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「これが私の生きる道!新外伝11ステラ第二の人生を行く編 (ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-12-14 08:33/2006-12-15 19:18)
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(コズミック・イラ80、五月某日、クライン邸内)

「こんにちは。ヨシヒロ、ラクス」

「良く来たな。ステラ」

「お久しぶりですわね」

「なかなかお休みが取れないから・・・」

「ヴィーナス」を旗艦とするハイネ司令の下で、特殊対応部隊のモビルスーツ隊を指揮しているステラは、世界各地を移動していたので、なかなかプラントへ帰って来れなかった。
今日は、久しぶりにプラント本国でのお休みで、俺達とは約八ヵ月ぶりの再会であった。

「ステラお姉ちゃん。こんにちは」

「お姉ちゃん、こんにちは」

「サクラ、ヨシヒサ。元気だった?」

「はい」

「うん・・・」

今年で六歳になった二人の子供達も、ステラを歓迎しているようだ。
特にヨシヒサはステラの事が好きなようで、顔を赤くしながら返事をしている。
我が息子ながら、マセたガキである。

「ステラ、お昼にしようぜ。俺はお腹が減ったよ」

「私も、お腹が減った」

「中にお食事を用意していますよ」

「お姉ちゃん、早く行こうよーーー」

「うん。行こうか?」

「こっちだよ」

ヨシヒサは積極的にステラの手を引いて、食堂に移動する。

「あらあら。ヨシヒサは、ステラの事が好きなのですね」

「ハイネの話は禁句だな」

「そうですわね」

ハイネとステラは付き合っているらしく、その事をヨシヒサが知ったら大きなショックを受けるからだ。

「お父さんとお母さんも早く!」

「はいはい」

「わかったよ」

俺達は食堂に入り、そこで昼食を取る事にするが、メニューは和洋折衷で、ラクスの手作りであった。

「美味しい」

「そうか。でも、ステラも料理が上手だろう」

「でも、作る機会が少ないから・・・」

「(ヴィーナス)の艦内じゃなぁ・・・」

ステラはモビルスーツ隊を統率し、ハイネの補佐も行ってるので、なかなか時間が取れない状態である事を教えてくれた。

「まだ小規模の戦闘は、避けられないか」

「うん。南米・中国・アフリカ・中央アジアと小さな争いは絶えないから・・・」

「それは仕方がないさ。世界中が全部平和で、何も起こっていない状態なんてありえないからさ」

世界それなりに平和になったが、反政府運動、国境紛争、部族間の争い、資源の取り合い、国際犯罪組織の暗躍など、毎日多くの事が起こっていた。
多分、彼らが原因で世界はどうにかはならないと思うが、争いがゼロになる事はないであろう。

「ところで、今日は何か話があるんだって?」

「うん」

「ザフト軍でも辞めるのか?」

「うん」

「へえ。って、本当に?」

「うん」

「理由は?」

「お菓子屋さんになりたいから」

「良いんじゃないかな」

「私も、そう思います」

「僕も賛成!」

「ヨシヒサは、お姉ちゃんと会い易くなるからでしょう!」

「うるさいな・・・。サクラは・・・」

「それで、いつ辞めるんだ?」

「今月一杯まで。辞表はもう出した」

「ふーん。素早い対応だね。それで、みんなには話したのか?」

「これから話す」

「俺としては、特に反対意見はないけど。計画の方はどうなってるの?」

「半年くらい、知り合いのお店で修行してからにする。お店の候補地も選定してあるから」

「肝心の資金の方は大丈夫か?」

「今までに貯めた分に、お金を借りて何とかする」

「お金を借りるのか?誰に?」

「一応、ツテはある」

ステラがよそからお金を借りるという話を聞いて、俺の脳裏に嫌な想像が浮かんでくる。
ヤミ金のような連中に金を借りて返せなくなり、ヤクザ連中が毎日借金の返済を迫るようになって、ついには「体で返せ!」と言われて、いかがわしいお店で働くようになるステラの姿だ。

