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▽レス始

「GSきす 〜第三章〜(きゃんでぃそふと+GS)」

キャンディ (2007-01-23 16:37/2007-01-25 19:08)
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 ある人物が松笠駅に立つ。
 夏場だというのにコートを着て、帽子を目深に被っている。
 帽子から覗かせる鋭い切れ長の瞳を上げ、青空を見上げる。


「変わってねぇなぁ・・・此処は」


 感慨深げに呟き、彼は歩き出す。


「さて・・・と。行くか」


GSきす 〜第三章〜


 レオは烏賊島を浜辺から見つめていた。


「・・・・・・何だったんだろうな」


 授業中に見えた不思議な光が烏賊島に落ちたのを見て、レオは気になり浜辺まで足を運んだ。
 潮風に吹かれ、レオは次第に好奇心が薄れていく。


(帰ろう)


 踵を返したその時だった。
 一人の少女が彼の目に留まった。
 少女は何故か一人で手漕ぎボートを押している。
 赤いツインテール、強い意志を持った瞳、竜鳴館の女子の制服を着た少女は、レオにとって深い因縁のある人物だった。


「近衛?」
「? 対馬?」


 つい声を上げて呼んでしまう。
 少女―近衛 素奈緒は、レオの存在に気づくと表情を厳しいものにした。
 まるで親の仇を見るような憎しみとも取れる眼光でレオを睨み付ける。
 対してレオはそんな彼女から気まずそうに視線を逸らす。
 それで更にレオは苦々しい表情になり、素奈緒もまた更に怒りを眼光に込める。
 正に悪循環である。


「ふん・・・人と目も合わせられないなんて、相変わらず腑抜けた男ね。トサカにくるわ」
「・・・・・・別に・・・そんなんじゃ・・・っていうか、お前、何してるんだ?」


 女の子一人でボートを押している姿など早々見れるものではない。
 レオが尋ねると、素奈緒は嫌々ながらも答える。


「烏賊島に行くのよ」
「烏賊島? ・・・・・・・島流し?」
「違うわよ! アタシが何で島流しされなきゃいけないのよ!? 寧ろ行くのはアンタでしょうが!」


 竜鳴館では、成績不良や生活態度が悪い者には、この浜辺から見える無人島、烏賊島へ送られる。
 通称『島流し』。
 烏賊島へ送られた者は、どんな悪い子も、たちまち良い子になるという実話から、全生徒に恐れられている。


「失礼な・・・島流しスレスレなのはカニかフカヒレだ。で? 何でわざわざ烏賊島行くんだ?」


 ボートを沖に向かって押している素奈緒に尋ねるレオ。


「島に不思議な光が落ちたのよ」
「!」


 答えにレオは驚いて素奈緒を凝視する。


「お前も・・・見たのか?」
「? アンタも?」
「あ、ああ・・・」
「ふ〜ん・・・それで、こんな所にいた訳ね。それで? ここまで来たのは良いけど、確認もせずに帰るの?」
「ああ。興味無いからな」
「嘘ね」
「・・・・・・・」
「アンタは『テンションに流されて面倒な事になりたくない』とでも考えたんでしょ? それと興味が無いのは違うわよ」


 痛い所を突かれてレオは言葉を詰まらせる。
 興味が無くて帰る事と、テンションに流されて面倒な事になりたくないとでは大きく違う。
 前者はそのままの意味。
 しかし後者の場合、興味がありながら引き返すという事で、それは自分の気持ちを押し潰しているという事だ。


「俺は・・・」
「アタシは行くわよ。この先にあるものが大きな事でも些細な事でも、自分の気持ちに従って選んだ道なら後悔なんてしないもの」
「・・・・・・・」


 ボートを海に浮かせる素奈緒。
 レオは、顔を俯かせながら拳を握り締め、震わせる。


「おい、待てよ」


「失礼します」


 館長に頭を下げ、令子、横島、おキヌは部屋から出る。
 3人とも無言で廊下を歩いていると、ふと横島が質問した。


「あの・・・美神さん。何で除霊の件、引き受けちゃったんスか?」
「確か堂々と館長さんに断ってやるとか・・・」
「・・・・・・ったの」
「「え?」」
「逆らえなかったのよ!! この私が!!」


