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「ゼロの使い魔と名も知られぬ使い魔   第3話(ゼロの使い魔+オリジナル)」

霧幻 (2006-12-13 02:03)
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 「あれ……?」

 今すれ違った少年、手にルーンがあった様な……

 俺は自分が見た物を不思議に思った。

 「どうかしたんですか?」

 疑問が声に出ていたのか、ルシェラが俺に聞いてくる。

 俺は取り敢えず今見たことを話すことにした。

 「いや、今すれ違った二人組みの少年の方の手にルーンが見えた気がしたんだ」

 「え!? どの二人組ですか?」

 話したらすぐにまた聞いてくる。

 「いやだから今すれ違った少年と少女の2人組だよ」

 「う〜ん……。何処にいるかわかりませんね……」

 しかし、もう何処かに行ったのか少年達は見つからない。

 するとこう聞いてくる。

 「本当にそんな人居たんですか?」

 当たり前だ。

 「ああ、少し離れていたけどルーンだったと思う」

 「でも、人間の使い魔なんて普通は居ませんよ!」

 そう、ルシェラの言う通りなのだから。

 しかし彼女は一つ失念している。

 だから俺は言ってやった。

 「俺だって使い魔だぞ」

 「あ!」

 すると彼女は思っていた通り、なかなか愉快な反応をしてくれた。


 ゼロの使い魔と名も知られぬ使い魔


 ルシェラが愉快な反応を見せてくれた後、とりあえずは城に戻ることにした。

 何でもまだ仕事があるらしい。

 しかし本人は――

 「ちゃんと覚えています。忘れていた訳ではありませんからね!」

 ――と言っていたので、仕事は有るがどちらかと言うと逃げたんだと思う。

 俺に自分が忘れていた事を言われて、少し悔しかったと見える。


 この後の事を考えてみる。

 (城に行っても暇なだけだし、ルシェラに聞いて剣を振れる場所を探そうかな)

