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「Young Guns 3(NARUTO パラレル)」

相原 (2006-12-13 13:34)
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見知らぬ部屋の正体は、病院の一室だった。


「医者の話では、即効性の麻酔系の薬品を嗅がされたそうです。少し体が重いと思いますが、命に別状はないということです。」

淡々としつつも、長い付き合いのある者だけわかる――ヒナタとネジはもう10年以上の付き合いで、もはや兄同然だ――暖かみのある口調でネジが言う。


従兄弟であるネジは、日向一族の『分家』の出身だ。


日向家には『本家』と『分家』に分裂している。
『本家』の人間が政財界の表舞台で活躍するのに対し、『分家』の人間は『本家』を守る為に日々訓練――機械関係から銃器の扱いまで――を行い、いざという時にいつでも彼らの盾になる。
ネジは『分家』の中では20歳とかなり若いが、その能力は歴戦の特殊部隊と引けを取らない。既に何度か『実践』に参加した事もあると、ヒナタは噂で聞いていた。

が、今は頭が重い。また意識がボオッ・・・・と遠のく。


「無理をなさらなくて結構ですから、もうしばらく横になっていてください。」


ネジが言い終わらないうちに、ヒナタは再び眠りについていた。


また、あの少年の夢を見た。


・・・・・・あの蒼い瞳に惹かれてしまうのは、なぜなのだろうか。


少女の寝息が聞こえてくるのを確認すると、ネジはよれた毛布を直してやってから病室を出た。

病室の前には私服警官が2人立っている。ネジは警官達に頷くと、携帯電話が使える休憩所へと向かった。
この病院には全部で10人以上もの警官がヒナタの警護に当たっていた。外には更にSWAT―警察特殊部隊―の隊員達が、フル装備でいざという時のためにスタンバっている。


なぜ少女1人にこれだけの護衛がついているのか。

それは。


ネジの指が素早く動いて携帯の短縮ダイヤルを打ち込む。
相手は待ち構えていたかのように、1コール目でネジからの電話に出た。


「ヒアシ様ですか。」
『ネジか。』


日向ヒアシ。日向『本家』の現当主にしてヒナタの父親。

警察庁長官。


「ヒナタ様は問題ありません。恒久的な障害などの心配はまったくないと医者は話しています。」
『ヒザシからも連絡があった。ハナビを1時間前に無事に家へ連れ帰ったそうだ。』


ヒザシはヒアシの弟でネジの父、ハナビはヒナタの5歳年下の妹だ。


「ヒナタ様を襲った者達の正体はわかったのですか?」
『全員水の国からの密入国者だ。あちらのデータベースを照会して判明した。』


水の国。ここ火の国の隣国で、海を渡ってくる外来品の半数が集まる有数の集散国だ。
しかし大陸に渡ってくる物の中には当然非合法な物――銃、麻薬、密入国者エトセトラ・・・――も含まれる訳で、そういったのが集まるのと併せてそれに絡んだ利権を狙って犯罪者達もこの国に多く流れ込んでいる
そのおかげで水の国の治安はまあまあの大国ながらかなり悪い。外来品の関税によって財政はかなり豊かなはずだが、無法の国を捨てて火の国にやってくる者も少なくなかった。
そして数年前から、両国を結ぶ犯罪シンジケートが存在しているという情報を、ネジは仕事柄知っていた。
今回の誘拐犯・・・『元』誘拐犯・・・の正体が水の国の密入国者ならば、そのシンジケートが絡んでいる可能性は高い。


が。それがなぜ、ヒナタを襲ったのだろうか。


『正体ははっきりした。問題は誰がその者達を殺したのか、だ。』
「我々の側の者ではないことは確かです。」


政府の重要人物の子息ながら、ヒナタには主だった護衛は付いていない。

ハナビはまだ小学生なので有無を言わさず付いていたが、ヒナタは高校に入ってから周囲の迷惑になるかもしれないし分家の手を煩わせたくないという理由で拒否したからだ。
最初はそんな訳にはいかないので密かに見張っていたが、どういう訳かヒナタがそれに感づいて――相手はプロで、ヒナタはただの女子学生なのにもかかわらず――止めさせたのである。


やはり止めなければよかったと、ネジは後悔している。


『・・・・その事についてはこちらで詳しく調べておく。これから各地の高官達と会議があるから切るぞ。』
「わかりました。最後に1つ、再び襲われる危険を考えていくつか『対策』を取りたいのですが。」
『許可する。』


電話は切れた。間を置かず今度はそらで番号を打ち込む。


丁度良い人材が、確かあそこにいる筈だ。


あとがき:テスト明けで今回は短めです。今度はナルトサイドです。

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