 額に青筋を浮かべ、涙を流して怒鳴る令子に、横島とおキヌは悲鳴を上げる。


「「ひ、ひえええ〜!」」
「あぁ〜!! 何故!? 何であの爺さんの言うことホイホイ聞く事しか出来なかったの〜!?」


 髪の毛を掻き毟って悔しがる令子。
 横島とおキヌは館長室での出来事を思い返していた。


「ほほう? お前達が柊の言っていたGSとやらか?」
「は、はい」


 対峙しているだけで分かる威圧感。
 威風堂々とした佇まい、顔や腕からのぞく傷跡は数多くの修羅場を潜って来た猛者を伺わせる。
 これほどの圧力は3人が戦ってきた中で最強の敵、アシュタロス以来ともいえる。


「我が街に巣食う悪霊どもを退治してくれるそうだな?」
「え、ええ。その件につきまして、依頼料を・・・」
「ぬ? 依頼料なら柊から受け取っているであろう?」
「そ、それはその・・・少な過ぎまして・・・」
「ほほう? して、その額は?」
「え?」
「その額はっっっっっっ?」


 クワッと隻眼で睨みつけられ、令子は硬直した。
 今、この場で雛乃の提示した依頼料を言えばどうなるか想像してみた。


『何!? この額で不満なのか!? ぬぅ・・・金に飢えた正に現代人の軟弱ぶり!! 美神 令子よ!!』
『は、はい!?』
『超絶なる敢闘精神は金をも凌駕する!!!!』
『ひ、ひいぃ!!!!!!!』
『その事をみっちりと叩き込んでくれるわ!!!!!!』


(・・・・・・冗談じゃない!)


 果たして、どんな事をされるのか想像したかは不明だが、館長の威圧感に令子の思考能力もおかしくなっているようだった。


「イエ・・・十分な額です」
「「!?」」
「ならば頼むぞ!!!」


 驚く横島とおキヌを他所に、館長は盛大に笑って頷いた。


 神すらも報酬を払わなければ仕事を引き受けない令子が、一人間にあそこまで屈した姿は見た事がない。
 強いて言うなら彼女の母親ぐらいか。
 横島とおキヌも、まぁあの館長と対面したら仕方が無いようにも思う。
 あの館長からは逆らえない『何か』があった。


「ま、今回は運が悪かったと思って諦めるしかしゃあないッスよ」
「ふ、ふふふ・・・」
「? 美神さん?」


 何故かほくそ笑んでいる令子に、横島とおキヌは眉を顰める。


「ど、どうしたんスか?」
「ちょっと小耳に挟んだんだけどね・・・この学校、キリヤカンパニーの令嬢がいるらしいのよ」
「い!?」
「きりやかんぱにーって、何ですか?」
「おキヌちゃん・・・」


 首を傾げるおキヌに、横島は苦笑いを浮かべて説明する。
 基本的に頭悪い横島でも、キリヤカンパニーの名前はニュース等で知っていた。


「キリヤカンパニーっていえば、世界的に有名な大企業で、あの摩周財閥に匹敵するといわれてる会社だよ。『成り上がりのキリヤ』って言われて、ここ数年で急成長したみたいだけど・・・」
「その総裁がこの街に住んでるって事は、悪霊がウヨウヨしてる所為で困ってる筈よ・・・なら!」


 キリヤカンパニーから謝礼という形で金をふんだくってやると高笑いする令子。
 横島とおキヌは、その強欲ぶりに、やはりこの女は転んでもタダでは起きないと戦慄した。


「あれ? 対馬クンは?」


 竜鳴館生徒会室・・・通称『竜宮』にて、エリカと良美が入ると、そこにはレオを除く生徒会メンバーが揃っていた。


「さぁ? 何か知らねーけど、授業終わるとさっさとどっか行っちまったぜ」
「ふ〜ん。ま、別に重要な会議がある訳じゃないし、いなくても構わないけど」


 前髪を弄りながら言うと、ふと扉がノックされた。
 すぐさま良美が「は〜い」と返事をして扉を開く。


「お邪魔するわよ」
「え?」


 すると見慣れない私服の3人組が入って来たので、良美は唖然となる。


「む? あなた方は?」
「「!?」」


 乙女が今朝のGSの人達なので席を立った途端、フカヒレと横島の目がある一点に集中した。
 フカヒレの目は令子とおキヌに、横島の目はカニを除く女子に。
 2人は目にも留まらぬ速さでそれぞれの女性の下へ移動した。