 取りあえず俺は、ルシェラが居ないと暇なのである


 俺は練兵所の様な建物の一角に来ていた。

 そこで、ルシェラに買って貰った剣(どちらかというと刀)を振る。

 「ふっ! はぁ! せやっ!」

 刀を買って貰ったけど、使えなければ何の意味もないからだ。

 「しかし、俺なんかが真剣を持つ事になるなんてな……」

 刀を振りながら今思っている事を口に出す。


 今まで真剣を持った事など一度もない。

 だから思ってしまう――

 「良い刀みたいなんだけど、俺にこれを使いこなせるかな……」

 ――と。


 それはそうだ。

 確かに真剣を扱った事が無い、と言う事もある。

 しかし悩みの大部分は、刀を持つと他の誰かを殺す事が出来ると言う事にある。

 剣を使った事自体はある。

 しかしそれは、竹刀と言う余程の事がないと人が死なない物である。

 そんな俺がもし、刀を使って人を殺め無ければいけなくなったらどうなるだろうか。

 答えは簡単だ。

 「……できるわけ無いよな」

 少なくとも今の俺には、人を殺すことなどできないと思う。

 そんな事を考えながら刀を振るのだった。


 「ふぅ。少し疲れたかな……」

 俺は暫く刀を振っていたが、少し疲れたので休憩していた。

 そんな時である。

 「シンヤ、練習お疲れ様です」

 「へぇ。君がルシェラの言うシンヤって言う子?」

 聞いたことのある声と初めて聞く声が掛かったのは。


 振り向くとそこには、ルシェラと蒼く長い髪で少し紫がかった眼をした女性が居た。

 「えっと、ルシェラその人誰?」

 俺はルシェラと一緒に来た女性の事が気になり、彼女に尋ねた。

 「この人はルース。まあ私と同期のメイジです」

 「メイジと言う程の者ではないよ。所属も歩兵隊だし」

 俺の問いにルシェラが答えると、女性――ルース――は補足をする。

 ルシェラはルースさんをメイジといった。

 でもルースさんは、メイジなのに歩兵隊所属と言った。

 普通メイジならメイジを集めた隊みたいな物を作るのではないだろうか。

 どう言う事だろうと思ったので俺は聞いてみた。

 「ルシェラはルースさんの事、メイジと言ったけど何で歩兵隊なんですか?」

 「ストレートに聞いてくるね君は……。別に良いけど」

 俺がそう聞くとルースさんは少し落ち込んだように言う。

 「私は魔法の才能が全くなくってね。使える魔法も初歩の物だけだから、魔法を使う隊ではなく歩兵隊なんだ」

 「……そうなんですか」

 少し悪い事を聞いたかな……

 俺がそう思うとルシェラがすかさずフォローを入れた。

 「でも、ルースは歩兵隊の隊長じゃない。それは凄い事よ」

 「確かにそれは凄いですね」

 俺がそう言うとルースさんは少し照れたように言った。

 「もう、大したことじゃないわよ」


 暫くして、ルースさんは思いだしたように言った。

 「と、そうだった。シンヤ、これから私と模擬戦しない?」

 俺は予想外の言葉につい聞き返してしまう。

 「え、ルースさんとですか?」

 「ええ」

 俺は少し考える。

 一人で剣を振るより、誰かと一緒の方が効率がいいかも知れないな。

 そう思ったのでこの申し出を受けることにした。

 「う〜ん。じゃあルースさんお願いしますね」

 「ええ、よろしくねシンヤ。あと、私のことも呼び捨てとタメ口で良いから」

 俺がそう言うとルースさんは快く答えてくれた。

 「ああ、わかったルース」


 俺とルースは、木刀を手に持ち一定の距離を取り対峙する。

 「二人とも頑張ってください」

 そんな俺達にルシェラはエールを送る。

 「ああ、出来るだけやってみる」

 「私も頑張ってみるわね」

 そして二人してルシェラに言ったのだった。


 全身に緊張が走る。

 いつもやっていた練習試合とはまた違う緊張感だ。

 知らず知らずの内に木刀を強く握ってしまう。

 しばらくそんな感じで睨み合っていたら、一陣の風が吹いた。

 そして木々がざわめく。

 そうして鳴った音が戦いの始まりだった。


 最初に動いたのはルースだった。

 体を前屈みにし、素早く地を蹴りシンヤの元に迫る。

 (な!?、予想よりも速い!)

 シンヤはその予想外の早さに戸惑ってしまう。

 その際生まれた隙にルースは木刀で斬りかかる。

 「はっ!」

 「くぅ!」

 一瞬の隙をついた一撃だが、シンヤは間一髪木刀で受け止める。

 彼が剣道をしてなかったら、今の一撃には反応できなかっただろう。

 「はぁ!」

 彼は木刀に力を入れて、ルースを押し返した。

 どうやら速度では負けているが力では勝っているようだ。


 ……正直驚いた。

 かなりの速さだ。

 それに凄く鋭い一撃だった。

 受けられたのも運が良かったからかも……

 幸いなのは、力がそこまで強くない、と言う事だな。

 「これは……結構厳しいな」

 それなりに自分の剣には自信があったのだが、そんな自信は簡単に打ち崩されてしまった。


 シンヤがそんな事を考えている時にルースもまた驚いていた。

 今の一撃を受けるなんて……

 下手な兵なら一撃で倒せる速度なのに。

 それを受け止めた事で、

 「この子素質はあるわね……」

 私の中でのシンヤの評価が決まった。


 次に攻め掛かったのはシンヤだった。


 「今度はこちらから行くぞ」

 実力で負けている以上、型通りで攻めても勝つのは無理だな……

 そう思ったので俺は、出来るだけ体を低くして地を蹴った。

 程なくして自分の間合いに入る。

 そして木刀を奔らせる。

 「はぁ!」

 「甘い!」

 一合。ルースは俺の剣の軌道上に木刀を滑り込ませて防ぐ。

 「ふっ!」

 「其処!」

 二合。弾かれた木刀を勢いに乗せたまま回転切りの要領で振り抜くが、それも容易に防がれる。

 「せい!」

 「はぁ!」

 三合。今度は木刀を斜め上から振り下ろすが、木刀の腹で止められる。

 「らぁ!」

 「しっ!」

 四合、五合、六合……

 俺はルースを怒涛の勢いで攻めるが、どの攻撃も掠りもしないで終わる。

 そうして十数合打ち合った後に一度距離を取った。


 「二人とも凄い……」

 私は驚いていました。

 正直なところ、ルースとシンヤではすぐに勝負着くと思っていました。

 私はルースの剣の腕を知っています。

 彼女は、私の元居た部隊の隊長とも魔法無しでなら打ち合える程の腕前です。

 ですからシンヤがルースと打ち合えるとは思っていませんでした。

 しかし現実にシンヤはルースと打ち合っていました。

 「やぁルシェラ。今日もまたルースの剣を見ているのかい?」

 私がそんなことを思っていると後ろから声が掛かりました。

 私は振り向き、そして驚きました。

 そこにいたのは……

 「な、隊長!?」

 私の元居た部隊――グリフォン隊――の隊長でした。


 「はぁはぁはぁ……」

 俺はルースから一旦距離を取った。

 十何回か打ち合ったけど、ルースには一度も届かなかった。

 「くそ、掠りもしない……」

 俺は攻撃が中らない事にイライラして悪態を付いてしまった。


 私はシンヤの攻撃を全て紙一重で受け止めていた。

 中にも冷や冷やする様な攻撃もあったが今のところは一発も貰っていない。

 とりあえず今の状態を口に出すと……

 「まだやれる……かな」

 まだまだいける……だ。

 私はそう思いシンヤを見る。

 シンヤはさっきの攻めの反動か、大きく息切れをしていた。

 「くそ、掠りもしない……」

 そして悪態が聞こえる。

 (シンヤは少し焦っているようね)

