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「幻想砕きの剣 12-8(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2007-01-03 22:30/2007-01-03 22:31)
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 一方、リリィとユカ。
 比較的常識人っぽいから、という理由で組まされたこの二人だが、微妙に歯車が噛み合っていなかった。
 性格的には嫌いではないのだが、どうにも戦法の相性が悪い。


「ちょ、ユカ離れて!」


「待って今コイツぶっ飛ばす…!」


 大型の魔物にトドメの一撃を放たんとするリリィだが、ユカがその魔物から離れない。
 ユカは気を込めた拳で、キマイラの頭を思い切り殴り潰した。
 飛び散る血さえも華麗に避けて、すぐにユカは次の敵に向かう。

 そのキマイラを狙っていたリリィは、手の中にある炎を見て忌々しげに舌打ちをした。
 八つ当たりに、威力よりも範囲を重視して炎を振りまく。


「え!?
 だめ、リリィ道が塞がれる!」


「あ、ゴメン!」


 強い事は強い。
 しかし、どうにも二人はその力を活かしきれてない。
 理由は簡単だ。
 役割分担が出来ていないのである。

 リリィは救世主クラスでは、大河を除けば間違いなく最高クラスの破壊力を誇る。
 全力を注ぎこめば、赤の主としての力を振るわない未亜よりも数段上だろう。
 だから戦う時、『前衛が足を止めている間に、大技を詠唱して一気に撃破』という戦い方が身に染み付いている。
 それは決して間違いではない。
 もっぱら剣や槍を武器にして戦う前衛よりも、リリィの攻撃力はずっと高いのだから。

 ユカも魔法使いと組んで戦った事は何度かある。
 しかし、所詮は単なる魔法使い、召還器持ちとは地力が違う。
 彼らと比べて、ユカの拳は強烈だ。
 だからユカにとって、魔法使いの攻撃はあくまで牽制で、一気に撃破するのは自分…という方程式が出来上がっている。

 無論、二人は互いの力を認めている。
 どっちが主砲の役割を果たしてもおかしくない。
 しかしだからこそ、その場その場での役割分担に遅れが出る。
 二人ともチャンスがあれば積極的に狙っていく性格なので、相棒に任せるよりも先に行動しようとするのである。


「ああもう、いっそ完全に別々で戦う!?」


「それもいいかも、ねっ!
 つっても、これだけ数が多いと…!」


 雲霞の如く押し寄せる魔物の群れ。
 どこからこれだけ連れてきたのやら。
 ホワイトカーパスでの戦いが楽に思えてくる程だった。


「ところで、さっきのヘンな歌声は何だろ?」


「さぁ…でも、あっち確か未亜の担当だったわよね。
 それにルビナスもなんか飛んでいったし…」


「ああ、あれは凄かったね。
 足…というか靴からブースターが」


 先程、上空をルビナスが爆音付ですっ飛んで行ったのである。
 なんじゃそりゃあ、と二人は呆れて隙を作ってしまった。
 その時は、兵士の皆様がカバーしてくれたのだが…。


「ったく、ホントに無茶苦茶ばっかりするんだから…」


「ナナシちゃんの巨大化とか?」


「あー、あれは凄かったわね。
 特性ボディって聞いてたけど、まさかあれ程とは…。
 まぁ、巨大化で一頻り満足したでしょうから、暫くは無茶をしないと思うけど」


 思い出したら頭痛がしてきた。
 あの時の事は、魔力を搾り出すのに必死でよく覚えてないのだが…何だかリヴァイアサンと取っ組み合いをやってたのが居る事は覚えている。。
 どういう仕組みなのかと疑問に思ってはいけない。
 思った途端に、ルビナスがすっ飛んできて記憶が飛ぶまで説明してくれるだろう。


「それはそれとして、これ、何時まで続くと思う?」


「さっきレビテーションで上から戦場を見てみたんだけど、地平線まで魔物の群れが点々と。
 ホワイトカーパスには、魔物が増殖して出てくる穴でもあるの?」


「そんなけったいな物無かったよ。
 と言うか、この勢いと量…どう考えても、無限召還陣を使ってるとしか…」


 しかしホワイトカーパス近辺には、もうそんなマナは残ってない。
 一体どうなっているのか、と疑問に思いつつ、ユカとリリィは少々ぎこちないコンビネーションで敵を掃討していった。


リコ ナナシ


 リコはナナシの挙動に目を配りながら、天を指差して隕石を召還する。
 しかも、召還する隕石は一つではなくダース単位だ。
 流石に小粒になっているが、その威力を舐めてはいけない。
 隕石は猛烈に熱されているし、何より召還された時には既に結構な勢いがついている。
 質量その物は比較的小さくても、その分貫通力がある。
 こんな物をポコポコ頭の上から叩き落される魔物達は、正直たまったものではなかった。

 リコの背後からは、無数の矢が魔物達に向かって降り注いでいる。
 リコの後ろで、一糸乱れず隊列を組み、弓兵部隊が援護しているのである。
 戦法としては、単純なものだ。
 魔物達が近寄る前に、リコの隕石と矢で片っ端から叩き潰す。
 抜けてこられる魔物は数える程だ。
 その抜けてきた魔物は、先程まではルビナスが、今はナナシが受け持っている。
 その防御力は正に鉄壁で、リコにも兵士達にも、未だ傷一つついていない。

 あまつさえ…。


「…召還。
 次の矢です」

「どうも」


 このように、リコの召還術のお陰で弾切れの心配も無い。
 リコは先日たっぷりとエネルギーを(上下の口で)補給しているので、今なら24時間どころか24週間戦えますよ、な気分である。
 ナナシの自爆が心配と言えば心配だが、これはルビナスが上手くやってくれたのか、ちゃんと安全装置が作動しているようだ。


「ろけっとぱぁ〜んち!」

「目からかいこうせん〜!」

「口からかいこうせん〜!」

「鼻からかにこうせん〜!」

「かめ○め波〜!」

「ドリル発射〜!」

「ないんらいぶすぶれいどわ〜くすぅ〜!」

 もうやりたい放題のナナシだった。
 なんかロマンを擽る兵器を、これでもかこれでもかとばかりに吐き出し続ける。
 お陰で感涙している者も居るが、まぁ放置。

 このまま今日の夜まで保てるか、と思われたが…。


「どけぇッ!」


「!? この声…」


 魔物達の後ろから、魔物の波を掻き分けて進む何者かが居る。
 えらくパワフルで、進行ルートに居たリザードマンがガーディアンがポンポン空を飛んでいる。
 リコはその者の声を聞き、驚愕に目を開いた。
 確かに、ここに居てもおかしくはないが…。


「ロベリア!?」


「ロベリアちゃんですの!?」


 魔物の波を掻き分けていたのは、ロベリア・リードその人だった。
 何を焦っているのか、その表情には千年前も見られなかった程の焦燥が張り付いている。
 ナナシはロベリアに声をかけようとしたが、ロベリアは意にも介さず進んでいこうとする。

 一方、ベテランの兵の一人がロベリアを発見した。
 彼女の姿は、記憶に新しい。


「“破滅”の将!
 逃がしはせぬぞ!」


 自慢の強弓を構え、ロベリアに狙いをつける。
 ロベリアの進軍速度は遅い。
 魔物達が多すぎて、道を作るのも一苦労なのだ。

 これならば、確実に貫ける。
 そう確信して、矢を放つ。
 ナナシが気付いて止めようとするが、もう遅い。


「果てよッ!」


 矢が空気を裂いた。
 そして次の瞬間。


「邪魔をするなカスどもォォォォッ!」


 ロベリアの剣が振るわれる。
 だが、矢を打ち払ったのでもなければ魔物達を退かせたのでもない。
 その代わりに、もう一つ空気を裂く音。


「ガ…!?」


 そして、矢を放った兵と、その周囲の兵の肉を裂く音。
 放たれた矢は、ロベリアが放ったソレに撃墜されいた。

 骨だ。
 ロベリア得意のネクロマンシー。
 無造作な一振りで幾つもの骨を操り、それを矢のように飛ばして攻撃を撃墜し、そして兵を何人も殺傷した。
 これだけでもロベリアの力量がよく解る。

 ナナシの口から、声無き悲鳴が上がる。
 楽勝ムードだっただけに、兵達の動揺も激しい。
 それを感じ取って、リコは咄嗟に叫んだ。


「攻撃を止めないで!
 でもロベリア…あの女だけは狙わないように!」


 叱咤の声を受け、まだ手元に動揺が残りながらも弓に矢を番える兵達。
 ロベリアの攻撃で崩れ落ちた兵達は、救急兵とナナシによって後方へ下げられた。

 ナナシは今にも決壊しそうな涙腺を抑えながら、治療の手伝いをしている。
 ナナシには、回復魔法の類は使えない。
 だがルビナス譲りの怪しいクスリの知識があるし、医療術も知識では持っている。
 その知識が告げる。
 もう彼らは手遅れだ、と。
 喉を貫かれ、血管を裂かれ、命は既にどうしようもない程零れ落ちている。
 それでも何か助ける方法は無いかと、必死になって普段使わない脳を働かせる。
 そして、結論。


「ナ、ナナシと同じように、ゾンビにして…!」


 ゾンビにするには時間がかかる。
 だが、今この場で彼らの体を凍結させ、その間に準備をすれば、どうにか出来るかもしれない。
 なら、どうやって凍らせる?
 確か自分の体に仕込まれた武装の中に、冷却装置が…。

 そこまでナナシが考えた時、頭に感じる重み。
 顔を上げると、比較的軽症な兵がナナシに頭に手を乗せていた。
 軽症と言っても、即死しない程度の傷、というだけで手遅れな事には変わりない。
 その兵は、苦痛に歪む顔で、だがハッキリと首を横に振った。
 ゾンビにはなりたくない、と表情が語っている。
 だが、それこそナナシには理解できない。


