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▽レス始

「蟲と獣のコンチェルト第10話(まぶらほ+GB)」

ラッフィン (2006-11-26 23:36)
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和樹が土竜擬で地下を掘り進んでから30分。何も目印がないために距離はわからないが、少なくとも1Kmは進んでいると思われる。その中で何もやることがない女性4人はネリーのことについて話していた。

「ネリー。あなたはなんで第五装甲猟兵侍女中隊に入隊したの?」
「・・・私は前にみなさんに見せた邪眼のために家政学校時代から嫌われ者でした。陰湿ないじめも何回も受けましたが、私のことを理解してくれた友人がいたので、無事に私は家政学校を首席で卒業しました。しかし、私の能力を恐れどの部隊にも配属希望が通らなかったんです。そのときでした。リーラ大尉(ハウスキーパー)からお誘いを受けたのは」
「それがきっかけで入隊したのね?」
「はい、私のことを理解してくれ、その上でお誘いしてくれたのです。私はそれが一番嬉しかったんです」
「いい人なんですね〜」
「はい、私の憧れであり、目標とする人ですから」

しかし、またも不幸が起こってしまったので、自分には幸せになることが出来ないのかと落ち込んでしまった。だが、ネリーは一つ忘れている。それを指摘する者がここにいるネリー以外の人達である。

「あのね〜、あなた・・・何か一つ忘れてない?」
「え?」
「今、ここにいる私達は何?」
「あ・・・」

ケイ達に言われて気がついたようだ。その様子にケイ、矢夜、松葉はニッコリと笑って語りかける。

「あなたは本当についてるわ・・・」
「確かにね。今までの苦労の分、これからは幸せになるんじゃないかな?」
「うんうん」
「あの・・・みなさん?」

困惑しているネリーに向かって三人は自信満々に言い放つ。

「私達はGetBackers」
「依頼成功率100%の奪還屋よ」
「今回の依頼は仲間のメイドの救出」

「「「絶対に成功させるわ!」」」

最後は声を揃えての宣言。彼女達は失敗するとは思っていない。自分の力を信じているし、何よりも・・・。

「みんな止まって、上で何か起こってるみたい」

何よりも和樹がいるので、みんな安心できるのだ。その件の和樹に止められるが、上で何か起こっているかなんてわかるはずがない。わかっていない4人を他所に、和樹は目を瞑る。

「百獣擬態、兎擬!」

兎に擬態して聴力をアップさせる。これで、地上で何が起こっているのかを調べるようだ。しばらくすると、和樹は目を開け上をにらみつけた。

「この上で何か追いかけられているみたい」
「どうするの?」
「もちろん助けるよ。みんな準備して、上に出るよ!」
「「「「はい!」」」」

「百獣擬態、土竜擬!!」

ボコオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

和樹は両手を使い、2方向に穴をぶち開けた。一方に和樹、松葉。もう一方にケイ、矢夜、ネリーが飛ぶ。和樹達は久しぶりに地上に飛び出したのだ。


第十話「メイドだよ。全員集合」


ピィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

和樹が獣笛を吹くと空から様々な種類の鳥達が水銀旅団に襲い掛かる。矢夜とケイは鳥達から逃れた団員を相手する。

「風鳥院絃術、守の巻、第壱拾六番の弐、渦潮の陣!!」

ケイの指から作り出される波動によって絃が擬似竜巻を起こす。旅団はそれに巻き込まれて空高く舞い上がる。

「筧流針術、飛燕!!!!」

ドドドドドドドド!!!

矢夜が小柄な体全体を使い鋭く投げられた飛針が団員を木に貼り付ける。3人の活躍により、団員はメイド達に近づくことが出来ないでいた。そこに松葉がとどめをさす。

「眠りの嫡羅よ。今こそ全ての生きとし生けるものに死にも等しき安らぎをもたらしたまえ」
コオオオオオオオオオオオオオオ・・・・

松葉の言葉の直後にこの場にいた旅団全員が深い眠りに入ったのだった。メイド達はその戦いと呼べるかわからない一方的な展開にただ呆然と見ているしかなかった。そんなメイド達に和樹は話しかける。

