「・・・・やっぱ外れた、か。」
カカシの居る川原から150mほど離れた木のてっぺん付近で俺は呟いた。
何でそんな所に居るのかといえば、そこから見える景色はカカシの居る川原周辺をほぼ全てカバーできるからであり、俺の作戦にはその場所が必要不可欠だったからだ。
木本体からあちこちに突き出す形に伸びた太めの枝に腰掛けている俺の手にはある物が握られている。
その武器はNARUTOの世界にも存在している。だが俺によって手が加えられたそれは、この世界の種類とは外見や機能が大きく異なっていた。
俺がカカシに対して使った武器、それは―――――
「ま、クロスボウにしちゃ桁外れの威力だよな、やっぱ。」
そう呟くと俺は散弾銃宜しく銃身(?)下部についている握り――フォアグリップを前後に動かして、再び発射できるよう絃をセットし直した。
この特製クロスボウは、板バネの所に彫り込まれた術式によってチャクラを流し込むと撃ち出される矢の速度と威力が驚異的に上がる点を除いて構造は普通のクロスボウと変わりない。
しかしそれでは絃をセットするのに時間がかかると考えた俺は、現実世界の武器の知識からある事を思いついた。
それが散弾銃で主に使用されているポンプアクションによる絃のセットだ。
ポンプアクションの原理は簡単に言えば、複数の弾薬を収めた弾倉(散弾銃の場合殆どのタイプでは銃身のすぐ下についている)から薬室へと弾薬を送り込む機構を1回の発射ごとに行う(この方式をリピーター、連発式と呼ぶ)のを、
銃身下部に取り付けられたフォアグリップを前後させて行う事だ。主な利点としては他のタイプよりも機構が簡単で丈夫だったり1発毎に手動でやるからジャムりにくいって所か?
あ、ジャムるってのは弾詰まりを起こす事ね。
・・・・・そんな薀蓄はともかく、元々は弾薬を給弾するためのその機構を俺は、絃を素早くセットし直す為の機構に転用して考えた設計図を知り合いの職人に渡し、お願いしてこのクロスボウに搭載して作ってもらった。
発射する物の問題から連射は現実の銃みたいに出来はしない。けどそれでもこの機構のお陰で5秒に1発は撃てるし、威力と射程と精度は術式で強化されて発射されるからそんじょそこらの物より遥かに高い。
1度近所の森で試射してみたら太さが1mもありそうな木にドデカい風穴が空いてマジでビビッた程だ。人に当たったら・・・・・ぶち抜くどころか木っ端微塵にしそうだ。当たった衝撃で。
まあたった今、実際に人に向けて放ったわけだけど。
当たりはしなかったが、着弾した地面には直径1m程のクレーターが出来ていた。
「サクラ、トラップは言った通りにもう仕掛けてあるな?」
『うん、サスケ君の言ったとおり5mぐらい間を開けて仕掛けといたけど・・・あれって何なの?』
「その時が来たら分かる。カカシが入り込んだ瞬間に作動させてくれ巻き込まれない様に気をつけろよ。それから打ち合わせ通り、そっちも始めてくれ。」
『分かった。』
昨日の内に里の備品倉庫から借りた(ぶっちゃけ盗んだ)無線で川原のそばの林に隠れているサクラに伝えると、
矢を番え直した俺はクロスボウに取り付けたスコープ(これも職人特製)を再び覗き込んだ。
レンズに映るはこちらの方――矢の飛んできた方角から気付いたのだろう――を見つめる担任上忍(予定)の姿。
―――――さて。俺達を馬鹿にした分、たっぷりやらせてもらいますよ。
―――――こりゃ、ちょっと舐めすぎてたな。
遠方から飛来した矢――弓ではなく、クロスボウのものだ――が当たった所の様子を見て、カカシはそう判断した。
アカデミーの成績は体術が少し得意以外ほぼ全ての教科で最悪の成績だったうずまきナルト。
だがついさっき見せたあの移動速度は中忍にも引けをとらないだろう。蹴りの威力も中々で、受け止めた手はさっきから少し痺れている。それだけ威力があったという事だ。
無線で警告された際に素早く反応したのもポイントアップに入る。
そしてたった今自分を襲ったこの攻撃。
姿は見えない。だが飛んできた方角から放った人間がどこらへんに居るのかは分かる。
また、誰が放ったのかも。
サバイバル演習に参加している人間で唯一、この付近に気配がない人物。
『いよっしゃあ〜〜〜〜〜〜〜!!!』
その時不意に、背後で川からオレンジ色の物体が飛び出してきた。その数8。
多重影分身の術で増えたナルト達(?)だった。
「さっきは思わず焦ったってば・・・けど、今度はそう簡単にいかないってばよ?」
いたずらっ子な、というより不敵なという表現がしっくり来そうな笑みを浮かべてナルトは言う。どうやら根拠の無い自信ではないようで――――
ナルトが、一斉に仕掛けた。
2体はクナイを構え、2体はまっすぐ、もう2体はそれぞれ左右から突っ込んでくる。そして後の2体は跳躍して上空から手裏剣を投げてきた。
本体の確立8分の1。遠くには自分を狙う射手が居る。
―――――すぐに片付けて森に逃げ込むか!