「どうも! 俺、鮫氷って言います! シャークって呼んでください! 愛の捕食者です!」
「は?」
「やぁ、僕は横島 忠夫。この世の美しい女性に愛をばら撒く求道者さ」
「はぁ?」
「「どうか僕と健全で淫らなお付き合いを!!」」


 そう声を揃えて叫んだ瞬間だった。
 横島とフカヒレは、互いに振り返って睨み合う。


「おい、テメー。そこの女達は俺のもんだ。何、勝手に手ぇ出してんだ?」
「いつ私がフカヒレ君のものになったのかしらね〜?」
「貴様・・・美神さんの尻も太ももも全部俺のもんだ。勝手に手ぇ出すな」
「誰がアンタのものだってのよ!?」


 勝手な事を言い放つ横島とフカヒレに、エリカと令子がツッコミを入れるが、2人は無視して互いに歩み寄り、額をぶつけ合って睨み合う。


「・・・・・・表出ろ。此処の女には指一本触れさせねぇ」
「いいだろう。美神さんとおキヌちゃんの操は俺が護る」


 馬鹿な事を言いつつ、2人は竜宮から出て行った。


「フカヒレが2人いるような気分だったな〜」
「よ、横島さんが2人いるような気分でしたね・・・」


 と言ったのはスバルとおキヌ。


「で? アナタ達、何?」


 エリカが呆れ果てている令子に質問すると、彼女もエリカに向き直った。


「私はGSの美神 令子。商談を持って来たの」
「商談?」


 GS、と発した途端、どよめきが起こり、スバルは一人、唇を噛み締めた。


 烏賊島にやって来たレオと素奈緒。
 既に日も傾き始めているので、なるべく早く切り上げようと考えながら森の中を移動する。


「きゃ!」
「っと!」


 森の中を歩いている際、素奈緒が石に躓いたので慌てて腕を掴んで支えてやる。


「大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ、これぐらい! とっとと離しなさいよ!」


 そう言って、レオの手を振り解く素奈緒。
 レオは苦笑し、先を歩く。


「こういう時ぐらい素直に礼言えよ」
「名前ネタNG!」
「はいはい・・・・悪かったな」


 何故かレオが謝り、素奈緒は首を傾げる。
 しかし、そこで素奈緒は気づいた。
 レオは彼女の先を歩きながら、足元の小石や突き出ている木の枝、草などを撤去しながら歩いていた。
 素奈緒に怪我をさえないよう何気ない気遣いをしていた。
 その彼の後姿を見て、素奈緒は頬を赤らめ、視線を逸らした。


(何よ、こいつ・・・こんな所は全然・・・)
「・・・・・・ありがとう」
「ん? 何か言ったか?」
「な、何も言ってないわよ! 早く探すわよ!」
「探すって言ってもな〜・・・光が落ちたなんて曖昧過ぎるし、本当に何かが落ちたなんて確認出来る筈も無いし・・・」
「だったら何で付いて来たのよ?」
「それは・・・」


 素奈緒に言われ、テンションに身を任せた結果、付いて来てしまった。
 レオ自身、それは自覚しているが認めたくなかった。
 テンションに流され、感情のままに行動するのは愚かな行為。
 周囲の流れに身を任せる事が、辛くない生き方を信条としているレオは、その事を素奈緒には言えなかった。
 言えば、また辛い思いをする。
 中学の時のように。
 故にレオは答えず、話を逸らした。


「そろそろ日が沈む・・・今日は帰ろうぜ」
「ちょ、対馬・・・!」


 質問に答えず引き返すレオに、素奈緒は釈然としない気持ちで追いかける。
 浜辺に出て、後ろで喚き立てる素奈緒を無視し、ボートに乗り込もうとするレオ。
 しかし、その時、レオは浜辺にある人物を見た。


