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「鬼畜世界の丁稚奉公!! 第八話後編(鬼畜王ランス+GS)」

shuttle (2006-11-12 17:32)
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―リーザス城近くの荒野―

荒野を慣れない足取りで進んでいく少年の姿。
リーザス影の宰相ことマリス・アマリリス直属の諜報機関員、カーチス・アベレンである。

「横島さん・・・無事でしょうか・・・」

自分を置いて先に行ってしまった横島の姿はとうに見えない。
横島を追いかけるため急ぎたいのは山々なのであるが、自分の決して優れているとはいえない体力と運動神経では、この荒れ果てた土地を転ばずに走るなど無理だった。
幸い、と言っていいのかは微妙だが、地面には血が点々と続いているため道を誤ることはない。

「もし・・・本当に魔王が・・・それに魔人がいたら・・・」
自分の推理に確証を持っているわけではないが、もし当たっていた場合に想定される最悪の事態が頭によぎり、カーチスは身を震わせる。

「先走ったマネをしないでくれたらいいんですけど・・・」
カーチスは未だ一月程度の付き合いであるとはいえ、あのような真剣な・・・真に迫った態度の横島を見たことがないため、戸惑っていた。
普段の横島の姿は・・・何というか、人としてどうか?と問いかけたくなる行動ばかりなのだ。
ただ、今まで同年代の人間と普通の交流が持てなかったカーチスにとって、横島の裏表のない、明け透けな態度は好ましいものでもあったが。

尤も、この世界へ来てようやく掴みかけた手がかりであるのだから、気持ちは分からないでもなかったが。

とにかく、横島に追いつきサポートをしなくては――本当は横島にも、そしてマリスにもリーザスへ帰還せよと言われているのだが。
マリスには状況の詳しい報告のためにも現場に赴く必要がある、と半ば本音の半ば建前を返しておいた。
横島は・・・とにかく心配なのだ。
自分が行ったところでヘタをすれば死体が増えるだけかもしれないのに。

頭の中で考えてもどうしようもないことばかりがグルグルと空回りし、カーチスは兎にも角にも自分の足を急がせるのであった。


「あれ・・・あの砂埃・・・なんでしょう?」
駆け足で恐る恐る進んでから後、カーチスは遥か遠くに巻き起こる砂埃を発見した。

しばらく目で追いかけていると、それは何かの群れが移動して巻き起こっているものだと判断する。
何か・・・ここでまたも嫌な予感がよぎる。
即座にカーチスは砂埃の元凶を見極めるべく遠見の魔法をかけた。

そして目に映った光景が、自分の嫌な予感が正解であったことを告げる。
それは何百匹にも及ぶモンスターの群れ。
しかも、その進行方向の先にあるものは・・・紛れもなくリーザス城であった。


〜鬼畜世界の丁稚奉公!!   第八話「魔人襲来 後編」〜


―リーザス城 謁見の間―

謁見の間、その中央に据えられたやたらと大きなテーブルを、ランスを中心にリーザスの主だった将軍達が取り囲んでいる。

テーブルの上には戦略地図、その余白にはデカデカとランス自らが汚い字で『生意気な自由都市ジオを踏み潰すホワイトベース作戦』と書いてある。
居合わせた将軍達にその意味は不明だったが、誰も尋ねるものはいなかった。

「失礼します、ランス王!!」
そこへマリスが彼女らしからぬ冷静さを欠いた様子で駆け込んできた。

「どうした、マリス?俺様に抱かれたくて走ってきたのなら、今すぐにでも・・・」

「冗談を言っている場合ではありません!モンスターの軍勢がリーザス城へ進攻しつつあると情報が入りました!」

「別に冗談じゃ・・・って・・・なっ、なんだとお!?モンスターだぁ!?」
ランスだけでなく、その場にいた将軍達にもどよめきが走る。
リーザス王国は魔物の世界に面しているヘルマン、ゼスに比べて圧倒的にモンスターに対する危険認知度が低い。
ましてリーザス城にいきなり軍勢が押し寄せるなど・・・まるで1年前の悪夢を再現しているかのようである。

「幸い、発見が早く、到着まではまだしばらくかかるだろう、とのことですが・・・」
いかがなさいますか?とマリスは目でランスに問いかける。

「ぐぐ・・・気に入らん・・・っ!人がこれから戦争仕掛けようとしている時にっ!!・・・とにかく迎撃だっ、リーザスの街には指一本触れさせるな!」

それまでジオ攻略の軍議の場であった卓上は、即座にリーザス城防衛のためのものへと変わった。

「バレス、具体的な作戦は全て任せるから前線で指揮を取れ!コルドバとメルフェイスの部隊を好きに使うがいい」

「「はっ!」」

「リックとエクス、お前らの部隊は待機だ。モンスターを蹴散らしたら俺様の部隊とすぐにでもジオへ攻め込むからな、準備だけはしておけ」

「分かりました、キング」
「ランス王の仰せのままに」

即断即決。
ランスは苛立たしげに指示を下した後、玉座へと戻り荒々しく腰を下ろす。
将軍達はランスに敬礼をしたのち、すぐさまそれぞれ受けた命令を果たすため謁見の間から去っていく。
あとにはランスとリア、マリスだけが残された。

「ダーリン・・・」
「ったく・・・。貴重な兵をモンスターごときに使うハメになるとは・・・どうせ襲うならゼスとかヘルマンにしやがれってんだ」
ランスは心配そうに声をかけてくるリアを無視し、ぶすっとした表情でぼやいた。


―リーザス城 上空―

一方、その頃。

「ケケケケ。アソコが親玉のいる場所デスねー」
モンスターの軍勢より先んじてリーザス城の最奥まで飛んできたユキは愉快そうに呟いた。
そのまま謁見の間の屋根の上に降り立つ。

すぐさま窓を蹴破ってリトルプリンセスの行方を小一時間問い詰めようかとも思ったが、とりあえず天窓の影から中の様子を窺うことにする。
奇襲攻撃を仕掛けさせ、慌てふためく人間の親玉を見て笑おうと・・・もとい、その反応でリトルプリンセスが本当にリーザスへ逃げ込んだのか判断してやろうと目論んでのことでもある。

窓から見える部屋には玉座に座った男女二人に侍女らしき女が一人しかいない。
真剣な表情で何かを報告しているようだが・・・。

ユキはとりあえず彼らの会話に耳を傾けることにした。


―リーザス城 謁見の間―

「ランス王、そのモンスターについて少しお話が・・・」
マリスは頃合を見計らってランスに進言する。

「なんだ?」

「マリス、何か知ってるの?」
少し含みのあるような表情を見せるマリスをきょとんとした顔でマリスを見つめてくるランスとリア。

「はい、先ほど『魔物の洞窟』を監視している砦へと派遣した者達から――」
マリスはコトの次第をランスとリアに説明しはじめた。

砦がモンスター達に襲撃され、壊滅したらしいということ。
あくまで可能性の話だが、モンスター達を率いているのは魔人かもしれないということ。
その魔人たちが探し回っているという行方不明の魔王がリーザスへやって来ているかもしれないということ。

「魔王だと?・・・あれか、前にここで出くわしたジルとかいうババア・・・」
ランスはリーザス城地下で魔剣カオスにより封印されていた元魔王の名前を思い出す。
今もまだ生きているかもしれないが、この世界からは既にいなくなったはずだが・・・。