「ど、どうして…どうしてですの!?
 ゾンビになれば、死んでも生きていられるですの!
 死んじゃったら、お母さんもお父さんもお友達も、みんなみんな悲しいですの!
 ゾンビになって、生きてる方がきっと喜ばれるですのよ!」


 ナナシの血を吐くような叫びに、兵は一瞬だけ申し訳無さそうな顔をして、しかしやはり首を横に振った。
 口を動かし、何かを伝えようとする。
 ナナシは口元に耳を寄せた。


「いま…なったら……“はめつ”に…あやつられ…。
 死んだほう、がマシ…。
 みんな、同じこと…かんがえて…たたかうまえに…そう、ちかった…」


「そ、それは…」


 他の兵達の顔を見るナナシ。
 既に息絶えた兵士が数人、そしてナナシと兵の会話が聞こえたのでもあるまいが、兵に同調するような表情をする兵士がほぼ全員。
 


「“はめつ”、なったら…友達を、こうげき…して…。
 だか、ら…この…まま…でも、ありがと…」


 兵は最後に一度だけナナシに微笑みかけて、全身から力が抜けた。
 ナナシの中に、冷たく暗い何かが落ちる。
 今まで『死』を実感した事はなかった。
 物心ついた時には、既に自分は死んでいると認識していた。
 実は自分がホムンクルスだったと知った後も、自分は既に死者であり、死ぬという事は大した事ではないという認識が残っていた。
 しかし、違った。
 ナナシが認識していた死とは、単に生命活動が止まる事でしかなかった。
 だが違う。
 死とは、停止し、消滅する事なのだ。
 もうこの兵達は動かない。
 ゾンビにしようとしても、体が勝手に動くだけ。
 話もできないし、楽しいと感じる事もない。


「………」


 初めて死に触れたナナシは、その重さを受け止めきれない。


「接近を防ぎきれません!
 前衛兵、抜剣!」


「ナナシさん、呆けてないで戦ってください!
 …ロベリアさんと遊ぶのでしょう!?」


 遊ぶ。
 ナナシはその一言に反応した。
 そうだ。
 ナナシはロベリアと遊びに来たのだ。
 ロベリアと敵対していた事など、承知の上だった筈。
 その上で、ロベリアをの融和を望んだ。
 だから…。


「…ごめんなさいですの…。
 でも、ナナシはロベリアちゃんと仲良くしないといけないんですの…」


 ロベリアに殺された兵達に懺悔を捧げて。
 ナナシはもう一度立ち上がった。

 しかし、ロベリアの姿は既に無い。
 どうやら魔物達を押し退けるのに業を煮やし、何やら大技を使ったらしい。
 ロベリアの居た辺りから一直線に、地面が何かに削られた後の残っている。
 そして、その余波で倒れたらしい魔物達。


「…ロベリアちゃん…なんでこんなコトするですの…」


 味方を味方と思ってないロベリアの暴走に、ナナシは悲しい思いを抱く。
 できれば今すぐロベリアを追いかけたい。
 しかし、今ナナシが抜ける事は、この場の被害を更に大きくする事になる。


「ナナシさん、今は堪えて戦線の維持に努めてください!
 何れまた対峙する機会があります!」


「解ってるですの!」


 ナナシは腕を突き出し、なんか得体の知れないエネルギーを掌に溜め込む。
 迫ってくる魔物達に向かってそれを掃射する瞬間、死んでいった兵達の顔が脳裏を過ぎる。
 あの魔物達も、この攻撃で『死』んでしまうのだろう。
 悲しい気持ちになったのを我慢して、ナナシは魔物達を薙ぎ払った。


ドム


 寒気を感じた。
 ドムは咄嗟に姿勢を低くし、体を前方に投げ出しながら周囲を見渡す。
 地面を転がる一瞬の間に、ドムは周りの敵を全て把握した。
 スライム、オーガ、魔法使い、キマイラ…強力な魔物も居るが、それもドムにかかれば充分打倒可能な範囲だ。
 これほどの寒気を感じさせる相手は、この中には居ない。
 しかし、ドムは己の直感を微塵も疑っては居なかった。

 戦いの熱気が一瞬で冷めて、背筋に氷柱が差し込まれるような感覚。
 この感覚には覚えがある。
 ホワイトカーパス撤退戦の時、強敵の存在を感じながらも発見できなかった、あの時の感覚だ。
 だが、今回はどうやら本気で殺しに来ているらしい。
 悪寒が以前よりもずっと強い。


(俺の経験上、この手の冷たく透明な殺気を放つ奴は、基本的に暗殺者タイプ。
 乱戦の中で、俺を仕留めに来たか!?)


 地面を転がり、立ち上がる寸前に神経の端を過ぎる、何かが空気を裂く音。
 ドムは付けていたマントを翻らせ、空気を裂いて迫ってくるソレを包み止めた。
 もう一度マントを翻らせると、パラパラと某手裏剣が落ちる。
 変色しているのは、毒でも塗っているからだろう。


「何奴…!?」


 姿も口上もなく、続く追撃。
 その隠密の術は、ドムでさえ攻撃される瞬間を察知するので精一杯だった。
 しかも、全神経を集中させて、である。
 この状態のまま指揮を取るなぞ、はっきり言って不可能だ。
 注意を逸らした一瞬だけで、ドムの背中に穴が空くのが容易に予想できる。


「…バルサローム!
 俺はこっちで手一杯だ、ホワイトカーパス部隊の指揮を任せる!
 俺以外ではコイツの相手はできん、俺に援軍を送るくらいなら戦線の維持に回せ!」


 叫びながら剣を振るう。
 打ち落とされる吹き矢が3本、その影に隠れている1本を回避。

 バルサロームがどう返事をしたかも、ドムには届かなかった。
 正直な話、この暗殺者の技量は、ドムの及ぶ所ではない。
 ドムが暗殺や隠密を専門としていない事を差し引いても、これだけの暗殺者はアヴァターを探しても一人二人居るか居ないか程度だろう。
 歯軋りしながらも、認めるしかない。
 暗殺者の気配を割り出す事は不可能だ。
 攻撃の瞬間にすら、殺気を零さないのだ。
 『気』ではなく『意』で察知するという、とんでもない真似をしているドムだが、そう長くは保つまい。
 しかし、ドムの口元には危険を楽しむような笑みと、この状況を打開できるという絶対的な自信が浮かんでいる。


(慌てる事はない…気配が読めずとも、敵を発見する術はある。
 場所を変えて、隠れられる場所を限定させ、幾度か攻撃を繰り返させれば…奴の手の内は、ある程度読める。
 しかし、相手も行動パターンを読まれる事くらいは承知しているだろう…。
 奴が思っているよりも早く行動パターンを予測できて、なおかつそれが図星ならば俺の勝ち。
 間違っていれば、致命的な隙を晒して俺の負け。
 …或いは、これ以上は危険と判断して奴が退くかだ)


 ドムは立ちふさがる敵を適当にあしらいながら、目星を付けたポイントへ急ぐ。
 近くに何も無い平原がある。
 恐らく、そこには罠が仕掛けられているだろう。
 ドムが暗殺者を誘き出すため、隠れる場所が無い地点に走り込むと…ドン。
 所謂追い込み漁である。

 だが、ドムは逆を行く。
 隠れる場所が山のようにある場所…ドムが目指したのは、森の中である。
 限定条件下ではなく、何でもありの状況に引きずり込んだ方が、より確実に敵の思考を読めると判断したのである。
 しかしそれは、敵の能力を十二分に発揮できる状況に持ち込むという事でもある。
 余程の阿呆か、自信家か、相応の実力を持っていないと出来る判断ではない。


 兵と魔物が入り混じる戦場を抜け、ドムは走る。
 背後から迫る飛来物を叩き落し、時には避け、時には衝撃を与えないように受け止めて、すぐさま投げ返す。
 襲ってくる攻撃は、どんどん容赦ない物になっていった。
 最初は吹き矢の類だったのが、最終的には爆弾にさえなっている。
 爆弾を叩き落したりした日には、それだけで爆発して重症を負うであろうが…ドムは全て適切な処置で対応していた。


 森に至る。
 木々の間を抜けながら、ドムは周囲の気配を探っていた。
 気配の入り乱れる戦場から離れたため、周囲の人間の気配はすぐ解るようになっている。
 しかし…。


(…やはり、尻尾を見せんな…)


 森の中に入ったくらいでは、暗殺者の行動には全く問題が出ないらしい。
 枝を踏む音も、草を掻き分ける音も、全く聞こえない。
 全く、厄介な事になったものだ。

 ドムは木々の間を蛇行して、暗殺者の射線を潰しながら、懐に手をやった。
 追い込むのは暗殺者の特権ではない。
 逃げ道があろうと、姿を隠していようと、追い込む術はある。
 ドムの頭が、高速で回転を始めた。

 なんて事はない、チェスと同じ要領だ。
 敵の手を読み、思惑を読み、相手が指せる手を一手ずつ消し去っていく。


「さぁ、来い………封殺してやる」


 呟きに応えるように飛んできたナイフを弾き飛ばし、ドムは敵の位置を予測する。
 それと同時に、敵がどのようなルートで行動してるのか、脳裏でシミュレートを始めた。
 


 正直な話、戦況は徐々に不利になりつつある。
 押し寄せてくる魔物の数は本当に際限が無く、倒しても倒しても別の魔物達がやってくる。
 終わりの見えない敵軍に、人類軍の士気は徐々に下がりつつあった。
 頼みの綱の救世主候補も、数人は“破滅”の将との戦いで手一杯、残りは大軍勢に押されて防衛戦がやっと。
 彼女達のお陰で大群を抑えられているのも事実だが、このままでは押し込まれる一方である。

