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▽レス始

「.hack//Splash外伝 backup_1(黄昏の腕輪伝説+.hackシリーズ)」

箱庭廻 (2007-01-22 07:25/2007-01-22 21:36)
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【1/22 21:10 あとがき追加 誤字脱字修正】


【??? ??? ???】


「ついに時は来たれり……ゴブ」

「長かったゴブ」

「本当に長かったゴブよ」

「しかし、それも今日までゴヴ」

「そうごぶ! これから私たちの時代が来るごぶよ!」


『復活の時ゴブ!!!!』


【.hack//Splash】
   Backup_1 鬼ごっこ2! NEOゴブリンの逆襲!!


【Δサーバー 水の都市 マク・アヌ】


 その存在を知ったのは、ミレイユの発言がきっかけだった。

「ねえねえ、シューゴ知ってる?」

「なにが?」

 オレはミレイユのホームの中で、まだ来ない他の面子を待ちながら、そう答えた。

 どうでもいいけど、その出だしで知ってると答えられる奴は絶対居ないよなと思う。

「THE・WORLDで広まってる都市伝説って奴」

 なんだそれ?

 というか、どこから拾ってくるんだそういう話?

「BBSとか、そういう話を集めている個人サイトとかあるんだよ」

「ふーん。っていうか、ゲームで都市伝説って普通ないだろ」

 あったとしても嘘くさい裏技とかバグ技とかだし。

「そんなことないよ。ゲームっていっても、二千万人が参加してるんだよ? これだけ人間が居ればデマや幽霊を見たっていってもおかしくないっしょ」

「それもそうか」

 噂や怪談っていうのは大抵人間から発生するもんだしな。

 そういわれてみれば、そうかも。

「で? どういう都市伝説があるんだよ」

「けっこう色々あるよ〜。っていうか、都市伝説のレベルならドットハッカーズも都市伝説と言われれば都市伝説だし」

「そういえば」

 実体が無いって言う分には都市伝説だよな。

 伝説って言われるぐらいだし。

 まあこの外装が存在する証拠だけど。

「ええと、プチグソに上げると巨大化する幻の餌があるとか、一匹倒すだけでレベルが七倍になる7レベルパイソンとか、ゲーム中に死んだ人間のPCがそのまま放浪しているファントムとか、色々あるよー」

「嘘くさ」

 明らかにデマっぽいなー。

 まあ都市伝説って奴は大抵そうだけど。

「ああ、あとね。これは最近目撃された噂なんだけど」

「うん?」

「あるフィールドでね。変な影を見たって噂が立ってるんだよ」

 変な影?

「そ。なんでも目にも止まらない速度で、変な影がフィールドを疾走してるって噂。目撃した人もいっぱいいるみたいなんだけど、それを捕まえた人はいないんだって」

「――デマじゃないのか?」

 さっきの話と嘘くささはあまり変わらないような気がする。

「かもね。でも、その噂にはなにやら発生時期があるらしいんだ」

「時期?」

「そ。四年前からこの噂が流れ始めたらしいよ」

「四年前ね〜」

 四年前といったら、俺が小学生の頃だな。

「ずいぶんと古いんだな」

「けっこう有名な噂らしいよ。なんでも、三番目のエリアワードに“陽鬼”っていうエリアで見ることが出来るんだって」

 陽鬼?

「ずいぶんとしっかりした噂だなー」

 とそういいながら、俺はあることを思い出した。

「そういえば」

「ん?」

「ミレイユ、今朝のBBS見た?」

「まだだよ」

「そうか。実はBBSにさ、“鬼ごっこ”っていうスレッドがあったんだけど……」


【Δ 巡り来る 復讐の 陽鬼】


「……ここだね」

 ボクは足元に広がる草原の上に、着地しながらそう呟いた。

「スレッドに載っていたエリアはここのはずだけど……」

 呟きながら周りを見渡すが、“彼ら”の姿は見当たらない。

 見えるのは乱立する巨大な石像と見渡す限りの草原だけ。

 魔法陣も放浪しているモンスターの姿も無い。

 それがBBS【鬼ごっこ】に記載されていたエリアだった。

「おかしいな。ここで合ってたはずだけど」

 ボクはコントローラーを操作して、手の平の上にスクリーンパネルを出現させる。

 そして、先ほどスクリーンショットで記録したBBSの内容を再確認。




 201X年 X月 X日
 タイトル:【鬼ごっこ】
 投稿者:ステハニーN

 ハーハッハッハッハ!
 帰ってきたゴブ! 帰ってきたゴブよ!?

 初めての人にははじめまして、知ってる人にはただいまゴブ!