「・・・・・・。俺が貸すから」

「大丈夫、ツテはあるから」

「駄目だぁーーー!お兄さんから借りなさぁーーーい!」

「ヨシヒロ、変な想像をしてる?」

「ですわね」

「そんな変な連中から借りちゃ駄目だぁーーー!」

「やっぱり、変な想像をしてる・・・」

「ヨシヒロ、妄想はお止めなさいな」

俺はラクスとステラに、呆れたような表情で見られてしまう。

「でもさーーー。心配じゃないか」

「プラント政府の低利融資に申し込むから」

「へっ?そんな制度があるの?」

「うん。あんまり大金は借りれないけど、ステラが一人でやるお店だから」

ステラに詳しい話を聞くと、最近ではプラントの自給率も100%を超え、食料も量よりも質が求められるようになってきていた。
プラント国内では、国内外の企業や個人が様々な食料品店や料理店を新しくオープンさせていて、サービス業が成長産業になっていたのだ。
昔は食料の生産が禁じられていたので、一部の金持ちのみが贅沢な食生活を送っていたのだが、今では、全国民が世界各国の好きな物を食べられるようになり、それを提供できるお店は、大きな利益をあげる事ができた。

「それで、お菓子屋さん?」

「お菓子を作るのが大好きだから」

「そうか。でも、大変じゃない?お菓子って。技術とかさ。パテェシエなんて専門職じゃない」

「大丈夫、プロの人に教えて貰うから」

「プロの人?」

「ヨシヒロが良く知ってる人」

「誰なんだろう?」

俺は見当がつかず、首を傾げるばかりであった。


「タコがケーキ作り?」

次の週の週末、俺は、ステラにお菓子作りの師匠を紹介されたのだが、それは、俺達の行きつけの居酒屋である「蓬莱」のオヤジであった。

「タコとは何だ!タコとは!」

五十歳を過ぎて頭に一本も毛のないオヤジは、衛生面から見て、意外と調理師等に向いていると思われる。

「ご免ね。でも、どちらかと言うと、お菓子よりおつまみ専門でしょう?」

「俺に作れないものはない!これでも、若い頃はケーキ屋をやってたんだ」

「潰したの?」

「違うわ!貯めたお金で、世界放浪の旅に出たんだよ」

「へーーー。人に歴史ありだね」

「まあ。そんなわけで、俺が教えるから」

「(蓬莱)は?」

「ちゃんと、部下を育てて任せているから大丈夫」 

「部下?」

「俺は居酒屋、ラーメン屋、うどん・そば屋、カレー屋、ステーキハウス、回転寿司屋、和食レストラン、お弁当屋、ケーキ屋など、アプリリウスに四十店舗の飲食店を持っているからな」 

「いつの間に・・・。しかし、欲張ってるね・・・」

昔は「蓬莱」のみを経営していたオヤジも、現在では、それなりの規模の会社のオーナーになっていた。
飲食店の経営だけではなくて、食料品の仕入れや調理師の教育までを行っているとの事であった。

「ステラを独立させてお店が軌道に乗れば、材料等の仕入れで俺に利益が行くからな。ちゃんと教えるさ」

「そんな事もやってるの?」

「昔のコネやら現在のコネやらで、質の良い材料を仕入れられるからな」

「なるほどね。じゃあ、安心してお願いしようかな」

「任せろや。ステラは才能があるから大丈夫」

「ステラ、頑張れよ」

「うん」

こうして、五月一杯でステラはザフト軍を退役し、第二の人生を歩み始めるのであった。


(五月下旬、夜九時頃、某飲食店の店内)