 誰もがこのままでは、と思い始めた時…とある伝令がタイラーから伝えられた。
 曰く、『あと1時間以内に援軍到着』と。
 正直な話、援軍が来ても敵の数が多すぎて話しにならないのだが、それでも人類軍の士気は多少上がった。
 それまで保てば、まだ劣勢を押し返せる可能性はあるのだ。
 何より、あと1時間というのがよかった。
 明日になれば、と言われたら、まるで何年も先のように思えてしまう。
 ベテラン兵達は、心が折れて逃げ出そうとする兵やパニックを起こすルーキー達を張り飛ばし怒鳴りつけ、何とか戦線を維持しようとしている。

 幸運なのは、“破滅”の将の一人が何処かへ行ってしまった事だ。
 報告によると、『空に浮かんだ四人の中の女』が、唐突に顔色を変えて戦線を離脱したらしい。
 彼女一人に、人類軍は大隊4つ分に匹敵する損害を受けた。
 このまま彼女が戦い続けていれば、防衛ラインに巨大な穴を穿たれた事だろう。
 あまりにも唐突な退場に、タイラーは罠の可能性を考えたが…どうやらそうではないらしい。
 目撃者の報告では、誰かと連れ立って後方へ下がっていった、との事だが…。


 救世主クラス達の状況は相変わらずである。
 ベリオと透、カエデはそれぞれシェザル・無道と交戦中。
 リコとナナシは迫る雑魚達を押し返そうそしていて、リリィとユカも同じく。
 ただ、リリィとユカのコンビネーションは大分マシになってきた。
 未亜とルビナスは、アルストロメリアとの戦いで傷を負った兵達の簡易手当てを終えて、それぞれリリィ・ユカコンビとリコ・ナナシコンビの援護に向かっている。
 そして大河はと言うと、封印していた同期連携を全開にして、魔物達を蹴散らしていた。
 つまり…大河の周囲に、味方が殆ど居なくなったという事だ。
 撤退した者も居れば、屍を晒している者も居る。
 その分全力で力を振るえているが、受けた損害の大きさに大河は歯噛みしている。
 ついでに言うと、大河の所に“破滅”の将が来てないのも心配の種だ。


 そろそろ魔物達の動きが収まってくる頃だ。
 しかしそれはあくまでも平時での話。
 戦により気が高ぶっているのだから、このまま戦い続ける可能性もある。
 退かせるには、何か頭を冷やさせねばならないのだが…。

 戦況情報が集まってくるテントで、タイラーは時計を見て唸っていた。


「…ヤマモト君、例のアレは本当に使えるんだね?」


「はい。
 ただ、閣下のご懸念通り、突貫工事である事は否めませんので…。
 その安全性には、些か問題があるようです」


「それでもいい。
 とにかくインパクトの問題だから」


「…いっそ先端にピエロの顔でも付けますか?」


「…君がそういうネタを振るとは思わなかったよ。
 それなら顔の下にドリルも付けないと」


「…ドリルか……」

「…ドリルだね……」


 二人揃って、暫し遠い目をする事30秒。
 やったらきっと士気は鰻登りになるだろうが…まぁ、今から言っても仕方ない。

 タイラーは頭を振って、ドリルを頭から追い出した…もとい押し込んだ。


「ドム将軍は、まだ?」


「暗殺者との戦闘はまだ続いているそうです。
 ドム将軍が手出し無用と断言したので、援軍を送るに送れません。
 それに、ドム将軍が手を焼く程の暗殺者…正直な話、下手に援軍を送っても足手纏いを増やすだけです」


 頭を抱えるタイラー。
 窮地からの一発逆転が身上とは言え、ここまで力押しで来られると逆に策の練りようがない。
 今でも多少混乱があるとは言え、敵を分断し、効率的に撃破し続けている。
 それに対して“破滅”軍は、損害お構いなしとばかりに延々と、ただ何も考えずに物量戦を仕掛けてくるのだ。
 少しずつ兵達は疲労を溜め込んでいき、何処かの防衛線が一部突破され、そこに魔物達は群がって、防衛線に開いた穴を強引に押し広げようとする。
 その穴を上手く塞いではいるものの、やはりそろそろ何処かで糸が切れてしまう。


「とにかく…敵の増殖元を叩き潰さないと、どうしようもないんだよね…。
 いや、そうでもないかな?
 要は敵をこっち側に来られないようにすればいいんだし…何かないかな…」


 一方、ドム。
 揺れる視界を、気合一発で矯正する。
 先程から微量の毒が回りつつあるが、この程度なら許容範囲だ。
 旧ホワイトカーパス…ラアルゴンの代から伝わる古武術には、体の内面を鍛える鍛錬がある。
 物理的な攻撃に対する耐性は勿論の事、毒にも耐性が出来たり、肝臓の働きがよくなって酒に強くなったりと、効果は色々ある。
 ドムはその訓練を、何年にも渡って繰り返している。
 故に、多少の毒なら意識する前に排出してしまうようになっていた。

 そのドムの体を、毒が徐々に蝕んでいる。
 約一時間に渡って繰り返される暗殺者との戦いは、ドムの体に無数の裂傷を刻み込んでいた。
 その傷を刻んだ武器の中には、毒を塗られている代物も複数ある。
 ドムは受けた傷の深さと得物の種類によって、使われている毒がどの程度のものなのか、おおよその見当を付けて、致命的なダメージに繋がるものなら応急手当、そうでなければ無視して戦いを続けていた。

 応急手当をしようとも、受けた傷が浅くとも、やはり毒は徐々に回る。
 そろそろドムの耐性を超えようとしているらしい。
 その事実を冷静に受け止め、自分の思考が毒に犯されていない事を確認した上で、ドムは周囲を探る。


(そろそろ奴の行動パターンも見えてきた…。
 これ程に行動パターンが読めない相手など、タイラーぐらいだな。
 …この暗殺者、ここで俺を仕留める気だ。
 もうすぐ夜になる。
 暗くなってしまえば、暗殺者の天下だ。
 しかもここは森の中…圧倒的に不利。
 だからこそ、奴は向かってくる。
 俺に行動パターンを、居場所を把握されかけているのを承知で、なお逃げぬ。
 夜までに奴を仕留められるか…勝負!)


 既に暗殺者の居場所は見当が付いている。
 あと数箇所までは絞り込めるのだが、敵も然る者というべきか。
 ドムの予測がある程度まで精度を高めてくると、攻撃パターンを切り替えるのである。
 尤も、完全な別人になれる訳でもあるまいし、どのパターンにも共通したリズムがある。
 ドムはそれを掴みかけているようだ。


(今まで反撃した数は7度。
 内、外れて反撃を受けたのが2回、居場所はドンピシャだったが逃げられたのが3回、手傷を負わせたのが2回。
 手傷と言っても、ダメージは然程無い筈…。
 …そろそろ毒が効き始めてきたな。
 遅効性の毒もあったか…。
 クソ、何かきっかけでもあれば…)


 夜になる云々の前に、動けなくなってしまいそうだ。
 揺れそうになる足元をプライドが支え、一見すると毒の影響なぞ微塵も無いように見受けられる。
 しかし、それが上っ面だけでしかないと、とっくに見通されているだろう。

 ドムの神経が、徐々に鋭敏になつつある。
 ドムの意思でそうなっているのではなく、毒の効果で感覚が過敏になりはじめているのだ。
 このまま放置しておけば、葉と葉が擦れる音すら銅鑼の音のように聞こえるようになる。
 だが、そのお陰で敵の位置を掴みやすくなっているのも事実。
 恐らく、この毒を受けたまま動き回らせる事で、毒が回るのが早くなる…という戦法なのだろうが…。


『ポオォォォォォーーーーーーー!!!』


「ぐおっ!?」


 突如聞こえてきた大音響。
 それは過敏になっていたドムの聴覚には、少々厳しいものだった。
 思わず心を乱すドム。
 そして、その瞬間を暗殺者は見逃さなかった。
 シュッ、と宙を裂く音を伴って、2本の棒手裏剣が走る。
 体勢を崩していたドムは、視線の隅を横切る手裏剣を見て焦りを覚えた。
 体がスローでしか動かない。
 棒手裏剣も、スローでしか飛ばない。
 ドムは何度もこの感覚を経験している。
 所謂走馬灯とかのアレだ。


(い、いかん…!?
 な、なんだこれは?)


 ドムの視界に、線が写っていた。
 ドムの心臓付近から伸びて、棒手裏剣を経由し、木々の陰に繋がっている。
 更に、単体で浮いている透明な手が棒手裏剣を握り、そこから木々の陰に線が繋がっていた。

 毒のせいで妙な幻覚でも見えているのか、と考える。
 しかし、その一方で直感が叫ぶ。
 これの通りに行動しろ、と。


(ままよ…!)