 早速ゴブが、わたしたちの快足に挑みたい奴は『巡り来る 復讐の 陽鬼』にやってくるゴブ!
 鈍足、ノロマ、平和主義と料理に入ったパイナップルに用はないゴブ!

 腕……じゃなかった、足に自信がある奴はカモンゴブ!
 待ってるゴブよ〜。

 ……ちなみに一人で来るゴブよ?
 間違ってもパーティで来ちゃ駄目ゴブ!                    』


 見覚えのある……いや、見覚えのありすぎる名前と文章。

 それを確かめるべく、ボクはこのエリアにまでやってきていた。

 けれど、いつもなら待ち構えている“彼ら”が居ない。

「もう撃破されたのかな?」

 そう呟いた瞬間だった。

「ハーハッハッハ、ゴブ!」

 甲高い笑い声が響いてきたのは。

「っ!? どこから!」

 そう叫んで、思わず上を見上げた。

 そして、ボクは見た。

 立ち並ぶ石像の上に立つ、“五匹の影を”。


「毎日とってもパシられる悲劇の女ゴブリン! ゴブレッド【ステハニーN】ゴブ!!」

 そこに立っていたのは真っ赤な忍者装束を身に着けたゴブリン!

「毎日早飯。常に戦場へと駆けつける! ゴブグリーン【ジョヌーN】ゴブ!!」

 グリーンベレーみたいな格好をしたゴブリン!

「毎日早耳。影口なんか叩かれたらもう涙! ゴブブルー【ヂャンN】ゴヴ!!」

 真っ青なレインコートを身に着けたゴブリン!

「毎日早起。夜が明けるよりも起きて、日が暮れるよりも早く寝る! ゴブイエロー【アルベルトN】ゴブ!!」

 どこかのカンフースターみたいな黄色いジャージを身につけたゴブリン!

「最大最強真打の素敵ゴブリンガール! ゴブゴールド【マルチナN】ごぶよ!!」

 そして、何も変わってないマルチナ!


 トゥ! という掛け声と同時に五匹が空を舞う。

 クルクルとオリンピックの飛び込み選手のような華麗な回転と共に着地する五匹のゴブリン。

 そして、彼らは同時にこう叫んだ。


『鬼ごっこ戦隊ゴブリンジャー!! 只今参上ゴブ!!!』


 チュドーン!


 爆炎と共に現れた五匹のゴブリンが、同時にポーズを決めた。

「ええと……なに?」

「ゴブリンジャーごぶ! ちなみにNはネオのNごぶよ?」

 いや、そんなことは訊ねてないんだけど。

「っていうか、なに?」

「ゴブリンゴヴ」

 それは見れば分かるよ。

「いや、そうじゃなくて」

「オラは毎日早寝早起きで農家さんもびっくりな健康を維持してるゴブ」

 そんなことは訊ねてないよ。

「……ゴブリンジャーってなに?」

 ボクは根本的な質問をしてみることにした。

「前は……そんなんじゃなかったよね?」

 少なくともマトモな(?)ゴールドゴブリンだったはずだけど。

 一体何があったんだろう?

「ぬぬ? 昔の僕たちを知っているとは中々の古参プレイヤーのようだねゴヴ」

「そうゴブね。かれこれ四年間も引っ込んでたゴブ」

 よ、四年間?

「ふっ、いいごぶ。丁度いいごぶから、話してあげるごぶ」

 そういって、マルチナNがボクの目の前で遠い目をした。

「そう、それは四年前のことゴブ……」

 あ。何か語り口調になったね。

「ぽやぽやぽやーん」

「ほわほわほわーん」

「回想シーンに入るゴブ」

 口で効果音言ってる!?


「そう、それはまさしくごぶ達にとって“黄昏”だったごぶ」


【回想シーン(単なる語り)】


「四年前。あたしたちがどこにでもいるゴールドゴブリンだった頃ごぶ」

 平凡なゴールドゴブリンって……矛盾しているような気がする。

「僕たちはその頃初心者プレイヤーのためにイベントで働いていたのさ、ゴヴ」

「そうゴブ。【鬼ごっこ】というタイトルで、まだゲームになれない初心者たちのために一生懸命逃亡劇を繰り広げてたゴブよ」

「あの頃は幸せだったゴブな〜」

 ほのぼのとした表情を浮かべてるね。

「しかし、ゴブ」

 しかし?

「ある日、奴がやってきたゴブ」

 ……奴?

「そうゴブ! あの【黄昏の桃太郎】が!!」

 …………………………………………なにそれ?

 黄昏の、桃太郎ってなにさ?

「夕日のように真紅に染まり、血のように邪悪な笑みを浮かべた奴だったゴブ」

「お、思い出すだけで全身が金ぴかになってしまうゴブ。がたがたぶるぶるゴブ」

 いや、元から金色だから平気なんじゃ?

