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「ゼロの使い魔と名も知られぬ使い魔   第5話(ゼロの使い魔+オリジナル)」

霧幻 (2006-12-31 15:17)
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 「じゃあ、ルシェラは今から行く学院の卒業生なんだ」

 これまでの話を聞いて俺はそう結論付けた。

 「はい、そうです。良いところですよ」

 ルースは自分の母校が余程好きなのか、そう付け足した。

 「もうすぐですね」

 馬車乗ってから数時間。

 ようやく目的の場所が見えてきた。

 「……大きいな」

 そうして見えてきた場所は、想像よりずっと大きな建物だった。


 ゼロの使い魔と名も知られぬ使い魔


 「ん? 何か向こうの方が騒がしいな……」

 俺は声が聞こえてくる方を見た。

 なにやら、学生らしき人だかりが見える。

 如何やら、何らかのイベントでもしているようだ。

 「なぁルシェラ。今日は行事か何かをしているのか?」

 俺は、ルシェラがこの学院を卒業した、と聞いたので質問してみる。

 「……何も無かったはずですよ」

 ルシェラは、昔を思い出すように目を閉じてから言った。

 「じゃあ、何をしているんだろうな?」

 ルシェラも知らないとなると、俺に解るわけが無い。

 「見に行っても良いですよ」

 俺が考えていると、ルシェラは唐突に言った

 「良いのか?」

 確かに見には行きたいが、素朴な疑問が一つでてくる。

 「良いですよ。今日は挨拶をしに来ただけですから」

 その疑問の答えをルシェラはあっさり答えてくれた。


 「諸君! 決闘だ」

 俺が生徒たちの集まっている場所に着いたときには、場の盛り上がりは最高潮にまで達していた。

 何やら決闘をするとか言っている。

 「何をしているんだ?」

 俺は一人の男子生徒Aを捉まえ訊く。

 「ああ、今からギーシュと平民が決闘するらしい」

 男子生徒は、嫌な顔一つせずに教えてくれた。

 「決闘?」

 俺がそう尋ね返すと、男子生徒Aは気を良くしたのか更に言ってくる。

 「ああ、決闘だ。僕も含めて皆ギーシュが勝つと思っているよ。まあ、どうせなら平民が勝ったほうが面白いんだけど……」

 「ああ、そうか。教えてくれてありがと」

 長くなりそうだったので、早めに会話をやめて決闘を見ることにした。

 「あ、ちょと話はまだ……」

 何か言っているけど無視だ無視。


 「とりあえず、逃げずに来たことは、誉めてやろうじゃないか」

 金髪の男――男子生徒だからたぶんギーシュ――が言った。


 それにしてもこの男の外見……阿呆か?

 黒いマントの下にフリルのついたシャツを着ている。

 そして手には薔薇を持っている。

 その金髪とあいまって妙にバカっぽく見えるのは俺だけだろうか?

 少なくてもこの世界の住人じゃない俺にはそう思えた。


 「誰が逃げるか」

 ギーシュがそう言うと、もう一人の少年――つまり平民――が言った


 ……この少年何処かで見たような気がする。

 何処だったかな?

 絶対見たことあるんだけど。


 「さてと、では始めるか」

 ギーシュがそう言う。

 すると少年が、「先手必勝」と言わんばかりに走り出した。

 如何やら俺が考えている内に、話が進んでいたようだ。

 俺は考えるのを一時中断して、この戦いを観戦することにした。


 ギーシュはそんな少年を見ても余裕な顔をしている。

 と言うか、構えようともしない。

 どう言う事だ?

 戦う気が無いのか?

 それとも別の何かがある?


 そう思いながらも見ているとギーシュが薔薇を振った。

 花びらが1枚中を舞う。

 すると花びらは甲冑うを着た女戦士の様な人形になった。

 大きさは人間と同じくらいだが、その身体は金属で出来ているようだ。

 その人形が少年の前に立ち塞がった。


 「なんだこりゃ!」

 少年は俺の気持ちを代弁するように言った。

 「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」

 「て、てめぇ……」

 「言い忘れたな。僕の二つ名は青銅だ。青銅のギーシュだ。だからこの青銅のゴーレム「ワルキューレ」がお相手するよ」


 如何やらギーシュは魔法で戦うようだ。

 魔法か……そう言えば魔法を初めて見たな。

 今度ルシェラの魔法も見せてもらおう。

 それはそうと、ギーシュは魔法で戦うって言っているけどやばくないか?