「さて、現状がどうなっているのか聞かないとね。そこのメガネの君。質問いいかな?」
「ははははい!なんでもお聞きください!!」

メガネの君――エーファ――は声をかけられたことに気がつき慌てて返事をする。そんな彼女の様子に苦笑しながらも和樹は現状がどうなっているかを聞いた。

「えっと〜・・・どこから話せば良いでしょうか?」
「とりあえず、ネリーがいなくなった後からお願い」
「わかりました。ネリー少尉(パーラーメイド)が行方不明になられた直後に、旅団に挟み込まれまして、固まって移動は危険と言うことでそれぞれ少人数にわかれたのです。しかし、分かれたと言っても襲撃から非難したときに近かったもの達で作った即席チームですから均等とは言えません。そして、私達は逃げ続けていましたが、あなた達に助けてもらったのです」
「なるほど・・・つまりは他の人達の情報はないわけだね?」
「はい・・・申し訳ありません」
「いや、説明ありがとう」

エーファの話だと、他のメイドも似たような状況であると言える。つまり、お互いの場所がわからないので助けを呼ぼうにも出来ずにそのグループで全部を対処しなければならないのだ。
和樹は思考に集中してしまい黙り込むも、今度はエーファ達が質問をしてくる。

「あの・・・あなた達は何者ですか?ネリー少尉と一緒に出てきましたが」
「ああ、そうだね。じゃ、自己紹介するね。僕は式森和樹」
「私は、諏訪園ケイ」
「・・・千野矢夜」
「結城松葉だよ」
「僕達はネリーの仲間である君達を助けるたけにきた奪還屋さ」

一通りの自己紹介を済ませた和樹達は今は、エーファ他10人のメイド達と食事をとっていた。森の中だけあって魔里人である和樹はその能力を使い、動物達に周囲の警戒と島全体の様子を見てもらっている。和樹自身はきのこや木の実など食べられるものを採ってきて、メイド達がそれを使って料理をしてくれたのだ。

「むぐむぐ・・・おいしい」
「ほぅ、温まるわ」
「これもう一個いっちゃおう」

そんな和やかな食事の中、和樹の肩に一羽の鳥がとまる。和樹の箸がとまり顔にも緊張が走る。どうやら、島の情勢調査が終ったようだ。和樹はゆっくりと箸をおき、みんなに向かって話し始めた。

「話を聞いて欲しい。他のメイド達の状況がわかったよ」

その言葉に全員の箸がとまり、視線が和樹に集中する。

「安心していい。まだ、捕まったり殺されたりしたメイドはいない。それで、どこにいるかもわかっているんだ。みんなの意見を聞きたい」

食事どころではなくなり、地図を広げて作戦会議に移る。ここで活躍したのはネリーとケイであった。和樹の得た情報を元に地図にメイド、敵、他のメイドの位置を書き込む。

「敵本隊は西側にいて、他のメイド本隊と戦闘中、リーラ大尉達もそこにいると・・・」
「この戦闘には今の状態ではつっこんでいくのは無謀ね・・・数が足りないわ」
「ということは、仲間達を助けていって戦力を増やしてからですね」
「それしかないわ」
「しかし、それではリーラ大尉が捕まってしまうかもしれない」
「そこでよ。少数精鋭をリーラの部隊に合流させるの」
「それは、その精鋭が危険です!敵に見つからずに合流することは困難です!」
「それが出来るのよ。あなたも知っているはずよ」
「そんな方法は・・・アレですか?」
「そうよ」
「アレなら確かに可能ですね・・・わかりました。その案でいきましょう」
「決まりね」

作戦は決定した。まず、部隊を2つにわけ、一つは近くの仲間から救出していく部隊。もう一つはリーラ達の護衛部隊である。ただ、護衛部隊には少数しか振り分けないでおく。本命は救出部隊で、仲間を救出し戦力を増強。そして、リーラ達を保護するという作戦だ。護衛部隊は言わば、本命の到着するまでの時間を稼げればいいのだ。ここまで話で反論はなかった。
そして、部隊編成に移る。
まずは、救出部隊。ネリーが指揮をとることにして、松葉、ケイ、新人メイド7人という編成。
護衛部隊、和樹、矢夜、エーファ、新人メイド3人である。

