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▽レス始

「幻想砕きの剣 13-2(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2007-01-24 22:20/2007-01-24 23:00)
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 圧倒的、という表現がよく似合う。
 大河の戦闘力は、シェザルより数段上である事は間違いない。
 しかし大河がシェザルを圧倒する理由は、戦闘能力だけではなかった。


「ミィナイデエェェェェ!!!」


「いーかげんうるせぇー!」

 奇声をあげるシェザルの銃撃を、トレイターの一振りで叩き落す。
 そして大股で一歩を踏み込み、横薙ぎに一撃。
 シェザルは飛び退いて避けたが、手に持っていた銃を粉々に破壊された。
 トレイターが当たる直前に手を離していなかったら、片腕が千切られる程度では済まなかった。

 さっきから、シェザルは逃げの一手を打とうとし続けている。
 恐れをなしているのではなく、どうも自分の姿を見られるのがイヤだからなようだが。
 何とか大河の隙を作り出そうと、シェザルは手榴弾を放り投げ、銃を乱射し、周囲の兵の方を攻撃しようとする。
 大河は手榴弾を叩き落し銃撃を逸らし、周囲への攻撃を防いでいるのだが…それでもシェザルは逃げられない。
 いくら逃げようとしても、次の瞬間には大河に追いつかれる。

 納得が行かない。
 シェザルにとって、獲物という存在は結局狩られる為に存在していた。
 時には反撃してくる獲物も居たし、そういう獲物を捕らえて切り刻む事こそが、シェザルの何よりの悦び。
 手応えがある獲物がいい…などと考えつつも、結局シェザルは自分の勝利…否、狩の成功を疑った事はなかったのだ。
 実際それだけの強さや技量はある。
 しかし、初めて狩の成功どころか、自分の命すら危うい敵と遭遇した。
 遭遇して…シェザルは歓喜している。


「ハハハハハ、死んで見ないでぇぇぇ!!」

 楽しい。
 嬉しい。
 シェザルという男は、崩壊に対して愉悦を覚える男だ。
 何かを壊す時、殺す時、自分が抉った傷跡から、何かが零れだし、崩れ落ちていく様を感じるのが嬉しくて仕方がない。
 崩壊すまいと足掻きながらも、結局力尽きる様を感じるのが嬉しくて仕方ない。
 今までずっと、崩壊を見るだけだった。
 自分の手で崩壊を起こさせても、結局見るだけだ。
 体感するのではない。
 シェザルはずっと思っていた。
 『自分自身が崩壊するのを感じれば、どれ程の愉悦を感じるのだろうか』。
 そう思いつつも、自分を殺す事は拒否して、ただ崩壊を撒き散らす事に酔っていた。
 “破滅”の軍に所属しているのも、世界が崩壊する様を見たいがためだ。

 そのシェザルは、今までに無い程に自分の『死』を…崩壊を身近に感じていた。
 数多くの死に触れてきた直感が叫ぶのだ。
 『自分は、今日死ぬ』と。
 その直感も、シェザルの悦びにこそなれ、恐怖とはならない。
 ひしひしと忍び寄る自分の崩壊に、シェザルは子供のように高まる気を抑えられないでいた。

 それとは反対に、本能は生き延びようと足掻く。
 その本能と愉悦の落差をも楽しむシェザル。
 だが、そんな事は大河には関係無かった。

 この薄気味悪いナマモノを、一刻も早く削除する。
 逃がしてなどやらない。
 それだけを考えて、剣を振るう。


「うらっ!」


「ぬぅ!?」


 逃走経路を探すシェザルの一瞬の気の揺れを逃さず、大河が接近する。
 大剣を振るう隙間など無い、格闘技で言えば肘の距離。
 今まで中距離…大剣の特性をフルに活かして戦える距離…で戦い続けていた大河の接近に、シェザルは一瞬対応に迷う。
 そのスキを逃がさず、大河は肘を振りぬいた。

 ガッ!


「〜〜〜!」


「愚かなッ!」


 大河の声無き悲鳴が響く。
 思い切り米神に肘が叩きつけられたが、そこも銀色に覆われていた。
 銀色は想像以上に硬く、シェザルは軽い衝撃を感じただけで全くダメージを受けてない。
 それどころか、逃げる気を無くしたのか反撃に出てきた。

 懐から取り出した肉厚のナイフを、大河の各急所に向かって疾らせる。
 咄嗟に血管を庇う事に成功した大河だが、その傷は決して浅くない。

 腕から流れ出る血を、シェザルに対して目晦ましに飛ばす。
 しかしシェザルは知った事ではないとばかりに、ナイフを縦横無尽に走らせる。
 大河が距離を取ろうとしても、持ち前の瞬発力で食いついてくる。

 こうなると、大剣状態のトレイターは使えない。
 仕方なく普通の剣に戻して、同期を抑えながらも応戦する。
 攻撃力が著しく低下した。
 これでは攻撃が当たっても効くかどうか分からないし、そもそも効いてもあっという間に再生してしまうだろう。


「でりゃあッ!」

ガギン!

「ぐぬっ!」


 大河の唐竹割りが、シェザルの腕を叩き斬った。
 チャンスと見て畳み掛けようとするが、悪寒を感じて咄嗟に飛び退く。
 大河の顔面があった空間を、鋭い触手のようなものが貫いた。
 シェザルの腕の断面から飛び出している。


「…それが話に聞いた再生能力か…」


「ククク、醜い…醜いだろう?
 無道の仇を取ってくれようかと思ったが、それ以上にこの体を見た以上生かしてはおけぬ…。
 この場で散ってもらおうか…菊の花も」


 ザザザザ!!!

 思わず尻を庇って10メートルほど後退。
 シェザルは見せ付けるように、腕から生えた触手っぽいのをクネクネさせて見せる。
 明らかにアレな行為を意識した動かし方だ。


「そ、そーゆー趣味かよ…」


「美しい物に、男も女も無い。
 醜い物にも、男も女も無い。
 そして美しかった私は、今やこんなに醜い体となっている。
 ついでに言うと、君は私の好みではないが美しい方だ。
 外見はそれ程でもないが、その強さ、破壊力、何よりも強い意志を秘めた瞳!
 私は美しい物を汚し、破壊するのが何よりも楽しみなのだよ」


 ぶっちゃけ両刀。
 しかも醜いと嫌う体も使って大河を狙う気だ。
 気付いてみれば、大河を見る目が怪しい。


(や、殺らなきゃヤられる…!?)


 死んでもゴメンだ。
 抉られるにせよ、せめて大河ハーレムのメンバーに…。
 なーんて事を考えてると、その内マジでヤられそうだが…何せ思いっきり実行しそうなのが複数居るし…。


(逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだダメダダメダダメダ逃げようと背中見せたら尻を狙われる殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺らなきゃダメだ殺ら殺ら殺ら殺ら殺る殺れ殺殺殺殺殺ってやらあぁぁぁ!!!!!)


 大河がなんか覚悟完了というか自己暗示っぽいのをかけている間に、叩き落されたシェザルの腕はビクンビクンと震えていた。
 見れば、腕の方からも触手っぽいのが伸びている。
 シェザル本体の腕から出た触手と、叩き落された腕から出る触手が接触し、絡み合う。
 絡み合った一本の触手を中心として、一本、また一本と絡まっていく。
 徐々に太くなり、それが骨ぐらいの太さになると、触手は急激に縮もうとした。
 つまり、叩き落された腕が、元々あった場所に向かって引き寄せられたのである。

 グジュリ、とイヤな音を立てて接着する。
 手が感触を確かめるように、2,3度握られた。


「ふむ…醜い体だが、やはり能力は一級品か。
 腕は見事に接合している。
 さて…では続きと行こうか、当真大河!」


「死んでもゴメンだああぁぁぁ!!!」

「などと言いつつ今までにも増して激しい攻撃ー!?」


 なんか色々と見敵(=衆道)必殺状態の大河は、物凄い勢いの覇気を放出しながらシェザルに斬りかかる。
 今までとは比べ物にならない程のスピードで振るわれる剣は、シェザルの銀色の肌の防御力などモノともせずに斬り伏せる。

 反撃するどころか防御する余裕もないシェザル。
 腕を飛ばされようが、アバラを貫かれようが、首チョンパを食らおうが、どんどん再生する。
 傷口からは漏れなく触手っぽいのがワラワラしていて、とても気持ち悪い光景だ。
 シェザルが自分の体を醜いと称するのも、解らなくもない。

 五体を切り刻まれる端から再生するシェザル。
 しかし、その表情は恍惚で満たされていた。
 何と言うか、マゾっぽい。


(いいぞ!
 いいぞいいぞいいぞ何たる恍惚、このカタルシス!
 自身の死とは、これ程の愉悦を感じるものなのか!
 ああ、これならばもっと早く私自身の手で喉を切り裂き、腸を抉り出し、頭蓋を砕いて心臓を握りつぶせばよかった!
 もっと、もっとだ、もっと私を切り刻んでくれ!)