「それは先々代魔王ですね。当代魔王はリトルプリンセスという、まだ年端も行かない少女だそうですが・・・」

「む・・・女の子か、可愛いのか?」
魔王という事実は一切関係ないらしく、可愛いか可愛くないかの一点のみが重要なのがランスらしい。

「それまでは何とも・・・。ただ、先の情報などを考えると我が国に保護を求めてくる可能性が・・・」

「可愛ければ保護する」
気持ちいいぐらいにシンプルな物言いだった。

「ぷぅ、ダーリンったらそればっかり!魔王だよ?危ないかもしれないじゃない!」

「魔王だろうが関係ない。可愛い女の子は助ける。それが俺様の信念だ」
頬をぷくぅと膨らませて抗議してくるリアをよそにのたまうランス王。

(信念が通っているにはいるけど、やっかいな信念だこと・・・本当に・・・)

マリスの頭痛の頻度は日増しに多くなる一方であった。


「魔王・・・リトルプリンセス・・・保護、むむむ」

断片的に聞こえてきた単語からは、確かに彼ら魔人たちが追っているリトルプリンセスのコトのようだが・・・。

「ケケケケケケ。『一聞は百聞に如かず』一回聞いて分からなければもう一回聞けばイイだけデスよー。あらよっ!!」

―ガシャーーン!!

「な、なんだぁ!?」
「―!?きゃあああああ!!」
「リア様!!」

天窓に両手のマジックハンドを叩き付け、軽々とぶち破る。
割れたガラスが飛散し、謁見の間に雨の様に降り注いだ。
ユキはその散らばったガラス片の上にケタケタ笑いながら降り立つ。

「オイッス、ごきげんよう。ニンゲンの親玉!」

デカイ手を軽く上げ、気安くランスに語りかける使徒ユキ。

「・・・・・・な、ナニが『オイッス』だ、このクソガキ!人の家の窓を叩き割ったあげく、断りもなく上がりこんで言う台詞か!!」
突然の狼藉にもうろたえることなく、ランスは怒鳴り返す。

しかし、ランスは目の前の、一見すればただの子供にしか見えない闖入者が、モンスター、それもかなりの力を持った存在であることを悟る。
油断なく腰の剣を抜きながら、玉座から立ち上がった。

「おっと、ユキちゃんはちょいと人・・・じゃない魔王を探しに来ただけデスよー。ユキちゃんは使徒ユキ、魔人サイゼル様の『優秀な』部下ですよー。以後良しなに!ケケケケケケケ!」

手っ取り早く用件を言ったほうが面倒がなくていいと判断したのか、ペラペラと自分の目的や正体をばらしているユキ。

「魔人?使徒だぁ?・・・つーことは貴様が外のモンスター共を連れてきたとでも言うのか!?」
「・・・・・・魔王」
ランスはユキの傍若無人な態度に殺気を漲らせている。
マリスはいつのまにかリアの目の前に立ち、リアを庇うように構えているが、ふとそんな言葉を漏らす。

「ケケケケケケ、ぴんぽーん。大正解。どうやらリトルプリンセスのコト知ってるみたいデスねー?ひょっとして、ここにいるんデスか?死にたくないなら大人しく差し出すほうが身のためデスよ?」

「リトルプリンだかなんだか知らんが、散々無礼を働いた挙句、俺様に喧嘩を売るとは・・・ムカムカ」
「ランス王・・・ここで戦うのはあまりに危険すぎますっ・・・」

生意気なユキの言葉にますますいきり立つランス、だが隣でリアを守るマリスが必死に押し留める。

「早く答えてくれないかなー。保護してなくても、魔王を見つけて渡してくれるなら別に構わないしー。つか、そっちのが楽だわ。ケケケケケケケ」

「やかましいわ!誰が貴様なんぞの言うことに従うかっ!!」

完全に頭に血が昇ってるランスにマリスの諫言など届かない。
手に持った剣を突き出して、ユキに近付いていく。

「ほー・・・ヤる気デスかー?・・・んっ?」

『キングっ!!』
『ランス王、リア様!何事ですかっ!?』

一触即発の状況。
そこへ不審な騒ぎを聞きつけたリックとエクス、複数の兵が謁見の間に駆けつけてくる。

「子供!?いや、モンスターか!」
そう言うやいなや、リックは背中のバイロードを抜き放ち、一気に間合いを詰めていく。

「・・・ちっ。氷雪吹雪っ!!」

その場で飛び上がったユキは魔力を一瞬で練り上げ、謁見の間に雪の礫を巻き散らす。

「うわったったたた!!冷てーーっ!!」
「くっ・・・!」

本来なら冷たい程度では済まないのだが、並外れたランスやリックの体力を全て奪うほどではない。
しかし、その場から動けなくする程度には足止めにはなったようだ。
ちなみにリアはマリスの咄嗟の防御魔法でしっかりと護られている。

「ケケケケケケケ!あくまで従わないならこっちも好き勝手やらせて貰うデスよー!!」

その隙に、捨て台詞を吐きながらユキは再び窓を叩き割り、外へと飛び出していく。

「ぐ・・・ぐぅ・・・ムカツク!あんなガキに舐められたままでいられるかっ!!俺も出るぞ!!リック、貴様も来い!!」

「はっ・・・!」

ドカドカと足を踏み鳴らして謁見の間を出て行くランスと後に続くリック。
リアそれを不安げな表情で見送った。

「ダーリン・・・。あのモンスター、リトルプリンセスを探しているって・・・魔王に魔人・・・マリスが言ってたことってこのことだったの?」
「リア様・・・」

リアを護るように寄り添うマリス。
そして胸中ではもう一つの心配事。
カーチス殿の推測はほぼ当たり、魔人サイゼル、そしてその使徒ユキが魔王を追って砦を壊滅させたのだろう。

(・・・魔人ではなく使徒がこちらへ来たということは・・・横島殿は魔人と戦っている・・・?)

その後、カーチスからは連絡が来ない。
状況が把握しきれない以上、迂闊にこちらからもテレパシーを飛ばすわけにはいかないが・・・。
もしカーチスまで何らかの形で戦いに加わっていたなら、邪魔にしかならないからだ。

今はマリスも成り行きに任せるほかなかった。


―リーザス城近く 荒野―

横島が文珠で作り上げた緊急避難のための穴倉。
そこには横島、日光、そして気を失っている健太郎と美樹が隠れている。

「何者ですか、と聞かれてましたね・・・。俺の名前は横島忠夫。そちらの女の子と男と同じ・・・日本から迷い込んでしまった人間です」

「なっ・・・」

健太郎や美樹から、彼らがこの世界とは違う、別の次元「日本」という国からやってきたことは聞かされていた。
目の前にいるこの男もそうだと言うのだろうか?
見た目は確かに健太郎様と同じような雰囲気を、同一の世界で育ったような空気を身に纏ってはいるように思えるが・・・。

そして、この結界らしきもの、横島と名乗る男の正体、他にも色々と問い質したい事はあるが、今はそれどころではないだろうと日光は判断する。

「・・・美樹様や健太郎様を助けていただいたことは事実です。貴方を味方だとこの場では判断いたします」

現状で美樹や健太郎をサイゼルから護れるのはこの男しかいない。
日光としては、迂闊に他人を信じることが許されない立場上、ギリギリの判断であるのだが。
横島と名乗った少年の先の言葉からすれば、美樹や健太郎と同じ国からやってきた異世界人・・・ということになる。

