インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「ガンダムSEED Destiny――シン君の目指せ主人公奮闘記!!第十二話 そして、選択・・・  前編 (SEED運命)」

ANDY (2006-11-12 00:25)
BACK< >NEXT

 時間と言うものは、例えどのような思いをその胸に持っていようとも無情に、無慈悲に、そして等しく過ぎ去っていくものだ。
 例え、その胸に悔恨の思いを宿していようとも、時は無情の旅人のように過ぎ去っていき、止めることなど出来ない。
 だが、例えそうであったとしても、人はそのときの中で何かを見出さなくてはならず、何かを選ばなくてはならない。
 それが例え、限られた選択肢であったとしても、選んだからにはそれに誇りを、信念を、そして、責任を負わねばならない。
 もし、それを疎かにしたとしたならば、誰がその後に続いてくるというのだろうか………


 地球でこれから起ころうとしている劇的な転換期を知らないアスランは、与えられたホテルの一室で悩み考えていた。
 オーブでの自分、加速し変化し続ける世界、いまだ消えぬ父の呪い、かつての戦友の言葉、そして、新たな種の存在。
 それらが重く、それでいて涼やかにアスランへと問いかける。語りかける。答えを求める。
 それらに囚われながら、アスランは答えを求める。
 何が正しいのか、と。
 いや、正しい、正しくないというレベルはもう超えてしまったのでは、とアスランの一人が問いかける。
 それに、そんなことはない、と叫ぶアスランがいる。
 だが、そのことを考えると脳裏に浮かぶのはユニウス7、母の魂の眠っていた場所で出会った亡霊たちの叫び声。
―あれは、父だ………―
 地球を焼こうとし、自分の腕の中で冷たくなった父の幻影をアスランはあの場で見たのだった。
 そのことがまたアスランに重くのしかかる。
 呪縛は断ち切ったはずだ、そう思ったのに。
 だが、実際は呪縛は断ち切れておらず、新たな呪縛を生み出す苗床になってしまっていたのが現実だった。
 その事実がアスランにのしかかる。
 正しかったのならば、あのような呪いは、怨嗟の声は世界を焼かなかったのではないのか、と。