 …狂気がどうのは置いといて、もし大河がシェザルの思考を読めたとしたら、もう本気で泣き出していたかもしれない。
 しかし大河はシェザルをブッコロそうと必死で、ただ只管斬撃を繰り出し続ける。
 嵐のような攻撃で、シェザルの体はもうボロボロだ。
 再生が追いつかないのか、既に五体は留められていない。
 その代わりに触手っぽいのが体を埋め尽くしている。
 触手もトレイターに引き裂かれるが、すぐさま繋がってしまう。


 そのままたっぷり五分は斬り続けただろうか。
 流石に大河も息切れして、最後に一発、強烈な一撃を叩き込む。
 切り裂く事よりも衝撃を与える事を目的とした一撃は、狙い通りシェザルを一気に吹き飛ばした。
 全開でないとは言え、同期連携の威力は凄まじい。
 シェザルは魔物や兵達を放物線を描きながら超え、落下した。


(このまま放置してどっか行ったらいけんかな…)


 などという考えが大河の脳裏に浮かんだが、“破滅”の将を放置しておく訳にもいかない。
 見た目と中身がアレでも、戦闘能力は一般兵では太刀打ちできない程だ。
 いっそ同じ趣味の兵でも宛がってくれんもんか、と思ったが…。


(とにかく、これはチャンス!
 接近しながらの一撃で、あの触手マスクマンを葬り去ってやる!)


 乱戦状態に陥りつつある戦場を文字通り飛び越えて、大河はシェザルを追う。
 その手には、再び大剣となったトレイター。
 既に同期連携は全開状態で、見る人が見れば剣から何かが漏れ出している事に気がつくだろう。
 弾けそうになった力が、スーパーサイヤ人2よろしくスパークを起こしている。
 どうでもいいが、スーパーサイヤ人2ってなんと言うか地味だと思う。
 外見上の区別がつきにくいし。


 大河はトレイターを大上段に振りかぶり、シェザル目掛けて落下する。
 シェザルは叩きつけられた衝撃で動けないのか、もがいているが、その挙動は酷く遅い。
 触手っぽいのもダメージの回復に忙しいらしく、迎撃しようとする様子は無い。


(殺った……!!!)


 勝利…よりも貞操の無事を確信した瞬間。
 大河の全身に、猛烈な悪寒が過ぎる。
 続いて、右前方から強烈な光。


「!!!!!!」


 これを受けてはいけない。
 直感と本能に動かされ、大河は全身から気を放出、その反動で宙を蹴って地面に向かって落下した。
 次の瞬間、大河が居た空間を、真っ青な閃光が薙ぎ払う!


「ぐあっ!?」


 直撃は受けなかった。
 体のどの部分も、あの閃光に触れては居ない。
 しかしその余波だけで、大河の体はバランスを崩して地面に激しく叩きつけられた。


(こ、これは……!?)


 どこかでこの攻撃を見た事がある。
 何処だったか?

 それを思い出す前に、大河の体は立ち上がる。
 あの攻撃が救世主候補・当真大河を狙い撃ちしたものであれば、倒れている間にガンガン打ち込まれてきてもおかしくない。

 ここは周囲に人が多すぎる。
 もう一発打ち込まれれば、洒落にならない被害が出る。
 あれだけのエネルギーの攻撃、そうそう連射は出来ないと思いたいが、楽観的な推測は死に繋がる。

 どうすればあの攻撃を防げるか?
 防御は不可能っぽい。
 トレイターでも切り裂けるかどうか。
 撃たせない。
 それが出来れば苦労は無い。
 発射元を叩く。
 実行するにせよ、発射元を探し出すまで攻撃を防がねばならない。
 回避。
 結局これしか無い。


 三秒足らずの思考の後、大河は更に考える。
 今するべき事は?

 シェザルの体は、既に回復を終えているようだ。
 確実にトドメを刺せる状況を逃した事に歯噛みする。
 しかしシェザルは、どういう訳か、大河から注意を逸らして、閃光が放たれた方向をじっと見つめている。
 何だか解らないが、取りあえず大河に対する興味は失せたっぽい。

 どの道、あの閃光を気にしながらシェザルと戦える自信は無い。
 ならシェザルは一旦放置して、あの閃光を止める。

 さて、どうやってアレを避ける?
 回避自体は、油断をしてなければ先程のように虚空瞬動っぽいので避けられるだろう。
 しかし、避けたら避けたで周囲の兵に被害が出る。
 しかも、あの閃光の威圧感からして、洒落にならない被害が。


(英雄願望とは別の理由で、他の兵達を巻き込めない!
 砲撃を逸らさないと、兵を削られて人類軍が押し負ける…)


 となれば、砲撃を空に向けねばならないか。
 虚空瞬動を繰り返して、狙いを付けさせないくらいしか対策が無い。
 それでもやるしかない。

 任された役割…先程の場所で“破滅”の将を倒す…を放棄してしまう事になるが、現場の判断という奴だ。
 命令無視の独断専行には違いないが戦略的にも間違っては居ないし、何よりも大河の直感が叫んでいる。
 早くアレを止めろ、と。
 イヤな予感をひしひしと感じつつも、大河は空高く飛び上がる。


「よっ、ほっ、とっ!
 うおっ!?
 っと、はぁ!」


 鋭角的な軌跡を描いて飛び回る大河。
 3度目の跳躍の時、再び極太の閃光が大河に向かって突進してきた。
 慌てて虚空を蹴って回避し、また閃光の発射元に向かう。
 正直言って、寿命が縮む思いである。
 閃光には、それだけの破壊力があった。

 下を見れば、閃光に気付いた兵や魔物が空を見上げたり、構わずに殺しあったりしている。
 ちなみにシェザルはと言うと、何かあったのか、奇妙な…なんと言うか傀儡のような動きで、しかし異様に素早く大河と同じ方向…つまり閃光の発射元に向かっていた。 
 シェザルの通り道を塞いだ兵や魔物が一瞬の内に肉塊にされているのを見て、今すぐ斬りかかってやりたくなったが、今はダメだ。
 さっきから、砲撃の感覚が短くなっている。
 ヘタにシェザルに斬りかかろうものなら、あっという間にあの閃光に直撃される。


 そろそろ閃光を避けた回数が、20回の大台に乗りそうな頃。
 既に眼下には、人間は一人も居ない。
 相変わらず憑かれたような挙動のシェザルは居るが、アレを人間とは認めたくない。
 居るのは魔物ばかりで、人類軍の防衛線から随分と離れてしまったようだ。

 つまりそれだけの距離を隔てて、なおあの威力を誇るレーザー砲っぽいのがあるという事だ。
 独断専行して正解だった。
 今でこそ大河のみを狙っているが、適当に狙いを付けられてブッ放されれば、防衛線はあっという間に破られかねない。
 特殊部隊を送り込もうにも、ここに来るまでにどれだけの魔物が居た事か。
 辿り着く前に、確実に包囲されて嬲り殺しにされる。


「…いや、イムニティなら入り込ぇう!?」


 また閃光が一発。
 冷や汗を掻く大河。
 狙いが甘いから何とか避けられているが、冗談抜きで心臓が止まりそうだ。

 それでも、何とか発射元が特定できた。
 もう少し進んだ先にある山の中腹辺り。
 あと3発も回避すれば辿り着ける。


「さて、一体どんなバケモノが撃ってるのやガキン!


 金属音。
 目の端に何かが動くのを認識するやいなや、大河の腕は勝手に動いていた。
 トレイターを盾のように構えると、次の瞬間何かが激突する。
 何者かが自分と同じように宙に飛び上がり、斬撃を見舞ったのだと理解するのに一瞬の時間を要した。
 大河が居るのは、上空30メートルほど。
 その高さまで一気に飛び上がって大河に斬りかかる者が居るなど、考えもしなかった。
 ガーゴイルやガーディアンの類ではない。
 人間の形をしていて、翼も無いようだ。


「チッ、邪魔するな!」


 受け止めたトレイターを大きく振り、受け止めた相手を押し返す。
 トレイターに押し戻され、相手は後退しながら落下した。
 大河も体勢を崩され、虚空瞬動は出来そうに無い。
 仕方なく、魔物の真っ只中に着地。
 それと同時に、回転ながらトレイターを振り、半径10メートル以内に居た魔物達を消し飛ばした。


「もう一回飛ぶか…「させん!」何!?」


 ギン、と再び剣と剣がカチ合う。
 斬りかかってきた相手は力比べを良しとせず、がら空きだった大河の鳩尾に向かって蹴りを繰り出す。
 飛びのいて避ける大河。
 追撃しようとする相手を牽制して、距離を取る。


「お前は…」


「………何も言うな…!」


 その頃…人類軍防衛線は、なんと言うかエライコトになっていた。
 泣き叫ぶ魔物達。
 距離を取ろうとする兵士達。
 頭痛を堪える将軍達。
 でもって、ドガンドガンと地響きを立てながら魔物達を薙ぎ払う…巨大ナナシ。
 リヴァイアサンとやり合った時ほどの大きさではないが、それでも10メートル以上ある。


「お〜邪〜魔〜で〜す〜の〜〜!」

 適当に手を振っただけで、巨人兵よろしくなんか適当な光線が魔物達の軍を焼き払う。
 流石に乱戦状態の場所に当てない程の理性は残っているようだが、余波だけでも結構な被害が出ているようだ。
 で、何をやってるのかと言うと…四つん這いになって、地面を平手でバンバン叩きながらお説教していた。


「聞〜い〜て〜る〜で〜す〜の〜!?」

「聞いてる!
 聞いてるから、お願いだからナナシちゃん元に戻って!
 そして地面を叩くのはやめて!」


「ルビナスー!
 テメー、まだ巨大化機能外してなかったのか!?
 毎度毎度余計な面倒ばっかり起こしやがって!」


「…………」


 ナナシを宥めようとするルビナスと、あまりの事態に現実逃避気味にルビナスを責めるロベリア。
 そしてもう何も言う事は無いとばかりに、米神を抑えて頭痛を堪えるミュリエル。

 何と言うか、もう戦になってない。
 つい先程まではロベリア達の周囲で戦っていた魔物達も、巨大ナナシにぶっ飛ばされた。
 「ワレラノジョウオウサマヲ、スクエー!」などと言いつつ突撃するも、ナナシの平手一発で纏めてお空の彼方。
 海の方まで、ダース単位どころかグロス単位で飛んでいった。
 巨大化後、3分もせずにこの場所に残っているのはナナシ、ミュリエル、ルビナスとロベリア、そして汁婆だけになっていた。
 ちなみに、汁婆はナナシの背中に乗って葉巻を吹かしていたりする。
 ナナシ巨大化を嗾けた張本人は、何ら責任を感じていないらしい。


「聞〜く〜で〜す〜の〜!」

バン!