「ジャック!コンガ!サルトン!オトマルク!ザンギエフ!聞いてくれよ!ステラがザフト軍を辞めてしまうんだよ!せっかく、ここ数年、とても楽しかったのに・・・」

旧ハイネ隊のメンバーは、突然元隊長に呼び出しをくらい、場末のバーでハイネに酒を付き合わされていたのが、彼は先に酔っ払っていて、愚痴をこぼしまくっていた。

「しょうがねえだろう!俺は、色惚けディアッカの相手が忙しいから知らねえよ!」

「ジャック!この際、お前の上司の事なんてどうでも良いんだよ!」

「良くねえよ!結婚して何年も経つのに、いつまでも惚気やがってよ!聞かされるこっちの身にもなれってんだ!」

ジャックはディアッカへの愚痴を語り始める。
ディアッカとアヤはその性格に似合わず、大きな障害を乗り越えて一緒になったので、いつまでも新婚気分が抜けない夫婦として有名であった。

「そうですか。ジャックは大変ですね。実はレイもザフト軍を辞めてしまうんですよ。何でも、ミュージシャンになるとかで」

「コンガの運命は、新しい隊長次第って事か」

「神の教えを理解してくれると良いのですが・・・」

レイは、ミーアからの誘いを断りきれず、パイロットとしての技量の上昇も限界を超えたという理由で、ザフト軍を退役するらしい。
肝心のシンとの技量差は、ほぼ互角という状態だったので、特に未練もないようだ。
「格闘戦のシン」「遠距離戦のレイ」というのが、世間一般の評価であった。

「それで、ジーナス兄弟はどうなんだ?」

「シンはバカだけど、ルナマリアがしっかりしてるからな。特に大変な事はないな」

「うーん。俺としては、あのルナマリアの髪型を何とかしたいな。あの前髪の無駄な一房・・・。あれを切り落として・・・」

シンは相変わらずのおバカであったが、ルナマリアと二人のジーナス兄弟がしっかりと補佐をしているので、ザフト軍若手最精鋭部隊指揮官としての評価を得るまでになっていた。

「良く理解できないな」

「ですね・・・」

「ザンギエフはどうなんだ?」

「えっ!普通ですよ。ジュール司令は、真面目ですから」

「だよな」

イザークもザンギエフも基本的に真面目な男だったので、一番まともに部隊を運営しているのはこの二人であった。

「お前達!可哀想な俺に、慰めの一言もないのかよ!」

「ねえよ!」

「神に祈ってください」

「「あるか!ボケ!」」

「きっと、次も素晴らしい方が来ますよ」

完全に酔っ払っているハイネに対して、彼らの返事はそうそう変わるのもでもなかった。


(一ヵ月後、南米某地)

「今回の任務も、左翼ゲリラ共の掃討だ。敵の使用モビルスーツは、(ウィンダム)が五機といったところかな?全員、油断するなよ」

「「「「「了解です!」」」」」

「ヴィーナス」以下の特殊対応部隊の今回の任務は、お得意さんである南アメリカ合衆国の左翼ゲリラの討伐であった。
今回はステラが抜けたあとの初の任務で、新モビルスーツ隊長の力量に注目が集まっていた。

「俺も今回は出るぞ!」

「ヴェステンフルス司令、私にお任せください」

「だがな。リンダ。今回は初の隊長任務であるし・・・・・・」

「私にお任せください!」

「わかった。危なそうだったら、俺も出るからな」

「了解です!」

ステラの後釜の新隊長は、同じく女性であった。
これは非常に珍しい事なのだが、ハイネはあまり嬉しくないようだ。

「ハイネ、今回の隊長は、えらく逞しいな」

「これで、美女なら完璧なんだがな・・・」

付き合いの長い「ヴィーナス」艦長とハイネは、今回の隊長の事を話していた。
彼女は一応女性という類の人物で、ハイネを超える身長と筋肉美を誇る、兄さんと呼ぶに相応しい人であったからだ。