「それで、この・・・結界のようなものは貴方の魔法・・・ですか?」

「ええ、魔法とは違いますが同じようなものと思って貰っていいっス。説明すると面倒なんっスけど、しばらくは完全に視界も気配も<遮>断できるっスよ」

横島は日光から視線を外し、小さい穴から外を窺う。
少し離れた上空を旋回している魔人サイゼルの姿が映った。
間違いなく、突然消えた日光達を血眼になって探しているのだろうが・・・。

「もし・・・貴方が魔法使いなら、お願いです。健太郎様を治療していただけませんか?」

日光の視線の先、そこには倒れ伏して血を流している健太郎の姿。
まだ息はあるが、間違いなく重傷だ。

「あ・・・」

しかし、横島はイエスと答えることは出来ない。
文珠があれば問題ないのだが、先ほど煩悩を振り絞って生み出して<遮>に使ったのが最後。
次の文珠を生み出すまで少なくとも3日は掛かるだろう。

目の前の日光に『全面的に』協力して貰えるならカラカラにはなるだろうがもう1個くらい作れるかもしれないが・・・。

(無理・・・だよなぁ・・・。説明したら、多分俺に文珠が必要になる気がする・・・。いや、しかし人命救助のためとならばっ!だが、どう説明すればいいっ!?)


――治療法ならありますが、お姉さんのおっぱい揉ませてください。


(あかん・・・さっきは勢いというか、止むに止まれぬ事情とドサクサで出来たが・・・。真顔で面と向かって言えるワケねーっ!!というか、自分でも意味不明じゃあ!!)

横島のセクハラはほとんどが彼の本能というかその場の勢い、ノリで行われている。
そのため、こんな緊迫した状況下で真顔で相手に許可を得てセクハラするほど横島に度胸はない。

悩みに悩んで、ふと思いついたのは横島の手の中の文珠<遮>
発動させた効果が長時間持続型のため、まだ余剰霊力が残っている可能性が高い。
だとすれば文字の書き換えも・・・可能か?

(今、<遮>断の効果を解いたとして・・・、見つかるリスクは・・・)

ブツブツと長い間呟き続ける横島。

「あの・・・横島殿・・・」

「・・・今は・・・まだ視界内で飛んでるな・・・けどこの距離なら・・・ブツブツ」

「横島殿、不可能なら良いのです。魔法使いとはいえ得手不得手があることは私も承知しておりますから・・・」

ヒーリングの魔法を使いこなすには少なくとも神魔法の技能を持っている必要がある。
コレばっかりは生まれつきの才能であるため、とやかく言ったところで出来ないものは出来ないのだ。

だが、横島に関してならばコレはまるっきりの勘違いなのであるが、日光に分からないのは無理もない。
横島は日光の勘違いを訂正することも含めて、考えていることを話すことにする。

「んーと、日光さん。今、ここを隠れ場所にしている『結界』をですね・・・解除すれば、健太郎・・・さんの怪我の治療も、完全ではないですけど出来ると思うんです。ちょっとリスキーっスけど・・・」

実際のところ、それは賭けである。
サイゼルは<遮>断効果を失った穴倉など、すぐに発見するだろう。
横島は気付いてはいないものの、魔人たちは横島の気配を何らかの理由で察知することが可能のようだからだ。

しかし、このまま治療せずに放っておいたら、まず間違いなく健太郎は手遅れ・・・ということになる可能性が高い。
日光は横島の言葉を的確に理解し、そして即断した。

「つまり、魔人サイゼルと戦うことにはなるが、健太郎様の命を救うことは可能・・・そういうことですね?」

「・・・多分、そうなると思うっス。でも・・・」

魔人には通常の攻撃は一切効かない――と、聞いている。
横島の霊能力、サイキック・ソーサーやハンズオブグローリーを実際に叩き込んだわけではないので、効くかどうかなど分からないのではあるが、確証も得られずに試して見ようなんてとても思えない。

「・・・大丈夫です。私がいます」

躊躇いがちな横島の表情を見て、その理由をすぐに察した日光。

「日光さんが・・・っスか?」

「ええ、我が名は日光・・・魔人殺し『聖刀日光』にして、小川健太郎様を主とする一振りの刀なのです」

「・・・・・・・・・へ?」

マヌケな表情でマヌケた声を上げる横島。
意訳するなら「このおねーさまは一体なにをいってるんでせう?」だ。

「信じて・・・おられませんね?」

日光の言葉に、思わず「そりゃそーだ」とツッコミを入れたくなるところだが、彼女の目と表情がそれが嘘ではないことを物語っている。

いい加減、この世界のファンタジーっぷりには慣れてきた・・・。
そう思ってはいたものの、目の前の絶世の美女が、ところがどっこい実は刀でした、とは・・・。

(つーことは、さっきのあの乳の感触もぜーんぶ偽モノ・・・?いや、しかし・・・あの柔らかさと大きさは美神さんに勝るとも劣らず・・・とても偽物とは・・・ああぁっ!)

本来、もう少し違うことを考えるべきなのであろうが、「ソッチ」方面にしか意識が行かないあたり、この男の駄目っぷりはもはや誰にも修正不可能な領域に達している。今更ではあるが。

「・・・証拠をお見せします。両手を前に翳していてください」

そう言って何事か呟くと、日光の全身から光の粒のようなモノが立ち昇り・・・やがてその姿がうっすらと消えてゆく。
光の粒は横島の手の上に集まり、日光の語ったとおり、見事な鞘ごしらえの刀へと形を変えていった。

(お分かりになりましたか?)
突如頭に響く日光の声。

「う・・・わぁ・・・マジか」

ここまではっきりと見せられれば納得するしかない。

「聖刀日光・・・マリス様やかなみちゃんに聞いたことありましたけど、まさかこうして目にするとは思ってなかったっス・・・」
まして自分がそれを手にするなど・・・ってマテ。

「あのー・・・日光さん?」

(はい、何でしょうか?)

「ひょっとして・・・俺が貴女を使ってあの魔人に勝負を挑め・・・と?」

(ええ・・・こうなった以上、横島殿にお願いするしか・・・)
嫌な予感超的中。

「あああうう・・・で、でも俺、ロクに剣術なんて知らないし・・・」

曲がりなりにも霊波刀を扱うのであれば、本来剣術のイロハ程度は習熟すべきなのであるが、横島にはまともに学ぶ気がなかった。
持ち前の勘と反射神経、人並みはずれた煩悩と体力があれば通常の除霊に支障がなかったせいでもあるが・・・。

再び横島の手にしている日光から光の粒が舞い上がり、人型へと姿を変える。

「その点でしたら問題はありません。かつての私が持っていた能力をフィードバックすることによって、ある程度の剣戦闘技能をマスターへの補助として与えることが可能ですから。ただ・・・」

「ただ・・・?」

「そのためには横島殿に私のマスター・・・所有者となって頂かねばなりません。火急の事態故、やむを得ないことではあるのですが・・・」

急に歯切れの悪くなる日光さん。
心なしか頬も赤くなっているような気がするのだが。

「横島殿のDNAを私の体内に宿す必要があるのです。ただ、この様な場所、それも時間も限られた状況でどうすればいいのか・・・と」

「ハァ・・・DNA・・・っスか」

DNAってなんだったっけ?と思わず考える横島は、義務教育からやり直したほうがいいかもしれない。

「つまり・・・儀式として横島殿と私が性交を行う必要が・・・」

「・・・・・・・・・せいこう?」

(はて・・・せいこう・・・成功?なんのこっちゃ・・・)