「ん?」
「ちょっと、どうしたのよ?」
「いや・・・アレ」
「ん〜? ・・・・・・竜鳴館の生徒・・・じゃないわよね」


 素奈緒も目を細めて浜辺に立つ人物を見つめる。
 女性だった。
 黒髪のボブカット、丈の短い燕尾の赤い服を黒のシャツの上に着ており、ピッチリとした黒いタイツに長いブーツを履いている。
 そして何故かサングラスをかけ、夕陽を見つめていた。


「あの・・・誰ですか?」


 素奈緒は、竜鳴館の人間でない者が此処にいるので、つい質問する。
 女性は顔を2人に向けると、柔らかく唇を緩めた。


「昼と夜の一瞬の隙間・・・その瞬間が好きだから見てたの・・・」
「は?」
「・・・・・・もう時間が無いわ。アナタ達は早く此処から去りなさい」
「え?」
「そうじゃないと・・・死ぬわよ」


 そう言うと、女性は踵を返し、森の中へと入って行った。
 レオと素奈緒は慌てて追いかけようとした時、海から巨大な光の柱が立ち昇った。


 烏賊島と対岸の浜辺で2人の男(バカ)が熱い戦いを繰り広げていた。


「「うおおおおおおおおお!!!!!!!」」


 横島とフカヒレ。
 2人は傷だらけになりながらも渾身の一撃を放ち合う。
 最後の一撃は、互いの顔面に決まり、血が飛び散った。


「や、やるな・・・」
「お、お前こそ・・・」


 2人は笑みを浮かべ合い、そのまま浜辺に大の字になって倒れる。


「へへ・・・こ、このシャークの異名を持つ俺に此処まで傷を負わせるなんて・・・」
「はは・・・お、俺だってお前みたいな奴がいるなんて・・・」
「けどな・・・良く分かったよ。お前の拳を受けてさ」
「?」
「お前・・・女とキスした事あるな。それも何回も」
「・・・・・・・・ああ」


 人間の女とはした事ないが、人外の者となら何度かと横島が言うと、フカヒレは高笑いした。


「ふ・・・はは・・・はははははは! 人間以外の女とキスか! 羨ましい・・・」
「何?」
「俺なんて・・・キスなんか妄想の中でしかした事ねぇよ」
「!?」
「それ以前に人間の女にまともに触った事すらねぇよ・・・」
「・・・・・・」
「お前からは俺と同じニオイがした。だが・・・お前は俺よりずっと幸せな奴だ」
「・・・・・・俺は幸せなんかじゃない。時給255円で働かされたり、悪霊に取り憑かれたり、呪われたり、美神さんからは何度も殺されかけた」
「ははは・・・・お前も結構不幸なんだな。けど、俺はそんなものじゃねぇ・・・」
「何?」
「ザリガニ臭いって言われて女にフラれた事あるか?」
「!?」
「しかもその後、その可愛がっていたザリガニを幼馴染に喰われて全てを失ってしまった俺の気持ちが分かるか?」
「!!??」
「俺は・・・そんな人生を歩んで来たんだぜ」


 自嘲気味に笑うフカヒレ。
 しかし、何故か横島の瞳からは溢れんばかりの涙が流れていた。


「おいおい・・・こんな下らねぇ事で泣くなよ」


 マジで下らない。


「う・・・く・・・お、俺は・・・俺は自分が情けない!」
「?」
「こんな・・・こんな辛い思いをして生きている漢がいるのに気づかず、毎日、美神さんの風呂覗いたり(犯罪)、下着盗んだり(犯罪)、寝込みを襲おうとしたり(犯罪)、下心丸出しでそこらの姉ちゃんに声かけたり(軽く犯罪)・・・俺は・・・自分の事ばっかり・・・!」
「ふふ・・・俺なんかの為に泣いてくれてるのか? 初めてだよ・・・俺の為に泣いてくれる奴がいるなんて・・・」
「っっっっっ!! シャーク!!」
「! 俺を・・・俺をシャークと呼んでくれるのか?」
「ああ。お前は誇り高い鮫だ。最強の魚類だ!」
「初めて・・・初めて生身の人間が俺をシャークと・・・教えてくれ。強敵(とも)よ・・・お前の名前を」
「忠夫・・・横島 忠夫だ、シャーク」
「横島・・・忠夫」


 フカヒレと横島は、フラフラになりながらも立ち上がり、夕陽をバックに強く手を握り締めた。


「忠夫!」
「シャーク!」
「忠夫!!」
「シャーク!!」
「忠夫!!!」
「シャーク!!!」
「忠夫!!!!」
「シャーク!!!!」
「忠夫!!!!!」
「シャーク!!!!!」
「「兄弟ーーーーー!!!!!!!!!!」」


 互いに強く抱き締め合う。


 カッ!!