「これなら、男の方が諦めが付いたってものだぜ」

「でも、良い子だからな・・・・・・」

彼女は性格は良く、部下の面倒見も良かったので部下達にはとても慕われていた。

「訓練でも、腕前は良いからな。実戦では不明だけど・・・」

「最近、実戦を知らない連中が増えているからな」

「世間一般では好ましい事なんだけど、軍人としては不安にもなるよな」

二人でそんな話をしていると、リンダの搭乗した「R−ジン恐」が出撃をする。
彼女は両腕に対艦刀持ち、腰に予備のビームライフルを装備していた。

「野郎ども!付いてきな!」

「「「「「了解!」」」」」

リンダ機を含めた六機の「R−ジン恐」は、綺麗な編隊を組んで敵のモビルスーツ隊に突撃を開始する。

「ほらほら!邪魔なんだよ!」

リンダは絶叫をあげながら、二機の「ウィンダム」を真っ二つに切り裂き、更に他の標的に向かって突撃をかける。

「ひぃ!化け物だ!」

「あっちいけ!」

リンダのあまりの迫力に、標的にされた「ウィンダム」がビームライフルを連射するが、その攻撃は簡単に回避されてしまう。 

「そんな、へっぴり腰の攻撃が当たるものかい!」

リンダが更に二機の「ウィンダム」を対艦刀で始末すると、残りの一機は、味方の「R−ジン恐」部隊に始末されていた。

「何だ。もう終わりかい?」

「隊長が、あっけなく四機も倒してしまうからですよ」

「仕方がない引き揚げるか」

「隊長!低空を一機の(ウィンダム)が逃走中です」

「何だとぉーーー!この卑怯者が!○○タマ付いているのかぁーーー!」

「助けてくれーーー!」

「逃がすかぁ!このフニャ○ン野郎がぁーーー!」

リンダが対艦刀をブーメランのように投げると、敵の「ウィンダム」を真っ二つに切り裂いて「ウィンダム」は爆発してしまう。

「よし!これで終了だ!ヴェステンフルス司令。基地の残存部隊は、南アメリカ合衆国軍に任せます。作戦終了です」


「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・。うん。ご苦労さん。戻って休んでくれ・・・・・・・」

どうやら、訓練では気が付かなかったのだが、彼女は実戦になると必要以上にエキサイトする性格のようだ。
ハイネと艦長は、その凄まじさに最低限の返事を返すので誠一杯であった。

「(はぁーーー。能力的には全く問題ないけど、何かが違うよな。ステラの時のような可憐さとかがなぁーーー。でも、部下の面倒見も良いし、腕も悪くないし・・・・・・)」

ステラの時と比べても特に不都合はなかったが、ハイネの心の中の葛藤はいつまでも消える事がなかった。


(十一月下旬、アプリリウス市郊外の某貸し店舗内)

「ステラ、新装開店おめでとう!」

「「「おめでとう!」」」

ザフト軍を退役し、「蓬莱」の店主の下で修行をしていたステラは、彼の紹介でアプリリウス市郊外に店舗に改装可能な一軒家を借りて、自分の店舗をオープンさせる事に成功していた。
そして、今日はオープン初日で多くの関係者がお祝いに駆けつけていた。

「店名は(ミネルバ)か」

「一番思い出深い艦だから」

「お店の名前としては、悪くないですわね」

俺がラクスとお祝いの花束を渡しながらステラと話をしていると、周りでは沢山の人が事前に用意していたケーキやお菓子を食べながらお茶を飲んでいた。

「さーーーて。全種類を一通り制覇したから、二週目に突入だ!」

「シン!バカ食いするな!」

「そうよ。これは味を覚えて貰うためのものなんだから」

今日はオープン初日という事もあって、大量のケーキやお菓子が無料で振舞われていたのだが、おバカなシンは一人で大量に食べ過ぎて、嫁であるルナマリアに窘められていた。
他にも、イザークとフレイやディアッカとアヤが子供を連れて来ていたり、ヴィーノ・メイリン夫妻やレイやヨウランなど、それなりの地位に就いていたり、進路が異なってなかなか会えなくなった人達が多く集合していて、一種の同窓会的な雰囲気を醸し出していた。