普段からセクハラだのヤるだの、そんなことばかり考えているにも関わらず、案外鈍い横島。

「ですから・・・」

そして日光はおもむろに着物を肌蹴させ、その陶磁器のような白い肌を惜しげもなく晒す。

「へ・・・?ちょ・・・ちょっとぉ!?ま、ま・・・に・・・日光・・・さん!?」

突然の展開に頭が付いていかない横島。いや、はっきり言ってこの状況は美味しいのだが。
面白いほど狼狽している横島に日光はその美しい顔を近づけ、耳元で囁く。

「これは儀式なのです。新しい主人となられる方のDNAを我が体内に宿す為の・・・」

ここに至り、横島はようやく日光の言わんとしている、そして取ろうとしている行動の意味を理解する。

(DNA・・・つまり俺のアレを日光さんの身体に入れる・・・18禁的行為で、マスターとの結びつきを・・・以下略)

「・・・・・・・・・・・・」

その間、およそ30秒前後。

「横島・・・殿?」

――ぷしっ!!

そして唐突に横島の鼻と耳から噴水のように噴出す大量の血液。

「・・・え?よ・・・横島殿?」
正面にいた日光は飛び散る鼻血を避けることなど出来るはずもなく、呆然と白目を剥いている横島を眺めるのみ。

(ああ・・・そういえば似たようなシチュエーションあったな・・・)
薄れていく意識の中、横島はふと彼女のことを思い出しながら気を失うのであった・・・。


「こ、これは予想外の反応・・・」

日光が思っていた以上に、この横島という少年は初心だったようだ。
穴倉に自分を引きずり込むや、乳房を揉みしだいた人物と同一とはとても思えないが・・・しかし、このままでは儀式が続けられない・・・。

だが、日光の脳裏に「あるコト」が天啓のように閃く。

(本来の契約方法に比べれば・・・恐らく効果も時間も限定的なものとなるかもしれませんが・・・)

「ラ・・・ウン・・・ア・・・ル・・・ルア・・・ラ・・・アン・・・ケン・・・」

おもむろに契約を実行するための呪文を唱え始める。
そう、横島のDNAは既に手に入れているのだ。それも大量に。

日光の光る指先が横島の身体の上を駆け巡るように複雑な紋様を描く。
二本の指がゆっくりと円を描き、白い光の輪をふたつ作って・・・すぐに消えた。

「・・・・・・アン・・・シ・・・ンウウ・・・」

上半身に付着していた横島の血液が、日光の身体の中へと溶け込むように吸収されていく。


「・・・ふぅ・・・理屈の上でならば、これで私と横島殿の間にラインが繋がったはず・・・」

何せ初の試みであるから、実際上手くいくかどうかなど日光本人ですら定かではなかったのだが・・・。

本来の刀の姿に戻り、気絶している横島の手の中に納まる日光。
そして確かに横島との間に繋がった契約の証を確認する。

(とりあえずは大丈夫なようですね・・・ただこれは一時的なもの、すぐに契約は切れてしまうかもしれない・・・)

だが、この状況ではこれ以上を望むべくもない。
あとは横島を覚醒させ、急ぎ健太郎の治療を、そして魔人サイゼルを撃退せねばならない。

(横島殿・・・横島殿!)

日光は横島の精神にダイレクトに呼びかける。

だが、その行為は日光の精神が横島の心の奥底と繋がる行為に等しい。

(横島殿・・・こ、これは・・・っ!?)

唐突に流れ込んでくる横島の記憶、精神、そして感情・・・。

命を賭した数々の戦いの記憶。
多くの仲間達との出会い、そして別れ。
世界の全てと愛する者を天秤に掛けざるをえなかった選択とその苦悩、そして慟哭。

『・・・アナタハ・・・・・・ダレ?』

(・・・・・・・・・っ!)
唐突に呼びかけてくる、横島ではない横島の声が日光の意識に届く。


日光にとって理解の範疇を超える、壮絶な記憶の欠片の数々と出来事。

ここは本来、安易に他人が土足で踏み込んではならない、横島にとって聖域とも言える場所だったのだ・・・日光は激しい後悔と慙愧の念に襲われる。

(横島殿・・・貴方はいったい・・・。いえ、今はそれどころでは・・・っ!)

だが、己の使命を思い出し、日光は再び横島の意識を戻すべく呼び続けた。


「う・・・アレ?俺は・・・日光さん?」

目の前でえちぃ行為に及ぼうとしていた日光の姿はもうない。
その代わり自分の右手に握られている一振りの刀に気付く。
紛れもなく先ほども目にした聖刀日光である。

(目覚められましたか・・・横島殿)
随分と神妙な日光の声。
横島はその変化を訝しげに思ったが、それよりも聞かなくてはならないコトがあった。

「日光さん・・・俺、気を失って全然記憶にないんっスけど・・・」

(・・・・・・・・・)

横島の問いかけてくる声色はやけに深刻で・・・日光を身構えさせた。


「・・・俺、ヤったんっスか!?ヤっちゃったんっスか!?なんかこー確かに日光さんが俺の手に馴染む感触は確かに『契約完了』って感じがするっスけど、それなのにな――んも覚えてないなんてぇ!!!あぁああっーもったいねぇええええ!!!!」
まぁ、その割には衣服に何の変化がないのは不自然だったりするのだが、そんな細かいことにまで気が回るはずもない。

―ズルッ!!

日光はコケた。
手も足も何もない、刀の身でありながら全身全てが、己の存在全てがコケた気がした。
ついさきほどまで感じていた横島への後ろめたさも、同じようにコケた気がした。

(・・・・・・横島殿・・・貴方には色々と聴きたい事があるのですが、今はもう些細なコトです・・・はやく健太郎様の治療をお願いいたします・・・っ)

「は、はひぃ・・・!」

横島の母、百合子、そして美神。この世界ではマリスに続いて、日光も横島が本能レベルで逆らうことが出来ないタイプの女性と言える。

左手に握っていた文珠<遮>の効果を解除、失われた霊力を新たに補充するようなコトは出来ないため、不完全ではあるが何とか<治>の念を込める。
完治には到底及ばないだろうが、少なくとも応急処置としては十分なはずだ。

健太郎の側まで近寄り、文珠を発動させる。
ゆっくりとではあるが確実に塞がっていく傷、そして血色も徐々に良くなるにつれ、呼吸も安定したものに変わっていく。
意識を取り戻すほど衰弱からは抜け切れないため、しばらく絶対安静に変わりはないが。
とりあえず命に別状はないレベルまで回復させることには成功した。

―そして・・・。

「・・・っ!さっそく気が付いたっスか!?」

(どうやらそのようですね・・・)

急速に近付いてくる気配。
疑いようもなく魔人サイゼルである。


上空を旋回していたサイゼル。
ユキは既にリーザス城へと向かい、襲撃を始めた頃だろう。
報告を怠るな、と言ってはいるが彼女の使徒は大人しく指示に従うようなタマではない。

これほど探しても見当たらないのであれば、やはりあのクソ男がリトルプリンセスを転移させたのであろうか・・・。

「ちっ・・・これほど探しても見つからないなんて・・・私もリーザス城まで行ったほうがいいかも・・・・・・えっ!?」

だがサイゼルは不意に肌が粟立つような気配を察知する。

「な、なんでいきなり・・・まさか、本当にテレポート・・・?」

何も無かったはずの場所に、唐突に現れた気配。
しかもそれは先ほども感じたクソ男、そして聖刀日光の二つの気配。

だが・・・一度消えてから、再びノコノコ現れるなど・・・まるで自分と戦うために戻ってきた、と言っているようなモノではないかっ!