 それを聞いた私は、シンヤに一つ提案する事にした。

 「シンヤ、次で終わりにしない?」


 「シンヤ、次で終わりにしない?」

 俺が焦っている時にそんな提案が来た。

 確かに魅力的な提案だと思う。

 でも、このまま続ければルースは絶対勝てるのにこんな提案をするのは不自然だと思った。

 「構わないけど、なんで?」

 だから聞いた。

 すると、

 「これはあくまで模擬戦。実力が解ればそれで良いの」

 と答えてくれた。


 すっかり忘れていた。

 この戦いは模擬戦だ。

 もっと言えば、多分だけれどもこの戦いはルースが俺――ルシェラの使い魔――の力を見る為にしたものだ。

 熱くなりすぎてそんな事も忘れていた。

 「ふぅ」

 俺は、体に溜まった熱を放出するように息を吐く。

 そして、木刀を握り直し腕を少し曲げ、顔の近くまで上げて構える。

 所謂上段の構えと言うやつだ。

 上段の構えは防御をしにくいけど、攻撃力と言う面では一番と言って良いほどの構えなので、次で終わると言うこの場面ではもってこいだと思う。

 構えを取ると俺は、一度心を落ち着けるために眼を閉じる。

 そして、一息吐いた。

 「ふぅ」

 そうして落ち着いたところで眼を開き一言告げる。

 「じゃあ、次で終わりにしようか」


 シンヤはそう告げると、その場を動かずに私を真っ直ぐ見つめてくる。

 どうやら一撃必殺のカウンターで来るらしい。

 「いい手ね……」

 私は思った事を口に出す。

 実力で負けているのなら相手の力を利用すれば良い、という訳だ。

 事実、かなり攻め辛い。

 しかし私が動かない限り埒があかない。

 そう思い、私は覚悟を決めて地を蹴った。


 ルースとシンヤが何か話している様です。

 二三度言葉を交わすとまた静かになります。

 「次で決まるようだな」

 隊長がそう言った時、空気が変わったような気がしました。

 そして直ぐに、ルースが走り出します。

 「さて、どうなるかな?」

 隊長はどこか楽しそうに呟きました。


 ルースが走ってくる。

 その速さは宛ら風のようだ。

 そう思っていると、ルースが俺の間合いに迫って来る。

 間合いに到達するまで後……

 三歩。心が静まり返っている。

 二歩。集中しているのか、ルースの動きがゆっくりになって見えてくる。

 一歩。タイミングを見極めろ!

 零歩。間合いだ。

 「此処だ!!」

 そして俺はルースに向けて木刀を振り下ろしたのだった……


 あとがき

 第3話更新。
 今回は初の戦闘の話です。
 戦闘を書くのはやはり難しいですね。

 今回隊長が出てきました。名前出してないけど誰かはバレバレですね。(笑)

 それはともかく、感想を読んでいると、ルシェラについて一つ間違いがあったので、ここに書いておきます。
 彼女は魔法学院を卒業していて、軍人です。
 所属は元グリフォン隊です。(今は違います)
 位置的に言えば見習いより少し上ぐらいのところでした。
 解り辛かったかも知れませんが、一応プロローグにも、

 彼女はその身を軍服で包み、廊下を歩いて行る。

 とあります。
 ただ、第一話に、

 服は何か白色の制服のような物を着て、その上から物語に出てくる魔法使いのローブの様な物を纏っていた。

 ともあります。
 これは、一般人から見たら、軍服はどこかの制服にも見えるから書いたのですが、この表現の所為か少々解り辛かったようですね。

 どうも彼女の事を学生と思っている方も居るようなので此処に書いておきます。


 では、レス返しを


 >春の七草様
 ちゃんと修正しておきました。


 >箒柄様
 指摘されたことに関しては、自分の構想力不足になります。
 自分的には効果ぐらいはわかっても不自然ではないかな?、と思っていたのですが言われてみると確かに無理がありましたね。
 まだ、あくまでまだですがデルフを持った時に説明した方が自然だったかな?、と思っています。

 ただ一つだけ修正しておきます。
 後書きにも書きましたが、ルシェラは学生ではありません。一応軍人です


 >アイアス様
 書いていると思うんですが、オリキャラは大なり小なりそんな傾向がありますね。
 自分もできるだけ自己投影最強物にならない様に気を付けます。


 >夜須様
 う〜ん。読み返してみると確かに人間味がない様に感じますね。
 ただ、前回に限っては、説明をスムーズに進めるために、質問、回答、質問、回答と言う形でいかせてもらいました。
 以前から主人公があっさりし過ぎていると言う意見があったので、できるだけ人間味と言う物に気をつけて書いていこうと思います。


 >文月様
 自分の作品だけの設定は確かに存在します。
 でしから、説明がいると思った時には、作中か後書きにちゃんと書いていこうと思います。


 これでレス返しは終了です。

 今回戦闘の話を書いたので、戦闘描写にに関しての感想を書いてくれれば嬉しいです。


 それともうすぐテスト期間に入るので次回の更新は少し遅くなります。
 では第4話でまた。

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