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▽レス始

「.hack//Dawn 第4話(.hackシリーズ+オリジナル)」

白亜 (2007-01-19 11:56/2007-01-21 15:06)
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 突然だけどフラグメントが終了した。

 俺は事前に三ヶ月で終了になる事を知っていたけど、他の人にとっては驚きの嵐だったようだ。

 そりゃあ、最初の話では半年間のテストだったからな。 驚くのも当然だったみたい。

 さて、フラグメントが終了してから、ザ・ワールドが発売されるまでの話はいらないだろう。

 あえて言うなら、普通の学園生活の日常があった……訳でもない。 突然、ファンタジーな異世界の召喚されて魔王と戦うはめになってしまった。 もちろん嘘だが。

 まぁ、とりあえずごく普通ともいえない、日常があった訳だ。 これを書くと本編より長くなりそうだから勘弁だ。

 とりあえずそれからは、ネット上にフラグメントの原型が叙事詩『黄昏の碑文』なのではないかと、言う話が持ち上がるようになってきた。

 『黄昏の碑文』、またの名を『薄明の碑文』と呼ばれるもの。 エマ=ウィーラントが描き、その恋人であるハロルド=ヒューイックがフラグメントに取り込んだ存在。

 しかし、誰が、こんな噂を流したんだ? 普通なら分かるもんじゃないんだけどな。

 あった事はそれぐらいかな。

 そして、数ヶ月が経ち、12月24日【Mother Mary's Kiss】が到来。 ネット制限が解除された。

 それと同時に【ザ・ワールド】がダウンロード発売を開始した。 もちろん事前、広告によりかなりというか、相当数のダウンロードが始まったので、回線が混雑しているようだ。

 因みに俺達、フラグメントのテストプレイヤーはダウンロード販売の嵐に飲み込まれる事はなかった。 何せ、事前にダウンロード出来たからな。 テストプレイヤーの特権さ。

 さぁ、再び物語の始まりを告げる鐘を鳴らそう。 神との戦いは今から始まるのだから。


 .hack//Dawn  第4話 失喪憶記・昴姫出会


「さて、今日はどうするかな」

 本日は12月25日。 【ザ・ワールド】が発売されて、一日が経った。

 今日も俺はログインしている訳だが、一つ問題が上がった。

 俺の記憶である。 ぶっちゃけた話、そろそろ元の世界での【.hack】に関する記憶が薄れてきた。

 特に【Aiバスター】や【SIGN】、【ZERO】、【黄昏の腕輪伝説】といった、ゲーム編の過去や未来の話に関する記憶が。

 ゲーム編は今だ健在だが、これも何時まで持つか分かったもんじゃない。

 何せ、後、役3年あるのだ。 ゲーム編が始まるまで。 それまで記憶を維持できる自信があるかと言われれば、俺にはない。

 だから、俺はノートに出来るだけ、覚えている事を書いたが、正直穴だらけだ。 大体の流れしか覚えてないし。

 ゲーム以外の4つなんてもっと酷い。 登場人物ぐらいしか覚えてない作品まである。

「もっと早く、ノートに書いとくんだったな……」

 もしも、少しでも早くノートに書いていれば、介入しやすくなったんだけどな……。

 いや、待て。 俺は何を考えている。 介入しやすい? 俺はあの物語に介入する気なのだろうか?

 確かに俺は、あの物語の事を穴だらけとは言え、知っている。 だが、介入してどうする。

 俺はイレギュラーだ。 そして異物にすぎない。 ならば、介入などしなくてもどうにでもなるのではないのか?

 司はログアウト出来、アウラは誕生する。 その後、幼きシューゴと出会い、カールと出会う。 そしてカイトに腕輪を託し、古き神との戦いが始まる。

 結局はそれでいい。 勇者カイトは結局、モルガナを滅ぼすだろう。 ならば、俺などが介入する必要などないのではないか?

 いや、必要ない筈だ。 俺が下手に関わって、物語を潰すぐらいなら関わらないほうがいい。

「……」

 考えないようにしよう。 関わらずに俺は俺でいればいい。

 そうすればきっと……、

「あのすいません。 パーティーを組んでは頂けないでしょうか?」

「あ、構いませんよ」

 考え事をしている間、まったく動かないから、暇人だと思われたのか?