 ドムは腕を動かし…やはりゆっくりとしか動かない…、棒手裏剣から繋がっている線の辺りに手を添える。
 ゆっくり進んでくる棒手裏剣。
 ドムはタイミングを合わせて、開いていた手を握った。
 棒手裏剣の一本が、その手の内に収まった。
 もう一本の棒手裏剣は、ドムの服を掠めて飛んでいく。
 そのまま体を捻るように投擲体勢に突入。
 腕を振って棒手裏剣を投げる。
 手裏剣を投げた手は、幻のように勝手に浮かんでいる手とピッタリ一致していた。


 時間のスピードが戻った。


「ぐっ!?」

「ぐはっ!」


 木々の陰から聞こえた声と、ドムがバランスを崩して倒れる声。
 さしものドムも、毒が本気で回って立っているのも一苦労だ。
 そんな状態で、投擲体勢になっていた体を支えるマネができる筈もない。
 しかし、倒れた状態でもドムは引き攣った笑いを漏らしていた。


(掴んだ…奴の行動パターン、完全に掴んだぞ…。
 切欠は酷く不本意だが…)


 切欠は、先程の一撃が当たった事。
 あと数箇所にまで絞り込めていたのが、あの一撃で完全に解った。
 ドムの投げた棒手裏剣を避ける動き。
 それが最後のピースとなって、この暗殺者の行動パターンを完全に解析させたのだ。
 ドムにとって気に入らないのは、薬物のせいで見えている妙な線が切欠だった、という事だが…。
 あの線は、恐らく“隙”だったのだろう。
 ドムの師から聞いた事がある。
 その線をなぞれば、攻撃は相手の体に確実に叩き込まれる、と…。
 才能と努力と場数、全てが揃ってようやく見える筈のその線が、毒でやられたから見えるというのも納得がいかないが…。

 揺れる体に鞭打って、懐から最後の丸薬を取り出して口に含む。
 この丸薬は虎の子の解毒剤だ。
 何処がどう虎の子って、大河からお近づきの印に貰ったからだ。
 最初は単なる解毒剤としか思ってなかったのだが、フローリア学園マッド筆頭・ルビナス作だと聞き、なんか色々と不安に思いつつも常に持っていた。
 普通の解毒剤は既に尽きたので、これが最後だ。
 正直言って、あまり使いたくない。


 ドムは強引に体を転がし、倒れていた場所から体一つ分移動した。
 その一瞬後に突き刺さる手裏剣。
 そうなる事を理解していたように、ドムは慌てない。
 続いて、握り締めていた剣を力なく振るう。
 カンカン、と音がして、剣に吹き矢が叩き落された。

 ドムは大きく息を吐いて、体を起こす。


「…出て来い。
 お前の奇襲は全て見切った。
 いくらやっても無駄だ」


 剣を杖にして立ち上がる。
 その間にも爆薬らしき物が飛んできたので、マントで受け止め、投げ返した。
 投げた先で爆発が起こり、爆発の閃光に照らされて人影が浮かび上がる。


(…どうも、空に浮かび上がった“破滅”の将の一人のようだな。
 なるほど、道理で手強いわけだ…)


 見えたのは一瞬だったが、ドムにとってはそれで充分だ。
 体格、ハゲ頭、先程漏らした苦痛の声、その他諸々の特徴が全て当てはまる。
 ドムはこの機を好機と捉えた。
 確かにドムは満身創痍で、毒が回り、あまつさえ何やら妙な線が見えるという状態だ。
 しかし毒はルビナス製の解毒剤でそう遠くない内に消えるだろうし、そうなればまだ体を動かすだけの力は残っている。
 何せ厄介なのは毒だけで、受けた傷の殆どは軽いものなのだから…血がちょっと出すぎだが。

 一撃。
 一撃だけで充分だ。
 既に敵の手の内は読みきった。
 出てくるタイミングと場所を読み、出会い頭に一撃の元に切り伏せる。
 それが出来れば、この場で“破滅”の将が一人減るのだ。
 リスクに見合うだけのリターンはある。


「…来い!」


 ドムは立ち上がり、剣を手にぶら下げて自然体になった。
 これが最も素早く動ける体勢である。
 神経を研ぎ澄ます。
 体の内外問わず、予兆を見逃すようなマネはしない。
 …不自然な程の速さで、体の毒が分解されていくのが分かった。
 ………本能が『クスリの反動は大丈夫なのかよオイ!?』と叫んでいる気がするが、この際何も言わない。
 全身の力を掻き集め、必殺の一撃を放つ気迫を練る。
 その間にも、ドムは暗殺者の居場所を見失ってはいなかった。


 物陰からドムを見つめる暗殺者の目には、ドムは正に手負いの獅子に見えた。
 そして、ドムの注意が自分に向けられている事もよく分かる。
 鍛え抜かれた直感と感覚が、猛烈な勢いで警報を鳴らしているのだ。
 どうやら、本当にこちらの動きを全て読み切っているらしい。

 舌打ちしたい気分になったが、無視。
 非常識な事だ、と他人事のように思う。
 如何に名将と呼ばれた人間であれ、大体の思考回路を把握する程度ならともかく、その動きを全てシミュレートするなど普通は不可能だ。
 それこそ妖術でも使っているとしか思えない。

 恐らく、今奇襲をかけた所でドムには通じまい。
 ただ一撃を避けきれば暗殺者の勝ちだが、これだけの気迫を見せられると避けられる気がしない。
 行動しようとした瞬間を補足され、一挙に飛び込まれてバッサリ。
 それはひどく現実味を帯びた未来予測だ。

 しかし、暗殺者は焦ってはいなかった。
 逃げるだけなら、どうとでもなる。
 正直、次にドムと遣り合う事になったら、傷一つつける自信もないが…それならそれでやりようがあるし、無理をする事はない。
 まだ自分は、死ぬ事は許されないのだ。
 己の役目は、今の戦いが終わった後にこそあるのだから。


「………」


 暗殺者は、音も立てずに木の枝から飛び降り、やはり音もなく着地した。
 その時不意に直感が叫ぶ。
 何だと思うよりも先に、右手が勝手に動いていた。
 そしてバチン、と痺れるような衝撃。
 右手に弾き飛ばされた飛来物は、コロコロと足元に転がる。
 それを見て、暗殺者は心底驚愕した。


「飛礫…!」


 ドムが投げた礫が、木々の間を縫って暗殺者に襲い掛かったのである。
 続く2撃、3撃。
 暗殺者は木の陰に隠れてやり過ごした。

 どうやら、逃げを打つタイミングまで読まれたらしい。
 赤き獅子の底力に背筋を冷たくしながら、暗殺者は木々を盾にして撤退した。



「うはははははははははははははは!!!!」

「うはははははははははははははは!!!!」

「うはははははははははははははは!!!!」
「うはははははははははははははは!!!!」

「轢くって字は車に楽しいって書くんだよーーーー!!!!!」
「いけいけーーーーーーーー!!!!」

「ツキナさん落着いてーーーーーー!!!!!!」


「憐ちゃん正気に戻ってーーーーー!!!」


 絶叫が響きまくる一室。
 激しい振動に晒され続けるその一室では、なんかツキナが目の色を変えてハンドルらしきモノを右に左に動かしていた。
 その隣では、憐がなにやら大ハシャギしてツキナを煽っている。
 その更に隣では、ミノリが目を回して倒れていた。
 珍しい事に、その暴走を止めようとしているのは洋介とカイラである。

 これは一体何事か?
 では、ちょっと視点を変えて見てみよう。


 戦場を走る、一本の筒。
 兵達の何割かは、その筒の事を知っていた。

 その筒は突如咆哮と共に現れ、あっけに取られる兵と魔物達を放置したまま問答無用で敵陣に突入。
 圧倒的な質量と速度で、眼前に群がる魔物達を片っ端から跳ね飛ばして進んでいるのである。
 それが通った後は、何と言うかもう素晴らしくグロテスクな血と死体の道が出来上がる。
 ぶっちゃけ、人身起こしながらお構いなしに爆走しているのである。
 これに比べたら、暴走族なんて可愛いものだ。

 で、一体何が走ってるのかと言うと。


「…今の、海列車だよな?」

「ああ…陸も走れたんだな…」


 呆然としながらも戦う兵達の呟きは、魔物の方向に掻き消された。


 海列車は地上を走る。
 レールもないのに走る。
 ホワイトカーパスからの避難を終えた後、突貫工事で地上用に改造された列車。
 その役割は、援軍や支援物資を素早く戦線に届ける事。
 今回は、王宮で後詰めとして残っていた兵達や機構兵団を前線に送る事だった。

 本来、海列車改め列車を操縦するのは、専門の訓練を(即席だが)受けた車掌の筈。
 しかし、その車掌が先日の戦闘により負傷してしまい、運転に支障が出てしまった。
 だったら誰が運転するか、であるが…怖気づいているのか、誰も名乗りを上げようとしない。
 そこへ来て、何故かフェタオに帰らず機構兵団と行動を共にしているリャンが余計な一言を。


「ツキナ、お前やってみないか?」


「へ? わ、私!?」


「だって、ツキナはV・S・Sで…何というか、この手の機械の使い方は…刷り込みされたんじゃないのか?」


「そ、そうだっけ?
 確かになんかこう、知らない筈の機械の知識が入ってたりするけど…。
 で、でもそれはシュミクラムに関する事ばかり…」


「それでも私達よりはマシだろう。
 …それにお前、今は乗り物に弱いよな?
 確か昔、『馬車に乗っている人は悪路で酔うけど、馬車を運転している人は酔わない』って聞いた事がある。
 気休めでもいいからハンドルを握ってれば、少しは楽になるんじゃないか?」


 と、まぁこんな感じで提案した訳だ。
 勿論、ツキナは辞退しようとした。
 だが多くの兵から『やってくれ』と視線で懇願された挙句、クレアにまで「やれ」と言われては、もうどうしようもない。
 泣く泣くツキナは簡単な訓練を受けて、本当にV・S・Sで幾らかの知識を刷り込まれていたのかすぐにモノにしてしまったのだが…。


「ツキナがスピード狂だったなんて知らなかったああぁぁぁぁぁ!!!!」


 車掌室の外で、リャンがガックンガックン揺れながら絶叫していた。
 あ、舌を噛んだ。

 …と言うか、さっきから間断無しにイヤな衝撃が車体を揺らしている。
 この揺れは何なのか?
 しかも断末魔のサービス付だ。
 ……言うまでもない。
 魔物達を轢いた衝撃と、その恐怖の絶叫だ。


「なんでこんな事にいぃぃぃぃぃ!!!!」


「あははははは、王宮の御者さんアリガトォォォォォ!!!!
 こんな素晴らしい世界、素晴らしいスバラシィィィィ!!!!
 カスケード・コクオー・マキバオー、貴方達のお陰で私はこの素晴らしい世界に来られたよーーー!!」


 ……なんか、ツキナがこんなに暴走している原因が解った気がする。
 きっと王宮の御者に洗脳…否、染められたのだろう。
 何時あの馬車に乗せてもらったのかは分からないが、それが意外と楽しかったから、過剰な赤の力のせいでヤミツキになってしまったのかもしれない。