『なぜ、我らより奪いしものたちと手を取り合って笑い合うのが正しいという!!』
 ユニウス7でのテロリストのジンが、こちらに向かいながら叫びかかってくる。
 そのことに驚くアスランは、咄嗟にペダルを踏み込み回避を取る。
(ペダル、だと?)
 一瞬疑問に思うも、自分がMSのコックピットにいることに気がついたアスランは、何故自分がこのような場所にいるのか疑問に思う暇もなく切りかかってくる相手から回避をし続けた。
 すると、テロリストの機体が突如消え、代わりに別の声が耳に飛び込んできた。
『お前もコーディネイターならばわかっているはずだ!ナチュラルを倒さなくちゃならない、って言うことを!!』
「?!イージス?!」
 今の自分より少し幼い声で切りかかってくる、かつての愛機であるそれにアスランは驚きの声を上げる。
 そんなアスランに、失望した、と言うかのように冷厳とカメラアイを光らせながらイージスは右腕から出したビームサーベルでこちらの片腕を斬り飛ばした。
 その衝撃に耐えるアスランの耳に、二度と聞くことの出来ない声が響く。
『アスラン。世界に平和をもたらすために僕たちは戦ったんじゃないんですか?』
 黒い、忍者のようなMSから幼い声が問いかける。
「………ニコル……」
『おいおいおい。お前、何やってるんだよ』
 黄昏色のMSが、魔弾の様に動きながらこちらに問いかける。
「……ミゲル…」
『アスラン。一緒にプラントを守るんじゃなかったのかよ?』
 灰色のMSが稚拙な動きながら、その熱い思いを乗せて問いかける。
「……ラスティー……」
 その三機から放たれるビームが、弾丸が、斬撃がアスランの機体を削る。
『哀れなものだな。自分を正義と信じ、自らの父親を悪と断じて世界を救った英雄の姿としては。笑い話にもならんよ』
 禍々しさと力強さを宿した神帝が、嘲り語り掛ける。
「………クルーゼ隊長…」
 幾筋ものビームが、まるで弄るかのようにちりちりと身を削り、それでいて致命傷を決して与えようとしない事実に、アスランは何の感慨も抱けなくなってきていた。
「………俺は、俺は………」
 いつの間にか握っていたスティックから手を離していたアスランは、体を弛緩させその場に力なく身を任せていた。
 そんなアスランの目に、新しい機体が飛び込んできた。
「………お前も、俺を責めるのか?」
 そこにいたのは、かつての愛機である『正義』という名を冠したMS。
 その姿を直視することが出来ないアスランは、視線を逸らそうとしたその瞬間、その声が聞こえた。
『だから言ったのだ。ナチュラルなど滅ぼさなくてはならない、とな!』
 その声に、アスランは言いようの無い恐怖を感じた。
「………ち、父上……」
 その声は、父であるパトリック・ザラその人のものであった。
 そのことに驚いているアスランの心情など関係ない、とばかりにジャスティスはビームサーベルを連結させて斬りかかってきた。
 それをアスランは慌てて回避を取ろうとしたが、間に合わず、残っていた四肢全てが一瞬で斬り飛ばされてしまい、眼前にビームライフルを突きつけられてしまった。
 無情に突きつけられる銃口に、アスランはなんとなくかつて父の執務室で銃口を突きつけられたことを思い出していた。
 なんだ。自分は二度も父親に銃口を向けられる宿命なのか。
 飽和状態に陥りかけている脳で浮かんだ言葉に、アスランは力なく笑った。
 そのアスランの状態を知っているのか、ジャスティスはカメラアイを冷厳と輝かせるとライフルの銃口を外した。
「え?」
「ふん。ずいぶんと腑抜けたものだな。アスラン」
 いつの間にか自分の眼前に立つパトリックの巌のような顔を、アスランは呆けた顔で眺めていた。
「……ちち、うえ」
「親子の縁は切った、といったはずだ」
 喉を絡ませながら搾り出したその言葉を、パトリックは一刀の下に否定した。
 その、かつての父のありように苦笑しながら、アスランはいつの間にか自分もコックピットから出ていることを疑問に思わずに父に語りかけた。
「お久しぶりです。まだ、父と呼んでも?」
「ふん。いくら縁を切ろうとも、私がお前の父であるということは事実なのだからな。呼びたければ呼べ」
「はい。父上」
 二年ぶりに口にするその言葉に、言いようの無い快感を感じながらアスランは目の前の父を見つめた。
―こんなにも、疲れを纏っていた人だろうか―
 かつて、自分の前に立つ人物には言いようのない威圧を感じていたのが嘘のように、目の前の人物の人間であることに驚きを感じていた。
 そんなアスランの驚きを気にしていないのか、パトリックはその口を開いた。
「アスラン。お前は一体何をしている?」
「え?」
「お前は一体何をしたかったというのだ?この父に歯向かうことを決め、同胞を裏切り、自身の信じた正義に殉じたお前が、一体何を迷う?悩む?なぜ、歩みを止めていることを認めない」
「!!」
 伝えられた言葉に、アスランは金縛りにあったかのように硬直した。
 かつて犯しかけた、いや、犯そうと決心した自身の大罪を突きつけられた、しかもその対象であった人物の口から直接伝えられたことに、アスランは自身の血が冷えるのを感じた。
「お前は一体何がしたかった。何のためにその手を血に染めようとした」
 無情にも突きつけられる問いかけに、アスランは足掻くように問い返した。
「それは………父上こそ何故ジェネシスを地球に向け放とうと考えられたのです!!あんなことをしたら、地球がどうなるかわかっていたのですか!!」
「わかっていた」
「………え?」
 その答えに面食らったアスランを無視し、パトリックは語った。
「ジェネシスがもたらす結果など、私が誰よりも理解していた。多くの地球に住む生き物を殺しただろう。その結果、私は人類史上最凶最悪の男として名を残しただろう。だが、それが何だと言うのだ」
「な?!」
「例えそうなったとしても、地球に甚大な被害を与えれば、プラントへと地球側からの干渉が減り、その結果多くの同胞の明日が守れるのだぞ」
「そのためならば地球の人間を殺してもよいと言うのですか!!」
「そうだ。私は、プラントの人間だ。私が守らなくてはならないのは、プラントであり、そこに住む同胞たちだ。それ以外を守る義理も義務も一体どこにあると言うのだ」
「そんなこと許されるはずがない!」