「そう。彼はある日やってきたゴヴ。初心者の笑みを浮かべて、僕たちに挑戦してきたゴヴ」

「わたしたちはそれに立ち向かったゴブよ」

「しかし、あっという間に蹴散らされたゴブ!」

 と、そこまで叫んで、ゴブリンたちがブルブルと震え始めた。

「お、思い出すだけでも恐ろしいゴブ。あいつは一番最初に快速のタリスマンを使ったゴブ」

 それは普通だと思うんだけど。ボクもやったし。

「必死に努力と根性とたゆまぬ鍛錬で培ったオラたちの足に、卑怯にも追いついたんだゴブ! 卑怯ゴブ! 卑怯ゴブ!」

「しかし、それだけならまだ情状酌量の余地はあったごぶ」

「だがしかし! 奴はそれだけに飽き足らず、呪紋までぶっ放したゴブ! 必死で走るあたしたちをあざ笑うかのように範囲系の呪紋を、しかも対抗属性で撃ってきたんだゴブよ!?」

 まあ普通に走ってたら追いつけない速度になってきたから、ボクも何回か足止め代わりに呪紋を撃った記憶があるね。

 その後双剣で接近して、斬ったけれど。

「そ、その後袋にされたゴブ。袋小路に追い詰められて、じわじわとスキルを叩き込まれたゴブ! お、思い出すだけで午前五時に起床してしまうゴブ! 悪夢に魘されて遅くまで寝てられないゴブ!!」

 確かいつも五時に起床するっていってなかったっけ? アルベルトは。

「そんな恐ろしい相手に、あたしたちは果敢に挑んだゴブ」

「ゴールドゴブリン族に伝わる禁断の秘奥義。三日三晩滝に打たれ、天空城でバンジージャンプを行った末に身に着けた技【三体に影分身☆】を駆使したゴブ!」

「これなら勝てる! そう信じたゴヴが……」

「――あっという間に蹴散らされたゴブ。一体一体嬲り殺すようにぼこられたゴブ。回復呪紋を発動しようとした途端呪紋で吹き飛ばされたゴブ」

「血も涙もない悪逆非道の数々だったごぶ。奴は悪魔ごぶ。絶対にS野郎ごぶ」

 そうなんだ。

 そういえばボクも同じようなことをした記憶があるなぁ。

 斬っても斬ってもゴブリンたちが回復するから、回復呪紋を撃とうとした時に、攻撃呪紋で効果範囲外まで吹き飛ばしてたね。

 奇遇だなあ。

「そうしてわたしたちは再び地に這いつくばされたゴブ」

「僕たちのプライドはズタズタになったゴヴ」

「オラたちは、復讐を誓ったゴブ」

「絶対に誰にも追いつけない足を身につけようと誓ったゴブ」

「もはやイベントのことなんて忘れて、特訓に励んだゴブ」

 ギュギュッとそこまで告げて、ゴブリンたちが拳を握り締める。

 遠い青空を見上げるように、顔を向ける。

 その目は、遠い目をしていた。

「辛かったゴブ」

「朝も昼も夜も走ったゴブ」

「晴れの日も、雨の日も、嵐の日も、雷の日も、スーパーの特売の日は休んだゴブが、それ以外は毎日走ったゴブ」

 ちょっとまって。

 なんでスーパーの特売?

「頑張ったゴヴなぁ」

 あ、流した。

「途中でCC社の小うるさいデバック連中を撥ね飛ばしたゴブ」

「上司のモルガナがガミガミうるさかったゴブが負けなかったごぶ」

 ……ちょっとまって。

 ねえ、これはボクも突っ込むべきなのかな?

「オラたちは特訓の末、その成果を試すべくあるPCに挑戦状を出したんだゴブ」

「そして、その当時ブイブイ言わせてた時の勇者【神速皇帝 バルムンク】との死闘の結果、勝利したんだごぶ」

「あっけなかったゴブ」

「見事逃げ切ってやったゴブ」

「見かけ倒しだったゴヴよ」

 ……そういえば、四年前一時期バルムンクが落ち込んでことがあったような気がする。

 もしかして、それが原因だったの?

「そこでだゴブ!」

「これなら勝てる! と確信して奴に!! あの黄昏の桃太郎に挑んだゴブ!」

「挑戦状を叩きつけてやったんだゴブ」

 で? 結果はどうしたの?