 アヤネは舌を噛みそうになりながらも、必死で叫ぶ。


「ちょっと、ちょっとツキナ!
 私達を降ろして!
 ここじゃなくて、味方の陣地で降ろして!
 私達は援軍に来たのよ!?
 こんな風に敵陣を走り回ってたって意味ないじゃない!」


 …列車がドンドン魔物を撥ねるので、これだけでも結構な援護にはなっているのだが…そんな事、アヤネ達の知った事ではない。
 これ以上の揺れは勘弁だ。


「えー、アヤネさん、一緒に光の領域に行こうよー!」


「だああぁぁぁ、憐ちゃんしっかりしろって!
 つーか誰だこの子をこんな所に連れてきたのはぁぁぁ!!!」


 言うまでもない。
 コッソリ乗り込んでいたのだ。

 何れにせよ、このままでは止まりそうにない。
 そこでヒカルは一計を案じる。


「ツ、ツキナ!
 ボク達を下ろせば、荷物が少なくなってもっとスピードが出るんじゃない!?」


「……」


「いや、ここで止まったら動き出す前に魔物が乗り込んでくるから!
 お願いだから、味方の陣地に走って頂戴!
 絶対に味方を轢かないように!」


 数分後、人類軍の陣地に列車が滑り込んだ。
 取りあえず人は轢いていないし、物資を踏み潰したりもしていない。
 …ただ、何匹もの魔物を轢き殺した列車の車輪とかが真っ赤に染まっていたり肉片がこびり付いていたりして、ちょっとしたスプラッタだったと言う。

 命からがら下車して、平衡感覚が狂っているのかその場で倒れる者がワラワラ。
 せっかく連れてきた援軍は、暫く使い物になりそうになかった。
 それを見てヤマモトが頭を抱えていたりしたが…まぁ、その辺は割愛する。

 丁度休憩を取っていたシア・ハスが、列車の様子を見て顔を顰めた。


「オイ、ヤマモト。
 あれはヤバイんじゃないのか?」

「…見てくれからして放送コードに引っ掛かると思うが…特に何が危険だと?」

「あの足回りだ。
 原理はよく解らんが、車輪を回転させて進むのは馬車と同じだろう?
 その車輪にあのような肉片がこびり付いていては…」

「確かに…いつ横転するか…」


 魔物達の肉片は、消滅する気配を見せない。
 どうやら無限召還陣から出てきた魔物達のように不安定ではないらしい。

 この列車は有効活用できる。
 連絡・運搬に使われる事を想定しているが、その攻撃力は侮れない。
 圧倒的質量とスピードを活かした体当たり(というか人身事故)は、ゴーレムだって一撃で粉々に出来そうだ。
 加えて言うなら、そのスピードが恐ろしく速いため、列車に攻撃を加える事も困難。
 欠点は小回りが効かない事くらいだろうか?
 これほどの戦力、遊ばせておくには勿体なさ過ぎる。
 幸い、今の所伝令の類は無い。
 補給は、今列車から降ろしている分だけでも充分だ。


「…閣下に進言してみるか」


「ドム様はまだ帰らんのか…」


 ヤマモトの提案を受け、タイラーは暫し考え込む。
 確かに、あの列車の威力は捨て難い。
 しかし、やはりあれは戦闘を前提に作られたものではないし、代わりを用意できるモノでもない。
 万が一どこかに損傷が出たらと思うと、迂闊に使う気にはなれないし…。

 何より、運転手が問題である。
 聞いた話では、先日まで洗脳されて王宮で保護され、更にリヴァイアサンの咆哮を浴びて倒れていた少女だと言うではないか。
 まぁこの際運転手の経歴はどうでもいいのだが、あの鬼のような突っ込みは相当の腕を持つかスピード狂でないと不可能だろう。
 そんな人物に任せて大丈夫か?
 スピードに酔って、こっちの帰還命令を無視しそうだ。
 そもそも、超高速で移動する列車にどうやって帰還命令を伝える?

 タイラーは、列車を運転したいのか落着かなさ気にウロウロしているツキナと、同じようにあっちこっちうろつき回っている憐を見つめた。
 なぜあんな子供がここに居るのかは置いておいて。


「…よし、誰かを付き添いにしておこうか」

「付き添い…と申しますと?」

「だから、暴走する…ええと、ツキナちゃんだっけ?
 その子のお目付け役に、誰か一緒に乗ってもらおう。
 …そうだね万が一列車が動かなくなった時に備えて、ある程度の機械的な知識と、魔物と戦える戦闘力。
 理想を言うのであれば、魔物達の囲いを突破して生還できる人…」


「流石に…そのような人材は居りませんな…。
 我が軍のアンドレセン達ならば、戦闘力と生還に関しては問題ありませんが…何せ頭が…。
 救世主クラスのルビナス・フローリアス殿が適任かと思われますが、救世主クラスを戦線から外す事は不可能ですし」


「だね。
 となると…機械的な知識と言えば、やっぱり機構兵団かな?
 シュミクラムを使っている分、僕達よりも機械に関する知識はあるだろうし」 


「それに、機構兵団ならば飛び道具が豊富です。
 列車が走っている間にも、窓から弾を振りまいて攻撃できるでしょう」


「ああ、それがあったか。
 …じゃ、決まりだね。
 後は誰に行ってもらうかだけど…」


「そ・れ・で、何で私になるのですか!?」


「そ、そんなにイヤなの?」


「周囲で倒れている兵士達に聞いてみてください。
 もう絶対に乗りたくない、と答える筈ですから」


 周りが列車酔いでくたばっていると言うのに、一人だけ…否、ツキナと憐と三人だけピンピンしているアヤネは、自分の不幸を本気で嘆いた。
 どうしてこうなるのか?
 …決まっている、自分だけ車酔いでくたばってなかったからだ。
 獣人の血を引くためか、身体能力平衡感覚その他諸々が強化されている。
 お陰で列車の中で酔ったり倒れたりはしなかったが、こんな事になるくらいだったらくたばっていた方がマシだったのかもしれない。

 何か逃げ道はないか、それがダメなら道連れは居ないか、と頭を巡らせるが…タイラーの無情な一言。


「でも、これ上官命令だからね」

「ハッ!」


 反射的に敬礼。
 チクショーもっと偉くなっておくべきだった、と心の中で絶叫を上げる。
 まぁ、いくら偉くなった所で、タイラーは人類軍のツートップの片割れ。
 一介の兵士が偉くなっても意見できる相手ではない。

 とは言え、この人選はタイラーが思っている以上に当たりである事は間違いない。
 タイラーもヤマモトも知らないが、アヤネは獣人の血を引き、覚醒させている。
 万が一列車が動かなくなった場合、獣化して二人を担ぎ、魔物達の頭の上を通って逃げるくらいは出来るだろう。
 アヤネの身体能力は、純血…と言っても“破滅”軍にワラワラ居るような低位のだが…の獣人と比べても頭一つ飛び抜けている。
 恐らく、復讐の為の長年に渡る研鑽が、その素質と合間って劇的な効果を生み出したのだろう。

 アヤネのメインウェポンは弾を振りまくような武器ではなく、その身体能力を活かした打撃系武器。
 しかし、飛び道具も無い訳ではない。
 それにスピード狂でもないから、タイラーが期待した役割はキッチリ果たせる事になる。

 それでも、イヤなもんはイヤな訳で。


(せ、せめて道連れを…!
 憐ちゃん…はツキナを煽りそうだから勘弁。
 ……よし、元凶に決めた!)


「ならば、そこで転がってるチャイナ娘も連れて行っていいでしょうか?」

「この子?」

「うぇ!?」


 いきなり自分に矛先を向けられ、リャンがガバッと身を起こす。
 なぜ自分が?


「な、何で私!?
 私はシュミクラムを使えないよ!
 ヒカル辺りを連れて行って、遠隔武器を飛ばした方がいいでしょ!」


「お黙り。
 だーれーがー、最初にツキナを運転手にしようって言い出したのかしら?」


「うっ…」


 それを言われると弱い。
 それに、アヤネと同じくリャンの平衡感覚は他の兵士達より優れている。
 だから列車酔いも、他の兵より軽度である。

 それに加えて、アヤネはリャンを引き寄せて耳元で囁いた。


(大体貴女、どうしてフェタオに帰らずにこっちに来てるのよ?
 こんな最前線にテロリストが一人で乗り込んでみなさい、その場でブッコロされるわよ)


(あ、そう言えばそうか…。
 じゃあ、アヤネが私を連れて行こうとしてるのは…?)