「メイリンは、産休中だったよな」

「はい。でも、このまま退役してしまうかも」

「勿体ないな。引く手数多だろうに。アカデミー管制科主席さんは」

「やっぱり、民間企業の方が性に合っているような気がするんです」

「ふーん」

俺はメイリンの言葉を、何となく頭の片隅に留めておく。

「フレイ、久しぶりだな」

「ヨシヒロさんも元気そうですね」

「まあね。お気楽な教官任務で、(黒い死神)も開店休業状態なのさ。しかし、そちらは男の子三人か。凄いよな」

イザークとフレイの息子三人とディアッカとアヤの娘のミリアは、仲良くテーブルに座ってケーキを食べていた。
そして、そこには俺の娘のサクラも加わっているようだ。

「毎日が大変なんですよ。でも、このお店ができたから寛げる場所が増えましたね。味も私の好みに合っているし」

「大西洋連邦元外務長官の娘に気に入って貰えたなら、このお店も大丈夫かな?」

既に、アルスター外務長官は外務長官を辞任していて、大西洋連邦や日本の企業の臨時顧問などをしながら自分の趣味に没頭する生活を送っていた。
彼の趣味とは俺の従兄弟の義則と一緒のプラモデル製作であり、「今度は重雷装装備の北上を作ろう」とか娘には意味不明の事を言っているらしい。

「このお店のケーキは、オーブのお店の味に近いですね」

「そちらの若奥さんは、敏感な舌をお持ちのようだ」

「おお!今回の黒幕さんの登場だ!」

「おうさ!俺が今回の黒幕さ!」

今までは関係者に挨拶をしていた、「蓬莱」のオヤジが俺達に話しかけてくる。

「ねえ。修行の期間が短くない?」

「筋が良かったからな。それに、長くやれば良いというものでもない。更に、新商品の開発は常に行っていかねばならない。これからも毎日が修行なのさ」

「タコの癖に、良い事言うよね」

「お前ね・・・・・・」

「それで、オーブの味に合わせてある理由は?」

「他民族国家で、ナチュラルもコーディネーターもハーフコーディネーターもいるからさ。みんな微妙に味の好みが違うんだよ」

「へえ。そうなんだ」

「私はアプリリウス市内のお店で、お気に入りってなかったですからね」

「俺もそうだが、若奥さんは他所の人間だからな。俺はステラを指導する過程で、プラントにこれから増えるであろう外国からの人間や、生粋のプラントの人間と結婚したりしてここに住むようになる、ナチュラルやコーディネーターやハーフコーディネーターの好みに合わせるように味を微妙に調節させたんだよ」

「そこまで考えているとは・・・・・・。侮りがたし!」

「俺はこれでも社長だからな」

「ステラ!恋人の俺がお祝いに駆けつけたぜ!」

俺とオヤジがそんな話をしていると、仕事の関係で時間に遅れたハイネが大きな花束を持って参上した。

「ありがとう」

ステラは特に否定も肯定もせずに、いつものテンションでハイネから花束を受け取った。

「あの二人って、付き合っているのかな?いまいち不明なんだけど・・・」

「おい!カザマ!お前が送り出した生徒の事なんだが」

「リンダちゃんの事?彼女、優秀でしょう?」

「優秀は優秀なんだけど・・・・・・」

俺の返事に、ハイネは言葉を濁してしまう。

「美少女で優秀な指揮官なんて、そう都合よく存在するものかい。それに、リンダちゃんって、よく見ると結構美人なんだよ」

身長が185センチで、パイロットしての能力もさる事ながら、入学一週間で格闘戦の教官を軽くKOした彼女は、アカデミー最高の戦士という渾名を付けられていた。

「いや、能力や本人の性格がどうとかじゃなくて、何と言うか・・・・・・。前の時のような華が欲しいというか・・・・・・」

「それは、プライベートで補え!というか、人事の事は軍本部に言え!」

「お前は教官で、若い生徒達に囲まれているからって!」

「おいおい。一回りも下の少女達に興味はないさ。ガイじゃあるまいし」

「それは、聞き捨てならないな!カザマ!」

ユリカとエミの付き添いで無理矢理参加させられていた、自称元最高の傭兵ムラクモ・ガイ(楠木重工プラント支社営業課長)が俺に文句を言ってくる。
彼は甘い物が苦手なようで、何もする事がなかったようだ。

「だって、十四歳の風花ちゃんと付き合っているんでしょう?それを世間では犯罪というような・・・・・・」

「お前だって!十五歳の女生徒の個人的な相談を受けるだとか言って、その女と二人きりで食事に出かけた挙句、嫁にバレて怒られていた癖に!」

「あれは本当に相談を受けていたんだ!俺にやましい点はないからな!」

つい一週間ほど前、進路の事で悩んでいた女生徒の相談を食事に出かけがてら受けたのだが、なぜかそれがラクスに漏れていて、俺は弁明に時間をかける羽目になっていた。

「ムキになるところが怪しいな・・・・・・」

「ハイネまでが、それを言うか?俺は本当に何もしていないからな!確かに、悩める少女の表情に一瞬萌えた事は認めるが、俺は手すら握っていない!」

「俺は、ステラ一筋だからな」

「本当かね・・・・・・」

「怪しいものだな・・・・・・」

「お前らな・・・・・・。とにかく、今日はお前達なんてオマケでしかないんだ!ステラの彼氏として、お祝いを贈るべく・・・」

「お姉ちゃん。毎日遊びに行くからね。お手伝いもするよ」

だが、ハイネがいない間に、俺の息子のヨシヒサがステラにべったりとくっ付いて離れない状態になっていた。

「あんまり無理をしては駄目よ。ヨシヒサ」

「大丈夫だって」

とはいえ、このお店の位置はクライン邸から徒歩十分の位置にあるので、通おうと思えば、毎日でも可能であった。

「カザマ!お前のガキが邪魔だ!」

「子供の純粋な心を邪魔って、それはよくないでしょう」

「お前の血筋だ!美人に目がない」

「それは否定しないな」

「ヨシヒサ。俺はステラと大切な話があるんだよ。向こうでケーキでも食べていてくれないかな?」

「何だ。ハイネか・・・。僕もステラお姉ちゃんと大切な話があるんだから、あとにしろよ」

ハイネは優しい口調でヨシヒサの排除をしようとしたが、それは無意味な事でしかなかった。
ヨシヒサにしてみれば、ステラを狙うハイネは敵でしかなかったからだ。

「何だと!父親に似て生意気な!」

「ふぇーーーん!ハイネが怒ったぁーーー!」

「ハイネ、大人気なさ過ぎ・・・・・・。ヨシヒサ泣かないでね」

ステラが、泣きじゃくるヨシヒサを抱しめながらハイネに文句を言う。

「でもさ。久しぶりに会ったわけだし・・・・・・」

「ステラお姉ちゃーーーん!ハイネが怖いよーーー!」

「大丈夫だからね」

ステラは自分の胸でヨシヒサを抱しめていたが、彼はステラに見えない位置でハイネに向かってアカンベーをしていた。

「生意気なガキめ・・・!」

こうして、ステラは自分のお店を持つ事になったのであるが、お店自体は俺の紹介でアカデミーの生徒達が多数行くようになったり、外国からのお客さんも多数来て繁盛しているようだ。
そして、ハイネも休暇になるとお店に入り浸るようになるのであったが・・・・・・。


「何だ!またハイネかよ!ザフト軍の司令って暇なんだな」

「父親に似て生意気な!」

「お姉ちゃん、ハイネが怖いよぉーーー!」

「大丈夫だからね。ハイネ、大人気なさ過ぎ」

「またこのパターンかよ・・・・・・」

俺の息子も、同じくステラのお店に入り浸るようになるのであった。


             あとがき

以前に指摘されていたカザマin連合ですが、どう考えても難しいですね。
カザマinオーブなら考えた事があるんですけどね。
ラクスに見出されないまま、父親の勧めでザフト軍を退役してオーブ軍に入り、オーブの生き残り戦略に協力するって話です。
ただ、某○の種さんの作品と似たり寄ったりになる可能性があるので、これもボツネタですけど・・・・・・。

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