「……ボコボコにボコられたごぶ」


 あ。やっぱり。

「殴られたゴブ」

「呪紋で撃たれたゴブ」

「眠らされて、気が付いた時には地面を転がってたごぶ」

「終いには仲間を呼んで、全員で呪紋の雨あられだったゴヴ」

「四度に渡り、オラたちは敗北したゴブ……」

 クククと虚ろな笑い声を響かせるゴブリンたち。

 その背には哀愁が漂っている。

「もう立ち直れないゴブ」

「オレたちはグレたゴブ」

「毎日毎日右左を確認して信号を渡るような悪逆非道な不良になったゴブ」

「快速のタリスマンを十個ぐらいまとめて重ねかけとかしたごぶ」

「ゴールドゴブリンなのに、黄金子鬼と改名とかしたゴブ」

「初心者相手に爆走して、泣かしたりとかしたゴブ」

「悪になったのだよ、ゴヴ。血も凍るような悪魔になったゴヴ」

 いや、どれもたいしたことないし。

 ていうかステハニーの場合、善行だよね? それ。

「イベントにも出ず、管理人の要請も蹴ってやったゴブ」

「音信不通の引きこもりになったゴブ。いわゆるニートゴブ」

「……それで? ゴブリンジャーになった理由と復帰した理由はなんなの?」

 肝心要の理由を結局話していないではないか。

「――復讐ごぶ」

 え?

「このままやられていたらゴブリン族の名が廃るゴブ」

「ボクたちは再戦を誓ったゴヴ」

「必ずや奴に勝とうと決心したゴヴ」

「そして、自信が付くまで毎日特訓を重ねてたゴブ」

「誰もいないエリアを百回回ったり」

「ダンジョンの中をうさぎ跳びで往復したりしたゴブ」

「プチグソレースに乱入して、タイムレコードを塗り替えたりしたゴブ」

「秘密特訓ゴブ」

 結局ボクに話しているから秘密特訓じゃなくない?

「いわないと悲しいゴブ」

 そうなんだ。

「で。結局なんでゴブリンジャーなの?」

「今朝のテレビ番組で戦隊モノがかっこよかったからゴブ。特に意味はないゴブ」

 ……そうなの。

「そして、今日この日がリベンジにスタートとなるんだごぶ!」

「お前はその生贄ゴブ!」

「みよ! この黄金の太ももを!」

 ……どこかの猫型ロボットみたいな足しか見えないよ。

「驚け、この鍛え上げられた腕を!!」

 棒みたいな腕だね。

「今日この日が、輝ける黄金時代に到来ゴブ! わたしたちの夜明け、つまり薄明の時代が到来するんだゴブ!!」

 へえー。

「あの残虐非道な腐れ外道を倒すんだゴブ!」

 ふーん。

「この生まれ変わった身体なら逃げ切ってやるゴブ!」

 ねえ。

「あの諸悪の根源!」

 気付いてる?

「――黄昏の桃太郎を越えるごぶ!!」

 それって。

 ボクのことなんだよ?

「――ウエポン・セレクト」

 ジャコンッ!

 背部から無数の双剣が乱立する。

「快速のタリスマン」

 ブォン!

 右手から発生させたスクリーンパネルより、手持ちの強化アイテムを発動させる。

「なら、さっさと始めよう」

「……あ? あれゴブ? どこかでみたようなポーズゴブな……」

「――鬼ごっこの開始でしょ?」

 ボクは笑みを浮かべながら、背後より双剣を排出した。

 さあゲームの開始だよ。

 ――BATTLE MODE ON


 そして、殺戮は始まった。


「ハーハッハッハ。小癪ゴブよ!? この鍛え上げたわたしたちの足に」

「――遅いよ?」

「なっ」

「スキル」

 “蘭舞”

 ドカバキドカバキゴシャアアアッ!!!!


「ステハニーがやられたゴブッ!」

「見てる暇があるの?」

「に、逃げ――」

【闘士の血】! 【狩人の血】! ついでに【聖なる樹液】!」

「馬鹿なっゴブ! アイテムを使いながら並走するだと!?」

 “蘭舞”

「逝きなよっ♪」

 バゴォオンツ!


「ぬうう! まさかあの二人を軽々と撃破するとは、ただものじゃ――って、何で手のひらを僕に向けているゴブか? ねえ、ねえ、ねえ?! まさか――」

【颯爽! 木霊王の巻】!

KISYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!

「精霊神召還ゴブ――!?」

 チュドムッ!!!


「逃げるゴブ! 逃げるゴブ! 逃げ切ればオラたちの勝ちゴブ!!」

「――【月のタロット】

「……ガクッ」

 ぼてちんっ。

 てぽてぽ。

 ――ジャコンッ!

「さて行くよ?」

 “蘭舞”

 ドカドカドカドカドカドガンッ!!!


「瞬く間にあたし以外がやられたごぶ!? しかし、このあたしは他のゴブリンとは一味も二味も違うごぶよ!」

「――魔獣の封印

「魔法耐性を持っているから呪紋なんて聞かないごぶっ!」

「――魔のタロット

「自力で回復することだって出来るごぶっ!」

「眠って? 月のタロット

「さらには――ぐ〜」

「さてあと十個は残ってるよね。 【颯爽! 木霊王の巻】

 チュドムッ!

「はっ! い、痛いごぶっ!! でも、起き――」

月のタロット

「ぐー」

颯爽! 木霊王の巻、GO!

 チュドムッ!(以下エンドレス)


 そして、十数分後。

 ボクの周りには地面に横たわる五匹のゴブリンと灰燼と化した草原だけが広がっていた。

「ボクの勝ちだね」

 ジャコンッ!

 背部に双剣を格納しながら、静かに勝利を宣言する。

「み、見事ごぶ……」

 その時、足元に転がっていたマルチナが静かに声を上げた。

「それで、唐突で悪いごぶが……」

「何?」

「君……ゴブリンになってみる気はないごぶか?

「――ないよ」

 過去何度と無く繰り返された質問。

 それにボクは全てNOと言った。

「そ、そうごぶか……残念ごぶ。君ならいいゴブリンになれると思うんごぶけどなぁ……」

 そして、マルチナはふるふると震える手で、ボクにあるモノを差し出してきた。

 それは――双剣だった。

 刀身が金色で、柄の部分には見覚えのあるゴブリンのマスコットが括り付けられている絢爛な双剣。

「これは?」

「ふふふっ、我がゴブリン一族に代々伝わる宝剣【ゴブリン・ズンバラリ♪】 その一撃は豆腐も切れず、しかしゴブリンと名の付く奴はコンニャクのように真っ二つにするごぶ」

「なっ」

 それは、ゴブリンにとって致命的な武器なんじゃないだろうか?

 何故そんなものを?

「ふふふ、あたしたちを倒した奴にはそれを受け取る資格があるごぶ」

「マルチナ……」

「そして、気をつけろごぶ」

 気をつける?

「あたしたちの後ろには第二、第三のゴブリンジャーが。そして、“あの方”が待ち構えているごぶ」

「あの方だって!?」

「さ、さらばごぶ。新たなる修羅……【薄明の頼光】よ」

 ガクリとその言葉と共にマルチナが完全に気絶する。

 その瞼をそっと閉じてあげながら、ボクは立ち上がった。

「……長い戦いになりそうだね」

 そして、振り返る。


 そこには新たなる敵が待っていた。


「……来なよ。全部斃してあげる」

 ジャコンッ!


【Δサーバー 水の都市 マク・アヌ】


「そうか。実はBBSにさ、“鬼ごっこ”っていうスレッドがあったんだけど……」

「あったんだけど?」

「いや、載ってから三十分もしないうちに何かイベント中止って書かれてた」

「へ?」

「もう終わりゴブー! 皆殺しにあったゴブー! って書いてあって」

「ふーん。そういえば、昔ゴブリンのイベントがあったらしいよ?」

「イベント?」

「なんでも逃げるゴブリンを捕まえるイベントがあったんだって。なんかあっという間に中止になったらしいけど」

「へえ」

 なんで中止になったんだろうな?

 ――コンコンッ。

 その時だった。ホームの扉をノックする音が聞こえたのは。

「失礼するよ」

「あ、オウル!」

「おう、来たか」

 扉から入ってきたのはオウルの姿。

「あれ? 他の皆は?」

「おっつけ来るだろ」

「珍しいね」

 そういってホームに入ったオウルは座らずに、ミレイユの元へと歩みよった。

「ミレイユ」

「なーに?」

「これ上げるよ。もう必要ないから」

 そういって渡されたのはなにやら全身金ぴかの双剣。

「あー! レア武器じゃん!! いいの!?」

「うん。もう必要ないから……全員屠ったしね

 ん? 何か聞こえたような。

「わーい、わーい!」

 クルクル〜とかいいながら回りだすミレイユ。

 それを見て微笑んでるオウル。

 なにがあったんだろうと首を捻る俺。

 その日も、いつもどおりのザ・ワールドでの一日が始まった。


【??? ??? ???】


 某月 某日

 某所にてゴブリンシリーズを瞬く間に皆殺しにする一人の双剣士が目撃される。

 純白の衣に、雷のような斬撃、目にも留まらない移動速度。

 立ちはだかるゴブリンを次々とズンバラリ♪ と切り裂く様は修羅の如く。

 これをかの有名な【黄昏の桃太郎】と区別すべく【薄明の頼光】と呼称されるようになった。


          ――ゴブリン大辞典 暗黒時代より抜粋


『覚えていろゴブゥ!!!』


 あとがき

 オウル主人公と見せかけて、実はゴブリン祭りでしたw
 右を向いてもゴブリン、左を向いてもゴブリン、上を見上げたらゴブリンジャー。

 地獄絵図w


 それはともかく(放置して)
 うーむ……これは壊れなのでしょうか?

 でも、原作を考えれば全員性格に変化はないような気がします。
 実に微妙です。どっちでしょうか?
 指摘があれば、壊れに直します。


 さて、次回はシューゴが主役です(ピエロとも言う)
 もしくは戦場のジャーナリスト(え?)

 次回、君は刻(シューゴ)の涙を見る!!


 お楽しみに!!


 なお、オウルがあの後(虐殺プレイ後)に繰り広げた
 【VSゴブリン37将軍! 怪奇絢爛大激闘!!】及び「神聖ゴブリン皇帝ゴブキング! 暁に埋められる!?」


 を執筆する気はありません♪
 あしからず。


一部追加修正しました


 あとがき2

 .hackシリーズの作品が増えてきましたね。
 しかも他の方々は全員魅力的なオリキャラ主人公で……
 か、肩身が狭い。

 でも、オリキャラ参戦は必要最低限を除いて出来るだけ避けたいので、このまま行かせたいと思います。

 が、頑張れ自分。
 他の方々に負けないようにもっと努力しようと思います!


 遂に13回目あるいは外伝第1回目のレス返しです。
 心臓をバキュンと凄腕スナイパーに射殺されそうな回数ですが、気合を入れてレスを返させてもらいます!

 レス件数がトータル21
 重複を除いても19名様というビックリな結果に心臓が止まりかけましたw


パッサッジョ様

 どうも初めまして、パッサッジョ様。
 箱庭廻(はこにわまわし)と名乗っている者です。

 こんなつたない作品ですが、今後とも頑張って楽しませたいと思っています!

“バトルのレベルは著しく高いのにやる気の無い音がこだまする状況が素敵です。”
>出来るだけ真面目に頑張って戦闘シーンを描いてみました。 効果音とピコハン、ハリセンに目をつぶればドシリアスバトルに変身します。

“しかもバルムンクはカイトだと気付いてないなんて。”
>それがバルムンククオリティ。


KOS-MOS様

 長い感想ありがとうございます!
 今回のお話は期待に添えたでしょうか? 今後とも頑張っていこうと思います!

“ミレイユたちは川原でガチンコ漁法”
>明らかな禁止漁法です。
 吹っ飛ばされたサメは、結局あの後凰花が浜辺まで引きずって回収したとかしなかったとかw

“ディスプレイにでたってことは正式な技なのか?”
>正式ではなく、【公式】な技ですw パロディーモードをやってみれば謎は全て解けます!

“こんな憧れのセリフを言うレナ。”
>女性なら絶対に言ってみたい台詞だと確信してます。男なら“ここはオレに任せて、先に行けえ!”に繋がるものがあるかとw

“・・・・・リバウンドで目立たなくならんといいのだが。”
>あのー、シューゴが目立つのはいけないんですか?w 主人公ですよーw
 これからガンガン目立つと思います! 多分。


盗猫様こと趙孤某様

 これは【壊れ】ですかな?
 ギャグは苦手ですが、頑張って書いていきます! 外伝はギャグばっかり!!
 無茶承知でGOです!

“暗黒吸魂輪掌波・・・なにもコミヤン如きに魂削らなくてもw”
>むしろコミヤン三世が削られてますねー、鉛筆削り(手動式)みたいにw
 禁断の奥義です。永久に闇に葬っておくべきですね、これは。


神速の皇帝 グラム様

 どうも、お久しぶりですグラム様w

 しばらくは妨害もなく、平和(?)な外伝をお楽しみください。
 二月中には本編に戻る予定ですのでw

“オウルの名の由来”
>作品当初からオウルの名前の由来は設定していました。カイトの名が風に吹かれて舞う凧ならば、今度は自ら世界という名の荒海へと旅立つオール(櫂)の名を持たせようかと思いまして。

“もしかして、妨害があるのでわ……”
>今回は平和的(?)にギャグを貫き通させてもらいましたw
 でも、もし妨害があったとしても、完全本気モードの二人ならハリセンとピコピコハンマーで改造モンスターをも殴り倒しそうな勢いですw

“マハ、リコ、ゼフィの三人が揃うと威力高いなー・・・・と、思った次第です。”
>なるほど。AI・SGIN・腕伝の三大マスコットが揃いぶみ……デンジャラスです。
 でも、猫は現在マク・アヌで元気にNPCやってますよー。

“レナの一日デート権はどうなったんでしょうね?”
>ちゃんとシューゴが獲得しましたよ? そして、その使い道は結果としてリアルで果たされましたw


良介様

 どうも、初めまして良介様。
 箱庭廻(はこにわまわし)と名乗っている者です。

 コイントスに関しては、ご指摘通り修正させてもらいました。
 どうもありがとうございます。今後とも濃厚な味を目指すべく、UPしていこうと思っていますw

“・・・どうでもいいがボケでもハリセンなんだな。”
>存在自体がボケそのものです。


朱雀様

 どうも、初めまして朱雀様。
 そちらの作品は常にチェックさせてもらってますよー。自分にはないコミカルなテンポが羨ましい限りですw
 ま、負けないように精進しなくては。

 色々と .hackシリーズの作品が増えてきましたが、お互いに頑張りましょー!

“それでも少しでも近づけるように精進します!”
>いえいえ、自分など鼻歌交じりのステップホップジャンプで簡単に飛び越えられると思いますよ? むしろ負けないように頑張ります。


細道様

 どうも、細道様。
 新年明けても、外伝に入ってもギャグを書いている箱庭廻です。

 健康には出来るだけ気を配って、完成できるよう頑張っていきたいと思います。
 ご配慮ありがとうございました。

“『国崎秀悟育成計画』”
>か、完全にネタキャラ扱いですねー、シューゴw
 しゅ、主人公なんですよー? おいしく、出番が多く、それでいて彼らしさ(?)を失わないように今後共頑張ってもらいますのでw


SS様

 パロディーモードのネタを分かってくれることに大感激です、SS様。
 ロシュの限界、トンネル効果、そのほかもろもろ合わせて頑張って書いていこうかと画策中の箱庭廻です。

 ガシガシ他のスポットの当たっていなかったメインキャラたちを活躍させるような外伝を画策中です。どうぞお楽しみに!


“気づかない蒼天”
>それがバルムンククオリティ。

“覚醒を果たす二代目勇者”
>それはさながら光の巨人(初号機)の如く。

“まさにワビサビですね〜”
>――これがWA WOOです(絶対に違う)

“…かはっ ぐらっ どさっ ばたり にへら←…!?”
>傷は浅いです! しっかりw


ロードス様
 どうも、ロードス様。

 外伝はしょっぱなから暴走気味です。シリアス専門な自分ですが、上手く書けてるかな?
 取り合えず行けるところまで頑張って突っ走ろうと思います。

“オウルとバルムンク…ハリセンとピコピコハンマーでの争いの末”
>喧嘩両成敗ですねw

“オウルをも上回るプレイヤースキル発揮www”
>妹を思うシスコンパワーこと兄に不可能はないのです(多分)

“ミレイユの外伝楽しみにしております(ニヤリ”
>……絶対にど肝抜きますよ?(ニヤソ
 あの人も出ますし(ネタバレ


カンナ様>

 初めてのレスをありがとうございます、カンナ様!
 こんな内容の外伝第一話ですが、ご期待に添えたでしょうか?

 今後共楽しめるような作品を目指しますw

“ハリセンVSピコハン!”
>永遠の宿敵だと自分は信じてますw

“寺島さんもオウルに気が付かないかもしれませんね・・・。”
>意識的には気付かないかも? でも、無意識で察知しそうですねー。
 普通に「カイトさんっ」と呼びかけて、それに答えてしまうオウルとかw

“最後の兄妹がほのぼのしてて和みます!”
>七夕編の主題は兄妹のほのぼのですのでw
 あとはおまけです。


白雨様

 なるほど。つまりお互いに理想が同じだと。
 ならば、その理想を抱いて書き上げるのみ! といいながら、やはりさり気無い鋭い推理がちらほら見えて嬉しい悲鳴が出てきます。

 では、頑張って答えますね。

“バルムンクとオウルの武器が……なんて言うか突っ込み対決?”
>むしろこいつらに突っ込みたい。
 書いてる自分が一番そう思いましたw

“それでも吹っ飛ばされるイベントモンスター”
>漢の勝負に割り込む邪魔者はハリセンとピコハンに殴られて、ぶっ飛ばされましたw 全力クリーンヒットで空を舞いました。

“シスコンシューゴの鬼化”
>ソノヒ、オレハニンゲンデアルコトヲ、ヤメタ
 って勢いです。

“以前の予想が当たるのか外れるのか……”
>一体何を予想されてるんだろう? 毎回気になってます。


岩平様

 どうも初めまして、岩平様。
 箱庭廻(はこにわまわし)と名乗っているものです。

 楽しく読んでもらって、とてもありがたいです。今後も楽しめるよう頑張りますね。

“神威とほくとの二人での連星さんの取り合いを”
>うーむ、あの二人に取り合いされる連星……
 一体誰なんでしょうねー、連星って(とぼけ)