 相手は平民で、魔法を使えないんだぞ。


 俺の予想は的中してしまった。

 少年は一方的に殴り蹴りされ、酷い事になっている。

 「やるだけ無駄だと思うがね」

 ギーシュは薄く笑いながらそう言う。

 「全然利いてねえよ。お前の銅像、弱すぎ」

 すると少年はそう言い返す。

 その瞬間、ギーシュの顔から笑みが消えた。

 そして、また一撃が入る。

 それは少年の右腕に中った。

 グキ、と鈍い音が鳴る。

 少年の右手はあらぬ方向を向いていた。


 ……如何してここまでできるんだ。

 俺はそう思った。

 いくら決闘だからって、いくら貴族と平民だからって、なんでここまで同じ人間を傷つけられるんだ?

 なんで人を骨折させて平気な顔をしていられるんだ?

 ……そう思うけど、俺は動けない。

 正直に言うと怖いからだ。

 自分も少年と同じ目に会うかも知れない。

 俺は、自分の弱さの所為で止めに入れない事にイラつき拳を硬く握った。


 その時だった。

 「いやぁ……。もう……やめて……」

 隣から搾り出すような泣き声が聞こえたのは。

 「え?」

 俺は驚いて隣を見る。

 そこには、一人の女子生徒が泣いていた。

 年は俺と同じぐらいか少し下で、茶色い髪をしている可愛い顔立ちの少女だ。

 そんな少女が泣いていた。


 ……!?

 熱くなっていた思考が一瞬で冷えた。

 理由はわからない。

 でも、この少女の涙を見た瞬間に一つの覚悟だ出来た。

 それだけは解った。

 「大丈夫」

 そして、彼女の頭を慰めるように優しく撫でながら言う。

 「え!?」

 撫でられた事に驚いたのか、少女がこちらを向いく。

 もう大丈夫……かな。

 そう思い手を離す。

 「……俺が何とかするから」

 そして俺は、少女の方を向くことなくそう告げた。


 ……いてぇ。

 そう思った俺は、体の状態を確認する。

 殴り蹴りされ、体のいたる所が悲鳴を上げている。

 特に右腕はひどい。

 右腕はあらぬ方向に曲がっている。

 ……骨折は確実だな。


 俺が体の状態を確認していると「ワルキューレ」が近づいてくる。

 いつの間にか、その手に剣を持っていた。

 俺に剣が中るぐらいまで近づいてきた。

 ――ああ……俺は死ぬんだな――

 漠然とそう思った。

 そして「ワルキューレ」が剣を振り上げて……

 そこまで見て俺は目を静かに閉じた。


 シンヤは走りだした。

 ギーシュが「ワルキューレ」に剣を持たしたから。

 如何やら止めを刺しにいくようだ。


 まずい! あいつ止めを刺す気だ!

 「ワルキューレ」が剣を振り上げたのを見て、俺はそう悟る。

 「間に合うか? いや間に合わせてみせる!」 

 そう言い、俺は自分に出せる全速力で走った。

 「ギーシュもうやめて!」

 聞いたことがあるような声がギーシュを止めようとする。

 しかし剣は少年に向かって振り降ろされる。

 間に……合わない?

 「くそ!」

 走るだけでは到底間に合わない。

 だから俺は、買ってもらったばかりの剣を抜いた。

 「間に合え!!」


 剣は振り下ろされた。


 あとがき
 今年も今日で終わりですね……。
 と言う訳で、5話更新です。(何が?

 え〜今回は自分の予想以上に長くなりそうなので一度切りました。
 此処で切ったのは、話的に区切りが一番良かったからです。

 それはともかく、今日出てきた男子生徒Aと女子生徒はレギュラーキャラにする予定です。
 男子生徒Aはオリキャラですけど、女子生徒はちゃんと本編に出ています。
 女子生徒が誰だかわかりますか?

 レス返しを

 >文月様
 戦闘シーンについてはこれからも精進します。

 やはり心情とかは難しいですね……。
 でもできるだけ不自然に成らないように頑張ってみます。


 では次回でまた。

 今年は残り少ないですが良いお年を……
 そして来年も良い年でありますように……

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