射手が居る位置は大体見当がついたから、木の枝や葉っぱであっちの視界が利かなくなるだろう森に入ってから近づこう。
そう判断したカカシはすぐさま行動を起こした。
まず上空から飛んできた手裏剣を影分身より高く飛んで避けると、そのまま突っ込んできた2体にまとめて蹴りを入れて消す。
続いて左右から殴りかかってきた2体はそのまま拳を受け流して相打ちにさせた。残り4体。
すると真正面から突っ込んできた2体がスライディングキックを行う。それを軽くジャンプして交わすと、空中で自由に動けない隙を狙って残っていた2体がクナイを投擲した。
(狙いは悪くない。が、投げるのが遅い!)
カカシは飛来したクナイを2本とも空中で掴んだ。そしてそれを、スライディングの体勢のままだった2体に向けて投げ、着地した時には残っている分身は2体だけになっていた。
だが、ナルトの笑みは消えていない。
その時、突然左手の森から手裏剣が飛来する。
スピードはナルトより速いが、右に飛んであっさり避ける。
(これはサクラだな。ナルトよりも正確な狙いだがスピードは同じぐらいだな)
そう評価しつつ、カカシは再び右へと飛ぶ。森の中へと飛び込めるだけの力を込めて地面を蹴る。
そこへ、あの2射目が再びカカシへと飛来した。跳んだカカシの軌道を先読みした形で。
「!」
ズドォン!!
着弾。炸裂。
矢はカカシの下の空間を通り抜けた形で、爆発したように地面にクレーターを生み出す。
しかしそれも、サスケの計画通りだった。
ナルトとサスケがカカシの気を引いていた間に、サクラが森の中に仕掛けたトラップ。
2発目の矢の衝撃はトラップを発動させるワイヤーを切断し、カカシの足元を狙って丸太が襲い掛かる。
三度カカシが跳ぶ。丸太が足元を掠め、草むらを跳び越す。
(もう少し詰めが甘かったかな?)
ボンボンボンボンボンボンッ!
「え?」
次の瞬間。
「あははは・・・・いやーやられちゃったね〜。」
カカシが乾いた笑いで言う。今の彼はスラ○ムに食われた勇者というか、とにかくなにやら訳の分からないネバッとしたので木に貼り付け状態だ。
ちなみに彼を中心に、長さ30m程の帯状の範囲が似たような状況だったりする。
「・・・・ドジッた。アンタがそんなんじゃスズが取れないな。」
サスケがそうぼやく。どうやらこれを作り出したのは彼らしい。ぶら下げてたスズごとスラ○ムに包まれた状態なのでこの状況でスズを取るのは一苦労だろうが・・・
「安心しろ。これでスズが取れなくても、お前らは合格だ。」
覆面をしているので分からないが、多分笑ってカカシは言った。
あとがき:色々急いで書いたので不十分なところが多々ありますが、ご了承下さい(土下座)。
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