「・・・随分と舐めたマネしてくれるじゃない・・・日光・・・」
リトルプリンセスと健太郎を逃がし、新たな所有者を得て魔人サイゼルを倒す。そういうつもりなのか・・・?

事実は大いに違うのだが、サイゼルには知る由もない。

「上等だわ・・・」
あのクソ男共々、骨の髄まで凍らせた後でへし折ってやる・・・。

サイゼルは暗い笑みを浮かべて、察知した気配の場所まで飛んで行った。


―リーザス城 モンスター迎撃部隊最前線―

「どりゃああ!ラーンスアターック!!」

「バイ・ラ・ウェイ!!」

―ギャアアアアアア・・・!!

―グギャアアアアアアッ!!

大上段に振りかぶった剣から立ち昇るオーラが、伸縮自在の刀身が無数の斬撃となって目の前のモンスター達をまとめてなぎ払っていく。

「オラオラ!次だ次ぃ!!」

先ほどの鬱憤を晴らすかのように必殺技オンパレードでモンスターを片付けていくランス。
そしてランスと共に魔法剣バイロードを存分に振るうリック・アディスン。

リーザス軍の最強戦士達が敵陣をバターのように切り裂きながら突き進んでいく。

ランスは元々歴戦の冒険者だっただけに、玉座でふんぞり返って指示しているよりも、こうやって剣を振り回しているほうが性に合っているのは間違いない。
リックも素顔を隠したメットの下でニヤリと口元に笑みを浮かべながら剣を振り続ける。
目の前に立ちはだかるモンスター達は例外なく「リーザスの赤い死神」にその命を刈り取られ続けていた。

「てめら!自分が食った飯を無駄にしたくなかったらキリキリ働けぇ!!」

怒鳴り散らしながらも、振るわれる剣は一匹、また一匹とモンスターを狩っていく。

ランス王自らが最前線で指揮を取り、しかも凄まじいまでのスピードと破壊力でモンスター共を倒している。
否が応にでもリーザスの兵達の士気は高まっていく。

『おおおおおおおおっ!!!』

普段、モンスターを相手にすることはないリーザス軍は当初慣れない戦いに苦戦気味だったが、ランスとリックを先頭に街に押し寄せてくる軍勢をどんどん押し返していた。

「出て来いクソガキ!!俺様が直々に引導を渡してくれるわっ!!」

ランスの怒号が戦場に鳴り響いた。


そして遥か上空では使徒ユキが高みの見物気分でモンスターとニンゲンの戦いを見下ろしていた。

「うわっちゃー・・・。近頃のニンゲンってのもあなどれねー」

元々、人間界で群れを成していたモンスター達を一時的に徴発して作った即席軍隊であるため、それほど期待はしていなかったが、ニンゲンの軍隊の反攻がこれほどとは予想外だった。

次々と切り崩されていくモンスターの陣営を詰まらなそうに見るユキ。

「ちぇっ・・・こりゃ引き上げ時かな・・・。あのニンゲンの親玉、ハンパなく強いみたいだし・・・ありゃサイゼル様に任したほうがいいや」

真下で剣を振り回すランスを見ながら、ユキはこれ以上ココにいたところで得られるものはないと判断する。
一応、この国とリトルプリンセスに何らかの繋がりがありそうな感触は得ているコトではあるし。

「さっさとサイゼル様に報告してオサラバ〜」

ユキは下で叫び続けているランスを尻目にサッサと戦場から離脱してしまった。
哀れ、モンスターの軍勢は撤退を指示する指揮官もいないまま、その全てが殲滅されるまで戦い続けることになったのだった。


―リーザス城近く 荒野―

サイゼルが横島の姿を肉眼で捉える前に、日光を携えた横島は既に別の岩陰にまで移動していた。
サイゼルの魔法が広範囲に撒き散らされれば、治したばかりの健太郎が巻き添えを食うことは目に見えているからである。

「さぁ!いるのは分かっているわよ、日光!大人しく姿を現しなさい!!さもなくば・・・」

巨大な魔法銃「クールゴーデス」から凄まじいまでの冷気が横島が身を潜めている岩壁に突き刺さる。

「うひゃああ・・・やっぱ思いっきりバレてるっすね・・・なんでだろ・・・」

(・・・・・・・・・)

日光には思い当たるフシがあったが、今この場で言ったところでどうしようもない。

(・・・幸い、美樹様と健太郎様はこの場には既に居ないと思っているようです。ならば、ある程度のダメージを与えてやれば撤収するはず・・・)

「ううう・・・痛いのも冷たいのもイヤじゃあ・・・」

とはいえ、ここで奮起しなくては明日の朝日すら拝めまい。
横島は己の霊力を高めるべく、精神(煩悩)を集中させる。
ネタは当然、仕入れたばかりの日光の裸身、効果絶大間違いなしなのだが・・・。

(横島殿・・・っ!!この状況でいったい何を考えているのですかっ!?)

どうも横島の思考はある程度、日光へも流れてしまうらしい。
ものすごい勢いで抗議が来るが・・・。

「し、仕方ないんや。コレは俺が戦うための準備っ!儀式なんやっ!」

現に、横島の霊力は急速に上昇している。
日光にはその不可思議なパワーの源は分からなかったが、確かにこれは大きな『力』と言える。
だが、生贄にされる方は堪ったものではない。

(・・・儀式・・・ですか・・・・・・)
日光も自分のマスターとなる者と性交することで契約を結ぶわけだから、その事情はまったく理解できないわけでもないのだが。

「そこかっ!スノーレーザー!!」

「うわぁっ・・・!!」

咄嗟に身を転がして回避する横島。

「ふん・・・ようやく出てきたわね・・・」

美しい顔を邪悪に歪めて横島を見下ろすサイゼル。

翼を持っているものの、羽ばたきもせず空中で静止している姿には疑問を抱かざるを得なかったが、横島にはそれよりも大事なことがあった。


「おおおおっ!このアングルっ!!レオタードの食い込みが益々大胆にぃ!!ナイスだ、おねーさん!!」

命の危険が間近に迫っているにもかかわらず、横島の煩悩はひたすらに暴走し続ける。

(横島殿っ!!)