「誰が許しを与えると言う。それに、私はそのような謗りを受ける覚悟などとうに出来ていた。そんな私に、中途半端な覚悟で後に後悔に苛まれている若造が悟ったようなことを口にするな!!」
 パトリックの一括を受け、アスランは言葉に詰まった。いや、詰まったと言うよりも、目の前の人物に言葉を奪われた、と言うのが正しいのだろうか。言い返すことの出来ないアスランに、パトリックはなお言い募る。
「ふん。言い返すこともろくに出来ないか。そんな腑抜けだから、レノアの眠る場所を地球なぞに落とさせる、と言う失態を犯したのだ」
「!それは!!」
「それは?それは、どうした。自分のせいではない、と言い切れるのか?私の意思を受け継いだものたちを止めることは不可能だった、と言うつもりか?そんなことがあるはずなかろう。あの戦争が終結した後、お前が一言メディアを通して私を徹頭徹尾否定し尽くせばよかった。『父パトリックが示した道は間違っていた』とな。そうすれば、あの者たちは拠り所を失い、あのような人災を起こそうと言う気力を抱かずにすんだかもしれん。だが、そのようなことはなくあの人災だ」
 こちらをまるで石でも見るような目で見つめるその視線から逃げようとするも、金縛りにあった様に視線を逸らすことができない。
 淡々と告げられるその言葉が、刃となって自分を弄るのをアスランは感じた。
「それで―」
「……え?」
「それでお前はどうすると言うのだ。世界のありようを見て」
「……それは」
「ただ嘆くだけか?指をくわえてメディアの伝える情報を丸呑みするのか?目を逸らし、耳を塞ぎ、安穏とした仮初の平和にしがみつくのか?どうなのだ、アスラン」
「………おれ、は……」
 父からの問いかけに、アスランは答えられなかった。
 いや。その問いに自分が答えてよいのか、自分にその答えを口にする資格があるのか、と考えていた。
「お前はいつも考えすぎる」
 そんなアスランを見つめながら、パトリックはポツリとそんな言葉を口にした。
「え?」
「お前は幼少の頃から聡明であったためか、自信のない答えを口にしようとは決してしない。だからこそ、お前は悩み癖がついたのだろうがな」
「それは………」
 確かに自分は何事も深く考えすぎる傾向がある、と考えるアスランにパトリックは続けて語りかける。
「だが、何を恐れる必要がある。いや、お前はまさか信念と言うものに数学的な『正しい』などと言うものが存在すると思っているのか?」
「………え?」
「ふん。それこそ『間違った』考えだ。全ての信念が『正しく』そして『間違い』なのだ」
「それは……」
「ふん。お前が一体何を考えて戦争をしていたかは知らんがな、戦争など単純に表現すれば正義と正義のぶつかりあいだ。お互いが『正しい』と信じる信念のもと競い合うのだ。それが戦争だ」
「それは!」
「事実であり、真理だ。誰も否定できんし、お前にも否定できるはずがないだろう。自らの信念のためにジャスティスを駆り戦場に身を投じたお前がな。お前が、お前たちがしていたのは戦争なのだよ。戦争を止めるための戦争、とでも言えば満足か?それでも戦争であった、と言うことには変わりがないのだがな。そんなことをかつてしたお前が何を躊躇う?お前の信じる正義はそんなものだったのか?ならば、どこかで世捨て人のように暮らせばよい」
 言いよどむアスランへとパトリックは斬り捨てるように言葉をかける。
 それを否定したいと思うのだが、アスランの冷静などこかがそれを肯定し妥協しようとしていた。
 そのことがアスランには認められず、そのジレンマが自身を苦しめ始めていた。
「それが出来ぬならば、その苦しみを味わい、抗いながら自分の納得する信念を守り続けろ。『正義』であり続けろ」
「?!ち、父上……」
「少なくとも、後悔だけに囚われるな。そこを気をつければお前はより進化する」
「父上」
 初めてかけられる慈愛の言葉に、アスランは自分の涙腺が緩むのを感じた。
 何か答えようと思ったアスランの目の前で、パトリックの姿が突如薄くなり始めてきた。
「?!」
「そろそろ時間か」
 驚くアスランに関係なくそう呟くパトリックに、何か声をかけようとするが、それを遮るように声が掛かってきた。
「アスラン。今度こそ平和な世界をお願いいたします」
「ま、先にリタイヤした俺が言うのもなんだけど、死ぬなよ?」
「アスラン。俺の分も頑張ってくよ!!」
「ニコル、ミゲル、ラスティー……」
「精々頑張りたまえ。私は君が理想と現実のギャップに潰れる瞬間を楽しみにしておくのでね」
「クルーゼ隊長……」
 自分に一声かけて消えていく、二度と会うことのできない人たちに、アスランは何か声をかけたいのだが、胸から湧き上がる何かが溢れかえりすぎて言葉が上手く作れず、言葉の代わりに涙が彼らとの別れを惜しむように止め処無く流れていた。
「アスラン」
「ぅっ、ち、父上……」
 声に導かれるように顔を向けた先には、もう記憶の底にしかない笑みを浮かべたパトリックがそこにいた。
「お前が何を信じ、何に迷い、何を探すのかは私にもわからん。なぜなら、その答えを探し出さなくてはならないのはおまえ自身なのだからな。だが、一度でもその答えを見つけたのならば、それを信じろ。そして、それを貫くのだ」
「ですが、もしそれが間違っていた場合は!そのために多くの人を失うことになってしまったときは!!」
「ふん。間違っていたのならば、おのずとそれを阻止するものが現われる。私を止めようとしたお前のようにな」
「あ……」
「それを止めるものが現れるまで、お前は自分の見つけた『正義』を貫け。お前になら出来る。私と、レノア優しさを受け継いだお前ならばな」
「父上!」
 温かい言葉をかけてくれるパトリックの手をとりたいと、駆け寄ろうとするアスランだが、なぜか二人の距離は縮まらず、そのことに苦心しているとパトリックの姿がより薄く消え始めていた。
「うむ。そろそろ私は行かなくてはならん。当分の間お前の顔は見たくない。来るのならば最低でも半世紀たってから来るのだな」
「父上!!」
 手を伸ばす。だが届かない。
「己が信じた道を貫け。愛する息子。アスラン」
「父うえーーーーーーーーー!!!!」
 叫ぶアスランの頭を、誰かが優しく撫でるのを最後に感じるのと同時にパトリックは消え、そしてアスランは自分の感覚が消失するのを感じ闇に飲まれた。