「あの私、初心者なので……」

「いや、別に大丈……夫……?」

「?」

 俺に声をかけてきた女性を見て、俺の動きをピシリと固まった。

 大きくふくらんだ袖、胸元やお腹を出したドレスを着て、その手に重斧を構えた重斧使い。 彼女を俺は知っていた。

 【紅衣の騎士団】の設立者の一人である、PC【昴】。 彼女が何故か俺の前に居た。 なんでさ。

 確かに、彼女も【ザ・ワールド】の古参メンバーの一人だ。 だから発売してすぐの日にプレイしていても可笑しくはないのだが。

 まさか、介入しないと、心に決めておきながら、その直後にそんな主要人物に出会うとは思っていなかった。

「あの、大丈夫ですか?」

「ああ」

 ちょっぴり挙動不審になった俺を見て昴は不思議そうに見ているが、俺的に非常に拙い。

 ここで彼女と知り合ったら、SIGNやZEROに影響するんじゃないかと思って。

 たかが出会い、されど出会い。 バタフライ効果よろしく、後に影響するんじゃないかと、ビクビクものです。

 本当なら、関わらず断ってしまえばいいのだが……。

「じゃあ、まずどうします?」

「あの、ダンジョンに行きたいんですけど……」

 一度返事した以上、断る訳にもいかなかった。

 どうも俺は、困っている人を見るとほっとけない体質らしい。 たとえ、それがネットゲームの世界であろうと変わらない様子。

 損な性格だと言われる事もしばしばあるし。

「なら、まずはメンバーアドレスの交換をするか」

 頑張れ、俺。


 ■□■□■


 reverse/昴

「……!」

 まさか、と彼女は素直に思うしかなかった。

 この【ザ・ワールド】を始めて、一週間が経った。 少し前に足が不自由になってしまった自分が自由に動ける世界。 それが【ザ・ワールド】。

 どんな境遇・身分・状況等に置かれた人間でも関係無く、同じ立場の一人の人間として動ける世界に興味があった。 だからこのゲームを購入して自分は今【昴】という存在で、この【世界】にいる。

 だけど、やはりここも現実と同じであった。

 良い人がいれば、悪い人もいる。 当然だ。 全ての人が良い人なら、犯罪など起きる事はない。

 彼女はその認識が不足していた。 ネットゲームとは言え、そこに人がいるのだから、このような事が起こる事も認識してなければならなかったのかもしれない。

 プレイヤー・キラー。 通称PKと呼ばれる存在に自分が襲われている。

 PKは公式な設定ではない。 確かに他のプレイヤーを倒す事は出来るが、それだけだ。 相手の持っているアイテムを奪える訳でもない。

 だから、油断した。 PKなどに会う事はないと思っていた。 だけど、そんな思いは脆くも崩れ去る。

 今現実に自分が襲われているのだから。

 相手も3人のパーティー。 双剣士に重斧使いそして呪紋使い。 典型的なバランスが良いメンバーだ。

 しかも、見た感じ、自分よりもレベルが高い。 昴のレベルはまだ5。 しかし相手はそれを上回る13だ。

 今の自分では勝てない。 メールで知り合いとの待ち合わせをしているのだが、まさか、こんな事になるなんて。

「くうっ……!」

 敵の重斧使いの一撃を斧で受け止めるが、重い。

 やはりレベルの差は大きい。 補助アイテムも使用しているが、勝つのも、逃げるのも駄目そうだ。

 何故、こんな事をするのだろうか? 少なくとも、初めて出会ったあの二人は良い人であったのだから。

「何故……こんな事をするのですか!?」

 思わず声を上げる。 どうしてこんな事をするのか? 何故、このような事をするのか?