「ぐ・・・ぐっ・・・このクソ男・・・っ!!さっきから一体なんだっていうのよ!!」

もはや、どう対応していいのか分からない日光と怒り心頭のサイゼル。
二人とも完全にペースを乱され続けている。

そもそも突然現れた上に、魔人であるサイゼルを恐れることもなく無礼な一言で苛立たせ、不可思議な術でリトルプリンセス達を消し去って逃げてしまった。
そして日光を構えてノコノコと出てきたと思いきや、またも自分をイヤラシイ目で見続けてくる。

こんな屈辱を人間から受けるなど、生まれて初めてと言っていい。

「喰らいなさいっ・・・!!」

再び魔法銃を構え、今度は氷の散弾を無数に放ってくる。

「どわああああああっ!!」

咄嗟に日光を左手に持ち替え、右手にサイキック・ソーサーを発現させ、自分に飛んでくる散弾を弾き返す。
相変わらず反射神経だけは平均的人類の能力を遥かに凌駕している。

「あああ・・・もうっ!イラつくわねっ!!」

あのクソ男に指摘されてから、どうにも自分の下半身を意識してしまい、空中で上手く射撃姿勢が取れなくなってしまっている。
自然、狙いも甘くなる上に、頭に血が昇った状態ではまともに命中するはずがない。
とうとう放った散弾全てが弾き返されてしまった。

――ギュウンッ!!

「うわっ・・・とっと!」
突然、サイゼルの鼻先で何か得体の知れないエネルギー体が掠めていく。
回避のために身体を反らすが、そのせいでバランスを崩してしまい、地面スレスレの位置まで落ちかける。

サイゼルの攻撃を全てしのいだ後、横島は手にしているサイキック・ソーサーを思いっきりぶん投げたのだ。

冷静に相手を見ているのなら、無敵結界が全て相手の攻撃を無効化する、そう判断できるのだが、今のサイゼルには酷な話だった。

「うわはははは!隙ありぃいい!!」

日光を両手に構えなおした横島が体勢を崩したサイゼルに向かって突進する。

「ちっ・・・!舐めんじゃないわよ!!」

慌ててクールゴーデスを構えなおし、砲口を横島に向けて魔力を込めようとするが・・・。

―ドグワァアァン!!

サイゼルの後頭部近くで何かが爆発する。
ダメージこそ全くないが、その衝撃と爆発音でサイゼルはまたも視界と集中力を奪われる。

爆発音の正体は先ほど横島が投げたサイキック・ソーサーである。
遠隔操作でブーメランのように軌道を変え、サイゼルに襲い掛かったのだ。

「ぐ・・・く・・・くそっ!!」

気を取り直そうと頭を振るが、時既に遅し。
日光を振りかぶった横島がサイゼルの目と鼻の先にまで肉薄していた。

「ちぇええすとぉおおおおお!!」

「ひっ・・・!た・・・たすけ・・・ハウゼ・・・っ!!」

完全に致命傷となる鋭い斬撃。
絶対の防御力を誇る魔人の無敵結界も、聖刀日光の前には紙の装甲よりも薄くなってしまうのだ。

――ザシュッ!!!

ゴトリ・・・。

完璧な踏み込みとタイミング、そして鋭い一閃。
日光は完全にサイゼルの首を落としたと確信するが・・・。


「な・・・あ・・・あれ?わ、わたし・・・」

ほとんど涙目状態のサイゼル。
腰が抜けたのか、地面に座り込んで己の両手を戦慄かせている。
何故自分が無傷であるのかも分からず、呆然としていた。


完全に戦意喪失状態だった。

(どういうつもりですかっ・・・横島殿っ!!)

横島はサイゼルを斬る絶好のチャンスだったにも関わらず、その首を落とすのではなく、サイゼルの持つ魔法銃を真っ二つに斬ったのだった。
日光が抗議の声を上げるのも当然である。

「えー・・・だって、こんな美人のねーちゃん斬るなんて気が引けるっつーか、勿体無いっつーか・・・」

横島としては、相手の武器を奪って早々に引き上げてくれるならそれが最上であると考えていた。

(・・・・・・・・・っ!)

横島の思考が伝わってくる日光としては、横島が口にするまでもなく言いたいことが分かるのだが・・・。
しかし聖刀として己の存在を変えて以来1500年。
魔人を斬ることのみが存在理由の日光としては容易く承服しかねる事態であった。

だが、仮初とはいえ今の横島は日光のマスターである。

(分かりました・・・)

渋々と引き下がる日光。
日光の事情をロクに知らない横島に強く言ったところで理解されないであろうし、どうしようもない事ではあった。

(・・・それで、どうするつもりですか?)

先ほどまで激昂していた様子と打って変わって、茫然自失とした然のサイゼル。
人間に情けを掛けられたことなど今まで無かったのだろう。

「・・・えーと・・・どうしよう・・・・・・」

いくら武器を失ったとはいえ、相手は恐ろしいほどの魔力を内包した魔人である。
日光を持っているとはいえ、生身(尤も横島の肉体を普通の人間と同じと考えてもムダなのだが)で対峙するには危険な相手であることに変わりは無い。

(・・・今なら、このねーちゃんの乳揉んでも大丈夫かもしれん・・・・・・)

(横島殿っ!!)

とうとう日光まで横島へのツッコミ役を担うことになってしまったのだろうか・・・。
横島の汚染力は恐ろしいものがある。

「えーと、サイゼル・・・さん?この場はコレで終わりってコトにしません?」

「・・・・・・・・・」

キッと横島を鋭い視線で睨み返してくるサイゼル。
魔人としてのプライド、それをズタズタにされたも同然の言葉。

「・・・とんだ侮辱ね・・・・・・ひと思いに殺しなさいよ・・・でなければ、次は私がアンタを殺すわ」

「・・・ううう、それは勘弁っス・・・・・・」
今度は横島が涙目になって懇願する。

「・・・フン・・・ホントにムカつく奴ね・・・。アンタ、名前は?」

「へ・・・?横島・・・横島忠夫・・・っス」

「ヨコシマタダオ?・・・長いわね。まぁ、いいわ、ヨコシマ。お前は必ずこの私が殺す。その日までせいぜいリトルプリンセスのお守りでもしているのねっ!」

―ブシュウウッ!!

「うわっとととっ!つ、つめてぇー!!」

手の平を横島へかざすやいなや、氷の矢を放つサイゼル。
反射的に右手の日光が動き、矢を叩き落す。

その隙に飛び立つサイゼル。
あっという間に手の届きようも無い高さまで上昇すると、そのまま何処かへと飛んでいってしまった。


「・・・ふぅ・・・何とかなったかぁ・・・」

サイゼルの姿が完全に見えなくなった後で、ヘナヘナとその場に座り込む横島。
まともに戦っていたら間違いなく殺されるような力の差だったが・・・。

「しかし、随分とアンバランスなねーちゃんだ。力はすんごい強いのに・・・」

ちょっとしたことでペースを乱し、自分の本来の力を発揮することもなく横島の挑発とハッタリに膝を屈する。
そもそもサイゼルが遥か上空から魔法を乱射し続けていれば、横島には成す術もなく逃げ回るしかないというのに。

(・・・・・・・・・)
横島の呟きに日光は何も語らない。
後にして結果を見てみれば、そもそも横島が始めに現れた時からサイゼルに対して心理的なプレッシャーを掛けていたことが分かるのだ。

剣捌きや体術などに限った戦闘能力に関して言うのなら日光の本当の主、小川健太郎に遠く及ばないが・・・、この少年の力には計り知れない何かがあると日光は確信している。
垣間見てしまった横島の精神の奥底に潜む者の存在を含めて。