 駄々っ子っぽく地面を叩く。
 それだけで地面がグラグラ揺れた。
 流石にこうなっては、ロベリア達も戦い所ではない。
 ナナシと戦って勝てる自信も無い事は無いが、ヘタに刺激すると何が飛び出すか分からないのは実証済みだ。
 というか、台所に出る黒いスーツの招かれざるお客様よろしく、ペッタンコにされてしまうかもしれない。
 一時休戦、と相談した訳でもないのに相成った。


「せ〜い〜ざ〜〜!」

「は?」

「だ〜か〜ら、せ〜い〜ざ〜す〜る〜で〜す〜の〜!」

「な、何だってそんな「ロベリア、逆らわない…」……そだな」


 反抗しようとしたロベリアを見つめる目が、何やら物理的な光を灯しつつある。
 下手な事を言うと、巨大アイソリッドレーザーとか飛び出しかねない。

 かくして、周囲に殆ど戦う者の居なくなった戦場で、四つん這いの巨大ナナシに正座で説教される淑女3人というヘンな構図が出来上がる事となった。
 …ナンダコレ。


 ガミガミ言われるロベリア達だが、正直な話、あまり実のある内容とは言えなかった。
 所詮はナナシと言うべきか、説教の内容は殆ど感情論で、それこそ幼稚園児が「友達100人できるよきっと!」と言っているに等しい。
 色々ありすぎたロベリア達にとっては、単なる理想か妄想にしか聞こえない。

 理想は何かを成す為には必要なモノだ。
 しかし理想ばかりを追い求めて現状を理解しようとしなければ、それは単なる夢想家。
 現状ばかりに目が行っていれば理想には届かない。
 ナナシは前者に分類され、ロベリアは後者に分類される。

 ナナシが言っているのは、「昔の遺恨は忘れて仲良くしよう」だったが、それはロベリアの側から見れば、「都合の悪い事は忘れてしまえ、泣き寝入りして自分達の都合に合わせろ」と言われているに等しい。
 遺恨を流そう、というのは被害者の側だから言える事であって、加害者の側が言っても都合のいい戯言でしかないのだ。
 この場合の被害者加害者は、あくまで本人の主観的なものだが。
 その辺、ナナシには理解が及んでいない。
 恨みがどうとか因縁がどうとか、一々考える性格ではないので、複雑な感情というヤツを理解できないらしい。

 それでも大人しく聞いているのは、現在のナナシに逆らっても勝ち目が薄そうだからと、精一杯しかめっ面しているナナシが何だか可愛いからだったりする。


(ああ…幼い子供がプンプン怒っているのって、なんか微笑ましい…)


 などと、ちょっとアレな感想を抱くロベリアだった。
 …自分に怒られたがる魔物の気持ちがちょっと理解できたようで、死ぬほど自己嫌悪したが。


「ちゃ〜ん〜と〜聞〜く〜で〜す〜の〜!
 無〜視〜し〜て〜る〜と〜自〜爆〜し〜ま〜す〜の〜よ〜!
 頭〜を〜殴って〜、カ〜イ〜ザ〜ノ〜ヴァ〜〜〜!!」

「ちょっ、ナナシちゃんその状態で自爆はダメだってあれ程言ったじゃない!
 この辺一帯が更地になるわよ!
 勿論私達も…」


「「どこまで余計な機能を付けてるんだーー!!」

「聞〜く〜で〜す〜の〜!」」

「「「ハイ」」」


 ナナシの説教は、暫く続く事になる。
 そう、戦況が一変するその時まで…。


 ちなみに、ドムとタイラーは「大河もあの閃光を止めに行ったようだし、“破滅”の将が足止めされてるならまぁいいか」とあっさり思考放棄したようだ。


 他の救世主チーム達の戦いは、特筆するべき所が無いので割愛する。
 特別強い魔物や敵将の来襲なく、強力な力で敵を押し返してはいるが、言ってはなんだが変化が無い。
 まぁ、それが普通と言えば普通なのかもしれないが…。
 なお、巨大ナナシを遠目に捉えて頭痛を感じていた者が数名居た事だけ追記しておく。


 こちら、ユカとユカ2。
 周囲の魔物達は、殆どベリオや兵達によって駆逐されている。
 そして二人を囲むようにして、多くの兵達が円陣を組んでいた。
 その中心で、ユカとユカ2は熾烈な攻防戦を繰り広げている。

 ユカの鉄拳が、拳圧だけで地面に小さな穴を穿つ。
 ユカ2が無造作に放った気砲が、流れ弾になって円陣を組んでいた兵達に直撃した。
 倒れた兵達は、速やかにベリオの元に運ばれる。
 結構重症だ。
 それでも兵達は囲みを解こうとはしない。
 もしユカが敗れた時にユカ2を逃がす訳にはいかないというのもあるが、それ以上にこの戦いを見逃したくないのだ。
 幾人かの兵達はまだ魔物達と戦っているし、円陣を組みながらも他の魔物が押し寄せてこないか気を配っているが…。
 どっちかと言うと、ユカ達の戦いに気を払った方が良さそうだ。
 なぜなら。


「ハッ!」

「甘い、ヒュッ!」

「ぜいッ!」


 呼気と共に、強烈な気砲が四方八方に撒き散らされる。
 特にユカ2の気砲は強烈で、軽く手を突き出しただけのように見えても、手から飛び出した気砲はレーザーのように閃光を残しながら大地を削る。
 ユカが氣を使っても、これほどの破壊力を出すのは難しい。
 残気に触れただけでも、ユカの肌にビリビリと衝撃が走る。

 接近しようとするユカは、気砲の弾幕を掻い潜り、弾状の気を腕で弾き飛ばす。
 弾き飛ばされた気弾が兵達のド真ん中に飛び込んだが、まぁ些細な事だ。
 少なくとも頭に血が上っているユカは気づいて無いし、ユカ2に至っては気づこうが気づくまいが興味が無い。

 距離を取ろうとするユカ2は、気砲を放った反動で後退し、ユカを接近させまいとする。
 全く、これ程の気を放出し続けて息切れ一つしないなど、どんな体力をしているのか。


「そこっ!」

「ふッ!」


 レーザー気砲を放つユカ2は、その急激な虚脱感によって一瞬動きが止まる。
 その一瞬を逃さず、ユカはレーザーを掠らせるように避け、一直線にダッシュ。
 気圧…空気ではなく気の圧力…でユカの服の腕の部分が引き裂かれる。
 肩まで露出したが、気にしている暇は無い。
 空気抵抗を引き裂くように、ユカの左拳が突き出される。

 ユカ2は体を捻って避け、ユカとすれ違うように鋭いステップで距離を取る。
 しかし大分距離が縮まった。


「んっ、大蛇薙ぎ!」

「!」


 律儀にポーズを決めてから、右腕を横薙ぎに振り払うユカ2。
 その軌跡を追うように、気の流れが生まれる。
 逆風のようにユカに迫る気を、ユカは強引に突っ切った。

 体を低くして受ける影響を最低限にして、極力勢いを殺さずに前進。
 今度はいきなり攻撃を仕掛けず、ユカはユカ2の目の前で強引にブレーキを掛ける。

 一瞬の停滞。
 ユカ2はその実戦経験の低さ故に、予想外の行動にすぐさま対応出来なかったのだ。
 そしてその一瞬がユカの狙い。
 ただし矢張り攻撃するのではなく、一気に気を練り上げ、氣の領域にまで押し上げる。
 全力で氣を使うと多感症が発動してしまうので、やや弱め。


「っ!」


 ユカ2は異常なまでの気の圧力に威圧されたのか、ユカから距離を取る事を選んだ。
 そのスピードは非常に速く、ユカでは追いつけない程だ。
 …ただし、通常状態のユカならば。


「ぁぁぁぁあああアアア!!!」

「!! っ、ガ、ホ…!


 氣を激しく燃焼させ、ユカは通常以上の身体能力を得る。
 その状態での踏み込みは、通常が矢だとするなら、正に弾丸。
 圧倒的なスピードで、ユカ2の懐に潜り込む。
 そして反撃どころか防御も許さず、正拳突きがユカ2の鳩尾に減り込んだ。

 呼吸が止まったユカ2に、問答無用でラッシュで仕掛ける。
 足技はバランスを崩すので、上半身のみで猛攻。
 正拳、裏拳、肘内、手刀、打ち下ろしの右、アッパー、掌低、フック…連続する打撃音は、マシンガンを思わせる。

 ユカ2は最初の数発をまともに貰った辺りから、全身に気を巡らせてダメージを受ける端から回復させる。
 それでも再生が追いつかない。

 だが、ユカは決定的な手応えを得る事が出来ていなかった。
 ユカ2の内臓や骨が、異常に頑丈なのだ。
 それこそ、ユカの打撃に耐える程に。


「ぜいッ!」


 肺に残った残り少ない酸素を掻き集めて、ユカはラッシュの締めに入る。
 間近から気巧弾を叩きつけ、その推力で押されるユカ2に韋駄天足で追撃。
 上段右回し蹴りがクリーンヒットした。
 兵達の歓声が上がる。
 …中にはどっちがユカでどっちがユカ2か見分けがつかなくなりかけてるのも居るが。


(勝った…!?)


