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「ゼロの使い魔と名も知られぬ使い魔   第4話(ゼロの使い魔+オリジナル)」

霧幻 (2006-12-23 00:11)
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 タイミングは完璧だ。

 剣速も申し分ない。

 このタイミングなら俺の攻撃が先に中るはずだ。

 この勝負……もらった!!


 俺はそう思い、ルースに木刀を振り下ろしたのだった。


 ゼロの使い魔と名も知られぬ使い魔


 「え?」

 声を上げたのは俺の方だった。

 気がつけば、手にある筈の重みが消えていたからだ。

 それどころか、木刀は回転しながら後方に飛んでいた。

 「がぁっ」

 それを見て呆然としていると、腹に鈍い痛みが奔った。

 俺は驚き、突然痛みが奔った部分を見る。

 そこには――

 「ふぅ。シンヤ、武器は木刀だけじゃないわよ」

 ――ルースの足が伸びていた。


 俺がその事を確認したと同時に、首元に木刀が添えられる。

 「……俺の、負けだな」

 それに気づいた俺は、痛みを我慢してそう口にした。


 「ててて……、絶対勝ったと思ったんだけどなぁ……」

 俺はルースにそう言う。

 するとルースは――

 「筋は良いと思うよ。最後は本気で行っちゃたしね。でも、まだまだ経験不足かしら」

 ――と言ってくれた。

 そう言われるとなんだか照れてしまう。

 このまま行くと恥ずかしいので、俺は取り敢えず話題を変える事にした。


 「なぁ、ルース。俺が切り掛った時あるだろ。でもいつの間にか木刀が飛んでいたんだけど、あの時何をしたんだ?」

 ルースに尋ねたのは、あの一瞬の間に何をしたかだ。

 俺には、突然木刀が消えたようにしか思えなかったからだ。

 と言うか、突然握っていた物が無くなるなんて有り得るのか?


 そんな俺の疑問にルースは答えてくれた。

 「ああ、アレね? アレはただ単に、シンヤの木刀の柄の部分を狙って切り上げただけよ」

 「なぁ!」

 ルースはあっさりと凄い事を言ってのけた。

 俺も剣の事を知っているつもりだ。

 だから解る。それがどれだけ凄い事か。

 振り下ろしている剣の、それも柄を狙って切り上げるなんて並みの腕では絶対にできはしない。

 上から振り下ろしている剣で、柄を狙えるの時間は素人が見たとしてもほぼ一瞬である。

 そんな刹那のタイミングにルースは、合わせてきたのだ。

 それも走り込みながら。

 この事で、如何に彼女の技量が高いかが窺い知れる。


 もちろんこれは、俺なんかじゃ到底できない。

 一瞬しか無いタイミングを完全に読み、それも走りながら合わせるなんて事は。

 例え立ち止まっていたとしても、絶対にできないとだろう。

 そんな事をあっさりとやってのけたルースは凄いと思った。


 「ふむ……。さすがルースだな」

 俺がそんな事を思っていると、聞いたことの無い男の声が掛かったのだった。


 声のした方を向くとそこには、ルシェラと若い男がいた。

 男は誰が見ても美男子と言える様な顔立ちで腰に杖を挿している。

 どうやら魔法使いのようだ。

 その顔には長く凛々しい髭がある。

 そしてその目は鋭いが、何処か優しそうな雰囲気をしている眼だ。

 そんな男が立っていた。

 「あ……ワルド様」

 俺が男を見ていると、ルースがそう呟いた。

 ……なんか俺の相手をしている時と雰囲気が違う気がする。

 確かに格好良いけど、なんか釈然としない。


 俺がワルド(多分名前)を見ていると、ワルドは俺が見ている事に気が付いた。

 「君がシンヤかい?」

 そう尋ねてきた。

 「はいそうですけど、貴方は何方ですか?」

 取り敢えずは名乗っておく。

 あのルースが、ワルド「様」と言っていたので一応敬語で喋る事にする。

 「そうかそうか! 君がか。おっと失礼、僕の名前はワルド。ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ。よろしく!」

 俺が名乗ると、ワルドさんは何処か楽しそうにそう名乗ってくれた。

 やばい、この人何か知らんがいい人っぽい。


 「えっと、ワルドさんはどういった方なんだ?」

 取り敢えず俺は、ルシェラに聞いてみる。

 「簡単に言いますと、私の前に所属していた隊の隊長さんです」

 するとルシェラは、解りやすく説明してくれた。

 次に思ったことを聞く。

 一つ目は――

 「隊長って事はやっぱり強いのか?」

 ――と言うことだ。

 「はい!すっっっごく強いですよ。閃光の二つ名は伊達じゃありません」

 なんか凄そうな二つ名まで持っている人のようだ。

 でも、二つ名持ちって何か格好良いな。

 そんな事を思いながらもうひとつ思った事を聞く。

 「じゃあ、前に所属していた隊の隊長って言うのはどう言う事なんだ?」

 俺が聞くとルシェラは少し暗い顔になる。

 もしかして地雷踏んだ?