「…………ゆ、め?」
 ここ数日見慣れた天上を視界に納めながら、アスランは力なくそう呟いた。
 いつの間にか寝ていたことに驚きながら身を起こすと、頬が濡れているのに気がついた。
 その残滓を拭いながら、アスランは夢の内容を反駁した。
「………墓参りをした、からか?」
 非科学的なことを口にしながら、昨日イザークたちと共に訪れた墓地に参ったお礼に夢に出たのだろうか、と考えながらアスランは気分を一新するためにシャワーを浴びることにした。
 シャワーを浴び、気分を改めたアスランはある場所へと電話をかけた。
「はい、デュランダル議長にアポイントを願いたいのです」
 デュランダルと会うことを決めたアスランの目には、何物にも屈しない力強い光が灯っていた。


 無事アポイントを取る事が出来たアスランは、指定された手続きを消化しデュランダルの執務室へと向かった。
「やあ、アスラン」
 数日振りに出会うデュランダルの柔らかな声に、アスランも朗らかに返した。
「お久しぶりです、議長。先日は、私のために手配してくださりありがとうございました」
 アスランの感謝の言葉を聞きながら、おや?っとデュランダルはアスランの変化を感じた。
 先日までは無かった何か、芯の様なものの存在感をはっきりとアスランの言葉の隅々から感じたのだ。
 そのことに驚きながら、デュランダルはアスランに面談の目的を尋ねた。
 そしてアスランは、デュランダルにZ.A.F.T.へ復帰する事を決意した事を伝えた。
「ふむ。その決意は固いのかね?」
 探るように尋ねるデュランダルの問いに、アスランは一片の迷いも無く頷いた。
 そのことを納得すると、デュランダルは内線でどこかに連絡を入れた。
 デュランダルが受話器を戻すのと同時に執務室のドアが開き、赤い服一式を持ったミーアがはいってきた。
 それに軽く驚きながら、アスランは渡された服に袖を通すことにした。
 久しぶりに袖を通したそれは、なにか思いが込められているように感じた。
「まあ」
 赤を纏って戻ってきたアスランを見たミーアは、その纏う雰囲気が変わったアスランに感嘆の声を上げた。
 その声に反応するように、デュランダルは立ち上がり右手に持ったケースをアスランに差し出した。
「これは?」
 渡されたケースに疑問を感じながら開いたアスランは、中身を見た瞬間息を止めてしまった。
 そのケースの中にあったのは、鳥の羽根を模した紋章であり、アスランはそれが持つその意味に思い当たり目を見開いて叫んだ。
「これはFAITHの!」
 アスランのその問いかけに、デュランダルは笑みを浮かべ肯定の頷きを示した。
 FAITHとは議長直属の特務隊であり、通常の命令系統には属さず、軍功、人格、その両方においてすぐれているとされる人物しか与えられない資格であり、その受領者の数は限られている。
 そのことを知っているアスランは、信じられない、とばかりにデュランダルの顔を凝視するように見た。
 その視線を何気なくかわしながら、デュランダルはその紋章の持つ意味を伝えた。
「君を、通常の指揮系統の中に組み込みたくはないのでね。君とて困るだろう。その為の便宜上の措置だよ。忠誠を誓う、という意味の部隊『フェイス』だがね。君は己の信念や信義に忠誠を誓ってくれればいい」
 その、為政者としては甘さを感じずにはいられない言葉にアスランはとまどう。
「議長……」
 戸惑うアスランに、デュランダルは声をかける。
「君は、自分の信ずるところに従い、今に堕することなく、また、必要な時には戦っていくことの出来る人間だろう?」
 そのどこか試すような問いかけに、アスランは視線に力を込めて答えた。
「そうでありたいと思ってはいます。ですが、いまだ私は未熟です。それでもよろしいのでしょうか?」
 そのアスランの言葉を、デュランダルは認めた。
「自身の未熟を認めることができる君だからさ。君になら出来る。だから、その力をどうか必要な時には使ってくれたまえ。大仰な言い方だが、ザフト、プラントの為だけではなく、皆が平和に暮らせる世界の為に。今一度、力を示してくれたまえ」
 その言葉に、アスランは紋章に目を落とすとそれを手に取り、力強く答えた。
「はい!」
 その答えに気をよくしたのか、デュランダルは笑みを浮かべながら頷き言った。
「うむ。では、君に新しい剣を渡そう。ついてきてくれたまえ」
 そう言って歩むデュランダルの後を、アスランは誰もが惚れ惚れとする姿勢でついていった。