シャミ様

 どうも、お久しぶりです? シャミ様。

 たまに部下を叩くためにわざわざデザイナー陣にピコピコハンマーを作らせたビミョ〜なバルムンクにご期待くださいw

“某竜巻兄貴みたいな風に特別な「友」”
>カイトとバルムンクには確かな絆があります。
 でも、気付かなければ全て意味がありませんw カイトがそのうち通りすがりの美食家とか名乗っても多分分かりませんw


ライ様

 どうも初めまして、ライ様。

 バージョン1〜4まで続け、エンディングを見て、美しい感動の余韻に浸りながらパロディーモードを起動させて、その光景に前のめりに倒れ付した箱庭廻(はこにわまわし)と名乗っている者です。

 今後とも楽しめるように、頑張って書いていこうと思っていますので、お楽しみにw


零様

 どうも、零様。

 まだまだ終わらない笑撃を、どうぞご堪能くださいw

 熱く、激しく、そして当事者以外には腰が抜ける喜劇をどうぞw


シヴァやん様

 ほ、他のSS作家様が来た!?
 どうも初めましてシヴァやん様。

 箱庭廻(はこにわまわし)と名乗っている者です。

 徹夜で読んでもらい、とても有難いです。今後ともいつ読んでも、損した気分にならないよう面白い作品を目指して頑張りたいと思っています。

 レスをどうもありがとうございました。

“腕輪になってるのは(カイトへの)花嫁修業”
>ど、どんな修行ですか?!(笑)
 むしろ嫁入り道具です!
 ……ってあれ? ということは腕輪を貰ったシューゴがピンチですねw あ、それはカイトもか。ろ、ロックオンされてる?


“寺島さんとかどうしたんでしょう?”
>他の三名も含めて、元気に女子大学生をやっています。
 カイトを巡った奪い合いになるかどうかは……今のところは水面下で行われているとしかw
 基本的に仲のいいライバル同士なのかなー。あんまりドロドロした展開は苦手なので。


アッシャ様

 どうも、お久しぶりです。アッシャ様w
 毎回誰もが指摘されない部分をしっかりと突っ込んでもらい、とてもうれしいです。

 これからもガンガン笑える作品や重みのある話を展開していきます!

 お楽しみに!!


“なんてシュールな戦いなんだ!オウルvsバルムンク”
>シュールを求め、奮闘した結果ですw
 真面目なバトルですよー、少なくとも本人たちには(だからタチが悪い)

“腕輪からのプレッシャー”
>いえいえ、アウラはそのような言葉で怒るほど心は狭くないですよ?
 あれは腕輪君(仮名:A)の心の激憤かとw


yy様

 光になーれー。
 ――ってしてどうすんだ自分!?(セルフツッコミ)

 ……どうも見苦しいところを見せました、yy様。

 箱庭廻(はこにわまわし)と名乗っているものです。

 原作(漫画版)はこんな真っ黒っけな自分の作品よりも、キラキラとした内容ですので、きっと楽しめることうけおいです。


“家族から変な目で見られました。(涙)”
>そ、それはすいません(謝罪)
 こ、これは勇気の力で頑張るしかないです!
 そう、勇気あるちかいのもとに。

“G.U.が出てないのが不ま(ry”
>G.U.……ですか。
 さらに三年後の舞台なので、ちょっとクロスは難しいです。
 すいません。


白亜様

 どうも初めまして、白亜様。

 箱庭廻(はこにわまわし)と名乗っているものです。
 【.hack//Dawn】いつも楽しく読ませてもらってます。

 そちらの魅力的なオリ主に比べて、こちらは既存キャラしか使っていないので少し羨ましいぐらいです。

 これからもお互い頑張っていきましょうね!


“腕伝にカイト(オウル)をはじめ、カール達まで加わるなんて凄すぎだぜ!”
>いえいえ、マイナー好きなだけですよw 素敵なキャラを教えてくれたSS様が居なければ、出してませんでした。
 彼女は重要なキャラとして今後も出てくる予定です。

“つーか連星が気になってしょうがない。”
>こっちも出したくてしょうがないですw で、でもまだ時期じゃないんです。
 ううう、でも出した時はスッゴイかっこよく出す予定ですのでお楽しみにw

“何時か主役になれるその日まで!”
>なんで誰も主役と認めないんだー!?w

“カール(えっ!?)”
>ドキッ!!(未来プロットを見ながら)


 皆様、レスありがとうございましたー!

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