めるような人間が存在していたとは予想だにしなかった。


「(GSだけではない・・・我々の障害になるのは・・・)」


 かつて自分が戦ったGS相手なら何とかなると思っていたが、予想外の実力者が、まだ隠れていた事でデミアンは歯噛みする。
 その時だった。
 森の中から黒い影が飛び出して来た。


「!?」


 その影は乙女に向かって拳を繰り出す。
 超人的な反射神経で避ける乙女。
 影の繰り出した拳は砂浜に大きな穴を空けた。


「何者!?」


 影の正体は女性だった。
 真っ白な長い髪に頭頂部からは二本の触覚が突き出ており、黒いフィットしたボディスーツを着用している。
 そして何故か顔には紫色の目の部分だけ開いた仮面をつけていた。


「グリーフ! 貴様、今まで何をしていた!?」


 デミアンが怒鳴る。
 乙女は、その言葉から敵の仲間だと判断し、地獄蝶々をグリーフと呼ばれた女に構えた。


「……………」
「貴様が勝手な行動をするから、私がこのような下等な人間どもに傷を負わされたではないか! どうしてくれる!?」
「……………」


 激昂するデミアンに対し、グリーフは沈黙を保つ。
 すると彼女はふと沖の方を見た。


「レオ〜!」


 すると館長のクルーザーがこちらに向かって来ていた。
 その中に令子の姿を見て、デミアンは目の色を変える。


「(美神 令子!? やはり奴も此処に・・・!)」
「あれ・・・まさか、デミアン!?」


 令子の方もデミアンの姿を確認して驚愕している。
 しかし、突然、館長が船首に移動して来て、皆の前に立った。


「へいぞー?」
「鉄! 対馬達と離れておれぃ!」
「!」


 館長は両手を交差させて腰を落とし、精神を集中させる。
 それを見た乙女は、レオの手を引き、素奈緒を肩に担ぐと、その場から離れた。


「儂の愛すべき生徒に手を出すなど言語道断!!! 滅せぃ!!!!!!!!」


 咆哮と共に館長が掌を突き出すと、そこから巨大な閃光が放たれた。
 閃光は海を削り、まっすぐデミアンとグリーフの元へと向かう。


「な・・・!?」
「・・・・・」


 2人はそのまま閃光に飲み込まれた。
 閃光は森を突きぬけ、烏賊島の遥か向こう・・・水平線の彼方へと消えていった。
 余りに凄まじい館長の攻撃に唖然となる一同。


「ぬぅ! やりおるわ!」


 しかし、館長は笑みを浮かべ、頭上を見上げた。
 皆もつられて空を見る。
 すると、そこには焦げてプスプスと煙を上げているデミアンが浮かんでいた。


「く・・・! 何だ!? 納得できん! なぜ、これほどの力を持つ人間どもがこんなに存在する!?」


 デミアンは悔しそうに乙女や館長を睨みつける。


「ん・・・誰だ・・・?」


 一方、すっかり館長に忘れられていた横島は、閃光に飲み込まれたと思っていたが、何故かグリーフによって助けられていた。
 グリーフは、ゆっくりと横島を寝かせると、ポツリと呟く。


「約束だ・・・次は・・・敵同士」
「え・・・?」


 そう言うと、グリーフも宙に浮かび上がり、デミアンに合流する。


「この場は帰るぞ。ボスに報告する事が出来た」


 コクッとグリーフは頷くと、2人は消え去って行った。


「デミアン・・・アイツ、何で・・・?」


 過去に倒したデミアンが何故か生きている。
 令子は、2人の魔族が消えた夕空を細い目で見つめていた。


 <ATOGAKI&RESUGAESHI>

 >パッサジョ様
 はじめまして。感想ありがとうございます。
 これからも更新をがんばりますので、よろしくお願いします。


 >ソティ=ラス様
 今回も最強ぶりを見せ付けた館長。
 すいません、以後文章には気をつけます。
 スバルと雪之丞の兄弟設定は、どうやら受け入れて貰えた様子で嬉しいです。
 姫とは全面戦争ではなく、乳揉ませてで一発OK。令子の乳を見て、姫が手ぇ出さない筈ないです。


 >九頭竜様
 横島vsフカヒレは熱血ドラマ(内容は下品ですが)的になって、友情が芽生えました。
 シロタマも登場しますよ〜。タマモと姉しよのマルって親戚っぽいですし。
 館長に勝てるとしたら・・・江○島平八、範○勇次郎、マ○ター・アジア、ラ○ウとかインパクト強い濃い人達じゃないと無理っすわ。
 デミアンと互角以上に戦う乙女も書いてて凄いと思いました。
 メドーサも登場させる予定ですが、彼女は少し重要な鍵を握ってたりします。


 >エセマスク様
 館長大好きです!
 本気の横島・・・でも、横島って年上のお姉さん相手に殴ったり出来るんでしょうか? 何だかんだでフカヒレと違って女は殴れない男ですから。
 横島vsフカヒレは、同感できる部分もありますけど、それはそれで人間として疑問な内容でしたね。
 当初、この小説を書く際、スバルと雪之丞が同じ苗字な事に気づき、タダ偶然で済ませるのは勿体無いと思い、兄弟設定にしました。これにより、スバルもGS世界に踏み込めるという訳です。まぁ、レオは主人公で、フカヒレは横島に、スバルは雪之丞に、という感じです。


 >ショッカーの手下様
 2人の友情は固いですが、綺麗な姉ちゃんを見ると壊れちゃう脆い面もありますね。そこが2人の2人たる所以なんですけど。


 >髑髏の甲冑様
 館長の元ネタであろう某塾長も大気圏突破とかしちゃってますからね。今回は、気孔波(理論は情熱と気合い)っぽいもので魔族を撃退しました。某スレイ○ーズの老けた王子様っぽい。あの人は素手でですけど。
 フカヒレは頑丈じゃないですけど、微妙に乙女さんの制裁を悦んでますからね〜。
 美神と高嶺の年齢ですが、余り公言できません。公式にも高嶺の年齢設定されてませんし。まぁ同い年ぐらいじゃないですか?
 確かにスバルの方が背ぇ高いです・・・でも私も弟に身長負けてますし。15cmぐらい負けてます。
 フカヒレをシャークと呼ぶのは、フカヒレを漢として認めたからです。


 >スカートメックリンガー様
 デミアンに直しておきました。ありがとうございます。
 雪之丞は父親の設定が出てないように、スバルもまた母親が別れたというだけで設定が出てません。そこを利用しました。
 基本的に両作品のキャラは『力を合わせて皆の為に頑張ろう!』なんてキャラは少ないですから・・・友好的なキャラが貴重なんですよね。


 >スケベビッチ・オンナスキー様
 横島もまた、フカヒレに自分と同じ『何か』を感じ取ったからこそ、正々堂々と拳の勝負で挑んだんです。
 次回はスバルと雪之丞の続きを書こうと思います。お楽しみに。

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