 二人が向かった先は『RESTRICTED AREA』と描かれた、どう見ても軍事エリアとしか見えない場所だった。
 その中の通路の一つをデュランダルに先導される形でアスランは進んだ。
 突き当たりのドアの前で集まっていた数人の整備員と護衛の兵士が挨拶する中、デュランダルは手を振って合図をする。
 側にいた整備員がそれを受けてロックしていた扉を開くと、デュランダルとアスランはその中へと吸い込まれるように進んだ。
 そして、2人がある場所で立ち止まると共にライトが灯り、その前にあったMSを照らし出した。
「……これは!!」
 現われたMSに驚きの声を上げるアスランを面白そうに見ながら、デュランダルがそのMSの説明を始めた。
「ZGMF−X23Sセイバーだ。性能は異なるが例のカオス、ガイア、アビスとほぼ同時期に開発された機体だよ。この機体を君に託したいのだよ」
「これを……」
 目の前に立つ、どこかかつての愛機たちの面影を持つその機体に、アスランは心を奪われていた。
「この新たなる剣で、君が導く未来を私は寄りよいものであることを願うよ」
「………議長、一つお尋ねしたいことが」
「ん?なんだね?」
「『セイバー』とは、『剣士(saber)』と言う意味でしょうか」
「いや。セイバーとは『救世主(savior)』と言う意味だそうだよ。MSにつけるには少し仰々しいかもしれないがね」
 デュランダルの言葉を聞き流しながら、アスランは機体の名前を繰り返し呟いた。
「セイバー………仰々しい名前だが、それがまたいい」
 笑みを浮かべながらそう呟くアスランを見て、デュランダルは微笑みながら尋ねた。
「さて、返答をいただけるかな?」
「はい。ありがとうございます。機体の名に負けぬようにいたします」
 アスランは承諾の言葉を告げ、教本のように素晴らしい敬礼をデュランダルに捧げた。