「・・・あー・・・日光さん。この後、どーしましょう?」
だが、横島はと言えば緊張感も無く、日光に問いかけてくるのみ。

完全に魔人サイゼルの恨みを買ってしまった横島。
そもそも日光たちの正体もロクに知らないまま、完全に巻き込まれたカタチになってしまったが・・・。
いや、ソレを言うのなら横島が自ら進んで首を突っ込んだことで話がこうなった訳で。

「でも・・・まぁ、何とかなるか・・・」

ようやく得たとも言える元の世界へと帰る手がかり。
それを守りきれたのだ。
身体はすっかり疲れきってしまっていたが、心地よい達成感が横島を包んでいた。


「横島さーん、生きてますかー?」

遠くから耳に届く、聞き覚えのある声。
その暢気そうな声に、横島は思わず殴りつけたくなる誘惑に駆られるが、そちらへと振り向き、軽く手を上げて応えたのだった。


―バラオ山脈 魔人のアジト―

リーザス領、バラオ山脈中の鬱蒼とした森の中にある別荘。
元は、どこかの裕福な者の別荘であったのだろうが、現在は魔人達が勝手に入り込みアジトにしている。
そこにいるのは、魔人ケイブリスから派遣された、リトルプリンセス捕獲隊だった。

氷を操るエンジェルナイトの魔人ラ・サイゼル。
雷を操る元人間の魔人レイ。
そして二人の中央、黒檀の豪奢な細工の椅子に腰掛け涼やかな顔をしているのは、魔人四天王の一人にして、既にほとんどが滅び去ったと言われるドラゴン族の魔人カミーラだった。
その彼女の足元には、まるで躾の良い犬の様に跪いているカミーラの使徒ラインコック。

「失敗・・・したの・・・」

良く通る低い・・・脳髄が蕩けそうな声で、カミーラが呟いた。

「・・・・・・・・・」

サイゼルは、ぶすっとむくれたまま返事をしない。
彼女の使徒ユキはこの場には居ない。
ひとしきりサイゼルの失敗を笑い飛ばした後で、

「責任者は責任を取るためにいるんデスよー」
と、糞生意気なことを言って早々に逃げ出したのだ。
まぁ、サイゼルとしてもあの舐めた口しか訊かない使徒を今のカミーラの前に出し、サイゼルの失敗についていつ口を滑らせるか・・・想像に容易かったので放っておいた。

「日光と健太郎相手で、健太郎に重傷を負わせたってだけでも、大したもんだと思うけどね・・・」
レイがフォローのつもりなのか、珍しくそんなことを呟くが、今のサイゼルには逆に煩わしいだけだった。

サイゼルは横島のことを報告していない。
確かに不可思議な力を持ってはいたが、あんなふざけた人間に己の武器を破壊され・・・その上、情けまで掛けられたなど・・・とてもじゃないがカミーラ達には言えなかった。

「カミーラ様はアンタなんかに言ってないでしょ!でしゃばるんじゃないわよ、雷野郎!」

「なんだと・・・?」

「何よ、きゃっ…!!」

カミーラの指がラインコックの顎を砕かんばかりに強く掴む。

「あっ・・・カミっ・・・ラ・・・様っ・・・あぁっ・・・!!」

苦しいはずなのに、ラインコックは陶然とした顔で、カミーラの仕打ちを受けている。
ラインコックはそれ以上言葉を続ける事は出来ず、レイも何も出来なくなった。

「ラ・サイゼル・・・私達に言う事は・・・?」

ラインコックを掴んだ指はそのままに、ぞくりとする様な殺気を含んだカミーラの声。

「・・・・・・・・・ごめんなさい・・・!」

サイゼルはいやいやカミーラにそう言い放った。

「謝りたくないのなら・・・もっと有能に働きなさい。魔人としてのプライドがあり・・・貴女の妹ラ・ハウゼルと比較されたくないのなら・・・ね・・・ラ・サイゼル」

あからさまなカミーラの挑発。
サイゼルは妹の名前を聞いた瞬間、顔を紅潮させ激昂しかけたが、すぐにまた黙り込んだ。
確かに妹ハウゼルに対する確執は消えてはいない・・・だが、今のサイゼルにはもっと重要なことがある。

「でもまあ・・・貴方『達』が失敗してくれたおかげで、私は人間界で面白い玩具を見つけたし・・・遊ぶ事が出来るから・・・悪くはないわ」

カミーラはようやくラインコックから手を離し、妖艶な仕草で自分の髪を弄ぶ。

「フン、そうだな。あんたはあっちにいるよりこっちにいる方が遊べるもんな。なんせ、あっちにはうるさくて、アンタが嫌いな醜い求婚者がいるからなぁ・・・はははは!」
馬鹿にするような口調でカミーラを揶揄するレイ。

「ふんっ・・・」
どうでもいい、と胸中で呟くサイゼル。
とにかく人間界に留まっているうちに、何としてでもヨコシマを殺す・・・。
今のサイゼルの興味のほとんどはそちらへ移っているのだ。

「私が何も・・・知らないと思っているの・・・?」

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

すっ、と空気を撫でるかのような優雅な手つきで傍らに跪くラインコックに指示を与えるカミーラ。
ラインコックは恭しく立ち上がり、そのまま隣の部屋へと主の望むままに動く。
すぐに戻ってきたラインコックの手の上には・・・。

「・・・・・・」
無言のまま視線だけで促がすカミーラ、そして主の意向を正確に汲み取るラインコック。

ラインコックはその手に持つ物体を床の上に置き―――サイゼルとレイの立っている方へまっすぐに転がした。


「・・・・・・・・・?」
サイゼルはカミーラの意図がさっぱり分からない。
コブシ大ほどのボールを唐突に持ち出して、何をするかと思えばただ床に転がしただけ。
そのボールはサイゼルの足に当たり、そのまま停止している。


しかし・・・。


「・・・うぅ・・・ぐ、ぐ・・・うわぁああああああああ!!!」

突如、別荘中に鳴り響く悲鳴。

「え・・・?ちょ、ちょっとレイ?」
サイゼルは突然悲鳴をあげ、壁の隅にまで後ずさって行ったレイを見て呆然とする。
いつものスカした態度は見る影もない。

サイゼルは近寄ろうとして足を一歩踏み出すが、その際、足元のボールをレイのほうに蹴り飛ばしてしまう。

「う、うわぁ!!来るな!やめろおお!!メ、メアリィーーー!!!」

―バタンッ!!

そのまま扉の向こうへと駆け出し、何処かへと飛び去っていった。


「な・・・なんなの、いったい・・・」

カミーラの方へ振り向くが、カミーラは俯き加減にクックッと低い声で嗤うのみ。

「サイゼル・・・」
「う・・・な、なによ・・・」

「・・・処理は、もう済ましてあるの?」
視線をサイゼルの・・・ちょっと人には言えない場所に移してからかう様に呟くカミーラ。

「なっ・・・!!!」
なんでそれを・・・、と続けようとして慌てて口を塞ぐ。
顔は真っ赤に染まり、半端ではない狼狽振りである。

(ナニよ、コイツ!全部見てたとでも言うの!?)