「「!?」」


 その時、突如、海の向こうに見える烏賊島の方の海から巨大な光の柱が立ち昇った。


「な、何だ!?」
「ありゃあ・・・」


 驚いて腰を抜かすフカヒレと、急に真剣な表情になって烏賊島を見つめる横島。


「シャーク、美神さん達に俺はあの島に行ってる事、伝えてくれ」
「は?」
「ちょっとイヤな予感するんだ」


 そう言うと、横島は両手に二つの珠を出現させた。
 それには、それぞれ『飛』『翔』と浮かび上がり、すると横島の体が宙に浮いた。


「な、なななな・・・・!?」
「こういうの俺のキャラじゃないんだけどな・・・頼むぜ、シャーク」


 そして横島は烏賊島に向かって飛んで行った。
 フカヒレは唖然とその光景を見ていたが、やがて彼に言われた事を思い出し、急ぎ引き返した。


「な・・・」


 光の柱が立ち昇り、水柱が吹き上がるとその中から小さな男の子が出て来た。
 長袖短パンに坊ちゃん刈りの少年は、氷のように冷たい瞳をしている。
 少年はレオと素奈緒の方へ歩み寄って来ると、驚いている2人に話しかけた。


「あの女は何処だ?」
「え?」
「あの女、勝手に消えて・・・勝手な行動は慎めとボスにキツく言われているんだ」
「ボク、何言ってるの?」
「答えろ、人間」


 ギン、と少年が素奈緒を睨み付けると、突然、彼女の体が吹き飛ばされた。


「きゃあ!」
「近衛!?」


 何もしていないのに吹き飛ばされ、驚くレオ。
 素奈緒は砂浜の上に気を失って倒れる。


「む・・・?」


 そんな事に構わず、少年は海を睨む。


「ちっ・・・何処かで感じた事のある霊気かと思えば、嫌な奴がきた」


 レオもつられて海を見ると、見覚えのある人物が沖の方から飛んで来た。
 横島だ。
 横島は浜辺に着地すると、少年を見て驚く。


「お前・・・」
「久し振りだな・・・ヨコシマだったか? 私の事は覚えているだろうな?」
「まさか・・・デミアン!?」


 その少年の名はデミアン。
 かつて令子と横島によって倒された魔族の名前だった。


「ちっ・・・いけ好かねぇ」


 その頃、スバルは帰る途中だった。
 GSと聞くと妙に気分が悪くなった。
 令子が名乗った途端、スバルは急に帰ると言って竜宮から出て行った。


「GS・・・あの野郎を思い出すぜ」


 レオやカニにも話していない・・・絶対に思い出したくない過去。
 彼が父親以上にある意味、憎んでいるかもしれない人物を思い浮かぶからだった。


「ん?」
「?」


 その時だった。
 前方から声をかけられる。
 スバルはつい立ち止まり、俯かせていた顔を上げた。
 そこにはスーツを着た人物が立っており、驚いた様子で彼を凝視している。
 そしてまた、スバルもその人物を見て驚愕した。


「お前・・・スバルか?」
「兄貴・・・?」


 ついポツリ、と呟いた。
 そしてスバルはハッとなって口を押さえる。
 目の前の人物―伊達 雪之丞は、帽子を取り、スバルをジッと見つめた。


 <ATOGAKI&RESUGAESHI>
 はい、色んなキャラが登場しましたが、スバルと雪之丞は兄弟設定にしました。スバルは父子家庭で、雪之丞はマザコンなので、両親が別れたなら辻褄合うかと思いまして。そして、横島とフカヒレの熱い友情も登場しました。
 不幸度合いでいけば、フカヒレの方が上かな〜。彼は幸せになってはいけないと公言までされてますしね。


 レス返しですが、これから少々用事があるので、次回に纏めてやりたいと思います。読者の皆様、大変、申し訳ありません。では次回で。

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