(列車の中なら、他の誰の目にも付かないものね。
 …まぁ、道連れを作ろうとしたのも本当だけど)


 アヤネの言う事は解らないでもない。
 もう一度アレに乗るのは、別荘から帰るちよちゃん的気分だが…仕方ない。
 リャンは一応納得したが、逆に納得してないのがタイラーだ。


「…何の為にその子を?」


「何かあった時、幾ら何でも私やツキナだけでは対処し切れません。
 せめてもう一人必要だと判断しました。
 それに、この子は少々頭が弱いのですが、その分記憶力は驚異的です。
 列車の動かし方や修理の仕方など、一通りでも教え込んでおく事で、非常時に対する対処がしやすくなります」


「へぇ…。
 うん、解った、それでいいよ」


「はっ」


「それじゃ、積荷を降ろし次第、もう一度突撃してきてくれるかな。
 暫く走ったら、もう一度戻ってきてね。
 その時に燃料の補給とか、妙な物があったら教えてほしい」


「「「はっ!」」」


 いつの間にやらアヤネの隣に来ていたツキナと憐。
 …どうやら、話を聞いていて列車を運転する許可が出たと判断したようだ。
 タイラーはツキナを見て苦笑し、憐を見て少々心配そうな顔をしたものの、何も言わなかった。
 どうやら、彼女が元リヴァイアサンだという事を聞いているらしい。
 こんな子供が戦場に出るのは心配だが、まぁルビナス製の体だし、自分から行くと言っている以上何か考えがあるのだろう、と判断したようだ。
 それに、ひょっとしたらリヴァイアサンだった頃の力を、少しは使えるのかもしれないし。


「それじゃ、ひとっ走り頼むよ」


「お任せください!
 …と、一つ聞いておきたいのですが…」


「ん?」


「この列車で魔物を撥ねてもスピード違反しても、免停とかなりませんよね?」


「…そもそもこの列車を動かす為の免許なんて無いよ。
 列車自体が作られたばっかりなんだから」


 アヤネは『頼むからこのスピード狂を、これ以上列車に乗せないで』と視線で語っているが、無視。
 ちなみに、アヴァターで運転するのに免許が必要なのは馬と馬車と船くらいである。

 初っ端から人身を前提に話している事にちょっと頭が痛くなったタイラーだが、まぁ状況が状況だから仕方ない。
 数分後、列車は積荷を全て降ろし終え、バカ二人の哄笑と不幸な獣人と道連れの悲鳴を引きずりながら、敵陣に向かって突撃していった。
 あ、汽笛が鳴った。


 ドムが暗殺者との戦いから帰って来ると、何と言うか死屍累々だった。
 いや、死人の事を言っているのではない。
 確かに死傷者は戦闘で大勢出たが、ここは本陣だ。
 戦って殺された兵達の死体を全部引きずって来るような余裕は無いので、自然と死体はその場に置き去りとなる。
 大抵の死体は戦闘の余波を被り、もうボロボロになっていく訳だが…。
 とにかく、本陣には死体は全く無い。
 救護室で死に掛けている者は居るが、キタグチ老の奮闘の成果か、まだ死人は出てない。
 単に助からないような重症人は、救護室に来る前に戦場で死んでいるという事もあるが。

 とにかく、ドムの目の前には何やら青い顔でバッタリ倒れている何人もの兵士。


「これは何事だ…?
 まるで…そうだ、酷い時化の海に航海に出て、船酔いやら怪我やらで死に掛けている船員のようだな」


 大正解。
 ドムもそういう経験を一度はした事がある。
 気力と根性とプライドで吐かなかったが、赤い獅子ともあろう者が、暫く真っ直ぐ立てなかった程だ。

 何だか知らないが、大の男が、兵士が情けないと思う。
 蹴っ飛ばしてカツでも入れてやろうかと思ったが…ヘタな事をすると吐かれそうだ。
 一人吐けば、それに釣られて連鎖反応が…。
 いくらドムでも、そんなのは勘弁である。


「…まぁいい。
 とにかく治療が先だ。
 ルビナス殿が作った解毒剤…ある意味では毒と変わらんからな」


 ドムは救護室に急ぐ。
 もしこの場で副作用が出てあっぱらぱ〜〜になったりした日にゃ、切腹モノである。


「キタグチ軍医、居られるか?」


「なんじゃい、丁度酒が切れてイライラしとるんじゃが」


 タイミングの悪い、とドムは思う。
 キタグチ老は酒を飲んでりゃ名医だが、平時は…どうだろう?


「…まぁいいか。
 ちと診察してもらいたい。
 先程、凄腕の暗殺者とやり合ってな。
 色々と毒を貰ってしまった」


「なぬ!?」


「幾つかの解毒剤と、ルビナス殿特製の解毒剤を使って乗り切ったのだが…。
 あれ程の手練、どのような奇術を使ってくるか解ったものではない。
 …それに、ルビナス殿の解毒剤の副作用も不安だしな」


「ぬぅ、ルビナス嬢ちゃんのクスリだと、ワシの手には負えん場合もあるが…まぁええ。
 そこに座れ。
 …全く、男の体なんぞどうして診察せにゃならんのだ…」


「酒が無いと途端に愚痴が増えるな」


 少々不安に思いながらも、キタグチに診察を任せるドム。
 流石に酔っ払いでも軍医としての腕は確かで、その目は普段からは考えられない程に真剣である。


「それと、戦いの最中に何やら妙な線が見えたのだが」


「線?
 なんじゃ、直死の魔眼でも身に着けおったか」


「そんな感触はしなかったな。
 …ただ、あれは……何と言うか、一種の未来視のような感じだった」


 キタグチは診察の手を止めず、暫し考える。
 ドムは毒を受けていた、と言った。
 ならば…。


「それがお主の実力によるものではなかったとすれば、毒によって体に眠っていた力が解放されたのかもしれんな。
 人工的に超能力を得る方法、というのを知っておるか?
 乱暴に要約してしまえば、超能力を得る為には脳のニューロンやら何やらの接続をどうにかせねばならず、その為に幻覚剤やら怪しいクスリやらを大量に飲むというものじゃ」


「…眉唾だな…。
 俺が受けた毒でそういう力が目覚めたと?」


「あくまで仮説じゃ。
 今は見えぬのじゃろう?
 単に幻覚が見えていたのかもしれんしな」


 暫しの診察の後、キタグチは何かをカルテに書き込み、バシンとドムの肩を平手で叩いた。


「なーんも問題ありゃせんわい。
 全く、ルビナスの嬢ちゃんと来たら医学の常識を悉く覆してくれるのぅ。
 まぁ、それが見ていて面白いんじゃがな。
 何にせよ、毒の類も妙な魔力の類も見られん。
 嬢ちゃんのクスリも、まぁ大丈夫じゃろう。
 …と、後はその傷の手当てじゃな」


「お願いしよう。
 傷自体は左程深くは無いのだが、少々血が流れすぎたか…」


「血気盛んなお主にはそれで丁度ええわい。
 治療が終わったら、タイラーの所に向かってくれ。
 先程列車が到着して、その運用に色々と悩んでおるようじゃ」


「列車?
 海列車の事か。
 そう言えば、陸上でも運営できるようにするとか言っていたが…意外と早くできたようだな」


 ドムは列車の攻撃力を知らないが、それでもあのスピードを考えれば非常に有効活用できるのは予想できる。
 堅実かつ確実な運用方法を、頭の中で練り始めた。
 こういう地味というか、基本的な戦略を練る事に関しては、ドムはタイラーの遥か上を行く。
 今や人類軍総大将の片割れとも言えるタイラーだが、その知識に関してはその辺の軍事マニアの方がずっと詳しい程度。
 それでも昔よりはマシになったのだが…ヤマモトの苦労が偲ばれる。
 まぁ、そのヤマモトに言わせれば、『そう言った型に嵌められない所こそが、閣下の最大の武器であり魅力……な、なんか胃が痛くて頬を水滴が伝っていますが、無視してください』となるのだが。

 キタグチは傷口に軟膏を塗りこみ、包帯で軽く巻いた。
 あまりきつく締めてはいけない。
 多分、ドムはまた戦場に出るつもりだからだ。
 流石に今日は大人しくしているだろうが、このような軽症で戦闘を止めるほど可愛げのある性格をしていない。


「さ、これで治療は終了じゃ。
 ホレ、タイラーの所に行った行った」


イムニティ


 イムニティは今、魔物の群れの頭上に居る。
 視線を動かせば、延々と続く魔物の大群。
 全く、どこからこれ程の魔物達を連れ出してきたのか。
 今まで何度も“破滅”の経緯を見つめてきたイムニティだが、これ程の大群は一度として見た事が無い。


(全く…今回はどうなってるのやら…。
 私やリコからして、知らなかった一面を開花させちゃってるし…)


 気配を消したまま、イムニティは嘆息する。
 今の姿をロベリアが見たら、かつてのマスター達が見たらどうなる事やら…。
 多分、ロベリアとは戦う事になるのだろう。
 短い付き合いだったが、ロベリアの性格・性情はよく知っている。
 敵となった相手は、ありとあらゆる方法で排除する。
 現在の白の主…大河は、排除対象筆頭と言っていいだろう。
 もしロベリアが大河に牙を向くなら、マスターを護らねばならない。
 例え相手が元マスターでも。
 しかし…。


「…き、気まずい…」


 君の知っているイムニティは死んだ、とでも言うべきだろうか?

 イムニティは首を振って余計な考えを振り払った。
 とにもかくにも、今は偵察に来ているのだ。
 今回の目的は、この魔物の異常な増殖の原因を調べる事。
 マナが尽きて無限召還陣も使えず、魔物が無限に湧き出てくる穴も無いホワイトカーパス。
 そこからどうして、これ程の魔物が?