 新たな機体を与えられたアスランは、セイバーの習熟訓練を行いたいとデュランダルに申し出、それをデュランダルは承諾した。そして、もうしばらくアスランはプラントに滞在することになった。
 だが、その選択を後にアスランは後悔する日が来るなど、そのときのアスランには想像もできなかった。


―中書き―
 十一月だよ、と慌てているANDYです。
 コードギアスが、予想通り面白くなってきています。皇帝のあの発言はすごいな〜、と思いました。
 オーブの理念とは逆の事を掲げているからこそ、世界の三分の一を占める大国か、と変に納得したりw
 ナナリーがすごく癒しだな〜と思っています。あの純粋な子が死なないことを願います。
 今回は、アスランの選んだ道でした。
 原作とは違う決意の仕方をさせてしまいました。
 ああ、もう、これでもうコウモリとは呼ばせないぞw
 さて、原作ではこの辺の時間軸の流れがいまいちわからないのですが、この作品ではアスランのセイバー受領一日後に、ミネルバがオーブより出港した、と言う流れにしたいと思います。
 で、その一週間以内にあのイベントがオーブで起こる流れにしたいと思います。
 その辺の違うと言う意見があれば教えてください。参考にさせていただきますので。

 では、恒例のレス返しを

>戒様
 感想ありがとうございます。
 サトーさんが逝きました。
 彼の死に際の言葉が、何かしら力を残して伝わればよいと思います。
 カガリはどうなるんでしょう?
 結構悩みどころです。
 これからも応援お願いいたします。

>レコン様
 感想ありがとうございます。
 レールガンは、もう、公式にそういう設定がごろごろしているんですから納得するしかないのではw
 それの至近距離弾を食らっても壊れないPS装甲(種のときフォビドゥンが耐えてました)は、すごい装甲なんですよw
 サトーさんの散り方を気に入っていただけた用でよかったです。
 これからも応援お願いいたします。

>飛昇様
 感想ありがとうございます。
 サトーさん、その言葉がみなに伝わるものがあるはずです。
 ザクですが、原作ではいつの間にか消えていましたがアスランの乗っていた機体です。
 単独大気圏突入をしていなかったので、五体満足でミネルバの格納庫に残っていました。
 これからも応援お願いいたします。