 会心の一撃。
 今までの人生の中でも、間違いなくトップ3に入る回し蹴りだった。
 これを超える破壊力を出そうと思ったら、それこそ全力で氣を使わなければなるまい。

 多少敏感肌になっている体を鎮めながら(衆人環視の中でヘンな事はしてないので深読みしないように)、ユカは吹き飛ばされたユカ2を油断なく見据える。
 そして…。


(まだ…終わってない…!)


 ユカ2の体を、今までにも増して強い気が駆け巡っている。
 衝撃で受けた体を治癒しているのだ。
 骨折してずれた骨等は治せないだろうが、切り傷、打撲等は新陳代謝を活性化させる事で治癒する事が出来る。
 軟気功というヤツだ。
 ユカは使えないが…。

 あのダメージを完全に回復させて、まだ気に余裕があるようなら…ユカの不利は否めない。
 完全な消耗戦になってしまう。
 やるなら一気に殺すか、全身の骨を砕くか…気絶させるのがユカ的には理想の展開なのだが、そこまで加減する余裕が無い。


「ユカさん…回復を…」


「…いい。
 それより、他の人達に流れ弾が行かないように、結界をお願い」


「……さっきも張ってましたが、軽く破られました…」


 ちょっと自信喪失中のベリオが、大人しく下がる。
 正直、今すぐ助けに入るべきだとも思うのだが、ブラックパピヨンがそれを許さない。


「…よく解りません…」

(ベリオ…)

「は?」


 格闘家の意地とか、そういう世界に理解が無く首を捻っていたベリオに、ブラックパピヨンが声をかける。
 また何か注文をつける気か、と思ったが…。


(…何かヤバイのが近くに居るみたいだよ)

「! (…魔物ですか?)」

(いや、こりゃ人間の暗殺者の類だ…。
 一人…二人………多くて5人ってトコかい)

(…ひょっとして、手出しするなって言ったのは…?)

(何となく予想は出来てたしね。
 注目が集まってれば、その影で何か企む小悪党が居るもんさ。
 アタシはそういう地味なのキライだけどね)

(…では、私達はそちらの討伐に向かいましょう。
 パペットを使って、挟み撃ちです)

(奴らがリアクションを起こす前に、一気に片付けるよ)


 ベリオは張っていた結界をオートに切り替える。
 こうすると結界の威力が落ちるが、まぁ元々気休めにしかなってなかったのだ。

 観衆の中をスルスルと擦り抜ける。
 この辺はブラックパピヨンの出番である。
 …途中、兵達の何人かが何故か持っていた財布に手が伸びかけたが…。


 ユカ2は暫しダウンしていたが、何事も無かったかのように立ち上がった。 
 兵達が途端に黙り込む。
 あれほどの攻撃を受けて、何故無傷なのだ?


「はっ……はっ………流石に…強い…」

「…入れられた」

「?」

「一発以上、入れられた」


 息を整えるユカは、ユカ2が何を言っているのか理解できない。
 が、ユカ2はお構いなしだ。
 何やらまた語りの体勢に入っている。


「…一発入れられたから、色々話す」

「…そう言えばそうだったね」


 体力を回復させるのに丁度いい。
 話の内容も気になるし、ユカ2の言葉に耳を傾ける事にした。


「昔々ある所にお爺さんとオババとペットのイタクァが「ちょっと待てコラーーー!」…何」


 思わず絶叫するユカ。
 なお、結界に阻まれて音は周囲の兵に聞こえていない。

 話の腰を折られた(まだ始まってもいないが)ユカ2は、相変わらず無感動な目でユカを見る。



「何の話をしてんの、何の!

 ボクの…ボク達の親とか謝華グループでの話じゃないの!?」

「……誰にでも出来る、クトゥルーの手懐け方じゃなかった?」

「誰も聞いてない、そんなの誰も!
 と言うか聞きたくないというか、ある意味聞きたいというか…」

「……クトゥルーを手懐けるなんて、出来る筈無いじゃない。
 バカだなぁ」

「ぐあああぁぁ、コイツめっちゃフクロにしたい…」


 体力は回復しているけど確実に神経と精神力は削り取られているようだ。


「で、どこまで話したっけ?」

「ボクの両親が逃げ出して、クローンがキミだけ残った辺りまで」

「そうだった。
 …一発入れたらその度に話すって言ったけど、何発も入れられたし…。
 めんどいから、全部話す。

 一人だけ残ったボクは、謝華グループで色々研究された。
 どうしてただでさえ未完成の、短命のクローンが生き延びたのか。
 その理由は、ボクも知らない。
 色々研究された。
 骨格とか筋力とか、あと気の強化とか、クローンを延命する為の青汁よりマズイ薬とか、受けてる時はあんまり自覚が無かったけどマインドコントロールの実験とか、色々な服を着せてどれが一番萌えるかとか」


 なんか妙なのが混じった気がするが、疑問を持ってはいけない。
 外道になった研究者と言えど、所詮は人の子だ。
 ユカ2の異常なまでの気の量や頑丈さは、どうやら人工的に与えられたもののようだ。


「ちなみに個人的には、幼稚園児の服が好き」

「いや聞いてないし」

「ずーっと真っ白い部屋の中に閉じ込められてた。
 そこでずっと、ボクを捨てた両親と一緒に、ユカは幸せに暮らしているって吹き込まれた。
 多分アレ、マインドコントロールの実験。
 実際、ユカを憎んでいた。
 何故安穏と生きているのが、ボクじゃなくキミなのか」

「……」


 何も言えないユカ。
 実の両親ではなかったにせよ、ユカは有り触れた幸せの中で生きていた。
 ユカが何を言おうと、ユカ2には持つ者が持たざる者に投げつける無責任な言葉にしか聞こえまい。


「だから、両親が死んでるって聞いた時にはちょっと驚いた。
 それはともかく。
 どれくらい前か覚えてないけど、実験で眠らされて、目を覚ましたら知らない場所で、知らない人と一緒に居た。
 それから手伝うなら外に出ていいって言われて、ボクはここに居る」

「…その人達は…」

「“破滅”がどうとか言ってた。
 でも、どうでもいい。
 ボクに任された役割は、ユカを殺す事。
 そしてボクはユカに成り代わって、外の世界で生きる。
 何か質問は?」


 黙りこむユカ。
 暫し迷い、口を開く。


「キミの「挙手は?」…ハイ」

「ん、ユカ」

「キミの寿命は、後どれくらいか。
 どうしてもボクを殺さないといけないのか。
 …仲良くする気は、無いのか」


 色々と聞きたい事、聞きだせる事はありそうだが、今重要なのはこれくらいだ。
 元より、ユカは小難しい事を考えるのが苦手である。

 ユカ2は、特に何かを隠そうともしない。
 あっさり答えた。


「ボクの寿命は、普通に生きてれば平均寿命の半分くらい。
 でもこの戦いで思いっきり気とか使ってるから、そろそろ死ぬかも」

「…そんな……そうまでして、ボクを…」

「む。
 それに、ボクを外に出してくれた人達への恩もある。
 だからキミを殺す。
 以上」


 ユカ2は、ずっとモルモットとして何処かに閉じ込められてきた。
 その溜め込んだ恨みや狂気たるや、ユカの想像を絶するだろう。
 …その割には、ユカ2はノホホンとしているが。

 もう言葉は無用、とばかりに両掌をユカに向かって突き出すユカ2。
 それに応じて気を溜め込むユカだが、矢張りユカ2の話に衝撃を受けたのか、気に陰りが見られる。
 しかしユカ2は容赦しない。
 ん、の一言と共に、両手からそれぞれ究極気吼弾が放たれた。


 本陣では、暇を持て余したイムニティが人目につかないようにゴロゴロしている。
 明日の無限召還陣破壊決行に備え、無駄な体力を使わない為だが…こうまで暇だと、これはこれで逆に精神力が磨耗する。
 暇つぶしに機構兵団の看護を買って出たのだが、意外とやる事が無かった。
 まぁ、所詮は二日酔いなのだし、放っておけば吐くだけ吐いて復活する。

 持ってきた本も読み尽くしたし、ゴロゴロしているイムニティ。
 いっそ眠ってしまおうか、などと考えていると、感覚の端に稲妻が走った。


「!?」


 飛び起きて、敵陣の彼方へ目をやるイムニティ。
 さっきから妙な閃光が迸っていたが、この感覚はそれから感じる感覚と同種のものだ。
 しかし、先程の感覚は異常に強烈だった。

 あの閃光は、恐らく個人用の魔導兵器…レベリオンの簡易版のようなものだろう、と当たりをつけている。
 何処から持ち出したのか知らないが…。


(感覚の元になっている代物の場所は……?
 ………マスターのすぐ近く!?
 そう言えば、あの閃光を止めに行ったんだっけ…)


 暫し黙考する。
 何があそこにあるのかは解らないが、ロクでもない物なのは間違いない。


「こりゃヤバイかもしれないわね…。
 ヘタにマスターの援護に向かっても、あの閃光を叩き込まれたら終わりだろうし…。
 こっちからマスターを監視して、撤退の手伝いをするとしますか」


 ここに召還陣を作っておき、大河が本気でヤバくなったら召還して引き戻す。
 消極的だが、正直言ってイムニティは、あの閃光を作り出している何かに近付きたくない。
 アレは洒落にならない。
 本の精霊として生まれ、それなり以上のスペックを誇っている自分でも、突付き方を間違えれば間違いなく消滅する。
 援護どころの話ではない。


「…?
 マスターの側に…この反応は…」


 イムニティは、大河と激しく争っているらしい『何か』…閃光の元ではないから、足止めでもされているのだろう…に気付いた。
 しかしそれは、そこに在る筈の無い物。


「…召還器…?
 敵は救世主候補!?」


 大河は大きな盾の影から突き出してきた長剣を、右側にステップする事で避ける。
 相手の側から見て盾の影になるので、視界から一瞬だが逃れられる。
 しかしそのくらいは敵も承知の上。
 今度は盾を前に突き出しながら、大河に向かって突進する。
 避けた瞬間の体の膠着を狙って、長剣で串刺しにする計算だったのだろう。

 しかし、大河はその考えを文字通り正面から粉砕した。
 トレイターをナックル形態に変え、ついでに久々に爆発機能を追加して、盾を思い切り殴り飛ばしたのである。


「ぐっ!


 真正面から弾き飛ばされ、後退する。
 大河は拳の痺れを解し、トレイターを四つの爆弾にしてバラバラの軌道で投げつけた。


「甘い!」

「チィ…」


 しかし爆弾は、長剣の一閃で全て吹き飛ばされてしまう。
 風圧だけで押し返したのだ。

 トレイターを手放している大河は、普通の人間よりちょっと上程度の身体能力しかない。
 その瞬間を逃さず、長剣が襲い掛かる。
 3つの剣線に対して、大河は冷静に対処する。


「敵バリアー!」


『ブフォオ!?』

 ドガドガドガ、と3つの穴を穿たれる、大河が盾にしたゴーレム。
 南無ー、と投槍に念仏を唱えた時には、既にトレイターはその手に戻ってきていた。


「お、お前…敵とは言え、それは普通に酷くないか…?」

「何を言う。
 このバリアーは、世界を問わずあっちこっちで普通に使用されているんだぞ。
 昔から使われているが、正式な開発者は極貧のヤクザ魔術師になっている。
 しかし、これ特許でも出願しとけば今頃億万長者…とは言わなくても、食うに困らんだけの金は手に入ったろうに…」


「いやでもその場合、盾にするのは殺しても死なないけど怪我はする連中ばっかだろ。
 あと技に著作権は無いって言うし」


「つまりお前の事だな。
 実際、戦闘中に何度かやろうと思った事があったんだが…。
 お前以上の適任は居ないだろう?
 なぁ、セル」


「…俺、“破滅”の方に来て正解だったかもしれん…」


 冷や汗を流しながら言う、公式記録では既に死んでいる筈のセルビウム・ボルト。
 その手には、明らかに普通ではない雰囲気を纏った剣と、それに薄い布で繋がれている盾。


「…で、どーしてもこっちに来る気は無いんだな?
 この際、何でお前が“破滅”に付いたかは聞かないが」


「…何も言うなって言っただろ!」


 大河の言葉を封じるように、セルが強襲をかける。
 今まで使っていた両手剣とは勝手が違うのだろうが、その剣閃には些か揺れが多い。
 しかし、それ以上にスピードがある。
 それもその筈、今のセルは…。


「召還器ってな便利なモンだな!
 救世主クラスが強いのも頷けるぜ!
 だが、俺もコイツを持ってる以上は同条件、なら地力の強い俺が有利だ!」


「ハッ、舐めんなよセル!
 召還器ってのはただ振るえばいいモンじゃないんだよ!」


 そう、セルは召還器の恩恵を受けているからだ。
 何故セルが召還器を使えるのか、召還器を何処から持ってきたのか。
 色々疑問はあるが、それを考えている暇は無い。

 やはりと言うべきか、セルは強い。
 身体能力の底上げも強力だが、何よりも凄まじいのはその頑丈さ。
 シリアスなシーンだというのに、ギャグシーン並みの頑丈さを誇っているのだ。
 同期連携こそ使ってないものの、大河のかなり本気の一撃を食らって、ダメージが殆ど無い。
 無論、その大河の攻撃は、セルを戦闘不能にする事を目的とした一撃で、殺す気は無かったのだが…それでも充分すぎる程に強烈な一撃だった。
 ギャグの頑丈さをシリアスシーンで使う…ある意味反則だ。


「おらっ!」

「ほっ!」


 大河の斬撃が、盾と剣を繋ぐ布に止められる。
 セルが何かしらの技法を使った様子も無いのに、衝撃をほぼ無効化されてしまった。
 どうやら、この布こそが召還器の本体のようだ。


(この布、どうも受けた衝撃を内側に溜め込んで放出とか出来るみたいだな…。
 さっき盾をぶん殴った後、剣で爆弾を散らしたのもそれだ。
 …まさか、同期連携の攻撃まで吸い取られたりせんよな…)


 もし吸い取られたら、洒落にならない事態になる。
 まぁ、今の所使うつもりは無いが。


 斬撃を受け止められ動きが止まった瞬間に、吸収した衝撃を放出して大河を跳ね飛ばすセル。
 思った以上に厄介だ。
 とことん衝撃を貯めこんで一気に放出されたら、大河と言えども堪えるのは難しいかもしれない。
 初見は運良く避ける事が出来たが、危うく腕一本持って行かれる所だった。

 ……多分、問答無用で攻撃した大河に驚いて、狙いを外したのだろう。
 その為、自分達が親友だった過去をちょっとだけ疑ったセルだった。
 まぁ、顔を合わせるなり問答もせずにハンマーで殴りかかったら、普通は友情なんて即効でブッ壊れるが。


「しっかし、お前よく無事だったなぁ」

「…敵だってのに、馴れ馴れしく話す奴だな…」

「ハ、敵っつってもセルじゃん」

「…激しく色々言いたいね…」


 自分が嘗められているのか、それともある意味正しく理解されているのか…。
 非常に複雑な心境のセルだった。

 いかんいかん、と頭を振って余計な雑念を払うセル。
 つい友人だった頃のように振舞ってしまったが、今は敵なのだ。
 しかし大河はセルの気構えを無視するように、やはり友人に対する振る舞いを崩そうとしない。


「で、結局何があったワケよ?
 魔物に連れていかれたって聞いたが」

「…うるさい、これ以上話すつもりは…」

「未亜達、滅茶苦茶ショック受けてたぞ」

「………」


 黙りこむセル。
 やはり、セルは余計な情を捨てきれないようだ。
 そこが大河の狙い目である。

 セルを殺す気も無いし、戦って勝つのも難しそうだ。
 だから精神的な揺さぶりをかけてみたのだが…思った以上に効いてくれている。


「おまけに、聞いた話じゃどっかの実験施設に居たとか」

「! お前、何処まで知ってる!?」

「…何を…かはともかくとして、俺が知ってるのはそれっぽい所にお前が居たらしいって事だけだ。
 そこで何をしてたのかは、正直言って予想が付かん」

「………」

「あまつさえ、救世主候補じゃないお前がそんなモン持ってるし…。
 トドメに、こんだけ大勢の魔物の中に居るってのに、お前は襲われて無い。
 何がどーなってんだよ」

「………俺は…」


 揺さぶり成功。
 やはり、セルは裏切ろうと思って裏切ったのではないらしい。
 後悔か未練かは知らないが、後ろめたい気持ちを引き摺っている。
 上手く情報を引き出せば、セルをこちら側に引きずり戻す切欠を掴み、色々な疑問が氷解するかもしれない。

 苦々しい表情で、セルはゆっくりと語り始めた。


 大河達も知る通り、セルはホワイトカーパス撤退戦で、魔物達に連れて行かれた。
 嬲り殺しにされるぐらいなら、獣人の喉下にでも噛み付いて、一匹くらい道連れにしてやるつもりだったのだが…。
 それを実行に移す前に、事情が変わった。
 魔物達を掻き分けて、知人が現れたのだ。

「知人?」

「…お前も知ってる人だ」


 はて、と首を傾げる大河。
 “破滅”に協力していそうな知人。
 そりゃーデンジャラスな思考を持った人間は地球時代から考えても数え切れないが…。
 よくよく考えると、フローリア学園にも結構居る。
 実行するかどうかは別として…。


「…ジュウケイさんだよ」

「ジュウケイ…?
 ジュウケイ…………?」

「…まぁ、覚えてないのも無理ないか…。
 アルディアさんの家の執事長だよ」

「…ああ!?」


 なるほど、と思わず納得。
 ビジュアル的に、あの人なら“破滅”の軍でもおかしくない。


「この前、空に“破滅”の将の映像が映っただろ?
 あの映像の中の、小柄な人影がジュウケイさんだ」

「あ…あーあー、道理で聞き覚えがあると…。
 …いや待て、あの不気味爺さんが“破滅”の軍って事は、アルディアちゃんは…」

「………お察しの通りさ。
 アルディアさんだけじゃない、あの屋敷に居た人は全員だ」

「つう事は、お前が“破滅”に付いたのは」

「…………そういう事だ。
 アルディアさんは、あそこに居る」


 長剣で、閃光の発射元を示すセル。
 つまり、あの閃光を放ったのはアルディアだという事か。


「…連れて逃げるべきだと思ったさ。
 だけど、俺の力じゃ逃げ切れない。
 何より、アルディアさんがそれを望まなかった。
 ジュウケイさん達はアルディアさんの家族で、みんなと一緒に居たいって言ってるのさ。
 それに……」


「それに…?」


「……いや、喋りすぎたな」


 セルは未練を振り払うように、大河を睨みつける。


「いずれにせよ、アルディアさんに危害を加えるような真似はさせない。
 例えそれが人類に多大な損害を与える事になってもな!」

「殺す訳じゃない、気絶させるだけでもか!?
 アルディアちゃんを連れて逃げる事が出来ても!?
 このままだと、アルディアちゃんも“破滅”の結果で死ぬぞ!」

「そう…約束したんだよ!」


 誰と、なんて言葉を吐かせるよりも前に、セルは剣を振るって攻撃する。
 何処か勢い任せなのは、捨てきれない後ろめたさを誤魔化すためだろうか。

 大河は攻撃を受け止めず、全て避けようとした。
 召還器である布は、衝撃を溜め込む性質があるらしい。
 その布が長剣と盾に結び付けられているという事は、剣が盾に衝撃が走る度に、その何割かが布に溜め込まれるという事。
 迂闊に鍔迫り合い等になった日には、どれだけの力が溜め込まれる事か。


「聞いてなかったな…。
 その布の名前は?」


「……アルゾール、とか言ってたな。
 そういや、お前は召還器の名前をどうやって知ったんだ?
 俺は教えられたけど、お前は最初から知ってたよな」


「……お前は召還器の声が聞こえないのか」


 やはり正式な救世主候補ではない、という事だろうか?
 いや、召還器を使えていれば誰でも救世主候補ではあるのだが…。


「ついでに聞いておくが、アルディアちゃんはどうやってあんな閃光を放ったんだ?
 とんでもない威力だぞ。
 …そう言えば、さっきから全然放たれてないが」


「……どっかの遺跡か何かから発掘された……ヘンな形をした銃みたいなヤツだ。
 撃つのは結構疲れるって言ってたな。
 さっきから撃たないのは……俺達の方に注意が向いてるからじゃないのか?
 熱視線を感じるぞ」


 事も無げに言うセルだが、大河は舌打ちしたい気分だ。
 人類軍の方にあの閃光が叩き込まれないのは大助かりだが、もしセルに怪我でもさせたら、その瞬間にアルディアが怒って閃光を叩き込んでくる恐れがある。
 セルのすぐ側に居れば大丈夫だろうが、あの手の幼児は癇癪を起こすと周囲の状況が見えなくなる。
 纏めて撃たれる可能性も否定できない。
 迂闊にセルを倒せないのだ。

 歯噛みする大河とは裏腹に、セルは気力が戻り始めているようだ。
 親友を裏切った負い目はあっても、護るべき人が自分を見ている…それだけでセルは戦える。


「うおおおおおおおッ!」

「にゃろ…!」


 気迫で大河を呑もうとするように声を上げながら、セルはフェンシングの要領で無数の突きを放つ。
 大河は退いてなるものかとばかりに、自分もトレイターを槍に変えて応戦する。

 大河の突きを、セルは殆ど盾で防いだ。
 その度に、セルの突きが強力になる。
 数発放てば普通の突きに戻るが、それでも大河に脅威を感じさせるには充分すぎる。

 威力を増し、衝撃を撒き散らす長剣を、大河はやや大袈裟に避ける。
 紙一重で避けたのでは、衝撃に体を捕らえられる。
 崩れた体勢を何とか誤魔化しながら応戦するしかなかった。


 何度も火花が散り、空気が引き裂かれる。
 状況は一進一退だ。
 互いに決め手に欠けている。
 大河はアルゾールに攻撃を吸収される事を恐れてあまり強力な攻撃が出来ない。
 セルは、いざとなったら体の頑丈さに任せて強引に突っ切るつもりなのだが、それだけでは大河は避けてしまうだろう。

 二人は応酬の間に、徐々に位置を変える。
 セルが突きを放てば、それを大河が大きく動いて避ける。
 大河が突きを放てば、それを盾で受け止めながらもセルは押されて一歩下がる。
 だが、セルは気付いていなかった。
 大河がある狙いを持って動いている事に。


「フン!」

「りゃっ!」


 二人の突きが交錯する。
 ガキン、と音がした。
 見れば、セルは大河の突きを盾で受け止め、大河はセルの突きを片手で握って止めている。
 膠着状態…ではなかった。


「食らえッ!」

「ッ!!!!」


 セルの長剣を握っていた片手が弾け飛ぶ。
 剣を通じて、アルゾールから衝撃を放出したのだ。
 召還器の加護の殆どを手の防御に回したからよかったものの、何もしてなかったら手首から先が消えていただろう。

 片手を破壊され、バックステップで下がる大河に、セルが追撃する。
 アルゾールの中の衝撃は既に空っぽだが、それでも攻撃力は充分だ。


「これで終わりだッ!」

「あばよっ!」

「!?」


 上がったテンションのままに大河に斬りかかるセル。
 大河の死を確信するセルに対して、だが大河はニヤリと笑って見せた。

 実は全て大河の計算の内だったのだ。
 全身から気を放出し、大河は急激な加速を得る。
 空へ向けて、躊躇い無く飛び上がった。

 セルは追おうとするが、アルゾールの中に力が全く残ってない事を思い出して愕然とした。
 大河がここまで飛んできた時、セルが大河と同じ高さまで飛び上がる事が出来たのは、アルゾールの中の衝撃を放出して推進剤としたからだ。
 しかし、先程大河の手を吹き飛ばそうと衝撃を放った事で、飛べる程のエネルギーが無くなっていたのである。


(アルディアさん!!!)


 やられた、と思う間もなく、心中でアルディアの名を呼ぶセル。
 絶対に危害を加えさせない、と“彼女”と約束したというのに。

 セルの心を、焦燥が包む。
 アルディアの側にも凄腕の護衛は居るが、危険を側に寄らせる事には違いない。

 何とか後を追おうとするセルの目を、閃光が焼いた。


「なっ!」

「どぉわぁぁぁ!!!!」


 セル以上の焦りに満ちた大河の悲鳴。
 一拍置いて、地面に何かが落下する音と、それを掻き消す轟音が響いた。


「な、何が…」


 目を擦って何とか視力を回復させると、地面に落下して何やら顔を青ざめさせている大河と、少し離れた所で爆炎が上がっていた。
 それで理解した。
 さっきの閃光は、アルディアが放った一撃だ。
 大河がセルを抜いて自分の元に来ようとしたのを見て、そうはさせじと放ったのだろう。

 無事だった大河を見てホッとしている自分を押し殺し、セルは再び大河に長剣を向けた。


「そういう訳だ、大河。
 俺を抜いていこうとしたまでは良かったが、アルディアさんが見てるって事を「おい……」あ?」


 セルの口上を遮り、大河が切羽詰った声をあげた。
 そして大河はセルを見て、「頼むから違ってくれ」と顔に書いたままで問う。


「今のは…アルディアちゃんが持ってる、ヘンな形をした銃から放たれたんだな?」

「…それがどうし『ズドオオォォォン!!!』うおっ!?」


 もう一発、閃光が放たれた。
 しかし今度は大河やセル、人類軍を狙ったのではなく、その辺の魔物達に適当に打ち込まれたのだ。

 驚くセルを他所に、閃光は次々と放たれる。
 狙う場所は本当にランダム…というか、そもそも狙いを付けていないらしい。
 地面に、魔物達に、人類軍の方に、空に、海に、乱れ撃ちもいい所だ。


「な、なんだ!?
 アルディアさん、どうしたんだ!?」


「! これは…!
 バカ、避けろ!」


 混乱するセルのすぐ近くにも、閃光が打ち込まれる。
 咄嗟に大河はセルに盾を構えさせ、襟首を掴んで跳躍した。

ズドォォォォォォォンン!!!


 間近で炸裂する閃光。
 悲鳴すら上げる余裕もなく、大河とセルは吹き飛ばされた。
 アルゾールで衝撃を幾らか吸収できたが、焼け石に水だ。

 着地に失敗して地面に転がり、咳き込むセル。
 それを大河が、襟首を掴んで引きずり起こした。


「っけほ、ごホ……。
 あ、アルディアさん…!?」

「おい、起きろセル!
 アルディアちゃんが持ってる銃ってのは、遺跡から発掘された代物だったんだな!?」

「あ…ああ、アルゾールが発掘された遺跡で、最奥に転がってたらしい…。
 古代文明の遺産じゃないのかって…」


 つまり、使えるから使っているだけで、その実態は何も掴めてはいないのだ。


「まさかその銃、サイコガンみたいに腕とか足とかに一体化させて使うヤツじゃあるまいな!?
 機械機械してる割には妙に生物っぽい、しかも自己修復機能まで持ってるヤツ!
 頼むから違うと言ってくれ、でもウソはつくな!」


「あ…あ、ああ、そうだ。
 傷つけられた所は見た事がないから、修復機能はどうか知らないが…。
 発見された時も、放置されていた割には錆とかもないから、自己修復ができるんじゃないかって…」


「…ウソだろ……」


 大河、呆然。
 そして俯いてプルプル震えだす。


「な…なんで…」


 大河が震えている間にも、あっちこっちに閃光がばら撒かれている。
 どういう訳か、威力が安定してないようだが…それでも十二分に脅威的だ。


「なんで…こんな所に……」


 が、それよりも問題は…。


「なんっでこんな所に
    聖銃
が転がってんだよォォォーーー!!!?!??」


 何故即座に気付かなかったのか。
 以前、遠くから放たれる所を一度見たっきりとは言え、あのリューンの流れ、独特の圧迫感ははっきりと覚えている。
 かつて見た一撃よりもずっと弱いが、それでも明らかにこの閃光は聖銃の閃光だ。
 聖銃には色々種類があるが、どのタイプなのかは大河にも解らない。
 そもそも、大河は聖銃の一撃を見た事はあるが、それを誰が放ったのかも、どのタイプだったのかも知らされていない。
 ネットワークでも、かなりの機密だった。
 大河がセルに聞いた特徴は、噂で聞いた聖銃の特徴を言っただけだ。


「セプ!?
 セプなのかおい!?
 いやしかし、いくらあそこでも聖銃なんて代物をホイホイばら撒く訳がねぇ!

 おい! おい、しっかりしろセル!
 早くアルディアちゃんを止めるぞ!
 このまま放っておいたら、エライコトになっちまう!」


「! アルディアさんに何があったか、お前解るのか!?」


「細かい説明は後だ、アルディアちゃんが呑み込まれないうちに聖銃を切り離す!
 空を飛んで…行ったらあの砲撃は避けられん…。
 仕方ない、魔物達の中を突っ切って行くぞ!」


「お、おう!」


 セルに盾を構えさせ、思いっきりぶっ叩く大河。
 これでチャージ完了。
 溜め込んだ衝撃を放出させまくる事で魔物達を押し退け、アルディアに向かう途中も、大河はずっと思案していた。


 一応アヴァターは七つの世界の中にある世界だから、聖銃が作動するのはいいとして。
 聖銃の使い手は、世界移動存在の筈。
 アルディアはひょっとして世界移動存在なのか?
 自ら使い手を選ぶ銃が、何故ここに?
 何故ああまで狂乱している?
 その切欠は?
 そう言えば閃光の威力が不安定だが、その理由は?
 いや、それよりもどうやって聖銃を引き剥がす?

 聖銃に対して有効な反撃方法を、大河は一つとして知らない。
 何せ大河が知る中でも、事実上最強の個人用装備だ。
 知人の知人がアレに寄生されて、何やかやあって無事に戻ってきた事があると聞いてはいるが…。


「畜生、俺には実行できないとしても、もっと話を聞いておけばよかったぜ…」


 セルが張り巡らせる衝撃…何度か盾を叩いてチャージした…のお陰で魔物達は近寄れ無いが、いつ閃光が直撃するか…。
 正直言って、寿命が縮む思いである。
 アルディアの事で頭が一杯になっているセルはともかくとして、大河にとっては連射するバズーカ(どころではない)に真正面から近付くような心境だ。

 しかし、それも長くは続かなかった。
 閃光が止まる。
 しかし…。


「…!?
 おい大河!
 ありゃなんだ!?
 アルディアさんは無事なのか!?」


「無事…は無事だろうが…さ、最悪…」


 閃光が放たれていた場所で、巨大な何かが起き上がろうとしていた。
 それを見て、開いた口が塞がらなくなった。


「な…な…な……」


「で…でで、ででででででの大王じゃないけどでで」


 ユカ、ユカ2、ベリオ


 ユカ達の戦いは佳境に入っていた。
 倒しても倒しても起き上がるユカ2に、流石のユカも押し切られそうだったが、そこは流石に武神。
 驚異的な粘りと辛抱強さで、再び互角にまで持ち込んでいた。
 お互い、限界に近い。

 ユカは自分の体を検査する。
 骨のあちこちに皹が入り、痣ができ、擦過傷は数知れず。
 何より気が枯渇してきている。


(…そろそろ決めないと、お互いどうしようもなくなる…)


 次の一撃で決める。
 覚悟を決めた。


 腹を括ったユカを見ながら、ユカ2は相変わらず他人事のような表情を崩さない。
 ユカと同じように、自分の体をチェックする。
 体に残るダメージは、ユカよりもずっと軽い。
 気に関しても、余裕とは言えないがまだ充分残っている。
 しかし…。


(……ここらが限界っぽい)


 もう保たないのだ。
 ダメージだの気だのではなく、寿命。
 元々不安定なクローンの体を、様々な手術や投薬によって生きながらえさせられた。
 副作用で死ななかっただけでも奇跡というもの。
 いつ死んでもおかしくない体に加えて、今までやった事もなかった全力での闘争。


(…ま、細胞と魂の欠片から作られた私にしては上出来かな…)


 ユカから注意を逸らしはしなかったが、空を見上げた。
 高い。
 青い。
 地上の戦など知りもせず。


(……ん)


 どうせ死ぬなら、ユカに消えない傷を刻み込んで。
 自分が生きた証などあっても意味がないが、一人くらいは自分をずっと覚えていてくれる人が欲しい。
 後の事など考えず、ユカ2も気を高め始めた。


「…これで決着。
 ……行くよ」


「ん……」


 小細工無用。
 ユカはジリジリと間合いを詰めながら、握った右手に残った気を集中させる。
 ユカ2も、今まで距離を開けようとしていたのとは反対に、同じように距離と詰めた。
 緊張感がジリジリと高まっていく。
 周囲の兵達も、今にも失神しそうな程だ。


 そんな中、ベリオは奇妙な気配を感じていた。
 さっきから何人か暗殺者を倒しているが、それとはまた別の感覚。


(…ベリオ)


(どうしたんです?
 何か感じるんですか?)


(ああ、アンタと同じようにね。
 何だか知らないが、とびきり危険な何かが近付いてる。
 ……注意しときな、ユカ達がどうなろうと、すぐ動けるように)


(は……)


 はい、と心中で返そうとした時。
 ベリオの視界の端を、小さな光が過ぎる。
 その光はだんだん大きくなって…。


「逃げてーーーー!!!」

「「!?」」


 奇しくも、ユカとユカ2が弾かれるように飛び出した瞬間だった。

 光はあっという間に大きくなり、兵達を消し飛ばしながら、ユカとユカ2に迫る。


(避けられない……!)


 ユカの時間がゆっくりと流れ始める。
 視界の端には、ユカと同じように右正拳を突き出したユカ2。
 表情はやはり驚愕に染まっている。


 この光が、危険というのもおこがましい程のものである事は、直感的に解る。
 しかし、それに対する対策が無い。


(知ってる…ボクはこの光を知ってる!?
 ダメだ、受けちゃダメだ!
 もし食らったら…!)


 ユカの精神を、出所の知れない恐怖が満たす。
 光はユカを掠めるように飛来しているが、掠めただけでもあの世行きは確実だろう。
 完全に攻撃の態勢に入っていたユカは、その勢いを殺して回避運動を行う事などできない。
 結局、ゆっくり流れる時間も、死への秒読みを長く感じさせるだけだった。


(……これまでか…!?)


 それでも何とか足掻こうとした時。


ズン!


「げふっ…?!」


 ユカの脇腹に潜り込む異物感。
 肺腑を強打され、肺の中の酸素が全て吐き出された。
 そしてその潜り込んだ異物は、勢いを殺さずに更に突進してきた。

 ユカ2の拳が減り込んだのである。
 そしてユカ2は殴打しただけではなく、その勢いを止めずに全力で前に出る。
 その結果、ユカの体は突き飛ばされ、地面を転がって止まる事になった。
 既に光の射線からは外れている。


 地面を転がりながらも、ユカは見た。
 ユカ2がユカに向かってにへらっと笑いを見せ、ユカの代わりに光の射線に入った事を。
 そして最後の力を振り絞り、もう一歩を跳躍したものの、光線の余波で木の葉のように吹き飛ばされた事を。

 そして全ては爆音に塗りつぶされた。


「……!」

「ユカさん!」


 爆音は、ユカ達から50メートルほど離れた場所から発生した。
 それでも凄まじい衝撃が走り、何もかもを解らなくするには充分。

 ベリオは大地に伏せたままのユカに駆け寄った。
 抱き起こすと、意識ははっきりしているようだ。
 …と言うよりも、痛みのあまり気絶もできない、と言った方が正しいか。

 ユカが手を伸ばす。
 伸ばした方向は、先程ユカ2が居た場所だ。
 直撃ではないにしろ、光線を浴びたのだからただでは済むまい。

 ユカ2を呼ぼうとして、どんな名前で呼べばいいのかも解らない事に気がついた。


「ユカさん、落着いて、落着いて!
 肋骨が完全に折れてます!
 無理に動くと内臓に突き刺さりますよ!
 応急処置が終わるまで、じっとしていてください!」


「で、でも…あの、あの、子、が…!」


 アドレナリンがバリバリに出ていたためか、骨折の痛みがあっても喋れはするようだ。
 しかし、喋れたからって致命傷に近い事は変わりない。
 ベリオもユカ2の事は心配だが、ユカほどの思い入れや義理も持ってない以上はこちらが優先だ。
 暴れるようにユカ2の居た場所へ行こうとするユカを抑え、ベリオは治療を続けた。


 一方、開いた口が塞がらない大河とセル。
 閃光の放たれていた場所からは、既に巨大なモノが立ち上がっていた。


「な…な…な…」

「で……で…でで…」

 あれがアルディアだとでも言うのだろうか?
 異形の巨体は、生れ落ちた事を知らしめるように高く高く雄叫びを上げる。

 なんか色々ゴチャゴチャしているボディに付いている巨大な顔から、更に上半身が生えたその姿は正に…。


「なんっじゃそりゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


「デビルガンダムぅぅぅぅぅ!!!!????!?!?!」


 巨大な顔は、目を閉じあちこちに奇妙な回路が付属していたものの、明らかにアルディアの顔だった。




どうも、時守です。
なんだか喉の調子がおかしいような…風邪でもないのに…?