「今から10分後に出発します」

ネリーの言葉で、みな準備に取り掛かる。10分後、準備を整えた救出部隊と護衛部隊。いよいよ出発だ。

「では、式森様。私達は行ってまいります」
「うん、気をつけて」
「そちらも御武運を」

ネリーは和樹と言葉を交わすと出立した。和樹と矢夜はケイと松葉に声をかける。

「ケイさん、松葉ちゃん頑張って!」
「絶対にまた会おうね!」
「「もちろんよ!」」

二人から元気な声が返ってくる。それを聞いた和樹はこれなら大丈夫だなと安心する。そして、自分達も出発するために声をあげた。


和樹達と別れてから30分、救出部隊は第五装甲猟兵侍女中隊のメイドを発見した。和樹の集めた情報通りの位置にいたためにすぐに見つけることが出来たのだ。幸い、近くに敵もいないようであるが、ネリー達は油断せず慎重に近づいていく。

「ツィスカ」
「ん〜?今の声は〜・・・ネリー!!」

ツィスカと呼ばれた少女は声の主が誰だかわかり、トロンとしていた声が目が覚めたように力が篭る。ツィスカ・シュトゥンメ少尉(パーラーメイド)、ネリーの同級生である。
そこにはツィスカを中心に准尉以下の階級メイド数人がいた。

「ネリー、よかった〜。無事だったのね〜」
「ええ、優しい人達に助けてもらってね。この通りよ。それより、状況はどうなの?」
「私達は、ちょうどここで休憩をとっていたんだよ〜。はぁ、私はゆっくりと寝たいのに〜・・・らしくないと思わない?」

ツィスカは自他共に認める怠け者である。

「あなた達はこれで全員?」
「そうだけど・・・あれ〜?あなたは誰?」

ここでようやくケイと松葉の存在に気がつくツィスカ。ネリーは簡単にケイと松葉を紹介する。

「私の恩人で、諏訪園ケイ様と結城松葉様です」
「そうなんだ〜。ネリーを助けていただきありがとうございました。ケイ様、松葉様」

さすがにメイドだけあって礼儀正しく返す。怠け者であっても、メイドである。そこらへんはちゃんと訓練されていた。

「ツィスカ準備して。他の仲間を助けに行くわ」
「それはいいけど〜、どこにいるかわからないわよ?」
「それは平気よ」
「どういうことですか?ケイ様」
「もう場所は特定されているから、後は迎えに行くだけなのよ」

どうやって調べたか疑問に思うも、ケイにその情報を書いた地図を見せてもらい信用することにするメイド達。自分達を見つけたということが証拠になる。

「よくここまで情報を集められたわねぇ・・・」
「はい、私を助けてくれた人達のおかげです」
「ってことは、ケイ様と松葉様がこれを?」
「いえ、式森和樹という男性です」
「へぇ・・・どうやってここまで」

ツィスカと他のメイド達は正確な情報に心底感心している。この混沌と化した戦場でここまで情報を集めた能力に。一体どんなマジックを使ったのだろう?と・・・。

「ツィスカ達は信じられないかもしれない。実際に私も見たから信じられたけど、見なければ信じられなかったことよ」
「それって?」
「式森様は動物を使ったの」
「はい?」
「動物、今回は鳥ね。鳥達に情報を集めさせたのよ」

ネリーの言葉を理解できないツィスカ達。動物に集めさせた?式森って男性はサーカスの猛獣使いか何かなのか?といったところだろう。動物と会話できる?端から見たら危ない人に見えてしまうような光景だ。
困惑の表情のツィスカ達の反応にケイ、松葉、ネリーも苦笑するしかない。自分達も実際に見なかったら同じ反応をしただろうから。

「こればっかりはね・・・」
「実際に見てみないと信じられないだろうから」
「ですね」

ひとまず、この話題を終わりにし、ツィスカ達はすぐに準備取り掛かる。といっても、すぐに準備は整い、5分後には出発できたのだった。
20分後には第四猟兵メイド小隊小隊長のルイーゼ、その20分後には同じく小隊小隊長のエルゼと、ネリー達救出部隊は順調に仲間を集めることに成功する。途中で何度か水銀旅団や他の中隊メイド達と遭遇し、戦闘に入ったがネリーの指揮とケイ、松葉の嫡羅によって切り抜ける。そして、救出するメイド達はリーラ、セレン、ロヴェルティーネ、ヘルガ、メラニー、他数人となる。

「ヘルガ一等兵(ワードメイド)、メラニー二等兵(キッチンメイド)他数名のメイドを発見」
「水銀旅団発見!完全に包囲されている模様です」
「どうする?ネリー」

救出する最後のメイド達を発見した。ネリーに意見を求めたのはマルグリット・ジーファス少尉。たたき上げのメイド戦車兵である。
ネリーは少し考えた後、みんなに指示を飛ばす。

「第一、第二猟兵メイド小隊は右に、第三、第四猟兵メイド小隊は左に残りは装甲メイド小隊を中心に中央へ!敵に奇襲をかけます」
「「「「「「「了解!!」」」」」」」

ネリーの指示ですぐさま陣形を整えるメイド達。小隊隊長を中心にものの3分で陣形を作り奇襲をかける。ケイと松葉はネリーと共に第一猟兵メイド小隊のところにきている。

「突撃!」

ネリーの合図でメイド達が奇襲をかける第五装甲猟兵侍女中隊のメイド達。

ガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

「敵兵の襲撃です!」
「なにぃい!!」
「どうしますか?」
「撤退だ!撤退しろ!!」
「は!」

蜘蛛の子を散らすように撤退した水銀旅団。戦いはあっけなく終った。ネリー達はメラニー達のところに駆け寄る。水銀旅団の上層部はまともな人がいたようで何よりである。

「ヘルガ!メラニー!!」
「ネリー?あれ?みんなもいるのね」
「数人足りないけど、ここにいるみんなは無事よ」
「リーラ大尉は?セレン中尉とロヴェルティーネ軍曹(ナースメイド)は?」
「これから助けに行くの」
「大尉達は大丈夫かしら?」
「リーラ大尉達の実力は知っているでしょ?それに援軍も送ったから大丈夫よ」
「援軍?」
「そ、援軍。さあ、私達もすぐに出発するわよ」

ヘルガ、メラニーは援軍のことが気になったがはぐらかされてしまう。しかし、ネリーの言うことも理解できる。いくら実力があろうと数で押されては押し切られてしまう。だから、早急に応援に向かうべきだと理解したのだ。

「第一猟兵メイド小隊準備整いました」
「第二猟兵メイド小隊同じく完了です」
「第三猟兵メイド小隊右に同じ」
「第四猟兵メイド小隊右に同じ」
「戦車猟兵メイド小隊準備完了」
「捜索メイド小隊も完了しました」
「装甲メイド小隊もOKです」

各小隊から準備完了の報告が届く。報告を受けたネリーは小さく頷き号令をかける。

「では、リーラ大尉、セレン中尉、ロヴェルティーネ軍曹の救出に出撃!」
「「「「「「「了解!!」」」」」」」

その一糸乱れるぬ行進にケイと松葉は感心する。

「なんかすごいね・・・」
「ええ、よく訓練されてるわ・・・」

先ほどから会話に入れずにいるため、二人は少し寂しそうである。


「てぇえええええ!!」

ズゴオオオオオオオオオオ!!

「目標に命中しました」
「よし、突撃開始!!」
「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」

水銀旅団の下級兵士達がカメラ片手に突撃を開始する。まるでコミケの会場が開いた瞬間のような光景である。さながら、ここはビックサイ○のようだ。

「敵影つっこんできます!」
「シャーリーン小隊及び、ブロンズ・パレット小隊。これを迎え撃て!」
「「了解!」」

メイド服をつけた女性達が軍隊の如くに動いている。指示を出したのはメガネをかけたクールビューティー。指示を受けた女性も見事な敬礼を返し、姿勢良く指示を伝えるために歩いていく。急いでいるが、走ってしまうのははしたない。そう訓練されているのだ。だが、歩いているはずなのだが、そのスピードは下手な人が走るより早いのはどうしたことか?深くはつっこんではいけない気がするのでそうしよう。あえて理由つけをするなら『メイドさんだから』ということで納得してもらいたい。

「メイドさ〜〜〜〜ん!!」
「メイドさん・・・・ハァハァ」
「萌え〜〜〜〜〜!!!」

カシャカシャカシャカシャ!!!

旅団の下級兵士達のフラッシュ攻撃が始まった。実際のダメージは受けないが精神ダメージは多大である。

ガガガガガガガガガガ!!!!

だが、その攻撃はこのメイドさん達には効果ないようだ。効果がなければもう後は役立たずなだけである。あっという間に迎撃されてしまう旅団達。思うのだが、こいつらを派遣してなんになるんだろうと思う今日この頃。旅団の考えていることがわからない。まぁ、話を戻して。旅団上層部。

「第一波迎撃されました」
「あの、役立たずどもが・・・こうなれば、奴らを呼んで来い!」
「あの者達を使うのですか?」
「ああ、こうなれば使うしかあるまい。本当なら使いたくはなかったのだがな」
「は!ただちに!!」

旅団は秘密兵器を送り出そうとしていた。これにより、戦場は一段と激しくなるのだった。

「整列!」

旅団の陣地に気合の篭った声が響く。先ほどの下級兵士とは一味というか次元の違う雰囲気である。その者達は全員がピンク色のパジャマをつけていた。これが水銀旅団の切り札、ピンクパジャマ中隊(カンパニー)である。
後ろに控えているだけで敵には恐怖を、味方には士気を与えてくれるという伝説の部隊である。それもそのはず彼女達は元メイドで厳しい訓練をしてきた猛者達なのだ。しかし、様々な理由によりパジャマを着せられ、結果裏切った形になった彼女達は戦場を望み、元仲間であっても容赦はしない。その恐ろしいまでの闘争心が敵に恐れられている理由である。

「構え!・・・・・突撃!!!」
「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」」」

そのピンクパジャマ中隊を指揮しているのが、アリシア大尉である。ピンクパジャマ隊随一の戦士だ。彼女の掛け声に隊員達が雄たけびで答え、メイド達に向けて突撃していく。

「シンシア大尉!ついに奴らが・・・ピンクパジャマ中隊が出撃してきました!」
「なに!!ついに動いたのか!!奴らが動いたからには我々も全力で迎撃にあたるぞ!」
「はい!」
「気合を入れろ!今までの奴らとは次元が違うぞ。油断しているとすぐにやられる!」
「りょ、了解です!」

ピンクパジャマ中隊が動き出したことでメイド陣営も慌しくなる。中隊隊長のシンシアも戦闘準備をしながらもこれからの戦いをどう乗り切るかに頭を悩ませていた。ピンクパジャマ中隊が出て来たからには多少の被害を覚悟しなければならない。それほどまでに恐ろしい敵なのだ。

「ったく、面倒なことが立て続けに起こる・・・」

愚痴をこぼしながらも戦場へ向かうシンシアだった。
その様子を監視している目がある。シンシア達と同じくメイド服を着ている褐色肌の女性だった。

「セレン、どうだ?」
「ついにピンクパジャマの奴らが動き出したみたいだよ。シンシア達の顔に緊張が浮かんでるぜ」
「奴らが動いたのだから当然の反応だな・・・」
「うちらはどうする?今のままじゃ戦いにすらなんねぇぞ?かといってシンシア達と組むのは論外だ」

セレンと呼ばれた褐色肌の女性は銀髪のメイドに返事を返す。銀髪の女性――リーラ――はしばらく考えるそぶりをすると。

「こちらは敵に見つからずにこの場を離れよう」
「それはさっきからやろうとしてっけど、旅団が完全に包囲してっから無理だろ?」
「シンシア達と本格的な交戦に入ったら隙を出来るだろう。そこをついて火力を一点集中して壁を突破しよう」
「へいへい、了解」

セレンは気のない返事をすると再び監視に戻った。リーラはいつもどおりの様子のセレンに安堵し、この状況をどうするかについて思考を巡らす。だが、リーラの思考とは違う展開になってしまうのだった。

「撃てぇええええ!」

ガガガガガガガガガガガ!!!

「ひるむな!突撃だぁああああ!!」
「「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」」」」

ピクンクパジャマとメイドが中央で激しく戦闘を開始した。先ほどの下級兵士との馬鹿みたいな戦闘とは違う、本物の戦争である。これに乗じてリーラ、セレン、ロヴェルティーネが動き出す。

「リーラ大尉!前方にピンクパジャマ中隊が!」
「馬鹿な!何故奴らがここに!!」

水銀旅団の包囲網は下級兵士によって構成されていた。そのために数で劣っていようとも火力を一点集中すれば突破が可能だと考えていたリーラ。しかし、ピンクパジャマ中隊がいれば話が別である。

「中尉!前方にメイド3名を発見しました」
「何!!撃退しろ!」
「は!!」

ピンクパジャマにもリーラ達が確認でき、見つかってしまった。ピンクパジャマはすぐに追撃部隊を送り出す。その数、数十人。とてもではないが3人で闘うことはできない。リーラは素早く判断し、セレンたちに叫ぶ。

「セレン、ロヴェルティーネ。撤退だ」
「「了解」」

指示を受けた二人も歴戦の戦士だ。引き際を心得ていて、リーラの言葉にも素早く反応した。

「メイドが逃げます!」
「追え!メイドを逃がすな!!」
「は!!」
「我々は本隊の援護だ!」
「了解」

どうしてピンクパジャマ中隊がいるのかというと、作戦であった。その作戦とはアリアイ率いるピンクパジャマ中隊の本隊が正面からしかけ、そこに戦力を集中するメイド達の後ろから別働隊が奇襲をかける寸法だった。そこで、リーラ達は鉢合わせてしまったのだ。今までピンクパジャマ中隊が投入された戦場は少ない。そのおかげで中隊メンバーの人数が把握できなかったために作戦を先読みできなかったのだ。情報不足が仇となってしまったことにリーラは小さくしたうちをした。

「リーラ、奴ら追ってくるぜ」
「こっちは3人、それに対して向こうは数十人だ。我々に勝ち目はない。今はとにかく逃げるんだ」
「リーラ大尉!前から第二装甲猟兵侍女中隊が!」
「な!はさまれたか!!」

前からはメイド服の第二装甲猟兵侍女中隊の隊員が見えた。

「あ、第五装甲猟兵侍女中隊のリーラ、セレン、ロヴェルティーネです!」
「何!捕らえろ!!」
「了解!」

第二装甲猟兵侍女中隊のほうもリーラ達に気がつき向かってくる。
後ろからはピンクパジャマ中隊が・・・。リーラ達にとって敵の敵は味方ではなく敵である。まさに絶体絶命のピンチだ。ふと横を見ると急斜面見える。その下にいけば簡単には追撃されないであろう。だが、大怪我も覚悟しなければならない。
リーラはセレンとロヴェルティーネに問いかける。

「セレン、ロヴェルティーネ。どうしたい?」
「私は第二装甲猟兵侍女中隊に捕まるのも、ピンクパジャマ中隊に殺されるのも嫌です」
「ああ、あたいもそうだ。そうなるくらいだったら自分で命を絶つことを選ぶよ」

その二人の言葉にリーラは決断する。

「そこに飛び込むぞ・・・」
「そこって・・・・なるほど」
「いいんじゃないか。あたいはやるよ」
「よし、合図で跳ぶぞ・・・」
「「おう!」」

リーラ達を追撃してきたピンクパジャマ中隊と第二装甲猟兵侍女中隊が鉢合わせた。

「今だ!」

リーラの合図で3人は急斜面に飛び降りた。両腕で頭を護り転がり落ちていく。そこでリーラ達の意識がブラックアウトした。


あとがき

お久しぶりです、この話も10話になりました。ラッフィンです。

あれ?メイドさん全員合流しませんでしたね・・・名前は出したけど。ごめんなさい。

2週間ぶりに投稿です。先週は風邪でぶったおれたり、テストがあったりと書く暇がありませんで。遅くなりました。

さて、次回はリーラを・・・・・させます!期待しててくださいwピンクパジャマの処遇はどうしようかな?

では、次回に会いましょうw


レス返しでございます。ご主人様♪


D,様

年齢不詳の人物は謎が多いのはお約束です♪

馬和樹・・・私にピンク空間を期待しておられるのですか・・・・


秋桜様

今回は妄想なしでした、一話一妄想は難しいですね。でも、妄想ばっかだと、この話に見所は?と聞かれたときに、松葉の妄想です。と言われそうで・・・(笑)

水銀旅団はたぶん、ピンクパジャマ中隊のおかげだとw


覇邪丸様

原作の和樹君はある意味タレてますよ?前に「ヘ」がつきますけどw
和樹君は女の子に振り回される運命なのです。男には不幸をまかれる運命ですけどw
和樹君、友達に恵まれませんね・・・


黒冬様

瞬殺はできませんでした〜ぴんくのパジャマが出てきましたから〜。
彼女らは強いですよ〜www

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