「クックック・・・私が何も知らないとでも?人の事をとやかく言う前に・・・自分のしなくてはいけない事を忘れないようにね、ラ・サイゼル・・・」
愉快そうな・・・だがゾッとするような暗い嗤い声。

「わ、わかってるわよっ!!」
心を見透かされているような気分になり、サイゼルは慌てて部屋を出て行く。

(うぅ・・・!ヨコシマ・・・っ!次は必ず殺してやるっ!!)
心の中で復讐を誓い、そのままレイと同じように飛び去って行った。


「フッ・・・フフフッ・・・クックックック・・・」
カミーラが声を上げて笑うなど実に珍しいことだった。

「血が欲しいわ・・・ラインコック・・・」
ひとしきり笑った後、ラインコックと二人きりになったカミーラが囁く。

「はい・・・カミーラ様。すぐにご用意いたします・・・」

珍しく上機嫌のカミーラ、そして恍惚とした表情で主の命に従うラインコック。
永遠に美しい主に仕える喜びをかみ締めながら、ラインコックは無心でカミーラに尽くし続けるのだった。


第八話     完


―リッチの街 メアリーの家―

「ど、どうしたのレイ?そんなに慌てて駆け込んできて・・・」

「メ、メアリー・・・俺は、俺はっ・・・!」

「・・・はいはい。大丈夫よレイ。ここに貴方を傷つける人なんていないわ」

本来、魔人であるレイに危害を与えられるものなど、ほとんどいないのだが、それでもメアリーの言葉にレイは自分の心が穏やかになっていくのを感じる。

「・・・落ち着いた?」

「あ、ああ・・・すまないメアリー。急に訪ねてきてしまって」

「何を言っているの?ここは貴方の家よ。遠慮されたら悲しいわ」

「ん・・・そうだった。すまない・・・」

「もう、レイったら私に謝ってばかりね。そんなに外で『悪いこと』ばかりしているのかしら?」

メアリーの口調はまるでイタズラ好きのやんちゃな子供を優しく窘めるようなモノだった。

「う・・・違う・・・・・・。あ、そ、そうだ、メアリーは何をしていたんだ?また・・・編み物か?」

ばつが悪くなったのか、レイは無理やり話題を変えようと、机の上に乗っている毛玉と編み針に視線を移す。

「ええ、そうよ。貴方のセーター。・・・やんちゃな誰かさんがすぐに破ってしまいますからね」

「う・・・」

ニコニコと楽しそうに笑うメアリーに、ますますばつが悪くなるレイ。
幸せそうな、恋人達の一時だった。

「・・・あっ」

手に取ろうとした毛玉をつい落としてしまうメアリー。

―コロコロ・・・

「ひっ・・・・・・!!」

「ごめんなさい、レイ。悪いけど毛玉を取ってもらえる?・・・・・・レイ?」

メアリーは急に静かになった恋人のほうを見やる。
そこには部屋の隅のほうでガタガタ震える恋人の姿・・・。

「ど、どうしたのレイ?」
「な・・・な、なんでもないぞメアリー!そ、そのまま編み物を続けてくれっ!俺はここで見てるからっ!!」
悲痛な魔人レイの叫び。

彼と彼の恋人の安息の一時はまだまだ遠い未来のことのようである・・・。


後書きのようなもの

随分と遅い更新&長ーい後編となってしまいました。バランス悪っ!!
この場を借りてお詫びいたします。
今回にて「魔人襲来編」は終了。いよいよ次回から魔王美樹ちゃん一行がリーザスへやってきます。
横島くんの立場も少しずつ変化していかざるを得ないでしょう。

日光さんとの契約。
鼻血を体内に取り込むことで契約、なんて二次創作で書いたのはおそらく後にも先にも私だけでしょう(バカ
読者の皆様から石を投げられそうで恐ろしくもありますが・・・。
アレですな、某週間少年「弾倉」で連載中の「仮契約(パク○ィオー)」みたいなモノと思っていただければ・・・って、これもツッコミ所満載かぁ!!

魔人サイゼルは何だか「サテラ→ランス」の図式をそのまま「サイゼル→横島」に変えただけかもしれませんが、今後の展開にご期待ください。
・・・なーんかツンデレの「ツン期」が始まっただけ・・・とか非難を浴びそうですが・・・殺意から始まるツンデレもありですよね!?
しかし、ちょっとサイゼルがヘタレ過ぎたかもしれないなぁ・・・でも原作でも精神はすごく幼いというか、ただの子供ってレベルだったし、まぁ、いいかな・・・。

あとは魔人レイ(笑)
まぁ、頑張ってください、としか筆者には言えませんなー(マテ

では次回、第九話「魔王様は女子中学生?」お楽しみにー

以下返信です。


>Iwさん
 日光さんの仮初のマスター・・・ってことで、やっぱ童貞じゃない横島は横島じゃない、っと。
 しかし、日光さんは今後のキーパーソン間違いなしの展開です。
 横島の存在は彼女のあり方まで変えてしまいそうで・・・。

>名称詐称主義さん
 セクハラ満載です。サイゼルを撃退した主成分80%はセクハラと言っても過言ではありません(ヲイ
 今回も必死こいて頑張ってますねー、今後もこの調子で横島くんには戦って欲しいです。

>ウェストさん
 GS美神を知る人で「鬼畜王ランス」をプレイした人ならば、まさにルドラサウム世界こそ「魂の牢獄」という言葉が相応しいと思います。
 これ以上はここでは語りませんが・・・いつか作中で横島君は知ることになるのでしょうか。
 無駄毛についてはツッコミ無用ですな!

>ZEROSさん
 人型になれないのはプランナーのエコヒイキとして、邪悪な剣扱いはまさしく自業自得でしょうなぁ・・・。
 人間時代のカオスの姿を見ると、なんかホントに悪党って風貌してるからエターナルヒーローズの中でも浮いてる感じが否めませんし。

>黒覆面(赤)さん
 脱チェリー失敗です、あっはっはっは。この筆者が断固阻止ですともっ!(マテ
 それでも日光さんとの間には横島にも知らない繋がりが生まれましたね。
 日光さん自身の運命も大きく変わりそうです。

>ネリさん
 横島を取り囲む人間関係が今後、どんどん複雑化していきそうですが・・・カーチスはどうなるんでしょうねー。
 こういう美少年キャラはイジリ甲斐があるので出番は多いと思いますよ。
 本編で影も形もなくなったエレノア・ラン嬢、鬼畜王では悲惨な結末もありますが・・・この子は出番無いほうが幸せなのかも知れませんね(マテ

>kurkurhuhasさん
 ご感想ありがとうございます。
 童貞は卒業できませんでしたー!というか、させませんでしたー!!
 今後も生暖かい目で横島君と筆者を見守ってくだされー。

>山の影さん
 リズナ・・・出したい・・・リズナ・・・。
 でも、年表的にどーなんだろ・・・というか玄武城に行くシナリオだけでかなりの文章量になる気が・・・いっそ本編を無視して・・・。

>ラッキーヒルさん
 横島って、ルシオラに部屋に行く、と言われたくらいで失血死しそうなほど鼻血出してましたからね。
 こういう展開と契約方法もありかな、と描きました。
 もちろん通常の契約方法と比べればデメリットだらけです。不完全ですから。
 リーザス城襲撃はユキちゃんの仕事になりましたが、彼女の仕事はいい加減ですからねー、こんなところでしょう。
 ランスとリック、描写は少ないですが大暴れです。

>titoさん
 確かにイイ機会だったかもしれませんが、それではあまりに表舞台に立ちすぎるコトになってしまうんですよね。
 これはあくまで「丁稚奉公」ですから。
 って、すでに丁稚どころの扱いじゃない気もしますが・・・。

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