 昴には分からなかった。

「楽しいからに決まってんだろ!!」

「……!?」

 重斧使いの男が叫びを上げる。 それに合わせて他の連中もげてげてと笑い始めるその声に昴は身動きを止めてしまった。

 楽しいから。 それだけ、他者を殺す。 確かにこれはゲームだが、人を殺す為のゲームではない筈だ。

 だから彼等の言葉が信じられない。

「【トリプルウィルド】!!」

「えっ!?」

 敵の重斧使いから放たれる一撃に、昴は驚く。 水平に構えられた斧から放たれる横回転の一撃をなんとか防御スキルで受け止めたが、HPは既にレッドゾーンだ。

 しかし、昴が驚いたのは重斧使いが放ったスキルだ。 装備している武器は【呪いの斧】。 あの武器で【トリプルウィルド】のスキルが使える事はない筈だ。

 だが、現実に放っている。 と、言う事は……

「違法改造……」

 違法改造、即ちチートである。

「ああ、そうよ! 改造なんて楽だぜ! こっちのほうが断然楽しいしよ!」

「……っ!」

 楽しい世界、自由な世界。 だが、そこに違法行為を行う者が現れる。

 それが何処か悲しかった。

「死ね」

 もはや打つ手はない。 最後の一撃が昴に放たれようとした時、

「何……!?」

「ああ、なんていうかすげー運が悪いな」

「サイリス……?」

 昴と重斧使いの間に割って入ったのは、待ち合わせをしていた知り合い――偽りの名を持つ白騎士サイリスであった。

 reverseout


 ■□■□■


「ああ、なんていうかすげー運が悪いな」

 俺は昴をPKしようとする重斧使いの斧を大剣で防ぎながら、そんな事をぼやいた。

 まさか、【ザ・ワールド】が始まって、すぐにPKプレイヤーに出会うとは思ってもいなかった。

「サイリス……?」

「ああ、ちょっと待ってろ昴」

 力任せに斧を弾き飛ばすと、昴を抱えて、距離を取る。

 正直な話、すぐにゲートアウトしたい所だけど、目の前のPK達がそれを許してくれるとは思えない。

 と、なれば……

「やりたくはないんだけどなぁ……」

 ぶっちゃけた話、倒すしかあるまい。

 正直、PKなどやりたくはないが、そうも言ってられないし。

 麻痺させてくれる、【吊り男のタロット】は持ってないし、持ってたとしても、通用するとはあんまり思えない。

「さて、死にたくなかったら、とっとと帰れ」

「うるせぇ! ザコは引っ込んでろ!!」

「……ザコねぇ」

 やれやれ、と思うしかない。

 あちらのレベルを見た感じ、【ザ・ワールド】が始まってから、プレイしたメンバーだろう。

 だが、こちとら、伊達や酔狂でフラグメントから始めている訳ではない。

「なら、しょうがないな!」

「え――」

 【ライスマッシュ】。

 前方宙返りして、その勢いで大剣を斬り下ろす。

 たった一撃で、重斧使いのHPが0になる。

「なっ、嘘だろ!?」

「こいつ……レベルが……!」

「悪いけど、俺のレベルは33。 お前等じゃ相手にならんよ」

 フラグメント時代から稼いだ経験地は【ザ・ワールド】に受け継がれている。 その俺がたかがレベル13程度に負ける筈がない。

 3体1であろうと、レベルの差が離れていれば、どうにもならないし。

「……くそっ!」

「覚えてやがれ!!」

「……ザコの捨て台詞って典型的なんだなあ……」

 俺が最初に屠った重斧使いを蘇生させると、PKパーティーは即座に撤退してくれた。

 ああ、良かった。 これ以上、PKなんぞやりたくなかったし。

「……大丈夫か、昴」

「は、はい! ありがとうございます」

 後ろで倒れ込んでいた昴に駆け寄る。 HPが減っている以外は大丈夫みたいだな」

「【オリプス】!」

 回復呪紋を唱えると、すぐさまHPが全快される。

 あー、良かった。

「……なんで、彼等は……違法行為やPKをするのでしょうか?」

「……ここは【ザ・ワールド】は世界だ。 良い奴もいれば、悪い奴も出てくる。 ある意味当然の結果さ」

「……」

 事実だ。 コインの裏表のように、光が存在すれば、影も出てくる。

 どう考えても、あのように考える連中は出てくるのだ。

 これから、もっと時間が進めば、もっと違法行為やPKをする連中が出てくる。

 まぁ、こんなに早く、出てくるとは思ってなかったけど。

「……それは取り締まれないのでしょうか?」

「……難しいな。 でもプレイヤーとして自治団体とかは作れるかもな」

 これも事実。 紅衣の騎士団はそれを実践していたのだから。

 まぁ、やりすぎに注意しなくちゃいけないけどな。

「……私……それを作ってみようと思います」

「……マジで?」

「ええ、本気と書いて、マジと読むぐらいマジですよ」

 ネットの中とは言え、今の昴の目には何か決意を秘めたような輝きがあった。 気のせいかもしれないけどな。

 っていうか、もしかしてこれで、紅衣の騎士団結成フラグ成立? マジで?

「……サイリスもどうですか?」

「いや、俺はなぁ……」

 正直な話、関わる気はなかったんだけど……何故か巻き込まれていくなぁ、俺。

 そんな俺の葛藤に気がついたのか、昴が一つの妥協案を出してくれた。

「なら、何時か手伝ってください」

「ああ、それならよろこんで」


 ■□■□■


 それから一週間程して、昴がPCクリムなど数名のプレイヤーを率いて、【紅衣の騎士団】を設立したらしい。

 ……なんとか正史になっているの……かなぁ?


続・あとがきっぽいもの
ザ・ワールド編スタート。
それと同時に昴と遭遇。 あれ、本当なら違うキャラが出る予定だったんだけど?
まぁ、昴の思いとか決意とか全部捏造。 パラレルワールドだと理解してくれると嬉しいです。 っていうか昴ってこんなキャラだっけ?


最近、思った事
Vol.4の時にレベル70でエリアレベル98の場所に突撃した自分は馬鹿ですか?(どうでもいい)
後、各話に題名を入れてみました。


レス返しだと思う

・盗猫さん
うーむ、今のサイリスはそんな事は考えてません。
データドレインがないサイリスではスケィス相手に歯が立ちません。 っていうか負けるだけです。 そしたら意識不明者にまっしぐら。 駄目じゃん!
うぃ、感想の件に関しては了承。
頑張りたいです。

・さるびすさん
こんな形式しか思いつかなかった。 っていうか他じゃ二番煎じになりそうだったので。
これからも頑張りたいので、また見てやってください。

・somosomoさん
そもそも何処まで関わるか不明な主人公。
最強物じゃないので、関わるか未だに悩んでます。
これからも面白い作品と言われるように頑張りたいと思います。

やっぱり大岩が転がるだけじゃつまんないので、ホーミング機能つきにしました(爆死)

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