それはともかく、今週末に卒論の発表があります。
約3分か…ちょっと短いかな。
それが終わったら部屋探し、と。

巨大ナナシは、元々対デビルガンダム用のネタだったのです。
それではレス返しです!


1.玖幻麒様
やるなら『漏れなく宇宙へご招待』とかの方がいいですねw
『星空に心行くまでトランクス』とかも。

そりゃーもう、生き残ったら餌食になってもらいますよ。
案外自分から行くかもしれませんがw
甘いデスネ、同じ双子プレイでも、おっぱいとかの大きさが(ry

もかもかの刑?
……胸毛が…。
スケルトンになっても、胸毛が…。


2.パッサッジョ様
ほーんと、何を吹き込んだのやら…。
メタ発言は、時守の後悔の声でもありますw

原作でも、キャラクター的に噛ませ犬っぽかったですよねぇ。
なのにボス格なのは、なんだか納得いかないぞ、と。


3.九頭竜様
所詮は無道ですしねw
アレに活躍の場をやるような時守ではないデス。

二人とも餌食になってもらいますとも!
…ロベリアが落ちたら、後はアルストロメリアでメサイアパーティコンプリートか。
よし、もうちょっとだ!


4.スカートメックリンガー様
ハンゾーのネタが解りましたか、嬉しいですね〜。
スト2のネタは特に意識したのではありませんが、確かファミ通でやってたアレですよね。
第2期の方で、自分同士で戦うってのがありました。

乱戦になったらネタが使える機会が増えるのはいいんですが…その分書くべきところが加速度的に多くなるんですよね。
結構頭が痛い問題です…。

確かに、ロベリアのような恨み方は、マトモに書いたら手の出しようがありません。
ここは一つ、ギャグキャラに落ちてもらいましょうかねw


5.ソティ=ラス様
ソティ=ラスさんも、最後は神を屈服させる展開をお望みですかw

今度はアルストロメリアに何を歌わせるべきかと、コソコソ策を練っています。
しかし、並べてみると…よくもまぁ、これほど原作から逸脱できたものです。
ネタにしたいけど…ちょっと弱いんだよなぁ…今考えてるやつは…。


6.イスピン様
V.G.でどうだったかはうろ覚えですが、アレはGガンの方です。
既に死亡フラグは確率しかけてます。
まぁ、存命フラグもしっかり立ってますが。
しかし、やはりユカとユカ2には覚醒を覚えさせるべきでしょうか?
スパロボじゃ色々お世話になったなぁ…。

あのパーティグッズは、ルビナスじゃなくてナナシが作ったやつです。
この際だから、ナナシはこの方向に持っていこうかな、と画策中。


7.アレス=ジェイド=アンバー様
二日酔いはキツいですからなぁ…軽いものなら、昼間で寝てるかその辺を歩いてれば治るけど。

そう言えば、ナナシのボディはアタッチメント方式だったっけ。
…正座して足だけそのままにしておいたら、やっぱり痺れるんでしょうか?

何を言われたのか、時守も知りたいッス!
今後のデートイベントとかの参考に!

純真なミュリエルは、今となってはネコりりぃ並のレアモンスターですからなぁ…。
タイムスリップでもしなければ…いや待て、いっそミュリエルにルビナス作若返り薬を…。
上手く記憶も逆行させれば…?


8.DOM様
むぅ、断空○牙剣か…。
愛の心にて空間を断つ?
大河の場合は愛欲では…ミュリエルの囁きがあるから余計にw

竜巻斬艦はいつか出したい!
が、何せ親分達の必殺技だけあって、やはり敵もそれ相応の相手を容易せねば…。
王の財宝よりも、この場合千手ナナシを実行しようかな、と思いました。
うーむ、丼軽く3杯…なんて羨ましい!


9.蝦蟇口咬平様
大河はあんな人外ズの乱闘に乱入できるキャラじゃないですぜ。
筋肉ムキムキの野郎なんざ、見たら速攻で逃げるってもんですよ。
無道はさっさと殺しましたが。

アル姐さんは来ませんよ。
ロベリアがルビナスと接触しないように、本拠地で待機を命じてますから。
…サラっと無視して出て来そうな気もしますが。
しかし…汁婆VSアル姐さん…いいネタだ…いつか実行しようと思いますw

実際、シェザルは何処からあんな重火器を取り出していたんでしょう?
やっぱり体の中から?

むぅ、ガルガンチュワの人型変形は決定事項すかw


10.竜の抜け殻様
ナナシが現在持っている最大の武器と言えば、アレでしょう。
二番煎じで申し訳ないですが。
久々に汁婆節が出せて嬉しかったデスw


11.ジュース様
前から時々使ってるネタですけどねw
ちょっと捻って亀光線とかやってみようかなぁ…。


12.カシス・ユウ・シンクレア様
無道はどんなに強くても、言動からチンピラ臭がプンプン漂ってきますからねぇ…。
三下扱いにするのが、ある意味最も自然になります。

ナナシ=十六夜ですか。
んじゃロベリアはジェイドでしょうか。
カイがルビナス…うむ、違和感ない。
キレる忍者(ナドウ?)は……同じくキレる未亜?

自分と戦ってみたいというのは、ある意味では武術家には普遍的な欲求では?
いや、単なるイメージの問題ですが。


13.竜神帝様
まだまだ横島の領域は遠いです。
何故なら、横島は常時大河と同じくらいの煩悩を自分で作り出せるからw
HPの更新、次も期待させてもらいます!


14.堕天使様
これから修羅場ッスか…それにしてもまた、随分と無茶なスケジュールですね。
教授に殺意とか沸いてくるのでは?
飼育実験は自分の頭の中で進める事は出来ませんからねぇ…。

ステイルのネタ…パッと思いつく限りでは、堕天使さんのHPの感想にもあったようなアフロと…刀麻がステイルを『これは学園都市特性のタバコ』と騙して何か洒落にならないモノを吸わせてジャンキー一歩手前とか、右目の下にある模様が実はバーコードとか…アフロになるならやっぱり肌も褐色か…あと痔?
痔ってなぁ、ちに点々って書くやんかー、普通(以下略)

幾らなんでも、フラグの数が多すぎですなー。
その内固有結界『無限の旗立て』とか身に付けそう…。
刺してもらうとしたら…未亜か…ユカだな。

シェザルさん、まだ生きてます……なんで殺さんかったあああぁぁぁ!

どうぞどうぞ、アシュの手紙も最近では使える場面も無くなって、放置したまま寂しかったところです!
いくらでも使ってくださいな。
……アシュが幻想殺しに触れたら、どうなるんでしょうねぇ…。


15.悠真様
はい、明けましておめでとうございます。

将は消えましたが、洒落にならんのが出てきました。
どうやって収集をつけようか、現在進行形で悩んでいます。

3月末辺りから週一回更新は無理になるかもしれませんが、何とか完結まで漕ぎ着けようと思います。
幻想砕きが終わったら、後はラブひなと双魔伝の予定…。


16.JUDO様
しまった、シェザルとの絡み(野菜にあらず)を忘れてた!
むぅ、今からどうにかして入れられないか…?

ロベリアの反応ですか?
うーん、時守もどっかで見た事があるような無いような…。

ナナシブチキレは巨大化でした。
二番煎じで申し訳ない…。

ユカ2はああいうキャラです。
悲惨さなんて、彼女にとっては大した事無いのですよw
それがユカ2クォリティー!
では、頑張っていい点を取ってくださいな。


17.悪い夢の夜様
おでんはナナシが食ったに決まってるじゃないですか!
ある意味拾い食いですけど、ナナシの腹はその程度じゃ壊れませんしw
ルビナス相手にシリアスやっても仕方ないのに、どうしてもはっちゃけられない…それがロベリアクォリティー。
きっとルビナスと同じようなテンションで対処したら、何かを失ってしまうのが解ってるんでしょうねぇ…。
まぁ、汁婆は何かあった時の人生相談役も兼ねてますから…ハードボイルドだしw

イイとこばっかり集中してますな!?
嫉妬パワーも手伝って、大河壊されるんじゃなかろうか…。
それとも大河本人の特性『エロ好き』が残ってて、逆に全員弄り倒すとか?

にしても、凄まじい電波…本格的に書くのであれば、是非投稿していただきたい!
特に床屋空中大決戦が気になります。


18.なな月様
なるほど、アルコール中毒ってのはそういうものなんですか…。
一応酒飲みとして覚えておきます。

いつかカエデに滅殺奥義・爆竜を使わせてみようと目論んでいます。
というか、カエデにおきらく忍法って物凄く似合うと思いません?

2Pユカは…イメージ的には、黒よりも白ですね。
ずっと研究室内に居たから、ちょっと病的な感じの白。
服装は今のところ、ユカと全く同じです。

シェザルとの決着はお流れです。

妹ガンダム…先日書店で、『ガンダムって付けとけば売れるんじゃね?』とか書いてある本を見かけましたが…ひょっとしてそれですか?

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