 「……言葉道理の意味ですよ」

 暗いオーラを出しながら、ルシェラは一言そう告げた。


 場が静まる。

 空気が一瞬にして重くなった。

 あまりに居心地が悪いので、何とか雰囲気を変えようと話題を探す。

 一つ思いついたので出す事にした。

 「そ、そういえばワルドさんは何て言う隊なんですか?」

 するとワルドさんは俺の思惑に気づいたのか、直に答えてくれた。

 「ああ! 僕は魔法衛士隊の一つグリフォン隊だよ!」

 するとさらにルシェラの顔が暗くなっていく。

 これも地雷!?

 ああもう、どうすればいいんだ。


 俺がそう思って、次の話題を探していると今度はワルドさんが言った。

 「そう言えばルシェラ、君に任務を頼みたいんだが……いいかい?」

 ワルドさんがそう言うとルシェラは幾分か元に戻り聞き返す。

 「私にですか? 構いませんが、なんで私なんですか?」

 ルシェラはなんで自分に任務が来るのか不思議に思っているようだ。


 確かに不思議ではある。

 ルシェラはもう、ワルドさんの部隊の所属では無い様なのに任務を出すのだから。

 普通は自分の隊の者に任務を出すのではないのだろうか?


 俺がそう思っているとワルドさんは言った。

 「うん。それは君が所属を変わる事が関係している。」

 なにやら理由があるようだ。

 「所属ですか?」

 「ああ。任務を言うが魔法学院があるだろう、そこの教員が現在人手不足なのでそこに行って臨時講師をして欲しいんだ」

 ルシェラはそう聞く。

 俺もワルドさんの言っている事との繋がりが良く解らない。

 所属と臨時講師に何の関係があるんだ?

 「それと所属に何の関係があるのですか?」

 「ああ、この任務に就くのは優秀な魔法使いじゃないといけない。君ならまだ何処に所属するか決まってないから、直に動けるだろう。腕も我がグリフォン隊に所属していた、と言う事で信頼できるしね」


 なんとなく話がわかってきた。

 ようするにだ、学院と言うところに今は有能な教師が少ないので、軍の中ですぐに動ける人材で、できるだけ有能な人を寄越して欲しいらしい。

 そして白羽の矢が立ったのが、所属が変わるところで何時でも動けるルシェラと言う訳だ。

 彼女はワルドさんが言うには、魔法使いとしての腕も信頼できるみたいだし、まさに適任と言う訳だ。


 まぁ、俺はルシェラの魔法を見たことが無いから良く解らないんだが……

 やばい、何だか知らないが無性に悲しくなってきた。


 「解りました。その任務受けさせて貰います」

 いつの間にかルシェラは任務を受けていた。

 「へ? 何時の間に?」

 あまりに決めるのが早いので、俺がそう聞くと勢い良く答えてくれた。

 「今決めました!」

 ……せめて使い魔の俺にも相談して欲しいものだと思う。

 「じゃあ、その内準備をしましょうね」

 「ああ、解ったよ」

 まぁ、過ぎた事をどうこう言う気は無いが……


 ワルドさんの話が終わると、再び俺とルースの模擬戦の話になった。

 「シンヤ、筋は良いようだね。特に最後の一撃は段違いだった。けど、まだまだ経験と動体視力が足りないね」

 そしてそう言われる。

 経験が足りない、と言うのはなんとなく解る。

 しかし、動体視力が足りない、と言われても良く解らない

 具体的にどれぐらいの速度が見えれば良いのだろうか?

 そう思ったので聞いてみる事にした。

 「動体視力ですか……。現実問題どの位の速度が見切れれば良いんですか?」

 「う〜ん、この位が見切れたら一人前だと思うよ」

 ワルドさんはそう言って、腰に挿した杖を引き抜き俺の前に立ち構える。

 そして一突きする。


 一閃。

 その一言に尽きる見事な突きだ。

 あまりの疾さにシンヤは反応すらできなかった。


 なんて疾さの突きだ。

 何時突き出したかすら見えなかった。

 気が付けば眼前に杖の先があった。

 今日は驚いてばかりだな。

 あっさりと凄い技術を見せ付けたルースに、今高速の突きを苦も無く放ったワルドさん。

 ……世の中には凄い人たちがいるなぁ。

 いやまあ、異世界だけど……

 そう思い、自分ももっと強くなりたいと願うのだった。


 あとがき
 テスト明け初更新です。

 それはともかく第4話更新です
 ワルドさんが出てきました。
 この人の強さを少し入れてみました。
 書いてて思ったのですが、強さを一回の行動で表すのは難しいですね。
 もっと精進します。

 あとこの話、小説版のゼロの使い魔とは少々時間軸(と言うのかな?)が違います。
 ですから、次回5話はサイトと某生徒とのアレを、少しいじって出そうと思っています。


 レス返しは3話の感想でしたので今回は無しで。

 では次回でまた。

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