 取りあえずイムニティは、魔物達の流れを真逆に辿っている。
 魔物達が出現場所から一直線に来ているのだとしたら、この先に増殖の原因がある。
 仮に何処かに一度留まってから来ているのであれば、やはりそこを調べれば何かが得られるだろう。
 そう考え、イムニティはただ只管魔物達が向かってくる方向へ進み続ける。
 私って偵察ばかりやってるから出番が無いなじゃないかしら、などとボヤきながら。


 どれ程進んだだろうか。
 既にホワイトカーパス州の奥深く…避難民達が通った森の辺りだ。
 大河達が大暴れした後が、災害後のように残っている。
 ユカの究極氣吼弾で薙ぎ倒された木々、大河の同期連携の一撃で作られたクレーター、そして竜巻の後。
 …本気でアザリンに恨まれそうである。

 それはともかく。
 

「随分来たわね…。
 もうそろそろ、魔物達の出現元があってもおかしくないと思うんだけど…」


 眼下には、魔物達が更に密度を上げて動き回っている。
 どうやら人類軍との戦いに向かおうとしているものの、先が痞えて進めないらしい。
 何というか、お正月の高速道路の渋滞を思わせる。

 何匹か空を飛んでいこうとしているが、他の魔物が俺も連れてけとばかりに飛びつくので、文字通り足を引っ張られて進めないようだ。


「…ま、統率されてない魔物の群れなんてこんなモンよね…」


 溜息交じりのイムニティだが、それはそれで疑問が残る。
 これだけの魔物を無造作に繰り出して、“破滅”の将達は何を考えているのだろう?
 全部を統率しろとは言わないが、この一割でも制御下に置いて効率的に運用すれば、それだけで人類軍の優位の大半を引っくり返せるだろうに。
 まるで血を流す事が目的だと言わんばかりである。

 まぁその辺の疑問は放置しよう。
 考えるのはマスターと、人類軍総大将の仕事だ。
 それよりも重要なのは、マスターから命じられた任務を達成する事。


「無茶言ってくれるわねぇ…。
 そりゃマスターに使われてこその私とリコだけど。
 …まぁ、魔物発生の原因調査はいいとして…」


 捕縛されているセルを連れ戻して来い、とは…。
 人間一人を連れてこの魔物だらけの土地から脱出するのは、困難を極めるだろう。
 救いがあるとすれば、イムニティに気付く事が出来そうな“破滅”の将達が全てで払っている事か。


「そうは言っても、あそこへ行くのは…ちょっと気が進まないわね…」


 イムニティが言っているのは、前の偵察で忍び込んだ謎の施設である。
 あの強烈な感情の残滓が残っていた場所。
 思えば、あそこがリヴァイアサンを閉じ込めていた場所だったのだろう。
 あの施設は最初、別の場所にあった。
 そしてどういう仕組みか、リヴァイアサンをそこに閉じ込める。
 それから何年かが過ぎて、施設は何者か…恐らく“破滅”の民による召還で、現在ある場所に移される。
 その際にリヴァイアサンを閉じ込める為の仕掛けが何か誤作動を起こし、そこを逃さずリヴァイアサンは飛び出したのだろう。

 その後、施設は何かの研究に使われていたと思われる。
 或いは、施設が“破滅”の軍の本拠地になっているのか…。
 後者だとしたら、これは相当やっかいなミッションになりそうだ。
 本拠地に忍び込み、ここに居るかも解らないセルを探し出し、そのまま生還。


「…メタルギアソリッドなんて、やった事ないわ…」


 今までの偵察任務より、難易度は遥かに上…。
 イムニティは溜息をついて、とにかく行動しようと木々の上を伝って移動した。


 森を抜けて、平原に出た辺りだ。
 イムニティの感覚に、違和感が引っ掛かった。


「…? 何よ、このやたらとでっかいマナは…?」


 そこそこ遠くに、超強烈なマナの反応がある。
 そりゃーもう、マナの樹そのものだと言われても納得できそうなくらいに。
 しかし、ホワイトカーパスにはそんなマナは残っていない筈。
 無限召還陣でマナは徹底的に吸い取られ、枯渇している。
 現に、イムニティの周囲にはマナは全く感じられない。
 その一点だけ、異常に強い。


「前に来た時は、こんなの無かった筈だけど…」


 もう少し正確に位置を探る。
 距離と方角を感覚から割り出して、頭の中の地図と照会。
 その結果…。


「…港町があった辺り…?」


 一体なぜこんなマナが?
 ともあれ、魔物達が増殖して出てきている原因の予想はついた。
 これだけのマナがあれば、極大の無限召還陣を使っても一週間は尽きないだろう。
 むしろ、その後マナをホワイトカーパス全土にバラ撒いたら、それだけで復興が10年分は進みそうだ。
 …マナが強すぎて、樹海が出来る可能性もあるが。

 取りあえずセル救出については後回しにして、あのマナの出所を調べよう。
 イムニティはそう決めると、テレポートで平原を渡って港町に向かっていく。
 その先にあった物は、イムニティの予想を思いっきり裏切っていた。


(…何があったのかしら…?)


 クレーターだ。
 巨大なクレーター。
 圧倒的な爆発力が蹂躙し、見事な擂鉢を作り出している。


「…港町が、丸ごと無い…」


 その代わりと言わんばかりに、クレーター全部を使った無限召還陣が描かれている。
 これでモンスターの出所は決定だ。
 出来るならブッ壊しておきたいが…。

 しかし、何が起きたのだろう?
 魔物達は“破滅”によって凶暴性と力を増しているが、これ程の破壊力は出せないし、ここまで綺麗に破壊するような真似もしない。
 無限召還陣を敷いた人間がやったのだろうか?
 だとしたら、“破滅”の中でも幹部以上の存在だと思うが…。


「…これ、破壊できるかしら?」


 イムニティは、巨大な魔方陣の周囲をグルグルと回って観察した。
 何人か、陣を維持しているらしき魔法使い達が見える。
 彼らを8割も倒せば、魔方陣は制御を失って暴走するだろう。
 まぁ、普通はそうなった時の為に、何らかの安全措置を設けているのだが…。

 無限召還陣は、召還魔法の中でもかなり特殊な部類に入る。
 召還先、召還対象、その他諸々の様々な条件で陣の内容が変わってくるし、何よりそのエネルギーが他の陣と比べて桁外れだ。
 当然、何か動作ミスがあったら大惨事に繋がる事が予想され、数多くの防壁と言うか、安全装置が組み込まれている。
 そのお陰で益々陣の内容が複雑になり、安全装置を仕掛ける拍子にどこかの回路を間違えてしまい、いざ作動させてみたらなんかよく解らないイキモノがゾワゾワ出てきたとか、或いは魔力を流した途端に周囲一帯を対消滅させたとか、その手の逸話に事欠かない。
 この安全装置は、魔方陣が大きければ大きい程、多く、そして精密に取り付けねばならない。
 魔方陣が大きくなれば、それだけ魔力も不安定になり暴走しやすくなるからだ。

 なのだが…。


「……なんちゅう安全装置を仕掛けるのよ、全く…。
 これ設計したヤツ、ガイキチか天才…むしろ天災のどっちかよ」


 この無限召還陣に取り付けられている安全装置は、はっきり言って安全装置とは言えない。
 むしろブービートラップと言っても過言ではなかろう。
 普通、安全装置を複数取り付ける場合、一つが破れても次の安全装置が、それが破れればまた次が…と、中身を外に出さないようにするだろう。
 しかし、この安全装置は逆だ。
 複数の安全装置が取り付けられてはいるが、実質は一つだけしか取り付けられていないも同然。
 安全装置はそれぞれ連結されており、どれか一つが作動すれば連鎖的に全ての安全装置が起動する。
 それはいいのだが…問題は、この安全装置は『外部から魔方陣を害する者がある場合、魔方陣の魔力を暴走させる機能を持っている』と言う所だ。
 内部からの暴走だった場合、普通の安全装置と同じようにその暴走を防ぐ。
 しかし、外側から破壊しようとすると…。


「安全装置に触れる事になってしまい、それが切欠になって各所の安全装置が起動。
 外部からの接触なので、装置は魔方陣に蓄えられた魔力をオーバーロードさせようとする。
 各所で一斉に暴走を開始する魔力は、瞬時に大爆発…どころか超爆発へと変貌を遂げ、この一帯を薙ぎ払う…どころか消滅させるでしょうね、この規模だと。
 ホワイトカーパスが、少なくとも半分海に変身するわね。
 それを防ぐ方法は無い。
 装置を騙そうにも、これ程微妙な均衡を保たれると…迂闊に手が出せないわ」


 推測するに、安全装置が作動してから爆発までの時間は、ゼロコンマゼロゼロゼロ何秒を切る。
 いくらイムニティでも、その間に逃げる事は不可能だ。
 特大の隕石でも召還して逃げようかと思ったが、それも魔物達に迎撃されるだろう、それこそ死に物狂いで。
 そもそも、代償が大きすぎてイムニティの一存で決められる事では無さそうだ。

 自爆覚悟の安全装置。
 むしろ安全装置というか、機密保持のための自爆装置だ。
 一繋ぎの安全装置、転じて一蓮托生の自爆装置。
 イヤなワンピースだ。

 手を出した途端、膨大な犠牲を人類軍・“破滅”軍に強要して、この無限召還陣は消え去る。
 イムニティは歯噛みした。
 これでは、魔物の増殖を止めようが無い。
 マナの枯渇を待とうにも、これだけのマナをどうやって散らすというのか。
 口惜しいが、どうしようもない。
 何か、魔方陣の力を『自然に』打ち消す方法でもなければ…。


「…こうしていても仕方ないか。
 セルビウムの探索に向かいましょう」
 




…双魔伝、書いた覚えないんだけどなぁ…?
いやあるにはあるけど、あんな内容にしたっけ…?

正直ドムと暗殺者との戦闘、無理があるかなって思いました。
いくらドムでも、相手の行動パターン全てをあんな短時間で読みきるのは普通に考えて無理っぽい…。

よくやった所英夫ーーーーーーーッアンタ最高だーーーッ!!
KOなら文句無しに最高だったが、あの飛び膝は神降臨だぜ!
戦うフリーターは化け物か!?
寝たままキックとかは個人的に好きじゃないが、それがルールを利用した戦法なら文句は言わん!
ザマぁ見晒せグレーシー一族!
最強はジャパニーズがいいなーーー!!
魔裟斗とか山本“KID”とかトリックスター(まさかアレを相手に勝つとは)とか沢山バケモノいるしな!
いや、外国にも沢山バケモノ居るけどな、ボビー・オロゴンとかチェ・ホンマンとか。
何よ2m18cmとか2m30cmって?
いや本当に、何食えばあんなにでかくなるんだ?
ヒューマンと認めていいんだろうか。
むぅ、個人的にはボビーに勝ってほしかったんだが。
アメリカは嫌いだが彼は例外だ。
来年は素人卒業してブチのめしてやれ!
まさかウィラード・ゲイツ並みの格闘家は居ないよな。
つーか曙、アンタ戦い方に問題あるよ、もうちょっと考えれば勝てるだろうに…。

はっ、いかんいかん。
えー、明けまして、おめでとうございます!
大晦日はダイナマイトに熱中して過ごしました。
普段はこういうの見ないんですけどねぇ。
ビール呑みまくって、VSグレーシーの間にトイレに行きたくてしかたありませんでした。
初めてCMがありがたいと思ったね!