>かのん様
 感想ありがとうございます。
 あの台詞については、各自でご判断をw
 これからも応援お願いいたします。

>Kuriken様
 感想ありがとうございます。
 サトーの死、例え誰であったとしても『死』そのものは何かを残していくものです。
 それをどう受け止めるかが、残された人の課題ではないでしょうか。
 その課題を上手く解いてもらいたいものです。
 MS戦ですが、まあ、あんな鉄の塊がアアも飛ぶ世界ですから納得するしかないのではw
 Gイーグルはこれからも活躍させたいと思います。
 これからも応援お願いいたします。

>航空戦艦『琴瀬』様
 感想ありがとうございます。
 サトーの残したものが後身たちの糧になればよいのですが。
 これからも応援お願いいたします。

>あるふぉんす様
 おひさしぶりです。感想ありがとうございます。
 トールギス?オットーさんのことか!「後の兵士達のために!!」といいトールギスでぶち込みをかました。
 彼のように誰かの心に影響を与えればよいのですが。
 Gイーグルのイメージは、大方それでよいかと。Gディフェンサーよりは戦闘機のような形ですので。
 フライングアーマーを中心に、リ・ガズィの代わりにBWSが装着されていると想像してください。
 SFSはこれから登場するかどうか楽しみにしていてください。
 これからも応援お願いいたします。

>御神様
 感想ありがとうございます。
 サトーさんの逝き方が好評でよかったです。
 シンも今までの鬱憤を解消するように活躍させましたw
 これからも応援お願いいたします。

>弐様
 感想ありがとうございます。
 ご指摘の通り、トリップものとしては成立していないかもしれません。
 もし、ご期待に添えない内容であるとご判断されましたら、感想をかかれなくてもよいのでご無理をなさらないでください。
 これからも応援お願いいたします。

>エスケスト様
 感想ありがとうございます。
 ご指摘の件、ありがたく承ります。
 これからオリキャラのほうも厚みが出るように精進いたします。
 これからも応援お願いいたします。

>ユキカズ様
 お久しぶりです。感想ありがとうございます。
 ユウナですが、私としましては、前半の時のかっこよさを活かしたいと思ったのでこうなりました。
 この作品ではこの路線で逝く予定ですのでご容赦を。
 また、婚約についての情報源を教えていただければ幸いなのですが。
 自分が探した範囲ではなかったのであのような設定にしたもので。
 これからも応援お願いいたします。

>ATK51様
 感想ありがとうございます。
 カガリは、成長させなかった神?が悪いと言うしかないのではw
 アレだけの経験を積んでいれば少しは変わると思う我々が可笑しいのでしょうかね?
 彼女サイドの話、納得できるものであればよいのですが(苦笑)
 MSとMA。NJの影響でレーダーが利かないと言う設定の下に凡庸性の高いMSが活躍したのでしょうが、海上等の場合はMAの方が強いと思うんですよね。少なくともムラサメやウィンダムよりは装甲厚いでしょうからw
 まあ、MSにいい感情を持っていない軍人もいると言うことでw
 サトーさんの言葉、これから現実を味わう若者に届いていればよいのですが。
 ムコサマ〜5ですが、まあ、GAをどこかで立ち読みして確認してください。
 先月号では期待させるように登場させてあっさりと消えてしまった彼らの勇姿を。
 某魔法先生の赤点五人組と比べるのは失礼と言うものですよ。彼女達にw
 ロウは、せめて樹里には縛られておけw
 火星で一体何をしてきたか未だに謎ですが。
 これからも応援お願いいたします。

 年末に向けて映画が一杯ですね。
 名作シリーズの原点を扱う作品がちらほらと。
 007は見に行きたいです。今回のボンドガールはどれぐらいセクシーなんでしょうw
 では、また次回お会いしましょう。
 では。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI