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「妖使い!?横島の生活! 第三話〜刀ふりふり試しの子猫〜(元ネタ GS+おまもりひまり)」

ハルにゃん (2007-01-16 05:00)
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ズシャ!!
ズバ!!
キンッ!
ドシュ!!

電気が切れ、暗いデパートの室内にスプラッタァな音が響き渡る。

バスっ!!!
バキ!!
ブシューー!!

「毒々しくも綺麗な命の花、生の極みと刹那の夢」

緋鞠の目が細まり猫の耳と尻尾が出てきた。

「狂い咲けっ!咲き乱れて儚く散れっ!!」

「す…すごい」

「つ、強ぇ!?」

ここは美神除霊事務所が除霊を依頼されたデパートの一室だ。
横島と緋鞠は今日の面接が終わると美神に実力試しをされる事になった。
試しの項目は今日の簡単な依頼を片付ける事、もちろん横島は何もできない荷物持ちなので実質緋鞠の力試しだった訳だが……強い。
依頼はデパートに現れる数体の武者姿の悪霊の退治だったのだが、緋鞠はそれを一人で斬り刻む。
見事なポニーテイルを結う真紅のリボンは血のようでその姿は舞を踊る修羅のように美しく、そして怖かった。
普段は可愛く見えるネコミミも今の緋鞠を見るとまさに妖怪の象徴で恐ろしいものに感じるほどだ。

スバ!!!
グシューー!!
チャキ……

「飽きる、つまらぬ物足りぬ」

最後の一体の首をはねた緋鞠は刀を立て、ぺろりと一舐めしてそう言い放つ。
それは聞いた者を凍りつかせるほどに冷たい声だった。

「ひ…緋鞠?」

横島は怖かった。
始めて人外の恐怖を知ったと思う。
緋鞠とは今日始めて会ったが人間と変わらない、普通の女の子と違うところなんてほとんどないと思っていた。
あのネコミミも可愛いしまぁ良っかぁくらいにしか思っていなかった。
だが今妖怪の本性を見てしまうとやはり怖い。普通とは違うとはっきり感じた。
だからお前はホントに緋鞠か?
そんなニュアンスのセリフが出てしまうのは仕方がない。
本当は大丈夫か?怪我はないか?
そう聞くつもりだったのに……。
それを聞くと緋鞠は少し悲しそうな表情になり……

「……心配するな若殿今に私など簡単に屠(ほふ)れるほどの力が目覚めるはずじゃ」

はっきりとそう言った。

「そ!そんなこと…「所長殿、これで文句はなかろう?」……」

横島のセリフが言い終わらないうちに緋鞠が美神に問い掛けた。まるで横島にその先を言ってほしくないかのように。

「ええ、これならじゅうぶん合格よ。ようこそ美神除霊事務所へ」

緋鞠の力は確かにすごい、だが自分が負けるとは思わない。
剣技では緋鞠に勝てる気などしないが自分の売りは剣技ではなく冷静な判断力と多種多様な武器を使いこなす事だと思っている。
自分は緋鞠が敵になっても勝てる、そう思ったから至って冷静に考えらたのだ、むしろこの力は事務所にとって大きな戦力になるとさえ思っている。
しかもあっちで呆然としている少年はいずれ鬼斬り役の力に目覚めるというおまけ付きだ。
断る理由などどこを探しても見当たらない。

「時給は二人合わせて3000円ね、しっかり頑張ってもらうわよ!」

こうしてその日の仕事は完了した。
家に帰り着いた横島と緋鞠はとりあえず夕食にする事にした。またまたカップ麺だがこれはまぁ仕方ない。給料が入るのは来月なのだからそれまでの辛抱だ。
夕食を食べ終わると横島はどこかそわそわして落ち着かない。
しばらく黙っていた緋鞠だが。

「なにか言いたい事がありそうじゃな?若殿」

そう言われてビクっとした横島だが次にはスゥっと真面目な顔になる。
どうやら切り出し方がわからなかったようだ。
その表情に今度は緋鞠がドキッとしたが顔には出さずにじっと待った。

「…お前、今日の除霊…いや相手を斬り刻み殺戮するのを楽しんでなかったか?」

横島にはそう見えた、いや誰が見ても今日の緋鞠はそう見えただろう。
怖かった…だが何が怖いのかわからなかった。
最初は自分が緋鞠に斬り刻まれる事になるかもしれないから、自分に危害が及ぶかもしれないからだと思っていた。
だが緋鞠のあの言葉。
<心配するな若殿今に私など簡単に屠(ほふ)れるほどの力に目覚めるはずじゃ>
あれを聞いた時に横島に沸いたのは図星を指された時の動揺ではなく怒りだった。その時に気付いたのだ。

「俺はお前が誰かを殺すところなんて見たくないんだよ!!!」

「…何を言っている若殿、あやつらは敵じゃ。敵を屠るのは当然じゃろう?
私は若殿の護り刀なのじゃから」

緋鞠の言っている事は正しい。
敵を討つのはGSの在り方としても緋鞠の在り方としても正しいのだが横島にはどうしても納得できない事があるのだ。

「だからといって殺戮を楽しむのは止めてくれ!」

これは横島がどうしても譲る事のできない事だった。
敵を討つのは仕方がない。
挑んでくるものは撃退しなければならない。
だがその過程を楽しむようになってしまうと今度は討たれる立場になるかもしれないし横島は緋鞠にそうなってほしくなかった。

「仕方なかろう!私は猫の妖じゃ!殺戮本能も狩猟本能も持っておるのじゃ!!」

横島はフイにすごく優しげな笑みを浮かべた。

「……でも慈しむ心も持ってるんだよな?」

その笑顔は今まで突っ張っていたものが緩み、穏やかな気持ちになる笑顔だった。
嬉しい、涙が出るほどに。
今日会ったばかりの私をそこまで理解してくれる存在……
正直緋鞠は今日の仕事で横島に怖がられ、距離を置かれるのも当然だと思っていた。
悲しいけれど嫌われようが怖がられようが主のために刀を振るい続けようと。
それに妖の本性というものを見せ付けて危機感を煽り、鬼斬り役の力の目覚めを早めようとも思っていた。
だからあんな事を言ったりもしたのだが……
横島は違った。
緋鞠への恐怖ではなく緋鞠が討たれる立場になってしまう事に恐怖していたのだ。

「……若殿は優しすぎるな」

少し頬を赤らめた緋鞠はそう言った。

「そうか?普通だと思うけど…まぁ美人は仲良くって事でさ…」

「……フフ…あの場の敵に美人がいたかは別として善処するとしようかのぅ」

そう言うと緋鞠は桜色の着物を脱いで白い下地姿になりピョコンとネコミミを出して横島に擦り寄ってきた。
自分の本性を、妖の本性を受け入れてくれた。
その事が嬉しくて妖の証であるその耳を隠す事なく。

「今日は初陣故続きが出来ぬのは申し訳ないが休ませてもらう」

「緋鞠!!?続きってナニ!?いや布団敷くからここで寝るなぁ!」

慌てる横島は何か妙な事を口走ったが持ち前の優しさで自重するとセカセカと来客用の布団を敷き始めた。
やはりまだこの前まで中学生だった横島には卓越した煩悩は備わっていないようだ。まぁ時間の問題という気もするが。
すでに寝息を立てている緋鞠は起きている時の凛々しい美しさと違い、ふにゃ〜んとか言いながら寝転がっている。
横島は緋鞠を布団に入れるとその可愛らしい寝顔を見つめ、やはり自分の思った通り優しい少女で間違いないと再確認していた。
昼間のあの壮絶な姿もおそらくは自分のため、違うかもしれないけれどそう思っていたかったのだ。

「まっ!どっちでもいっか!明日も仕事だし俺も寝よーっと」


ん〜なんだ?この柔らか〜い感触は?
明くる朝、半分寝ぼけた横島は自分の右手に空気の抜けた風船のような奇妙な感触を感じた。
しかし風船にしちゃ暖かいし感触も違う。
不思議に思ってちょっと握ってみた。

……ニギニギ

「ん、ふにゃあ…」

「!!!!?あqwせdrftgyふじこlp」

横島の右手は緋鞠のそのたわわなチチをわしづかみにしているのだ。
跳び起きた横島はすでに人間の言葉を忘れたあとのようだ。手を離すという気はまったくないようだが……。

(落ち着こう俺!!?れーせーに分析してみよう!!まずなんで緋鞠がここで寝てるんだ!!!?確か昨日来客用の布団を出したはずだ!そのあと俺も素直に寝たからこんな事になるはずがない!!
むしろこの感触は有り得ない!!指が埋まるのにほど良く押し返してきやがる!!ってゆーかデカっ!!服越しに感じるこのポッチはいったい!!?これは言葉では言い表せない感触や!!」

「……大きな胸は好きか?若殿」

いつの間にか緋鞠さんは起きていらっしゃった……

「あれだけ大声で騒いでおれば誰でも起きるわ」

どうやら途中から声に出ていたようだ。

「いや!あの!これは単なる事故でして決して悪気があった訳では!!」

慌てた横島は必死に弁明を始めるがやはり手を離す気はないようだ。

「……よい、恥ずかしいがお主に触られるのは……その…イヤではない…」

緋鞠はそう言うと頬を染めてそっぽを向いてしまう。
なんか今とんでもない事を言われた気がする。

「じゃがそういう事はもう少し雰囲気を大事にしてほしいものじゃ、起きぬけでは……その…汗とかかいておるし…」

そう言うと緋鞠は立ち上がり洗面所に向かっていく。
呆然として取り残された横島はとりあえずしばらく手を洗わない事を固く誓っていた。いや洗った方が良いですよ?
すでに恒例になりつつあるカップ麺を食べ終わった横島と緋鞠はさっそくアルバイト先の美神除霊事務所に向かっていった。その道中で都会の珍しさから緋鞠がはしゃいでいたのが妙に印象的に感じる。

「さて今日はどんな仕事なんだろうな〜安全な仕事だと良いんだけどな〜」

「GSに安全な仕事などあるまい?安心せい私がきっちり護ってみせるのじゃ」

「しかし女の子に護ってもらうのもなぁ〜」

「じゃったら早く鬼斬り役の力に目覚めぬか」

「ちぇ〜わぁったよ」

そう言うと笑いながら二人は美神事務所に入っていった。

「ちーっス!横島出勤しました〜」

「緋鞠もご出勤じゃ」

「はいはい、おはよ、あんたら仲良いわね〜昨日あんな事があったから雰囲気最悪だと思ってたのに」

どうやら美神もあの光景を見たあとの横島の変化が気になっていたようだ。

「ふむ、若殿はその辺に寛容故助かるのじゃ」

そう言うと美神と緋鞠と横島は対面に位置するソファーに座って今日の仕事について話し始めた。
どうやら今日は温泉宿に潜む悪霊の退治が仕事のようだ。
「ふむ。温泉か…久しく浸かっておらぬ故楽しみじゃなぁ」

「それでどこの温泉に行くんスか!?もちろん混浴っスよね!?」

「んなわきゃないでしょ!遊びに行くんじゃないのよ!?」

「え〜と場所はね……人骨ホテルってとこよ」


どうやらまた一悶着あるようだ。


とぅーびーこんてぃにゅー


あとがき

どうもこんばんわハルにゃんです。今回は緋鞠と横島と美神初対面と相成りました。
私自身はしばらく読みに徹して実力不足を補おうと奮闘したんですが…
いや〜皆さんなんでこんなに上手なんですか?逆に自信喪失してしまいましたよ…読むのは親のPCからできるのですが書くのは携帯なので上手く改行などができているか不安です。
また感想などいただけたらうれしいです、批判やここはこうすると良いよ〜などの指摘はとてもためになるので気づいた事がありましたら是非ご一報ください。

それではレス返しです〜


○KENT様
レスありがとうございます。
<うーん……時期がいまいちわかりません。
これは私のミスです、おっしゃる通り高校入学前の春休みになります。
そして妖怪に驚かないのは単に実感がわかなかっただけです、まぁ美人というのも多々ありますが。その辺は今回でわかっていただけるかと思います。
前話のバイト先〜のくだりは修正しておきますた、ご指摘ありがとうございます。

○somosomo様
前話に続いてのレスありがとうございます。
<クロサキが妖怪……違和感が無ぇ?
これは私もお気に入りの設定です。
なんかクロサキくんて最初見たときからねこ科の肉食獣的なイメージがあったんですよ〜
次回も頑張りますので応援よろしくおねがいします。

○たけのこ様
レスありがとうございます。
<少し唐突にストーリーが進みすぎてる
これは完全に私の実力不足です申し訳ありません。
徐々に描写などを細かく表現できるようにしていきますのでこれからもご指摘よろしくお願いします。
<バイト先で折檻という言葉はないかと
これは私が修正しました、ご迷惑おかけしてすみませんでした。


○七位様
レスありがとうございます。
<外見はよくできてそうだが、中身はグダグダ。
確かにそうですよね…私自信ヘコみますなんでこんなに表現できないんだろう?と
ですがめげずに頑張りますので応援、ご指摘よろしくお願いします。
最後にアイディアはおもしろいと言っていただきホントにうれしかったです、今の私には最高のお褒めの言葉です。

○ZEROS様
前回に引き続きレスありがとうございます。
<台詞と地の文の間に間隔を開けた方が見やすいかもしれませんね。
他にも本編と後書きの間とか間隔が狭いせいで見ずらくなっている部分があります。
そのあたりを気をつけて書かれた方が良いかと。

今回そのあたりも気をつけて書いてみましたがどうでしょう?読みやすくなっていますか?

ご期待にそえるようこれからも精進しますのでこれからもご指摘、感想をお待ちしています。

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