とにもかくにも、今年もどうぞご愛読お願いいたします!
そして皆様の今年が、今年よりも素敵な一年になりますように!
それではレス返しです!
…む、酒が…しかし同じヤマモトでも大違いだなぁ…彼に負ける気がしないって?
…俺じゃどっちにも勝てる気がしない…というか向かい合って生きてる自信が無いけど敢えて言おう、ナメんじゃねぇと。

ん?
今年の3月から大阪に就職か、つー事は今年の正月は…?

ところで…海の大陸NOAキターーー\(^▽^)/ーーー!!


1.パッサジョ様
いい塩梅に壊れシェザルが逝ったようですねw
アレ的にも物理的にも強い、ある意味一番厄介なタイプです。
DG細胞…やっぱりそれを連想しますか…。

…やっぱ基本は剛田タケシですよな。
でも流石に何かデフォルメしないとなぁ…。


2.陣様
明けましたね、おめでとうございます!
今年もレスというお年玉をください…ウソです、お年玉じゃ今回の一回だけですから…。
さて、週2回更新も何とか無事に終わりましたし…勉強に気を入れますか…。

カエデが氣か………。
………………………………………………………ありがとうございます!

あー、同じ触手を出すにしても、ロベリアみたいな美女なら許せますよね。
野郎なら問答無用で死刑。

モッチ…かぁ…。
候補に入れさせていただきます。


3.皇 翠輝様
電波な変人率を舐めるなよぉっ!
ゲテモノ描くのは苦手なのですが、まぁ電波だし、酔だし。
あー…ロベリアの考えは…どうしようかな…。
キャラ作りにしては、やけに感傷的というか…。


4.スカートメックリンガー様
確かに真面目に戦ってます…けど!
ここで真面目を挟むから、ギャグになりきれないんだぁぁ!
いやネタが無いんですけどね。

ああ、あの気を増幅する…。
いい子でしたねぇ…。
しずく…仮につけるとしたら、英訳くらいするべきか…?
いやでも黒曜だって日本語名だしな…。


5.玖幻麒様
思えばあの悪魔も多芸ですね。
本人が爆弾になるってのはよかったなぁ…強力だったし。

アルさんが名乗る三つの名前は、その場のノリと気まぐれとシチュエーションと天気と湿度によって変わります。

えー、今年もよろしくお願いいたします。


6.竜神帝様
ホームページの調子はいかがでしょうか?
1月1日に開設という事で探してみましたが、ちょっと見つかりません。
アドレスを直で書くのはちょっと危険かもしれませんが、名前くらいならいいのでは?

それはともかく、セプはアヴァターには未介入です。
…洒落にならんモンが転がってるけど。


7.シヴァやん様
いやぁ、冥子ちゃんですか…。
それはちょっと考えなかったなぁ…。
ノホホンとしていてマイペースで、そして事ある毎にマイクで叫びまくって周囲に被害を与える…。
ああ、これなら今からでもある程度真似られそうだw


8.なまけもの様
いつもいつもご指摘ありがとうございます…後で直しておきます。

あー、無道が笑うなと命令されたのは、宣戦布告の直後です。
『いい加減その笑うのどうにかしろやウドの大木がッ!』てな感じで、爆弾で焦げた八つ当たりっぽく命令しました。

やっぱDG細胞が連想されますか。
まぁ、元ネタと言えば元ネタですからね…。

はい、クローン技術とか王宮侵入とかはこの為の伏線でした。
無事に伏線消化できて一安心です。

ジャイアン=魔神か…スケールの小さい魔神ですなw


9.イスピン様
ベリオ、その気になればしっと玉使えるかもしれませんね。
機構兵団組の出番がちょっと無くなりそうですからねー、この辺で暴れさせておこうと。

FEですかぃ?
…いっそペガサスナイト(無論汁婆乗馬)に…いやー!
UMAが空飛んでるー!


10.Campari様
アドリブと言っても、多くの部分は行き当たりばったりなのですが(苦笑)

えー、ネットワーク>アルファ世界設定(7つの世界)>分裂した第6世界>アヴァター、が自分的な設定です。
アルファ世界の他にも終わりのクロニクル世界とか、色々あります。
世界と世界の間に、“海”と呼ばれる虚空の空間があり、世界はその空間の中に個別で浮いています。
それと、基本的にアルファ世界の魔術の類は、クロニクル世界では使えません。
法則が違う…と言うか、クロニクルの各ギアの概念のような感じで、その概念内にある技術が概念の外に出たら使えなくなる…といった感じで。

むぅ、これは…使いやすそうな名前ですね…。
流石にそのまま出すのはヤバイ気がしますから、アドリブを加えるべきでしょうか。


11.竜の抜け殻様
シェザルが3人…あの恥ずかしがり屋(ぐはっ!)画3人…。
湯目に出手木そうDEATHね。
つーか、目まぐるしくてやってられなかった記憶が…。


12.DOM様
思えば愉快な死に方してくれたキャラでしたなw
デケーキンタマだなオイ!

竜球ネタは、クロスで戦闘させたりしなければ使いやすいですからねぇ。
某サイトでネギまとのクロスがあって、楽しみにしてたんですが…。

随分前に、旧メサイアパーティコンプリート宣言しちゃいましたからね。
何とかやってみるか…しかし、多いなー…。

時守的にも、いつまで保つかドキドキです。
やっぱりアレですね、戦争が一段落した瞬間の気の緩みが狙われるのではないかとw
次に歌う曲は…オヨネーズの麦ふみタンボ…?


13.カシス・ユウ・シンクレア様
申し訳ありませんでしたーーーー!!
喉が枯れるまで謝罪を続けゲフッ(もう枯れた!)

自分でやっといてなんですが、“破滅”の将二人に触手をつけた事、ちょっと後悔してます。
キモッ!
しかも硬質の肌…どないせーちゅうねん。

強力な事は間違いないんですよ、あの召還器…。
でも使うアルストロメリアが物凄く大雑把だし。
アルストロメリアは天然で、基本的に王族には向きません。
全より個を優先しようとするタイプですから。
その辺はクレアとは似ても似つきませんね、大河を重視しているとは言え、クレアは王族向きです。

ロベリアを落とす前に…あの連中、どうすっかなぁ…。


14.アレス=ジェイド=アンバー様
気合が入りすぎてて、もうどうしてくれようかと本気で困ってます。
この手の変態は再生能力やたら高いし、それに加えて…。
と言うか、これを曲りなりにも統率するロベリアには本当に頭が下がります。
ダウニー辺りにやらせたら、アフロじゃなくて某神父のように眩しくなりますね、きっと。

実際作ってそうですね、耳栓…。
と言うか、集団バトルの時どうしてたんでしょうか?
アルストロメリアが叫ぶとメサイアパーティの動きも止まるような…。
きっと「おふくろー、メシー!」とか叫んでロベリアに張り倒されていたんでしょうw

さて…まともな決着、付けられるなかなぁ…。


15.くろこげ様
メタルクーラはもっと数が多いですぜ。
もしあんな風に増殖されたら…ヒィィィィ!
変態が一杯…あれ?
今、“破滅”軍にはクローン技術が…うわちょっと待て何をす(ry

…ロベリア、死んでも死にきれんだろうなぁ…猛烈なツッコミで、天使を撲殺するのでは?


16.蝦蟇口咬平様
脇役みんなの魂の叫びですねw
でも主役クラスにあっさり出番を奪われるこの悲しさ(涙)
ちなみに、他に“破滅”の将にはどんなステータスが?
とりあえずフノコと苦労人は決定として。

む…なら書き込みはハムレットの方で。
ジャイアント…は省略して、Gローレライくらいでしょうか?
…遠野家あたりで暴れてそうだなぁ…。


17.九頭竜様
確かに、途中から読むと『なんじゃこりゃあ』になる話になってますねw
それでも楽しんでいただけたなら幸いです。
時間がある時に、一話から読み通していただけると、より一層楽しめると思います…物凄く疲れると思いますが。

スフォルツァンド…あれ?
どこかで聞いた気が…なんだっけ…?


18.鈴音様
お久しぶりです!
むぅ…も、元ネタ何すか?
シンドーと呼ばれてすぐ思い浮かぶのは、某極端流空手の人なんですが、あそこにサツキって人は居なかったな…。
マシンガン…ダ・サイダー?
そー言えばヤツもマイク持ってたような…。


19&20.KUROKU様
どうぞどうぞ、いくらでもパロでもオマージュでもやっちゃってください!
おおっ、いかにも食いまくるって感じの口上ですね!
ついでに『果ては海の彼方の南蛮まで』とか入れてくれると尚嬉しいですw

アル姐さんか…いい響きだなぁ…何となく。
某魔導書の方は、外見的に姐さんとは言えませんからねぇ…。


21.米田鷹雄(管理人)様
申し訳ありません、うっかりしていました。
取りあえず後書きに書いていた名前募集の部分を消しましたが、これでよろしいでしょうか?

しかし、考えてみると18禁の部分で性器を日本語描写してたような…以後気をつけます。


22.JUDO様
恐らく、宣戦布告から出陣までの間に何か色々あったのでしょう。
具体的に言うと、ロベリアの(ある意味正当な)ヒステリーとか。

流石にリコと比べれば、リコの方が暴食ですよ…何せ事実上限界がありませんからね。
ただ、アルストロメリアの場合は…えー、何ていうか、味に対する許容範囲が広い?
ミサトカレーは流石に無理でも、梅サンドくらいなら余裕です。

えぇ、ベリオは狂喜するでしょうね。
乱舞すると怪しまれるから抑えるでしょうが…。

はい、最後の一人はダウニーと一緒に居た彼です。
従者っぽい人。

ロベリアは、何やら本気で焦っていたよーですな。

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